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半導体不足の渦中の生産とR&D、台湾の積極拡大、米欧の自給増気運

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜13日昼前時点、世界全体で1億806万人を超え、先週金曜昼前から約325万人増となっている。我が国でも米製薬大手ファイザーが製造する新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まる運びである。コロナ禍の需要増、米中摩擦などで半導体市場が世界的に逼迫し、特に自動車では各社工場が止まる事態も相次いで、各国政府が台湾に増産を働きかけている。この状況の中、台湾ではTSMCが生産増強とともに我が国に後工程R&D拠点を設ける動きが見られている。対して米国および欧州では自らの国・地域での製造を増やす気運が高まっている一方、米国・SIAはBiden政権に半導体製造&リサーチへの出資を強く働きかけている。

≪自給自足&自己完結の流れ≫

半導体の不足関連として、まず、台湾政府が米国半導体業界から受けた要求について。

◇Semiconductor industry leaders call for trade deal-SMIC Cannot Meet Demand Amid Chip Shortage-‘INTERDEPENDENCE’: A meeting of Taiwanese and US officials focused on how to bolster the nations’ supply chains, a Taiwanese official said (2月6日付け Taipei Times)
→台湾・Ministry of Economic Affairs発。米国半導体業界leadersが昨日、台湾と米国がfree-trade agreement(FTA)に調印、および台湾がComprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership(CPTPP)に入ることを求めた旨。

車載規格もあって対応にプラスαを要する覚えのある自動車用半導体であるが、自動車各社の苦しい現下の状況が続いている。

◇ホンダ悩ます半導体不足、部品調達、外資への傾斜も影響 (2月8日付け 日経 電子版 11:40)
→車載用の半導体不足を受け、ホンダが部品調達に苦慮している旨。「メガサプライヤー」と呼ばれる外資の自動車部品大手への依存度を高めたことが影響しているとの見方もある旨。ホンダは新型コロナウイルス禍からの需要回復を見込んで2020年秋に2021年3月期の業績を上方修正した旨。9日には2020年4〜12月期の決算発表を控えるが、回復シナリオに暗雲が漂う旨。

◇Volkswagen expects chip supply to remain tight in first half of 2021-VW: Tight auto chip supply continuing; GM shuts plants (2月9日付け Reuters)
→Volkswagen Groupが、車載応用向け半導体の供給について2021年前半は不足のままだが、今年後半の間には車の生産低下を埋め合わせると思っている旨。

◇GM extending shutdowns at three car and crossover plants due to chip shortage (2月9日付け CNBC)
→General Motorsが、Canada, Mexicoおよび米国の3工場について一時閉鎖を3月半ばまで延長の旨。

車載用半導体での信頼性をつくり込む難しさがあらわされている

◇Why Improving Auto Chip Reliability Is So Hard-The reliability challenges for auto chips-Aging, adaptation, and new processes and technology require big changes on every level. (2月9日付け Semiconductor Engineering)
→並のmicrochipを遥かに越える寿命が期待される車載用コンポーネントへの信頼性のつくり込みが、半導体設計者にとって課題となっている旨。「信頼性およびシリコン設計に関してプラスのfeedback loopがつくられるよう、多くの物事がいっしょに働く必要がある。」と、SynopsysのDigital Design Group、group director for R&D、Fadi Maamari氏。

現下の半導体不足のいろいろな切り口での分析である。

◇Why there's a chip shortage that’s hurting everything from the PlayStation 5 to the Chevy Malibu-What's at the heart of the chip shortages? (2月10日付け CNBC)
→pandemicが引っ張る遠隔勤務&学習で用いられるPCsなどelectronic機器需要が、現在自動車製造、ゲーム機生産などの製品で起きている半導体不足のカギの要因である旨。「現下の半導体不足は、世界中で在宅で働き勉強することから、personal computersおよび周辺に向けた空前の需要ですべて始まっている。」と、Moor InsightsのPatrick Moorhead氏。

◇The Chips Will Stay Down-Analysis: More demand, less supply for auto chips (2月10日付け Supply Chain Management Review)
→車載メーカーは米国政府ほどには十分な資金がなく、複雑で役に立たない市場の歪みの現在の環境には不吉な前兆がある旨。

◇How Covid led to a $60 billion global chip shortage for the auto industry (2月11日付け CNBC)
→自動車メーカーが、高度に重要な半導体の不足からbillions of dollarsの収益を失う見込みの旨。consulting会社、AlixPartnersは、該不足により今年グローバル車載業界からの売上げが$60.6 billion削減、と見ている旨。新車で半導体は、infotainmentシステム, power steeringおよびブレーキなどで用いられる旨。

中国政府からも自動車用半導体の増産が要請されている。

◇中国、車向け半導体の増産要請、主要企業に、新車生産に影響 (2月10日付け 日経)
→中国の工業情報化省は9日、自動車向け半導体を手掛ける主要企業の代表者を集めて、事実上の増産要請をした旨。外資系も対象とみられるが、企業名は明らかになっていない旨。企業側は対策チームを立ち上げ、バックアップ用の製造設備の活用や物流の改善などで供給能力を拡大していると説明した旨。

半導体関連各社の現下の状況の見方から。

◇Qualcomm CEO Elect Says Huawei Ban May Help With Chip Shortages-Amon: Huawei sanctions help IC supply chain woes (2月11日付け Bloomberg)
→Qualcommの次期CEOに指名されている同社President、Cristiano Amon氏。
Huawei Technologiesへのコンポーネント販売についての米国の制裁が、自動車などの製品向けmicrochipsの世界的不足を軽減の旨。high-endスマートフォンに入るQualcommの半導体需要が増加、と特に言及の旨。

◇Car chip shortages a sign of wider demand crunch: ASML executive-ASML exec: Auto chip shortage is part of wider problems (2月11日付け Reuters)
→オランダの装置メーカー、ASML発。自動車生産を鈍らせている半導体不足は、より広範な需要増加の兆候であり、半導体分野にわたるサプライヤに重い負担を課している旨。

次に、生産増強に頑張っている台湾をはじめとする状況である。

gapを埋めるのに何ヶ月もかかる、と率直な下りも見られるアジアの半導体メーカーの現状である。

◇Asian chipmakers rush to boost production to meet global shortage-Asian chipmakers address worldwide shortage of chips -Amid global shortage, Asian chipmakers boosting production (2月8日付け Reuters)
→1)アジアの半導体メーカーが、自動車メーカーが鋭く感じているグローバルな不足に対応、生産capacity拡大を急いでいるが、力強い需要に追いつくのに苦闘、供給gapを埋めるには何ヶ月もかかると警告の旨。
 2)アジアの半導体メーカーが、一般にグローバルな半導体不足の中、microchipsとりわけ車載応用向けコンポーネントの生産を踏み上げている旨。General Motors, Honda MotorおよびStellantisなどの自動車メーカーが、車載用半導体の供給問題からいくつかの工場で生産を減らしたり止めたりしている旨。

牽引するTSMCの関連であるが、当然ながら力強い需要対応がそのecosystemパートナーに及んでいる。

◇TSMC ecosystem partners set to enjoy strong 1Q21-Suppliers to TSMC will have a good Q1, sources say (2月8日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCの台湾におけるecosystemパートナーが、TSMCが製造する半導体に向けた活発な需要が支えて、2021年第一四半期、並びに2021年全体について力強い売上げとなる見込みの旨。例えば、fab toolmakersはTSMCの今年の積極的なcapex計画から利益を被るようになる旨。

TSMCの1月販売高は、同社史上2番目の高水準である。台湾の他のメモリメーカーも、1月は急増している。

◇TSMC January sales up over 8% month-on-month (2月9日付け Focus Taiwan)
→TSMCの1月連結販売高がNT$126.75 billion($4.46 billion)、前月比8%増、前年同月比22.2%増。該1月販売高は、同社史上2番目、2020年9月に記録したNT$127.59 billionに次ぐ旨。

◇Revenues soar at memory companies-Memory makers start 2021 with strong sales (2月9日付け DIGITIMES)
→台湾のメモリメーカー、Elite Semiconductor Microelectronics Technology(ESMT), Winbond ElectronicsおよびNanya Technologyがすべて1月の売上げが増加、ESMTは1月販売高が$58.3 millionで前年同月比67.6%増。Winbondは同87.45%増の一方、Nanyaは同22.9%増。

TSMCが、生産増強への資金調達とともに、日本での3DIC材料research and development(R&D)センター開設を、以下の通り発表している。

◇Taiwan's TSMC to build $190m R&D site near Tokyo-Chip giant eyes closer collaboration with top Japan equipment, materials suppliers (2月8日付け Nikkei Asian)

◇TSMC to raise $9 billion for expansion, open Japan subsidiary (2月9日付け Reuters)
→TSMCが火曜9日、資金拡大に向け債券市場から約$9 billion調達、そして日本の材料リサーチ子会社開設に約$178 million充てる旨。

◇TSMC to set up 3DIC material R&D center in Japan (2月9日付け Focus Taiwan)
→TSMCが火曜9日、日本で3DIC材料research and development(R&D)センターを設ける旨。

◇台湾TSMC、日本に先端半導体の開発拠点 (2月9日付け 日経 電子版 05:03)
→半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に初の本格的な開発拠点をつくる方向で最終調整に入ったことが8日、明らかになった旨。茨城県つくば市に設ける旨。新会社も設立し、投資額は約200億円。中国が今後、台頭してくるのをにらみ、米国や日本との連携を深めて先端技術の開発を急ぐ旨。
新拠点では、半導体の「後工程」といわれるパッケージ(封止)作業などに関連する開発を主に手掛ける旨。生産ラインの設置も検討する旨。半導体製造で最も技術を要する「前工程」ではないが、近年、後工程も重要視されるようになっており、ノウハウ獲得に世界の半導体各社がしのぎを削る旨。

◇TSMC to Raise $9 Billion for Expansion Amid Shortages -TSMC will raise $9B from bonds for capacity spending (2月11日付け EE Times)
→TSMCが、2件の債権売却を計画、生産拡大に向けて約$9 billionを調達、シリコンの重大な不足の緩和に資していく旨。

台湾の輸出も、半導体が引っ張って1月は最高額を記録している。

◇台湾の輸出、1月最高に、半導体需要増で (2月9日付け 日経)
→台湾の輸出が一段と大きく伸びている旨。財政部(財政省)は8日、1月の輸出額が前年同月比36.8%増の約342億ドル(約3兆6100億円)だったと発表、単月として過去最高額となった旨。新型コロナウイルスの影響で、在宅で使うノートパソコン向けなど、半導体需要が一段と膨らんだ旨。
輸出が前年実績を上回るのは2020年7月以来、7カ月連続。昨年8月に大台となる300億ドルを超え、過去最高水準の輸出が続いたが、昨年12月から1月にかけ、さらに輸出拡大が加速している状況。

一方、米国では、半導体製造&リサーチへの十分な出資を督促、Semiconductor Industry Association(SIA)のメンバー各社トップがBiden政権に次の通り働きかけを行っている。

◇Semiconductor Industry Leaders Urge President Biden to Prioritize Funding for Semiconductor Manufacturing, Research (2月11日付け SIA Latest News)
→大手米国半導体会社のCEOs and senior executivesから成るSemiconductor Industry Association(SIA) Board of Directorsが本日、Biden大統領に対し、政権の経済回復およびインフラ計画に半導体製造およびリサーチにしっかりした出資を急ぎ盛り込むよう、書簡を送った旨。米国におけるグローバル半導体製造capacityのシェアは、1990年の37%から今日12%に低下の旨。この低下は、我々のグローバルな競争相手の政府による相当な補助金に大方よるものであり、新しいfab建設を引きつける上で米国を不利にしている旨。加えて、半導体リサーチへの連邦出資はフラットである一方、他の政府はそれぞれの半導体capabilities強化に向けてリサーチinitiativesにしっかり投資している旨。このSIA書簡は、Biden大統領に米国の科学技術leadershipを再び主張、Biden政権の“Build Back Better”計画の目標を遂行するために半導体投資を優先させるよう督促の旨。

◇U.S. chip industry calls on Biden administration to fund factories -Industry seeks fab funding from Biden administration (2月11日付け Reuters)
→米国半導体メーカーの団体組織、Semiconductor Industry Association(SIA)が、いろいろな市場に向けた半導体不足を軽減するために、Advanced Micro Devices(AMD), Intel, Micron TechnologyおよびQualcommなどアメリカのmicrochipベンダーへの連邦出資を増やすよう求めている旨。

◇CEOs of AMD, Intel, other big chipmakers ask Biden for manufacturing incentives (2月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇U.S. Chip Industry Urges Biden to Support Domestic Production (2月11日付け Bloomberg)

欧州のEUでも、半導体生産の自給率を高め、台湾への依存を減らす動きが見え始めている。

◇EU Weighs Deal With TSMC, Samsung for Semiconductor Foundry-EU considers funding a foundry for making more chips (2月11日付け Bloomberg)
→EUは、域内での半導体生産を高めたく、最先端半導体に向けた台湾への依存を減らす目標の旨。


SIAの要請を受けて、Biden政権は、半導体不足の現下の問題を精査、数週間内にもsupply chain見直しを求める大統領令を出す、との反応である。

◇Biden to sign executive order addressing chip shortage-Biden plans executive order regarding chip shortages (2月11日付け The Hill)
→Joe Biden大統領およびWhite Houseスタッフが、重要な半導体の世界生産増加に向けた大統領令を展開している旨。「政権はsupply chainにおけるネックの可能性を現在同定、さらに今多くするよう業界のkey stakeholdersおよび通商パートナーと積極的に協働している。」と、Jen Psaki大統領報道官。

◇The Biden administration is working to help address global semiconductor chip shortage-An executive order could arrive in the next few weeks (2月11日付け The Verge)

◇米、半導体不足で対策検討、大統領令で供給網見直しも (2月12日付け 日経 電子版 05:09)
→サキ米大統領報道官は11日の記者会見で、世界的な半導体不足で自動車の減産が広がっていることを受け、半導体メーカーや他国と話し合いながら対応策をまとめる方針を明らかにした旨。サプライチェーン(供給網)の見直しを求める大統領令も検討する旨。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□2月9日(火)

米国株式市場は、史上最高値更新が続く中、さすがに警戒感が出てきて後半下げに転じる今週の動きとなっている。

◇NYダウ159ドル高、追加経済対策への期待で (日経 電子版 05:19)
→8日の米ダウ工業株30種平均は6日続伸し、15時現在は前週末比159ドル48セント高の3万1307ドル72セントと過去最高値を上回って推移している旨。米国の追加経済対策が早期に成立し、米景気の回復を後押しするとの観測から買いが優勢になった旨。経済対策の恩恵を受ける景気敏感株の上昇が目立つ旨。

□2月10日(水)

TikTokのアメリカoperationsの売却の件、Biden大統領が当分棚上げとしている。

◇TikTok Sale to Oracle, Walmart Is Shelved as Biden Reviews Security-Sources: TikTok's sale of US operations suspended indefinitely -Trump-driven deal had languished as video-sharing app's Chinese owner mounted successful legal challenges (The Wall Street Journal)
→事情通発。Biden大統領が中国ハイテク各社からのセキュリティリスクに対する前任、Trump氏の活動の広範な見直しに着手、TikTokのアメリカoperationsのOracle社およびWalmart社などのグループへの売却を強制する米国の計画が無期限棚上げの旨。

CaliforniaがNew Yorkを上回る新型コロナウイルスの死者数となっている。

◇California surpasses New York in coronavirus deaths (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Californiaのここ1週間の新型コロナウイルス死者が433人/日。全体死者数で火曜9日に、New Yorkを上回って最大の州になった旨。

◇NYダウ7日続伸、最高値上回って推移、経済対策に期待 (日経 電子版 05:37)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸し、15時現在は前日比43ドル04セント高の3万1428ドル80セントと前日に付けた過去最高値を上回って推移している旨。米民主党が単独で大型の経済対策を成立させるとの観測が買いを誘っている旨。半面、直近に上昇が目立った銘柄を中心に短期的な利益確定売りも出ており、上値は重い旨。

□2月11日(木)

今年は2月12日が旧正月ということで、休暇に入った中国。新型コロナでの自粛でかつての混雑とは様違いの状況が伝えられている。

◇中国、11日から春節休暇、コロナ自粛で観光地に暗雲 (日経 電子版 05:07)
→中国で春節(旧正月)に伴う大型連休が11日から始まる旨。今年は新型コロナウイルスの感染が拡大しており、帰省や旅行を控える人が増えている旨。春節前後の旅客数はコロナ発生前の2019年と比べて大きく落ち込む見通し。春節は1年で最大の稼ぎ時でもあるが観光地は集客に苦戦しており、自粛モードによる個人消費の停滞が懸念される旨。

◇TikTok事業売却を棚上げ、バイデン政権が再検討、米報道 (日経 電子版 05:11)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は10日、トランプ前大統領が命じた中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却が棚上げされたと報じた旨。バイデン米政権が安全保障上のリスクについて再検討する旨。

◇NYダウ118ドル高、金融緩和の長期化観測が支え (日経 電子版 05:35)
→10日の米ダウ工業株30種平均は反発し、15時現在は前日比118ドル32セント高の3万1494ドル15セントと過去最高値を上回っている旨。インフレ圧力の鈍さなどで金融緩和の長期化が意識された旨。底堅い米企業決算も買いを後押ししている旨。

□2月12日(金)

◇NYダウ反落、78ドル安で推移、景気敏感株の一角に売り (日経 電子版 05:35)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、15時現在は前日比78ドル86セント安の3万1358ドル94セントで推移している旨。ダウ平均は2月に入って前日までに1455ドル上昇し、前日も過去最高値を更新していた旨。年初来から上昇が目立った景気敏感株の一角などに利益確定売りが出ている旨。

英国について、中国と対立する状況、そして300年ぶりという昨年の経済の落ち込みである。

◇英BBC、中国で放送禁止に、ウイグル問題で対立 (日経 電子版 06:06)
→中国の放送当局は、英BBCのワールドニュースの放送を禁止した旨。BBCは、中国の新疆ウイグル自治区に関する報道などを巡って中国政府から批判を受けていた旨。英当局は4日に中国国際テレビ(CGTN)の放送免許を取り消しており、対立は深まっている旨。

◇UK suffers worst annual economic slump since the Great Frost of 1709, a 9.9% decline-UK's 2020 economic decline worst in 300 years (CNBC)
→2020年の英国経済が9.9%のマイナス成長、1709年のGreat Frost(1708年の後半から1709年前半までに西ヨーロッパで発生した大寒波)以来最大の年間の落ち込みの旨。

□2月13日(土)

◇NYダウ56ドル安、高値警戒感の売り、金利上昇も重荷 (日経 電子版 05:21)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、15時現在、前日比56ドル92セント安の3万1373ドル78セントで推移している旨。ダウ平均など主要株価指数は過去最高値圏にあり、3連休となる週末を前に目先の利益を確定する売りが優勢となっている旨。長期金利が上昇し、主力ハイテク株の一角が売られていることも相場の重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【ルネサスエレのM&A】

ルネサスエレクトロニクスが、現下の活況の半導体市場のもと、Intersil、IDTに続く3つ目の大型M&A。こんどはmixed-signalのDialog Semiconductorで、以下の通り業界各紙の取り上げである。車載に加えて事業展開のグローバルな深化に注目である。

◇Dialog Confirms Talks with Renesas for $5.9bn Cash Offer (2月7日付け EE Times)
→Dialog Semiconductor(Reading, United Kingdom)が日曜7日、Renesas Electronics社による買収の話し合いが進んでいることを確認、しかし2社は最終offerに合意していない旨。

◇Renesas boosts power and connectivity prowess with $6 billion Dialog deal (2月7日付け Reuters)

◇Renesas Targets IoT, Mixed Signal Expansion with Dialog Purchase (2月8日付け EE Times)
→Renesas Electronicsが、Dialog Semiconductorを$5.9 billion in cashで買収、該取引は、法制clearancesに従って2021年末に完了の旨。

◇Renesas to buy Dialog for $5.9B to boost its position in embedded (2月8日付け FierceElectronics)
→主要車載用embedded半導体メーカー、Renesas Electronicsが、Dialog Semiconductor(Frankfurt)を4.9 billion euros(約$5.9 billion) in cashで買収、Dialogの株価が、ここ3日にわたる該取引の噂で約15%上昇の旨。

◇Renesas to buy Dialog Semiconductor for $5.9 billion-Renesas agrees to acquire Dialog Semi for $5.9B -Renesas looks set to buy Dialog Semiconductor in a deal that values the chip-maker at $5.9 billion. (2月8日付け New Electronics)
→Renesas Electronicsが、Dialog Semiconductorの約$5.9 billion in cashでの買収に合意、一連の買収の最新のものとなる旨。「日曜7日に発表したこの取引は、Renesasの成長計画発進の上で次の重要なステップとなる。」と、Renesasのpresident and CEO、Hidetoshi Shibata氏。

◇英半導体ダイアログ、ルネサスに会社売却協議、6220億円 (2月8日付け 日経 電子版 08:39)
→米アップルなどを顧客に持つ英半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは7日、同業大手のルネサスエレクトロニクスへの会社売却について協議していると発表、ルネサスが提示した買収額は約49億ユーロ(約6220億円)にのぼる見込み。ダイアログは交渉の進捗について「必要に応じて公表する」としている旨。

◇ルネサス、英半導体ダイアログ買収合意、6179億円で (2月8日付け 日経 電子版 17:07)
→半導体大手のルネサスエレクトロニクスは8日、同業の英ダイアログ・セミコンダクターの全株式を取得することで合意したと発表、アドバイザリー費用を含む買収価格は6179億円。ダイアログは高速通信規格「5G」関連の技術を持つ旨。ルネサスの主力は自動車向けだが、米中摩擦や車載半導体の不足など経営環境が変わる中、成長が見込める5Gに経営資源を集中させる旨。

◇ルネサス、英半導体ダイアログを買収、6100億円で合意 (2月9日付け 日経)
→半導体大手のルネサスエレクトロニクスは8日、同業の英ダイアログ・セミコンダクターの全株式を取得することで合意したと発表、買収額はアドバイザリー費用などを含めて6179億円。同社は高速通信規格「5G」関連の技術を持つ旨。ルネサスは主力の自動車向けの他に、成長が見込める5G分野を新たに成長の柱に育成するため大型買収に踏み切る旨。

【半導体市場データ】

Gartnerより2020年の半導体購入元ランキングがあらわされている。Appleが首位、Samsungが続いている。

◇Gartner Says Apple and Samsung Extended Their Lead as Top Semiconductor Customers in 2020 -Huawei Retained the Third Position in 2020, But Struggled to Buy Advanced Semiconductors (2月9日付け Gartner)

◇Semiconductor spend increases despite lower smartphone demand-Apple, Samsung and Huawei are top global spenders once again (2月9日付け TechRadar)

◇Apple, Samsung extend lead as top semiconductor buyers in 2020: survey-Gartner: Apple, Samsung remained top chip buyers in 2020 (2月10日付け The Korea Herald (Seoul))
→Gartner発。AppleおよびSamsung Electronicsが、昨年のmicrochips購入世界最大手の地位を維持、Appleが$53.6 billionを半導体に充てて該世界市場の11.9%を占め、前年比24%増、そして次がSamsungで$36.4 billion、同20.4%増。「pandemicは5Gスマートフォンの需要を弱め、自動車の生産を混乱させたが、2020年を通してモバイルPCsおよびビデオゲーム需要、並びにcloudデータセンターへの投資を引っ張った。」と、Gartnerのresearch director、Masatsune Yamaji氏。

◇Samsung remains No. 2 chip buyer in 2020: report (2月10日付け Yonhap News Agency)

半導体販売高が2020年は二桁%の伸び、この勢いが2023年まで続く、とIC Insightsの予想である。

◇Major changes in IC manufacturing base-IC Insights: Strong chip sales drive capacity expansion (2月10日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。IC市場は2020年に販売高が二桁の伸び、そして、2023年まで売上げ二桁増となる予想、この伸びを支えるためにfab capacityが増加していくのは驚きではない旨。

同じくIC Insightsよりウェーハcapacityのサプライヤシェアについて、昨年末でトップ5で世界の54%とのこと。2009年に遡ると、トップ10で54%であった、と改めての認識である。

◇Top Five Wafer Capacity Leaders Raise Share of Global Capacity to 54%-Foundries and memory IC suppliers maintain strongest capacity presence. (2月10日付け IC Insights)
→IC Insightsの最新Global Wafer Capacity 2021-2025レポート。ウェーハcapacity leaders・トップ5(Samsung、TSMC、Micron、SK Hynix、Kioxia/WD)の2020年12月でのグローバルウェーハcapacity全体のシェアが54%、前年同月が53%。比較のため、2009年ではトップ10で54%、トップ5では36%のシェアであった旨。

【Samsungの米国工場】

SamsungがAustin, Texasで新しい$17 billion半導体工場を検討する動きについて、Texasにおける税率が高いと難色が生じてきている。他の米国、そして韓国も候補に挙げられている。

◇Samsung considers Austin for $17 billion chip plant, eyes tax breaks of at least $806 million - documents (2月5日付け Reuters)
→Texas州当局申請documents発。Samsung Electronics Co Ltdが、1,800 jobをつくり出すとする新しい$17 billion半導体工場拠点の1つとしてAustin, Texasを検討の旨。同社は、Travis CountyおよびAustin市から20年にわたる合計$805.5 millionの減税などの優遇税制措置を求めている旨。

◇Samsung seeks Texas tax cut for foundry, claiming $8.9b boost to economy-Sources: Samsung wants tax cuts in Texas for wafer fab (2月7日付け The Korea Herald (Seoul))
→業界筋発。Samsung Electronicsが、Austinにおける事業拡大に向けた計画への障害としてTexasにおける税率が高いとしており、今後の投資に向けてNew York, Arizonaおよび韓国などの代替を見直している旨。

【Huawei関連】

Huaweiの総帥、Ren Zhengfei(任 正非)氏が、久しぶりのメディア取材対応。米国・Biden政権の"オープン政策"への期待の表明である。

◇Huawei founder says hopes Biden administration will have 'open policy'-Ren Zhengfei: Huawei will survive, hopes for "open policy" from US (2月8日付け Reuters)
→Huawei Technologiesのfounder、Ren Zhengfei(任 正非)氏が、米国が同社のphone事業を損なった制裁を終わらせるのは"極めて難しく"、しかし、新しい米国の政権が"オープン政策"を持つよう期待の旨。

◇ファーウェイCEO、米輸出規制解除「とても難しい」 (2月10日付け 日経)
→中国の華為技術(ファーウェイ)の任正非(レン・ジェンフェイ)最高経営責任者(CEO)は9日、ロイター通信などの取材に応じ、米国のバイデン新政権に対し「開放的な政策を望む」と述べた旨。ファーウェイはトランプ前政権が打ち出した輸出規制で半導体の調達が厳しく制限され、スマートフォンの出荷が大きく減っている旨。任CEOがメディアの取材に応じるのは2020年3月以来、約11カ月ぶり。

Huawei向けサプライヤからも、Biden政権への反転の期待である。

◇Huawei suppliers push to reverse Trump's last minute blows-Sources: Huawei suppliers want US sanctions reversed (2月11日付け Reuters)
→半導体会社が、中国のテレコム会社、Huawei向け販売を阻止する土壇場でのTrump政権の動きを訴える特別な時間を求めており、強い抵抗にも拘らずBiden政権が反転させる期待の旨。

Huaweiの後退がコロナ・インパクトに加わってか、2020年の中国のスマホ出荷が11.2%減、4年連続の減少である。

◇中国スマホ出荷、2020年1割減 (2月9日付け 日経産業)
→米調査会社IDCは2020年の中国のスマートフォン出荷台数が2019年比11.2%減の3億2570万台だったと発表、新型コロナウイルスの感染拡大が響き、前年実績を4年連続で下回った旨。企業別では華為技術(ファーウェイ)が首位を維持したものの、米政府による規制の影響で出荷は落ち込み、米アップルなどの競合に差を詰められた旨。

【連携2件】

SiemensとAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)が、三次元実装およびinterconnect技術で、そして、アップルがTSMCとAR(拡張現実)デバイスに向けた次世代有機ELで、それぞれ連携である。

◇Siemens and ASE assist choice of packaging and interconnect-Siemens teams with ASE for packaging and interconnect (2月11日付け Electronics Weekly (UK))
→Siemens Digital Industries SoftwareがAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)と協働、半導体設計者に実装およびinterconnect技術のより多くの選択肢を可能にする旨。両社は、2.5DICsおよび3DICsに向けてfan-out wafer-level packaging(FOWLP)を取り入れる設計プラットフォームを開発&提示の旨。

◇Apple partners with TSMC to develop micro OLED displays for AR devices: Nikkei (2月10日付け Reuters)

◇アップル、次世代有機ELでTSMCと提携 (2月11日付け 日経 電子版 01:26)
→米アップルが次世代有機ELディスプレーで半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と提携し、次世代有機EL技術、「マイクロ有機EL」を共同開発していることがわかった旨。アップルが開発中のAR(拡張現実)デバイスへの搭載を目指しているとみられる旨。

【ISSCC 2021】

今年のISSCCは2021 International Solid-State Circuits Virtual Conference(2月13-22日)とオンライン開催。概要の1つとして、SoCの招待論文、そして現状のセッション区分が次の通りである。

◇The SoC in ISSCC (2月12日付け EE Times)
→International Solid-state Circuits Conference(ISSCC) 2021にて、SoCでは3件の招待論文、Microsoft, Baidu, およびNvidiaから各々1件。
現状代表的な領域区分:
 System-on-chip (SoC)
 Memory
 Automotive
 Machine Learning / Artificial Intelligence (big data)
 Wireless Communications
 Wireline Communications
 Power


≪グローバル雑学王−658≫

GAFAはじめ注目する11社がつくる3つのメガトレンドの2つ目、「ハードでもソフトでもなく"体験"が軸になる」について、2回に分けて

『2025年を制覇する破壊的企業』
 (山本 康正:SB新書 525) …2020年11月15日 初版第1刷発行

より迫っていく1回目である。ハードウェアとソフトウェアがあるのは当たり前で、どんな魅力的なサービス(体験)が得られるか、近未来の世界のビジネス成功のポイントとしている。半導体の1製品カテゴリーの開発・生産・販売にずっと携わってきた我が身からは、かけ離れた次元の感じ方があり、ユーザ、受益者として何にワクワクするか、視点を切り換える必要に迫られるところがある。インターネットに簡単につながり、いつでも最新のソフトウェアが手に入るハードウェアが備わっていさえすれば、かつてはばたばた手間を要したものが何もせずにアップデートされているという感覚につながる飛躍を実現させている、と改めての認識ではある。


第1部 2025年はどうなっているか

第3章 11社がつくるメガトレンド(2)
 ハードでもソフトでもなく"体験"が軸になる …2分の1

◆利益0でもいい Apple Cardの衝撃
・ハード、ソフト、サービス、どれか1つの領域しか手がけていない企業
 →GAFAのようなコングロマリット企業に飲み込まれていく
・先をいっているアメリカ
 →ハードとソフトがあるのは当たり前
 →サービス(体験)が、革命の基点
・すべての領域を押さえた上で、如何にユーザが望む体験を提供できるか
 →未来の世界では、その良し悪しが、ビジネス成否のポイントに
・最近台頭しているSaaS(Software as a Service)
 →顧客に必要な分だけのソフトウェアをクラウドで提供するサービス
・SaaSを使い、GAFAは何をしているのか
 →より良い価値、体験を常にブラッシュアップ
・体験が軸になっていく上で、触れておくポイントがもう1つ
 →提供していくサービスそのもので、利益を出す必要がなくなること
 →AppleはiPhone事業で儲ければよい
  →カード事業はあくまでユーザに快適な体験を提供するための施策
  →データを収集するためのツール、顧客とのタッチポイントでも

◆「売れない」は失敗ではなくなる
・Amazonの考え
 →仮にそのデバイスが売れなかったとしても、ある程度顧客データが取得できればいい
・2014年に発売、Amazonのスマートフォン、「Fire Phone」
 →まったく売れなかった
 →顧客の反応を獲得することができ、次の商品への糧に
・世に出してみて評価が芳しくなかった製品は、データだけ得て、すぐに撤退
 →2、3割でもヒットすれば御の字だと思い挑戦し続けるこの体制はこれからも変わらない
・Appleにも同様の動き
 →定額制まとめサービスのApple OneやApple Card
 →開発中と言われるApple Glassも

◆なぜスマホは2年契約なのか?
・これまでのビジネスモデルは、高性能なハードウェアを開発し、ユーザに長く使ってもらう、というもの
 →特に製造業が強い日本が世界に価値を出すのに役立った
・高性能なハードウェアを長く使うとの流れは、どこかで途切れる、と私は考えている
 →高速回線の普及により、ソフトウェアはお店に行くことなく、保有していながらアップデートすることが可能に
 →一方、ハードウェアはどうしても物理的に交換する必要
  →搭載された半導体を、最新のものに変える必要
・スマートフォンの契約が2年単位なのは、まさにこのようなトレンドを反映したもの
 →次々と新しいソフトウェアにアップデートされていくスマートフォン
 →iPhoneを初めて手に取った多くの人が驚いたのは、実は小さなコンピュータだった、ということ
・クラウドの台頭により、ソフトウェアのアップデートはより頻繁に
 →結果としてハードウェアの交換頻度はさらに短く
・ハードウェアは2年もてばいい
 →インターネットに簡単につながり、いつでも最新のソフトウェアが手に入るハードウェア
  →これから必須の特徴

◆5年後、PCだけがメインのデバイスではなくなる
・2025年にはパソコンがメインの役目を終えている可能性
 →そもそもキーで文字を打つという行為が、これからの未来において最適なのかを考える必要
・既存のパソコンが衰退するとして、どのようなかたちになるのか
 →大きな画面ならびにキーボードはしばらくこの先も
 →スマートフォンを接続するパソコンが出てくる
 →メガネ型のデバイスの進化の期待
 →いかに使いやすいか、ソフトウェアにおける体験が重視されていく
・どんどん安くなっているパソコンの価格
 →Googleが発売しているChromebookの価格は2万〜3万円
 →インターネット接続、高速通信に対応できる半導体搭載さえあれば

◆車は2ヶ月ごとに性能がよくなる
・Teslaの車両もいい例
 →インターネットでクラウドと接続、およそ2ヶ月ごとにソフトウェアがアップデート、機能追加実施
 →インターネットにつながっていない、アップデートできない車は、この先淘汰されていく
・Teslaではハードウェア、半導体の交換も定期的に
 →自動運転に関するコンピュータの部分だけを変えてくれる
・お客様がいかに気持ちよく自動車を利用できるか
 →ハード・ソフト関係なく、車両を活用した心地よい体験ができるかどうか
・宅配ピザチェーンのピザハットとトヨタ自動車が協力
 →走行中にピザを自動で焼く自動車の構想を披露
・他の自動車メーカーからはTeslaは乗り心地が悪いといった指摘
 →私は、これからの自動車の着目点は、そこではないと考えているし、Teslaが正しい方向に進んでいると思っている

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