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国益を支える要の1つとしての半導体、我が国はじめ各国の関連の動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜7日午前10時時点、世界全体で5億1617万人に達し、8日前の午後から372万人増である。制限が緩和される流れの一方、中国でのロックダウンが見られ、警戒は解けない状況が概して続いている。世界的な半導体の不足から、自国内での半導体製造の強化&自己完結を図る動きが高まり続ける中、国益を支える要の1つとしての半導体を政府が引っ張る動きが、我が国はじめ各国で見られている。萩生田経済産業相が米国を訪問、両国政府間で半導体製造能力強化および最先端半導体の技術協力で合意している。インドでは、Modi首相が率先、Semicon India 2022が開かれる一方、南部州での$3 billion工場建設が発表されている。

≪それぞれの半導体戦略構築に向けて≫

まずは我が国の動きから。萩生田経済産業相が米国を訪問、国内の半導体製造の強化を図る米国と、ステップを踏んで最先端復活に向かう戦略の我が国との間で、以下の話し合い、ないし合意が交わされている。

次は事前の記事であるが、「2-nm」、インテルの「チップレット」が技術協力の候補に挙げられている。

◇日米、最先端半導体で技術協力、2-nmなど開発・量産【イブニングスクープ】 (5月2日付け 日経 電子版 18:00)
→日米両政府は最先端の半導体の供給網(サプライチェーン)構築で協力を打ち出す旨。回路線幅が2-nmより進んだ先端分野での協力や、中国を念頭に置いた技術流出防止の枠組みづくりなどで近く合意する旨。米中対立を背景に半導体は経済安全保障上の重要性が高まっている旨。台湾勢などに調達を依存する危機感から日米連携を強化する旨。
萩生田光一経済産業相が2日から訪米してレモンド商務長官と会談し、半導体分野の協力推進に向けた文書を公表する旨。先端分野の実用化や量産を視野に入れた協力が柱で、現在の最先端より2世代先の「2-nm」以降の技術や、米インテルが持つ「チップレット」の手法が候補になる旨。

そして、会談での合意、連携など、以下の通りである。

◇米主導の経済枠組み「早期に同志国で」、日米閣僚が一致 (5月5日付け 日経 電子版 19:31)
→訪米中の萩生田光一経済産業相は4日、レモンド商務長官、タイ米通商代表部(USTR)代表とそれぞれ会談し、バイデン米政権が創設を目指すインド太平洋経済枠組み(IPEF)の早期の立ち上げが必要との認識で一致した旨。バイデン政権は多くの同志国を呼び込み、中国に対抗する経済圏を作ることを目指す旨。

半導体がキーワードとなる以下の内容である。

◇日米、半導体・エネルギーで緊密連携、中ロ念頭、「世界秩序の脅威」 (5月5日付け JIJI.COM)
→訪米中の萩生田光一経済産業相は4日、首都ワシントンで米経済閣僚と相次ぎ会談した旨。日米共同文書によると、覇権主義的な動きを強める中国や、ウクライナに侵攻したロシアを念頭に、「世界経済秩序の脅威」への対応で緊密に連携する方針で一致。半導体やエネルギー分野における中ロ依存から脱却を図る姿勢を打ち出した旨。

◇日米、半導体製造能力強化などで合意、経産相「有志国連携を牽引」 (5月5日付け ロイター)
→訪米中の萩生田光一経産相とレモンド商務長官は5日(米国時間4日)に会談し、半導体のサプライチェーン(供給網)において、半導体製造能力の強化・多様化、半導体不足に対する緊急時対応の協調、研究開発協力の強化などを進めることで合意した旨。萩生田経産相は会見で「多角的・重層的な協力を進めていくとともに、他の有志国を含めた連携を日米で牽引していく」と述べた旨。

◇日米、半導体開発で協力−LNG増産を要請、脱炭素で協調 (5月5日付け 共同通信)
→萩生田光一経済産業相は4日、訪問先の米ワシントンでレモンド商務長官らと相次いで会談し、半導体の研究開発や供給網強化に向けた協力を盛り込んだ基本原則を策定した旨。エネルギー分野のロシア依存を避けるため、米国に液化天然ガス(LNG)の増産を要請、日本も支援する旨。脱炭素に向けた協調も確認した旨。

Albanyの研究拠点視察では、半導体人材育成での合意である。

◇独自)日米が半導体人材育成で合意 (5月5日付け FNNプライムオンライン)
→半導体の国際的な競争力強化に向けて、日米が半導体技術の人材育成で連携していくことで合意したことが明らかになった旨。アメリカを訪問中の萩生田経産相は3日、ニューヨーク州オールバニ(Albany)にある半導体の研究施設を視察した旨。
オールバニではニューヨークの大学や高校、企業が参加する『オールバニ・ナノテク・コンプレックス』が半導体技術の人材育成に取り組んでいるが、新たに日本の九州で始まった、半導体人材育成の取組とアメリカ側が連携して人材育成することで合意したことが明らかになった旨。

次に、インドについてであるが、半導体の国際コンソーシアム(企業連合)、ISMCによるインド南部、Karnataka州でのアナログmicrochipsを製造する工場への$3 billion投資関連が、以下の通りである。

◇India reveals plan to become major RISC-V design and production player by 2023-India makes progress in boosting domestic IC production-Joins open chip standard's international board to show it's really serious this time (4月29日付け The Register (UK))
→Digital India RISC-V Microprocessor Programは、オープンソースのRISC-V命令セットアーキテクチャー(ISA)を備えたmicrochipsのインド国内での設計と開発を促進する旨。Vedantaがインドのウェーハ製造拠点への資金提供を準備しており、ISMC Analog Fabコンソーシアムが、65-nanometer featuresを備えたアナログmicrochipsを製造するウェーハfabに$3 billionを投資することについて、Karnataka州政府との覚書に達した旨。

◇半導体の国際企業連合ISMC、インド南部州に$3 billionで工場建設へ (5月2日付け ロイター)
→半導体の国際コンソーシアム(企業連合)、ISMCは$3 billionを投じてインド南部カルナタカ州に半導体製造工場を建設する旨。同州政府が1日発表した旨。
ISMCは、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国に拠点を置くネクスト・オービット・ベンチャーズとイスラエルのタワー・セミコンダクターの合弁。米半導体大手インテルはタワーの買収を表明している旨。カルナタカ州によると、新工場は1500人の直接雇用と1万人の間接雇用を創出する見通し。

◇ISMC inks MoU to set up $3 billion chip plant in Karnataka (5月2日付け The Times of India)
→インドの半導体fabをもつ大きな志が、少し結実に近づいてきている旨。

◇ISMC to Invest $3B in India's First Semiconductor Fab in Karnataka (5月6日付け EE Times India)
→ISMCは、Karnataka州の65nmアナログ半導体製造工場へのRs22,900 crores($3 billion)の投資を発表の旨。 Karnataka州首相、Sri Basavaraj Bommai氏が、ISMCチームと面会、Tower SemiconductorのVice President(Business Development & Special Projects)、Erez Imberman氏も該会議に出席した旨。

そして、Semicon India 2022(4月29日〜5月1日:バンガロール)の第1回がModi首相が引っ張る形で開かれている。関連する内容&動きが以下の通りあらわされている。

◇Indian PM Modi vows to build semiconductor production hub-Government offers $10bn in incentives to attract global chipmakers (4月29日付け Nikkei Asia)
→インドのNarendra Modi首相が金曜29日、Semicon India 2022のオープニングで、インドを"高品質と高信頼性"の半導体製造ハブとして確立する機会をつかむことについて話した旨。

◇SemiconIndia Conference 2022 Kicks Off on a High Note (5月4日付け EE Times India)
→Shri Narendra Modi首相により、SemiconIndia Conference 2022が発足、主要な利害関係者を集めて既存のcapabilitiesを紹介、イノベーションを考案そしてグローバルなベストプラクティスについて話し合うことを目的としたグローバルな半導体conclave(秘密会議、集まり)の旨。
"Catalyzing India's Semiconductor Ecosystem"をテーマとする該flagship conclaveは、2022年4月29日から5月1日までバンガロールで開催された旨。この会議は、Make in IndiaおよびAtmanirbhar Bharatなどのより大きな国の物語と一致しており、India Semiconductor Mission(ISM)への出発点として固定されている旨。

SEMIとの協議の場が持たれている。

◇SEMI and IESA Discuss Electronics and Semiconductor Industry Potential in India (5月5日付け EE Times India)
→Ministry of Electronics & IT(MeitY)によるバンガロールでの最近のSemicon India 2022会議と、最近発表されたScheme for Promotion of Semiconductor Eco-System in Indiaを背景に、SEMIのPresident and CEO、Ajit Manocha氏が、India Electronics & Semiconductor Association(IESA)のリーダー、ChairmanのVivek Tyagi氏およびCEO and President、K. Krishna Moorthyとニューデリーとバンガロールで会い、インドの半導体および電子産業を促進するためのコラボレーションの機会を模索している旨。

◇SemiconIndia Conference Sets in Motion Roadmap to Catalyze Semiconductor Ecosystem (5月6日付け EE Times India)
→インドを繁栄する半導体hub kickに変えるというShri Narendra Modi首相のビジョンが、最近のSemiconIndia Conference 2022イベントで、政府、主要な半導体業界のプレイヤー、および業界団体の間で署名された複数の覚書(MoU)から始まった旨。
該イベントで設計と共同開発の協定が発表されたため、インドの半導体エコシステムを触媒するために車輪が動き始めた旨。最近、インドは、シリコン処理を開発し、SHAKTIおよびVEGA RISC-Vプロセッサを中心にデザインウィンを生み出すDIR-Vプログラムを発表した旨。

インドのVedanta Groupによる同国初の半導体メーカーに向けて備える動きである。

◇India's Vedanta in talks to raise up to $3 billion debt in semiconductors push (4月30日付け Reuters)
→インドを代表する多国籍企業、Vedanta Groupが、同国初の半導体メーカーになるよう競争している半導体とディスプレイの製造計画を強化するために、$2.5 billion-$3 billionの債務を調達するために銀行と交渉中の旨。

そして、米国と中国の間の地政学的インパクトを受ける韓国では、米国主導の半導体業界アライアンスに韓国は参加するという提言が、シンクタンクによりあらわされている。

◇More Investment Needed in Non-memory Chip Sector South Korea Advised to Join U.S. Alliance in Semiconductor Sector (5月2日付け Business Korea)
→Korea Institute for Industrial Economics and Trade(KIET:韓国産業経済貿易研究所)が5月1日の報告書で、世界の半導体サプライチェーンは2025年に再編される可能性があり、韓国が米国と中国間の曖昧な中立を維持することは困難であると述べた旨。
「これは、韓国が米国主導の半導体業界アライアンスに参加する必要があることを意味する。同時に、韓国政府は、製造面をさらに強化しながら、非メモリ半導体分野により多くの投資をする必要がある。韓国の半導体業界が弱点のないものになることができるように。」

◇Seoul should join Washington-led semiconductor alliance: South Korean think tank-KIET: Korea should join US-led microchip industry alliance -Proposed grouping also includes Taiwan (5月3日付け Taiwan News)
→韓国のシンクタンクが日曜1日、ソウルが米国主導の半導体業界アライアンスに参加することを提案する報告書をリリースの旨。BusinessKoreaの報道によると、Korea Institute for Industrial Economics and Trade(KIET:韓国産業経済貿易研究所)が、今後数年間で半導体サプライチェーンが世界的に再構築される中、韓国は米国と中国の間で中立的な立場を維持するのに苦労すると予測した旨。

最後に、米国関連の動き、まずは米国新工場に取り組むTSMCについてである。

◇Why is TSMC Building a Fab in the American Desert? (4月28日付け Taiwan Business Topics)
→主要な顧客に近い米国で製造するという大きな志により、TSMCはアメリカに拠点を設立した旨。プロジェクトと関連するサプライチェーンの移転は、コスト管理から人材の採用や異文化での管理手法まで、多くの課題をもたらす旨。

米中摩擦が影を落とす動きが依然続いている。

◇Proposed China investment curb by U.S. sparks debate among chipmakers-Lawmakers want to curb US investments in China (4月29日付け Reuters)
→ロイター通信発。米国の半導体メーカーへの連邦資金の提供を支持する下院議員が、中国企業への投資を制限することを提案している旨。米国の半導体メーカーの利益を代表するSemiconductor Industry Association(SIA)は、声明草案の中で、「SIAは、機密性の低い合法的な投資および関連する商業活動を不必要に妨げない政策の策定を奨励する。」と述べた旨。

Biden大統領のミサイル工場訪問について、$50 billion投資法案のCHIPSへの言及である。

◇Biden, visiting Javelin missile factory, urges Congress to pass CHIPS semiconductor funding-Biden: $50B needed to support semiconductor production (5月3日付け FedScoop)
→Joe Biden大統領が、Alabama州のLockheed Martin Javelinミサイル工場への訪問を利用、"防衛生産能力にとって重要"と述べた半導体の国内生産を支援する$50 billion投資法案を唱道した旨。「CHIPS法に資金を供給することにより、経済と国家安全保障を支える半導体がここアメリカで再び作られることを確実にしていく、」とBiden氏。

若年層、学生を対象に人材強化を目指す米国・SIAの連携である。

◇SIA, FIRST(R) Announce Partnership to Strengthen U.S. STEM Workforce-Partnership will focus on enhancing talent pipeline to equip students with skills needed for science and technology careers (5月4日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)とFIRST(R)(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)が本日、STEM教育および学生の間の関心を高め、労働力開発を強化するためのパートナーシップを発表した旨。現在、米国のSTEM卒業生の供給を上回っている高度なスキルを持つ労働者の需要があるため、このパートナーシップは、米国が半導体などさまざまな重要テクノロジーで革新的な優位性を維持できるようにするために重要である旨。SIAは、売上げで米国の半導体業界の99%および米国以外の半導体企業の3分の2近くを代表する旨。
FIRSTは、STEMと充実したライフスキルの両方を構築するエキサイティングなメンターベースのプログラムを通じて、若者が将来に備えるためのグローバルなロボット工学コミュニティの旨。

Biden大統領が、CHIPS法案に干渉と、中国を非難している。

◇Biden: China lobbying against chip manufacturing bill-Biden says China is opposing US chip manufacturing bill (5月5日付け Electronics360)
→Joe Biden大統領が、Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors(CHIPS) for America Actを巡る米国議会の交渉に干渉したとして中国を非難の旨。

激動の世界政治&経済情勢の中での半導体業界の日進月歩の動き&展開に、いろいろな切り口で目が離せないこのところである。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月3日(火)

米連邦準備理事会(FRB)から22年ぶりの0.5%利上げが決定され、金融引き締めへの警戒に向け不安定で大幅の上げ下げを示した今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、84ドル高、短期の戻り期待が支え (日経 電子版 07:55)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比84ドル29セント(0.3%)高の3万3061ドル50セントで終えた旨。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を4日に控え、積極的な金融引き締めに対する警戒は強い旨。ダウ平均は午後に500ドル強下げ、3月8日に付けた年初来安値(3万2632ドル)を下回る場面があった旨。

□5月4日(水)

中国のロックダウンの影響、そして高インフレが米国の対中関税にも波紋である。

◇Shanghai Lockdown Reignites Supply-Chain Problems for U.S. Companies-Shanghai lockdown could hurt supply chain through summer (The Wall Street Journal)
→Apple, GEおよびEstee Lauderなどで事業に混乱、夏まで影響が延びると警告する向きもある旨。

◇米、対中関税見直し開始、高インフレ対策で引き下げ論も (日経 電子版 04:00)
→米通商代表部(USTR)は3日、中国製品に課す制裁関税を見直す作業を始めると発表、発動から4年が経過するため、関税を続けるか検討する旨。高インフレに対処するため関税引き下げを求める声が政権内外で高まっており、慎重に判断する構え。

◇NYダウ小幅続伸、67ドル高、FOMC控え方向感乏しく (日経 電子版 05:54)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比67ドル29セント(0.2%)高の3万3128ドル79セントで終えた旨。前週末に急落した後とあって、短期的に売られ過ぎとみた買いが優勢だった旨。ただ、4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて様子見ムードが強く、買いの勢いは弱かった旨。取引時間中は下げに転じる場面もあり、方向感に乏しい展開だった旨。

□5月5日(木)

◇NYダウ続伸、932ドル高、0.75%利上げに慎重発言で (日経 電子版 06:25)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比932ドル(2.8%)高の3万4061ドルで取引を終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、同日決めた0.5%の利上げ幅を上回る0.75%の利上げ実施に慎重な考えを示し、過度な金融引き締めと景気後退への懸念がいったん和らいだ旨。

◇FRB、22年ぶり0.5%利上げ、「量的引き締め」も決定 (日経 電子版 07:45)
→米連邦準備理事会(FRB)は4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年ぶりとなる0.5%の利上げを決めた旨。保有資産を圧縮する「量的引き締め(QT:Quantitative tightening)」の6月開始も決定した旨。ロシアによるウクライナ侵攻などが世界経済の先行きに影を落とすなか、当面は米国内で約40年ぶりの水準に達したインフレの封じ込めを優先する旨。新型コロナウイルス禍で急拡大した緩和マネーの正常化を急ぐ旨。

□5月6日(金)

◇NYダウ一時1300ドル安、金融引き締め「軟着陸」に不安 (日経 電子版 08:04)
→5日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が急反落し、前日比1063ドル09セント(3.1%)安の3万2997ドル97セントで終えた旨。1日の下げ幅としては2020年以来の大きさとなった旨。4日に今年最大の上げ幅を記録していたが、一転して大幅安になる不安定な相場展開になった旨。米連邦準備理事会(FRB)が景気後退を回避しつつ、インフレ抑制に成功する「ソフトランディング(軟着陸)」シナリオを巡って市場の見方は定まっていない旨。

□5月7日(土)

◇NYダウ続落、98ドル安、雇用統計受けインフレを警戒 (日経 電子版 07:30)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比98ドル60セント(0.3%)安の3万2899ドル37セントで終えた旨。朝方発表の4月の米雇用統計が労働市場の需給逼迫と高い賃金上昇を示した旨。インフレ高止まりが意識され、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めが続くと警戒する売りが広がった旨。


≪市場実態PickUp≫

【AMD関連】

業績が非常に好調なAdvanced Micro Devices(AMD)について、積極的な新製品の取り組みはじめ以下関連の内容&動きが相次いで目に留まっている現時点である。

◇AMD says data center boom will boost revenue; shares rise-AMD forecasts revenue of about $6.5B in current quarter (5月3日付け Reuters)
→Advanced Micro Devices(AMD)社が火曜3日、データセンターブームが半導体の需要を押し上げ、予想を上回る通年および第二四半期の売上げを予測、時間外取引で株価が上昇の旨。

◇AMD promises ‘extreme gaming laptops’ in 2023 with new Dragon Range CPU-AMD touts Dragon Range CPU for gaming laptops next year-The “number one choice for mobile gaming dominance” (5月3日付け The Verge)
→Advanced Micro Devices(AMD)は、2023年にゲーミングlaptopsで同社のDragon Rangeプロセッサが登場すると見ている旨。「私たちから聞いていたワットあたりのパフォーマンスの話は、今後も続くだろう」とAMDのdirector of technical marketing、Robert Hallock氏。

Xilinx買収が業績を大きく引き上げとの見方である。

◇AMD Predicts Revenue to Grow by 60% in 2022 (5月4日付け EE Times)
→サーバ用プロセッサの力強い需要並びにfield programmable gate array(FPGA)メーカー、Xilinx買収の寄与を伴って、AMDが2022年売上げの60%の伸びを予測の旨。

◇AMD CEO Lisa Su: Strong First Quarter Sets Stage For Year Of Big Growth (5月4日付け CRN (US))

◇AMD Gets Bigger, Better and Cheaper-Chip maker’s business is booming while fears of PC slowdown have cut the stock's premium (5月4日付け The Wall Street Journal)

◇It's always sunny in Santa Clara: AMD earnings keep out-running market challenges (5月5日付け FierceElectronics)
→AMDが、同社は今週も一連の力強い四半期決算報告、2022年の第一四半期の売上高が前年同期比71%増の$5.9 billionに達した旨。この数字はアナリストの見積もりとAMD自身の第一四半期の売上げ約$5 billionの見通しを上回っているが、該飛躍の一部は、AMDが第一四半期に締結した取引であるXilinxの買収による最近のいくつかの新しい売上げチャネルの追加に関連している旨。

◇AMD to roll out 5nm processors as early as September-Sources: AMD will ship 5nm devices in Q3 (5月5日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Advanced Micro Devices(AMD)が、この秋、TSMCの5-nanometerプロセスで製造されたAMD Ryzen 700プロセッサを供給する可能性がある旨。「ここ数年、AMDは規模拡大と変革の両方への道を歩んでいる。」とCEOのLisa Su氏。「私たちのビジネスを根本的に変えるいくつかの主要なステップを踏んで、2022年の最初の数ヶ月の間に歩みの大きな変曲点に達している。」

◇AMD RX 7900 XT could be the first-ever PCIe 5.0 graphics card -Report: AMD debuts RX 7900 XT PCIe 5.0 graphics card (5月5日付け Digital Trends)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、第5世代PCIeテクノロジーをサポートする最初のグラフィックカードの1つと言われるAMD Radeon RX7900XTを発表した旨。同社はまた、Chromebookコンピュータで使用するための4つの新しいRyzen 5000 Cシリーズプロセッサを発表した旨。

◇AMD Announces Ryzen 5000 C-Series For High-End Chromebooks (5月5日付け AnandTech)

◇AMD doubles the number of CPU cores it offers to Chromebooks-HP, Acer announce first Chrome OS devices with up to eight x86 cores. (5月5日付け Ars Technica)

【インテル関連】

AMDとくれば、長年のライバル、インテルの動きが気になるところ。来年出てくるChiplet SoC、GPUs IP関連のM&A、そしてVLSIシンポでの論文についてである。

◇Intel says costly 10nm ramp will counter PC slowdown-Intel expects ramping of 10nm chips to pay off later -China lockdowns, Apple's homegrown silicon, and more give x86 giant a headache - with an aspirin in reach (4月29日付け The Register (UK))
→Intelは、来たるSapphire Rapidsサーバー半導体など、10-nanometer featuresを備えたプロセッサの生産を増やす努力により、今年後半に同社Client Computing Groupでより良い結果が得られると期待している旨。 来年発売予定の同社の"MeteorLake"」 microchipsは、chiplet技術を用いる予定の旨。

◇Intel: Meteor Lake Chiplet SoC Up and Running (4月29日付け AnandTech)
→昨日のIntelの定期的な収益レポートに加えて、同社はまた、最も重要な今後の製品の1つ、MeteorLakeの状況について簡単に説明した旨。昨年初期開発を完了したIntelの最初のchiplet/tileベースのSoCは、現在、電源投入時テストなどを完了している旨。

◇Intel acquires graphics tech biz founded by ex-AMD, Qualcomm engineers-Intel buys Siru Innovations, adding graphics technology-Demoscene-steeped Siru is on not its Second but, what, Third or Fourth Reality, no (5月3日付け The Register (UK))
→Intelが、フィンランドを拠点とするスタートアップ、Siru Innovationsを買収、このスタートアップは、graphics processing units(GPUs)に搭載される半導体intellectual property(IP)を開発している旨。Intelは、SiruチームがAccelerated Computing Systems and Graphics Groupの一部になることを期待している旨。

◇Intel Has 13 Talks at the VLSI Symposia in June, Including Intel 4 (5月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→VLSI Symposiaが、来たる6月17日から22日にホノルルのHilton Hawaiian Villageで開催、最近、メディア関係者が、今後の論文のいくつかを説明するtipsheetをリリースした旨。
インテルが該conferenceで発表している13の論文のうち、3つがtipsheetに記載されている旨。Advanced CMOSカテゴリでは、インテルは最初のセッション(T1-1)で最初に登場、“Intel 4(前Intel 7-nm) CMOS Technology Featuring Advanced FinFET Transistors Optimized for High Density and High-Performance Computing”の旨。

【Samsung関連】

2021年半導体販売高のサプライヤランキングでインテルに競り勝ったとされるSamsungも、やはり注目するところ。3nm GAAプロセス歩留まりの件、そして新製品関連で以下の通りである。

◇Samsung claims advanced foundry yields stabilizing (4月29日付け DIGITIMES)
→4月28日のSamsungの収益電話会議での質疑応答で、同社は高度なファウンドリプロセスの歩留まりが安定してきていると語った旨。Samsung Foundryの5nmプロセス製造の歩留まりは成熟したレベルに達している旨。「4-nanoノードの場合、最初の歩留まり立ち上がりに少し遅れがあった」と同社は述べた旨。
Samsungの3nm GAAプロセス開発については、開発の各段階で検証を行っているため、歩留まりの向上期間を短縮できると同社は語った旨。Samsungは、KB証券のアナリストに回答した際、「早期の安定化に注力してきたため、期待される歩留まり改善曲線に戻った。」と述べた旨。

◇Samsung launches Pro Endurance microSD card that lasts up to 16 years (5月3日付け XDA Developers)
→Samsung Electronicsが、Pro Endurance microSDカードを発表、最長16年間使用できる旨。

◇Samsung to mass produce UFS 4.0 in Q3-Samsung plans UFS 4.0 volume production in Q3 -Samsung will be mass producing its UFS 4.0 in Q3 in a variety of capacities up to 1TB. (5月4日付け Electronics Weekly (UK))
→Samsung Electronicsが、今年の第三四半期中にUHS 4.0の量産を開始する予定の旨。

◇サムスン、業界最初UFS 4.0メモリー開発 (5月5日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子は業界で初めて次世代UFS(Universal Flash Storage) 4.0規格の高性能エンベデッドフラッシュメモリを開発したと4日、明らかにした旨。
UFSはIT機器に搭載されてデータを保存する半導体。この製品はデータ伝送帯域幅が従来(UFS 3.1)に比べて2倍大きくなり、さらに高速のデータ保存・読み出しができる旨。

【台湾半導体関連】

TSMCの高雄の新工場建設についてである。

◇Construction of TSMC's fab to begin next month-TSMC will break ground in June for new fab in Kaohsiung (5月2日付け The Taipei Times (Taiwan))
→TSMCのKaohsiung(高雄)での新しいウェーハ工場の建設が来月開始予定、とKaohsiung City土曜30日発。該工場の計画は、先月半ばに環境への影響審査を通過の旨。

台湾ICメーカーでの今年後半の値上げが、以下の通り予想されている。

◇IC price hikes may only target popular nodes-Sources: Popular process nodes may see higher prices in 2022 (5月3日付け DIGITIMES)
→台湾のICメーカーが今年後半に値上げを検討しているが、IC設計分野の情報筋は、値上げは人気のある製造ノードのみを対象としている可能性があるため、影響は限定的であると考えている旨。

10数-nmノード関連の動きである。

◇UMC may resume 14/12nm nodes for new-gen car, networking chips-UMC might offer 14/12nm nodes for auto, networking chips (5月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。United Microelectronics(UMC)が、14 / 12nmプロセスの生産を再開して、自動車用電子機器やネットワークでのアプリケーション向けの次世代半導体を製造する予定の旨。

◇MediaTek, Realtek seek more available 16nm and 12nm fab capacity-Report: MediaTek and Realtek want capacity for Wi-Fi chips (5月5日付け DIGITIMES)
→業界筋発。によると、MediaTekとRealtek Semiconductorがともに、Wi-Fiコア半導体で利用可能な16nmと12nmのfab capacityを増やすための努力を続けている旨。

【業界データ関連】

SEMIのシリコン面積出荷は、この第一四半期、最高更新である。

◇Worldwide Silicon Wafer Shipments Edge Higher to New Record in First Quarter 2022, SEMI Reports (5月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界四半期分析。2022年第一四半期のシリコンウェーハ出荷が、前年同期の3,337 million square inchesから10%増の3,679 million square inches。
シリコン面積出荷の推移 - 半導体応用のみ (百万平方インチ)

4Q 2020
1Q 2021
2Q 2021
3Q 2021
4Q 2021
1Q 2022
Total
3,200
3,337
3,534
3,649
3,645
3,679

               [Source: SEMI (www.semi.org), May 2022]

スマホの世界出荷台数、第一四半期の実態である。

◇世界スマートフォン出荷台数、2022年Q1は8.9%減--アップルのみ増加 (5月2日付け YAHOO! JAPANニュース)
→IDC発。2022年第一四半期の世界スマートフォン出荷台数が前年同期比8.9%減の3億1410万台、IDCの予想より3.5%低かった旨。
もっともな理由が多くあるとIDCは指摘。中国では、新型コロナウイルスの感染拡大で市民に対する厳格な隔離措置が取られており、ロシアがウクライナに対する理不尽な戦争を続ける中、世界でサプライチェーンの中断が引き起こされている旨。その結果生じる経済的な不安定性が常態化し、株式市場の混乱を招いている旨。

昨年の半導体R&D投資も、販売高最高更新を反映、最高の$71.4 billionを記録、2026年に向けても積極的な読みとなっている。

◇Industry R&D Spending To Rise 9% After Hitting Record in 2021 (5月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC Insightsがまもなくリリースの2Q Update to The McClean Report 2022発。世界の半導体会社によるresearch and development(R&D) spendingが、2021年に平均13%を超える最高記録、$71.4 billionの後、2022年に9%増の$80.5 billionと予測される旨。半導体会社によるR&D spending総計は、2022年と2026年の間で5.5%のcompound annual growth rate(CAGR)、$108.6 billionに増大すると見込まれる旨。

◇Industry R&D Spending To Rise 9% After Hitting Record in 2021-New update shows Intel continues to lead research and development ranking, the top 10 raised spending 18% last year, and 21 companies invested $1 billion or more on R&D in 2021. (5月5日付け IC Insights)

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