最先端&高性能を巡る最前線:sub-5nm競合、Nvidiaはじめ次世代対応
新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜26日午後時点、世界全体で4億7901万人に達し、7日前から1088万人増の見え方である。世界でも我が国でも、新規感染者数は減少傾向が見られるが、大幅ではなく一気に緩められない警戒である。春の時節を迎えて、日進月歩の半導体の世界で、最先端&高性能を巡る最前線での注目の動きである。TSMCとSamsungが競い合うsub-5nm対応について、歩留まりが取り沙汰されたSamsungが改善方向に対し、TSMCは生産踏み上げの予定である。今週は恒例のGPU Technology Conference(GTC)開催のNvidiaが、次世代GPUアーキテクチャー、Hopperを披露、そしてインテルをファウンドリーとする可能性の動きがある。そして、アップル、AMDの現下の新製品関連にも以下注目している。
≪昨年に対するさらなる伸長に向けて≫
Samsungの年次株主総会(3月16日)にて、対応を迫られた問題が、Galaxyスマートフォンのアプリスロットリング、そしてsub-5nmプロセス歩留まりと、以下の記事である。前者は、ゲームパフォーマンスを最適化するように設計されたゲーム最適化サービス(GOS)を巡るもので、バッテリー効率と熱管理の名の下に、いわゆる最適化を強制し、アプリのパフォーマンスを効果的に抑制したとされている。
そして、後者の歩留まりの方は、TSMCが差を広げて発注がますます移っていると穏やかでないやりとりが推察されるところである。
◇Samsung responds to Galaxy smartphone throttling, poor sub-5nm foundry yields (3月18日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、ネガティブな噂に対応することでいつもと違う動き、Galaxy S22シリーズのGame Optimisation Service(GOS)アプリについて1つ、その他ファウンドリオペレーションで発生している5nm未満のプロセスの不十分な歩留まりに関しての旨。
Samsungは3月16日の年次株主総会で、最新の主力スマートフォンのアプリスロットリングの問題について謝罪した旨。Samsung Device Experience部門のCEO、JH Han氏が、この件について株主に謝罪、同社は顧客の懸念を評価できなかった旨。
業界筋によると、Samsungは5nm未満のプロセス歩留まりの点で主要なライバルのTSMCに遅れをとっており、Qualcommは次世代の3nm半導体プラットフォームの注文を台湾を拠点とするファウンドリにシフトする可能性がある旨。伝えられるところによると、Qualcomm Snapdragon 8 Gen1でのSamsung Foundryの歩留まりはわずか35%の旨。
これに対して、歩留まりは改善してきている、答えられている。
◇Samsung says that its foundry yields are improving (3月19日付け Phone Arena.com)
→先月、Samsung FoundryがSnapdragon 8 Gen 1半導体の生産で35%の低い歩留まりを経験しているという噂が流れた旨。つまり、ウェーハから切り出された半導体の35%だけが品質管理に合格することができる旨。4nm Snapdragon 8 Gen 1 Plusを製造しているTSMCは、70%の生産歩留まりを達成できている旨。
最近の株主会合で、Samsung Devices Solutions部門のCEO、Kyehyun Kyung氏は、同社のファウンドリーは先端プロセスnodesの歩留まりを改善してきている、と述べた旨。
一方のTSMCは、7-9月四半期での5nm半導体の生産増の予定をあらわしている。水曜23日に地震発生があったが、製造拠点は通常に戻ったとしている。
◇TSMC to scale up 5nm chip shipments in 3Q22-Sources: TSMC to ramp 5nm chip shipments (3月23日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、5-nanometer features搭載microchipsについて第三四半期中に30,000枚/月から15万枚/月へ生産増加の予定の旨。TSMCは、Hualien(花蓮)の近くでマグニチュード6.6の地震が発生した後、ウェーハ製造拠点が通常の運用に戻ったことを報告した旨。
今年の販売高伸長に向けてsub-5nm対応は非常に重要となり、今後の推移に引き続き注目するところである。
高性能化に向けて、微細化プロセスとともに三次元実装技術の適用がますます大きな柱になる現状が、以下にあらわされている。以下さらに続くNvidiaはじめ各社の次世代対応でも、さまざまな適用が見られている。
◇半導体チップを包装する「パッケージング」技術、性能革新の主役として浮上 (3月24日付け コリア・エレクトロニクス)
→複数の半導体チップを一つに積み上げる「パッケージング」工程が、今後の半導体市場の競争力を左右する技術として浮上している。個別チップの性能改善が限界に迫り、複数のチップを束ねて性能を極大化する必要性が高まったためだ。すでに有数の主要半導体メーカーも同様に、パッケージング技術の確保に向け、投資戦争に乗り出している。韓国メディア「ブリッジ経済」が報じた。・・・・・
このような個別チップの技術的限界を克服できる工程が、他ならぬパッケージング工程だ。パッケージング工程により、DRAMやNAND型フラッシュ、CPUなど複数の半導体チップを一つに束ねる「統合チップ」を使えば、個別の半導体利用時に比べ電力使用と体積は抑えられながら、性能はさらに高めることができる。パッケージング工法では、シリコンインターポーザやシリコンブリッジを活用し、平面に複数のチップをつなげる2.5Dと、チップを分割して積層する方式の「3Dスタッキング(Stacking)」技術などが一緒に使われており、「3Dスタッキング」が特に注目を集めている。・・・・・
各社の次世代対応、まずは、GPU Technology Conferenceを開催したNvidiaについて多彩な関連する内容を示していく。
Nvidiaの新しいhigh-performance computing(HPC)半導体に、TSMCの三次元実装技術、CoWoSが使われる状況である。
◇TSMC may triple CoWoS material purchases for Nvidia new HPC chips-TSMC adds CoWoS materials for Nvidia's new HPC chips (3月21日付け DIGITIMES)
→Nvidiaが、人工知能(AI)、データセンター、ゲーム応用向けに、high-performance computing(HPC) graphics processing unit(GPU)プラットフォームを準備している旨。これらのHPCチップを製造するTSMCは、chip-on-wafer-on-substrate(CoWoS) IC実装基板および熱材料に向けた発注を行っている、と業界筋発。
今回の目玉として、次世代GPUアーキテクチャー、Hopperが披露されている。米国の女性コンピュータ科学者、Grace Hopper氏に因む命名であり、この新アーキテクチャーは2年前に打ち上げられたNvidia Ampereアーキテクチャーに置き換わる形である。以下、新技術&新製品の打ち上げである。
◇Nvidia Launches Next-Gen GPU Architecture: Hopper (3月22日付け EE Times)
→Nvidiaが、次世代GPUアーキテクチャー、Hopperを、該Hopperアーキテクチャーを用いる新しいflagship GPU、H100とともに披露の旨。おそらく驚くべきことに、Nvidiaは、巨大なGPUに向けてIntelおよびAMDが好むトレンディなchipletsの道筋を選択していない旨。H100はHBM3を使用する最初のGPUであるが、そのcompute dieはモノリシックであり、TSMCの4Nプロセスに基づいて構築された814mm2、800億個のトランジスタの旨。メモリおよびcomputeは、TSMCのCoWoS 2.5D実装を介してパッケージ化されている旨。
◇Nvidia unveils new technology to speed up AI, launches new supercomputer -Nvidia debuts chips, tech to make AI computing faster (3月22日付け Reuters)
→Nvidiaが、同社のGPU Technology Conferenceにて、desktop computers用にRTX A5500 graphics processing unit(GPU)を投入の旨。同社はまた、より高速なartificial intelligence(AI) computingを対象とし、"Eos" supercomputingシステムを宣伝する、Hopper GPUアーキテクチャおよびH100アクセラレータを披露の旨。
◇NVIDIA Hopper GPU Architecture and H100 Accelerator Announced: Working Smarter and Harder (3月22日付け AnandTech)
◇NVIDIA launches new RTX GPUs for creators along with Omniverse Cloud (3月22日付け XDA Developers)
→本日、NVIDIAはGPU Technology Conference(GTC)を開始、creative professionals向けにいくつかの大きな発表がある旨。 ハードウェアの面では、同社はデスクトップ用の新しいNVIDIA RTX A5500 GPUを、クリエーター向けの新しいprofessional laptopsを動かすフルレンジのlaptop GPUsとともに打ち上げの旨。
◇New Nvidia GPU fabbed by TSMC with 4nm process (3月23日付け DIGITIMES)
→Nvidiaが、同社にカスタマイズされたTSMCの4nm(N4)プロセスを使用して構築された、H100 GPUと呼ばれるHopperアーキテクチャーを備えた次世代のaccelerated computingプラットフォームを発表の旨。
◇Nvidia extends Omniverse to cloud, continues to expand metaverse-enabling platform (3月24日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが、今週のGTC Springイベントにて行った他のOmniverse-関連発表とともに、メタバース作成プラットフォームへのcloud-ベースのアクセス、および該プラットフォームによって実現される最も複雑な産業用digital twinsを動かす新しいcomputingシステムを備えたOmniverseユニバースを拡大している旨。
NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、インテルのファウンドリーサービスを利用する可能性を以下の通りあらわしている。
◇Nvidia CEO says interested in exploring chip manufacturing with Intel-Nvidia may engage Intel in foundry services (3月23日付け Reuters)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が記者団に対し、半導体設計の同社がインテルのシリコンファウンドリーサービスを利用する可能性があると語った旨。「インテルは何年もの間私たちの秘密を知っている。」とHuang氏は競合他社と協力することの影響について心配しているかどうか尋ねられて言った旨。
◇Nvidia in Talks to Use Intel as a Foundry to Manufacture Chips-CEO Jensen Huang is open to Intel making Nvidia's chips (3月23日付け Tom's Hardware)
◇Nvidia could use Intel foundry services, CEO Jensen Huang reveals (3月24日付け FierceElectronics)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、インテルのファウンドリーサービスを利用するための話し合いが進行中であると述べたが、決定に至る前に"深い話し合い"が必要になる旨。
Nvidiaは単なる半導体の会社からfull-stack computing企業へと変貌しつつあるとの評価が見られている。
◇Nvidia is changing itself into a full-stack computing force (3月23日付け FierceElectronics)
→Nvidiaは、依然半導体会社であるか?今週のGTC Springイベントで同社が発表したまったく新しいGPUアーキテクチャーおよびCPU“Superchip”は確かにそうだと断言するかもしれないが、この発表の背後にある推進力と、NvidiaがGTCですらすら挙げたソフトウェアの革新など発表の長いリストは、同社がファブレスチップ設計者から、複数の業界にわたるhigh-performance computing(HPC)とAI採用のあらゆる角度に対応するfull-stack computing企業へと変貌しつつあることを示唆している旨。
今後の自動車関連への期待も語られている。
◇Nvidia CEO sees auto chip, software boom after delayed start (3月25日付け FierceElectronics)
→Nvidiaの自動車用のソフトウェアとプロセッサの昨年の売上高は$566 millionで、総売上高の2%に過ぎないが、同社CEO、Jensen Huang氏は今週、自動車部門が"次のmultibillion dollar規模の事業になる"と"まったく確信"と記者団に語った旨。
Armの買収が不調に終わったNvidiaであるが、それにも拘らず前向きなCEO、Jensen Huang氏、そして一方のArmの親会社、ソフトバンクグループの現下の動きが以下の通りである。
◇Nvidia CEO Huang upbeat despite Arm loss, global crises (3月24日付け FierceElectronics)
→おそらく、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏をあらわす最良の方法は、規制当局が反発した後、Armを$40 billionで買収する計画を失うなど、逆境にもかかわらない楽観主義者である旨。
◇SoftBank aims for $60B IPO by Arm, a higher value than sale to Nvidia (3月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ソフトバンクグループが、半導体設計事業のArm Ltdによる新規株式公開(IPO)の準備として、少なくとも$60 billionの評価を求めている旨。これは、同社がSanta Claraに本拠を置くNvidia社へのArmの失敗した売却から得られると予想されていた以上のものの旨。
◇ソフトバンクG、非上場のアーム株担保に1兆円調達 (3月26日付け 日経 電子版 05:32)
→ソフトバンクグループ(SBG)が国内外の銀行団から、英半導体設計子会社アームの株式を担保に80億ドル規模(約9700億円)の資金を調達することが分かった旨。インフレ懸念で株式市場が軟調となるなど先行きが不透明となるなか、手元資金を厚くするのが狙い。非上場株を担保にした負債調達では異例の規模で、調達手段を多様化して財務面で守りを固める旨。
Nvidiaの昨年の販売高の伸びが、以下にあらわされる通りである。今後の勢いに注目である。
◇Top Ten Fabless 2021-TrendForce: Nvidia rises to 2nd among fabless firms-2021 fabless revenues grew 48% y-o-y to $127.4 billion, says TrendForce. (3月25日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce発。2021年の売上高が$25 billion近くに上るNvidiaが、ファブレス半導体企業のトップ10で、昨年の売上高が$21 billionであったBroadcomを上回って2位に。Qualcommは、microchip売上げが$29.3 billionで、トップを維持した旨。
次に、アップルについて、今月はじめに披露された独自開発の半導体「M1 Ultra」があらためて評価されている。ここでも三次元実装技術が施されている。
◇What Apple's M1 Ultra Means For Apple And The Semiconductor Industry (3月22日付け Forbes)
→Appleが最近、2022年3月初旬の最近のイベントで最新かつ最速のM1プロセッサを打ち上げた旨。CEOのTim Cook氏からAppleのハードウェア技術担当上級副社長、Johny Srouji氏までのAppleの幹部が、「Appleの設計上の野心は、ワットあたりの性能で業界をリードすること」と述べていることは周知の事実である旨。このmantraは、統合されたシリコン設計アプローチに対するアップルの戦略的ビジョンの1つを表している旨。
◇Apple Joins 3D-Fabric Portfolio with M1 Ultra? (3月23日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TechInsightsのFellow Emeritus、Dick James氏記事。3月8日、Appleが「Peek Performance」イベントを開催、まったく新しいMac StudioとStudio Display、新しいiPad Air、新しいiPhone SE、およびiPhone 13とiPhone13 Pro用の2つの新しい緑の色合いを紹介した旨。iPhoneとiPadのモデルは進化的なアップグレードであるが、Mac StudioデスクトップとStudio Displayは新製品である旨。特にStudio PCは、そのプロセッサがApple silicon capabilityのステップアップであるため、注目した旨。M1シリーズの半導体が「M2」シリーズに強化されることを期待してきたが、Studioには、M1 Maxまたは新しい「M1 Ultra」のオプションがあり、これは明らかにM1ラインの最後である旨。
そして、Nvidiaと競合するAMDの取り組みが以下の通りである。Micronが、インテルからAMDに軸足を変える動きがあらわされている。
◇AMD's next-gen RDNA 3 GPUs could be a serious worry for Nvidia-AMD challenges Nvidia with its next-gen RDNA 3 GPUs -Although Nvidia could have one big advantage in getting to market first (3月20日付け TechRadar)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、RX 7000シリーズグラフィックスカードの発売に向けて準備を進めていると見込まれ、Nvidiaの製品ラインとの競争が激化する可能性がある旨。これら2つの半導体設計会社の最新のグラフィックカードがいつ市場に出るのかは不明である旨。
◇AMD's Milan-X already runs on Azure and is now GA (3月21日付け FierceElectronics)
→AMDは、以前はコードネームがMilan-Xであった3D die stackingを備えた新しいデータセンターCPU、第3世代EPYC CPUが一般に利用可能になったことを発表の旨。該CPUにより、データセンターの使用におけるtotal cost of ownership(TCO:総所有コスト)を半分に削減できると主張の旨。
◇AMD stacks memory cache in 3D to boost datacenter CPUs-AMD debuts Epyc processors with 3D V-Cache memory (3月21日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、データセンターでのテクニカルコンピューティングで使用するために、AMDの3D V-Cacheメモリを搭載した「Milan-X」Epycプロセッサを出荷している旨。Micron Technologyは、AMDの第3世代EpycサーバCPUを使用して、メモリ半導体やその他のデータストレージ製品を設計している旨。
◇Epyc move: Micron shifts high-demand chip design apps to AMD-Memory and storage maker skips over Intel this time (3月21日付け The Register (UK))
コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。
□3月22日(火)
週のはじめのFRBからの利上げの示唆である。
◇0.5%利上げ、インフレ抑制へ排除せず、パウエルFRB議長 (日経 電子版 02:45)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は21日の講演で「政策金利の引き上げ幅を0.25%より大きくし、より積極的に動くことが適切であると判断した場合にはそうする」と述べ、0.5%の大幅利上げを排除しない考えを示した旨。インフレ抑制を重視し、金融引き締めへ「迅速に動く必要がある」と強調した旨。パウエル氏は全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合で講演した旨。
これに対する反応で下げたが、原油価格など受けて上下し、2月中旬以来の高値で締めた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ反落、201ドル安、FRB議長の大幅利上げ示唆で (日経 電子版 05:29)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、前週末比201ドル94セント(0.6%)安の3万4552ドル99セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が21日、年内の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げの可能性を示唆した旨。金融引き締め加速を警戒し、幅広い銘柄に売りが膨らんだ旨。
□3月23日(水)
◇NYダウ反発254ドル高、金融株や消費関連株に買い (日経 電子版 05:33)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比254ドル47セント(0.7%)高の3万4807ドル46セントで終えた旨。利上げ加速の観測から米長期金利が上昇し、金融株の追い風になった旨。前日夕に市場予想を上回る決算を発表したスポーツ用品のナイキが買われ、他の消費関連銘柄にも買いが波及した旨。
ロシア制裁、そしてウクライナ支援関連の動きが続いている。
◇U.S. sets red lines for China helping Russia dodge sanctions-G-7 will issue rules to enforce Russian sanctions (Reuters)
→ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官、Jake Sullivan氏が、G7各国は、ロシアが制裁を回避したり、制裁を回避するために他の国からの支援を受けたりできないようにするためのルール作りを行うと述べている旨。G7の対応は、「特に中国に関するものではないが、すべての重要な経済と、それら経済のいずれかが、意図的かつ積極的な方法で、我々が実施した制裁を弱体化または弱体化させるために行う決定に適用される。」と同氏。
□3月24日(木)
◇NYダウ反落、448ドル安、原油高で消費関連株に売り (日経 電子版 07:13)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比448ドル96セント(1.3%)安の3万4358ドル50セントで終えた旨。米原油先物相場が大きく上昇し、高インフレが米景気を冷やすとの懸念から消費関連株などに売りが優勢となった旨。
◇NATO首脳、ウクライナ支援拡充へ、化学兵器に備え (日経 電子版 07:37)
→北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は23日の記者会見で、24日にブリュッセルで開く首脳会議でウクライナへのさらなる支援で合意する見通しだと明らかにした旨。ロシアの化学・生物兵器に対処できる装備を中心に拡充する旨。
□3月25日(金)
◇NYダウ反発349ドル高、原油安や米雇用指標の改善を好感 (日経 電子版 05:41)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比349ドル44セント(1.0%)高の3万4707ドル94セントで終えた旨。原油先物相場が4%近く下げる場面があり、ガソリン高が米消費を抑えるとの警戒感が後退した旨。朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数が18.7万件と市場予想(21万件)を下回り、約52年ぶりの低水準となった旨。米経済の堅調さが意識されたのも買いを誘った旨。
欧州のロシアに対するエネルギー依存の削減対策である。
◇U.S. to boost natural gas deliveries to help wean Europe off Russian energy-US, Europe reach energy deal (CBS News/Agence France-Presse)
→米国は今年、ヨーロッパに15 billion立方メートルの液化天然ガスを供給する計画であり、ロシアの化石燃料への依存を減らすためにEU-USタスクフォースが結成される旨。Joe Biden大統領は、この協定はヨーロッパのロシアのガスへの依存を減らし、大陸全体のガス需要を減らすのに役立つだろうと述べた旨。
□3月26日(土)
◇NYダウ続伸、153ドル高、石油・金融株に買い (日経 電子版 05:35)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比153ドル30セント(0.4%)高の3万4861ドル24セントと2月中旬以来の高値で終えた旨。米原油先物相場が上昇し石油株が買われ、米長期金利の上昇を受けて金融株の一角も上昇した旨。ただ、金利上昇時に売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が下落し、ダウ平均は下げに転じる場面もあった旨。
≪市場実態PickUp≫
【東芝関連】
会社2分割案などが議案となった東芝の臨時株主総会が3月24日開催されたが、否決されて再編策出直しの結果となっている。前後の関連する動きを取り出して、以下に示している。
◇Norway sovereign wealth fund backs call for Toshiba to solicit buyout offers-Norway fund opposes Toshiba's proposed breakup plan (3月19日付け Reuters)
→世界最大のNorway's sovereign wealth fund(ノルウェー政府年金基金)が、3月24日の臨時株主総会に先立ち、東芝にprivate equity企業からの買収提案を求める株主提案に賛成票を投じた旨。
◇Toshiba's spin-off plan faces much opposition at pivotal shareholder vote-Opposition up as shareholders ready Toshiba spin-off vote (3月22日付け Reuters)
→アクティビスト株主、いわゆる物言う株主と代理顧問会社が、今週株主投票に直面する東芝のデバイス事業をスピンオフする計画に反対の意向を示した旨。
◇Toshiba shareholders vote down both spin-off plan and call to seek buyout offers (3月23日付け Reuters)
◇Toshiba faces unclear future after shareholders knock back two rival proposals-Toshiba shareholders reject 2 proposals; firm's future uncertain (3月24日付け Reuters)
◇Toshiba shareholders vote against the management-Earlier today Toshiba shareholders voted against the management's plan to split the company into two parts ? infrastructure products and devices. (3月24日付け Electronics Weekly (UK))
◇東芝、臨時株主総会で会社2分割案など否決、戦略見直しへ (3月24日付け NHK 13:32)
→東芝は、企業価値を高めようと打ち出した会社を2つに分割するなどの方針について、株主の意向を確認する議案を24日の臨時株主総会に諮ったが、過半数の支持を得られず否決となった旨。大株主となっている「モノ言う株主」が反対し、会社の戦略は見直しを迫られる見通し。
◇東芝臨時株主総会、2分割案否決、株主提案も否決 (3月24日付け 日経 電子版 13:42)
→東芝が24日に開いた臨時株主総会で、グループ全体を2分割する会社提案の議案が否決された旨。半導体を扱う「デバイス」事業を分離・独立させ、発電機器などの「インフラサービス」事業は本体に残す計画だった旨。会社に他社からの出資受け入れなどを積極的に検討するよう求める株主提案も否決された旨。東芝再建に向けた戦略作りは振り出しに戻ることとなる旨。
◇東芝、非公開化を検討、会社分割案は総会否決で白紙に (3月25日付け 日経)
→東芝は株式の非公開化に向けた検討を始める旨。24日に開いた臨時株主総会でグループ全体を2分割する議案が株主の反対で否決され、企業価値向上策を白紙に戻す旨。非公開化をにらみ、国内投資家を軸とした買収案策定について金融機関との調整を始めた旨。分割を前提とした事業売却などの戦略も練り直す旨。
◇東芝、再編策振り出し、企業統治不在で株主と溝−非公開化、実現には改正外為法など壁に (3月25日付け 日経 電子版 05:08)
→東芝の再編策が振り出しに戻った旨。24日の臨時株主総会で、2021年11月に打ち出したグループ全体を分割する案が株主の支持を得られず否決された旨。社長が相次ぎ交代するなど企業統治体制の混乱が続き、企業価値向上策を巡るアクティビスト(物言う株主)らとの溝は深い旨。検討を始めた非公開化の実現には多くのハードルがあり、まずは経営体制の見直しなど株主との関係再構築が必要となる旨。
【ワシントンでの働きかけ】
米国内半導体製造強化に向けた法案を議会で通して早く資金供給につなげるべく、インテル、MicronなどSemiconductor Industry Association(SIA)役員会のメンバーでもある各社トップがワシントンで議会筋に働きかけを行った以下関連内容である。
◇Chip, business lobbies descend on China bill (3月23日付け Politico)
→世界の大手半導体メーカーのトップexecutivesが、業界へのtens of billionsの資金供給で議員に圧力をかけるため、今日からワシントン全体に散らばっている旨。Semiconductor Industry Association(SIA)の取締役会に参加のIntel、Micron、NVIDIA、Qualcomm、およびTexas Instruments(TI)のchief executivesの面々が、上院多数党首のChuck Schumer氏並びに上院議員のJohn Cornyn氏(R-Texas), Steve Daines氏(R-Mont.), Mike Crapo氏(R-Idaho), Roy Blunt氏(R-Mo.)およびRon Wyden氏(D-Ore.)と会談予定の旨。
◇Time is running out for a deal on the China competitiveness bill (3月23日付け The Washington Post)
◇Chip lobby descends on Washington (3月23日付け Politico)
◇Intel, Micron CEOs to make case for U.S. semiconductor subsides- testimony (3月23日付け Reuters)
◇Intel CEO says semiconductors are like oil - making more in U.S. can avoid global crises (3月23日付け CNBC)
◇Intel CEO Pat Gelsinger says chips are the new oil - U.S. needs to produce more of its own (3月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏、米国とヨーロッパは、半導体の世界的な供給を支配している中国とアジアの混乱にさらされることを少なくしなければならないと主張している旨。
【国際情勢の波紋】
米国、欧州における中国などでの模造半導体への警戒である。
◇Europe, US warn of fake-chip danger to national security, critical systems-US, EU: Fake chips are a hazard to national security -Scammers exploit global supply-chain crunch (3月18日付け The Register (UK))
→Europol(European Police Office:欧州刑事警察機構)と米国国土安全保障省(Department of Homeland Security)が、偽造microchipsが重要なインフラストラクチャおよび国家安全保障に危険をもたらすと警告している旨。国土安全保障省は最近の報告書で、「中国に生産組立品が集中しているため、偽造品や使用済み部品が製品に挿入されるリスクが高まり、製品の完全性とブランドの評判が損なわれ、セキュリティリスクが生じる可能性がある。」としている旨。
ロシアのウクライナ侵攻により、半導体の貴重な人材が失われている。
◇ロシア軍、ウクライナの著名半導体物理学者を殺害、「世界科学界は重要人物を失った」ウクラ科学院 (3月21日付け コリア・エコノミクス)
→ロシア軍がウクライナで有名な半導体物理学者を殺害したと米フォーブスが19日(現地時間)報じた。
ウクライナ国立科学院(NASU)は、戦争による民間人死亡者の中に65歳の物理学者バシル・ペトロビーチ・クラドコ(Petrovych Kladko)が含まれたと先週発表していた。
クラドコは高解像度のX線回折を利用した半導体研究でよく知られた学者であるとフォーブスは伝えた。クラドコは、X線回折を用いて小さくて薄い結晶材料層を詳細に観察する方法を見出した。微小サイズの半導体需要が増えているなか、クラドコの研究も重要なものだったとフォーブスは伝えた。
米中ハイテク戦争の渦中、台湾の半導体人材がカギとなるとの見方である。
◇US-China tech war: Will Taiwan chip engineers be key to success in the race for tech supremacy? (3月23日付け South China Morning Post)
→*CSET(Georgetown's Center for Security and Emerging Technology)は、今後10年間で27,000のウェーハfab jobの欠員が米国で発生する可能性があり、そのうち約3,500が外国生まれのworkersによって埋められる必要があると推定している旨。
*TSMCのような地元の工場で訓練を受けた米国の教育を受けた台湾のエンジニアは、中国の半導体製造業界の発展のための主要なノウハウの源となっている旨。
ウクライナ侵攻のelectronics業界への影響は間接的、との見方である。
◇Effect of the war on electronics industry is indirect, says SI-SI: Invasion of Ukraine has indirect effect on electronics-The effect of the war on the electronics industry in 2022 is uncertain and indirect, says Semiconductor Intelligence (SI). (3月25日付け Electronics Weekly (UK))
→Semiconductor Intelligence(SI)発。ロシアのウクライナ侵攻は、電子機器やmicrochip業界に大きな影響を与えるとは予想されておらず、むしろ間接的な影響を及ぼしている旨。2年間のパンデミックの後、中国、日本、韓国、台湾、ベトナムでの生産は大幅に回復している、と該コンサルティング会社は説明の旨。
【FABS Act関連】
上に、ワシントンでの働きかけを示しているが、米国製半導体促進法(FABS Act)についての現時点である。
◇FABS Act introduced to US House of Representatives-FABS Act bill debuts in US House (3月18日付け Electronics360)
→米国で半導体の設計、製造、研究のための投資税額控除を確立する超党派の法律、Facilitating American Built Semiconductors Act(FABS Act:米国製半導体促進法)が米下院に持ち込まれた旨。「ここアメリカで半導体を製造することは、米国のサプライチェーンを強化し、外国製品への依存を減らし、国内でより多くの雇用を生み出す。」と、共和党のマイク・ケリー議員(Rep. Mike Kelly, R-Pa.)。
業界全体を見ていないと、プリント回路基板(PCB)業界からの反発が見られている。
◇US Electronics Reshoring Plan Risks Missing the Boat-Why reshoring US electronics calls for PCB market support (3月22日付け EE Times)
→1)米国はelectronicsの国内回帰に熱心であるが、業界全体を見ていない旨。該リスクは$52 billionを無駄にしていく旨。業界executivesによると、米国の半導体業界を復活させるには、組み立てやテスト、プリント回路基板(PCB)など、エレクトロニクスエコシステム全体へのバランスの取れた投資が必要である旨。
2)米国議会がアメリカの半導体産業を支援する法案を可決する努力を進めるにつれ、プリント回路基板業界に注意を払わなければならない、とこの分析は主張している旨。「2000年に戻ると、世界のPCBの26%が米国で製造されていた。現在はわずか4%。」と、PCBメーカー、TTM Technologiesのexecutive vice president、Dan Weber氏。
重ねて、インテルのCEO、Pat Gelsinger氏の働きかけである。
◇Intel boss presses Congress for manufacturing subsidies-Intel CEO says where the fabs are matter, subsidies needed -Gelsinger also confirms he's ended multi-billion share-buyback scheme (3月24日付け The Register (UK))
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、米国のウェーハ製造拠点に連邦資金を提供するよう議会に働きかけ続けている旨。「すべてのデジタルは半導体上で実行され、これらのファブを必要な場所に構築することが不可欠」と同氏。
【復旧の状況】
封鎖の事態もあった中国・深センのFoxconnは、操業再開とのこと。
◇Foxconn 'basically' resumes normal operations in China's Shenzhen-Foxconn's factories in Shenzhen are back in operation (3月20日付け Reuters)
→Apple社の大手サプライヤ、Foxconnが月曜21日、COVID-19の発生による混乱の後、中国の深センにある最も重要なキャンパスで"基本的に"通常の操業を再開した旨。
地震が発生した台湾でのTSMCの工場も、正常な操業に戻っている。
◇TSMC says operations back up after quake-triggered worker evacuations (3月23日付け Focus Taiwan)
→TSMCが水曜23日、Hualien(花蓮)付近でマグニチュード6.6の早朝の地震が散発的な避難と軽微な機械の損傷を引き起こした後、すべての工場の操業が正常に戻った旨。
コロナ感染、そして自然災害については、引き続き影響の推移に注視である。