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半導体の製造およびsupply chain強化、我が国成長戦略での急浮上

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜5日午前時点、世界全体で1億7232万人を超え、1週間前から約306万人増とまだまだ高水準である。我が国では、緊急事態宣言の中、五輪開催を控えて、一層の自粛が求められている。米中摩擦、コロナ禍の中、自動車用半導体の不足が騒がれ始めたのが今年1月後半という覚えであるが、米国はじめ各国が台湾に緊急生産支援要請する事態に至っている。以降、半導体の国内製造およびsupply chain強化を喫緊の課題とする各国の様々な動きが連日のように続いてきている。我が国でも、政府、経済産業省、自民党そして業界と、それぞれ成長戦略の検討&打ち上げの中で半導体関連が急浮上しており、一連の動きを追っていく。

≪「国家事業」の半導体≫

Biden政権の米国半導体生産後押しの動きがこの4月早々であり、我が国でも政府および業界の続く動きが5月半ば過ぎに見られている。

◇半導体の国内生産拡大促す、政府、成長戦略の骨子案 (5月19日付け 日経 電子版 05:47)
→政府が6月にも決定する成長戦略の骨子案が分かった旨。先端的な半導体や蓄電池の国内生産拡大に向けて集中投資を促す方針を明記した旨。「経済安全保障の確保」を掲げ、製造技術の開発支援に充てる予算を積み増し、企業の工場新設を後押しする旨。米国の有力メーカーを誘致し、日米連合でサプライチェーン(供給網)の強化をめざす旨。
与党との調整を経て6月中にも閣議決定する旨。世界的な半導体不足を受け、主要国は巨額の予算をつけて生産拠点の誘致合戦を繰り広げている旨。米国は研究開発や製造基盤の強化に4兆円、中国は10兆円規模の支援策を打つ旨。

◇JEITA、半導体戦略を提言 「主要国に比肩する支援を」 (5月19日付け 日経 電子版)
→電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は19日、経済産業省に対して半導体戦略の提言書を提出したと発表した旨。半導体産業への大型支援が世界各国で相次いでいる旨。「主要国・地域の補助金に比肩する支援を、日本の半導体産業も必要としている」と言及し、競争力強化に向けた政府支援を求めた旨。

そして、今週の動きに入るが、経済安保の要としての半導体があらわされ、自由民主党が5月21日に立ち上げた半導体戦略推進議員連盟(会長 甘利明衆議院議員)での様子も示されている。

◇半導体、経済安保の要、日本勢は素材や装置で高シェア (5月31日付け 日経 電子版 02:00)
→米中対立が激しくなるなか、経済・軍事の両面で戦略物資となる半導体産業の競争力維持が主要国の課題となっている。日本は半導体そのもののシェアで約9%と台韓勢の影で地盤沈下が続くが、関連の装置や素材では世界でトップシェアを握る製品も多い。これらの戦略商品の競争優位性を保つためにも、国内での半導体生産の維持・拡大が課題になる。
「全産業のチョークポイント(choke point:急所)となり得る半導体は単なる産業にとどまらず、経済安全保障の観点からも見ていかなければならない」。21日、自民党が立ち上げた半導体戦略の推進議員連盟。議連の最高顧問に就任した安倍晋三前首相は、居並ぶ議員を前にこう呼びかけた。
・・・

経済産業省が出資するTSMCの半導体R&D日本拠点には、20を上回る日本企業の参画である。

◇TSMC's Japan project attracts over 20 participant companies-TSMC gets 20-plus participants for Japan co-op-Japan semiconductor industry pitches in cutting-edge materials and equipment (5月31日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→20を上回る会社が、TSMCの日本での共同プロジェクトへの参画に調印、TSMCが$337 millionの該プロジェクト資金の約50%を供給の旨。建設が今夏、茨城県つくば市のNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology(独立行政法人産業技術総合研究所)にて開始予定、research and development(R&D)は来年始まる旨。

◇TSMC日本拠点、イビデンなど20社超と連携、半導体開発 (5月31日付け 日経 電子版 17:18)
→経済産業省は31日、世界半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が新たに設ける日本拠点への支援を決めたと発表、総事業費約370億円の半分を拠出する旨。イビデンなど日本企業20社超が参画し、最先端の半導体製造技術の開発をめざす旨。官民一体でTSMCと連携し、国際競争力の維持・向上を図る旨。茨城県つくば市の産業技術総合研究所で夏以降、試験ラインの整備を始める旨。2022年にも本格的な研究開発に着手する見込み。

◇Japan, TSMC to conduct chip project (6月2日付け Taipei Times)
→日本が、TSMCと日本国内で最先端半導体技術を開発する¥37 billion($338 million)半導体リサーチプロジェクトに調印の旨。台湾の半導体製造工場は世界最大および最先端に入っており、該プロジェクトは重要分野での日本の競争力を高める意向の旨。

半導体産業の国内誘致を進める政策総動員の成長戦略原案が、政府から公表されている。

◇半導体誘致へ政策総動員、政府、成長戦略原案を公表−資金・ユーザ確保が壁に (6月3日付け 日経 電子版 05:21)
→政府は2日、月内に決める成長戦略の原案を公表、経済安全保障の観点から半導体産業の国内誘致を進めるために政策を総動員する方針を示した旨。半導体は国際的な誘致合戦となっている旨。日本も大規模な資金支援を検討するが、米国のような巨額資金を投じられるかは見通せない旨。海外メーカーの誘致には半導体の国内需要づくりも不可欠で、幅広い戦略が必要。

供給確保に向けた積極的なグローバル競争参画が謳われている。

◇Japan puts all chips on the table to lure semiconductor makers Competing with financial power of US and EU seen as a challenge (6月3日付け Nikkei Asia)
→日本が、水曜2日リリースした成長戦略原案のもと、惜しみない財政incentivesなど海外の半導体会社を招き入れる政策停止を引き揚げ、重要コンポーネントの供給を確保するグローバル競争に加わる旨。台湾が10-nanometer以降の技術を用いるスマートフォン用など先端半導体のグローバルoutput capacityで90%を上回るシェア、と米国・Semiconductor Industry Association(SIA)。

経済産業省が取りまとめる「半導体・デジタル産業戦略」が、次のようにあらわされているが、6月4日付けで経済産業省の以下のサイトにて全容が示されている。
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210604008/20210604008.html

◇経産省、半導体など「国家事業」に、新戦略で位置づけ (6月4日付け 日経)
→経済産業省が近くまとめるデジタル産業についての新戦略が明らかになった旨。半導体とデータセンター、クラウドサービスを「デジタル産業基盤」と位置づけて「民間事業支援の枠を越え、国家事業として取り組む」と明記する旨。生活に関わるエネルギーや食料確保と同様に重要なものととらえ「通常の産業政策を越えた特例扱いの措置」として対策を検討する旨。

さらに、経済産業省は2-nm半導体の取り組みを発表したばかりのIBMとの連携の動きもあるとのこと。

◇半導体プロにIBM、経産省、先端製造技術開発で連携 (6月4日付け 日刊工業)
→経済産業省は先端半導体の研究開発基盤強化に向け米IBMと連携する旨。産業技術総合研究所が立ち上げたコンソーシアムにIBMが参加し、技術協力を進める旨。IBMは世界初の線幅2-nmの半導体を発表するなど最先端プロセス技術を持つ旨。次世代チップの素材や設計、製造技術などを提供する一方、微細化技術の確立に向けて日米連携が動きだす旨。

連日の目が離せない動きとなっているが、世界各国・地域はどうか、ということで以下取り出している。

まずは、台湾。TSMCの動きともなるが、Arizona拠点の建設が始まっている。

◇TSMC says has begun construction at its Arizona chip factory site-TSMC starts construction on $12B Ariz. wafer fab (6月1日付け Reuters)
→TSMCが、Arizonaにおける新しいウェーハfab拠点の建設を開始、連邦出資で一部助成の$12 billionプロジェクト。同社CEO、C.C. Wei氏は、該新fabは2024年に5-nanometer features搭載microchipsの量産開始としている旨。

◇TSMC unveils layout of Arizona fab-EXPANSION DRIVE: To expedite manufacturing of advanced chips, the chipmaker would transform domestic research centers into initial production facilities, TSMC said (6月3日付け Taipei Times)
→TSMCが昨日、Arizonaの新fabのレイアウトを披露、2024年先端5-nanometer半導体生産立ち上げ決定を繰り返した旨。$10 billion to $12 billionを投資するFab 21の建設が、Phoenixの445 hectare plotで始まっている旨。

水不足の件は、当座の取水制限強化が見送りとなっている。

◇台湾、取水制限強化見送り、半導体生産への影響回避 (6月1日付け 日経)
→台湾の経済部(経済省)は31日、半導体産業が集積する新竹市や台中市で予定した6月1日からの取水制限の強化を、いったん見送ると発表、56年ぶりの干ばつが襲っているが、ここ数日の急な降雨でダムの貯水量が一定程度、回復した旨。当初は現在の取水制限を、15%から17%に引き上げる計画だった旨。

2-nmの取り組みが打ち上げられている。

◇台湾TSMC、年内に2ナノ半導体試験ライン、独走一段と (6月2日付け 日経 電子版 14:30)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は2日、回路線幅が2-nmの超先端品となる半導体の試験ラインを年内に完成する計画を明らかにした旨。量産工場の建設方針も示した旨。現在主流の先端品の2〜3世代先を行く製品で、ライバルの韓国サムスン電子との差をさらに広げ、最先端の半導体市場における独占状態が一段と強まりそうな旨。

◇TSMC stepping up advanced process capacity expansion-TSMC CEO expands advanced process capacity through 2023 (6月3日付け DIGITIMES)
→TSMCは2023年まで先端プロセスcapacity拡大を踏み上げていく、と同社CEO、CC Wei氏。

韓国では、AIサーバ半導体についての国内連携が見られている。

◇S. Korean tech companies to strengthen cooperation for AI server chips-AI server chips get a public/private push in S. Korea (6月1日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国・ICT ministry、火曜1日発。韓国のcloudデータセンターoperatorsが、サーバ用半導体に特化する現地の各社と連携形成、グローバルsupply chainsにおける半導体需要および不安定性増大に対応する動きの旨。

米国関係、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が各国の取り組みを分析している。

◇Global Governments Ramp Up Pace of Chip Investments (6月2日付け SIA Blog)
→半導体の戦略的重要性および経済的競争力、supply-chain弾力性についてその増大一途の重みが、世界中の政府にとって重点になっている旨。米国以外の以下それぞれの動きについて:

[Total incentives]
韓国 K-Belt National Chip Plan
2030年まで
$55 - $65 billion(3年超)
EU Digital Compass Plan
2030
$20 - $35 (10年超)
China 14th Five Year Plan
2025
$150 (10年超)

IBMが、2-nmの取り組みの優位性をあらわしている。

◇IBM Announces 2nm GAA-FET Technology - the Sum of “Aha!” Moments (6月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→一石を投じることを好むIBM。Albany research centreで開発された2-nanometer CMOS技術について、IBM VP of Hybrid Cloud Research、Mukesh Khare氏が一昨日press briefingを行い、いくつかの技術的firstsを挙げた旨。
*The use of bulk Si wafers with bottom dielectric isolation under the nanosheet stack, reducing leakage and enabling 12-nm gate lengths
*A 2nd-generation inner spacer dry process for precise gate control
*FEOL EUV patterning to allow nanosheet widths from 15 - 70 nm
*A novel multi-Vt scheme to enable multiple applications

米国下院での半導体人材強化に向けた法案上程である。

◇Bipartisan Legislation to Eliminate Per-Country Immigration Caps Would Help Strengthen U.S. Semiconductor Workforce (6月4日付け SIA Blog)
→米下院で今週上程された超党派法制化、Equal Access to Green Cards for Legal Employment(EAGLE) Act of 2021(H.R. 3648)により、米国半導体各社に競合&革新に必要な世界中からのトップ人材へのアクセスがより大きくなる旨。

砂漠のArizonaでいくつもの半導体工場立地は大丈夫か、との見方があらわされている。

◇Why Intel and TSMC are building water-dependent chip factories in one of the driest U.S. states-Can Ariz. provide enough water for 3 new wafer fabs? (6月4日付け CNBC)
→IntelがArizonaに2つの新しいウェーハfab拠点を計画、TSMCが$12 billionかけて新しいfabを建設しているが、ほとんど降雨のない砂漠の州でより多くのfabsを維持できるのかという問題が生じる旨。「水は半導体製造ではカギとなる要素であるが、業界の現状のニーズに対応するに妥当な供給を確実にするインフラはArizonaには備えられている。」と、Gartnerのvice president analyst、Alan Priestley氏。

今週は、我が国の半導体産業について議論するBSテレビの報道番組2本が目に入っている。再興に向けた機運の高まりに期待するところであるが、現状データの1つとして以下が見られている。
※世界の各国・地域 半導体関連支援額
 欧州連合(EU) 約18兆円
 中国     約 5兆円
 米国     約 4.3兆円
 台湾     約 2.7兆円
 日本     約2000億円
我が国の今後の踏み上げ、踏み上がりに注目するところである。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月31日(月)

米国経済が1984年以来の伸びの速度、とOECDの見方である。

◇US economy poised to grow at fastest pace since 1984, OECD says-OECD: US GDP will grow 6.9% this year, fastest pace in 37 years-OECD lifts US economic growth outlook on increased vaccinations, government stimulus (Fox Business)
→Organization of Economic Cooperation and Development(OECD:Paris)、月曜31日発。米国経済が、空前の政府経済刺激策およびワクチン接種率増加が奏功、今年約40年ぶりの早いペースで伸びる軌道にある旨。

中国でも、感染拡大で移動制限が見られている。

◇中国・広州で移動制限、変異型感染拡大を警戒 (日経 電子版 11:40)
→中国南部広東省の広州市政府は30日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため住民などの移動制限に踏み切ると発表、31日午後10時(日本時間午後11時)から実施し、PCR検査の陰性証明がなければ公共交通機関で市外に出られないようにする旨。インド型の変異ウイルスとみられる感染者が20人以上確認されたことに対応する旨。

□6月2日(水)

米中貿易戦争も遥か遡る感じ方があるが、双方経済トップの電話会談が行われている。Biden政権はこれからの踏み出しである。

◇Janet Yellen and China's Liu He Talk ‘Frankly’ on Issues of Concern-Yellen holds first talks with China's Liu (Bloomberg)
→Janet Yellen米国財務長官が、中国・Liu He(劉鶴)副首相と最初の電話会談、力強い経済回復継続および米国の利益になる領域での協力の重要性を維持するやり方の一方、同時に懸念事項の率直な攻略などの旨。この話し合いは、Biden政権が貿易および経済での中国との関係改善に向かう初期の兆候となる旨。

小幅な上げ下げの米国株式市場、最高値に迫る今週の締めとなっている。

◇NYダウ続伸、45ドル高、経済活動再開への期待で (日経 電子版 05:47)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4日続伸、前営業日の5月28日に比べ45ドル86セント(0.1%)高の3万4575ドル31セントで終えた旨。新型コロナワクチンの普及が進み、旅行・レジャーを中心に経済活動の再開を後押しするとの見方が強まった旨。景気敏感株を中心に買いが優勢だった旨。

□6月3日(木)

◇NYダウ小幅続伸25ドル高、高値警戒感で上値重く (日経 電子版 05:43)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に5日続伸し、前日比25ドル07セント(0.1%)高の3万4600ドル38セントで終えた旨。米経済活動の正常化への期待が強く、消費関連や石油株が買われた旨。ただ、ダウ平均は5月上旬に付けた過去最高値に接近し、高値警戒感から売りも出やすく上値は重かった旨。

□6月4日(金)

Biden政権の対中国規制が発表されている。

◇米、中国企業59社への株式投資禁止、監視技術も明示 (日経 電子版 05:15)
→バイデン米政権は3日、米国人による中国企業への株式投資を禁じる措置を拡大すると発表、トランプ前政権の政策をさらに強化し、通信や航空会社など59社を禁止対象にした旨。中国政府の軍事開発や人権侵害に関わる企業への資金の流れを阻止する狙い。
トランプ前政権が指定したスマホ大手、小米(シャオミ)はリストに入っていない旨。同社はリスト入りが不当だとして米政府を相手取って提訴し、バイデン政権がリストから外すことに同意していた旨。

◇NYダウ小幅反落23ドル安、ハイテク株安が重荷 (日経 電子版 05:39)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に6営業日ぶりに反落し、前日比23ドル34セント(0.1%)安の3万4577ドル04セントで終えた旨。市場予想を上回る米経済指標が相次ぎ、長期金利が上昇した旨。これを受けて金融株が買われた半面、高PER(株価収益率)のハイテク株が売られて相場の重荷となった旨。

□6月5日(土)

◇NYダウ反発、179ドル高、長期金利低下で最高値に迫る (日経 電子版 06:20)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前日比179ドル35セント(0.5%)高の3万4756ドル39セントで終えた旨。4日発表の5月の米雇用統計で雇用者数の増加ペースが加速したが、市場予想は下回った旨。米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を急ぐほどではないとみなされ、米長期金利が低下。金利低下で相対的な割高感が薄れたハイテクなど高PER(株価収益率)株が買われた旨。ダウ平均は5月7日に付けた過去最高値(3万4777ドル)に迫った旨。


≪市場実態PickUp≫

【Computex 2021関連】

恒例のPC関連総合展示会、「Computex 2021」が、オンライン開催となっている。

◇COMPUTEX 2021 Virtual: Month-Long Exhibition Showcasing the Tech Ecosystem Now Open (5月31日付け https://www.computextaipei.com.tw)
→5月31日から6月30日までvirtual開催。

各社別に、まずIntel関連である。

◇Intel reiterates chip supply shortages could last several years (5月31日付け Reuters)

◇Intel announces new CPUs and 5G module at Computex 2021 (5月31日付け DIGITIMES)
→Intelが、Computex 2021にて、第11世代Intel Coreプロセッサlineupへの2つの新規追加(Intel Core i7-1195G7およびIntel Core i5-1155G7)を発表、そして次世代PC experiencesに向けた最初の5G製品、Intel 5G Solution 5000を投入の旨。

Intel CEO、Pat Gelsinger氏のオンライン講演である。

◇Intel wants to work with Taiwanese partners to alleviate supply chain woes-Intel looks to Taiwanese partners to relieve shortages-Intel CEO thanks Taiwan's semiconductor ecosystem for critical industry role (6月1日付け Taiwan News)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、Computex conferenceでのvirtual基調講演において台湾の同社パートナーの働きを称賛の旨。

◇インテルCEO、半導体不足解消「あと数年」、台湾見本市で (6月1日付け 日経)
→米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は31日、世界的な半導体不足の解消には「あとまだ数年かかる可能性がある」との認識を示した旨。同氏は「業界は今、目先の対応に追われている。サプライチェーン(供給網)全体で今後、課題解決のため、立ち向かう姿勢が必要だ」と語った旨。
同日、アジア最大級のIT見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス台北)が開幕し、そのオンライン講演でゲルシンガー氏が明らかにした旨。

Micronからは、最先端のNANDフラッシュおよびDRAMが打ち上げられている。

◇Micron announces auto-ready UFS 3.1 and an SSD on 176-layer NAND (6月1日付け FierceElectronics)
→Micron TechnologiesのCEO、Sanjay Mehrotra氏が火曜1日、Computex基調講演にて、昨年11月に出荷を始めた同社176-層NANDに基づくPCIe Gen4 solid-state drive(SSD)の量産を発表の旨。

◇Micron launches 176-layer NAND flash and 1-alpha DRAM chips for the data economy (6月1日付け VentureBeat)

◇Micron intros 176-layer NAND, 1α DRAM technology-Micron unveils 176-layer NAND flash, 1-alpha DRAMs (6月2日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、virtual Computex trade showにて、176-層NANDフラッシュメモリデバイスおよび1-alpha DRAM半導体を投入、また、該176-層NANDフラッシュメモリに基づく同社初のPCIe Gen4 solid-state drives(SSDs)の量産対応を始めている旨。

Nvidiaは、Arm買収への自信を見せている。

◇Nvidia CEO Says Confident of Getting Regulators OK for Arm Deal-Nvidia CEO is sure the Arm deal will be approved (6月1日付け Bloomberg)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏がComputex conference(台北)で講演、Arm買収の取引は今年後半あるいは2022年に承認と依然見ている旨。

AMDからは、TSMCと共同開発の三次元実装技術を駆使したチップセットである。

◇AMD presents 3D chipset developed jointly with TSMC (6月2日付け DIGITIMES)
→AMDが、Computex 2021にて、TSMCと共同開発した3Dチップセットプロセッサをプレゼン、TSMCの3Dシリコンstackingおよび先端実装技術が供給されている旨。

【TSMCの技術シンポジウム】

やはりオンライン開催となっているTSMCの技術シンポジウムより、今回の新たな3つのofferingsに注目して以下の概要である。

◇TSMC's Zhang: Automotive is Going HPC (6月2日付け EE Times)
→TSMCの2021 Virtual Technology Symposiumで紹介された新しいプロセスnodesの中にN5Aがあり、"AI-enabled運転者支援およびvehicle cockpitsのディジタル化などより新しく集中的な車載応用におけるcomputing power需要増大に対応"の旨。「TSMCのAutomotive Service Package搭載N7技術に比べて、N5Aは、性能を20%、power効率を40%、およびロジック密度を80%改善する。」と、TSMCのhead of global marketing、Godfrey Cheng氏がブログにて。「TSMCには、車載メーカーからのHPC(high performance computing)需要が見えている。」と、TSMCのsenior vice president of business development、Kevin Zhang氏がone-on-one interviewにて。

◇TSMC Technology Symposium: Innovations unveiled (6月2日付け Electronics Weekly (UK))
→TSMCが、virtual TSMC Technology Symposiumにて、ロジック半導体技術、先端IC実装およびchip-stacking技術の詳細を提示の旨。

◇TSMC unveils N6RF, N5A and new 3DFabric technologies (6月2日付け DIGITIMES)
→TSMCがオンライン開催の技術シンポジウムにて、先端ロジック技術、specialty技術における最新の革新、および同社3DFabric先端実装および半導体stacking技術の追加を披露の旨。該新offeringsが以下の通り:
 車載応用向けN5A
 次世代5GスマートフォンおよびWiFi 6/6e性能向けN6RF
 3DFabric技術rangeにわたる強化

【中国業界関連】

半導体組立&テストサービスで中国最大のJCETによるM&Aである。

◇JCET acquires ADI Singapore test facility-JCET buys ADI's chip testing plant in Singapore (6月1日付け DIGITIMES)
→中国最大のoutsourced semiconductor assembly and test(OSAT)プロバイダー、Jiangsu Changjiang Electronics Technology(JCET)が、Analog Devicesのシンガポールのテスト拠点買収を発表の旨。金銭的条件は明らかにされていない旨。

値下げのインパクトをもたらす可能性を孕んだ中国のメモリ半導体メーカーがあらわされている。

◇China's memory makers push into low-end chips with semiconductor shortage expected to run into next year -Memory chip firms in China disrupt low end of market (6月2日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→Yangtze YTMCおよびChangxin Memory Technologiesが新しい破壊力を示している、とNatixisにアナリスト。中国のメモリ半導体メーカーは、メモリ半導体分野におけるサプライヤに値下げ圧力を加える可能性の旨。

米国の制裁に対抗、独自OSでスマホ再浮上を図るHuaweiである。

◇ファーウェイ、スマホに独自OSを搭載、米制裁受け (6月2日付け 朝日新聞DIGITAL 23:08)
→中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は2日、独自開発した基本ソフト(OS)「鴻蒙(ハーモニー)」、「HarmonyOS」を自社のスマートフォンに搭載すると発表、米国の制裁でスマホの販売が激減するなか、独自のOSで対抗する旨。

◇ファーウェイ、スマホ再浮上へ独自OS、米制裁対策、ソフト収益化、3億台狙う (6月4日付け 日経)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、独自開発した基本ソフト(OS)の陣営づくりに乗り出す旨。2日にスマートフォンへの対応を始め、2021年末までに他社製品も含め3億台での利用を目指す旨。米政府の規制を受けスマホ出荷が激減するなか、ソフトでも稼げる体制を狙う旨。ただOS市場は米企業が寡占しており、収益化の道筋に不透明感もある旨。

米国・Apple社の取引先について、内訳では中国が最多とのこと。米中摩擦が引き続く中での実態である。

◇Appleの取引先、中国最多51社、台湾抜き首位−米中貿易摩擦でも増加 (6月3日付け 日経 電子版 05:25)
→米アップルの機器生産で中国企業の存在感が高まっている旨。アップルが2日までに開示した2020年のサプライヤーリストで、中国(香港を含む)勢は200社中51社と、台湾を初めて上回り首位となった旨。液晶パネル大手の京東方科技集団(BOE)などが名を連ねた旨。米中ハイテク摩擦のさなかでもアップルは中国依存度を高めた旨。

【Samsung関連】

Samsungが、SSD全体のストレージ容量を一定容量の領域に分け、用途や使用期間が同じデータを同じ領域に保存してSSDを効率的に活用できるようにする次世代技術、ZNS(Zoned Namespace)技術を適用した最初のSSDを打ち上げている。

◇Samsung launches first Zoned Namespace SSD for enterprise servers-Samsung targets enterprise servers with PM1731a SSD-The new PM1731a SSD will last three to four times longer than conventional SSDs thanks to Zoned Namespace technology, Samsung says. (6月2日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、enterpriseサーバ用にZoned Namespace技術搭載PM1731a solid-state drive(SSD)を投入、該SSDは、従来のNVMe対抗品より最大4倍もつ旨。

低炭素経済への移行を加速するためにイギリス政府が設立した独立企業、Carbon TrustによるCarbon, Water & Wasteに向けたTriple Standardについて、Samsungが業界初の認証を受けている。

◇Samsung's Semiconductor Sites Awarded Industry's First ‘Triple Standard’ by Carbon Trust (6月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇All of Samsung's chip facilities achieve Carbon Trust's Triple Standard-Samsung's wafer fabs meet Carbon Trust's triple standard (6月3日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→世界環境認証団体、Carbon Trustが、Samsung Electronicsのウェーハfab拠点が同団体のtriple標準benchmark遵守としている旨。同社は、韓国、中国および米国にfabsがある旨。

Samsungが、DDR5モジュールに向けた新しいPower Managementソリューションを打ち上げている。

◇Samsung Launches New Power Management Solutions for DDR5 Modules (6月4日付け EE Times India)
→Samsung ElectronicsのDDR5 DIMMs用統合power management ICs(PMICs)により、compatibilityおよびsignal integrity増大が得られ、性能がより高信頼、持続的となる旨。同社は、第5世代double data rate(DDR5) dual in-line memory module(DIMM)向けに統合power management ICs(PMICs)、S2FPD01, S2FPD02およびS2FPC01を打ち上げの旨。

【第一四半期半導体装置Billings】

活況の半導体業界を照らし出して、SEMIの2021年第一四半期半導体装置Billingsデータが、前年同期比51%増と突出している。国・地域別では、韓国が首位となっている。

◇First Quarter 2021 Global Semiconductor Equipment Billings Increase 51% Year-Over-Year, SEMI Reports (6月2日付け SEMI)

◇First Quarter 2021 Global Semiconductor Equipment Billings Increase 51% Year-Over-Year, SEMI Reports (6月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのWorldwide Semiconductor Equipment Market Statistics(WWSEMS) Report。2021年第一四半期のグローバル半導体装置billingsが$23.6 billion、前四半期比21%増、前年同期比51%増。

◇S. Korea atop Q1 chip equipment spending chart: report-SEMI: S. Korea led the world in IC gear spending in Q1 (6月3日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→SEMIの四半期billingsデータ。1-3月四半期における韓国の半導体製造装置購入額が$7.31 billion、前年同期比118%増。グローバルな半導体の不足の中、国・地域別首位。


≪グローバル雑学王−674≫

超富裕層時代の到来、富裕層の新潮流、そして作られる新貴族文化、と見てきたが、最後は、危うさはらむ新格差社会として、

『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
 (太田 康夫:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行

より、3回に分けていくつかの切り口での実態に迫っていく、その2回目である。アメリカでのアジア人やアジア系の人々への暴行事件が政治問題化しているが、富裕層の数ではアジアが北米、欧州を上回る現在の実態がある。「パナマ文書」があぶりだした税金の抜け穴、新型コロナがあぶりだした黒人の高い感染、死亡率、と目にはっきりと見えるデータが分断を誘発していく。そして、行き過ぎると沸き起こる抗議活動も、昨今はSNSの呼びかけで大規模な結集が可能に。そのネット文化を牛耳る経営層は、代表的なGAFAはじめ超富裕層という現実の姿がある。しっかり把握した上でのこの新しい格差社会で求められる立ち居振る舞いである。


第四章 危うさはらむ新格差社会 …3分の2

(3)可視化する格差

◇ハリウッドが見始めた貧富の格差、「CARZY RICH ASIANS」と「パラサイト」
・ベールに包まれていた富裕層の世界の可視化
→大きな役割を果たしているのが米国映画産業の中心、ハリウッド
 →長年にわたり映画を提供、それ自体はセレブの世界でも
・そんな中、2018年、米国で「CARZY RICH ASIANS」という映画が公開
 →米国に留学していたシンガポールの不動産王の御曹司と、経済学の大学教授の結婚をめぐるラブストーリー
 →出演者の多くがアジア人やアジア系米国人の作品を手掛けたことが話題に
 →アジアの驚くような大金持ちの実態を印象付けた
 →この映画は、アジアで起きている驚くような格差の拡大を明らかにしている
・お金持ちの世界は、アジアの時代を迎えようとしている
 →投資可能な資産が100万ドルを超える富裕層の数
  →2018年にはアジアが620万人と、北米の570万人、欧州の480万人を上回っている
・貧富の格差の可視化という意味では、韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』も大きな役割
 →半地下の住宅に住む失業中のキム一家と、高台の豪邸に暮らすIT企業を経営するパク一家の物語
 →半地下というのは朝鮮戦争の防空壕の意味もあって作られた設備、そこに住むのは韓国の底辺の人たち
 →ITは韓国経済を牽引する富の象徴
 →億万長者を輩出するIT業界と、そこに絡む底辺の人々という貧富の格差が、社会的テーマに

◇闇をあぶりだしたICIJ――パナマ文書の衝撃
・富裕層が利用する抜け穴の可視化に大きな役割を果たした「パナマ文書」
 →2016年4月3日、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、パナマの法律事務所、モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)から流出した文書情報を公開
・富裕層のタックス・ヘイブン活用は以前から知られていたが、大量の具体名が出てくると怒りのレベルは別次元に
 →パナマ文書は、透明性強化の対策を、より実効性のあるものにする大きな圧力に

◇新型コロナがあぶりだした分断 高い黒人の感染、死亡率
・2019年末に中国の武漢から広がった新型コロナウイルス
 →米国のトランプ政権は、感染を抑えることができず、感染爆発を招き、国家非常事態宣言を出すまでに
・感染者の多さだけでなく、感染・死亡率の偏りも衝撃
 →コロナは米国を揺るがしたが、より激しく黒人社会を揺さぶった
 →背景に経済格差があるのは言うまでもなく、教育と就業機会の差が、白人との賃金格差を生んだ

(4)社会不安のリスク――拡大する抗議活動、上級市民への反発

◇ウォール街占拠運動、イエローベスト運動
・貧しさが行き過ぎると生じる社会不安
 →その兆候とも見ることができる抗議活動
・2011年秋に起きた「ウォール街を占拠せよ」と言われる抗議活動
 →きっかけは米大手証券会社、リーマン・ブラザーズの破綻による、経済の低迷
 →政府が救済したのは全体の1%、「我々は99%」という主張
・フランスでは、2018年11月に黄色いベストを着た市民がデモをする「イエローベスト運動」
 →きっかけは石油製品特別税(燃料税)の引き上げ、生活費の高騰に対する不満が噴出

・歴史を振り返ると、フランスでは富裕層の華美な生活は、国民の激しい怒りを招いた
 →18世紀末のフランス革命
  →貴族制度の崩壊であるが、貧富の格差に対する貧しい側からの革命でも

◇ネットは敵か味方か
・世界的に抗議活動が拡大している背景
 →インターネットや携帯電話などモバイル・デバイスの普及
・かつての反政府運動は軍部、野党、労組、宗教勢力など一定の財政基盤がある組織が大衆を動員する形で展開
 →それに対し、「アラブの春」は、小規模な組織や個人が行動を呼びかけ、それからSNSなどを通じて伝わり、大衆が動員
・SNSを通した抵抗運動の呼びかけは、香港での雨傘運動やフランスのイエローベスト運動でも多用
 →貧しい側が、豊かな側に抵抗する比較的安価な武器を手に入れた

・中国では、SNSなどを通じて反政府運動が広がることに強い危機感
 →インターネット網警や秘密警察などに数十万人を張り付け、事実上のネット上の情報検閲を実施
 →政府に不都合な情報が現れると、間もなく削除
  →天安門事件は、30年以上経った今も関連情報は削除
・中国のサイトの運営会社の経営者は世界的な富裕層
 →その人たちが政府による監視を容認
・ネット文化の発祥の地とも言える米国
 →貧者の武器としてのネットという考え方が、もともと存在
 →しかし、そのネット文化を代表する企業の経営者はごく一部の超富裕層であるのも事実
  →現代の代表はGAFA
 →実際、一部のネット企業は資金洗浄(money laundering)対策やテロ資金根絶対策で、情報を政府に提供
  →プライバシーを超えて優先される監視のメカニズムが、ネット上では厳然と機能
・大衆を基盤にしたメディアのネットは、実態はごく一部の富裕層が牛耳る世界
 →貧者の声の自由を永遠に保証しているわけではない

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