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インテルの2025年に追い抜くロードマップ、様々な反応、疑問視も

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜31日午前時点、世界全体で1億9722万人に達し、1週間前から約428万人増と約67万人の増加である。デルタ型感染拡大で、米国にてワクチン義務化が叫ばれ、我が国では首都圏3県・大阪への緊急事態宣言拡大が決定されている。M&Aの噂も見られて刻々の動きに目が離せないインテルが、こんどは半導体生産に関するロードマップ説明のオンラインイベント「Intel Accelerated」を開催、2025年には業界を先導する内容の展開を示している。従来表記では「1.8-nm」となるところを「Intel 18A」とangstrom単位での新表記である。これを受けて、業界では脅威とも、実行可能かと疑問視など、様々な反応があらわされている。

≪業界主導挽回のアプローチ≫

M&Aの噂、半導体の不足と、インテルのトップexecutivesの対応コメントが見られた週末である。

◇Intel's Gelsinger: M&A not critical, 'nor would we rule it out' (7月23日付け FierceElectronics)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、同社第二四半期earnings callにて、IntelがGlobalFoundries買収を検討という報道の渦中、ファウンドリー重点のM&Aに中立的なトーンを打ち出した旨。同社はまた、この3月に打ち上げ以降Intel Foundry Services(IFS)事業を素早く構築、と加えている旨。IntelがGF買収の話し合いにあるという報道に関して、Gelsinger氏はアナリストの問いに応えて、「明らかに、聞かれている憶測について特にコメントはできないが、IFS事業の構築には非常に満足している。」と、該earnings callのMotley Fool複写から。

◇Intel warns of CPU stock shortages in near future-Intel CFO says CPU shortages to begin during Q3 -Intel CFO says to expect ‘acute’ supply problems in Q3 (7月25日付け TechRadar)
→Intelのchief financial officer(CFO), George Davis氏。グローバルな半導体の不足が1-2年、たぶんに2023年まで続く様相という同社CEO、Pat Gelsinger氏の最近の見方に続いて、第三四半期(今から9月まで)に"激しい"供給不足がある旨。

週明け早々、インテルのプロセス&実装技術ロードマップが披露され、以下の通りいろいろな角度から業界紙の取り上げが続いている。

◇Intel seeks to soar again on new process and packaging roadmap (7月26日付け FierceElectronics)
→Intelが、プロセス&実装技術ロードマップを披露、2025年まで同社を引っ張り、業界の流れを反映する新しいnode naming戦略、並びに今後の半導体設計を根本的に変える新しいトランジスタ・アーキテクチャー、新しい電源供給設計などが含まれる旨。
OregonおよびArizonaでの同社米国製造拠点で行われる革新につながるこれらすべての動きに加えて、同社はまた、Intel Foundry Services(IFS) offeringsに向けた最初の2つの顧客、QualcommおよびAWSも発表の旨。

ロードマップの中身概要が次にあらわされている。nodeの新しい表記、そしてそれぞれを実現する新技術が示されている。

◇2025年までに「1.8nm相当」に――Intelが半導体生産のロードマップを説明 (7月27日付け YAHOO! JAPANニュース)
→Intelは7月26日(米国太平洋夏時間)、同社の半導体生産に関するロードマップを説明するオンラインイベント「Intel Accelerated」を開催、このイベントでは、2025年までのロードマップと、その背景技術に関する解説が行われた旨。半導体パッケージング(ノード)の新名称を披露、Dr. Ann Kelleher氏(上席副社長兼テクノロジー開発部門本部長)が説明。
 Intel 7(2021年内に登場予定)
  …従来「10nm Enhanced SuperFin」:「10nm SuperFin」をベース
 Intel 4(2022年後半に生産開始予定)
  …従来「Intel 7nm」。Intelとしては初めての7nmプロセスパッケージ。製造過程でEUVリソグラフィー用いることで、半導体の集積度を高めた。
 Intel 3(2023年後半に生産開始予定)
  …Intel 4を改良
 Intel 20A(2024年に生産開始予定)
  …新たな電源半導体「RibbonFET」とIntel独自の裏面電源供給技術「PowerVia」を組み合わせたパッケージ。FinFET以来となる新しい電源半導体であるRibbonFETは、実装面積を縮小している。
 Intel 18A(2025年初頭に生産開始予定)
  …Intel 20Aを改善した製品

◇Intel's Process Roadmap to 2025: with 4nm, 3nm, 20A and 18A?! (7月26日付け AnandTech)

◇Intel Charts Manufacturing Course to 2025-Intel details process roadmap for 5 years -The company's roadmap includes a new transistor architecture, and new interconnect (7月27日付け EE Times)
→Intelが、同社10-nanometerプロセス技術を引き続き10 nanometersと表わす一方、向こう4年についてプロセスnomenclaturesの大きな変更を計画の旨。SuperFinとしても知られる10nmの次のnodeがIntel 7と示される一方、7nmはIntel 4と新たに命名、Intel 3がそれに続き、angstrom node時代では該nodesを20Aおよび18Aとして指す旨。

“chiplets”など三次元実装技術が、新たな顧客獲得に向けて盛り込まれている。

◇EXPLAINER-Intel banks on 3D chip technology to win over new customers (7月26日付け Reuters)
→半導体製造における最新の競争として、単一の大きな半導体をつくろうとするのではなく、取り出した微小なsquares、“chiplets”あるいは“tiles”の重ね合わせである旨。

◇Intel、2025年に向けたテクノロジーロードマップを公開 (7月27日付け マイナビニュース)
→*プロセスノードの呼称をx-nmから「Intel x」に変更
 *EUVの本格採用はIntel 4から
 *2.5D/3Dパッケージング技術も進化

インテルのファウンドリー事業の新しい顧客として、AmazonおよびQualcommが今回発表されている。

◇Intel just announced 2 big new customers - It will be making chips for Amazon and Qualcomm (7月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Amazon Web Servicesが、Intel Foundry Service(IFS)の最初の顧客の1つになる旨。Intelは、2025年にライバル、Qualcomm向けに半導体をつくり始める旨。

◇米インテル、2025年に業界リーダー狙う -微細化ロードマップ公開 (7月27日付け 電波新聞)
→米インテルは26日、半導体製造技術に関する説明会をオンラインで開催した旨。パット・ゲルシンガーCEOは微細化とパッケージング両面で開発を加速させ、「2025年に製造技術で業界リーダーになる」と宣言。ファウンドリー事業で、米クアルコムやAWSから受注したことも明らかにした旨。

◇Intel to build Qualcomm chips, aims to catch foundry rivals by 2025 (7月27日付け Reuters)

◇米インテル、米クアルコムから半導体生産を受託 (7月27日付け 日経 電子版 09:30)
→米インテルは26日、半導体の製造技術に関する説明会を開いた。同社は台湾積体電路製造(TSMC)などに半導体の性能を左右する微細化で後れをとってきたが、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「2025年に業界首位になる」と説明。受託生産事業で米クアルコムなどから受注したことも明らかにした旨。

東京五輪が始まって日々熱戦であるが、開会式のテレビ中継でハッとさせられた地球をかたどったドローンのショーは、インテルが担当とのこと。一服の情報である。

◇五輪の最新技術、スマホやPCに、インテル副社長リック・エチェバリア(Rick Echevarria)氏 (7月27日付け 日経産業)
→東京五輪の開会式で注目を集めたドローンのショーは米インテルが担当した旨。同社は2017年に国際オリンピック委員会の技術パートナーとなり、プロセッサを核に大量の情報をやり取りし、処理する技術を支える旨。スポーツテックは今後どう進化していくのか。

2025年には少なくとも業界を先導するという内容のインテルの発表を受けて、様々な反応が続いている。まずは、疑問符がつくタイトルである。

◇Intel has new roadmap, but can it stay on course? (7月28日付け FierceElectronics)
→Intelが、いくつかの技術革新にてこ入れするmulti-year processingおよび実装技術ロードマップを今週始め披露、最先端を取り戻し、ライバルからの圧力に屈しようとしない大胆な宣言であった旨。しかし、今の問題として、Intelはロードマップのすべてのmilestonesに遅れなく到達できるのか?「それが誰もが問うていること」と、IDCの半導体リサーチdirector for enabling technologies、Ben Sheen氏。

◇Intel: Back on Top by 2025? -Silicon giant bets on nanosheet devices and new on-chip power distribution tech (7月30日付け IEEE Spectrum)

インテルとTSMCに挟まれそう、と脅威の論調の一方、疑問符も見られる韓国発の記事である。

◇米インテルの宣戦布告「2025年にファウンドリー分野でサムスン・TSMC抜く」 (7月28日付け 韓国・朝鮮日報)
→*TSMCとサムスン電子が来年、3-nm製造プロセスによる半導体の量産を目標にしているが、現在7-nm製造プロセスを開発しているインテルが4年間での形勢逆転を宣言した格好
 *インテルは、TSMCとサムスン電子が技術力の重要指標としている「ナノ競争」は誇張されているとまで批判、TSMC・サムスンとインテルの技術格差は大きくないとの主張
 *インテルの計画が現実となれば、サムスン電子には大きな脅威、サムスン電子は5-nm半導体の量産に苦しんでおり、TSMCとの格差をなかなか縮められずにいる
 *サムスン電子はTSMCとインテルに挟まれたサンドイッチ状態になりかねない
 *一部からはインテルのロードマップがあまりにバラ色すぎるとの指摘も

米国の総力をあげた戦いとの見方である。

◇米半導体、復権へ総力戦、インテル、クアルコムから生産受託 (7月28日付け 日経)
→米国が半導体産業の復権に向け総力を挙げ始めた旨。米インテルは26日、技術説明会でスマートフォン向け半導体大手の米クアルコムとクラウド最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から生産を受託したと発表した旨。バイデン政権は国内生産への回帰を進めており、半導体を使用する関連産業や、国や地域も巻き込んだ総力戦になりつつある旨。

米国株式市場では、期待外れの反応が見られている。

◇米インテル――6カ月ぶり安値、新製品計画に失望売り(InvestmentRadar) (7月29日付け 日経)
→27日の米株式市場で半導体大手のインテルが反落し、一時前日比3.7%安の52.31ドルと6カ月ぶりの安値をつけた旨。26日夕の技術説明会で2025年までの新製品の投入計画などを発表したが、期待ほどの内容ではないとの見方が多く失望売りを呼び込んだ旨。
インテルは近年、工場を持たないファブレス企業に押され、競争力の低下が問題とされてきた旨。

インテルは5年でTSMCと張り合える、と台湾発である。

◇Intel could challenge TSMC in next 5 years-Sources: Intel may catch up to TSMC within next 5 years (7月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Intel Foundry Services(IFS)は、同社のプロセス技術ロードマップ通りとして、2025年までにシリコンファウンドリー事業においてTSMCと張り合える可能性の旨。IFSはすでに、モバイルcomputingプラットフォームに入る半導体製造で用いるIntelの20-angstromプロセスnodeのclientとして、長年のTSMCの顧客、Qualcommを引きつけている旨。

半導体生産の現実に立ち返ると、伸びる中国、低下する米国の見方があらわされている。

◇While Industry Booms, China Worries Mount (7月28日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→中国の半導体生産全体比率がぐんぐん伸びる一方、Americas地域は低下、Washingtonに警鐘を鳴らしている旨。「この流れが続いており、Americasは来年さらに1%低下、そして中国が差を広げていく。」と、SEMIのsenior principalアナリスト、Christian Dieseldorff氏。

さて、現状の最先端を引っ張るTSMCの動きに注目。ドイツそして日本での新工場関連が以下の通りである。

◇Chipmaker TSMC says too early to say on Germany expansion-TSMC chairman: Too soon to commit to fab in Germany (7月25日付け Reuters)
→TSMCのChairman、Mark Liu氏が、同社の年次総会にて株主に対し、TSMCはドイツでの新しいウェーハfab拠点の建設はまだ進めていない旨。Liu氏が特に言及、TSMCは日本でのfab建設についてdue diligenceを行っており、Arizonaにおいて新しいfabに着手開始、2024年までに量産開始予定の旨。

◇TSMC in early stage talks over new German fab possibility (7月26日付け DIGITIMES)
→ドイツでの新しいfab設立のfeasibilityを巡って、TSMCは顧客と話し合う初期段階にある、と7月26日の同社年次総会にて株主に対しchairman、Mark Liu氏。

◇TSMCトップ「日本は生産コスト高い」、半導体新工場巡り、株主総会で (7月27日付け 日経)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は26日、定時株主総会を開き、経営トップの劉徳音董事長は、日本で検討中の半導体生産について「日本の生産コストは台湾に比べて非常に高い」との認識を示した旨。そのうえで「コストの差を縮められるように顧客と話し合い、積極的に協力していきたい」と述べた旨。

◇TSMC on track for bold overseas manufacturing deployments (7月28日付け DIGITIMES)
→米国での5-nm半導体fab工場設立および中国でのファウンドリーcapacity拡大の動きに続いて、TSMCがclients対応改善に向けて日本およびドイツでfabsを建設する意向を最近確認の旨。

インテルそしてTSMCの動きに引き続き注目である。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□7月27日(火)

感染拡大対応、米国でのワクチン義務化、そして接種者もマスク着用、と続いていく。

◇米ワクチン義務化、公務員も、NY市や加州が全職員に (日経 電子版 05:50)
→米国でワクチン接種を義務化する動きが公務員にも広がってきた旨。米ニューヨーク市やカリフォルニア州が全職員を対象に実施するほか、米退役軍人省も連邦政府機関として初めて義務づける旨。

各社業績発表を控える今週、好決算期待で過去最高値更新でスタートしたが、下げて上げてまた下げる米国株式市場である。

◇NYダウ最高値更新、82ドル高、企業の好決算を期待 (日経 電子版 07:32)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前週末比82ドル76セント(0.2%)高の3万5144ドル31セントと過去最高値を更新した旨。朝方は中国当局によるネット企業などへの規制強化を懸念した売りが先行した旨。もっとも、今週は主力ハイテク株を中心に米企業の決算発表がピークを迎えるため、好決算を期待した買いが次第に優勢になった旨。


□7月28日(水)

◇NYダウ反落85ドル安、ハイテク株に売り、中国株安重荷 (日経 電子版 05:29)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、前日比85ドル79セント(0.2%)安の3万5058ドル52セントで終えた旨。前日まで連日で過去最高値を更新し、目先の利益を確定する売りが優勢だった旨。中国政府がインターネット企業への規制を強化する中、香港株と上海株が大幅安になったのも投資家心理の重荷だった旨。

◇米、接種者もマスク着用を、感染拡大地域で方針転換 (日経 電子版 06:53)
→米疾病対策センター(CDC)は27日、新型コロナウイルスの感染が広がっている地域で、ワクチン接種を終えた人も屋内でマスクを着用するよう勧告した旨。これまで接種者はマスク不要としていたが、感染力の強いインド型(デルタ型)の流行を受けて方針転換した旨。


□7月29日(木)

◇NYダウ続落、127ドル安、デルタ型の感染拡大を懸念 (日経 電子版 05:22)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比127ドル59セント(0.4%)安の3万4930ドル93セントで終えた旨。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大による世界経済の先行き懸念から売りが優勢になった旨。

米国の4-6月四半期GDPが発表され、コロナ前の水準を回復している。

◇U.S. GDP rose 6.5% last quarter, well below expectations-At 6.5%, Q2 GDP disappoints expectations (CNBC)
→米国商務省が木曜29日、第二四半期GDPについて6.5%と最初の評価、Dow Jonesの8.4%をかなり下回る旨。失業保険初期申請も、380,000の予想を上回る400,000と、予想を外れている旨。

□7月30日(金)

◇米GDP6.5%成長、4〜6月、コロナ前の水準回復 (日経 電子版 05:13)
→米商務省が29日発表した2021年4〜6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で6.5%増えた旨。成長率は市場の事前予測(8.5%程度)を下回ったものの、GDPの規模は新型コロナウイルス危機の前である2019年10〜12月期の水準を回復した旨。

◇NYダウ反発、153ドル高、早期のテーパリング観測後退で (日経 電子版 05:36)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比153ドル60セント(0.4%)高の3万5084ドル53セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が早期にテーパリング(量的緩和の縮小)に動くとの観測が後退し、株式市場に資金流入が続くとみた買いが優勢となった旨。相対的に売られていた景気敏感株が買い直され、指数を押し上げた旨。

ここにきての感染拡大、我が国での緊急事態宣言適用拡大の決定である。

◇首都圏3県・大阪への宣言拡大決定、東京・沖縄は延長−重点措置、5道府県追加 (日経 電子版 17:17)
→政府は30日の新型コロナウイルス対策本部で、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府に新型コロナ対策の緊急事態宣言を発令すると決定、期間は8月2〜31日まで。8月22日までの東京都と沖縄県への宣言も31日まで延長する旨。宣言の対象は計6都府県に広がる旨。飲食店の酒類提供は一律停止する旨。

□7月31日(土)

◇NYダウ反落149ドル安、Amazon急落でハイテク株売り (日経 電子版 05:43)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比149ドル06セント(0.4%)安の3万4935ドル47セントで終えた旨。29日夕に四半期決算を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムが急落し、投資家心理が悪化。主力ハイテク株に売りが波及したほか、月末とあって持ち高調整の売りが景気敏感株の一角に目立った旨。


≪市場実態PickUp≫

【好調な各社業績発表】

巣籠もり、DX(Digital Transformation)というキーワードが需要を牽引、非常に好調な内容の業績発表が相次いでいる。半導体関連、以下の通りである。

[AMD]

◇AMD posts killer quarter as it chases Intel into data centers (7月27日付け FierceElectronics)
→AMDの第二四半期売上げが$3.85 billion、前四半期比12%増、前年同期比99%増。非常に大きく引っ張ったのがenterprise分野、前年同期比183%増の$1.6 billion。

◇UPDATE 2-AMD forecasts revenue above estimates on strong chip demand-AMD sees robust demand for its chips (7月27日付け Reuters)
→Advanced Micro Devices(AMD)の第二四半期売上げが、前年同期比ほぼ倍増の$3.85 billion、一方、net incomeが$778 millionに増大の旨。「我々の事業すべてにわたって需要が非常に力強い」と同社EO、Lisa Su氏。

◇AMD CEO: Processor shipments will grow despite chip shortage and improve more in 2022 (7月27日付け VentureBeat)

[Samsung]

◇Samsung Elec sees strong chip demand, mobile recovery as Q2 profit jumps (7月28日付け Reuters)

◇Samsung profit hits 3-year high on chip boom -Samsung posts Q2 profit of $8.3B on memory chip demand -Touts continued tech prowess in memory field; says will make ’meaningful‘ M&A deal in 3 years (7月29日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsの第二四半期net profitが$8.3 billionに達し、前年同期比73.4%増、メモリ半導体の需要が力強く、今年いっぱい続く見込みの旨。第二四半期operating profitが前年同期比54.3%増の一方、販売高は同20%を上回る増加、第二四半期として最高の旨。

◇Samsung delivers robust Q2 earnings on chip biz recovery, one-off gain (7月29日付け The Korea Times (Seoul))

[SK hynix]

◇韓国SK、純利益57%増、4〜6月、メモリ需要堅調で (7月28日付け 日経)
→韓国半導体大手のSKハイニックスが27日発表した2021年4〜6月期業績。売上高が前年同期比20%増の10兆3217億ウォン、営業利益が同38%増の2兆6946億ウォン、連結純利益が同57%増の1兆9884億ウォン(約1900億円)。パソコンやゲーム、サーバ向けの半導体メモリの需要が引き続き堅調で、メモリ価格を押し上げた旨。

◇SK hynix expects to revive 2018 peak this year after Q2 best score since then-Happy days are back for memory chips, SK Hynix says (7月27日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SK hynix社が、DRAMがincomeおよび売上げを3年前のsuper cycle以来の最善に焚きつけ、NAND需要が後半の業績を戻す見込みから2018年のpeak yearに匹敵する自信がある旨。

[Mediatek]

◇メディアテック最高益、4〜6月、5Gスマホ向け好調 (7月28日付け 日経)
→半導体設計開発の台湾最大手である聯発科技(メディアテック)が27日発表した2021年4〜6月期決算。純利益が前年同期比3.8倍の275億台湾ドル(約1075億円)と大きく増え、売上高も同86%増の1256億台湾ドルで、純利益とともに四半期ベースで過去最高を記録した旨。高速通信規格「5G」対応のスマートフォン向けの需要が伸びている旨。

[UMC]

◇台湾UMC、79%増益、4〜6月最終、半導体不足「年末以降も」 (7月29日付け 日経)
→台湾半導体大手の聯華電子(UMC)が28日発表した2021年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比79%増の119億台湾ドル(約470億円)と大幅に増えた旨。売上高は同15%増の509億台湾ドルと、四半期ベースで過去最高を記録した旨。世界的な半導体不足は「2021年末以降も続く」とした旨。

そして、火災を克服、上げてきているルネサスエレクトロニクスである。

◇ルネサス純利益、1〜6月62%増、車・FA需要増 (7月30日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスが29日に発表した2021年1〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比62%増の377億円。自動車生産の回復に加え、ファクトリーオートメーション(FA)機器など産業向けの需要増で半導体の販売が好調だった旨。工場稼働率も改善し、3月に発生した火災による出荷減や原状回復費などのマイナス影響を吸収した旨。売上収益は同22%増の4215億円と4月末時点の計画(4076億円前後)を上回った旨。

極めつけは、GAFAであらわされる米国巨大ITの急成長ぶりである。今後に火種の懸念も示されている。

◇Apple's profits nearly doubled in latest quarter (7月28日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇Apple、4〜6月は36%増収、5G対応iPhoneが好調 (7月28日付け 日経 電子版 07:37)
→米アップルが27日発表した2021年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比36%増の$81.434 billion(約8兆9300億円)、最終利益が同1.9倍の$21.744 billion。高速通信規格「5G」の本格普及に伴って主力商品であるスマートフォン「iPhone」の買い替えが進み、売上高と最終利益はいずれも4〜6月期として過去最高を更新した旨。

◇米巨大IT、異例の急成長、4〜6月純利益88%増 (7月30日付け 日経 電子版 16:49)
→米巨大IT企業の利益が急増している旨。29日までに2021年4〜6月期決算を発表したアップルなど主要5社の純利益を合算すると748億9900万ドル(約8兆2000億円)となり、前年同期比で88%増えた旨。新型コロナウイルスの流行により社会のデジタル化が加速した影響が続いているため。ただ、異例の成長は新たな火種となりかねない旨。

【Apple関連】

そのAppleについて、次期iPhone搭載のA15半導体のTSMCへの製造発注が踏み上げられている。

◇Apple is reportedly amassing A15 chips for the iPhone 13 launch-Report: Apple orders 100M more A15 chips for iPhone 13-Supply chain sources tell CNBeta that Apple has ordered 100 million more A15 chips from TSMC for the next iPhone's big debut. (7月26日付け CNET)
→supply chain筋を引用、CNBeta website発。Appleが、次期iPhone 13モデルに入るA15半導体をさらに100 million個の製造をTSMCに発注の旨。該custom A15プロセッサは、新しいiPad Miniモデルで使用とも噂される旨。

Appleの好業績にも忍び寄る半導体の不足の影である。今後に目が離せないところである。

◇Apple's iPhone hot streak is going to run into the global chip shortage-The iPhone 12 drives "blowout quarter;" will iPhone 13 fall? -Global chip shortage poised to affect Apple's iPhone sales (7月27日付け CNBC)
→*Appleが火曜27日、突出した四半期業績を発表、iPhonesの販売高が引っ張り、年間50%増の$39 billion。
 *iPhoneは、昨年のiPhone 12リリースが引っ張って連勝中、2017年以来の大きな再設計の旨。
 *しかしAppleは今、自動車会社および中小ハイテク会社を混乱させている問題に直面、比較的先端でない半導体の業界全体規模の不足の旨。

◇Apple sees the chip crunch hitting popular iPhones (7月28日付け FierceElectronics)
→Appleが、半導体の不足に脆弱性があり、自動車メーカーおよびゲーム機プロバイダーなどと同じに置かれる旨。火曜27日のアナリストとのearnings callで、AppleのCFO、Luca Maestra氏が、主にiPhonesおよびiPadsの販売に影響を与えるシリコン"供給制約"について警告の旨。

◇iPhoneにも半導体不足の波、Apple、7〜9月の成長減速 (7月28日付け 日経 電子版 11:00)
→世界的な半導体不足の波が米アップルの業績にも及んできた旨。同社が27日発表した2021年4〜6月期決算で、パソコン「Mac」やタブレット端末「iPad」の売上高伸び率は前年同期比10%台と、1〜3月期の同70%台から大きく落ち込んだ旨。半導体不足で製品の供給が制約されたため。7〜9月期には主力のスマートフォン「iPhone」にも影響し、成長が減速する見通し。

【Micronの176-層NAND】

Micron Technologyが、世界初、スマホ向け176-層Universal Flash Storage(UFS) NANDメモリのvolume出荷を始めている。5Gがもたらす可能性の最大限実現が謳われている。

◇First 176-Layer NAND mobile solution (7月29日付け New Electronics)

◇Micron Launches World's First 176-Layer NAND in Mobile Solutions (7月29日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Micron Technology社が、世界初、176-層NAND Universal Flash Storage(UFS) 3.1モバイルソリューションのvolume出荷を開始の旨。

◇Micron shipping 176-layer 512GB UFS mobile NAND-Micron starts volume shipments of UFS mobile NAND (7月30日付け Electronics Weekly (UK))
→Micron Technologyが、スマートフォンなどモバイル機器用に176-層Universal Flash Storage(UFS) NANDメモリのvolume出荷を開始の旨。
「5Gによりモバイル機器にmultigigabitの速度が得られ、高性能ハードウェアの基礎はlightning-fastモバイルexperiencesに非常に重要」と、MicronのMobile Business Unit、senior vice president and general manager、Raj Talluri氏。

【製造装置・材料関連データ】

SEMIより、まずは毎月の北米半導体装置メーカーの世界billingsであるが、この6月について以下の通り非常に大きな伸びが続いている。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Dazzles with Historic Growth in First Half of 2021 (7月26日付け SEMI)

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts June 2021 Billings (7月27日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのJune Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report。北米半導体装置メーカーの2021年7月の世界billingsが$3.67 billion(3ヶ月平均ベース)、前月、2021年5月の最終billings、$3.59 billionを2.3%上回り、前年同月、2020年6月の$2.32 billionを58.4%上回る旨。
「2021年前半の半導体装置市場は非常に大きな伸びを示している。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。「革新および経済ディジタル化が解き放つ技術に必要な半導体需要が引き続き伸びて、設備投資の高まりから業界における構造的移行が見られている。」

Billings
Year-Over-Year
(3ヶ月平均)
January 2021
$3,038.2
29.8%
February 2021
$3,143.1
32.4%
March 2021
$3,273.9
47.9%
April 2021
$3,428.9
50.3%
May 2021 (final)
$3,588.5
53.1%
June 2021 (prelim)
$3,671.3
58.4%
[Source: SEMI (www.semi.org), July 2021]

次に、世界シリコンウェーハ面積出荷の四半期データであるが、これも史上最高更新が続いている。

◇Silicon Wafer Shipments Reach New High in Second Quarter 2021, SEMI Reports (7月27日付け SEMI)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界四半期分析。2021年第二四半期の世界シリコンウェーハ面積出荷が、前四半期比6%増の3,534 million square inches(MSIs)、前四半期に記録した史上最高を上回る旨。前年同期比では12%増。
※Silicon Area Shipment Trends - Semiconductor Applications Only
                (単位:Millions of Square Inches)

1Q 2020
2Q 2020
3Q 2020
4Q 2020
1Q 2021
2Q 2021
Total
2,920
3,152
3,135
3,200
3,337
3,534

[Source: SEMI (www.semi.org), July 2021]

我が国半導体製造装置の販売高は、6月について以下の見え方である。

◇6月の半導体装置販売、18.3%減6カ月ぶりマイナス SEAJ調べ (7月29日付け 日刊工業)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ、東京都千代田区)が28日発表した日本製半導体製造装置の6月の販売高(速報値、4-6月の3カ月平均)が前月比18.3%減の2495億100万円で、6カ月ぶりマイナスに転じた旨。年度末の駆け込み需要と半導体市場の活況が重なって記録的な数字となった3月単月の販売高が、6月以降含まれなくなったことが主な要因。

【中国市場関連】

立て直しに向けて資金獲得を図るTsinghua Unigroupの現況が、次のようにあらわされている。

◇Bankrupt Tsinghua Unigroup advertises for investors-Tsinghua Unigroup seeks a big bailout from investors (7月26日付け Electronics Weekly (UK))
→負債$30.8 billionで破産しているTsinghua Unigroupが、投資家から資金注入を得ようとしている旨。中国・National Enterprise Bankruptcy Information Disclosure Platformは、同社はminimum total assetsで$7.7 billionあるいは総額$3 billionのminimum net assetsを必要としている旨。

米国の制裁下にあるHuaweiであるが、新しいflagshipモデルのスマホが5G対応でない状況となっている。

◇Huawei launches new smartphones without 5G as U.S. sanctions, chip shortage bite-Huawei markets smartphones without 5G capabilities (7月29日付け CNBC)
→Huawei Technologiesが、P50およびP50 Proスマートフォンを投入、同社への米国の制裁および重要コンポーネントの世界的不足により5Gインターネットサービスは装備していない旨。該2つの新しいhandsetモデルは、Qualcomm 4Gチップセット搭載の旨。

◇ファーウェイ新旗艦スマホ、5G非対応、米規制が影響か (7月30日付け 日経 電子版 05:25)
→中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は29日、新しい旗艦スマホ「P50」を8月中旬から中国で順次発売すると発表、高速通信規格「5G」には対応せず、一世代前の「4G」の技術を使う旨。米政府による規制で半導体の調達を厳しく制限されるなか、5Gに必要な部品の確保が難しい状況を反映しているとみられる旨。

【ワクチン義務化】

新型コロナ感染拡大、特にデルタ株のそれで、米国IT大手での出社再開の延期、そしてワクチン接種の義務化の動きが、以下の通り見られている。

◇Google and Facebook will require workers to be vaccinated against Covid-19 (7月28日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→デルタ変異株が急拡大、Silicon Valley雇用最大の2社が、オフィスで働く従業員に対しCovid-19ワクチン接種を必要とする旨。

◇Google、社員の出社再開を10月に延期、ワクチン義務づけ (7月29日付け 日経 電子版 07:57)
→米IT大手の間でオフィスの再開を遅らせる動きが広がってきた旨。グーグルは28日、出社再開の時期を9月から10月18日に延期し、新型コロナウイルスのワクチン接種を出社の条件とすることを明らかにした旨。感染が再び広がっており、ほかの企業の再開計画に影響を与える可能性もある旨。


≪グローバル雑学王−682≫

世界中が基本遵守の対応を余儀なくされているコロナ禍であるが、それ以後の時代をどう見るか。グローバルにあちこち行き来した、ついこの前の世界の先にある今後について、

『つながり過ぎた世界の先に』
 (マルクス・ガブリエル 著:PHP新書 1251) …2021年3月30日 第一版第一刷

より考えていく。3回にわたった「国と国のつながり」から、今回は他者とのつながりの持ち方、あるべき姿をこの若き哲学者の著者が論じている。ソーシャルメディアについて、押し付けてくると批判的な目。確かにそのような感じ方もあり、小生も基本受けるのみとなっている。次に、日本人特有のコミュニケーションと、いぶかる見方があらわされている。賛否をリスト化して、最後にそれを二人で眺め、合理的な根拠を検討する、という手順に賛同しながらも、馴れていく努力の必要を感じている。ドイツ人のコミュニケーションに触れているが、小生の印象的な2点。かつてドイツの顧客を訪問、ランチでビール、ワインがけっこうに出てきたこと。そして、ミュンヘンのオクトーバーフェストの広大なテントのテーブルで飲み明かす集合写真で、いつのまにやら知らない現地の方が笑顔で混じっていたこと。最後に、「一人でいること」と「孤独」の区別、お年寄りのあり様にも言及、これは賛同である。


第III章 他者とのつながり

1 自己を押し付けるソーシャルメディア

◇自由民主主義を弱体化させる危険なドラッグ
・消費者行動を操作するソーシャルメディアのアルゴリズム
 →基本的に我々を他人と対抗させる機能を持っている
・グーグルのサーチエンジン
 →DuckDuckGo(個人情報の収集を一切行わず、プライベートブラウジングモードでも行動の追跡を行わない検索エンジン)とは違って、人が検索したくないものを、無理に検索させる機能を持っている
 →グーグルとDuckDuckGoの違いはAI
・すべてのソーシャルメディアに共通
 →似たような技術を用いてユーザを分極化、できるだけ彼らがオンラインに止まる時間を延ばそうとしている
・トークショーのような伝統的なメディア
 →異なる意見を視聴者に提示した上で合意点を求めて論争を解決しようとする倫理的側面
・一方、アメリカのソーシャルメディアでは、このような組織的制御がまったく機能しない
 →端的にいうと、アメリカのソーシャルメディアは自由民主主義を弱体化させる危険なドラッグ

◇SNSは、本人が望まない自己を押し付けている
・ソーシャルメディアの問題は、人を変えてしまうこと
 →フェイスブックに私が何者であるかを決める権限などない
 →ソーシャルメディアは人に、本人が望まない自己を押し付けている
 →人に新たなアイデンティティを売りつけて大儲けしている
・ソーシャルメディアは自分がもともと持っていなかったアイデンティティを押し付けてくる
 →人は誤った自己概念に基づいて行動するように

◇パンデミックの最中、私はすべてのSNSのアカウントを削除した
・最近、若い日本人の女子プロレスラーがSNSでの誹謗中傷が原因で自殺したとの1件
 →私たちは本当にデジタル・デトックス(解毒)を始める必要があると思う
・パンデミックの最中、私はすべてのソーシャルメディアのアカウントを削除した
 →驚いたことに、何の不自由もなかった
 →ソーシャルメディアの利用は最低限にとどめることをお勧めする
・一方、ソーシャルメディア上ですべきでないことも
 →政治的な議論や、哲学的・科学的議論はすべきではない
・非常に斬新なアイディアとして、新たなソーシャルメディアを作ることを提案
 →アゴラ(古代ギリシャの広場)にかけて「Egora(E-ゴラ)」という洒落た名前をつけてはどうか
 →民主的行動を培う場、人を侮辱することは許されない

2 日本人特有のコミュニケーション

◇日本人はなぜ先進国の中で最も孤立しているのか
・日本人は先進国の中で最も社会的に孤立しているというデータがある
 →実際、ドイツ人は(日本人よりも)群れで行動する傾向があると思う
  →ドイツ全土の文化、Spaziergang(散歩)
 →ドイツ人が人との直接の社会的接触を、デジタルな接触に置き換えることは非常に稀
・日本ではデジタルな交流がずっと普及していると認識
 →1つに、東京の住環境と人口の多さ
 →日本はおそらく最もデジタルなインフラに対する批判が少ない国だと思う

◇意見の対立をどう解消させるか
・日本人は互いに意見が対立したとき、他の地域とはずいぶん異なるやり方でマネジメント
 →対立の合理的な解消のプロセスや本物のディベートを導入する余地は、もっとあるはず
 →対立を避けようとするのではなく、むしろ対立を増やす、対立にさらされる機会を増やすべき
 →物騒な衝突に発展するかもしれないような重要な問題も、冷静に語り合う力強いディベートが必要
・クラブやメディア、会議、イベントなど、何らかのプラットフォームが必要に
 →どちらが正しいのかを決めるための対話に入る、そういう理由でディベートは行われるべき
 →哲学のディベートは、まさにそのようにして行われる
・賛否をリスト化して、最後にそれを二人で眺め、合理的な根拠を検討する
 →お互いの妥協点のどこかに落ち着くだろう
 →哲学的なディベートの仕組み
 →やり取りは、すべてロジカルな議論の基本法則に基づいて行われなければならない

3 ドイツ人とニューヨーカーのコミュニケーション

 ◇ドイツは「一緒にビールを飲むこと」を軸にした社会
・ドイツ社会は、オクトーバーフェストなど人が集まって一緒にビールを飲むことを軸にした社会
 →ドイツにとって、とても大事な習慣
・ドイツは密かに一定の速度で集団免疫に向かおうとしているのだと思う

◇ニューヨーカーのコミュニケーション
・ニューヨークはまた別の意味で市民がよく群れを作る都市
 →アメリカ人はよくレストランで人と会い、特にその傾向が強い
 →ニューヨークは特別ウイルスの被害が大きかったのだと思う
・ニューヨーカーは群れをなして行動するという意味で、非常に社交的
 →ウイルスが蔓延し、健康被害が起きたのは当然
・一方で、アメリカ人には大変非社交的な面も
 →友達になるには10年はかかる、人を決して信用しない
・一方、ヨーロッパ人は2ヶ月で友達になれる
 →ヨーロッパ人としては、少なくともアメリカでは社会的なつながりはとても弱いと感じている

4 これからの共同体と「孤独」の形

◇共同体主義がネオリベラリズムに取って代わる時代が来る
・ドイツは今、個人間のコミュニティを早急に作ろうとしている
 →「連帯(solidaritat)」という言葉で表現
 →共同体主義が間違いなくネオリベラリズムに取って代わるだろう
・ヨーロッパではすでに政治的自由主義から共同体主義への移行が見られる

 ◇「一人でいること」と「孤独」を区別する
・「一人でいること」と「孤独」の区別
 →孤独は人に会いたいのに会えない状態を指し、痛みを伴う
 →一人でいること自体には何の問題もない
・ソーシャル・ディスタンスによる孤独は、病的なものだと思う
 →ドイツがロックダウンを再実施しない理由の一つは、孤独が病的だから

・お年寄りは、直感に従うことがとりわけ大事
 →身体は老いるが、だからといって精神も老いる必要はない
 →歳をとっても若者のような気持ちで生きることは可能
 →自分が興味を持っていることを忘れてはいけない

【Column:哲学者と現代のつながり〈3〉】
ハイデガーが犯した過ち

◇「自己認識には間違いが生じる余地はない」
・マルティン・ハイデガー(Martin Heidegger:1889 - 1976)が過ちを犯したことは明らか
 →彼には倫理感がなかった
 →人間の自己概念は正しくもなければ間違ってもいないと考えた
 →自己認識には間違いが生じる余地はないと考えた

◇反共産主義、反民主主義だったハイデガー
・ハイデガーは政治的に騙されやすく、あらゆるプロパガンダを鵜呑みに
 →反共産主義であり、反民主主義でもあった
・哲学者にはある種の先見性はあるが、政治家でもなければ、政治的な技術があるわけでもない

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