セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

半導体業界への波動&波紋:CHIPS Act、米国政府働きかけ、上海封鎖

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜2日午後時点、世界全体で4億8961万人に達し、7日前から1060万人増、横這いの増加の見え方である。
桜の花見の時節を迎えた我が国では、感染増加の気配も見られて、緩められない警戒気分である。コロナ、そして世界情勢が半導体業界に及ぼす波動&波紋が、途切れない感じ方がある。最終調整段階にある米国半導体法案、$52 billionの助成金について、米国以外のTSMCそしてSamsungからこの分配を受けないと米国新工場が進まないとの働きかけである。米国政府の方は、半導体supply chainにおいて中国への依存を落として、台湾、韓国そして日本とアライアンスをとの働きかけである。上海の封鎖も、注視を要する。

≪今後の展開に立ちふさがる覆い≫

米国内の半導体製造強化を目指して最大$52 billionの連邦補助金を供給する法案、CHIPS for America Actを巡って、TSMCそしてSamsungからそれぞれ進めている米国新工場への出資分配を督促する動きが、以下の通りである。インテルは、アメリカの会社だけにすべきとしている。

◇U.S. Senate approves $52 bln chips bill in bid to reach compromise-Senate okays $52B chips bill (3月28日付け Reuters)
→米上院が該半導体法案を68-38で可決、下院に送り返し、下院では、議員が該法制化提案の妥協点に到達するよう会議に取り組んで、米国を拠点とする半導体製造を支援するために最大$52 billionの連邦補助金を供給する旨。Samsung ElectronicsおよびTSMCは、それぞれテキサス州とアリゾナ州の新しいウェーハ製造拠点に助成金を支給するよう商務省に働きかけている旨。

◇TSMC, Samsung Urge U.S. to Allow Them Into $52 Billion Chip Plan (3月28日付け Bloomberg)
→*TSMC, Samsungは、新しい米国fabsにbillionsの出資
 *Intelは、Washingtonがアメリカの会社の助成だけにすべきと主張

◇TSMC and Samsung seeking Chips Act money-TSMC and Samsung are looking for a share of the $52 billion which the US is planning to spend on US domestic chip production under the Chips Act. (3月29日付け Electronics Weekly (UK))

Samsungは、米国商務省宛ての書簡でも訴えている。

◇Samsung asks U.S. to ensure equal chance for CHIPS Act incentives (3月29日付け Yonhap News Agency)
→Samsung Electronics Co.は米国に対し、外国の半導体メーカーに、生産能力を拡大し、継続的な半導体不足を解決するための州のインセンティブに向けて競う平等な機会を与えるよう求めた、と火曜29日に文書が示された旨。Samsungは、米国商務省に提出された回答の中で、「すべての適格企業が、法人化された国に関係なく、米国での半導体プロジェクトを公平な競争の場で追求、CHIPS Actのインセンティブを競うことができるようにする必要がある」と述べた旨。

TSMCも、助成なしではうまく運ばないとの訴えである。

◇TSMC Arizona fab unlikely to earn without government subsidies-Report: TSMC's Arizona fab will need US subsidies to be successful (3月30日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。米国政府が関連する補助金や支援へのコミットメントを実行できなかった場合、拠点が稼働したときに、TSMCがアリゾナの新しい先端ウェーハfabから利益を生み出すのは難しいかもしれない旨。

米国・SIAからは、本法案実行に向けてのコメントが商務省に出されている。

◇Semiconductor Industry Provides Recommendations to Commerce Department on CHIPS Act Implementation (4月1日付け SIA Blog)
→米国・SIAが3月25日、国内の半導体研究、設計、製造に必要な投資を提供する法律、CHIPS for America Actの実施に関連する情報要求(RFI)に応じて、米国商務省にコメントを提出した旨。下院と上院は両方とも該CHIPS Actに向けた$52 billionの出資を可決、そして今、両院はそれぞれの基礎となる法案の違いを調整し、法に署名するために大統領に妥協版を送る必要がある旨。

次に、米中摩擦の覆いが被さり続ける中、米国政府が、半導体supply chainにおいて中国のプレゼンスを払い落として、台湾、韓国そして日本と連携するChips Allianceを組もう、との働きかけである。中国との板挟みで、特に韓国からの受け入れ困難との反応が見られている。

◇US ‘Chips Alliance’ scheme will exacerbate global chip crunch (3月29日付け Global Times)
→韓国の報道機関、月曜28日発。米国政府が、中国本土を世界の半導体サプライチェーンから追い出すために、アジア太平洋地域の半導体製造powerhouses(韓国、日本、台湾)に対するいわゆるChips Allianceの提案を宣伝してきている旨。しかし、韓国政府と半導体メーカーはこの方式を受け入れるのが難しい可能性の旨。

◇US plans semiconductor alliance with Taiwan, South Korea, and Japan-The US has proposed forging a semiconductor industry alliance between the United States, Taiwan, South Korea, and Japan in a move to prevent China from gaining dominance over the strategic sector. (3月29日付け Business Standard)

◇US-China tech war: Washington said to eye chip alliance with Japan, South Korea, Taiwan to squeeze China (3月30日付け South China Morning Post)
→*該提案は、北京政府が中国の半導体ファブに数十億ドルを投資したSamsungおよびSK Hynixに対して報復することを恐れて、ソウル政府によって拒否された旨。
 *世界的な半導体不足を引き起こしたCovid-19パンデミックの発生以来、ワシントン政府はサプライチェーンの中国への依存を減らす方法を模索してきている旨。

日米両政府の間では、脱中国依存のsupply chain構築に向けてASEANに新たな枠組みへの参加呼びかけが行われている。

◇「半導体の欠品防ぐ」新枠組み、日米でASEANに参加要請−脱中国依存の供給網めざす (3月31日付け 日経 電子版 11:30)
→日米両政府は半導体などのサプライチェーン(供給網)に関する新たな枠組みづくりで協力する旨。「欠品防止の仕組みを確立する」との文書を調整し、東南アジア諸国連合(ASEAN)に参加を呼びかける旨。中国への経済的な依存を引き下げる取り組みとなる旨。
米国は2022年中に戦略物資の安定供給などを目的とする「インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)」を創設する旨。先端半導体の生産シェアが高い台湾での有事に備える狙いがある旨。具体的な内容はまだ明らかにしていない旨。

韓国と米国の間でも、同様の趣旨の話し合いが行われている。

◇S. Korea, U.S. discuss chip supply chains-Chip supply chains discussed by S. Korea and the US (3月31日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→ソウルの産業省発。韓国と米国が、半導体業界での協力を強化し、安定した半導体サプライチェーンを確保するために、木曜31日に実務レベルの協議を行った旨。このKorea-U.S. Semiconductor Partnership Dialogueのsubcommitteesは、共同技術開発、人事交流、および半導体業界への投資に関するプロジェクトについて話し合うために、その日の早い時間にteleconferencingを介して協議セッションを行った旨。

"ゼロコロナ"死守を図る中国であるが、感染拡大の兆候を受けて上海の都市封鎖(ロックダウン)が以下の通り行われ、半導体関連での対応があらわされている。

◇上海市が2地域に分け都市封鎖、28日から、コロナ拡大で (3月28日付け 日経 電子版 06:35)
→中国の上海市政府は28日、事実上のロックダウン(都市封鎖)を実施した旨。バスや地下鉄など公共交通機関の運行を止め、市民の外出を原則禁じる旨。企業には在宅勤務を求める旨。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかける狙い。中国を代表する大都市の封鎖で、企業活動に大きな影響が出そう。

◇TSMC says production unaffected by COVID lockdown in Shanghai-Shanghai's lockdown doesn't shut down TSMC fab (3月28日付け DIGITIMES)
→中国が上海東部でのCOVID-19検査実施で封鎖を課したが、TSMCの松江区(Songjiang District)にある8インチのウェーハ製造拠点は現在も稼働している旨。同社は、パンデミック防止対策を遵守する予定としている旨。

◇Production will not stop due to Shanghai lockdown: TSMC-Company says it will comply with local pandemic prevention measures (3月28日付け Taiwan News)

◇Shanghai's key chip factories look to ensure production and deliveries as city comes under phased Covid-19 lockdown (3月30日付け South China Morning Post)
→*浦東新区(Pudong New Area)には、SMICやHua Hong(華紅)などの大手半導体企業の工場が数多くある旨。
 *該現地自治体は、企業が‘closed loop’システムの下で運営すること、または従業員が自宅で仕事をすることを許可している旨。

そして、ウクライナ侵攻関連がいくつか。

まずは、アップルのiPhone SEの生産計画下方修正につながっている。

◇Apple reportedly cuts production of its new iPhone SE by 20% (3月28日付け CNBC)

◇Apple、iPhone SEの生産計画2割下方修正、4〜6月 (3月28日付け 日経 電子版 14:00)
→米アップルは2022年4〜6月に廉価版スマートフォンの「iPhone SE」の生産台数予測を当初の計画より2割減らす計画。ワイヤレスイヤホンの「AirPods」についても生産台数を通年で1000万台以上減らす旨。ロシアのウクライナ侵攻に伴うデジタル家電の需要減に対する警戒のほか、部品不足も影響したとみられる旨。

Micron Technologyは、すぐにはともかく、製造コストが上昇する可能性は否めないとしている。

◇Micron says near-term output safe from Ukraine supply hit, costs to rise-Micron forecasts quarterly revenue of $8.7B (3月29日付け Reuters)
→Micron Technologyは、今四半期の売上げが$8.7 billionに達すると予測する一方、microchips製造に向けたネオンガスの主要な供給源であるウクライナへのロシアの侵入により、製造コストが上昇する可能性があると付け加えている旨。「現在、ロシアとウクライナの戦争による短期的な生産量への悪影響はないと予想しているが、対処できる特定の原材料の供給を確保しており、コストの増加が見込まれる。」と同社CEO、Sanjay Mehrotra氏がアナリストに対し。

そして、サイバー攻撃の急増。侵攻とかなりの相関を受け止めざるを得ない次の内容である。

◇サイバー攻撃、2月中旬から急増、事業停止リスクも、対策強化急務 (3月30日付け 日経産業)
→帝国データバンクは2月中旬以降にサイバー攻撃の検知が急増しているとする調査結果を発表、2021年3月からの過去1年間で、2022年2月中旬〜3月中旬にサイバー攻撃を受けたとする企業が3割に上り、攻撃を受けた時期として最も多かった旨。事業活動に支障が出る例も相次いでいる旨。調査は3月11〜14日にインターネットを通じて実施し、1547社から回答を得た旨。可能性も含めて過去1年以内にサイバー攻撃を受けたとした企業は36%に上った旨。

それぞれ引き続き注目を要するところと感じている。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□3月29日(火)

年度末が間にあって、31日、1日と下げたものの、原油下落、雇用回復などの材料から、出だしと終わりに上げた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、94ドル高、原油相場の下落を好感 (日経 電子版 05:59)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比94ドル65セント(0.3%)高の3万4955ドル89セントで終えた旨。直近の2週間で1900ドル強上げており、目先の利益を確定する売り先行した旨。だが、原油安を受けて消費関連銘柄の一角が買われたほか、ハイテク株が買い直され、ダウ平均は取引終了にかけて上げに転じた旨。

□3月30日(水)

ここにきての中国、韓国はじめアジアでの感染拡大であるが、我が国も然りであり、推移&警戒に目が離せないところである。

◇新型コロナ「アジアの優等生」つまずく、中韓で感染増 (日経 電子版 05:02)
→これまで新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、「優等生」とも称されたアジア諸国で感染が急拡大している旨。厳しい「ゼロコロナ」政策を採用している中国では28日、1日あたりの新規感染者数が6886人となり、武漢で感染爆発が起きた2020年2月以来の高水準となった旨。ワクチンの効果もあり死亡率は低いが、韓国やベトナムでも感染者数が高水準になっている旨。

◇NYダウ4日続伸、338ドル高、停戦交渉の進展期待で (日経 電子版 05:41)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比338ドル30セント(1.0%)高の3万5294ドル19セントで終えた旨。3万5000ドル台を回復するのは2月10日以来。ロシア国防省が29日、ウクライナの首都キエフなどで軍事活動を縮小すると発表、停戦交渉の進展を期待し、幅広い銘柄が買われた旨。米原油先物が続落し、ガソリン高が消費を冷やすとの懸念が和らいだことも株買いを後押しした旨。

ウクライナ侵攻で、中国の立ち居振る舞いに集まる注目である。

◇中国、孤立回避へ積極外交、ロシアとの協調を確認 (日経 電子版 18:56)
→米中首脳が18日にオンライン形式の首脳協議を開いた後、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相がアジア、アフリカ諸国などの外相や首脳と会談や協議を重ねている旨。ウクライナに侵攻したロシアに対する米欧の制裁に同調する動きを抑えるとともに、対ロ協調の中国が国際社会で孤立しないよう働きかける旨。

□3月31日(木)

◇NYダウ5日ぶり反落、65ドル安、短期的な過熱感を警戒 (日経 電子版 05:26)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比65ドル38セント(0.2%)安の3万5228ドル81セントで終えた旨。前日までの4日続伸で900ドル強上げた後とあって、短期的な過熱感から、上昇を牽引していた消費関連やハイテク株が利益確定売りに押された旨。

中国経済にも、コロナ&ウクライナ情勢の及ぼす覆いである。

◇中国景況指数5カ月ぶり50割れ、3月、コロナ規制が重荷 (日経 電子版 10:51)
→中国国家統計局が31日発表した2022年3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と、前月より0.7ポイント低下、5カ月ぶりに好不調の境目である50を下回った旨。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う一部都市での事実上の都市封鎖(ロックダウン)やウクライナ情勢の緊迫化に伴う資源高で景況感が悪化した旨。

□4月1日(金)

◇NYダウ続落550ドル安、消費関連株などに利益確定売り (日経 電子版 06:25)
→3月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比550ドル46セント(1.6%)安の3万4678ドル35セントで終えた旨。3月後半以降の急ピッチな上昇を受け、月末と四半期末が重なったこの日は、幅広い銘柄に利益確定の売りが出た旨。足元で相場上昇を牽引していた消費関連やハイテク株の下げが目立ち、ダウ平均は取引終了にかけ下げ幅を広げる展開だった旨。

□4月2日(土)

◇NYダウ反発、139ドル高、雇用回復で消費関連株に買い (日経 電子版 05:54)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比139ドル92セント(0.4%)高の3万4818ドル27セントで終えた旨。朝方発表の3月の米雇用統計が労働市場の回復を示し、消費関連株の一角に買いが優勢となった旨。新たな四半期に入り新規資金が流入しやすいとの見方から、取引終了にかけ買いが強まる展開だった旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝関連】

2分割案が臨時株主総会で否決されて戦略見直しを迫られる東芝であるが、株式の非公開化を前提に米投資ファンドのベインキャピタルが東芝の買収を検討、東芝の筆頭株主と合意とのこと。実現するかどうか、不透明感が取り沙汰されている。

◇東芝2分割案の総会賛否比率、反対6割で戦略見直しへ (3月29日付け 日経)
→東芝臨時株主総会で否決されたグループ全体を2分割する議案への賛成比率が40%弱にとどまったことが、28日わかった旨。東芝は過半の賛成を得た上で計画を進める予定だったが、戦略見直しを迫られる旨。東芝が28日に関東財務局に提出した臨時報告書で明らかになった旨。臨時総会のもう一つの議案で、同じく否決された株主提案議案の賛成比率は45%弱だった旨。

◇Toshiba's top shareholder to sell stake if Bain launches tender offer -Toshiba's largest shareholder would welcome Bain-led buyout (3月31日付け Reuters)
→東芝の筆頭株主が、米国のプライベートエクイティ会社、Bain Capitalが東芝をprivate equity buyoutに向けた協議を再生することになる公開買付けを開始した場合、その株式をBainに売却することに合意したと述べた旨。Bainと東芝の約9.9%を所有するEffissimo Capital Management(シンガポール)の間の合意は、先週、株主が東芝の分割計画に反対票を投じたために行われた旨。

◇ベインが東芝買収を検討、筆頭株主と合意、非公開化前提 (4月1日付け 日経 電子版 05:05)
→米投資ファンドのベインキャピタルが東芝の買収を検討していることが、31日わかった旨。株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めている旨。東芝の筆頭株主の投資ファンドとTOB(株式公開買い付け)実施時の応募契約などを結んだ旨。外資主導の買収は改正外為法や各国の競争法など課題も多く、非公開化が実現するかは不透明な面もある旨。

【SamsungとWestern Digitalの協業】

フラッシュメモリ大手のライバル同士、Samsung ElectronicsとWestern Digitalの提携は初めてとのこと。驚きの受け止めがあったが、内容は以下の通りZoned Storageソリューションの標準化推進である。

◇Samsung and Western Digital Begin Far-reaching Collaboration (3月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung Electronics Co., Ltd.とWestern Digitalが、次世代のdata placement, processing and fabrics(D2PF)ストレージ技術を標準化し、広く採用を図るための独自のコラボレーションに関する覚書(MOU)に署名したことを発表の旨。両社は当初、Zoned Storageソリューションに向けて取り組みを調整、強力なエコシステムを構築することに重点を置く旨。これらのステップにより、業界は、最終的に顧客にとってより大きな価値を生み出す無数のアプリケーションに集中できるようになる旨。

◇Samsung Electronics and Western Digital team up to expand Zoned Storage ecosystem-Samsung teams with Western Digital for Zoned Storage tech (3月31日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))

◇サムスン、米WDと協業、メモリーにデータ効率保存 (3月31日付け 日経)
→韓国サムスン電子は30日、データ保存技術の開発で米ウエスタンデジタル(WD)と協業すると発表、半導体メモリーのデータ保存を効率化して装置性能を高めるソフトウエア技術を共同開発する旨。ともにデータ保存装置で高いシェアを持ち、ライバル関係のサムスンとWDの提携は初めて。両社で「ゾーンストレージ」と呼ぶ次世代技術の標準化を推進する旨。

以下は、Samsungの対応の動きを付記しているが、DDR3 DRAMsの新規受注受け付けが今年中までとなっている。

◇Samsung to stop taking DDR3 orders after 2022-Sources: Samsung to cease taking DDR3 orders after 2022 (3月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsが、2023年にDDR3 DRAMsの新規注文を受け付けないことを顧客に通知している旨。同社は、1Gb、2Gb、および4Gb DDR3 DRAMの生産を停止し、生産能力をCMOSイメージセンサにシフトすることを決定の旨。

【SK Hynix関連】

SK Hynixの積極的な取り組みがうかがえる以下の内容である。

◇SK Hynix CEO says top shareholder to secure $1.6 billion for M&A in chips, blockchain-SK Square will invest $1.63B in blockchain tech, chips (3月28日付け Reuters)
→SK Hynixの20.1%の株式を保有するSK Squareが、microchipsやブロックチェーン技術などに3年間で$1.63 billionを投資する予定の旨。「大規模企業から小規模企業まで、さまざまな企業への投資を検討している」と、SK Hynixのco-CEO兼SK SquareのCEO、Park Jung-ho(朴正浩)氏。

特にArmを買収する企業コンソーシアムを引っ張っていく意欲が見られている。

◇SK hynix in talks with others to jointly buy Arm from SoftBank-SK Hynix might lead group to buy Arm from SoftBank (3月30日付け JoongAng Daily (South Korea))
→SK Hynixが、ソフトバンクグループからArmを買収する企業コンソーシアムの主導を目指しており、SK HynixのCEO and Vice Chairman、Park Jung-ho(朴正浩)氏は、「戦略的パートナーと共同でコンソーシアムを設立することを検討している」と語った旨。

◇SK hynix seeks to buy British chip designer Arm through consortium (3月30日付け Yonhap News Agency (South Korea))

SK Hynixの経営トップが、次の通り交代しているとのこと。

◇SK hynix appoints former chief product officer as new co-CEO (3月30日付け Yonhap News Agency)
→世界第2位のメモリ半導体メーカー、SK hynixが、水曜30日に新しい共同CEOの任命。Kwak Noh-jung氏が、2018年から共同CEOを務めているLee Seok-hee氏に代わって、Vice Chairman and CEO、Park Jung-ho氏とともに同社を率いる旨。

【中国での需要鈍化】

TSMCのchairmanより、特に中国での半導体需要が鈍化との見方である。今後の推移に注目である。

◇Chip demand is slowing says TSMC chairman-Chip demand is slowing, TSMC chairman Mark Liu told the Nikkei earlier today, citing slowdowns in “smartphones, PCs, and TVs, especially in China, the biggest consumer market.” (3月30日付け Electronics Weekly (UK))

◇TSMC says demand for smartphones, PCs starting to slow-TSMC: Demand wanes for some CE-focused microchips -Rising costs could be passed on to consumers, chairman of tech titan warns (3月30日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→PC、スマートフォン、テレビなどのconsumer electronicsで使用されるコンポーネントの需要が、特に中国で遅れ始めている、とTSMCのchairman、Mark Liu氏。「一部の地域では減速しているものの、車載応用およびhigh-performance computing(HPC)、並びにinternet of things(IoT)-関連機器で依然として堅調な需要が見られる。」と特に言及の旨。

アップル社の中国におけるサプライヤへの発注が減少とのこと。合わせて注目である。

◇Apple reportedly cuts orders to China-based suppliers-Sources: Apple reduces orders to suppliers in China (3月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Appleが、中国を拠点とするサプライチェーンの請負業者との取引が少なくなっている旨。Appleは、iPhone 13、iPhone SE 3、AirPodsの生産の発注を、中国のサプライヤから供給されている対応するコンポーネント発注とともに減らしている旨。


【半導体販売高関連】

昨年、2021年に大幅な史上最高更新となった半導体販売高について、まずは、2022年第一四半期も、Samsung Electronics Co.およびSK hynixの引き続き好調な業績が見込まれている。

◇Samsung Electronics, SK hynix to report record Q1 earnings-Record Q1 earnings expected from SK Hynix, Samsung (3月28日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国のメモリ大手、Samsung Electronics Co.およびSK hynix社が、半導体価格の回復を背景に、記録的な第1四半期の収益を報告する見込みの旨。聯合ニュース(Yonhap News Agency)が月曜28日に行った仲介コンセンサス分析によると、Samsung Electronicsは1月から3月の売上高75.2 trillion wonで13 trillion won($10.6 billion)の営業利益となる見込み、営業利益は前年同期比38.64%増、売上高は同15.02%増。
SK hynixも第一四半期の売上高が前年同期比36.36%増の11.58 trillion wonになる見通し、同社が第一四半期の売上高で10兆ウォンを超えるのは初めて。

2021年の半導体サプライヤランキングについて、Samsungが後半追い上げてIntelを上回ったが、年間トータルではIntelが首位を維持というデータがこのほどOmdiaからあらわされている。

◇Samsung Retains Top Spot in Omdia Q4 2021 Semiconductor Market Analysis (3月28日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsungが、Omdiaの2021年第四四半期業界分析において、半導体業界のトップの地位を維持の旨。該業界がhalf-a-trillion dollars超える売上げの新記録を樹立した年に、インテルは年間売上げのリーダーとしてトップの座を維持することができた旨。
Omdiaによる世界の半導体市場の最新の競合分析によると、該市場は2021年に初めてhalf-a-trillion dollarsを上回る年間売上げで、業界にとって注目すべき年となった旨。さらに、該分野の企業の60%近くが収益売上げ20%以上増加となった旨。
※2021年半導体サプライヤランキング

1 Intel
76.569B$
前年比0.4%増
2 Samsung Electronics
75.208
32.1
3 SK Hynix
36.778
38.7
4 Qualcomm
29.333
51.1
5 Micron Technology
28.879
30.2
6 Broadcom Limited
21,041
16.6
7 nVidia
20.566
57.8
8 Mediatek
17.464
56.7
9 Texas Instruments
17.101
20.9
10 AMD
16.154
67.7
Others
247.755
20.7
Total Market
586.848
24.2


◇Samsung retains top spot in Q4 2021-Omdia: Samsung had Q4 chip sales of $19.99B, Intel $19.97B (3月29日付け New Electronics)
→2021年の半導体販売高について、サプライヤ別で、インテルが第一四半期および第二四半期に、Samsungが第三四半期および第四四半期に首位であった旨。

本年1月には、SamsungがIntelを上回ったというデータが、以下の通りGartnerからあらわされており、2社の拮抗ぶりが改めて示されるところである。

◇サムスン、3年ぶり首位、半導体の売上高、昨年、民間調査、インテル抜く (1月20日付け 日経)
→米調査会社ガートナーが19日に発表した半導体メーカーの2021年売上高ランキングによると、メモリが主力の韓国サムスン電子が米インテルを抜き2018年以来、3年ぶりに首位となった旨。サムスンは2020年比31.6%の増収で、価格上昇や出荷増で好調なメモリが押し上げた旨。
半導体市場全体は25.1%増の$583.5 billion(約66兆7000億円)で、初めて$500 billionを上回った旨。
※2021年半導体サプライヤランキング

1 Samsung Electronics
75.9B$
前年比31.6%増
2 Intel
73.1
0.5
3 SK Hynix
36.3
40.5
4 Micron Technology
28.4
29.1
5 Qualcomm
26.8
52.3
6 Broadcom Limited
18.7
19.0
7 Mediatek
17.4
58.8
8 Texas Instruments
16.9
24.1
9 nVidia
16.2
52.7
10 AMD
15.8
64.4


【中国のハイテク大手業績】

米国の制裁下にある中国のハイテク大手の業績に注目である。焦点のHuaweiの2021年業績は、売上高を3割近く落しながら、最高益を記録する、以下の内容の結果である。カナダで3年近く拘留された同社CFO、孟晩舟氏のコメントに注目している。

◇Huawei sees revenue dip 28%, pivots to tap green demand-Huawei reports 2021 revenue of $100B, down 28.56% from 2020 (3月28日付け ZDNet)
→中国のハイテク大手、Huaweiは、2021年の売上高が28.56%減の636.8 billion yuan($100.01 billion)と報告しているが、carbon neutralityのopportunitiesに重点化、事業ポートフォリオの"再調整"を図って、純利益は75.9%増の113.7 billion($17.86 billion)になる旨。

◇Huawei revenue drops, profits jump in 2021 (3月29日付け FierceElectronics)
→Huaweiが月曜28日、2021年の年次報告書を発表、米国の制裁措置の影響に対処したため売上げが減少したことを報告したが、収益性を改善することができた旨。
中国のハイテク大手の同社、2020年のCNY 891.36 billion($139.89 billion)から28.6%減のCNY 636.8 billion($99.88 billion)の年間売上げを記録した旨。それでも、純利益はなんと前年比75.9%増のCNY 113.7 billion($17.84 billion)であった旨。
カナダに3年近く拘留された後、昨年中国に帰国、ファーウェイの創設者、Ren Zhengfei(任正非)の娘である、同社のCFO、Meng Wanzhou(孟晩舟)氏は、ステートメントで利益の増加と疑念に直面した運営能力を謳っている旨。

◇ファーウェイ最高益、低価格スマホ事業売却で、前期最終 (3月29日付け 日経)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が28日発表した2021年12月期決算は、純利益が前の期比76%増の1137億元(約2兆2000億円)。米国の制裁などにより売上高は6368億元と29%減ったが、低価格帯スマートフォン事業の売却益などにより最高益となった旨。

もう1社、中国半導体最大手のSMICの2021年業績である。

◇SMIC posts 13% wafer ASP rise in 2021-SMIC reports wafer ASPs increased 13.1% in 2021 (4月1日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Manufacturing International(SMIC:中芯国際集成)の2021年におけるgross margin(売上総利益率)が過去最高の30.8%に上昇、ウェーハASPsが2020年のCNY4,210から2021年はCNY4,763($749.9)に上昇の旨。

月別アーカイブ