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半導体製造を巡るインテル、TSMCのつばぜり合い、そこにIBMの2-nm

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜8日午前時点、世界全体で1億5643万人を超え、1週間前から約561万人増と依然拡大が続いている。我が国では、緊急事態宣言が5月31日まで延長され、決して気の抜けない状況である。米国国内での半導体製造強化が打ち出されて、Intelが、最先端はもちろんファウンドリー対応を前面に押し出した"IDM 2.0"戦略の打ち上げに続いて、先端半導体実装技術の製造に向けたNew Mexico拠点拡張などさらなる具体的な展開を発表している。これに対して、TSMCからは米国での工場展開とともにファウンドリー対応は台湾でと牽制するスタンスが見られている。そんな中のIBMの世界初、2-nm半導体の披露に注目させられている。

≪最先端製造に向けた駆け引き≫

IntelのNew Mexico州での拠点拡大、およびイスラエルでの新fabおよびR&Dの取り組みが、以下の通りあらわされている。

◇Intel will spend billions to expand in New Mexico and Israel, seeks more government support-Intel budgets billions for facility expansions (5月2日付け The Oregonian (Portland, Ore.))
→Intelが、New Mexicoのウェーハfab拠点拡張に$3.5 billionを充てる一方、イスラエルにおける新fabに$10 billionおよび同国でのresearch and development(R&D)に$600 millionをも予算化の旨。これら非常に重要な拡大には政府からの助成を必要とする、と同社CEO、Pat Gelsinger氏。

◇Intel will invest $3.5B in New Mexico chip factory (updated) (5月2日付け VentureBeat)

◇Intel to invest $600 mln to expand chip, Mobileye R&D in Israel (5月2日付け Reuters)

◇Intel to invest $3.5B in New Mexico expansion (5月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

New Mexico拠点では、最先端三次元実装、Foveros vertically stacked半導体に取り組む、としている。

◇Intel invests $3.5B in N. Mexico chip expansion, atop Arizona plans (5月3日付け FierceElectronics)
→Intelが、Albuquerque, N.M.郊外のRio Rancho半導体製造拠点を拡大、Foveros vertically stacked半導体tilesをつくる工場の旨。該投資は、Arizonaでの2つのfabsに向けて計画の$20Bに上乗せの旨。Intelが月曜3日、New Mexicoでの$3.5 billion投資を発表の旨。

◇Intel to invest US$3.5 billion to boost advanced packaging technologies (5月4日付け DIGITIMES)
→Intelが、同社Foveros 3D実装技術など先端半導体実装技術の製造に向けて同社New Mexico operationsの装備に$3.5 billionを投資する計画を発表の旨。

◇Intel、米で3800億円投資、CEO「不足解消に2〜3年」 (5月4日付け 日経 電子版 04:55)
→米インテルは3日、35億ドル(約3800億円)を投じて米南西部ニューメキシコ州の製造拠点を増強すると発表、半導体を積み重ねて処理能力を高める新技術に投資する旨。一方、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は米テレビで半導体不足を完全に解消するには「2〜3年かかる」との見通しを示した旨。
同州中部リオランチョで開いた記者会見で、インテルの幹部が「3次元パッケージング」と呼ぶ技術への投資を説明、CPUやメモリなどを垂直方向に重ねて配線を減らす技術で、処理能力を高めたり、消費電力を抑えたりできるのが特徴。設備増強に伴い、今後3年で700人を追加採用する旨。

欧州での半導体工場建設について、IntelはEUの公的助成を求めている。

◇Intel seeks US$10bn in public subsidies toward construction of EU chip factory (5月3日付け Taipei Times)
→Intel社chief executive officer(CEO)、Pat Gelsinger氏の金曜30日の発言引き合い、同社が、欧州での半導体工場建設に向けて公的助成金8 billion euros($9.7 billion)を欲している旨。欧州は、供給不足の中、輸入依存削減を求めている旨。

グローバルな半導体の不足はさらに数年続き、その打開に向けた各拠点での現下の取り組み、とIntelのCEO、Pat Gelsinger氏の説明である。

◇Chip shortage to last for couple of years: Intel CEO (5月4日付け Taipei Times)
→広範囲の業界を乱しているグローバルな半導体の不足は、さらに数年解決されそうにない、と日曜2日にIntel社のchief executive officer(CEO)、Pat Gelsinger氏。同社は生産を高め、自動車業界における半導体の不足に対応するために工場のいくつかを立て直していく、とCBS Newsインタビューにて。

対して、ファウンドリー最大手で世界各国から増産要請を集中的に受ける渦中にあるTSMCのchairman、Mark Liu氏が、米国のテレビ番組で現下のいろいろな懸案について見方、考え方を述べている。

◇TSMC says can catch up with auto chip demand by end June -CBS-TSMC chairman: We can fix auto chip supply in June (5月3日付け Reuters)
→TSMCのchairman、Mark Liu氏がTVインタビューにて、同社は6月末までに車載用microchipsの顧客需要に追いつく旨。

米中の狭間の立場での思いの丈が、あらわされている。

◇TSMC chairman hopes no war will happen in Taiwan-World will support Taiwan for its 'Silicon Shield' chip industry: Mark Liu (5月3日付け Taiwan News)
→TSMCのchairman、Mark Liu氏がTVインタビューにて、グローバルsupply chainにおける重要な役割から、戦争が台湾にやって来ないと楽観論を述べた旨。

◇World requires Taiwan's chip support: TSMC-REBALANCING ACT: Mark Liu said that instead of trying to move the supply chain, the US should invest in R&D to develop experts in the manufacturing field (5月4日付け Taipei Times)
→TSMCのchairman、Mark Liu(劉音)氏が米国television show hostとのインタビューにて。台湾の半導体業界は“silicon shield”と呼ばれているのは、世界が台湾のハイテク業界のサポートを必要とし、そこでは戦争を起こさせないからの旨。

長いブランクを置いての米国の国内半導体製造はコスト面はじめ上手くいかない、と牽制するコメントである。

◇TSMC chair balks on efforts to move chip output to U.S. (5月5日付け FierceElectronics)
→半導体が今の時代の新しい石油であれば、TSMCのChairman、Mark Liu氏のような半導体chiefsの話を聞いて損はない旨。"60 Minutes"(米CBSの時事バラエティー番組)での稀で臨時のインタビューで、同氏は、何10年もの無視の後で国内半導体製造を高めるという米国の願望についてたくさん披露の旨。米国の各社および政府は、半導体supply chainを米国に移すという高くつくプロセスに重点化すべきでなく、R&Dおよびグローバルなコラボに一層の注意を払うべき旨。

TSMCについてもう1つ、Arizonaで計画している工場は1つではなく、最大6つの工場という見方があらわれてきている。

◇Chipmaker TSMC eyeing expansion of planned Arizona plant: sources-Sources: TSMC may go even bigger in Ariz. (5月4日付け Reuters)
→本件事情通3人がReutersに対し、TSMCが、現在計画のものを越えて米国・Arizona州にさらに多くのいくつかの半導体製造工場を建設する計画の旨。

◇TSMC planning up to six fabs in Arizona: sources-NEXT STEP? The contract chipmaker said it would decide whether to add more plants based on operation efficiency, cost economics and demand (5月5日付け Taipei Times)

IntelとTSMCのこのような張り合いが見られる中、世界初の2-nm半導体をIBMが発表、以下業界各紙一斉の取り上げである。

◇IBM Unveils World's First 2 nm Chip (5月6日付け EE Times)
→IBMが、世界初、2 nm半導体を披露、Albany, New YorkのR&D拠点でつくられた旨。該test半導体は、IBMのnanosheet技術でつくられたgate-all-around(GAA)トランジスタを特徴としている旨。

◇IBM unveils 2-nanometer chip technology for faster computing-IBM crafts a 2nm chip process for quicker computing (5月6日付け Reuters)
→IBMが、computing半導体の性能および速度の改善に向けた2-nanometerプロセス技術を開発、該2nm microchipsは7nm半導体より最大45%高速になる可能性の旨。

◇IBM promises better speed and battery life with nanosheets chip tech-The processor performance improvements could come in 2024 or 2025 -- if IBM finds manufacturers that'll license its approach. (5月6日付け CNET)
→微小、平坦なwires、nanosheetsのstackをもって、IBM Researchは消費電力が少なくより高速、より小さなコンポーネント搭載半導体が約束される旨。

◇IBM Unveils World's First 2 nm Chip Technology (5月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IBMが、世界初の2 nm nanosheet技術搭載半導体開発で、半導体設計&プロセスにおけるブレイクスルーを発表の旨。該新設計は、今日の7 nm半導体より45%上回る性能および75%低いエネルギー消費を得る見通しの旨。

◇IBM marks another creative milestone with 2 nm chip (5月6日付け FierceElectronics)
→IBMが、2017年にnanosheet技術を開発、最初の2 nm半導体の創出に用いられた旨。該プロジェクトは、数年の継続リサーチ投資に基づくAlbanyの科学者による取り組みの結果の旨。IBMが木曜6日、2 nanometer技術搭載の最初の半導体を発表した旨。
IBMが2017年に最初に5 nmを披露、TSMCが生産化するのに3年かかった旨。
そのテンポでは、2 nm半導体の最初の生産は2024年となる可能性、computersなどelectronicsに用いられていく旨。

◇IBM Introduces the World's First 2-nm Node Chip-New chip milestone offers greater efficiency and performance (5月6日付け IEEE Spectrum)

微細化に向けてFinFETトランジスタが初めて製造されたのが2012年、これもそのうち限界が来るということで、IBMがGlobalFoundries、Samsungとともに研究したのがシリコンnanosheet技術という理解である。

TSMCが次世代プロセス、3-nm nodeについてFinFETsのままと決めた後であり、IBMの開発には一歩先んじる様相を感じるところ。IBMの製造パートナー、Samsungは3-nm node半導体にnanosheet技術を用いる計画の一方、IBMはnanosheetsを用いるとともに2-nm nodeにさらに踏み込んでTSMCおよびSamsungに優る取り組みである。

IBMの該技術のライセンス供与先がどうなるか。最先端微細化製造の量産化に向けた駆け引きに注目するところである。

ところで、半導体製造に関係する状況、動きは他にもいろいろあらわれており、以下に取り出している。

◇台湾で半世紀ぶりの記録的干ばつ−農産物、半導体へ影響懸念 (5月3日付け 共同通信社)
→台湾が半世紀ぶりの記録的な干ばつに見舞われている旨。一部自治体では週2日間の断水を実施。農産物被害が報告されているほか、製造時に大量の水が必要な半導体産業への影響を懸念する声が上がっている旨。台湾では昨年、台風が上陸せず、中南部では秋以降まとまった降雨が観測されていない旨。

◇Infineon points finger at contract partners over chip shortages-Who's to blame for shortages? Infineon: Contract partners (5月4日付け Reuters)
→Infineon Technologiesが、TSMCなどcontract製造パートナーが半導体の世界的不足に責任があるとする一方、需要に追いつくよう自身の生産capacityを拡大の旨。「ファウンドリーが現状に対応するに十分投資をしていない。」と、アナリストに対し同社CEO、Reinhard Ploss氏。

◇EU's Breton Says Time to Fix ‘Naive’ Approach to Chip Supply-EU commissioner calls for less outsourcing of chip tech (5月5日付け Bloomberg)
→EUの半導体供給に対するリスク増大を示す最新の分析。製造を高めるのに2つの段階から成る計画、とEU域内市場・産業・デジタル単一市場担当、Thierry Breton氏。

◇Tax incentives eyed for chipmakers: finance minister-S. Korea considers new tax incentives for chipmakers (5月6日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国のchief economic policymaker、Hong Nam-ki財務相が木曜6日、政府が半導体製造関連research and development(R&D)への税額控除プログラムおよびnon-memory半導体製造業界を育てる拠点投資の拡大を検討の旨。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月4日(火)

米国政府の半導体増産を促進する動きが続いている。

◇U.S. Commerce Dept. presses Taiwan for more chips to automakers (Reuters)
→米国商務省が、TSMCなど台湾の半導体メーカーに自動車用半導体の増産を働きかけている、と商務長官、Gina Raimondo氏。

今週の米国株式市場は、5日続伸し、3日連続で過去最高値を更新、と最高水準で推移の展開である。

◇NYダウ反発、238ドル高、エネルギーや素材株に買い (日経 電子版 07:40)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比238ドル38セント(0.7%)高の3万4113ドル23セントで終えた旨。世界的な景気回復期待を背景にエネルギーや素材、資本財など景気敏感株を中心に買いが入った旨。良好な米経済指標も買いを誘った旨。

□5月5日(水)

◇Exclusive: Facing chips shortage, Biden may shelve blunt tool used in COVID fight-Will Biden invoke Defense Production Act to curb auto IC shortages? (Reuters)
→Joe Biden大統領が、自動車メーカーでの半導体不足打開に向けてmicrochipsの出荷を米国車載メーカーに移すDefense Production Actの実施を図っている旨。しかしながら、その考えが議会のadvisersおよびメンバーからの押し返しを得ている旨。

◇NYダウ続伸、19ドル高、景気敏感株に買い (日経 電子版 05:46)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比19ドル80セント(0.1%)高の3万4133ドル03セントで終えた旨。ハイテク株への売りで前日終値を下回って推移する場面が目立った旨。ただ、新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が進み、米経済の正常化が加速するとの見方が根強い旨。取引時間終了にかけて景気敏感株への買いが強まり、上げに転じた旨。

□5月6日(木)

◇NYダウ続伸97ドル高で最高値、エネルギー・素材株に買い (日経 電子版 05:54)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比97ドル31セント(0.3%)高の3万4230ドル34セントで終えた旨。2週間半ぶりに過去最高値を更新した旨。商品相場の上昇を受け、エネルギーや素材、資本財関連の景気敏感株を中心に買いが優勢になった旨。米景気の回復観測の高まりも株高を支えた旨。

「台湾海峡」への注目がG7外相会合でもあらわされ、半導体含め世界の政治経済のkey itemとなっている。

◇G7外相、「台湾海峡の平和と安定」強調、日米に同調−台湾のWHO参加も支持 (日経 電子版 12:47)
→主要7カ国(G7)外相会合は5日夕(日本時間6日未明)、3日間の討議を終えて閉幕、採択した共同声明は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記し、4月の日米首脳会談と同様の見解を示した旨。新型コロナウイルス対策で成果をあげる台湾が世界保健機関(WHO)の会議に参加することへの支持も打ち出した旨。G7外相や首脳の共同声明で台湾に言及するのは初めて。台湾に関する表現は4月の日米首脳会談後の共同声明と同じ内容で、カナダや欧州主要国が日米に足並みをそろえたことになる旨。


□5月7日(金)

我が国での緊急事態宣言の延長、オリンピック・パラリンピックを控えて気の抜けない局面が続いていく。

◇緊急事態宣言、5月31日まで延長へ、愛知・福岡を追加−政府、7日に決定 (日経 電子版 05:10)
→政府は11日を期限としていた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を31日まで延長する旨。与党幹部に東京、大阪、京都、兵庫に加え、新たに愛知、福岡を対象とすると伝えた旨。政府としては百貨店などに休業要請をせず、午後8時までの営業を原則認める調整に入った旨。実際の対応は各自治体の判断に委ねる旨。

◇NYダウ連日の最高値、318ドル高、雇用回復期待で (日経 電子版 05:41)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸、終値は前日比318ドル19セント(0.9%)高の3万4548ドル53セントと、連日で過去最高値を更新した旨。朝方発表の米新規失業保険申請件数が市場予想より少なく、雇用回復の期待が高まった旨。金融や素材など景気敏感株を中心に買われた旨。

□5月8日(土)

◇NYダウ続伸229ドル高、金融緩和の長期化観測強まる (日経 電子版 05:30)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比229ドル23セント(0.7%)高の3万4777ドル76セントで終えた旨。3日連続で過去最高値を更新した旨。朝方発表の4月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った旨。米景気への楽観が後退した半面、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の長期化観測が強まり、買いが優勢になった旨。


≪市場実態PickUp≫

【世界半導体販売高】

前回示した米国・Semiconductor Industry Association(SIA)の2021年3月および第一四半期、1-3月世界半導体販売高の発表について、業界各紙の取り上げである。

◇Q1 Global Semiconductor Sales Increase 3.6% Over Previous Quarter (5月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Q1 semi sales up 17.8%-SIA: Q1 chip sales hit $123B-Q1 semiconductor sales of $123.1 billion were up 3.6% on Q4 and 17.8% up y-o-y, reports the SIA. (5月4日付け Electronics Weekly (UK))
→Semiconductor Industry Association(SIA)発。第一四半期の世界microchips販売高が$123.1 billion、前四半期比3.6%増、前年同期比17.8%増。「2021年第一四半期のグローバル半導体販売高は依然力強く、前四半期販売高を上回り、昨年第一四半期総計を大きく凌いでいる。」と、SIAのCEO、John Neuffer氏。

米国・SIAとは若干違った見方になるが、OmdiaおよびInternational Data Corporation(IDC)それぞれの昨年、2020年の世界半導体販売高の見方である。Omdiaの従来最高の2018年との対比は同様の見方であり、IDCも2021年はさらに伸びて年間最高をうかがう内容となっている。

◇2020 semi market hit $473bn-Omdia: 2020 global IC market was worth $473B in sales (5月6日付け Electronics Weekly (UK))
→Omdiaの見方。2020年の世界半導体販売高が$473.3 billion、2019年から10.4%増。2020年は進むにつれて該市場が強まり、2020年後半が前半を上回り、第四四半期が$130.6 billionとなって、2018年第三四半期に記録した最高の$130.4 billionを上回っている、と特に言及の旨。

◇Semiconductor revenue set to grow despite ongoing chip shortage, analysts predict-Worldwide semiconductor revenue grew to $464 billion in 2020 and should continue to rise in 2021, even as supply constraints continue, says IDC. (5月6日付け CNET)

◇Worldwide Semiconductor Revenue Grew 10.8% in 2020 to $464 Billion, Growth Will Accelerate This Year Despite Market Shortages, According to IDC (5月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→International Data Corporation(IDC)からのSemiconductor Applications Forecaster(SAF)発。2020年の世界半導体売上げが$464 billion、2019年比10.8%増。IDCは、2021年の半導体市場が12.5%増の$522 billionに達すると予測の旨。consumer, computing, 5G, および車載半導体での力強い伸びが続くと見ている旨。

◇Worldwide semiconductor revenue to grow 13% in 2021 despite chip shortage-IDC: 2021 chip sales to grow 12.5% to $522B (5月7日付け DIGITIMES)

【ランキング首位奪回か?】

四半期ごとの半導体サプライヤランキングをあらわしているIC Insightsが、2021年第二四半期においてSamsungがIntelを上回ると予測している。メモリ市場の増大がもたらすとしており、2018年第三四半期以来のSamsung首位となるかどうか。

◇Samsung Expected to Recapture #1 Semi Supplier Ranking in 2Q21-Intel's lackluster performance and surging DRAM market forecast to put Samsung in the lead. (5月4日付け IC Insights)
→2017年第二四半期から2018年第三四半期まで、SamsungがIntelを上回ってサプライヤランキング首位。

◇Samsung to regain No.1 semi slot in Q2-IC Insights: Memories could make Samsung No. 1 again (5月5日付け Electronics Weekly (UK))
→メモリ市場の復活および相対的に横這いのIntelの売上げから、IC Insightsが、Samsungが2021年第二四半期から世界最大の半導体サプライヤとして再びIntelに置き換わる、と予測の旨。

◇Samsung to recapture top spot in Q2 chip sales: report (5月6日付け Yonhap News Agency)

今年のグローバルスマートフォン用半導体でも、MediaTekの首位が予想されている。

◇Taiwan's MediaTek poised to be global smartphone chip leader in 2021-Counterpoint: MediaTek takes the lead in 5G phone chips (5月4日付け Taiwan News)
→Counterpoint Researchの予測。MediaTekが、今年の5Gスマートフォンmicrochips世界市場で37%を占め、Qualcommの市場シェア30%をかなり上回る旨。

【シリコンウェーハ面積出荷】

SEMIから四半期ごとあらわされるシリコンウェーハ面積出荷について、2021年第一四半期のデータが最高を記録している。これまでの最高は2018年第三四半期と、上記に示す半導体サプライヤランキングと同じタイミングである。

◇Silicon Wafer Shipments Edge Higher in First Quarter 2021 to Set New Record, SEMI Reports (5月3日付け SEMI)

◇Silicon Wafer Shipments Edge Higher in First Quarter 2021 to Set New Record, SEMI Reports (5月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界四半期分析。2021年第一四半期の世界シリコンウェーハ面積出荷が、3,337 million square inches、前四半期比4%増、2018年第三四半期でのこれまでの最高を上回る旨。
≪Silicon Area Shipment Trends - Semiconductor Applications Only≫
                  単位:Millions of Square Inches

4Q 2019
1Q 2020
2Q 2020
3Q 2020
4Q 2020
1Q 2021
Total
2,844
2,920
3,152
3,135
3,200
3,337

    [Source: SEMI (www.semi.org), May 2021]

◇Silicon wafer shipments edge higher in Q1-SEMI: Silicon wafer shipments were up 4% during Q1 (5月4日付け New Electronics)

【半導体関連連携の発足】

新たな打ち上げが2件。台湾のTaiwan Compound Semiconductor Alliance、そしてカナダのCanada's Semiconductor Councilである。前者はSiCで世界に伍する趣旨、後者は半導体業界でのカナダのプレゼンス向上を目指している。

◇Industry alliance crucial to SiC advancement in Taiwan, says Actron chair-MK Lu of Actron urges Taiwan alliance for SiC chip R&D (5月3日付け DIGITIMES)
→車載diodeメーカー、Actron Technologyのchairman、MK Lu氏が、TaiwanCompound Semiconductor Allianceの創立セレモニーで講演。台湾は、silicon carbide(SiC)など第3世代半導体材料の開発で世界のリーダーに20-30年遅れており、該分野の進展加速に一層結集しなければならない旨。

◇Technology Leaders Launch Canada's Semiconductor Council: An Industry-Led Coalition to Address the Global Chip Shortage (5月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→世界的に認識されるカナダのfounders, business leaders, 半導体メーカー, および投資家のselectグループが、Canada's Semiconductor Councilを発表の旨。カナダの国家半導体戦略および行動計画を構築して引っ張るべく、該連合は、カナダの競争力を推進、通商partnershipsを強化、supply chain弾力性を高め、そしてカナダを$7 trillionグローバル半導体業界の前面にもっていくよう働く旨。

【M&A関連】

注目した2件について。Dell Technologiesが、VMwareを完全分離後、cloud統合プロバイダー、Boomiを売却している。以下、関連である。

◇Dell Reaches Deal to Sell Boomi to TPG, Francisco Partners -Dell strikes $4B private equity deal for Boomi unit-Transaction values the cloud-based integration platform at $4 billion including debt (5月2日付け The Wall Street Journal)

◇Dell Technologies sells Boomi to Francisco Partners, TPG Capital for $4 billion-Dell is selling cloud integration provider Boomi for $4B (5月3日付け ZDNet)
→Dell TechnologiesがVMwareを独立会社に完全分離するとして数週間、こんどはcloud統合プロバイダー、BoomiをFrancisco PartnersおよびTPG Capitalに$4 billionで売却の旨。Boomiは、Integration Platform as a Service(iPaaS)に重点化、15,000の強力なenterprise顧客setがある旨。

◇Why Dell is spinning off its VMware stake (5月7日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Dell Technologies社のVMware社スピンオフ提案について知るべき大事なことは、債務返済が最も肝心なところの旨。

米通信大手、Verizonが、「ヤフー」「AOL」などのブランドがあるメディアグループを売却、相乗効果が薄いとしている。

◇Verizon sells media businesses including Yahoo and AOL to Apollo for $5 billion-Apollo to buy Verizon's media assets for $5B (5月3日付け CNBC)
→Verizonが、AOLおよびYahooブランドなど同社メディアグループをprivate equity firm、Apollo Global Managementに$5 billionで売却、ライバルたちが引き続きメディアを探求する中、Verizonがインターネットプロバイダー事業に重点化を示している旨。

◇米ベライゾン、ヤフーやAOLをアポロに売却、5400億円 (5月4日付け 日経 電子版 00:48)
→米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは3日、傘下のネットメディア事業「ベライゾン・メディア」を買収ファンドの米アポロ・グローバル・マネジメントに売却することで合意したと発表、ベライゾン・メディアは「ヤフー」「AOL」などのブランドを持つ旨。だが、本業の通信事業との相乗効果が薄く、ベライゾンは売却先を探していた旨。


≪グローバル雑学王−670≫

富裕層の文化、生活ぶりについて、衣食住の新展開 ビジネス化する「見せびらかし文化」を、

『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
 (太田 康夫:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行

より、5回に分けて示していく3回目である。一部に限られていた富裕層ビジネスが、多くの人に見せびらかして、次の富裕層を取り込もうとするビジネス戦略が展開されている認識に立って、次に、衣食住のうち住まいの住である。住宅価格が世界で最も高いのは、モナコ、100万ドルで16m2とのこと。投資対象としての不動産は、世界のスーパーリッチの分布、勢いをくっきり反映する状況を知らされる以下の内容である。我が国のバブル期には世界のあちこち手を出していた日本勢の後退ぶりも見て取れる。モナコに次いで高い香港であるが、現下の混沌とした情勢の中、今後どう動くか、不動産価格も指標の1つと思われる。


第三章 作られる新貴族文化 …6分の4

(2)衣食住の新展開 ビジネス化する「見せびらかし文化」

3.住

◇高級住宅狂奏曲、100億円超え住宅続々

〇お金持ちの巣――サン・ジャン・キャップ・フェラ、プエルトバヌス
・世界の富裕層に不動産が好まれるのは、投資対象でもあるため
・コート・ダジュール(Cote d'Azur:紺碧海岸)の中でもひときわ世界的な金持ちの巣窟とでも呼べそうな場所
 →小さなフェラ岬半島に広がるサン・ジャン・キャップ・フェラ(Saint-Jean-Cap-Ferrat)
  →道の両脇には最低でも数百万ユーロは下らないとみられる豪華別荘が立ち並ぶ
  →半島の先に1908年にできたグランド・オテル
   →ケーブルカーで降りることができるリゾート・ホテル
   →日本のバブル期には日本企業が経営に関わっていたことも
   →現在は、欧州やロシアなどのお金持ちの利用が多い

・スペイン・マルベーリャ(Marbella)近くのプエルトバヌス(puerto banus)
 →中東のお金持ちが集う比較的新しい富裕層の巣窟
 →オイルマネーがこの小さな漁村を潤した
 →サウジアラビアの富裕層が先導して築いた超豪華マリーナ
 →漁村には似つかわしくない欧米有力金融機関が支店を構えている
  →主な仕事はプライベート・バンキング

〇米ヘッジ・ファンド創業者のニューヨーク高額物件獲得競争
・富裕層を多く輩出している職業に、資産運用をするヘッジ・ファンド
 →ジョージ・ソロスが創設したファンド(クォンタム・ファンド)が草分け
 →市場の時代に乗ってファンドの創業者が大金持ちに
・優秀なヘッジ・ファンドの創業者は、金融資本時代の勝ち組
 →運用しているのは人から預かった資金で、他人のお金で賭けをしているのが現実
 →非金融機関(シャドーバンク)は規制が緩いまま残り、それを利用して、賭けを続けているのがヘッジ・ファンド
・投資の世界では、依然としてヘッジ・ファンドを現代の錬金術師のように崇める風潮
 →彼らの破格の報酬と高額不動産投資を支えている
 →抜け穴を探し出し、貪欲に高い利益を探す彼らの姿は、何か大切なものが歪んでいるような後味の悪さを感じる

〇欧州マネーのタックス・ヘイブン、モナコの400億円ペントハウス
・世界で最も高い住宅は、南フランスの地中海沿岸、コート・ダジュール(Cote d'Azur)の公国、モナコに
 →「トゥール・オデオン・モナコ(Tour Odeon Monaco)」に世界最高額のペントハウス
  →なんと4億ドルを上回る値段
・モナコは居住者に対する所得税がないタックス・ヘイブン(租税回避地)
 →節税を目的に欧州を中心にした富裕層が数多く居を構えている
・欧州のセレブが、面積が日本の皇居(皇居外苑を含む)より狭いおよそ2km2に過ぎない都市国家に住居を求める
 →2019年に100万米ドルで購入できた高級住宅面積、モナコが16m2と世界の主要都市で最小
  →住宅価格が世界で最も高いということ

◇中国富裕層マネーが牽引する高級住宅

〇中国人富裕層御用達の香港
・世界でモナコに次いで住宅価格が高いとされる東洋の真珠、香港
 →香港の住宅価格を押し上げてきたのは、中国マネー
 →欧米の金融機関がプライベート・バンキングを展開、中国の富裕層の資産運用に力を入れた
 →もともと狭い地域だけに住宅価格は急騰
・2010年を100とした時の2019年6月末の主要国・地域の住宅価格(実質ベース)…国際決済銀行(BIS)発
 →香港がトップで195、際立つ突出ぶり
・ただ、香港に対する中国の影響が急速に強まっている
 →高度な自治の期限まで残り30年足らず、不動産など中長期的な資産の扱いがどうなるかなど不透明な要素も

〇外国人が牽引する日本市場、55億円マンションも
・世界の超富裕層の住宅購入額がどんどん上がっていっているのに比べ、日本の高額物件は控え目
 →現時点ではスーパー富裕層を対象にした超高級マンションはおおよそ4億円以上の物件
  →東京都内を中心に20件程度が販売されている
・2010年代後半に増えたのは中国、台湾の富裕層によるマンション購入
 →五輪での地価上昇を見込んで、東京の湾岸のタワーマンションなども積極購入
・ただ日本は、高齢化に伴い人口が減り始めており、事業の場としての魅力の低下が見込まれている

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