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supply chain世界的混乱の中、2強席巻などIC製造関連の見方&動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜20日朝9時半時点、世界全体で1億2210万人を超え、8日前から約375万人増と依然衰えないペースである。我が国では下げ止まりの中の緊急事態解除、変異ウイルスが拡大のパリでは3度目の外出制限、と気の抜けないところである。米中摩擦の波紋の中で米国Texas州での大寒波による停電から、Samsungの工場が止まるなど、要因が重なって世界中で深刻な需給不均衡と、自動車用半導体はじめ混乱の事態が見られている。この状況の一方、IC製造に関して、SamsungおよびTSMCが突出する半導体設備投資の見方が表わされるとともに、TSMCの米国およびSMICの中国における新工場の取り組みが表わされている。

≪空前の半導体不足の渦中≫

グローバルな半導体不足が引き続いて、supply chainが混乱する状況関連が以下の通りである。まずは、米国Texas州の工場はじめSamsung関連について。

◇Samsung's Austin foundry shutdown will last until end of March: Taiwanese research-Samsung's Austin fab may not reopen until April (3月15日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→台湾・TrendForce、金曜12日発。Texas州での冬の停電から2月16日以降止まっているSamsung Electronics Co.のファウンドリーoperation(Austin)が正常に戻るのは3月末以降になりそう、しかし、いくつかの業界観測筋は該報道はいくぶん大袈裟としている旨。該ファウンドリーの閉鎖延長から、2021年第二四半期のグローバルスマートフォン生産が5%低下の見込み、5Gスマートフォンoutputが30%落ち込む旨。

◇Samsung Warns of Severe Chip Crunch While Delaying Key Phone-Chip shortage may lead Samsung to skip new Galaxy Note (3月17日付け Bloomberg)

◇半導体需給、全世界で「深刻な不均衡」−サムスン電子が警鐘鳴らす (3月17日付け ブルームバーグ)
→=「不足の問題が100%解決したとは言いがたい」と高東真共同CEO =「ギャラクシーノート」の新機種、今年下期に投入しない可能性も 韓国サムスン電子は半導体業界の「深刻な」不均衡に警鐘を鳴らすとともに、スマートフォンの主力製品の1つについて新機種の投入を遅らせる可能性に言及した旨。

◇サムスン米工場停止1カ月、世界スマホ生産5%減、4〜6月 (3月17日付け 日経)
→米国テキサス州にある韓国サムスン電子の半導体工場が停止した影響で、4〜6月期の世界のスマートフォン生産は5%減るとの分析を、台湾の調査会社、トレンドフォースが発表。同工場が停電で止まってから16日で1カ月。米クアルコムがサムスンに生産を委託するスマホ用の半導体も供給が滞っている旨。

増産の要求が世界から投げかけられる台湾関連である。

◇Backend firms to gain growth momentum from car chips till 3Q21-Sources: Backend firms to see boost from auto chips (3月16日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のbackendサービス会社では、車載用半導体を処理する売上げの比率が少なくとも2021年第三四半期まで立ち上がっていく旨。

◇半導体「台湾依存は危険だ」、米中対立で顕在化-半導体ショック1 (3月16日付け 日経 電子版 05:01)
→3月5日午前、台湾北部・桃園市。新型コロナウイルス対策で厳格な体制が敷かれた空港に、プライベートジェット機が滑り込んできた。降り立ったのは米パソコン大手HPの最高経営責任者(CEO)、エンリケ・ロレス(Enrique Lores)。2週間の隔離義務を免除する特例を受けたお忍び訪問だった。「供給を急いでいただきたい」。最低限の検査だけを済ませたロレスは半導体企業の幹部らと次々に会い、直談判を繰り返した。滞在はわずか数時間。半導体不足への危機感が表れていた。・・・・・

◇South Korea wants Taiwan’s help with semiconductor shortage-S. Korea hopes to solve chip shortage issues with help from Taiwan -Delegation reportedly visited Taiwan's economics minister early this month (3月19日付け Taiwan News)
→金曜19日発報道。韓国がこのほど、自動車用半導体のグローバルな不足の打開に向けて台湾に支援を求めている旨。

SEMICON Chinaでも、現下の事態が空前と表わされている。

◇World going through unprecedented chip shortage, China trade body says-SMIC chairman: Current chip shortage is worse than in 1999 (3月17日付け Reuters)
→半導体販売高が昨年18%伸びた後、世界は空前の半導体不足を経験している、と水曜17日、China Semiconductor Industry Association(CSIA)のsenior official、Zhou Zixue氏。「経験あるプレイヤーであれば思い起こすのが、この業界で1999年にあった同様の危機。しかしそれは小さかった。」と、SEMICON ChinaでのremarksでSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)のchairman、Zhou氏。

ホンダ、トヨタはじめ工場の休止など、自動車関連の現下の状況が相次いで、関連含め以下の通りである。

◇ホンダ、北米5工場を1週間休止、半導体不足や港湾混雑 (3月17日付け 日経 電子版 11:35)
→ホンダは16日、米国とカナダの5工場の操業を22日から一週間休止することを明らかにした旨。半導体の調達難が続いていることに加え、港湾の混雑でアジアからの部品の供給が滞っているため。自動車需要は回復基調にあるが、部品不足による生産への影響が長引いている旨。

◇トヨタ、北米4工場を一部休止、樹脂部品に供給懸念広がる (3月18日付け 日経 電子版 05:16)
→トヨタ自動車が米国とメキシコで完成車とエンジン生産の計4工場を一部休止して生産調整することが17日、わかった旨。2月に米国を襲った記録的な寒波と南部テキサス州の大規模停電によって樹脂部品などの供給が滞っていることが影響する旨。自動車業界では半導体不足による生産調整が続いているが、樹脂部品にも影響が広がってきた旨。

◇半導体供給リスク広がる、スマホ・車・パソコン向け品薄 (3月18日付け 日経 電子版 05:33)
→半導体の供給網リスクがスマートフォンやパソコンなど幅広い分野に及んでいる旨。米テキサス州で2月に発生した大規模停電を受け、スマホ向け半導体などで世界5%の生産シェアを持つ韓国サムスン電子の現地工場が操業を停止。半導体不足に拍車がかかり電子機器の生産に影響が出始めている旨。17日にはホンダが減産を表明するなど調達難の長期化は経済回復にも水を差しかねない旨。

◇Everywhere You Look, the Global Supply Chain Is a Mess-Global supply chains grapple with continued disruptions -Winter storms and crammed ports in the U.S. add to disruptions of production and supplies during the pandemic (3月18日付け The Wall Street Journal)
→supply chainの災いが自動車および衣服からhome外壁素材および医療針容器まですべてのメーカーに世界的に増大、極端なTexasの気候およびport backlogsがすでにpandemicの混乱が付きまとうメーカーに向けての問題を悪化させている旨。

◇樹脂でも供給混乱、米テキサス停電の余波拡大 (3月19日付け 日経 電子版 05:17)
→米南部テキサス州を襲った記録的寒波と大規模停電の影響が広がっている旨。メキシコ湾岸沿いに集中する化学プラントが一時軒並み停止に追い込まれ、樹脂の供給が滞っている旨。材料不足でトヨタ自動車の工場も休止した旨。素材市況も高騰し、住宅など幅広い業種に影響が出ている旨。半導体不足に加え、米国サプライチェーンの脆弱さが浮き彫りになっている旨。

◇2月の米寒波、余波世界に、トヨタはチェコ工場を休止 (3月20日付け 日経 電子版 07:23)
→2月に米国を襲った寒波の影響が欧州の自動車生産にも波及してきた旨。
トヨタ自動車は19日、チェコの工場の操業を22日から14日間止めると明らかにした旨。米フォード・モーターもドイツで生産を止めた旨。米南部テキサス州の半導体工場が止まり、昨年末から続いていた半導体の供給不足に拍車をかけた旨。プラスチック部品などの供給も滞っており、世界的なサプライチェーンの混乱が震度を増す旨。

本欄を埋めている時点で、驚かされるルネサスエレクトロニクスでの事態である。影響最小限を祈る思いである。

◇ルネサス、車載半導体の主力工場で火災、20日に現場検証 (3月20日付け 日経 電子版 04:59)
→半導体大手のルネサスエレクトロニクスは19日、主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で火災が発生したと発表、先端品を扱う直径300ミリメートルの半導体ウエハーに対応した生産ラインが被害を受けた旨。同工場は車載半導体の主力工場で、操業停止が長引けば世界的に不足が続く車載半導体の供給に影響が出る可能性がある旨。

◇ルネサス工場で火災、車載半導体、供給に影響の恐れ (3月20日付け 日経 電子版 20:11)
→半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で19日に火災が発生し、一部の車載用半導体の生産ラインが停止している旨。世界的に不足している車載半導体の供給への影響は必至で、新たな自動車の減産につながりそう。
2階建ての建屋1階で19日午前2時47分に火災が発生し、約5時間半後に鎮火した旨。出火元はめっき装置。被害を受けたのは先端品の量産を担う直径300ミリメートルの半導体ウエハーに対応した生産ライン。主に自動車の走行を制御するマイコンを生産している旨。

このような状況の一方で、IC製造関連の見方&動きが表わされていて、注目させられている。

IC Insightsが、SamsungおよびTSMCが抜け出る形の設備投資の現況を以下の通り示している。最先端微細化の後れの挽回を図っていくIntelであるが、半導体設備投資が如実に示す現時点の実態としている。

◇Samsung and TSMC Seeking to Spend Their Way to Worldwide Domination of Advanced IC Technology-Combined, the two companies are forecast to represent 43% of global semiconductor industry capital spending this year. (3月16日付け IC Insights)
→半導体設備投資のトップ2社推移:
          No.1    No.2
 1994-1995    Intel     Motorola
 1996       Intel     Samsung
 1997-1998    Intel     NEC
 1999-2001    Intel     TSMC
 2002-2003    Intel     Samsung
 2004-2008    Samsung   Intel
 2009       Intel     Samsung 
 2010-2014    Samsung    Intel
 2015       Samsung    TSMC
 2016-2019    Samsung    Intel
 2020-2021F    Samsung    TSMC

◇Samsung and TSMC set for world domination-IC Insights: Nations need to catch up with Samsung, TSMC (3月17日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。中国、European Union(EU)および米国は、Samsung ElectronicsおよびTSMCの席巻に追いつくために$30 billion/年を5年間充てる必要がある旨。該2つの半導体メーカーは、今年合わせて$55.5 billion以上のcapital expenditures(capex)としている旨。ほかのIC生産者あるいは政府による非常に素早く決定力のある行動なしでは、SamsungおよびTSMCが今後の先端consumer, business, および軍事用electronicシステムすべての礎石である最先端ICプロセス技術の世界的席巻を手にしつつある旨。

◇Samsung and TSMC Seeking to Spend Their Way to Worldwide Domination of Advanced IC Technology (3月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇US$150 billion needed in 5 years to catch up with TSMC: IC Insights (3月17日付け Focus Taiwan)
→IC Insights発。最大手の米国半導体サプライヤ、Intel社は、2022年に7nmプロセスの商用生産を打ち上げる予定、TSMCおよびSamsungはさらに進んだ3nmプロセスの量産を始める見込みであり、Intelは依然ライバルたちに後れている旨。最高水準のcapital expenditure(capex)を充てている半導体会社が、最先端半導体のサプライヤでもあることがデータで示される旨。Intelについては、"同社はSamsungが2020年に費やした約半分に過ぎず、今年もまたSamsungおよびTSMCが費やす見込みのものにずっと届かない見込み"、としている旨。

◇Samsung, TSMC are Spending to Widen IC Manufacturing Lead (3月18日付け EE Times)
→IC Insights発。SamsungおよびTSMCが今年、半導体業界においてIC製造のリードを広げる見込み、生産技術でライバルを上回る投資の旨。private consortia、政府プログラム、あるいは両方でも、IC製造で追いつけるかどうか、との見方。

注目のTSMCのArizona州の新工場の取り組みが、次の通りアップデートされている。

◇TSMC said to be planning $35bn Arizona Gigafab-Report: TSMC budgets $35B for Arizona Gigafab (3月15日付け Electronics Weekly (UK))
→台湾のUnited Daily News newspaper発。TSMCが、Arizonaのウェーハfab拠点に$35 billionを充てる意向、100,000枚/月を上回る生産可能の旨。該fab提案への大きな変更として、5-nanometerおよび3nm features搭載microchipsを生産すること、6つの別々のfabs建設ではなく"GigaFab"の建設を求めていく、としている旨。

◇Report: TSMC plans to now spend $35B in Arizona fab (3月16日付け Electronics 360)

中国・SMICの深セン新工場が、次の通りである。

◇China's top chipmaker to build a $2.35 billion plant with government funding-SMIC gets government funding for $2.35B fab in Shenzhen (3月18日付け CNBC)
→中国の最大&最重要な半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)が、$2.35 billionかけてShenzhen(深セン)に新工場を建設、同社およびsouthern Chinese city of Shenzhen政府が共同で該プロジェクトに資本を入れる旨。SMICは、米国との摩擦の渦中で半導体業界における自己充足を高める中国の計画のカギとなる旨。

SEMICON Chinaでの現下の状況下でのアピールである。

◇中国、国産化をアピール、半導体装置展示会、微細化では足踏み (3月18日付け 日経)
→中国で最大規模の半導体製造装置の展示会「セミコン・チャイナ」が17日、上海で開幕、世界的に半導体の需給が逼迫するなか、国産化を進める習近平(シー・ジンピン)指導部の政策もあって会場は多くのバイヤーでにぎわった旨。一方、米欧からの基幹部品の調達が滞り、微細化に遅れが出ているとの声もあった旨。「中国は半導体の供給網を守る」。開幕式で講演した上海市の呉清・副市長は名指しを避けながらも、中国への圧力を続ける米国を牽制した旨。

半導体の不足、そして新工場の取り組み、ともに激動の中の推移に目が離せないところである。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□3月16日(火)

米国株式市場は、最高値更新が7日続いた後、米連邦準備理事会(FRB)の動きに反応、初の3万3000ドル台の場面も見られたものの下げに転じた今週である。

◇NYダウ7日続伸、174ドル高、連日で最高値更新 (日経 電子版 05:40)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸し、前週末比174ドル82セント(0.5%)高の3万2953ドル46セントと4日連続で過去最高値を更新した旨。7日続伸は昨年8月上旬以来の連続上昇記録。前週に米政府の追加経済対策が成立し、景気回復が勢いづくとみた買いが消費関連株を中心に入った旨。

□3月17日(水)

◇NYダウ反落127ドル安、高値警戒で利益確定売り (日経 電子版 05:38)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8営業日ぶりに反落し、前日比127ドル51セント(0.4%)安の3万2825ドル95セントで終えた旨。前日までの7日続伸で2000ドルあまり上昇し、短期的な過熱感を警戒した利益確定売りが景気敏感株を中心に出た旨。主力ハイテク株には押し目買いが入り、相場を下支えした旨。

米国では、ワクチン接種加速で経済再開の動きが広がるとあるが、以下に示すように、パリでは変異ウイルスの拡大でまたも外出制限の措置、と用心しながらの対応ではある。

◇米で経済再開の動き広がる、ワクチン接種加速で (日経 電子版 09:30)
→米国で経済再開の動きが広がっている旨。外食のほか、娯楽施設も営業規制の緩和が相次ぐ旨。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、新規感染者数は減少傾向。変異ウイルスを巡る不透明感が残るものの、米国民の生活は徐々に正常化へ向かっている旨。

□3月18日(木)

◇NYダウ189ドル高、初の3万3000台、FOMC後に一段高 (日経 電子版 05:56)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前日比189ドル42セント(0.6%)高の3万3015ドル37セントで終え、初めて3万3000ドル台に乗せた旨。米連邦準備理事会(FRB)は17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年末まで現行のゼロ金利政策を続けるとの予想を示した旨。市場の予想以上に「ハト派寄り」の内容だった旨。金融緩和の長期化が景気回復と株式市場への資金流入を後押しするとの見方が広がり、米株相場は会合後に一段高となった旨。

◇FRB、2023年末までゼロ金利維持、物価は年内2%突破へ (日経 電子版 07:23)
→米連邦準備理事会(FRB)は17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明、同時に新型コロナウイルス危機から景気は大きく持ち直すとし、2021年中に物価上昇率が目標の2%を突破すると予測した旨。FRBは景気回復後も長期緩和を維持する構えで、市場の早期の利上げ観測に対抗する旨。

我が国も緊急事態が解除されていくが、気の抜けない状況に変わりなしである。

◇緊急事態宣言21日で解除、政府決定、発令2カ月半 (日経 電子版 18:00)
→政府は18日の新型コロナウイルス対策本部で、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に発令している緊急事態宣言を21日の期限で全面解除すると決めた旨。1月から始まった2度目の緊急事態宣言は2カ月半で終了する旨。解除後も飲食店に対する営業時間短縮の要請などを継続し、感染再拡大を防ぐ旨。

□3月19日(金)

◇パリ、3度目の外出制限、英国型変異ウイルスが拡大 (日経 電子版 05:26)
→フランス政府は18日、感染力が強い新型コロナウイルス変異型が広がっているとして、パリなど16の地域で20日午前0時(日本時間同日午前8時)から少なくとも4週間の外出制限を始めると発表、経済への悪影響を避けるため回避を目指したが、医療機関への負荷の高まりなどから3回目の実施に追い込まれた旨。

◇NYダウ反落153ドル安、長期金利上昇でハイテク株に売り (日経 電子版 05:41)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比153ドル07セント(0.5%)安の3万2862ドル30セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利政策の長期化がインフレを加速させるとの見方から、長期金利が1年2カ月ぶりの水準に上昇、長期金利上昇が株価の逆風になりやすいハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄を中心に売られた旨。

Biden政権で初めての米中外交トップ会談は、2日にわたる激論応酬が終わったという最新報道である。ハイテク摩擦も先行きの一層の厳しさを感じるところである。

◇米中外交トップが激論、バイデン政権で初の直接協議 (日経 電子版 07:14)
→ブリンケン(Antony John Blinken)米国務長官は18日、中国の外交担当トップ、楊潔?(ヤン・ジエチー)共産党政治局員とアラスカ州で会談した旨。米中の外交トップが対面式で会うのはバイデン政権では初めて。安全保障や経済、人権問題などを巡って冒頭から激しい応酬となった旨。

□3月20日(土)

◇NYダウ続落、234ドル安、FRB「特例終了」で金融株下落 (日経 電子版 05:47)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比234ドル33セント(0.7%)安の3万2627ドル97セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルス危機に対応して導入した銀行の資本規制の緩和を延長しないと発表、投融資への影響が懸念された金融株が下げた旨。悪材料が出たクレジットカードのビザとスポーツ用品のナイキが売られたのもダウ平均の重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【AMDのサーバ向けCPU最新製品】

AMDが、開発コード名が「Milan」であるサーバ向けCPUの最新製品「第3世代AMD EPYCプロセッサ」、AMD EPYC 7003シリーズを発表している。世界最高性能のサーバプロセッサが含まれ、Intel社からのさらなる市場シェア奪取を狙っている。

◇AMD launches 'Milan' chip for data centers as battle with Intel intensifies (3月15日付け Reuters)
→Advanced Micro Devices(AMD)社が月曜15日、ライバル、Intel社からのさらなる市場シェア奪取を狙った新しいデータセンター用半導体をリリース、該“Milan”データセンター用プロセッサは、Intelの現状最善のデータセンター用半導体よりも高速の旨。AMDが該半導体を設計、TSMCが7-nanometer半導体製造プロセスにより該半導体を製造の旨。

◇Microsoft, AMD partner on confidential computing features powered by AMD Epyc 7003 processors-Microsoft is joining with AMD to make some new Azure cloud-related announcements around AMD's latest Epyc chip. (3月15日付け ZDNet)

◇AMD launches EPYC 7003 CPU series-AMD debuts EPYC 7003 series line (3月16日付け New Electronics)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、EPYC 7003 Series CPUsの打ち上げを発表、世界最高性能のサーバプロセッサとされるEPYC 7763が含まれる旨。AMDはMicrosoftと連携、該新プロセッサにおける機密のcomputing capabilitiesを供給の旨。

【Applied Materialsの新検査装置】

Applied Materials社(AMAT:Santa Clara, CA)が、AI技術とビッグデータを活用した画期的な新光学ウェーハ検査装置を投入している。ノード開発の加速、立ち上げから量産までの迅速化、高歩留まりの維持に寄与するとしている。

◇Applied Materials brings AI and big data into semiconductor inspection machines-Applied debuts IC inspection systems with AI, big data (3月16日付け VentureBeat)
→Applied Materialsが、artificial intelligence(AI)技術およびbig data analyticsを利用する光半導体ウェーハ検査装置を投入の旨。「半導体製造にAIおよびbig dataを持ち込んでいる。」と、Applied Materialsのgroup vice president、Keith Wells氏。

◇New Applied Materials tools use AI to catch mistakes on chips (3月16日付け Reuters)

◇Applied's Inspection System Gets Smart (3月17日付け EE Times)
→Applied Materialsの新しいEnlight光検査システムは、同社e-beam toolと対であり、該組み合わせがこのほどAIで支えられている旨。

◇Applied Materials Introduces New Playbook for Process Control Based on Big Data and AI (3月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

【注目の動き】

3つの動きに注目。まずは、Samsungが、Googleの親会社、Alphabetの自動運転部門、Waymoが次世代自動運転車用半導体を開発する商談を獲得、とのこと。

◇Samsung to develop autonomous driving chip for Google's Waymo - media -Report: Google awards Samsung AV chip contract (3月15日付け Reuters)
→韓国メディア、月曜15日発。Samsung Electronicsが最近、Googleの親会社、Alphabetの自動運転部門、Waymoが次世代自動運転車用半導体を開発するプロジェクト商談を獲得の旨。Samsungは、自動運転車に据えつけられたいろいろなセンサからの収集データを計算、あるいはリアルタイムでGoogleデータセンターと情報交換して中央の機能制御を行う半導体を開発する、とunnamed業界筋引用、韓国紙、Herald Business発。

次に、中国での動きとして、Lenovoの親会社による上海の半導体メーカーへの出資である。

◇Lenovo's parent invests $237 million in Chinese chipmaker Fullhan-Legend Holdings invests $237M in SoC design firm (3月17日付け Reuters)
→世界最大のPCメーカー、Lenovoの親会社、Legend Holdingsが、半導体メーカー、Fullhan Microelectronics(上海)における15.9% stakeを1.54 billion yuan($236.9 million)で買収、portfolio多角化推進の旨。

3つ目に、以前から注目していただけに驚きであるが、MicronがかつてIntelと共同で取り組んでいた3D XPoint技術の開発を中止、該技術製造工場のUtahにあるfabを売りに出すとのこと。以下に、決断の理由も示されている。

◇Micron to shift resources from 3D XPoint to CXL memory-Micron gets behind CXL memory standard, ditches 3D XPoint (3月17日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、データセンターに向けたメモリ&ストレージ革新、Compute Express Link(CXL)への重点化をさらに強化する同社portfolio戦略の更新を発表、3D XPoint技術の開発を中止、3D XPoint生産専用のfabを売りに出す計画の旨。

◇Bandwidth Demand Prompts Micron Transition from 3D Xpoint to CXL -Micron exits the 3D Xpoint memory market. How long will Intel hang on? (3月18日付け EE Times)

◇Micron Shows How Chip Making Might Become a National Bloodsport -Micron will try to sell fab as it plans to abandon 3D XPoint tech -The memory-chip maker plans to sell its Utah facility, but governments eyeing the production business should take heed of the costs (3月18日付け The Wall Street Journal)
→火曜16日遅く、Micronが、2015年以降Intel社と開発している代替メモリ半導体技術、3D XPointからの撤退を発表の旨。かなり率直なその理由、3D XPointは努力に見合う十分なビジネスを生み出していない一方、他の新技術がより有望となっている旨。その撤退計画の一環、Micronは、XPoint技術に基づくメモリ半導体を製造のUtahにあるfab拠点を徐々に終わらせて売却するとしている旨。

【半導体市況データ】

SEMIより、グローバルfab equipment spendingについて、2020年の後を受けて2022年まで3年連続の最高更新の見方があらわされている。現下の活況を反映している。

◇Global Fab Equipment Spending Poised to Log Three Straight Years of Record Highs (3月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのWorld Fab Forecast四半期レポート。electronics機器に向けたpandemic-inspired需要増大が焚きつけ、グローバル半導体業界はfab equipment spendingで次の通り稀な3年連続の最高更新の軌道にある旨。
  2020年   2021年   2022年
   16%増    15.5%増 12%増

◇Global fab equipment spending poised to log 3 straight years of record highs, says SEMI-SEMI: Global sales of IC gear to have 3 record years (3月18日付け DIGITIMES)

半導体不足の現況を反映、メモリ半導体価格も傾きを上げて高まる様相。
NOR型フラッシュおよびDRAMについて、以下の通りである。

◇NOR型メモリ10%高、旧世代品、車・ゲーム向け回復、品薄長期化の見通し (3月17日付け 日経)
→データの記憶装置に使う半導体の「NOR型」フラッシュメモリ価格が、2年半ぶりに上昇、巣ごもり需要で任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」などの需要が増えたほか、自動車向け需要の急回復で品薄感が強まっている旨。旧世代品のNOR型は供給が限られており、品不足は長引くとの声が多い旨。

◇Q2 DRAM ASP to grow 13-18% q-o-q-TrendForce: DRAM ASPs will rise 13% to 18% in Q2-Q2 will see larger q-o-q DRAM ASP increases, says TrendForce. (3月18日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForceの予測。DRAM半導体の第一四半期の間のaverage selling prices(ASPs)が2020年第四四半期に対して3% to 8%上昇の一方、データセンターなどメモリ半導体のbuyersが今年第二四半期にメモリを備蓄、第二四半期の該価格が13% to 18%上昇しそうな旨。PC DRAM契約価格が第二四半期において同様に上がる、と特に言及の旨。

【LiDAR関連】

光を使って離れた物体の距離や方向を測定する技術、LiDAR(Light Detection And Ranging)関連の記事が、続けて目に入って以下の通りである。「iPad Pro」、自動運転関連と搭載されていて、今後に一層の注目である。

◇Lidar Sweepstakes Draws 15 RFQs, But No Frontrunner (3月18日付け EE Times)
→lidarsに向けた十数を上回るRFQs(見積依頼書)が飛び交っている旨。明らかにlidarsがADAS(Advanced Driver Assistance System)市場に入り始めているが、自動車業界観測筋は単一のlidarサプライヤがこのステークス競馬に勝つとは期待しないよう警告の旨。

◇The Future of Automotive LiDARs (3月19日付け EE Times India)
→"solid-state"の定義づけがさまざまな型のLiDARs分類に用いられ、LiDAR communityの中でもある混乱につながっている旨。

◇ソニー、車載LiDAR素子参入、Apple採用追い風 (3月19日付け 日経 電子版 02:00)
→ソニーが自動運転の目となる車載センサ、LiDAR(ライダー)部品で攻勢をかける旨。2月、長い測距性能と低コスト化の両立を狙った車載LiDAR向け受光素子の成果を発表した旨。大きなシェアを握るイメージセンサの技術や、米アップル製品で採用されたとされる受光素子技術を車載用途に応用するなどして実現するよう。2022年のサンプル出荷を目指す旨。


≪グローバル雑学王−663≫

米国のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)、中国のBATH(Baidu, Alibaba, Tencent, Huawei)関連の動きに否応なく注目するこのところで目に留まった新書、

『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
 (太田 康夫 著:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行

をこれから読み進めていく。日本経済新聞社編集委員の著者が、カバーであらわしているコメントが次の通りである。
 ※現代では、上位1%が世界の富の半分近くを支配
  特に、ビリオネアと言われる超富裕層が急拡大する傾向
  その動向抜きには社会の行く末は語れない
 ※富裕層優遇策が繰り出されるたびに、貧しい側からのマグマは確実にたまっている
  コロナ禍の影響もあって、ますます広がっていく格差
 ※行き過ぎた分断社会の行方は?
1980年代初めからプライベートや仕事を通じて富裕層の方々と接してきたという著者を通して、世界を支配する新たな勢力の素顔、実態に触れていく。


≪はじめに≫

・米国のbillionaire(億万長者)の富は、新型コロナウイルス危機が始まった2020年3月からのわずか2ヶ月半で19%増
 →米国のシンクタンク「政策研究所(IPS)」の試算:
  約600人の保有する富の総額は3兆5120億ドルにまで
・失業者が急増した3月18日から6月4日までの間に
 →AmazonのJeffrey Preston Bezos、FacebookのMark Elliot Zuckerbergは富を大きく伸ばした
 →彼らの富の源泉は主に保有株式
  →「在宅勤務などが普及するアフター・コロナの世界で一段と強みを伸ばせる」と騰勢
・根っこにある貧富の格差
 →「2月初めから6月初めまでのコロナによる黒人の死亡率は白人の2倍に達している」との試算
・米国に暗い影を落とす貧富の格差
 →2017年時点で所得上位10%の世帯が握る所得のシェアは全体の50%超
 →大恐慌前の水準を上回る
・上位1%の所得シェアは1982年には10%程度
 →2017年には22%に
 →この40年のあいだに豊かな人がより豊かになるドラスティックな富裕層世界の変革が起きた

・日本が輝いていたように見えた1980年代後半、地価が高騰、富裕層が急増、そして金満文化が花開いた
 →その後、米国はIT時代を切り開き、欧州は経済通貨統合で新市場を作り、中国は資本主義的な手法を取り入れた社会主義で高成長を続けた
・米国などで起きたのは市場原理を重視した経済運営と、インターネットやスマートフォンの拡大に支えられた情報化とがもたらした資産価格の上昇
 →富裕層が激増
・中国やロシアでは、かつての国有組織を民営化した企業を支配した人たちが大金持ちに
・ニューヨーク、パリ、モナコ、香港などは、バブル期の東京をしのぐ「スーパーリッチ・シティ」に
 →主導するのは保有資産が1 billionドルを超えるbillionaire
 →新貴族文化と言えそうな新しい富裕層ワールドが現出
 →隠しようがない日本の富裕層ワールドでの地盤沈下

・富裕層を生み出すIT巨大企業群のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)
 →アフター・コロナの在宅時代の主役であり続ける
 →ワクチン開発にかかわる製薬会社も、あらたな富裕層の供給源に
・政治を握っていたり、強い影響力を持っていたりするのは富裕層
 →そう簡単に新貴族文化はゆるがないだろう

・筆者は日本でバブルが膨れ始めた1980年代初めから、プライベートや仕事を通じて富裕層の方々と接してきた
 →国際情勢が激変する中、富を増やし、政治的影響力を増し、あらたなリッチ文化を築いた富裕層の変化に驚きを禁じ得ない
・本書は、急速に変容しながら膨れ上がったスーパーリッチ(富裕層)の世界を多角的に分析
 →スーパーリッチの世界の光と影を見つめて、今後の参考にしていただけたら幸い

第一章 超富裕層時代の到来 …2分の1

(1)ビリオネアの素顔

◇2020年世界トップはAmazonのJeffrey Preston Bezos、離婚慰謝料4兆円の驚愕
・オンライン販売、Amazonの創業者、Jeffrey Preston Bezos
 →保有する富は黒人家庭平均の4400万倍…政策研究所(IPS)レポート
・シアトルで開業したインターネット書店を、Amazonとしてスタート
 →1997年に株式公開
 →2003年には黒字化に成功
 →電子商取引の大手の地位を不動のものとしたインターネット時代の申し子
・提供する商品の価格とサービスの内容を最重視する企業文化
・2019年に25年間連れ添った妻と離婚
 →慰謝料としてそれまでの最高を大きく上回る世紀の離婚に

◇GAFAの米国
・米国は長年、富豪といえばマイクロソフトの創業者、William Henry "Bill" Gates III
 →Gatesを抜いて2018年にトップに躍り出たのが、Bezos
・インターネットはこの30年で社会基盤として定着、それをベースにさまざまな経済活動が展開される時代に
 →代表的な企業が、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)
 →GatesからBezosへの交代は、ネット時代の新しい展開
・超お金持ちはまさにGAFAの時代

・ネット関連以外で目立つのは、スーパーマーケット・チェーン、Walmart
 →スーパーは、経済に占める消費の比率が6割を超える米国、圧倒的な存在感
 →WalmartのWalton一族の3人の資産を合計すると、Bezosを上回っている
・一族としては他に、エネルギー、金融などを展開するコック・インダストリーズのKoch家

◇伝統の欧州は、ファッション・コングロマリット
・オールド・インダストリーズの影響力が強い欧州
 →ファッションや化粧品といった分野の担い手が健闘
・フランスの複合企業、LVMHの会長、Bernard Arnault
 →高級ファッションのルイ・ヴィトンとブランデーのモエ・エ・ヘネシーが合併
・ファスト・ファッションの草分け的な存在、スペインのZARA(Inditexが展開)の創業者、Amancio Ortega
 →新しいビジネスモデルを確立
  …製造から販売まで一貫して手掛ける体制づくり
  …サプライチェーン(供給網)の構築
・世界最大の化粧品会社、ロレアルのFrancoise Bettencourt Meyers

◇時代映すアジアの富豪、長江の李嘉誠から万達の王健林、アリババのJack Maへ
・中国のIT大手、Alibabaの創業者、Jack Ma(馬雲)
 →アジアでも富豪は米国のGAFA同様ITの覇者の時代に
・バブル崩壊によって日本人のランクは下がって、それと入れ替わるように台頭してきたのがインド勢
 →ミッタル・スチールのLakshmi Mittal
  →1989年、オランダで創業の鉄鋼メーカー
 →石油化学を中核事業とするコングロマリット、リライアンス・インダストリーズのMukesh Ambani
・一国二制度のもと、政治的には中国に返還された香港の李嘉誠(リ・カシン)が長いあいだ代表的な長者
 →さらに押し上げられた不動産価格
・中国は2010年に国内総生産(GDP)の規模で日本を抜いて世界2位の経済大国に
 →本土でも金持ちが急増
  →不動産業の発展が著しく、その象徴が万達集団(ワンダ・グループ)
  →長期にわたる高度経済成長と歩調を合わせるように不動産価格が上昇
・近年、中国経済の成長の原動力が不動産からインターネットへ

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