White Houseの半導体supply chainサミットmeeting関連の動き&余波
新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜16日午前時点、世界全体で1億3880万人を超え、6日前から約446万人増と依然拡大が続いている。我が国では、すでに感染「第4波」到来との見方があらわれて、一段の対策徹底が呼びかけられている。半導体業界では、深刻さを増すグローバルな半導体の不足の問題を話し合うvirtual meetingをWhite Houseが主催、Biden大統領および政権officialsが半導体および自動車業界executivesと相対している。「TSMC一極集中」の現状の中、米国の半導体主導復権、中国への対抗が改めて確認される動きが見られている。これを受けて、韓国、台湾など、半導体への今後の取り組みの一層の引き締め&強化が触発されている。
≪投げかけられた問題意識≫
4月12日開催のWhite House主催半導体サミットを控えて、米国SIAおよび業界各紙のリリース、報道である。
◇SIA Welcomes Upcoming White House Chip Summit (4月9日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、グローバルな半導体の不足、Biden大統領のインフラ計画など半導体supply chain関連の事項を話し合うBiden政権officialsおよび半導体業界などの分野からのleadersの間の来るWhite Houseでのmeetingを歓迎するステートメントをリリースの旨。
◇White House to Push Infrastructure Plan in Summit Meeting on Chip Shortage -Ford, GM and Intel are among companies slated to meet with administration officials on Monday (4月9日付け The Wall Street Journal)
◇Biden calls for new funding to fight semiconductor shortage in budget request-Officials will meet with tech CEOs on Monday (4月9日付け The Verge)
TSMCが該サミット参加と、台湾発である。
◇TSMC to join White House summit on semiconductors, supply chains (4月10日付け Focus Taiwan)
そして迎えた当日。virtual meetingでのBiden大統領そして半導体はじめ業界とやりとりがうかがえる以下の内容である。
◇Chip shortage: How soon is relief possible? (4月12日付け FierceElectronics)
→半導体および自動車executivesが月曜12日、Biden大統領および政権officialsとvirtualに会合、自動車業界を妨げているグローバルな半導体の不足および長期的に国内半導体supply chainを強化する方法を話し合った旨。重点の1つがどれくらい早く救済が行えるかであった旨。該summitの冒頭のbrief remarksでBiden大統領は、$2.2 trillionインフラ計画の一環として国内半導体製造に向けて$50 billionを充てるCHIPS for America program(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America program)への超党派の支持を謳った旨。
◇米、半導体復権へ官民足並み、アジア依存に危機感 (4月13日付け 日経 電子版 13:00)
→バイデン米政権が半導体のサプライチェーン(供給網)を強化するため、産業界との連携を深めている旨。12日には経営者を集めて、安定調達の方策を議論した旨。米中対立が深まるなか、安全保障の観点から台湾などアジアに依存することへの危機感が高まっている旨。「中国や他国は(投資を)待たない。我々も待つ理由はない」。バイデン大統領は12日に開いたオンライン会議で、半導体の国産化を目指して巨額の補助金を投じる中国への対抗心をあらわにした旨。
SIAより、半導体業界からの参加者が示されている。
◇White House Chip Summit Builds Momentum for Federal Investments in U.S. Chip Manufacturing and Research (4月12日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、グローバルな半導体の不足、Biden大統領のインフラ計画など半導体supply chainに関する問題を議論するBiden政権officialsと半導体業界などの分野からのleadersの間のWhite Houseでの本日のmeetingに関して、President and CEO、John Neuffer氏からのステートメントをリリースの旨。meeting参加者、以下の通り:
SIA boardメンバー
CEO of GlobalFoundries、Tom Caulfield氏
CEO of Intel、Pat Gelsinger氏
CEO of Micron Technology、Sanjay Mehrotra氏
SIAメンバー会社、NXP, Samsung, およびTSMCからのsenior executives
◇TSMC joins White House chip summit-DIVERSE SUPPLY: TSMC chairman Mark Liu said the firm’s US$12 billion investment in Arizona would succeed with continued bipartisan support from the US Congress (4月14日付け Taipei Times)
→世界最大のcontract半導体メーカー、TSMCが月曜12日、グローバルな半導体の不足およびWashingtonの米国supply chainsを強化する計画についてのvirtual White House summitに参加した旨。
半導体生産で米国が再び世界を主導する、とBiden大統領のコメントである。
◇バイデン氏、半導体の国内増産に意欲、産業界と意見交換 (4月13日付け 日経 電子版 06:38)
→米ホワイトハウスは12日、半導体のサプライチェーン(供給網)を巡り、産業界と意見交換する会議を開いた旨。半導体不足を機にアジアへの生産依存に懸念が深まるなか、バイデン大統領は「米国が再び世界を主導する」と述べ、国内生産の拡大に意欲を表した旨。会議には米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子など半導体メーカーのほか、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターといった米自動車大手を含む計19社の幹部がオンラインで出席した旨。
◇米の半導体増産意欲、バイデン氏、産業界と協議 (4月13日付け 日経・夕刊)
→米ホワイトハウスは12日、半導体のサプライチェーン(供給網)を巡り、産業界と意見交換する会議を開いた旨。半導体不足を機にアジアへの生産依存に懸念が深まるなか、バイデン大統領は「米国が再び世界を主導する」と述べ、国内生産の拡大に意欲を表した旨。
◇半導体、「TSMC一極集中リスク」世界で強まる (4月15日付け 日経 電子版 12:00)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の設備投資の急拡大が続いている旨。2021年は前年比8割増の約3兆4千億円に達する見込みで、今後3年間で計11兆円を投じる計画。バイデン米大統領は12日、「(半導体で)再び世界を主導する」と訴えた旨。だが現実は厳しい。世界はむしろ、今後一段とTSMC依存を強め、一極集中リスクを背負うことになる旨。
このmeetingに合わせて、米国議会からBiden政権に対する以下の動きである。
◇Congress asks Biden Administration to fund CHIPS Act (4月13日付け Electronics360)
→共和党および民主党両方のsignaturesが入り、23人の米国上院議員および42人の米国下院議員が署名したletterの旨。
◇U.S. Chips Act Shouldn't Favor Certain Sectors, Tech Groups Warn-Legislators, tech groups sound off on CHIPS Act (4月14日付け Bloomberg)
→米国議会および広範なハイテクenterprisesを代表する業界団体のメンバーが、Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America Act(CHIPS for America Act)の供給を公正に取り入れ、出資するようBiden政権に求めている旨。「半導体の不足によるconsumer技術, 自動車メーカー, トラック運送業者など非常に重要な業界に向けた生産ライン停止は、素早く行動してこの施行される超党派の供給を出資する切迫した必要性をさらに強調している。」と、議会のletterが述べている旨。
半導体製造の現状についての論説、論調が、時機到来と以下の通り続いている。台湾、韓国はじめアジアの席巻ぶりがまず。
◇How Asia came to dominate chipmaking and what the U.S. wants to do about it-A brief history of Asia's chipmaking domination (4月11日付け CNBC)
→以下の要点:
・台湾のTSMCと韓国のSamsung Electronicsが、半導体製造市場70%を上回る支配
・グローバルな半導体の不足および中国との摩擦が、米国のsupply chainの精査を強め、leadership取り戻しへの駆り立てを発生
・Joe Biden大統領のもと、米国は製造のアメリカの地への帰還および少数の半導体メーカーへの依存削減を図っている
◇Tough road ahead for U.S. firms trying to cut reliance on Taiwan chipmakers-CLSA exec: US chip designers need alternatives to Asian foundries (4月13日付け CNBC)
→・アジアの国々が、グローバル半導体の70%を上回る生産。台湾と韓国がhigh-end半導体製造capacityにおいて無敵の位置づけを構築の旨。
・米国のハイテク会社は、彼らの半導体の最大90%の生産を台湾のcontractメーカーに依存、とCLSAのSebastian Hou氏。
台湾委託集中のインパクトの度合いが、試算されている。
◇半導体の台湾依存、1年停止で50兆円打撃、米団体が試算 (4月13日付け 日経 電子版 14:00)
→米ホワイトハウスは12日、半導体のサプライチェーン(供給網)を巡り、米インテルなど半導体メーカーや自動車大手、計19社とオンライン会議を開いた旨。バイデン大統領が「米国が再び世界を主導する」と国内生産の拡大に意欲を示す背景には、膨らみ続ける台湾への依存リスクがある旨。台湾の半導体受託生産会社が1年間生産をストップすると、世界の電子産業は1年間で4900億ドル(約50兆円)の減収に見舞われる――。米国半導体工業会(SIA)が1日に発表した報告書は「極端な仮説」と断ったうえで、半導体業界における台湾メーカーの存在感の大きさを浮かび上がらせた旨。
Biden大統領が半導体業界に充てる$50 billionの評価である。
◇Spending $50B on the Chip Industry is a Challenge-$50B for the IC industry: How will it be spent? (4月15日付け EE Times)
→Joe Biden大統領が提案したインフラ計画では、アメリカの半導体業界に対し製造並びにresearch and development(R&D)に向けて最大$50 billionが供給されるが、Biden氏および政府officialsとのvirtual conferenceにて、業界executivesがその金額では実際十分には事足りないとしている旨。大統領は、中国が国内半導体業界に非常に大きく出資、そして他の国々がmicrochipインフラに重きを置いている、と特に言及した旨。
◇Chip shortage may last into 2023 as fixes slowly emerge (4月15日付け FierceElectronics)
→Biden大統領のインフラ計画にある$50 billionの国内半導体製造投資。問題として、該計画が超党派の支持を得るかどうか、そして現状の半導体の不足がすぐにもこれで救われるのかどうか。
議論が飛び交う中、台湾での干ばつの影響の追い打ちが懸念材料となっている。
◇The Chip Shortage Is Bad. Taiwan's Drought Threatens to Make It Worse.-Taiwan's severe drought could make chip shortages worse -Island’s worst dry spell in half a century has added to the challenges facing a center of semiconductor manufacturing (4月16日付け The Wall Street Journal)
→台湾で半世紀ぶりの干ばつ、最悪のグローバルな半導体の不足の中、世界半導体製造capacityの3分の2を擁する台湾に重い負担が加わっている旨。
今回のmeetingに出席のIntelのCEO、Pat Gelsinger氏を巡る内容が、注目を浴びる結果として以下の通り続いている。
◇Intel CEO hopes U.S. can reclaim one-third of chip manufacturing industry (4月12日付け CNBC)
→・IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が月曜12日、アメリカの会社が現在の約12%から米国で半導体microchipsの3分の1を製造することを期待の旨。
・Gelsinger氏は、自動車製造からelectronicsまで混乱させているグローバルな半導体の不足を議論するためにWhite Houseが主催している月曜12日のvirtual meetingの前に話している旨。
・「我々の打ち上げは、半導体供給の3分の1はアメリカの会社によりアメリカの土地に戻るべき、ということと思う。」と、CNBCにGelsinger氏。
◇As Biden works to fix chips shortage, Intel promises help for automakers-Intel to automakers: We've got your chips (4月12日付け Reuters)
→Intelが、自動車用microchipsを設計するファブレス半導体会社に対し製造のcommitmentsを行った旨。「このcommitmentを通して、Intelは、特にアジアでのサードパーティへの製造委託への長期的流れに立ち向かう。しかしながら、それが正しい方向と自信がある。」と、opinion piece for The Hillの中で記したIntelのCEO、Pat Gelsinger氏。
◇Putting our chips on the table-By Pat Gelsinger, opinion contributor (4月12日付け The Hill)
自動車用半導体への具体的な支援をあらわす形となっている。
◇Intel CEO Gelsinger: One-third of all chips should be designed and made in the U.S. (4月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、米国の国内半導体生産への投資を督促、向こう数ヶ月における半導体生産について自動車用半導体を設計する会社と協議の旨。
◇As Biden works to fix chips shortage, Intel promises help for hurting automakers-Global chip shortage is Topic A at White House confab (4月12日付け Reuters)
→Joe Biden米国大統領が月曜12日、主要各社executivesとvirtual conferenceを行い、米国の自動車メーカーに重大な損害を与えている世界的な半導体の不足を議論、Intel社が向こう6-9ヶ月で同社工場で自動車工場向け半導体をつくる計画発表に駆り立てられた旨。
◇Car-making nightmare could soon get a fix, thanks to Intel (4月13日付け CNN)
◇車向け半導体増産支援、インテル、自社ライン開放 (4月13日付け 日経・夕刊)
→米半導体大手のインテルは12日、世界的に不足している自動車向けの半導体を増産するため、自社の生産設備を活用する方針を明らかにした旨。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)がロイター通信のインタビューに答えた旨。6〜9カ月以内の生産をめざして半導体設計会社と協議している旨。
◇Chip shortage will last beyond 2022 as demand far outstrips supply, Intel chief says-Intel CEO sees chip shortages ending in 2 years-Intel CEO: 2 years to end chip shortage-Head of largest chipmaker in U.S. says short-term fixes may help, but building additional factories will take years (4月13日付け The Washington Post)
→Intelのchief executive、Pat Gelsinger氏。自動車業界などのメーカーに影響を与えているグローバルな半導体の不足は、和らげるのに“a couple of years”かかろうとしており、限られた製造capacityとともに需要が急増している旨。
このmeetingに合わせて、あるいは受けて、台湾および韓国での反応である。まずは、TSMCはじめ台湾関連である。
◇TSMC bold capex plan driving capacity expansions at ecosystem partners-Sources: TSMC's $100B capex budget aids partners growth (4月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCの向こう3年に向けた大胆な$100 billion capex計画が、半導体業界の明るい展望について同社ecosystemパートナーの自信を大きく高め、capacity拡大実行に駆り立てている旨。
TSMCでの停電事故も見られている。
◇TSMC 40-nanometer chip production line in Tainan hit by power outage (4月14日付け Focus Taiwan)
→TSMCが水曜14日、Tainan Science Parkでの長引く停電で40-nanometer features搭載microchipsの生産が混乱の旨。
◇TSMC Boosts Capital Budget Again, to $30B (4月15日付け EE Times)
→向こう数年力強いICs需要、TSMCが、大方は台湾でのcapacity増強に向けた投資増で応えていく旨。
◇TSMC warns of continuing chip shortages-TSMC: Chip shortages will extend into next year (4月15日付け New Electronics)
→TSMCが、生産性を高め世界的な半導体の不足を緩和するために行えることすべてやっている一方、供給逼迫は2022年に入っても続くと見ている旨。
◇Cabinet hears plans to bolster Taiwan's semiconductor industry -Taiwan officials consider plans for more chip production (4月15日付け Focus Taiwan)
→台湾行政院のBoard of Science and Technology(BOST)が木曜15日、その重要性を強調しているグローバルな半導体の不足の渦中、半導体製造における台湾の主導的な位置づけの固めを狙った計画を発表の旨。レポート、"The Taiwan Semiconductor Industry's Forward-Looking Research and Talent Layout amid the U.S.-China Technology War"に含まれる該計画が、Su Tseng-chang(蘇貞昌)首相が議長を務めるCabinet meetingにてプレゼンの旨。
◇「半導体不足は年内続く」、TSMC、投資3.3兆円に上積み (4月16日付け 日経 電子版 05:11)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は15日、2021年の設備投資計画を7%上方修正し、過去最高の300億ドル(約3兆3千億円)にすると発表、2020年比で74%増え、旺盛な需要に対応する旨。ただ世界的な半導体不足は依然、業界全体で深刻で年内は続くとみている旨。解消時期はスマートフォン向けなどの先端品が2022年、自動車向けなどの一般品が2023年になるとの見通しを示した旨。
韓国でも、今回改めての半導体業界引き締めが見られる以下の動き&反応である。
◇South Korea pays keen attention to upcoming US semiconductor bill (4月12日付け The Korea Herald)
→韓国政府および半導体業界エキスパートが、米国でWhite Houseが月曜12日に開いた会合にしっかり注意を払っている旨。ソウルの政府officialsおよび業界エキスパートによると、韓国の産業競争力および韓国の半導体メーカーのグローバルoperationsの点で米国政府が同国半導体業界を強化する最近の動きについて懸念が出ている旨。
◇(2nd LD) Biden pledges more investment in meeting over semiconductor shortage-Biden promises aid to chip firms; wants US-made chips (4月13日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Joe Biden大統領が、政府officialsおよび業界executivesとのvirtual conferenceにて、Biden政権は半導体の不足を食い止めるために半導体メーカーに財政的支援を行う旨。また、Samsung Electronicsなどの半導体メーカーに米国でさらに多くのmicrochipsを生産するよう求めた旨。
◇Biden leans on chipmakers to produce in U.S. (4月13日付け JoongAng Daily (South Korea))
◇Gov't to Announce Comprehensive Measures to Foster K-Semiconductor Industry-S. Korea readies moves to bolster domestic chipmaking (4月15日付け KBS (Korea))
→韓国政府が、世界中の同様の動きの渦中、現地の半導体業界を今年さらに高める包括的戦略を発表の旨。Ministry of Trade, Industry and Energy(MoTIE)が木曜15日、経済関係閣僚の拡大meetingで、いわゆるK-semiconductor belt戦略が今年前半に展開、とMoon Jae-in(文在寅)大統領に報告の旨。該計画のもと、韓国政府はグローバル半導体supply chainを再構築するほかの多くの国々の動きからの課題に適合するよう半導体clustersを促進していく旨。
米国から制裁を受けている中国関連では、米国を問題視する以下の内容がこのタイミングに見られている。
◇China's Huawei tries to blame global chip shortage on U.S. sanctions-Huawei chairman: US sanctions are the root cause of the chip shortages (4月13日付け CNBC)
→・グローバルな半導体の不足は、複数のコンポーネントに絡む高度に複雑な問題
・しかしこの問題の背景にあるたくさんの要因にも拘らず、Huaweiのrotating chairman、Eric Xu氏は月曜12日、米国に責任を負わせようとしている旨。
・Huaweiはまた、自動運転車および電気自動車research and development(R&D)に$1 billion投資する計画を発表、Tesla, Apple, Nio(上海蔚来汽車)およびXiaomiなどと競合していく旨。
◇US-China tech war: China becomes world's top semiconductor equipment market as Beijing pushes local chip industry -SEMI: China leads the world in IC gear purchases (4月15日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→SEMI発。半導体製造装置購入で昨年、中国が台湾、韓国および日本を上回って首位に上った旨。先端lithographyシステムの中国の顧客への販売制限は好ましい動きではない、とASMLのCEO、Peter Wennink氏。「経済的リスクがあるとしたなら、輸出制限は経済的リスクを管理する正しい方法ではないと思う。」と、特に言及するWennink氏。
該半導体サミットの余韻、余波に、引き続き注目である。
コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。
□4月13日(火)
前半下げたものの経済回復への期待から上げて、最高値更新が続いて締めた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ小幅反落、55ドル安、短期的な過熱感で (日経 電子版 05:27)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4営業日ぶりに反落、前週末比55ドル20セント(0.2%)安の3万3745ドル40セントで終えた旨。新型コロナウイルスに対するワクチンの普及で経済活動の再開が進むとの見方から、ダウ平均は前週に過去最高値を更新していた旨。短期的な過熱感が意識されたうえ、主要企業の決算発表の本格化を控えて持ち高調整の売りも出やすかった旨。
□4月14日(水)
勢いを取り戻しつつある米国経済という見方が色濃くなっている。
◇U.S. economy gaining momentum as consumers ditch the winter blues, Fed says-US economy picking up, Fed's Beige Book says (Reuters)
→Federal ReserveのBeige Book発。消費者の自信が高まって、経済活動が持ち上がってきている旨。財政支援およびcoronavirusワクチン接種の広まりが経済を高めており、労働市場も2月後半から4月はじめにかけて強まっている旨。
◇NYダウ続落68ドル安、ワクチン普及期待が後退 (日経 電子版 05:39)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル13セント(0.2%)安の3万3677ドル27セントで終えた旨。米当局が米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの接種を中断するよう勧告した旨。ワクチン普及による経済正常化への期待が後退し、景気敏感株を中心に売りが優勢となった旨。ただ、金融緩和の長期化観測が支えとなり、売り一巡後は下げ渋った旨。
□4月15日(木)
一方では、高水準のコロナ感染が世界各地で伝えられている。
◇世界の新規感染者数、1日70万人超、3カ月ぶりの高水準 (日経 電子版 05:12)
→世界で新型コロナウイルスの感染者数が3カ月ぶりの高水準になっている旨。13日の新規感染者数は70万人を超えた旨。最も感染が深刻なインドは新規感染者数の過去最多を記録し、外出禁止など経済活動の制限を強めている旨。南米や米国、欧州、中東も変異ウイルスによる感染拡大が続く旨。各国でワクチンの接種が進むものの、感染の再拡大が続けば世界経済の回復の足かせとなりかねない旨。
◇NYダウ反発53ドル高、ワクチン普及への懸念後退 (日経 電子版 05:36)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比53ドル62セント(0.2%)高の3万3730ドル89セントで終えた旨。新型コロナウイルスのワクチン普及の遅れへの懸念が和らぎ、景気敏感株に買いが広がった旨。市場予想を上回る好決算を発表した金融のゴールドマン・サックスが大幅高となり、ダウ平均を押し上げた旨。ただ、主力ハイテク株が下げ、上値は重かった旨。
□4月16日(金)
◇NYダウ305ドル高、初の3万4000ドル台、小売売上高好感 (日経 電子版 05:37)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比305ドル10セント(0.9%)高の3万4035ドル99セントで終えた旨。3万4000ドル台に乗せるのは初めて。15日発表の3月の米小売売上高が市場予想以上に増加し、米景気の回復期待が一段と強まった旨。米長期金利が低下し、高PER(株価収益率)のハイテク株が買われたのも相場を押し上げた旨。
◇米経済の屋台骨、個人消費が回復、ワクチンで人出復活 (日経 電子版 07:22)
→新型コロナウイルスで沈んだ米国の個人消費が、回復の色を鮮明にしている旨。3月の小売売上高は前月比9.8%増と、過去2番目の伸びを記録した旨。ワクチン接種の徹底と政府の手厚い家計支援でレストランや旅行、娯楽に活気とお金が戻りつつある旨。個人消費は米国内総生産(GDP)の7割を占める屋台骨。変異ウイルスの脅威が消えないなか、世界経済の浮沈を左右する要素として米個人消費の持久力が試される旨。
コロナで傷んだ1年前との比較で、中国のこの1〜3月GDPは新記録の増大となっている。
◇China's economy grows by a record 18.3% in the first quarter-At 18.3%, China posts record quarterly growth (CNN)
◇中国GDP1〜3月18.3%増、コロナ反動、伸び最大 (日経 電子版 14:37)
→中国国家統計局が16日発表した2021年1〜3月の国内総生産(GDP)は物価の変動を除いた実質で前年同期比18.3%増えた旨。新型コロナウイルスのまん延でマイナス成長となった前年の反動で、四半期の成長率として記録がある1992年以降で最大の伸びとなった旨。輸出や投資など企業部門が堅調だった旨。
□4月17日(土)
◇NYダウ続伸164ドル高、経済正常化期待で連日の最高値 (日経 電子版 07:23)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比164ドル68セント(0.5%)高の3万4200ドル67セントで終えた旨。連日で過去最高値を更新した旨。新型コロナウイルスワクチンの普及で米経済の正常化に弾みが付くとの期待から、経済再開の恩恵を受ける銘柄が買われた旨。市場予想を上回る主要企業の決算が続いていることも好感された旨。
≪市場実態PickUp≫
【Nvidia関連】
White House主催半導体サミットと同じ日付け発であるが、NvidiaのGraphic Technology Conference(GTU)が開催され、Armの基本設計を用いてのCPU参入がなにより注目である。そのプロセッサの名前がGrace。COBOL生みの親、Grace Murray Hopper女史に因むとのこと。ほか含め、以下概要である。
◇Coup de Grace: Nvidia Enters CPU Market (4月12日付け EE Times)
→Nvidiaが、at-scale AIおよびhigh performance computing(HPC)市場でGPUsを伴って設計されるデータセンターCPU、Graceを擁してCPU市場に正式に参入の旨。Nvidiaの最初のCPU、Graceは、たぶんにArm-ベースと予想でき、GPUsとともにすごくたくさんのバンド幅の旨。
◇Huang Harangue Heralds AV ‘Trillions’ (4月12日付け EE Times)
→NvidiaのGraphic Technology Conference(GTU)にて、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏基調講演。autonomous vehicles(AV)市場について“multi-trillion-dollar transportation ecosystem”を買い占める計画を謳う旨。
◇Nvidia shows Atlan processor for AVs along with sim and security tools (4月12日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが月曜12日、次世代Nvidia Drive Atlan System-on-Chip(SoC)を披露、先行のOrinプロセッサの約4倍の性能、AI搭載autonomous vehicle(AV)技術へ引き続きcommitment強化の旨。
◇Nvidia GTC21 launches could further 'democratize' AI for enterprises (4月12日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが本日、NVIDIA GPU Technology Conference 2021(GTC21)イベントにて、新製品、強化点およびfeaturesの広範なシリーズを発表、より多くの応用に向けてartificial intelligence(AI)をテコ入れ、いろいろな業界にわたってenterprisesの能力を広げていく旨。
◇Nvidia's Grace AI chip leaves Intel processors behind-Also, Nvidia's Atlan chip should boost self-driving cars in 2025. (4月12日付け CNET)
◇Nvidia expects first-quarter sales to exceed $5.3 billion (4月12日付け Reuters)
◇Nvidia CEO introduces software, silicon, supercomputers at GTC 2021-Nvidia CEO unveils new tech at GTC 2021 conference (4月13日付け DIGITIMES)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、virtual GTC 2021 conferenceにて、データセンターサーバ向けGraceプロセッサ(computingおよびprogrammingのパイオニア、Grace Hopper女史に因む)などの製品を投入の旨。同社の第一四半期売上げは、データセンターおよびcryptocurrency mining用の半導体売上げが奏功、前回予測の$5.3 billionを上回る旨。
◇エヌビディアがCPU参入 アームと組みAI計算10倍速く (4月13日付け 日経 電子版 05:22)
→米半導体大手のエヌビディアは12日、CPUに参入すると発表、英アームの基本設計を利用し、2023年に米欧のスーパーコンピュータに搭載する旨。人工知能(AI)計算を10倍速くできる見通しで、米インテルの主戦場に切り込む旨。AIの進化を左右する「頭脳」を巡り競争が激しくなる旨。12日に開いたAIイベントでCPU「Grace(グレース)」を発表、エヌビディアのGPUと一緒に使うと、AIを学ばせるための計算速度が最大10倍になり、1カ月かけていた計算が3日で終わる旨。
【世界半導体製造装置販売高】
SEMIからの発表、2020年の世界半導体製造装置販売高が19%増の$71.2 billionと史上最高を更新している。米中摩擦が引き続く中、半導体の国産化を進める中国が初めて最大市場となっている。
◇2020 Global Semiconductor Equipment Sales Surge 19% to Industry Record $71.2 Billion, SEMI Reports (4月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI発。2020年の世界半導体製造装置販売高が、2019年の$59.8 billionから19%増の$71.2 billionと史上最高を更新の旨。
◇2020 Global Semiconductor Equipment Sales Surge 19% to Industry Record $71.2 Billion, SEMI Reports (4月13日付け SEMI)
◇Chip equipment sales soar in China, while North America tanks (4月13日付け FierceElectronics)
→2020年の半導体製造装置販売高が北米で20%増、一方、中国では39%と急増、初めてグローバルに首位の地域の位置づけの旨。
◇半導体装置販売、中国が最大市場に、2020年は過去最高 (4月14日付け 日経 電子版 12:50)
→半導体業界の国際団体のSEMIは14日、2020年の半導体製造装置の世界販売高が前年比19%増の約712億ドル(約7兆7000億円)と過去最高になったと発表、半導体の国産化を進める中国が初めて最大市場になった旨。半導体不足が深刻化するなか、中国の存在感が高まる旨。一方、米国は半導体供給で「脱中国依存」の姿勢を強めており、半導体をめぐる対立は激しさを増す旨。
【東芝買収提案関連】
社長交代が行われた今週の東芝であるが、引き続き関連する動き、時間順に以下の通りである。
◇Toshiba's CEO Steps Down, Raising Doubt Over Buyout Offers -Kurumatani out as Toshiba CEO; buyout delay possible (4月14日付け Bloomberg)
→東芝のCEO交代、相当な買収の可能性を濁ら展開。かつて前CEO、Kurumatani氏を雇用したprivate equity firm、CVC Capital Partnersが、$20 billionを上回る値付け、東芝のboardおよびmanagementにbuyout提示を行う可能性。KKRも東芝に入札の可能性、とBloomberg News。
◇東芝・車谷社長が辞任、後任に綱川会長、経営迷走も (4月14日付け 日経 電子版 06:04)
→東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が14日付で辞任することが13日、わかった旨。14日に開く取締役会で、車谷氏が辞任を表明する旨。アクティビスト(物言う株主)との対立が深まり、指名委員会も交代を促していた旨。英ファンドから買収提案を受けるなど東芝の経営は迷走している旨。経営再建には一定のめどがたったこともあり、これ以上の混乱をさける旨。
◇CVC、東芝に詳細な買収提案へ、車谷氏辞任でも変えず (4月14日付け 日経 電子版 11:53)
→英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが、早ければ週内にも東芝に対する詳細な買収案を提案することが14日分かった旨。東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)は14日付で辞任したが、CVCは方針を変更せずに引き続き詳細な買収案を精査する旨。
◇東芝、難路の成長投資・還元両立、二律背反で見えぬ解 (4月15日付け 日経 電子版 05:11)
→東芝は14日、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が辞任し、綱川智会長が社長兼CEOに就く人事を発表、車谷氏は企業統治や成長戦略を巡り、アクティビスト(物言う株主)と対立し、構造改革やコスト削減は社内の反発も招いた旨。指名委員会も再任は難しいとの判断に傾くなか、辞任決断につながった旨。復帰する綱川氏は株主との融和路線を掲げるが、成長投資と株主還元との両立は簡単ではない旨。
◇日本のガバナンス改革、東芝が試金石-編集委員 川崎健 (4月15日付け 日経 電子版 05:11)
→買収提案を受けてから約1週間という急転直下の決定だった。東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が14日辞任した。これは「資本市場からの逃避」と映る株式非公開化の是非を公正に検討するために不可欠なプロセスだ。市場との対話はスタート台に立ったばかり。東芝の今後の一挙手一投足は、日本の企業統治改革の真価を占う試金石となる。・・・・・
◇東芝買収提案に慎重論、株主、価値向上策の提示求める (4月16日付け 日経 電子版 16:59)
→英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案について、東芝社内外で慎重論が出ている旨。提案は株式非公開化を前提としているが、東芝株は1月に約3年半ぶりに東京証券取引所第1部に復帰したばかり。原子力発電事業も抱え、外為法の審査なども必要となる旨。東芝の取締役会は正式提案を受けてから、実現可能性を含めて検討するが、株主は諾否を含めて企業価値や株価が上がる戦略の提示を求めている旨。
◇英CVC、東芝への買収提案を当面保留、社長交代受け (4月17日付け 日経 電子版 05:20)
→東芝に買収提案をしている英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズが、詳細な買収案の提示を当面保留することが16日分かった旨。6日に初期提案をしてから10日程度で正式な提案を提出すると伝えていた旨。14日の東芝の社長交代を受け、新体制が買収提案に対する判断をするには時間が必要と判断した旨。CVCも投資連合作りに時間がかかる見通しで、情勢は混沌としてきた旨。
【グローバルIC市場シェア】
IC Insightsが、2020年の世界IC市場について本社を置く国・地域であらわす国籍別シェアをあらわしている。米国の会社が55%を占めて突出の一方、摩擦で対抗する中国は5%となっている。
◇Chinese Companies Hold Only 5% of Global IC Marketshare-Propelled by 50% share of IDM sales and 64% share of fabless sales, U.S. companies captured 55% of the total worldwide IC market in 2020. (4月13日付け IC Insights)
→IC InsightsのMarch Update to The McClean Report 2021発。2020年のIDMs(ウェーハfabs運営会社), ファブレス会社, およびIC全体販売高の地域別市場シェアは、米国に本社を置く会社が引っ張った旨。次の通り:
米国 55%
韓国 21%
台湾 7%
欧州 6%
日本 6%
中国 5%
◇US companies hold 55% of worldwide IC market in 2020, says IC Insights-IC Insights: US firms accounted for 55% of 2020 microchip sales (4月14日付け DIGITIMES)
◇Chinese Companies Hold Only 5% of Global IC Marketshare (4月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
【活況のデータ】
大きな伸びが目立つデータから。まずは、この1-3月のパソコン出荷であるが、コロナ禍始まりの前年同期比からくる伸びである。
◇PC Shipments Show Continued Strength in Q1 2021 Despite Component Shortages and Logistics Issues, According to IDC (4月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→International Data Corporation(IDC) Worldwide Quarterly Personal Computing Device Tracker速報データ。desktops, notebooks, およびworkstationsなどtraditional PCsの2021年第一四半期のグローバル出荷が84 million台、前四半期比8%減、前年同期比55.2%増。前年同期、2020年第一四半期はグローバルpandemicの始まりで不足に直面、この異常な比率になっている旨。
グローバルな半導体の不足の渦中、史上最高を更新した中国の3月半導体輸入である。
◇China semiconductor imports surge to all-time high in March amid global chip shortage (4月13日付け South China Morning Post)
→中国の3月半導体輸入が最高記録の58.9 billion個、$35.9 billionの額。
これで中国の第一四半期半導体輸入総計が155.6 billion個、$93.6 billion。
台湾大手IT企業の業績が、3月も以下の好調ぶりである。
◇台湾IT、21%増収、3月、コロナでパソコン好調 (4月14日付け 日経)
→半導体や液晶パネルの不足が世界的に続くなか、台湾大手IT企業の業績が好調に推移している旨。日本経済新聞が主要上場19社の3月の売上高の合計額を集計したところ、前年同月比の伸び率が21.5%に達した旨。約7割の企業が2ケタの増収を確保し、昨秋からの勢いが止まらない旨。
◇台湾IT好調、勢いやまず、3月21%増収、PC需要牽引 (4月16日付け 日経産業)
→台湾積体電路製造(TSMC)など、台湾IT関連企業の勢いが止まらない旨。米アップル向けのスマートフォンや半導体などの出荷が引き続き大きく伸び、主要上場19社の3月は21.5%の増収となった旨。新型コロナウイルスの感染拡大でデジタル需要が膨らみ、関連需要に強い台湾勢の業績を押し上げ続けている旨。
≪グローバル雑学王−667≫
非常に縁遠いのが現実の超富裕層の文化、生活ぶりについて、
『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
(太田 康夫:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行
より、今回は、(1)富裕層は、どんな日常を送っているのか、について。続いて、(2)衣食住の新展開 ビジネス化する「見せびらかし文化」について、5回に分けて示していく。
今回は、どんな日常かということで、超富裕層といっても、超セレブもあれば質素もある、そしてラフな昨今の米国のミリオネア、と一括りにはいかない様相。特に、欧州での富裕層の年間イベントスケジュールには殊更注目させられている。半導体業界関連でもよく引き合いに出てくる世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議(Davos Forum)がその1つとなっている。住まい、そして教育と、富裕層に向けたスイスの立地、環境の良さにも改めて注目させられている。
第三章 作られる新貴族文化 …6分の1
(1)富裕層は、どんな日常を送っているのか
◇多様化する日常 加州では普通の会社員生活、目立たないように質素に暮らすスイスの投資家
・お金持ちは華美さ、豪華さを競う人たちとみられがち
→代表格が米国の前大統領、Donald Trump
…自宅はニューヨーク五番街にたつトランプタワーのペントハウス
…トランプタワーに住んだことのあるのは、Bill Gates、Michael Jacksonなどセレブの面々
→人一倍努力したりして、大金持ちになること
…「アメリカン・ドリーム」
・リーマン・ブラザーズの破綻(2008年)を受けて、アメリカン・ドリームへの見方が揺らいだことがある
→しかし、その体質は改まらず、富豪のTrumpが2016年の選挙で大統領の座
・その一方、ジーンズにポロシャツで会社に通うミリオネアが多いのも米国
→サンフランシスコに住む人の年収は全米平均より45%も高いが、一般的な生活費は家賃高騰の影響で25%程度高い
・欧州でも富裕層の生活は多様
→バカンスの過ごし方、カンヌなどコート・ダジュールのリゾート
・ただ欧州でも、目立つことを好まない富裕層は少なくない
→例えばスイス、11人に1人がミリオネア、その密度は日本の4倍以上
→その保有資産の多さに比べて質素な生活を送っている
→山岳地帯という土地柄、質素に暮らして、せっせとお金を貯めるのが美徳という価値観
→米国にみられるような豪邸は少なく、古くからの住宅を手入れして住む人が多い
→スイス中部、Burgenstock
→目立たず最高級のリゾート生活を送れる
→パラスホテルでのビルダーバーグ会議Bilderberg conference
…欧米で世界的に影響力があるトップが集う
◇平均的な欧州お金持ちの歳時記、夏場はリゾートで一流音楽、F1モナコ、アメリカズ・カップに関心
・何人かの欧州の富裕層に聞くと、浮かび上がるお金持ち版歳時記のようなもの
1月 ダボス会議(Davos Forum)…世界経済フォーラムの年次総会
3月 パリ・コレクション
バラの舞踏会(Bal de la Rose)…モナコ公室主催
4月頃 バーゼル・フェア(BASELWORLD)…世界最大の宝飾と時計の見本市
5月 F1モナコ・グランプリ(Monaco Grand Prix)
カンヌ映画祭(Cannes Film Festival)
6月 アート・バーゼル(Art Basel)…世界最大級の現代アートフェアー
7月 ザルツブルク音楽祭(Salzburg Festival)
9月 モナコ・ヨットショー
10月 パリ・コレクション
・ダボス会議への高い関心
→資産の保全や投資先を考えるにあたって、情勢の把握は欠かせない
→参加費(年会費とは別)は2万5000スイスフラン(約285万円)
→筆者は1991年から1993年の会議まで、深く関わった
→より印象的だったのは、会議の後半に開かれる分科会的な会合
→世界的な企業の幹部が、あちこちで若い学者や、閣僚と激論
→残念だったのは、そうした場での日本の存在感のなさ
・政治経済の指導層に近い富裕層の間では、初夏に開かれることの多いBilderberg会議(スイス)も注目
・米国の富裕層が、ダボスと同じような目的で注目しているのが春にTED(Technology Entertainment Design)がバンクーバーで開く会議
→「TED Conference」(テド・カンファレンス)
・富裕層が求めているのはプライベート・バンカーなどから提供される多くの情報の正確さなどの判定に資する指針
・春先に開かれてきたバーゼル・フェアは、欧州最大の時計宝飾見本市
→時計や宝石の品定めをする場
→同じバーゼルで開かれるアート・バーゼルは、世界最大級の美術品展
・音楽、映画などの文化イベントも注目の的
→代表的なのが5月に開くカンヌ映画祭
→米国の富裕層は、2月のアカデミー賞への関心が高い
・夏場のフェスティバルも人気
→7月開催のスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル、オーストリアのザルツブルク音楽祭
→8月開催の英国のエディンバラ国際フェスティバル
・女性富裕層が注目するのは3月と10月に開かれるパリ・コレクション
・スポーツへも大きな関心
→欧州では、6月のウィンブルドンで開かれるテニスの全英オープンが有名
→とりわけ高いサッカーへの関心
→FIFAのワールドカップやUEFAのチャンピオンズリーグの決勝戦には、出場国の王室や国の指導者も観戦
・比較的資産が多い富裕層には自動車好きが少なくない
→レーシングカーが公道を走る5月のF1モナコ・グランプリ
・富裕層がバカンスを過ごす際に利用することが多いヨットには特別な関心
→とりわけアメリカズ・カップ
◇共通の関心は末代の繁栄狙う教育投資
・多くの富裕層が保有資産と同じくらい力を入れるのが、子弟教育
→ファミリーの末代の繁栄が目標に
・世界的に人気が高かったのは英国のパブリック・スクール
→一般に開かれたという意味で、私立の中等教育校
・セレブが集うと有名、英国のバークシャー州イートンにあるイートン・カレッジ
・英国と並び、富裕層が子弟教育に利用する教育機関が多いのはスイス
→スイスは古くから西側と東側の接点の役割
→中立に対する信頼性が高いとされる
・「中立のスイス」を象徴する例としてよく引き合いに出されるのは、北朝鮮の金正恩
・スイスで名門とされるのは、ボーディングスクール(寄宿学校)のアンスティチュート・ル・ロゼ
→1880年設立
→8才から18才までの子女を対象
→1クラス数人の徹底した少人数教育を実施
・もう1つ、スイスで双璧をなすのが、1889年創設のボーディングスクール、インスティチュート・アウフ・デン・ローゼンベルク
→生徒は260人以下に抑え、少人数教育を徹底
・富裕層の子弟のうち女子については、独特のマナーを身につけるべきだとの考え方
→そうした需要にこたえてきたのが、フィニシング・スクールと呼ばれている教育機関
→現在では伝統的なフィニシング・スクール教育を実施しているのはごくわずか
→もっとも有名なのはモントルーのグリオン地区にあるアンスティチュート・ヴィラ・ピエールフー
→結婚前のダイアナ妃が通っていたことでも知られている