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米国インフラ法案、Samsungの市場開拓、ほか成り行き注目の動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜14日午前時点、世界全体で2億614万人に達し、1週間前から約466万人増と40万人高まっている。国内でも13日、新たに報告された感染者が2万人を超え、過去最多を更新、一層の危機感の現時点である。半導体の米国国内での製造およびリサーチ強化に向けた法案に続いて、broadband access, electric vehicle(EV)充電およびcybersecurityなど多分野に向けた$1 trillionインフラ法案が米国上院を通過、ともに下院での審議を待つが、波乱含みである。Samsungの市場開拓に向けた製品打ち上げが見られ、TSMCおよびインテルとともに現下の動きに注目している。今後の市場展開の成り行きを左右する要因と受け止めている。

≪今後の市場展開を占う視点から≫

米国の国を挙げた半導体強化の動きが、今後に向けてまず挙げられるところ。この6月からの月々の動きを追うと以下の通りである。下院での法案通過が切望されている現時点である。

◇SIA Calls for House Passage of Legislation to Advance U.S. Technology Leadership (6月28日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、President and CEO、John Neuffer氏ステートをリリース、
National Science Foundation for the Future Act(H.R. 2225)
および
Department of Energy Science for the Future Act(H.R. 3593)
の下院通過を求めている旨。
該両法案は、米国の科学&技術leadershipの維持&構築に寄与、法制化進展、国内半導体生産、革新に向けた力強い出資を含むよう要求の旨。

◇Coalition of Tech, Auto, Medical, Defense, Other Business and Labor Groups Calls on Congress to Invest in Domestic Semiconductor Manufacturing, Research, Design (7月22日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、19のハイテク、自動車、医療、防衛などの事業および労働グループの広範な連合とともに本日、“Creating Helpful Incentives for the Production of Semiconductors”(CHIPS) for America Actにおいて認定された半導体製造、リサーチ、および設計initiativesへの出資の施行を手紙で議会に督促の旨。上院は6月8日、米国Innovation and Competition Act(USICA)の一環としてCHIPSへの出資$52 billionを承認したが、下院がまだ承認していない旨。該連合の手紙はまた、米国での半導体製造拠点の構築&最新先端化に向けてFacilitating American-Built Semiconductors(FABS) Actで与えられている投資税額控除の施行をWashingtonの指導者たちに求めている旨。

◇SIA Calls for House Passage of Bipartisan Research Bills (8月3日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、President and CEO、John Neuffer氏からのステートメントをリリース、Future Act(H.R. 4609)に向けてNational Institute of Standards and Technology(NIST)など下院Science, Space, and Technology委員会が承認しているいくつかの法案の下院通過を求めている旨。

このほど多彩な応用分野が含まれる$1 trillionインフラ法案が、上院を通過、以下の業界紙取り上げである。

◇Senate passes $1T infrastructure bill with 69 votes; Biden applauds (8月10日付け FierceElectronics)
→数ヶ月の論争を経て、米国上院にて火曜10日、$1 trillionインフラ法案が通過、broadband access, electric vehicle(EV)充電およびcybersecurity並びに道路、橋、鉄道および公共交通機関への多大な寄与への資金が含まれる旨。該法案は、議会の民主党員50人全員および上院少数党院内総務、Mitch McConnell氏(R-Kentucky)含め共和党員19人の支持を得て69-30で上院通過の旨。

◇Senate Passes $1 Trillion Infrastructure Bill, Handing Biden a Bipartisan Win-The approval came after months of negotiations and despite deficit concerns, reflecting an appetite in both parties for the long-awaited spending package. (8月10日付け The New York Times)

◇Dow, S&P 500 scale new peaks as $1 trln infrastructure bill passes (8月10日付け Reuters)
→インフラ法案上院通過を受けた指数変化:Dow 0.39%上昇, S&P 0.22%上昇, Nasdaq 0.24%下降

下院が待ち受ける状況があらわされている。

◇Senate passes $1 trillion bipartisan infrastructure bill, sending key part of Biden's economic agenda to the House-Senate poised to pass $1T infrastructure bill today (8月10日付け CNBC)
→*米上院が火曜10日、$1 trillion超党派インフラ法案を通し、民主党が経済agenda推進の旨。
 *議会は次に予算決議承認に移行、民主党が共和党の投票なしに$3.5 trillion spending法案を通せるもの。
 *下院は両方の計画の上院承認待ちの旨。

◇Smart transportation tech grants part of massive Senate package (8月11日付け FierceElectronics)
→総額規模$1 trillionに比べると、5年にわたり$500 millionのsmart tech助成は些細に見えるかもしれないが、smart輸送会社最大手でも該アプローチで元気づいている様相の旨。

◇Senate Passes Democrats' $3.5 Trillion Budget Blueprint -Democrats will face difficult choices as they work to transform the budget framework into detailed antipoverty and climate legislation (8月11日付け The Wall Street Journal)

波乱含みの下院審議と示されている。

◇米インフラ投資法案、上院が可決、財政赤字28兆円拡大 (8月11日付け 日経 電子版 07:22)
→米議会上院が10日、1兆ドル(約110兆円)規模の超党派インフラ投資法案を可決し、バイデン政権の看板政策が実現へ一歩近づいた旨。増税を封印したため財源の詰めは甘く、議会予算局(CBO)はこの法案で財政赤字が10年間に約2560億ドル拡大する恐れを指摘する旨。成立に必要な下院審議は波乱含み。

◇米インフラ法案財源、仮想通貨の課税強化で3兆円捻出 (8月11日付け 日経 電子版 08:22)
→米議会上院が10日、1兆ドル(約110兆円)規模の超党派インフラ投資法案を可決、財源の一つに位置づけるのが暗号資産(仮想通貨)取引に対する課税。今後10年間で280億ドル(約3兆円)の税収を見込む旨。課税強化に向けて、規制・監督体制の整備が進みそう。

下院での審議対決に引き続き注目するところである。

◇かりそめの超党派、インフラ投資法案、米議会対決の秋へ (8月12日付け 日経 電子版 05:05)
→バイデン米政権が重視する1兆ドル(約110兆円)規模のインフラ投資法案が10日、上院で可決され、実現へ一歩進んだ旨。老朽インフラを刷新するという共通課題に野党共和党からも賛成を得たが、かりそめの超党派協調となりそう。成立に必要な下院審議は数カ月かかる恐れもあり、対決の秋を迎える旨。

次に、現時点相次いで目立つSamsung関連の動きについてである。まずは、GoogleのTensor system-on-a-chip(SoC)が、SamsungのExynos 9855プロセッサのあるversionではないか、との見方があらわされている。

◇Google Pixel 6's Tensor could be an unreleased Samsung Exynos chip-Tensor chip in the Google Pixel 6 may have Samsung DNA -Samsung could have a huge hand in Tensor's development (8月9日付け Tom's Guide)
→GoogleのPixel 6 phoneに向けたTensor system-on-a-chip(SoC)デバイスが、Samsung Galaxyスマートフォンモデルで使われなかったSamsungのExynos 9855プロセッサの実際にあるversionである可能性の旨。Pixel 6自体については、AIおよびmachine learning(ML) capabilitiesの点からたくさんの明るい見込みがあるが、Tensorが本当にExynos 9855であれば、それ自体でも強力な半導体である可能性の旨。

新製品の発表、業界初のwearable機器向けEUVリソ使用5-nmプロセッサのお披露目である。

◇Samsung Exynos W920 officially confirmed coming to the Galaxy Watch 4-Samsung debuts 5nm processor for wearable gadgets (8月9日付け SlashGear)
→Samsung Electronicsが、Exynos W920プロセッサを投入、extreme ultraviolet(EUV) lithography技術でつくられた5-nanometer features搭載半導体の旨。Galaxy Watch 4 smartwatchに予定の該チップセットは、2つのArm Cortex-A55 CPU cores, power management integrated circuit(PMI), eMMC(embedded MultiMediaCard)データストレージおよびLPDDR4 RAMを特徴としている旨。

◇Samsung Introduces the Industry’s First 5nm Processor Powering the Next Generation of Wearables (8月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Samsung unveils new 5nm processor for wearable devices (8月10日付け Yonhap News Agency (South Korea))

Samsungがリードする折り畳みスマホ、価格を下げた新機種が発売されている。

◇サムスン、折り畳みスマホ2機種発売、値下げで普及狙う (8月12日付け 日経 電子版 05:03)
→韓国サムスン電子は11日、画面を折り畳めるスマートフォンの新製品2機種を発表、スマホを広げた時の画面サイズが7.6インチと6.7インチの2モデルで、現行モデル比でそれぞれ10%、28%値下げした旨。初代の折り畳みスマホ発売から2年がたち、普及を狙って価格帯を引き下げた旨。
横方向に画面を見開く「ギャラクシーZフォールド3」と、旧来型携帯電話(ガラケー)のように縦方向に開く「ギャラクシーZフリップ3」の2機種を発売、米国での販売価格はそれぞれ1799.99ドル(約19万9000円)と999.99ドルとした旨。

朴槿恵(パク・クネ)前大統領の親友への贈賄などの罪で服役していたSamsungトップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が、以下の通り仮釈放されている。制限付きながら今後の運営に注目である。

◇サムスントップ仮釈放へ、贈賄罪で有罪判決、経営復帰は制限 (8月10日付け 日経)
→韓国法務省は9日、サムスン電子トップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を13日に仮釈放すると発表、罪を免除・軽減する「赦免」とは異なり、経営復帰は一部制限される旨。国民の7割が李氏の釈放に賛成との世論調査もあり、文在寅(ムン・ジェイン)政権は来春の大統領選への影響を考慮したもよう。

◇サムスントップ仮釈放、李在鎔氏「国民に申し訳ない」 (8月13日付け 日経 電子版 10:54)
→韓国サムスン電子トップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が13日午前、仮釈放された旨。ソウル拘置所の正門前で報道陣の質問に応じた李氏は頭を下げ、「国民に申し訳ない」と話した旨。出所はしたものの経営復帰には一定の制限が課される見通し。

TSMCもさまざまな動きが見られており、まずは28-nmプロセスへの価格対応である。

◇TSMC to freeze quotes for 28nm process, sources say-Report: TSMC will maintain price quotes for 28nm devices (8月9日付け DIGITIMES)
→業界筋発。28-nmプロセス技術についての見積もりをすでに上げているTSMCが、今年後半を通して該価格の維持に移行の旨。

TSMCのドイツ工場検討について現地の反応である。

◇German tech hub seeks to woo TSMC-EUROPEAN CUSTOMERS: Silicon Saxony can develop chips for emerging applications and several automakers have factories nearby, the hub's chief executive officer said (8月9日付け Taipei Times)
→TSMCがドイツにおける工場建設の可能性を検討、Dresden, Germanyの半導体cluster、Silicon Saxonyが、ハイテクhubとしての強みを謳っている旨。

TSMCの7月売上げが、最高を記録した6月から大きく下げている。台湾のIT主要19社の7月売上げデータにも影響かと思われる。

◇TSMC posts decreased July revenue-TSMC's July revenue was $4.47B, 16% lower than June (8月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの7月売上げがNT$124.56 billion($4.47 billion)、前月、6月に記録した最高から16.1%減。前年同月比17.5%増。1-7月累計がNT$859.11 billion、前年同期比18.1%増。

◇台湾IT主要19社、7月6%増収、9カ月ぶり低成長 (8月12日付け 日経)
→米アップルなどに大量に製品を供給する台湾企業の勢いが大きく鈍ってきた旨。半導体と液晶パネルの不足が顕著で、需要があるにもかかわらず、製品を大量に作れない状況にある旨。日本経済新聞が台湾の主要IT、19社の7月の売上高の合計額を調べたところ、前年同月比で6%の増収にとどまった旨。9カ月ぶりの低成長で鈍化が鮮明。

TSMCの5-nmプロセスでのSoC開発に向けて、Synopsysのサポートである。

◇DDR5/DDR4 Solution for 5nm SoCs Launched-Synopsys offers DDR5/DDR4 memory tech for 5nm SoCs -Synopsys enables DDR4/DDR5 support on N5 designs. (8月11日付け Tom's Hardware)
→Synopsysが、DDR5/DDR4 physicalインタフェース&コントローラ技術を使用可能にし、TSMCの5-nanometerプロセスでsystem-on-a-chip(SoC)デバイスをつくる仕様の旨。該Synopsys半導体intellectual property(IP)は、DDR4およびDDR5のJEDEC-標準capabilitiesのすべてをサポートの旨。

Apple機器に向けた3-nm半導体の対応計画である。

◇TSMC to kick off 3nm chip production in 2H22 for Apple devices-Sources: TSMC plans 3nm chips for Apple devices (8月11日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、3-nanometerプロセス技術を2022年後半の間に量産化の予定、Mac computersあるいはiPhones用の半導体をつくっていく旨。

Arizonaの拠点づくりに対する資金準備が行われている。

◇TSMC to issue US$9bn of bonds in Taiwan, US (8月11日付け The Taipei Times (Taiwan))
→TSMCが、現在建設中のArizonaにおける12-インチウェーハfab拠点に資金に向けて最大総額$9 billionの債権を発行の旨。

Intelについて噂と特許侵害の2件。Huaweiのx86サーバ事業売却が、Intelの搭載半導体供給ライセンス期限と結びつく、と次の見方である。

◇Rumors swirl around Intel's role in sell-off of Huawei's x86 server operations-Industry sources say sell-off linked to expiration of Intel's license to supply Huawei-Report: Huawei's x86 servers are done in license issue (8月9日付け Taiwan News)
→ハイテク市場で起こっている噂、Huaweiのx86サーバ事業がIntelのHuaweiへのサーバ搭載半導体供給ライセンスが期限となった後でつぶれている旨。Huaweiはx86サーバoperationsを売却、最初に中国の国有企業を管理する中央政府評議会の省branchSuzhou(江蘇省蘇州市)のState-owned Assets Supervision and Administration Commission of the State Council(中華人民共和国国務院国有資産監督管理委員会)が継承、とLiberty Times発。

特許侵害係争でIntelの評決無効の要求を、裁判所が拒絶している。

◇Intel fails to overturn $2.18 billion patent verdict, plans appeal-$2.18B patent verdict vs. Intel is upheld; appeal planned (8月10日付け Reuters)
→Intel社に対し特許侵害でVLSI Technology LLCへの$2.18 billion支払いを求める陪審員の評決を無効にするIntelの要求を、米国裁判官が拒絶の旨。

以上の現時点、今後の成り行きにいずれも注目である。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□8月10日(火)

コロナの景気減速懸念で下げてスタートした今週の米国株式市場、残る4日はインフラ投資など期待感の高まりで最高値更新が連続している。

◇NYダウ106ドル安、中国でもデルタ型、景気減速を懸念 (日経 電子版 05:22)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比106ドル66セント(0.3%)安の3万5101ドル85セントで終えた旨。中国など世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、景気の不透明感を嫌気した売りが優勢だった旨。ダウ平均は前週末に過去最高値を付けた後とあって短期的な利益確定の売りも出やすかった旨。

□8月11日(水)

コロナ後の経済再開に向けたリスキリング(学び直し)が取り上げられている。

◇成長のカギ「学び直し」に、GDP700兆円底上げ競う-リスキリングで挑む(上) (日経 電子版 05:14)
→世界各国の政府や企業が働き手のリスキリング(学び直し)に動き出した旨。新型コロナウイルス収束後の経済再開をにらみ、デジタル関連など成長分野へ人材をシフトさせるため。労働移動による産業構造の変化が進めば、経済の押し上げ効果は世界で約700兆円に達するとの試算もある旨。スキルを高めて生産性を上げられるかどうかが各国の競争力を左右しそう。

◇NYダウ162ドル高、最高値更新、インフラ投資に期待 (日経 電子版 05:40)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比162ドル82セント(0.5%)高の3万5264ドル67セントと過去最高値を更新して終えた旨。1兆ドル規模の超党派インフラ投資法案を米議会上院が10日に可決し、景気回復を支えるとの期待が浮上した旨。素材や資本財など景気敏感株が買われ、指数を押し上げた旨。

□8月12日(木)

これもコロナ・インパクトか、労働週4日制が浮上している。

◇Four beats five as pandemic prompts shorter working week trials-The 4-day work week is gaining traction across the globe (Reuters)
→coronavirus pandemicが働くパターンをひっくり返し、旅行からハイテクまで世界中の雇用者が workersへのincentivesとして週4日制を提示の旨。

中国政府からも"バイ・チャイニーズ"のお達しである。

◇中国政府調達、国産を優先、医療機器など315品目、広範に、対中輸出に影響大きく (日経)
→中国が政府調達で外国製品の排除を進めていることが明らかになった旨。
地方政府への内部通知で医療や海洋、地質調査などに使う機器315品目の購入で国産品を購入するよう指示を出した旨。製品を輸入する外資企業に中国国内での生産を促す狙いもあり、各社の中国事業に大きな影響を与えそう。

◇NYダウ連日の最高値、220ドル高、インフレ懸念和らぐ (日経 電子版 05:59)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比220ドル30セント(0.6%)高の3万5484ドル97セントで終え、連日で過去最高値を更新した旨。11日朝発表の7月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、過度なインフレ懸念が和らいだ旨。米連邦準備理事会(FRB)が早期にテーパリング(量的緩和の縮小)に動くとの見方が後退し、株の買い安心感が広がった旨。

□8月13日(金)

◇NYダウ14ドル高、連日最高値、ハイテク株に見直し買い (日経 電子版 05:32)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸、前日比14ドル88セント(0.04%)高の3万5499ドル85セントで終え、連日で過去最高値を更新した旨。夏場以降に出遅れていたハイテク株に見直し買いが入り、ダウ平均を支えた旨。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の正常化が遅れるとの懸念がくすぶり、景気敏感株には売りが出た旨。

米国社会がかくも多様化、改めて知る実態である。

◇米の白人人口初の減少、2020年国勢調査、多様化進む (日経 電子版 08:19)
→米国勢調査局が12日に発表した2020年国勢調査の詳細によると、米国の白人人口(中南米系のヒスパニックを除く)が10年前の前回調査に比べて2.6%減少した旨。米メディアによると白人人口の減少は1790年の国勢調査の開始以来初めて。ヒスパニックやアジア系などのマイノリティー(少数派)が増加しており、米社会の多様化が進んでいる旨。

□8月14日(土)

◇NYダウ、4日連続で最高値、週間で306ドル高 (日経 電子版 06:03)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均が4日連続で過去最高値を更新、終値は前日比15ドル高の3万5515ドルで、週間の上昇幅は306ドルだった旨。米企業収益の拡大が続くとの期待が広がる中で、潤沢な運用マネーが株式市場に向かう構図が続いている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Robert N. Noyce Award】

Fairchild SemiconductorおよびIntelの共同創業者に因む半導体業界最高の栄誉、Robert N. Noyce Awardの今年の受賞者に、NVIDIAのFounder and CEO、Jensen Huang氏がSemiconductor Industry Association(SIA)により選ばれている。以下の業界各紙取り上げである。

◇NVIDIA Founder and CEO Jensen Huang to Receive Semiconductor Industry's Top Honor-Accelerated computing pioneer to accept 2021 Robert N. Noyce Award at SIA Awards Dinner on Nov. 18 (8月12日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)、本日発。NVIDIAのfounder and CEOでaccelerated computingプラットフォーム構築の先駆者、Jensen Huang氏を、該業界最高の栄誉、Robert N. Noyce Awardの2021年受賞者とする旨。

◇NVIDIA Founder and CEO Jensen Huang to Receive Semiconductor Industry's Top Honor (8月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Nvidia CEO Jensen Huang will receive the chip industry's top award (8月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇Nvidia founder Huang honored with top semi industry award (8月12日付け FierceElectronics)
→Huang氏は、1993年にNvidiaを創設、gaming市場で大量に用いられる3Dグラフィックスからスタート。gaming用GPUsが進展、いろいろなcomputers,ロボットなどに用いられている旨。

◇Nvidia's Jensen Huang to get semiconductor industry's highest honor-Nvidia CEO tapped to receive the Robert N. Noyce Award (8月12日付け VentureBeat)

GPUはじめ新分野開拓の旗手として説明を要しない同氏と思うが、AIプロセッサ市場のランキングで同社の圧倒的優位が示されている。

◇Nvidia has 80% share of AI processors, Omdia says, except… (8月12日付け FierceElectronics)
→OmdiaによるAIプロセッサ市場ランキング:
 1 Nvidia  2020年売上げ$3.2 billion(2019年 $1.8 billion) シェア80%
 2 Xilinx  FPGA製品
 3 Google  Tensor Processing Unit
 4 Intel   Habana AI ASSPsおよびAI cloudおよびデータセンターサーバおよびFPGAs
 5 AMD    cloudおよびデータセンター向けAI ASSPs
Intel Xeon CPUsは、OmdiaのAIプロセッサの定義に適合しないとしている旨。

【車載用MCU販売高】

半導体の不足、特に車載用が厳しい状況の中、今年の車載用MCU販売高が23%増と、IC Insightsの見方である。2022年14%増、2023年16%増と引き続く伸びとなっている。

◇Automotive MCU Sales to Surge 23% in 2021 Despite Shortages-32-bit designs are expected to generate almost 77% of automotive microcontroller revenues this year, followed by 18% from 16-bit and 6% from 8-bit, says Mid-Year Update report. (8月11日付け IC Insights)

◇Automotive MCU Sales to Surge 23% in 2021 Despite Shortages (8月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC InsightsのMid Year Update to The McClean Report 2021発。今年のmicrocontrollers(MCUs)の引き続く不足および組立ラインの一時閉鎖を迫られる自動車メーカーにも拘らず、2021年の経済回復の中で車載用MCU販売高が23%増の$7.6 billionと最高を記録する見込み、2022年14%増そして2023年16%増と続くと見る旨。

◇Auto MCUs to surge 23%-IC Insights: Auto MCU sales to increase 23% this year (8月12日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの予測。MCUsなど重要コンポーネントの引き続く不足にも拘らず、2021年の車載用microcontroller(MCU)販売高が23%の増加。今年の車載用MCUsの4分の3を上回って32-bit設計が占め、16%が16-bit MCUsから、6%が8-bit MCUsからきている旨。

【半導体の不足関連】

サーバ出荷への半導体の不足の影響があらわされている。

◇IC shortages to continue impacting 3Q21 server shipments, says Digitimes Research-Digitimes Research: Chip shortages crimp server shipments (8月11日付け DIGITIMES Research)
→2021年第二四半期のグローバルサーバ出荷が、Digitimes Researchの前四半期比14%増の見方より小さい増加となり、9%増止まり、主にICsなどコンポーネントの不足による旨。

車載用は来年まで逼迫との見方が続いている。

◇Automotive IC supply remains tight (8月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。車載用ICsの不足は緩み始めているが、2022年後半まで完全には楽になりそうにない旨。

電気自動車(EV)生産について、Teslaのトップ、Elon Musk氏からの直接的な煽りである。

◇テスラCEO、半導体不足でルネサスと独ボッシュを名指し (8月13日付け 日経 電子版 07:24)
→米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は12日、ルネサスエレクトロニクスと独ボッシュの2社による半導体の供給不足がテスラの電気自動車(EV)生産を阻害していると指摘、あえて特定のサプライヤーを名指しすることで、供給量を増やすようハッパをかける狙いとみられる旨。

【MediaTek関連】

米中摩擦の狭間にあるMediaTekの複雑な立ち位置を受け取る以下の内容である。

◇Is Taiwanese chipmaker MediaTek's dependency on China sustainable?-Can MediaTek rely on customers in China?-MediaTek is the top supplier of smartphone processors thanks to Chinese clients, but it must tread carefully amid the U.S.-China tech cold war (8月9日付け Taiwan News)
→MediaTekがHuawei Technologiesに向けてスマートフォン用プロセッサを供給し続ける一方、QualcommおよびTSMCはHuaweiとのビジネス遂行が制限されているが、MediaTekはHuaweiへのつながりを切ることを決めていると特に言及の旨。「MediaTekは台湾の会社であり、台湾のファブレス会社のほとんどすべてが米中貿易戦争に害されてはいない。」と、Gartnerのresearch vice president for semiconductor foundries、Samuel Wang氏。

MediaTekが、今後のmid-range 5Gスマートフォンに向けた6-nmプロセッサを発表している。

◇Mediatek reveals 5G smartphone chips-MediaTek launches 2 chips for 5G smartphones-MediaTek has announced 6nm processors aimed at 5G mobile phones. (8月11日付け Electronics Weekly (UK))
→MediaTekが、Dimensity 920およびDimensity 810 microchipsを投入、midrange 5G handsets向け。該920は6-nanometerプロセスで製造され、両デバイスともに今年第三四半期の間にphonemakersに入手可能となる旨。

◇MediaTek's latest Dimensity 920 and Dimensity 810 chips are destined for future mid-range 5G devices (8月11日付け 9to5Google)

【DRAM価格】

PC DRAM価格の本年四半期推移&予測が、TrendForceにより以下の通りあらわされている。

◇DRAM ASPs steadying-TrendForce: DRAM ASPs are stabilizing for second half (8月11日付け Electronics Weekly (UK))
→PC DRAMsの第三四半期の間の契約価格が、第二四半期の価格に比べて3% to 8%上昇、第一四半期から第二四半期にかけてより低下の旨。
TrendForce発で、業界筋はconsumer electronicsにとって鈍化の時節が始まる第四四半期に横ばいか僅かに下がるとしている旨。
※PC DRAM価格の前四半期比変化

1Q21
2Q21
3Q21
4Q21
約5%増
23-28%増
3-8%増
0-5%減

DRAM価格は、サプライヤ状況から見て、2022年に崩れそうもない、とモジュールメーカーの見方である。

◇DRAM prices unlikely to collapse in 2022, says Apacer president-Apacer exec: DRAM prices will be stable into 2022 (8月12日付け DIGITIMES)
→DRAMモジュールメーカー、Apacer Technologyのpresident、CK Chang氏。DRAM契約pricingにおける不安定性増大にも拘らず、価格は2022年に崩れそうもなく、主要サプライヤはfab capacities追加構築に依然用心深い旨。


≪グローバル雑学王−684≫

世界中が基本遵守の対応を余儀なくされているコロナ禍であるが、それ以後の時代をどう見るか。グローバルにあちこち行き来した、ついこの前の世界の先にある今後について、

『つながり過ぎた世界の先に』
 (マルクス・ガブリエル 著:PHP新書 1251) …2021年3月30日 第一版第一刷

より考えていく。ドイツの気鋭の哲学者の著者が論じるコロナの先の世界観そしてあるべき姿に触れてきたが、個人の生きざまのあり様についての最終章をもって本書の読み納めとなる。人類とは何か、人生の意味とは、など世界の根源や本質を見極める知的探究的な視点の見方があらわされている。気候変動はさらに深刻な、人類史上最大の危機である一方、パンデミック対策のロックダウン実施で2020年前半での世界の二酸化炭素排出量は8.8%減少に留まっているとのこと。あるべきことと、我々が実際にやっていることの乖離への警鐘である。デルタ株の世界的な拡がりで集団免疫の実効性が依然予断を許さない現状であるが、本書で示されるビジョンを今後に向けて頭を巡らず参考にと思う。


第V章 個人の生のあり方

1 新実存主義の人間観

◇物理的に実在するものは私ではない
・改めて人類とは何かということについて
 →私が「新実存主義」(Neo-Existentialism)と呼ぶ立場に基づいて
・人類は自分が何者かという概念を規定して、それに基づいて生きる動物だと思う
 →己が何者かという概念を持っているのは人間だけ
・新実存主義は、人間は自分が何者かという認識に基づいて行動すると考える
・物理的に実在するものは私ではない
 →それが人間

◇人間は自分が動物であるということを非常に恐れている
・人類と同じものは存在しない。それが人類であり、そのために我々は自由
 →人間は、自分たちが作り出した状況に適応できる
・人間の他には、自分が動物であることを問題視する動物はいない
 →我々人間は動物であるということを非常に恐れている

2 「神聖さ」が生じるとき

◇人生の意味とは
・生きることの意味は生きること
 →命はこの世で価値を生み出す唯一のもの
 →良い人生には、価値が内在
・人生の意味は、自分のライフライン(命綱)を見つける能力にかかっている
 →人はどんなことをしているときが幸せなのかを知る必要
 →幸せになれるゾーンを見つけられたら、それは自分の運命、その運命が幸せをもたらす

◇神の正体
・危機に直面したとき、人は神や神聖なるもの(神聖性)に触れたと感じる
 →その体験は実在する
 →私たちが実際に経験しているのは人生そのもの
・私の哲学では、神聖性とは、自分が「全体」とつながる経験であり、人間の限りなく複雑な感覚が感じとる現実に他ならない
・我々の日常の体験は限られたもの
 →我々には目の前の目標しか見えない
・人生の最も極限的な状況では、幻想のベールが剥がされる
 →人生の意味に触れるため、非常に深い体験となる
・人生の意味は、超越的(transcendent)ではなく、内在的(immanent)
 →生命そのものに宿るもの

◇父の死後に送られてきた不思議なメール
・父が亡くなる1週間前、父とある約束をした
 →父は死んでからメールを送ると約束
 →火葬された父の遺骨を見たその瞬間、メールの着信音が鳴り響いた
  →父が結婚式を挙げたノルウェーのある街に住んでいる人からのもの
 →たくさんの偶然の重なり、何の意味もないかもしれない
・人が死んだとき、周りの人はこの世を超越する何かに触れたような経験をする

3 「考える」とはどういうことか

◇人類が最も退歩した点
・人類は著しく進歩した一方で、退歩した面もある
 →特に自然科学やテクノロジーの発展から倫理を切り離したこと
 →20世紀における全体主義による戦争と原爆をもたらした
・今、人類は気候変動危機によって自滅しようとしている
 →気候変動はさらに深刻な、人類史上最大の危機
 →気候問題を解決するためには、相当な倫理的進歩が必要
  →技術的に解決することは不可能
  →より良いバッテリーを開発しなければならない
・パンデミック対策のロックダウン実施
 →世界の二酸化炭素排出量は8.8%減少(2020年上半期)
 →なぜこんなに少ししか減らなかったか
  →サーバのせい

◇理性的に行動するとは、「理由律」に従って行動すること
・人類はもっと理性的に行動すべき
 →「理由律」に従って行動すること
・理由律は、「すべての事象は説明可能だが、説明するには多様なツールが必要だ」という考え方
・統計的世界観に陥らないためには、我々には「状況の特殊性」を考慮する思考が必要
 →必要なのは量的思考ではなく、質的思考

◇「考える」とはどういうことか
・人間が考えるということ
 →考えを掴むこと
 →正しいかもしれないし、正しくないかもしれない物事を把握すること
・真実と虚構の違いは、思考があるところにしか存在しない
 →私は、思考は視覚と同様、感覚の一種だと思っている

◇人間の思考の弱点
・人間の思考の基本的な弱さ
 →物事を把握する力が、思考に関する誤った概念に脅かされる点
 →統計的世界観は思考に関する間違った考え

◇カントのいう「考えることは判断すること」は正しいか
・カントは、「考えることは判断すること」という
 →判断とは基本的に主語と述語の組み合わせ
・私は、人間は考えることによって現実を「把握する」のだと思う

◇我々が「生きている」ことを実感するとき
・カントは、美的な体験が重要だといっている
 →私もそれに同意
・高度な感覚的快楽はすべて、良い暮らしの一部
 →できるだけ多くの心地良い経験を人と共有すべき
 →何事もできるだけ楽しくあるべき
・芸術に触れることは、確実に人類の進歩に重要な役割を果たす

≪おわりに≫

・今回は東京・ドイツ間をZOOMで結んでインタビューを行った
 →ZOOMは今や、COVID-19が有無を言わせず作り出したニューノーマル
 →パンデミックが収束しても、ZOOMは仕事の一つのツールとして定着するのではないか
・地球という惑星が丸ごとパンデミックによって変わってしまった
 →経済、社会、政治すべての面で、今後の予測を立てるのが困難な状況に
・ガブリエルは本書で、行き詰っているといわれている資本主義に対して、哲学者として具体的な解決案とビジョンを提示
 →本書を丁寧に読めば、日々報道される皮相的なニュースに惑わされないようになると確信
・本書を読むことで、現象の本質を見極めるための思考法に触れていただければ幸い
        …インタビュアー:大野 和基

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