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各国・地域の先端半導体自立強化の動き、一方、CSIAとSIAの接触

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜12日朝9時時点、世界全体で1億1835万人を超え、6日前から約235万人増と変わらぬペースである。我が国でも警戒が高まっているが、変異ウイルスの猛威でオタリアでは再びロックダウン(都市封鎖)が行われようとしている。米国のBiden大統領が半導体supply chainの弾力性を高める手段を講じる大統領令に署名して、米国内での半導体製造の強化がされていく中、こんどはEUそして各国で同様の先端半導体の自己完結を図る動きが目立ってきている。一方、Biden政権でも米中摩擦が引き続く様相のもとで、中国の半導体業界団体、CSIAが米国・SIAに対し摩擦緩和に向けた半導体working groupの設立を働きかけている。

≪それぞれ自己完結に向けて≫

全国人民代表大会(全人代、国会に相当)にて改めての5ヶ年目標を示した中国であるが、米中摩擦を受けて半導体自給率の到達速度が一層鈍る中、最先端半導体は当然のこと、盛り込まれている。

◇China to apportion more funds to chips, AI and 5G-CHASING AFTER THE US: China is scrambling to cut its dependence on the West for crucial components such as computer chips, an issue that has become more urgent (3月6日付け Taipei Times)
→中国が、最新5ヶ年目標で最先端半導体およびartificial intelligence(AI)への投資を高め、リサーチの牽引を誓約、米国とグローバルな影響力を競う科学技術的青写真を展開の旨。

米国では、国内で最先端半導体の製造能力の強化を図る大統領令に署名が成されて、SEMIも称賛、歓迎している。

◇SEMI thanks President Biden for support-SEMI commends President Biden for industry support (3月8日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMIのCEO、Ajit Manocha氏が、Biden大統領および議会メンバー超党派グループによる2021年2月24日のWhite Houseでのmeetingにおける米国の半導体製造&リサーチを拡大する出資incentivesを支持するステートメントを出した旨。

欧州連合(EU)はこのほど2030年を見据えたデジタル政策の目標「デジタルコンパス(デジタル羅針盤)」を発表、その中に、先端半導体の生産シェア20%を目指すとしている。現時点、欧州と我が国は並ぶ形で10%を下回る半導体の市場シェアとなっており、倍増以上の拡大を目指す積極的な打ち上げである。

◇Europe seeks semiconductor boost, first quantum computer-Europe aims at next-gen chips, crafting quantum computer (3月8日付け Reuters)
→European Union(EU)が、non-European技術への依存を遮断する活動の一環、この10年の終わりまでに先端半導体のグローバルoutputの5分の1を生産、そして5年で最初の量子computerをつくりたい、としている旨。

◇Europe seeks semiconductor boost, first quantum computer (3月9日付け Reuters)

◇EUが2030年デジタル目標、IT専門家2000万人に (3月10日付け 日経 電子版 04:40)
→欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、2030年を見据えたデジタル政策の目標「デジタルコンパス」を発表、次世代半導体の域内生産に加え、IT関連の専門家を2000万人に増やすほか、すべての市民が公的サービスや電子カルテをオンラインで使えるようにする旨。
≪EUの2030年のディジタル関連目標≫
・ITの専門家を2000万人に
・人口密集地域を5Gでカバー
・次世代半導体の生産シェアを20%に
・「edge computing」の1万の関連機器を域内に展開
・量子コンピュータで最先端に
・75%の企業がビッグデータやAIなどを利用
・すべての人が公的サービスやカルテをオンラインで利用可能に

EUの半導体における狙いが、以下端的にあらわされている。

◇半導体、EUも脱海外依存、域内増産でシェア2割めざす−米中対立で経済安保重視、日本も対応急務 (3月10日付け 日経 電子版 05:39)
→半導体などデジタル競争力を左右する基幹産業を巡って、アジアへの依存を見直す動きが先進国で広がってきた旨。米国が2月下旬、中国に依存しない調達体制づくりを表明したのに続き、欧州連合(EU)も9日、域内生産する次世代半導体の世界シェア「2割」をめざす目標を打ち出した旨。米中対立を背景に米欧は経済安全保障の面から見直しを急いでおり、日本も対応が問われる旨。EUは半導体やデータ産業などデジタル分野で中国や米国への依存度を下げるため、2030年の実現をめざす目標を打ち出した旨。新型コロナウイルス禍を受けて創設した復興基金の約20%にあたる約18兆円を今後2〜3年でデジタル分野に投じて域内供給網を立て直すことなどが柱。海外に依存しない欧州のデジタル主権の確立を狙う旨。

韓国政府も、先端車載半導体への出資である。

◇Government commits 200 billion won to semiconductors-S. Korea government invests $175M for next-gen auto ICs (3月10日付け JoongAng Daily (South Korea))
→韓国政府が、bio/healthおよびシステムmicrochipsとともに"Big 3"技術の1つである先端車載半導体に今年および来年$175 millionの出資を約束の旨。

先端半導体で後れをとっている我が国の現時点である。

◇次世代半導体、日本後手に、経済安保上の戦略物資、主要産業にリスク (3月10日付け 日経)
→欧州連合(EU)や米国が次世代半導体の囲い込みに動くなか、日本は後手に回っている旨。最先端の量産設備を持つ日本企業はすでに1社もなく、海外大手の誘致でも中核技術の設備は呼び込めていない旨。経済安全保障上の戦略物資でもある半導体の確保が遅れれば、自動車など日本の主要産業の大きなリスクとなる旨。日本の半導体支援策は経済産業省が設けた総額2000億円の基金が軸。数兆円規模の巨額補助金を打ち出すEUや米国には遠くおよばない旨。2020年末にまとめた「グリーン成長戦略」でも半導体分野の工程表を示したが「次世代半導体の技術開発支援」など抽象的な目標が並び、具体的な施策や金額は打ち出せなかった旨。

気鋭のメンバーが集まった中国の半導体startupへの過熱気味の投資状況が、以下の通り示されている。

◇中国半導体新興、創業100日で数百億円調達 (3月11日付け 日経 電子版 02:00)
→設立からわずか100日、GPUを手がける中国「摩爾線程(Moore Threads)」がすでに2回目の資金調達を終えたことがわかった旨。2回の調達で得た資金は数十億元(数百億円)で、「深セン7市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」、「セコイアキャピタル・チャイナ」、「GGV Capital」が共同で出資を主導し、「招商局創投(CHINA MERCHANTS VENTURE)」やTikTokを運営する「北京字節跳動科技(ByteDance)」、自動運転を手がける「小馬智行(Pony.ai)」、「融匯資本(Riverhead Capital)」なども出資に参加した旨。同社のコアメンバーはGPGPUに強いNVIDIAを筆頭に、マイクロソフト、インテル、AMD、ARMなどの出身者が揃う旨。創業者は業界で15年以上の経験を積んでおり、世界トップクラスのチップメーカーを率いて中国GPU業界のエコシステムを開拓した旨。

◇中国、半導体新興へ投資過熱(36KrJapan) (3月11日付け 日経)
→米中ハイテク摩擦を背景に、中国で半導体スタートアップへの投資が活発となっている。GPU(画像処理半導体)を開発するスタートアップ企業の摩爾線程は、2020年10月の設立から約100日で、数十億元の資金調達に成功した。摩爾線程は米エヌビディアやインテル、英アームなど半導体業界の出身者が集まった。中国は半導体を重点科学分野として位置づけており、外国からの制裁に影響されない独自の供給網構築に乗り出している。新興企業への投資も過熱しており、登臨科技が資金調達に成功。量産準備に乗り出すなど、製品化に向けて動き始めている。・・・・・

以上のような先陣争いの様相の一方で、中国の半導体業界団体、Chinese Semiconductor Industry Association(CSIA)が相対する米国のSemiconductor Industry Association(SIA)に対し、米中摩擦の緩和に向けた半導体working groupの設立を持ち掛けている。積極的なCSIAに対し、慎重な姿勢がうかがえるSIAという以下の内容であるが、今後の成り行きに注目するところである。

◇US and China set up semiconductor working group to ease tension in industry, improve supply chain security -China, US trade associations set up chip working group (3月11日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→Chinese Semiconductor Industry Association(CSIA)が、相対する米国のSemiconductor Industry Association(SIA)とmicrochip working groupを設立、該working groupは、6ヶ月ごとに北京およびWashington DCで会合を行い、暗号、intellectual property(IP)および通商政策関連の議題を扱う旨。該グループは政策提案もつくり出す旨。
該working groupの打ち上げは、Huawei TechnologiesからSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)まで中国各社の助けになる可能性の動き、グローバルな半導体の不足を緩和するために米国Joe Biden大統領政権が中国半導体各社を相手取った貿易制限を緩めそうという憶測の渦中で出てきている旨。
CSIAのステートメントによると、該working groupは、両方サイドから10人のエキスパートが入る旨。
WashingtonのSIAによると、該working groupは、一般貿易mattersに関する公的情報共有についてであり、輸出制限の緩和ではない旨。

◇China semiconductor trade association establishes work group with U.S. counterpart (3月11日付け Reuters)
→本件についてコメント要求にSIAから反応はなく、SIAのwebsiteは該working groupについて触れていない旨。

◇米中の半導体業界団体が制裁対応の対話窓口 (3月12日付け 日経)
→中国の半導体企業で構成する業界団体は11日、米国の業界団体との対話窓口を設けると発表、米政府による中国企業への制裁などについて、対応策を話し合う予定。半導体産業のサプライチェーン(供給網)を維持したい中国側と、中国市場での商機を探る米国側の思惑が一致したとみられる旨。
中国の業界団体「中国半導体行業協会(CSIA)」によると、米国側との協議を経て、双方で「中米半導体産業技術貿易規制作業グループ」を設立することを決めた旨。米中からそれぞれ10社の代表者が参加する旨。

◇China chip group eyes US collaboration-COMING TOGETHER: While a US-based semiconductor industry group has not yet responded to the CSIA, an expert said cooperation was necessary to avoid disaster (3月12日付け Taipei Times)


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□3月6日(土)

米国・Biden政権の大型コロナ経済対策法案が、以下の通りの経過で成立に至っている。

◇Senate passes $1.9 trillion Covid relief bill, House Democrats plan final approval Tuesday-$1.9T relief bill wins Senate vote, heads back to House (CNBC)
→Biden政権の$1.9 trillion coronavirus救済packageが、"vote-a-rama"を経て50-49の票決で上院を通過、原案から修正された該法案は、承認に向けて下院に戻される旨。
(注) vote-a-rama…米上院のルールで、上院での予算案の決議が(議員間の意見対立の結果)難しい時の対処方法を指す。上院において、50時間の議論の後、予算案全体を安定多数(60票)で通過させるのが難しいと考えた場合、修正案一つにつき10分などとわずかな時間を使って個々に採択を行う。それがすべて終わったところで、法案全体を決議して、過半数(51票)あれば成立するというやり方。

□3月9日(火)

該経済対策による景気回復の期待で、過去最高値を上回って上げが続いた今週の米国の株式市場である。

◇NYダウ496ドル高、最高値上回る、景気回復期待で (日経 電子版 05:12)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、15時現在は前週末比496ドル00セント高の3万1992ドル30セントと2月24日に付けた過去最高値を上回っている旨。米上院が1・9兆ドル規模の追加の経済対策を可決したのを受け、景気敏感株に買いが入っている旨。

□3月10日(水)

◇NYダウ続伸で推移、長期金利低下、ナスダックは大幅高 (日経 電子版 06:15)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、15時現在は前日比198ドル78セント高の3万2001ドル22セントと2月24日に付けた過去最高値を上回って推移している旨。米長期金利の上昇が一服し、前日まで軟調だったハイテクなどグロース(成長)株に押し目買いが入っている旨。米国の追加経済対策が景気回復を後押しするとの期待も買いを促している旨。


□3月11日(木)

◇NYダウ500ドル超高、経済対策可決で景気敏感株に買い (日経 電子版 05:30)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、15時現在は前日比522ドル78セント高の3万2355ドル52セントと2月につけた過去最高値を上回っている旨。米下院は10日、1・9兆ドル規模の追加経済対策を可決、12日にバイデン大統領が法案に署名し、成立する旨。家計への現金給付などが景気回復を加速させるとの見方から、景気敏感株を中心に買われている旨。

◇American Rescue Plan Act passes with many tax components-Congress passes $1.9T relief bill, including tax provisions (Journal of Accountancy online)
→$1.9 trillion coronavirus救済法案が、票決220-211で下院を通過、Joe Biden大統領の署名に向かう旨。

◇米200兆円対策成立へ、バイデン体制、財政出動まず成果 (日経 電子版 05:46)
→米連邦議会下院は10日、バイデン大統領が提案した1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策を民主党主導で可決した旨。上院は通過済みで、バイデン氏が12日に署名して成立する旨。コロナ危機による財政出動は今回で第5弾で、総額6兆ドル弱に膨らんだ旨。1月に発足したバイデン体制は雇用再建を重視しており、巨額の経済対策でまず成果を急ぐ旨。


□3月12日(金)

◇NYダウ233ドル高、経済対策成立で景気回復を期待 (日経 電子版 05:16)
→11日の米ダウ工業株30種平均は5日続伸し、15時現在は前日比233ドル52セント高の3万2530ドル54セントと前日に付けた過去最高値を上回っている旨。バイデン米大統領が署名し、米政府の追加経済対策が11日に成立した旨。景気回復が勢いづくとの期待から幅広い銘柄に買いが入った旨。米長期金利の上昇が一服し、ハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄も買われている旨。

Biden大統領が署名して、本経済対策法案が成立している。

◇米200兆円経済対策が成立、バイデン氏が署名 (日経 電子版 06:06)
→バイデン米政権が提案した1.9兆ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法案が11日、成立、バイデン大統領が署名した旨。家計を支援するため、1人当たり最大1400ドルの現金給付を週内にも始める旨。新政権で初めてとなる財政出動で経済再建を急ぐ旨。


□3月13日(土)

我が国でも警戒が高まる変異ウイルスであるが、イタリアでは再びロックダウン(都市封鎖)の措置である。

◇イタリア、主要地域で再び都市封鎖、変異ウイルスが猛威 (日経 電子版 05:26)
→イタリア政府は12日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため規制を強化する計画を閣議決定、15日から過半の地域がロックダウン(都市封鎖)となる旨。感染力の強い英国型の変異ウイルスが猛威を振るい、終日外出禁止など厳しい措置が不可欠と判断した旨。

◇NYダウ最高値上回って推移、ワクチン期待で241ドル高 (日経 電子版 05:31)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、15時現在は前日比241ドル13セント高の3万2726ドル72セントと前日に付けた過去最高値を上回って推移している旨。米政府の追加経済対策や新型コロナウイルスのワクチン普及による景気改善期待から、恩恵を受ける景気敏感株に買いが入っている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Appleの半導体設計センター】

Appleが、ドイツ・ミュンヘン拠点に10億ユーロ(約1300億円)以上を投資、欧州の「シリコンデザインセンター」を設けて、「5G」などに対応した半導体を設計・開発するとしている。自社設計に向かう流れの一環とみられる。

◇Apple to invest $1.2B in Germany, with focus on 5G and beyond (3月10日付け FierceElectronics)
→Appleが、Munich, Germanyにおける新しいEuropean silicon design centerに$1.2 billion超投資する計画を発表、5Gおよび今後のワイヤレス技術に重点の旨。

◇Apple to invest $1.2B in silicon design center in Germany (3月10日付け TechCrunch)

◇Apple to set up silicon design centre in Germany, invest $1.2 billion (3月10日付け Reuters)

◇Apple picks German city of Munich for major chip lab-Apple will locate microchip lab in Munich (3月11日付け CNBC)
→Appleが、ワイヤレス半導体および関連ソフトウェアに向けたresearch and development(R&D)センターを設立、該拠点に$1.19 billionを投資の旨。同社は、European Silicon Design CenterがあるMunich, Germanyで数100人の半導体設計者などエンジニアを採用する予定の旨。

◇アップル、独で半導体開発、5G対応、自社設計切り替え加速 (3月11日付け 日経)
→米アップルは10日、ドイツでの半導体開発を強化すると発表、独南部ミュンヘンの拠点に今後3年間で10億ユーロ(約1300億円)以上を投資して、高速通信規格「5G」などに対応した半導体を設計・開発する旨。同社は半導体を外部調達から自社設計への切り替えを進めており、この動きを加速する狙いがあるとみられる旨。ミュンヘンで今後新たに数百人を採用し、欧州の「シリコンデザインセンター」と位置づける旨。

【本年のIC市場伸長】

IC Insightsが、本年の世界半導体販売高の伸びについて、前回の12%から今回19%と上方修正している。現下の環境を反映しているとともに、年間販売高の最高更新が図られる内容である。

◇IC Insights Raises Its 2021 IC Market Forecast from 12% to 19% Growth-Rising market expectations are being witnessed across most IC product lines from Analog to Logic to DRAM. (3月9日付け IC Insights)

◇Q1 IC market could show unusual sequential rise (3月10日付け Electronics Weekly (UK))

◇IC Insights raises 2021 IC market forecast to 19% growth-IC Insights: Global chip sales will grow 19% in 2021 (3月10日付け DIGITIMES)
→IC Insightsが、2021年の世界半導体販売高について、2020 figuresに対し12%増の前回予測の後、このほど19%増と上方修正の旨。microchip市場が、出荷数量で17%増そしてaverage selling prices(ASPs)で1%増、としている旨。年間販売高が$479.9 billionの見方。

◇IC Insights Raises Its 2021 IC Market Forecast from 12% to 19% Growth (3月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

【Samsung関連】

3-nmノードに向けて、SamsungはTSMCと異なるトランジスタ技術の選択である。

◇Samsung's 3-nm Tech Shows Nanosheet Transistor Advantage-Nanosheet devices allow tuning of memory cell design in a way FinFETs can't (3月5日付け IEEE Spectrum)
→TSMCは次世代プロセス、3-nanometer nodeに向けてFinFETsに留まる計画の一方、Samsungはnanosheets版、multibridge channel MOSFETs(MBCFET)の推進を選択の旨。

Samsung初のDRAMバッファレスとなるPCI Express 3.0対応NVMe M.2 SSDの「980」が、投入されている。

◇Samsung's new 980 NVMe SSD costs less to make, so it costs less to buy-Samsung debuts 980 NVMe SSD, ditching DRAMs-It ditches DRAM for the first time, with encouraging results (3月9日付け The Verge)
→Samsung Electronicsが、NVMe M.2 PCIe 3.0 SSD、980 solid-state drive(SSD)を投入、該driveは、DRAM半導体が入らない同社初のNVMe SSDである旨。

Samsungの中国・西安のNANDフラッシュメモリ量産拠点での建設プロジェクト進捗である。

◇Samsung constructs phase-2 memory chip base in Xi'an, northwest China-Samsung's fab in China begins equipment installation (3月11日付け Global Times (China))
→中国北西部陝西省(Shaanxi Province)西安(Xi'an)にあるSamsung China Semiconductor Coの12-インチNANDフラッシュメモリ半導体phase IIプロジェクトが木曜11日、装置据えつけ段階に入った旨。

【DRAM価格】

コロナ禍のパソコン需要活況に自動車用半導体の不足が相まって、煽られ気味の市場の空気を感じさせるが、DRAM価格の今年に入ってからの値上がりが以下の通りである。スポットは2年ぶりの高値水準とのこと。

◇DRAM、車用回復で値上がり、液晶も半導体不足で一段高 (3月10日付け 日経産業)
→1〜3月期の主な電子部品の取引価格は、多くの品目が値上がりする見通し。液晶向けパネルはテレビやパソコン向けの上昇が続く旨。2020年10〜12月期に値下がりしていた代表的な半導体メモリ、DRAMも、スマホや自動車生産の急回復で需給が引き締まっている旨。世界的な半導体不足の懸念が先立ち、市場には過熱感が生じ始めている旨。

◇DRAM、年初比6割高、パソコン・車向け需要増、スポット価格 (3月11日付け 日経)
→DRAMのスポット(随時契約)価格が急騰している旨。指標品は年初に比べ6割ほど高く、2019年3月以来2年ぶりの高値水準となった旨。パソコンなどの需要増に自動車生産の急回復が重なり、想定以上に半導体需要が増えた旨。米政府の対中制裁の余波もあって需給が逼迫した旨。品不足の解消には時間がかかるとみられ、今後も値上がりが続きそう。

【パナソニックのM&A】

パナソニックが製造業の供給網(サプライチェーン)効率化を手がける米ソフトウエア大手、ブルーヨンダーの買収に向け、米投資ファンドと協議していることが分かって、以下の取り上げである。投資額は、2011年に約8000億円で旧・三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化して以来の規模になる可能性があるとのこと。サービス傾斜のビジネスモデルの変化を感じている。

◇Panasonic to buy Blue Yonder for $6.5 billion in biggest deal since 2011: Nikkei-Report: Panasonic to pay $6.5B for Blue Yonder (3月8日付け Reuters)
→Nikkei発。Panasonicが、米国のsupply-chainソフトウェア・プロバイダー、Blue Yonderの$6.5 billion in cashでの買収に合意、Panasonicは該取引を確認していない旨。Panasonicは昨年、Blue Yonderにおける20% equity stakeを買収、該買収でsupply-chainマネジメントサービスを増加させる旨。

◇Panasonic set to buy US supply chain software company for $6.5bn-Japanese maker aims to combine Blue Yonder's AI tech with its own hardware (3月8日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇パナソニック、米ソフト大手買収、7000億円で最終協議【イブニングスクープ】 (3月8日付け 日経 電子版 18:15)
→パナソニックはサプライチェーン(供給網)の効率化を手がける米ソフトウエア大手、ブルーヨンダー(Blue Yonder)を買収する方針を固めた旨。投資額は7000億円を軸に調整しており、同社にとって過去最大級のM&A(合併・買収)になる旨。センサなどにソフトを組み合わせた事業改善案を企業に提供しハード事業の幅を広げる旨。モノの売り切りが主体だった製造業のビジネスモデルが変わり始めた旨。

【SK HynixによるIntelのNAND買収】

米国の企業や事業への外国の直接投資の国家安全保障への影響を検討する米国政府の省庁間委員会、Committee on Foreign Investment in the United States(CFIUS:対米外国投資委員会)が、韓国・SK HynixによるIntelのNAND事業買収を認可している。メモリ半導体活況&価格上昇の最中であり、SK Hynixの株価も上昇している。

◇SK hynix gets full blessing in US for Intel's NAND acquisition-US panel okays SK Hynix's purchase of Intel NAND unit (3月12日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→海外利権によるアメリカの会社の買収を分析する省庁間パネル、Committee on Foreign Investment in the United States(CFIUS[シフィウス])が、SK Hynixが提案のIntelのNANDフラッシュメモリ事業買収に許可を与えた旨。

◇Strong memory chip, prices brighten SK hynix stock, earnings prospects (3月12日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SK Hynixの株価が、メモリ半導体の力強い需要および該メモリの価格上昇が予想されて上昇の旨。


≪グローバル雑学王−662≫

2025年を制覇すると予想されるGAFAはじめ世界最先端11社から今後こうでなければ生き残れないと、

『2025年を制覇する破壊的企業』
 (山本 康正:SB新書 525) …2020年11月15日 初版第1刷発行

より、叱咤激励される受け止めが続いたが、今回で読み納めである。5年後に仕事を展開する上で欠かせない5つのスキルが挙げられている。英語、ファイナンス、データサイエンス、プログラミング、そしてビジネスモデルが読めることとあるが、どの業界でも必要とされる人材になることが若い世代には特に必要、と我々世代には別世界を感じさせるハードルではある。グローバルにGAFAのテクノロジーやトレンドを取り入れて変わっていかなければならないし、そうあってほしいとの切なる締めとなっている。変化を起こし、2030年に「失われた40年」と振り返るのを避けたい、とあるが、まったく同感である。


第2部 2025年を生き抜く処方箋

第2章 5年後、あなたの仕事はこう変わる

◆5年後、必須の5つのスキル
【2025年に必要な5つのスキル】
◎英語
・テクノロジー関連の英語による情報を理解できるレベルが最低限必要
 →欲を言えば、論文を読めるレベルもあった方がベター
◎ファイナンス
・証券アナリストの資格試験がお手軽でまとまった勉強に
 →問題集を勉強するだけでも十分な価値
◎データサイエンス
・今であればdeep learningの意味、割と一般的なことを、しっかりと理解しておく必要
・可能であれば、「Kaggle」というプラットフォームを覗いてみること
 …13万人以上の参加者を誇る世界最大の機械学習・データ解析コンペティションのためのプラットフォーム
◎プログラミング
・今であればデータサイエンスに関するプログラミング言語「Python」の学びをおすすめ
・プログラムの仕組みや価値が判断できる観点でのプログラミングスキルを身につけておくこと
◎ビジネスモデルが読める
・QRコード、Zoomなど、さらにもう一歩深掘り、ビジネスの内実をしっかりと読み解いておくことが重要

・この5つのスキルは、あくまで現在から5年後に必要なスキル
 →その先の未来では、別のスキルが必要になってくることは十分あり得る

◆淘汰される業界にいる人はどうしたらいいか?
・ただ言えることは、会社に依存するのは危険
 →上に挙げたようなスキルを身につけ、どの業界でも必要とされる人材に成長することが、特に若い世代では必要
・私は実際、日系企業のニューヨーク支店や外資系企業で働いた経験
 →海外ならびに外資系企業で働く人の考えを学ぶことができた、いい機会
 →ビジネスモデルを読むスキルは、Googleで学べた

◆常に学び「タグ」を増やす
・常に新しい情報を学んでいく、世の中のトレンドなどにアンテナを張る。
 このような姿勢が必要
 →これからのトレンドに必要と感じたら、積極的に学ぶ姿勢が必要
 →このような姿勢でいると、自然と「タグ」が増えていく
  →上の5つも、もちろんタグ

◆好きなことだけでも、社会のためだけでもいけない
・タグ追加やビジネスを行うことが、果たして本当に正しい選択なのか
 →得意ではなかったとしたら、無理やり続けていても不幸になるだけ
 →一過性であったり、ビジネス的に成り立たない仕組みであれば、根本的な問題解決にはならない
・アイデアを自らが現地に入り行い、現地の人と一緒に会社を興すなどして、ビジネスとして展開
 →いずれは、その人がいなくてもまわるような仕組みとしてスケール
 →そのような取り組みが社会から求められている

◆ストラクチュアル・ホールになる
・人はどうしても、出身地や学校、職場、業界が同じような人とばかり、つながる傾向
 →業界の壁を越える基点になるのが「structural holes」
 →「業界を超えた弱いつながり」「情報の交差点」
・量子コンピュータのようなこれからのテクノロジー
 →structural holesを活用することで、情報が手に入る

◆どんな人とつながりをつくるべきか
・structural holesには、多様な業界の人と多く会うこと、つながりを持っていくこと
・ZoomやFacebookのポスト内容から、相手の本質を見極めることがポイント
 →ツールを活用してつながりを広げていけば、よりコミュニケーションコストは下がるはず
・相手から情報を得る前に、こちらから何かのメリットを提供する心がけが大事
 →定期的に、つながっているメンバーとは交流

≪おわりに≫

・幼いころの私の夢は、ノーベル賞を取ること
 →4才のときに父親が日航ジャンボ機墜落事故で亡くなったことも大きな理由
・私の夢というか人生の目的は、社会が豊かになること、理不尽に困っている人が一人でも減ること
・本心としては、旧態依然の会社にも、本書で紹介しているGAFAのテクノロジーやトレンドを取り入れ、変わってほしいと思っている
 →せっかくこれまで長きにわたり継承してきた伝統や文化、キラリと光るテクノロジーを持つ企業が、淘汰されてほしくない
・本書で紹介したようなポイントを、一人でも多くの企業ならびにビジネスパーソンのリーダーに知ってもらいたい
 →変化を起こし、2030年に「失われた40年」と振り返るのを避けたい

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