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ウクライナ侵攻インパクト関連:最先端半導体技術を巡る実態模様

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜26日時点、世界全体で4億3245万人に達し、9日前から1472万人増の見え方である。我が国では、新規感染の減少速度が鈍化の状況、再増加の懸念の専門家の指摘が見られて、依然警戒を要している。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、半導体はじめ技術輸出の対ロシア規制が西側各国に広がるとともに、半導体の製造に必要なウクライナのネオン、製品用のロシアのパラジウムがsupply chainに懸念を生じる状況が見られている。そして、ISSCC 2022がオンラインで開催のこのタイミングで、最先端の技術&製品への取り組みが打ち上げられる一方、3-nm量産化に向けた課題含みの実態模様があらわされてきている。

≪政治の波乱の中の半導体関連≫

ロシアのウクライナ侵攻の事態が予見された情勢の中、ついに突入に至った今週の前後の動きから、半導体関連へのインパクトに注目して、以下基本時間順に取り出している。

◇ロシアのハイテク網遮断、ウクライナ侵攻なら輸出規制―米高官 (2月19日付け 時事ドットコム)
→米ホワイトハウスのシン大統領副補佐官(国家安全保障担当)は18日の記者会見で、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、同盟国と共に「ロシアへ強力な輸出規制を課す」と語った旨。半導体や人工知能(AI)などを主な標的とし、現代兵器に不可欠なハイテク製品の調達網を遮断する構え。

ネオン、ニッケル、パラジウムという材料の供給&価格に目が向けられている。

◇Micron CEO Says Working Around Supply Of Gases From Ukraine (2月22日付け Bloomberg)

◇Supply chain watches nervously over Russia-Ukraine tension-Russia-Ukraine situation has IC supply chain worried (2月23日付け DIGITIMES)
→DBS CIO(Chief Investment Office)が、ウクライナの緊迫した状況がニッケルやパラジウム(palladium)の価格を押し上げる可能性があると報告しており、米国は半導体業界の関係者にサプライチェーンの多様化を確実にするよう急ぎ求めている旨。「状況を注意深く監視し続け、状況悪化の確実な段階的縮小を望んでいるが、現在の分析に基づいて、希ガスのサプライチェーンは合理的な形にあると信じている。」と、Micron TechnologyのCEO、Sanjay Mehrotra氏。

台湾の半導体輸出への打撃はありそうもない、との見方である。

◇Rumored Russia sanctions unlikely to hit Taiwan chip exports: analysts (2月23日付け Focus Taiwan)
→「現在、ロシアは台湾のファウンドリー業界の主要市場の1つではない」と、市場調査会社、TrendForceのJoanne Chiao氏。

◇政府、ロシアに先端技術輸出規制を検討、軍事侵攻想定−ウクライナ情勢、G7で連携 (2月23日付け 日経 電子版 02:00)
→日本政府はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を想定し、半導体など先端技術の輸出を規制する経済制裁の調整に入った旨。ロシア主要銀行との取引制限のほか、ロシア政府要人の資産凍結と渡航制限なども検討する旨。

そして、侵攻突入を受けて、米国・SIAからの反応である。材料関連はありながら、半導体市場への当面の影響は非常に小さいとの見方である。

◇SIA Statement on Sanctions on Russia (2月24日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、ロシアのウクライナ侵攻に対応して本日発表された新しい輸出管理規則に関して、SIAのPresident and CEO、John Neuffer氏からの声明をリリースの旨。
「米国の半導体業界は、ウクライナで起こっている深刻な不穏な出来事に対応して、本日発表された新しい輸出管理規則を遵守することに全力で取り組んでいく。我々は依然、新しいルールを見直して、業界への影響を判断している。World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationによると、ロシアへの新しい規則の影響は重大である可能性はあるが、ロシアは半導体の重要な直接消費者ではなく、世界の半導体購入の0.1%未満である。 2021年のIDCデータによると、ロシアのより広範なICT市場は、$4.47 trillionの世界市場のうち合計で約$50.3 billionにすぎない。」
「さらに、半導体業界には主要な材料とガスの多様なサプライヤが存在するため、ロシアとウクライナに関連する供給中断のリスクがすぐに発生するとは考えていない。」

材料&ガス関連について業界各紙の取り上げが続いている。

◇Limited impact on chips yet as Russia invades Ukraine, future uncertain-Russian invasion of Ukraine creates industry uncertainty (2月24日付け Reuters)
→半導体メーカーは、サプライチェーンは今のところ問題ないとしているが、Ukraineでの軍事作戦が、microchipの製造に使用されるネオンガスなどの重要な半導体製造材料に長期的な影響を与える可能性がある旨。

◇Ukraine supplies 90% of U.S. semiconductor-grade neon (and what it means to chip supply chain) (2月24日付け VentureBeat)

◇Micron working around supply from Ukraine: CEO (2月24日付け Taipei Times)
→米国最大のコンピュータメモリチップメーカー、Micron Technology社が、ウクライナでの危機の高まりが、半導体サプライチェーンの複雑さと脆弱性を浮き彫りにしたとしている旨。半導体の生産に使用されるガスの一部は、ロシアが侵略していると米国が言っている国から来ている旨。

◇半導体大手各社、ウクライナ侵攻による供給網混乱は限定的と予想 (2月25日付け ロイター)
→世界の半導体大手各社は、ロシアのウクライナ侵攻による供給網の混乱は限定的にとどまると予想している旨。素材の在庫積み上げや調達の多様化を進めたことが奏功するため。だが業界関係者の間では、影響は長期にわたって続く恐れがあるとの声も聞かれる旨。
調査会社テックセットによると、ウクライナは米国の半導体製造に使われているネオンの90%以上を供給。ロシアは米国で使われるパラジウムの35%を提供している旨。パラジウムはセンサやメモリに使われている旨。

◇欧米企業、ウクライナ情勢警戒、航空・半導体にも影響 (2月25日付け 日経 電子版 07:48)
→ロシアがウクライナに侵攻したことを受け、欧米企業が警戒を強めている旨。航空大手は運休を決めたほか、迂回ルートを検討。自動車メーカーも経済制裁による市場縮小に身構える旨。ロシアやウクライナは半導体の製造工程で使うネオンガスの産地でもあり、産業を支える半導体生産にも影響する可能性がある旨。

◇Ukraine war could hurt supplies of neon, palladium needed for chips (2月25日付け FierceElectronics)
→ウクライナは、米国の半導体企業が生産する半導体の製造に使用される気相レーザーのhigh-gradeネオンの90%以上を製造している旨。 市場調査会社のTechcetによると、このガスはロシアの鉄鋼製造の副産物であり、ウクライナで精製されている旨。ネオン価格は、2014年のロシアとウクライナの紛争中に高騰した旨。
一方、ロシアは、米国企業が生産するセンサやメモリ製品に使用されるパラジウム金属の3分の1を供給している旨。ロシアはC4F6(hexafluorocyclobutene)の"重要な"供給元でもあり、米国のいくつかのサプライヤが半導体製造用の高度なnodeロジックデバイスのエッチングと高度なリソグラフィープロセスのために購入および精製している、とTechcetが、ここ数週間ウクライナの国境沿いにロシアが軍隊を増強、該侵攻に先立って書いている旨。

ロシアに対する半導体が絡む制裁関連の動き、以下の通りである。

◇米欧日、ロシア主要銀行にも制裁、ドル取引封じる (2月25日付け 日経 電子版 09:46)
→主要7カ国(G7)はロシア向けの経済制裁の強化をする旨。ロシアの主要銀行の外貨決済を禁じるほか、半導体などハイテク製品の輸出を制限する旨。金融と国際貿易の両面で圧力をかけ、ロシアの輸出が半減するとの試算もある旨。世界のロシア向け融資の7割は欧州が占め、金融システムへの跳ね返りも懸念される旨。

◇首相、ロシアに追加制裁、資産凍結や半導体輸出規制 (2月25日付け 日経 電子版 10:20)
→岸田文雄首相は25日の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた追加経済制裁を表明、ロシアの個人・団体や金融機関を対象とする資産凍結や半導体の輸出規制を挙げた旨。「国際秩序の根幹を揺るがす行為として断じて許容できず厳しく非難する」と言及した旨。

◇Taiwan to join 'democratic countries' in sanctions on Russia (2月25日付け Reuters)
→台湾の当局者は、中国が台湾に対して軍事行動を起こした場合に何が起こるかを懸念して、ロシアのウクライナ侵攻を注視している旨。「このような侵攻行為を激しく非難、制裁を共同で課すよう民主国家陣営に加わる。」と、Su Tseng-chang(蘇 貞昌)首相がジャーナリストに語った旨。

◇Biden's Russia sanctions to indirectly hit Korea's chip, auto industries (2月25日付け The Korea Herald (Seoul))
→米国のバイデン政権がウクライナへの侵入に対してロシアに対して経済制裁を課しているため、サムスン電子やSKハイニックスなどの韓国企業が巻き添え被害を受けると予想されている旨。サムスン電子とSKハイニックスは昨年、ロシアの顧客に$73.5 millionのmicrochipsを販売した旨。

ロシアの前時代的侵攻&侵略の評価が多々見られる現時点であるが、早い収拾を願うのみである。

2月のこの時期、かつて「半導体のオリンピック」とあらわされて先端技術&製品を競い合ったInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC)が、今回もオンライン開催(20日〜28日)となっている。関連記事を目についた範囲で取り出して、以下の通りである。

◇ISSCC: Cunning one-chip mains PSU needs only external passives-ISSCC: University details chip operating in 3 modes (2月23日付け Electronics Weekly (UK))
→*ドイツのLeibniz University of Hannoverが、International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)で、silicon-on-insulator(SOI) die搭載のuniversal AC/DC主電源の開発について詳しく説明した旨。 外付け部品は低電圧出力inductorとコンデンサだけである旨。
 *ISSCC 2022で、Leibniz University of Hannoverが、単一の3 x 7mm 0.18μm silicon-on-insulator(SOI) die上にほとんどすべてのコンポーネントを備えた新しい50-60Hzのuniversal AC/DC主電源を発表した旨。

◇AMD teases performance of its revolutionary 3D V-cache chip-AMD provides a peek at its 3D V-cache chip (2月23日付け Digital Trends)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Ryzen 7 5800X3Dプロセッサを投入、Intelと引き続き競争していく旨。該ICは、Zen 3アーキテクチャーのchipletsを用いている旨。同社は、該新半導体をInternational Solid-State Circuits Conference(ISSSC)にてプレゼン、アーキテクチャーについての情報をさらに披露の旨。

◇インテル、第1世代マイニングチップの仕様公開──第2世代はコードネーム「BZM2」 (2月23日付け coindeskjapan.com)
→米半導体大手、インテル(Intel)が2月20日、半導体の国際会議「ISSCC 2022」で第1世代のマイニング専用チップの仕様を公開、今年後半に暗号資産マイニング企業のGriid Infrastructureに供給する第2世代については詳細を明らかにしなかった旨。
インテルの参入で、大手2社が寡占する状況が変わると期待されたが、インテルの第1世代「Bonanza Mine(ボナンザマイン)」の仕様は、現行の最高機種の仕様を下回る旨。仕様は、Tom's Hardwareが最初に伝えた旨。

◇Intel chip seen as challenge to Chinese dominance in crypto mining (2月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社のbitcoin miningハードウェアは、該業界を支配している中国企業にとって、ここ数年で最初の大きな挑戦課題と見なされている旨。

◇Demonstration of 8-bit flexible MCU for low-power applications-Team demonstrates 8-bit flexible MCU for low-power uses (2月24日付け New Electronics)
→PragmatIC Semiconductor、KU Leuven、およびimecが、International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)にて、低電力アプリケーション向けの8ビットflexible microcontroller(MCU)を披露の旨。このデバイスは、indium-gallium-zinc-oxideトランジスタ技術を用いている旨。

◇半導体論文、日本が低迷、国際学会で採択数5位、企業発少なく、米中に後れ (2月25日付け 日経)
→半導体関連の国際学会で日本の競争力低下が鮮明になっている旨。2月20〜28日の期間でオンライン開催中の国際固体素子回路会議(ISSCC)では、採択論文に占める日本勢のシェアが3.5%と、前年の6.2%から一段と小さくなった旨。先端研究の出遅れは産業競争力にも影響を及ぼしかねない旨。

現下の最先端微細化は、量産を控える3-nanometerになるだろうか。符合するように、関連記事が以下の通り見られている。TSMCもSamsungも、問題含みのくだりが見られるが、果たして今年後半にかけてどうなっていくか。絶え間ない取り組み&進展に期待するところである。

◇TSMC Struggling With 3nm Yield Which Might Affect Production Suggest Rumors (2月22日付け WCCF TECH INC.)
→TSMCが、次世代の3-nanometer(nm)半導体製造プロセスで困難に直面している旨。経営陣の以前の声明によると、その3nmプロセスは、今年の後半に生産を開始する予定。しかしながら、台湾のDigiTimesからの最新のレポートでは、TSMCは3nmプロセスで歩留まりの問題に直面しており、2022年下半期の計画の量産から予想される生産量に悪影響を与える可能性がある旨。

◇TSMC obtains significant sub-7nm chip orders-Sources: Sub-7nm chip orders are robust at TSMC (2月22日付け DIGITIMES)
→半導体機器サプライヤ筋発。半導体ベンダーが、台湾積体電路(TSMC)に、3-nanometerプロセスなど7nm未満プロセスノードで製造されるmicrochipsを注文している旨。Apple、Intel、Qualcommなどの顧客がそのような注文をしている旨。

◇Transistors Reach Tipping Point At 3nm-Analysis: 3nm transistors present technical challenges -Nanosheets are likeliest option throughout this decade, with CFETs and other exotic structures possible after that. (2月23日付け Semiconductor Engineering)
→gate-all-around(GAA)トランジスタの開発は、ナノシートおよびさまざまな次世代FETの使用に依存する旨。「28nm半導体の設計にかかる平均コストは$40 million」と、IBSのCEO、Handel Jones氏。「3nmの設計には最大$590 millionがかかる」

◇Qualcomm seeking 3nm process capacity from TSMC-Qualcomm chooses TSMC over Samsung for 3nm process capacity (2月24日付け DIGITIMES)
→伝えられるところによると、QualcommがTSMCと契約、すべてのプロセッサに3nmプロセスの製造を要求するようにする予定の旨。韓国のメディアは、QualcommがSamsungのファウンドリでの歩留まりの問題のために、Samsungではなく次世代の3nmプロセッサをすべてTSMCに製造させることを決定したと報じている旨。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□2月21日(月)

上記にもある通り、侵攻に至った今週のウクライナ情勢関連が続いていく。

◇Goldman Team Sees S&P Down 6% if Ukraine Conflict Worsens-Goldman: Ukrainian conflict could lower US stocks by 6%-Strategists see further drop for global equities, yields-Team bases analysis on sensitivity to the Russian ruble (Bloomberg)
→Goldman Sachs発。ロシアとウクライナの緊張が完全な紛争に変わり、その後ロシアに対する懲罰的制裁が続く場合、米国株は6%下落、日本とヨーロッパの株式は9%下落する可能性がある旨。ロシアの通貨はその価値の10%を失い、石油の価格は13%上昇し、ベンチマークの財務省の利回りは27ベーシスポイント低下する旨。

□2月22日(火)

◇プーチン氏、ウクライナ親ロシア派地域の独立を承認 (日経 電子版 06:39)
→ロシアのプーチン大統領は21日、安全保障会議を開催し、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の一部地域について独立を承認したと発表、東部地域の危機をあおり、国際的に認められない一方的な承認に踏み切った旨。ウクライナや米欧が一方的な決定として反発するのは必至。

□2月23日(水)

◇侵攻拡大なら対ロシア輸出規制、米、多国間で制裁準備 (日経 電子版 07:22)
→米政府高官は22日、ロシアがウクライナへの侵攻を拡大すれば、先端技術の輸出規制をロシアに発動すると明言、追加制裁として多国間で準備している旨。実行に移せば日本を含むアジアの企業を巻き込み、影響が大きい旨。バイデン政権は同日、ロシアによるウクライナ東部へのロシア軍派兵を「侵攻の始まり」とみなして第1弾の経済制裁を発表、これまで厳しい経済制裁を科すとロシアに警告してきたが、今回の措置には輸出規制を含まなかった旨。

ウクライナの事態を受けて、大きく乱高下した今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、482ドル安、原油は一時99ドルに (日経 電子版 08:05)
→22日の米株式市場ではリスク回避の動きが広がった旨。ダウ工業株30種平均は4営業日続落し、下げ幅は一時700ドルを超えた旨。一方、ロンドン市場の北海ブレント原油先物の期近物は、22日に1バレル99ドル台まで上昇し、2014年9月以来の高値を付ける場面があった旨。市場参加者はウクライナ情勢の緊迫を受けて、世界経済や金融政策への影響を見極めようとしている旨。

◇蔡英文総統、台湾海峡の厳重監視を指示、中国軍を警戒 (日経 電子版 17:10)
→台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は23日「ロシアによるウクライナの主権侵害を非難する」と述べ、関係各国に理性的に争いを解決するよう呼び掛けた旨。また中国の習近平指導部が便乗して台湾への軍事圧力を強化することを警戒し、台湾軍に対して台湾海峡の軍事動向を厳重に監視するよう要求した旨。
台湾紙自由時報(電子版)は23日、蔡政権が対ロシア制裁として半導体など科学技術製品の輸出規制を検討していると伝えた旨。日米など主要国の制裁の動向を見極める方針だとした旨。台湾は半導体の世界的な供給源。

□2月24日(木)

◇NYダウ続落464ドル安、ウクライナ懸念の売り続く (日経 電子版 08:01)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比464ドル85セント(1.4%)安の3万3131ドル76セントで終えた旨。2021年3月以来、11カ月ぶりの安値となった旨。ウクライナ情勢を巡る不透明感が続いており、投資家が株式の持ち高を減らす動きが続いた旨。景気敏感からハイテク株まで幅広い銘柄に売りが膨らんだ旨。

◇ロシア、ウクライナに侵攻、東部・南部に攻撃 (日経 電子版 13:36)
→ロシアのプーチン大統領は24日、ウクライナ東部で特別軍事作戦を行うことを決めたと発表、タス通信などロシアメディアが一斉に報じた旨。ロシアが支援する親ロシア派武装勢力が一部地域を占領するウクライナ東部の住民の保護が目的と述べ、「ウクライナの占領は計画に含まれない」と主張した旨。ロシア軍は同日、ウクライナの軍事施設へのミサイル攻撃を開始した旨。キエフなどの軍司令部が対象とみられる旨。

◇欧州、一斉にロシア非難、ドイツ「明確な国際法違反」 (日経 電子版 16:36)
→ロシアがウクライナの軍事施設などを攻撃し始めたことを受け、欧州首脳らは24日、一斉にロシアを非難するコメントを発表、ドイツのショルツ首相は「ウクライナへの攻撃は明白な国際法違反だ」としてロシアのプーチン大統領を強く批判した旨。
ショルツ氏はロシアに軍事行動を即時に中止するように要求。「ウクライナにとって恐ろしい日であり、欧州にとって暗黒の日」になったと述べた旨。ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で協議し、同国への連帯を改めて強調した旨。

原油価格も、大台(100ドル)突破である。

◇Oil tops $105/bbl after Russia attacks Ukraine-Russian invasion of Ukraine drives up oil prices (Reuters)
→Brent crude(ブレント原油)の価格が、ロシアのウクライナ侵攻に対応して、2014年以来初めて1バレルあたり105ドルを超えた旨。一方、West Texas Intermediate crude(ウェストテキサス中間原油)は、2014年以来の最高水準である1バレルあたり99.43ドルに達した旨。市場watchersはインフレと経済成長へのインパクトを警告、JPMorgan Chaseは、1バレルあたり150ドルに引き上げると、世界の成長を阻害し、インフレを7%以上に引き上げる可能性があるとしている旨。

□2月25日(金)

◇NYダウ乱高下 一時800ドル安も終値プラスに (日経 電子版 06:31)
→米株式市場で不安定な値動きが続いている旨。24日はダウ工業株30種平均の前日比下げ幅が一時800ドルを超えたが、取引終了前にプラスに転じた旨。ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始め、資源価格の一段の高騰がインフレ長期化懸念を誘っている旨。米景気の下振れリスクが高まる一方、急激な金融引き締めへの警戒感がやや和らいだ面もあり、投資家心理も揺れている旨。

◇G7首脳が緊急声明、ロシアに「厳しい協調された制裁」 (日経 電子版 07:39)
→主要7カ国(G7)首脳は24日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡ってテレビ会議形式で緊急協議を開いた旨。共同声明では、ロシアによる侵攻を「深刻な国際法違反」だと批判し、「G7として厳しい協調された経済・金融制裁を実施する」とした旨。協議後にドイツのショルツ首相は「プーチンが勝利することはない」と語った旨。

□2月26日(土)

◇NYダウ続伸834ドル高、ロシアの停戦交渉観測で (日経 電子版 06:36)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比834ドル92セント(2.5%)高の3万4058ドル75セントで終えた旨。上昇幅、上昇率とも今年最大だった旨。ロシアがウクライナとの停戦交渉に応じる構えを示し、紛争の長期化が避けられるとの期待が高まった旨。ハイテク株が買われた前日に続き、景気敏感株やディフェンシブ株にも買いが広がった旨。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

インテルが、2月17日に投資家向けのイベント「Intel Investor Meeting 2022」を開催、以下関連する内容である。

◇Intel Shows Off the Chip Tech That Will Power Your PC in 2025-A year into his tenure as Intel CEO, Pat Gelsinger says his effort to reclaim chip technology leadership is on track. (2月17日付け CNET)
→Intelが木曜17日、2025年に予定の製造プロセスでつくられた半導体でちりばめられたシリコンウェーハを披露、これは、同社の長年のチップ製造の困難が支えていることを顧客に安心させるよう意図した信号の旨。

昨年来、CPU市場でのシェアが拡大しているインテルである。

◇Intel's new chip plans could turn rival AMD's fortunes- analysts-Analysts: AMD, Intel to battle over PCs, server slots (2月18日付け Reuters)
→Intelが、PCおよびサーバ用の半導体でAdvanced Micro Devices(AMD)に対抗するために、先端半導体製造技術に取り組んでいる旨。「Intelが製造プロセス技術で取り戻しを図っており、シェア増加が続くと思う。」と、WestPark Capitalのアナリスト、Ruben Roy氏。

◇Intel delays 2023 server chip, says it needs to boost spending to catch competitors (2月18日付け CNBC)
→*Intelが木曜17日、そのターンアラウンドとメーカー変革を促進するために、今後2年間で多額の費用を充てなければならないと述べた旨。
 *Intelは、コードネーム、Granite Rapidsの次期サーバ半導体のリリースが2023年から2024年に延期されたことを確認した旨。

◇Intel sees sales picking up in coming years (2月19日付け Taipei Times)
→Intel社が、今年は売上げが2%弱増加すると予想しており、CEO、Pat Gelsinger氏がかつて支配的だった同社の好転を追求、成長は後年回復していく旨。同社はSan Franciscoでの投資家向けイベントで、今年の販売高が$76 billionに達すると予測、来年および2024年までに1桁台半ばから後半高めの%で上昇すると発表した旨。

Arm買収に向けたスタンスが、改めて示されている。

◇Intel chief says he would be open to joining consortium to buy Arm (2月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→NvidiaがArmの買収に$40 billionを提示する前でさえ、今月初めに崩壊した取引であったが、Intelは同じことを行うためにあるコンソーシアムにへの参加を模索した旨。 現在、そのCEO、Pat Gelsinger氏は、依然その考えにオープンであるとしている旨。

新製品の打ち上げ関連である。

◇Intel Launches Alder Lake U and P Series Processors: Ultraportable Laptops Coming In March-Intel debuts Alder Lake U and P Series processors (2月23日付け AnandTech)
→Intelが、以前に明らかにされたHシリーズラインに加えて、PシリーズおよびUシリーズ半導体を導入、Alder Lakeプロセッサラインを埋めた旨。該第12世代のCoreモバイル半導体は、来月、新しいラップトップコンピュータで利用できるようになる旨。

◇Intel unveils new hardware and software for notebooks, 5G equipment ahead of MWC 2022-Intel debuts hardware and software for notebooks, 5G gear (2月25日付け DIGITIMES)
→グローバルネットワークがソフトウェア定義になり、エッジ推論がすべてのセクターを変革する中、Intelは2月24日に、同社のMWC Barcelona 2022 kick-off virtual基調講演により新しいプログラム可能なハードウェアとオープンソフトウェアを発表の旨。

【半導体人材】

半導体の重要性が見直されて高まる一途の一方、半導体人材不足が深刻化、確保に走る台湾および韓国、そして我が国では育成に向けた動きと、それぞれ以下の状況である。

◇Semiconductor industry facing serious talent shortage: survey (2月19日付け Focus Taiwan)
→台湾の半導体業界が、急増する需要を満たすために生産増強に向けて競い合い、2021年の第四四半期に7年間で最も深刻な人材不足に直面の旨。今週はじめに発表された調査によると、半導体業界は該四半期中に月に約34,000人の不足に直面しており、2020年12月の2.6オファー、2019年12月の2.3オファーに対し、12月の求職者1人あたり3.7オファーに相当する旨。

◇半導体人材育成、産学官で推進へ、九州経産局など (2月22日付け 日経産業)
→九州経済産業局などは九州で半導体製造に関わる人材育成を進める産官学のコンソーシアムを3月末をめどに立ち上げる旨。熊本県に進出する台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループの合弁会社や九州経産局などが参加し、このほど福岡市で準備会合を開いた旨。半導体関連産業の集積が進むなか、人材不足が足かせにならないように育成を急ぐ旨。

◇サムスン電子が採用説明会開催 「半導体部門の人材確保」 (2月24日付け 聯合ニュース)
→韓国のサムスン電子は24日、半導体分野の優秀な人材を確保するため「T&C(Tech&Career)フォーラム」を開催したと発表、T&Cフォーラムは、サムスン電子のデバイスソリューション(DS)部門が海外の人材発掘を目的に2016年から毎年開いているグローバル採用説明会で、2020年からは新型コロナウイルス禍を受けてオンライン形式で開催している旨。今年からは対象を国内の業務経験者や新卒者に拡大し、国内外の多くの志願者が参加できるようにした。開催回数も増やす計画。

◇TSMC、新卒好待遇 平均より月給7万円高、九州で争奪戦 (2月24日付け 日刊工業)
→台湾積体電路製造(TSMC)の工場進出をきっかけに、九州地方で技術系人材の争奪戦が勃発する旨。TSMCとソニーグループの合弁会社が提示する理系学部卒(2023年4月入社見込み)の給与が地域平均より7万円以上高いことが分かった旨。日本の半導体技術者の給与水準は国際的に低く、処遇改善は業界として本来歓迎すべきこと。ただ、人材の一極集中や労務コスト増は同業他社の経営を圧迫しかねない旨。

【Boschの半導体投資】

Boschが、半導体生産増強に向けてドイツのReutlingen工場にて追加投資を行っている。長引くサプライチェーンの混乱の波及である。

◇Bosch to invest additional 250 million euros in chip production capacity-Bosch to invest $280M+ in Reutlingen wafer fab (2月22日付け Reuters)
→Boschが火曜22日、ドイツのReutlingen工場での半導体生産拠点の拡張に250 million euros($282.50 million)を追加投資の旨。

◇Bosch to Invest on Extending Semiconductor Production in Reutlingen (2月22日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Bosch Ups Investments in Reutlingen, Dresden fabs (2月23日付け EE Times)
→Boschが、長引くサプライチェーンの混乱に取り組みながら、IC製造能力を拡大するために、さらに$296 millionを投資する計画の旨。

【インドでの半導体製造】

Foxconn(台湾)が、現地合弁で取り組む動きである。

◇Vedanta and Foxconn Sign MOU for Semiconductor Manufacturing in India (2月22日付け EE Times India)
→Vedanta Group(インド)とHon Hai Technology Group(Foxconn)が、インドで半導体を製造する合弁会社を設立するための覚書(MOU)に署名した旨。

インドの半導体推進の動きが、以下の通り続いている。

◇India has preliminary win for semiconductor incentive scheme (2月22日付け DIGITIMES)
→インドが、$10 billionの半導体およびディスプレイインセンティブスキームの申請リストを明らかにした旨。ほとんどの企業は半導体分野ではあまり知られていないが、それらのアプリケーションは依然としてインドにとってpreliminary winを表している旨。

◇Semicon India Takes a Step Forward with Acceptance of Applications for Semiconductor, Display Fabs (2月23日付け EE Times India)
→electronic製造を拡大&深化させ、インド国内で堅牢で持続可能な半導体およびディスプレイエコシステムの開発を確実にするために、連合内閣が、INR76,000 crore(7600億ルピー:インドルピー/円〜1.54)の支出でSemicon Indiaプログラムを承認した旨。

半導体製造にはこれまで何回か取り組んで挫折した経緯から、もう繰り返さずIC設計に重点化すべき、という評論が見られている。

◇India's foray into chip manufacturing is doomed. Better for the country to focus on chip battles it can win-Viewpoint: India should focus on IC designs, not wafer fabs (2月22日付け Fortune)
→インドが、半導体製造に改めて入ろうとしており、生産サポートに向けた$10 billionの活動を発表、進展のいくつか兆しもある旨。 しかし、この試みが、インドがこの市場に参入しようとしたここ数回よりも成功すると信じる理由はほとんどない旨。新規参入者による半導体製造の試みは、骨折り損である旨。
半導体の製造は、間違いなく、人類が現在行っている最も困難な技術的演習であり、ウイルスの50分の1の数百億から数千億のトランジスタを正しくエッチングして接続することであり、ますます困難になっていく旨。

【Nvidia関連】

Armの買収が挫折した今後どうするか、Nvidia社CEO、Jensen Huang氏のコメントが、前回に続いている。Armアーキテクチャーてこ入れが繰り返されている。

◇Jensen Huang interview: Nvidia's post-Arm strategy, Omniverse, and self-driving cars-Q&A: Nvidia CEO Jensen Huang on what comes next (2月20日付け VentureBeat)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、Arm買収の提案が破棄された今、同社は何を追求するかについて語る旨。「CPUがあるどこでもcomputing加速化を行っていく。」とHuang氏。「開発中のArm CPUs, およびsystem-on-chips(SoCs)がたくさんある。」

◇Nvidia's CPU strategy remains alive and well with Grace (2月23日付け FierceElectronics)
→先週のNvidiaの2021年第四四半期の決算発表で、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、同社によるArmの買収の挫折に対する失望を隠すよう最善を尽くし、NvidiaにはまだArm半導体アーキテクチャをてこ入れする大きな計画があると述べた旨。これは、すでに発表されたArm買収の見通しが反競争の懸念を引き起こし始めたとき、2021年の春に発表したArmベースのCPU開発、Project Graceに特に当てはまる旨。

サイバー攻撃に見舞われたか、多難な状況がある。

◇Report: Nvidia might have been hit by a cyberattack - company says it's investigating (2月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Nvidiaが、Eメールシステムおよびdeveloper toolsに影響を与えるサイバー攻撃に遭った可能性を調べている旨。

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