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11月販売高、続く増加基調、コロナ禍での半導体需要逼迫を反映

新年始動第1週、新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜8日時点、世界全体で8779万人を超え、1週間前から約450万人増とほぼ同じペースである。我が国もまた緊急事態宣言発出、米国大統領就任を控え連邦議会乱入の事態、など波乱要因を孕んだ動き出しである。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、2020年11月について$39.4 billion、前月比1.1%増、前年同月比7.0%増と、それぞれ5ヶ月、10ヶ月連続の増勢を維持している。2020年は、史上最高の2018年に次ぐ年間販売高が確実に見込まれている。コロナ禍に覆われる中、半導体需要は力強く、自動車はじめゲーム機など供給逼迫の事態が見られている。

≪11月の世界半導体販売高≫

今回の米国・SIAからの発表内容が、以下の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇11月のグローバル半導体販売高が、前年比7%増−前月比では1.1%増;2020年の年間販売高が2019年を大きく上回る軌道 …1月4日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年11月の世界半導体販売高が$39.4 billionに達し、前年同月、2019年11月の$36.9 billionに対し7.0%増、前月、2020年10月の$39.0 billionを1.1%上回る、と発表した。
月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の98%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「11月のグローバル半導体販売高は引き続き上昇、前年比ベースで3月以降最高の伸長percentageを示している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「pandemicなどマクロ経済要因により生じる大きな逆風にも拘らず、2020年における年間販売高が2019年総計をかなり上回ろうとしている。11月のAmericas地域販売高が依然力強く、11ケ月連続で前年比二桁percentageで増加している。」

地域別には、前年同月比では、Americas(12.5%), Asia Pacific/All Other(7.0%), China(6.5%)およびJapan(5.1%)で増加したが、Europe(-0.7%)では減少した。前月比では、Japan(5.2%), Europe(3.6%), Americas(2.1%), China(0.1%)と増加したが、Asia Pacific/All Other(-0.5%)では減少した。

Americas
前年同月比  12.5%/
前月比  2.1%
Europe
-0.7%/
3.6%
Japan
5.1%/
5.2%
China
6.5%/
0.1%
Asia Pacific/All Other
7.0%/
-0.5%

        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Nov 2019
Oct 2020
Nov 2020
前年同月比
前月比
========
Americas
7.52
8.29
8.46
12.5
2.1
Europe
3.36
3.22
3.34
-0.7
3.6
Japan
3.12
3.11
3.28
5.1
5.2
China
13.02
13.85
13.86
6.5
0.1
Asia Pacific/All Other
9.84
10.53
10.48
6.5
-0.5
$36.85 B
$39.00 B
$39.41 B
7.0 %
1.1 %

--------------------------------------
市場地域
6- 8月平均
9-11月平均
change
Americas
7.89
8.46
7.3
Europe
2.93
3.34
13.8
Japan
3.03
3.28
8.2
China
12.59
13.86
10.1
Asia Pacific/All Other
9.94
10.48
5.4
$36.38 B
$39.41 B
8.3 %

--------------------------------------

※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2021/01/November-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の取り上げ、反応である。

◇Global chip sales climb 7% in November (1月4日付け FierceElectronics)

◇Global Semiconductor Sales Increase 7 Percent Year-to-Year in November (1月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semiconductor sales continue growth, says SIA (1月5日付け DIGITIMES)

◇Global Semi Sales Up 7% in November (1月5日付け Printed Circuit Design & Fab)

米国および中国がやはり引っ張る今年の展望があらわされている。

◇Global semiconductor sales growth driven by post-pandemic trends in two major regions (1月5日付け The Burn-In)
→SIAのデータは、ChinaおよびAmericasにおけるpost-coronavirus pandemicの以下の展開が2021年におけるより広いコンポーネントmarketplaceを形成することを示している旨。
・China's Chip Market Growth Driven by EV Sales
・Post-Coronavirus Digitalization Wave Boosts Chip Sales in the Americas

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りそこからの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年後半の折角の戻し加減がコロナウイルス・インパクトにより大きく水を差されて、下振れが避けられない情勢の中、今年の1月から7月まで$35 B前後を小幅にキープして踏み止まり、8月は$36 B台に、そして9月には$38 B近く、そして10月、11月と$39 B台に乗せている。以下の通り、これは2018年11月以来の高水準である。2020年の年間販売高が、2018年の史上最高に次ぐ結果となるのは以下の推移から確実である。先行き不安定性の中、増勢基調を保てるかどうか、引き続き注目するところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %
2020年 5月 
$34.97 B
5.8 %
1.5 %
2020年 6月 
$34.53 B
5.1 %
-0.3 %
2020年 7月 
$35.20 B
4.9 %
2.1 %
2020年 8月 
$36.23 B
4.9 %
3.6 %
2020年 9月 
$37.86 B
5.8 %
4.5 %
2020年10月 
$39.03 B
6.0 %
3.1 %
2020年11月 
$39.41 B
7.0 %
1.1 %
$396.4 B
(1-11月総計)


高水準の販売高を維持している現下の半導体業界について、この年末年始の関係する動きを取り出していく。

まずは、ファブレス、そしてファウンドリーの2020年における著しい伸長ぶりである。

◇Fabless to take 32.9% of total IC industry revenues-IC Insights: Fabless firms take one-third of revenues (12月29日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。ファブレス会社が半導体業界売上げ全体で占めるシェアが、2020年において32.9%と新記録、ファブレスの販売高が22%伸びる見込み、IDMの販売高は6%の伸びが見込まれる旨。

◇TSMC, other foundries' revenue expected to reach new high in 2021-TrendForce sees growth ahead for foundries (12月31日付け Taiwan News)
→TrendForce発。TSMCはじめグローバルファウンドリーの2020年売上げが、23.7%増の$84.6 billion、約10年で最大の伸び。2021年は$89.6 billionと見ている旨。

Microsoftからは、ゲーム機関係で、もっと半導体があれば売れるのに、との声である。

◇Microsoft to AMD: Please help us!-Microsoft pleads with AMD for more Xbox console chips (1月4日付け CNN)
→Microsoftの新しいXbox Series XおよびSeries Sゲーム機の高い需要で、同社がAdvanced Micro Devices(AMD)製プロセッサおよびグラフィックス半導体をより多く求めている旨。「該ゲーム機を打ち上げて、もっと多く持てたらと願う。あまりに早く売り切っている。」と、Microsoftのexecutive vice president of gaming、Phil Spencer氏。

コロナ禍での需要増大で、2021年は史上最高の世界電子機器生産額が見込まれる、とJEITAの見方である。

◇電子機器、世界生産3兆ドル超へ (1月5日付け 日経産業)
→電子情報技術産業協会(JEITA)は、世界の電子機器の生産額が2021年に2020年比7%増の3兆1756億ドル(約330兆円)になる見通しだと発表、3兆ドルを超えるのは初めてとなる旨。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、在宅勤務やオンライン授業が浸透し、IT分野の生産が市場全体を牽引する旨。

2020年第三四半期のグローバル半導体市場の増大ぶりが、Omdiaによりあらわされている。

◇Global semiconductor market rises above US$120 billion in 3Q20, says Omdia-Omdia: Q3 saw $120B+ in chip sales, up 10.8% from Q2 (1月7日付け DIGITIMES)
→Omdia発。2020年第三四半期の半導体市場売上げが$120 billionを越え、前四半期比10.8%増。半導体業界は、coronavirus pandemicから利益を被っている旨。在宅勤務および学習がpandemic持続で2020年第三四半期に引き続き行われて、これをサポートするデバイスおよびインフラ需要が高まる一方、半導体市場が季節的高需要期に入った旨。合わさった結果として、多くの半導体会社には際立った四半期であった旨。

2020年および最終四半期についての主要半導体各社の業績発表が、以下の通りいずれも勢いのある内容となっている。

◇サムスン、2020年の営業益29%増、コロナ禍も半導体牽引 (1月8日付け 日経 電子版 10:06)
→韓国サムスン電子が8日発表した2020年通期の連結決算は、売上高が3%増の236兆2600億ウォン(約22兆4500億円)、営業利益が35兆9500億ウォン(約3兆4100億円)と29%増。増益は2年ぶり。世界的なオンライン生活の浸透でデータセンターやパソコン向け半導体の需要が堅調だった旨。主要市場の都市封鎖の影響で、年間のスマートフォン販売は振るわなかった旨。
新型コロナウイルスの影響下で世界経済が落ち込んだものの、半導体が牽引、増収増益を達成した旨。

◇Samsung Elec shares jump on upbeat chip outlook as fourth quarter profit rises-Samsung posts Q4 profit of $8.24B on IC, display sales (1月8日付け Reuters)

◇Micron forecasts second-quarter revenue above estimates (1月8日付け Reuters)
→Micron Technology(Boise, Idaho)社が木曜7日、Wall Street評価を上回る第二四半期売上げを予測、remote workへのグローバルなシフトおよび5Gスマートフォン採用の最近の上昇が半導体需要を牽引の旨。同社の売上げ予測は$5.8 billion±$200 million、対してアナリスト予想平均が$5.50 billionの旨。

◇TSMC posts record 4Q20 revenue-TSMC reports Q4 revenue of $12.9B, a company record (1月8日付け DIGITIMES)
→TSMCの第四四半期売上げがNT$361.53 billion($12.9 million)、同社四半期最高の旨。2020年全体では25%を上回る増加の約$47.86 billion、年間売上げ最高更新の旨。

自動車業界各社では、半導体の不足による減産の措置が相次ぐ事態となっている。

◇Chip shortage forces Ford, Toyota, Nissan, FCA to cut vehicle production (1月7日付け Reuters)

◇ホンダ、半導体不足で減産、まず1月に国内4000台規模 (1月8日付け 日経 電子版 05:18)
→ホンダが半導体の不足を受けて自動車の生産調整に踏み切ることが7日、分かった旨。まず国内で1月に4000台程度を減産する方針で、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で手がける小型車「フィット」を中心に減らす旨。新型コロナウイルス感染拡大の影響で半導体は世界的に需給が逼迫している旨。
他の自動車大手の生産にも影響が広がる可能性がある旨。

◇Car industry hit by chip shortages-Chip shortages hamper the automotive industry (1月8日付け Electronics Weekly (UK))
→自動車業界が半導体の不足に見舞われており、Honda MotorおよびVolkswagen Groupが、車載用半導体の引き続く不足から自動車生産を減らしている旨。Nissan Motorは、該不足の結果として同社人気のNote compact carの生産を今月削減、としている旨。

世界半導体販売高の増勢継続、そして逼迫する需給関係について、引き続き注目する現時点である。


2021年が動き始めたタイミング、コロナ禍のもと、いっそう収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□1月5日(火)

世界銀行のコロナ・インパクトの見方である。

◇Covid-19 Aftermath Could Spell a ‘Lost Decade’ for Global Economy, World Bank Says-World Bank: Global economy facing "lost decade" risk -Bank lowers growth outlook as pandemic disrupts trade, investment and education (The Wall Street Journal)
→World Bankレポート。coronavirus pandemicが、経済成長の"失われた10年"のリスクを起こさせている旨。向こう10年にわたるグローバル成長の見通しを、pandemic前の年間2.1%から1.9%に下方修正の旨。

我が国の緊急事態宣言、および英国のロックダウンである。

◇緊急事態宣言、1カ月程度、1都3県で7日にも発令−休校要請せず、ワクチン接種は2月から (日経 電子版 05:18)
→政府は新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、7日にも緊急事態宣言を再び発令する旨。東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県が対象で期間は1カ月程度を想定している旨。感染リスクが高いとされる飲食店の営業時間短縮に重点的に取り組み、観光需要喚起策「Go Toトラベル」の停止も継続する旨。教育現場への影響を避けるため、小中高校や大学への休校要請などはしない方針。

◇英、イングランドで3度目の都市封鎖、学校は休校 (日経 電子版 08:11)
→英国のジョンソン首相は4日夜(日本時間5日未明)にテレビ演説し、新型コロナウイルスの感染拡大で行動規制を強めると発表、首都ロンドンのあるイングランドで5日から3度目のロックダウン(都市封鎖)に入る旨。不要不急の外出を制限するほか、学校も閉じて対面授業を休止する旨。患者の急増による医療崩壊への危機感が背景にあり、少なくとも2月半ばまで続けられる見通し。

米国株式市場は、史上最高値を上回る出だしから、上院決選投票を経てさらに上げて留まっていく、今週の推移である。

◇NYダウ一時700ドル超安、上院決選投票前に持ち高調整 (日経 電子版 05:42)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均が大きく下落、米東部時間午前11時過ぎには下落幅が一時700ドルを超えた旨。特段の材料は出ていないが、5日のジョージア州の上院決選投票を前に持ち高調整の売りが強まっている旨。午後12時20分時点のダウ平均は先週末比660ドルほど安い2万9940ドル前後。4日は2021年初めての取引で、開始直後には2020年末に付けた史上最高値(3万0606ドル)を上回ったが、徐々に価格を切り下げた旨。

□1月6日(水)

◇NYダウ反発、景気敏感株中心に押し目買い (日経 電子版 05:35)
→5日の米株式相場は反発、15時現在、ダウ工業株30種平均は前日比196ドル12セント高の3万0420ドル01セントで推移している旨。堅調な米経済指標を受け、前日に下げが目立った景気敏感株を中心に押し目買いが入った旨。5日発表の12月の米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数が60.7と11月(57.5)から改善し、市場予想も上回った旨。米景気の下振れ懸念が和らぎ、投資家心理を支えている旨。

ドイツでもロックダウンの再強化である。

◇ドイツ、ロックダウンを再強化、感染地域に移動制限 (日経 電子版 05:04)
→ドイツのメルケル首相は5日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための規制を再び強化すると発表、感染が深刻な地域の住民は居住地から15キロまでに移動が制限される旨。10日までとしていたレストランや商店、学校の閉鎖は少なくとも1月末まで続ける旨。英国で感染力の高い変異種が広がっており、メルケル首相は「我々はとりわけ慎重でなければならない」と語った旨。

□1月7日(木)

◇NYダウ438ドル高、上院決選投票での民主党優勢を好感 (日経 電子版 05:23)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、15時現在、前日比438ドル09セント高の3万0829ドル69セントと2020年12月31日に付けた過去最高値(3万0606ドル)を上回って推移している旨。5日投開票のジョージア州の米上院決選投票で民主党候補が2議席ともに獲得し、同党が上下両院で過半数を制するとの見方が強まった旨。追加経済対策やインフラ投資の拡大などが見込まれ、政策の恩恵を受ける景気敏感株を中心に買いが膨らんでいる旨。

□1月8日(金)

シリコンバレーへのコロナの投げかける影である。

◇2021: In the shadow of Covid Covid-19 casts deep shadows on Silicon Valley's economy -Covid-19 will fade away, but its certain to leave economic scars (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→シリコンバレーではハイテクは依然活況、ほかはまったくそうでもないが、そしてpandemicは該現地経済におけるより深い問題を引き続き明るみに出している旨。

◇NYダウ261ドル高、「ブルーウエーブ」で景気回復期待 (日経 電子版 05:34)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、15時現在は前日比261ドル26セント高の3万1090ドル66セントと前日に続いて過去最高値を上回って推移している旨。民主党が大統領と上下両院の過半数を握る「ブルーウエーブ」が実現、財政支出に積極的な民主党政権になれば、大型の追加経済対策が実施されると期待した買いが広がった旨。

□1月9日(土)

◇NYダウ、もみ合い、利益確定売りで上値重く (日経 電子版 05:30)
→8日の米株式市場ではダウ工業株30種平均はもみ合っている旨。15時現在は前日比28ドル59セント安の3万1012ドル54セントで、その後は小幅に上げる場面もある旨。前日までに連日で過去最高値を更新しており、景気敏感株を中心に短期的な利益確定売りが出ている旨。一方、主要ハイテク株の上昇が相場を下支えている旨。

中国でも、感染拡大に対する自宅待機の措置がとられている。

◇中国、北京隣接の河北省省都、1000万人自宅待機−米英も感染拡大とまらず (日経 電子版 22:56)
→世界で新型コロナウイルスの感染が再び拡大している旨。中国では北京市と隣接する河北省の省都、石家荘市が9日までに、感染拡大を防ぐため約1000万人いる市民の自宅待機に踏み切った旨。中国としてはこの冬初めての大規模事例となる旨。欧米諸国の経済が減速するなか、堅調なプラス成長を続ける中国にも感染再拡大の波が及べば、世界経済の先行きに影響を及ぼす可能性がある旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国連邦議会乱入関連】

米国上院決戦投票で民主党が勝利を収める最中に起きたトランプ大統領の支持者の大量乱入の事態に、Semiconductor Industry Association(SIA)も即座に非難のステートメントを出している。時間軸で以下の抽出である。

◇Tech stocks wilt while small-caps and value shine after Georgia results (1月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→カギとなる上院で民主党が完勝の情勢、大きな財政刺激策に道が開ける可能性の旨。

◇米上院、民主2勝で多数派、「トリプルブルー」に (1月7日付け 日経 電子版 07:40)
→米連邦議会の上院は民主党が多数派を奪還した旨。複数の米メディアによると、南部ジョージア州の2議席を争った5日の決選投票で民主党の2勝が確実になった旨。民主が大統領選の勝利に加えて上下両院で多数派を確保する「トリプルブルー」となり、20日に発足するバイデン次期政権の追い風となる旨。

◇米議会にトランプ支持者が乱入、上下両院会議は再開へ (1月7日付け 日経 電子版 09:35)
→米連邦議会の議事堂内に6日、バイデン次期大統領の選出に反対するトランプ大統領の支持者が大量に乱入、トランプ氏が集会で支持者に議事堂に向かうよう促していた旨。支持者は建物を3時間以上にわたって占拠し、手続きが中断を余儀なくされた旨。議事堂内で撃たれた支持者とみられる女性1人が死亡、異例の事態となったことを受けて、トランプ氏はSNS(交流サイト)で「家に帰るときだ」と撤収を呼びかけた旨。

◇SIA Condemns Lawlessness in Washington (1月6日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、本日のWashington, D.C.における暴力行為に対して、president and CEO、John Neuffer氏からのステートメントを出した旨。「我々は、本日の連邦議会における想像もできない無秩序および無法状態を非難、大統領選挙結果を確認する合憲的に統治されたプロセスを敏速に安全に再開する議会の決定を強く支持する。平和的な政権移行は、我々の民主主義の基盤であり、我々の国に直面している空前の大きな難題を克服するアメリカの能力に非常に重要である。」

◇米議会、バイデン次期大統領の選出確定 (1月7日付け 日経 電子版 18:47)
→米議会は7日、上下両院合同会議を開いて民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)の次期大統領選出を確定した旨。バイデン氏は20日正午に第46代米大統領に就任する旨。次期副大統領にはカマラ・ハリス上院議員(56)を選出した旨。米大統領選は2020年11月3日の投開票から約2カ月を経て結果が確定し、最終決着した旨。

◇大揺れの米民主主義、議会占拠、バイデン氏「前代未聞」 (1月8日付け 日経 電子版 05:24)
→米首都ワシントンに集まったトランプ大統領の支持者は6日、連邦議会の議事堂を約4時間にわたり占拠し、少なくとも4人の死者が出た旨。バイデン次期米大統領は6日、「米国の民主主義が前代未聞の攻撃にさらされている」と指摘。支持者を扇動するような言動をトランプ氏が繰り返すなど、大揺れの米政治を映す異例の事態となった旨。

◇トランプ氏、政権瓦解へ危機感、退任受け入れ (1月9日付け 日経 電子版 05:15)
→トランプ米大統領が7日、バイデン次期大統領の勝利をようやく公式に認め、円滑な政権移行に協力すると明言した旨。米連邦議会議事堂への乱入事件を受けた共和党内での責任論の拡大を警戒。政権高官の辞任も相次ぎ、退任後もにらんだ政治生命の維持へ対応を余儀なくされた旨。

【シリコンバレーの家賃高騰】

Texasへの移転を決めたOracleが、シリコンバレーのオフィスビルを売りに出している。

◇Exclusive: Oracle Corp. putting downtown trophy tower on the market for sale (1月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Joseダウンタウンで最も高いオフィスビルが、その所有者、Oracleがcorporate headquartersのTexasへの移転を確認後ほどなく、売りに出ている旨。

巨大ITの一角、アマゾンが、低価格住宅の建設を発表している。

◇米Amazonが低価格住宅、2000億円投資、家賃高騰受け (1月7日付け 日経 電子版 07:03)
→米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コムは6日、米国内の本社や拠点の周辺地域に20億ドル(約2060億円)を投じ、中低所得者向けの低価格帯の住宅を建設すると発表、高賃金のアマゾン社員の増加に伴う地域の家賃高騰や住宅不足に対応する旨。市場への影響力の大きさからハイテク大手への逆風が強まる中、地域での批判をかわす狙いもありそう。

シリコンバレーからTexasへの流れを探る記事である。

◇YOUはどうしてテキサスへ、脱シリコンバレーうねりに−高い生活費、コロナに山火事…リモートワークも後押し (1月8日付け 日経 電子版 04:51)
→米ITの聖地、シリコンバレーからの脱出がうねりになりつつある。オラクルの本社移転に加え、イーロン・マスク氏ら著名経営者や投資家もシリコンバレーを離れた。生活費や税負担、新型コロナウイルス禍で浸透したリモートワークが働き手の背中を押す。多くが向かう先は南部テキサス州。
なぜ人々はテキサスへ集うのか、現地で探った。・・・・・

【日本での半導体工場建設】

台湾のTSMCが、経済産業省の支援のもと日本に半導体新工場を建設するという報道関連、以下の通り見い出している。先端実装拠点としてあるが、TSMCは、2.5次元のパッケージング技術「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」および「InFO(Integrated Fan-Out wafer level packaging)」などで該分野をここ数年引っ張っている。

◇Taiwan's TSMC rumored to be setting up new plant in Japan-Report: TSMC to build IC assembly/test plant in Japan -Japanese government seeks partnership with TSMC to secure global leadership in semiconductor industry (1月5日付け Taiwan News)
→本件事情通がUDN(United Daily News)に語ったところによると、TSMCが、日本の経済産業省との50/50合弁合意のもと東京で先端IC実装&テスト工場を建設する旨。

◇TSMC to build advanced IC packaging, testing plant in Japan: report (1月5日付け Focus Taiwan)

◇台湾TSMC、日本に半導体新工場を検討、現地紙報道 (1月5日付け 日経 電子版 12:17)
→半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に新工場の建設を検討していると、複数の台湾の地元紙が5日報じた旨。経済産業省の支援を受け、合弁で新会社の設立も検討している旨。実現すれば米中、シンガポールに続く海外の生産拠点となる旨。
報道によると、TSMCは半導体の複数の製造工程の中でも後半部分に当たる「後工程」のパッケージ(封止)作業を担う新工場の設置を予定する旨。近く日本側と正式合意に至る見通しだと伝えた旨。

◇Japan chip sector boosted by report TSMC to build Tokyo facility (1月6日付け The Japan Times)
→TSMCが経済産業省とともに日本で先端実装拠点を建設するという報道を受けて、日本の半導体supply chain関連株価が火曜5日上昇の旨。

◇TSMC、つくばに開発拠点 先端半導体で日台連携 (1月7日付け 日刊工業)
→半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、2021年内にも茨城県つくば市に先端半導体製造の技術開発センターを新設する計画が分かった旨。日本の製造装置・素材メーカーと共同開発に乗り出す旨。また、北九州市を有力候補として2025年をめどに工場建設を検討する旨。日本政府も支援する旨。第5世代通信(5G)や人工知能(AI)に使う先端半導体は米中貿易摩擦の主戦場であり、関連産業の強い日本の立地優位性が見直されつつある旨。

経済産業省からは、以下の支援強化の取り組みも見られている。

◇経産省、先端半導体の開発支援を強化、ポスト5G、製造技術確立へ (1月8日付け 日刊工業)
→経済産業省は先端半導体製造技術に関する開発支援を強化する旨。超低遅延や多数同時接続を強化した「ポスト5G」に対応した情報通信システム開発と並行して先端性を持つロジック半導体の製造技術確立を進める旨。米中の技術覇権争いが激化して長期的な不透明感が漂う中、日本国内で製造可能な中核分野における基盤確立の取り組みを急ぐ旨。

今後の絞り込みの進展、方向性に注目である。

【アップルの車の取り組み】

アップル社の自動運転電気自動車がいろいろ取り沙汰されているが、台湾・Foxconnとの結びつきが以下あらわされている。

◇Apple's carmaker partner could be Foxconn-Byton, analyst suggests (1月6日付け FierceElectronics)
→2024年までに自動運転車をつくるという12月後半に表面化したAppleの計画で、頭を悩ます多くのアナリスト。ここにきてAppleの自動車づくりに向けた主要パートナーのヒント。iPhonesを組み立てる台湾の製造パートナー、Foxconnが月曜4日、中国のEV startup、BytonおよびNanjing Development Zoneとの戦略的協力合意に調印、2022年第一四半期までに共同でByton M-Byte SUVの量産を加速していく旨。

◇IC designers eye opportunities from Foxconn-led EV development platform-Sources: Foxconn's EV development platform gains use (1月7日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾の車載コンポーネントベンダーが、Foxconn ElectronicsがYulon Motorとのコラボで打ち上げたソフトウェア/ハードウェア統合EV(eletric vehicle)開発オープンプラットフォーム、MIHからのopportunitiesに注目している旨。
(注) MIH…鴻海が開発したEVプラットフォーム、MIH Open Platform。
  「モジュール化・フレキシブル化・カスタム化」「軽量化と一体成型」「強大なEEA(Electronic & Electrical Architecture)アーキテクチャ」「自動運転技術」という4つの特徴

さらに、評論、そして現代自動車の本件への動きである。

◇Apple's self-driving electric vehicle is at least five years away, engineers say (1月8日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが自動運転電気自動車プロジェクトに本気に取り組んでいるように見えるが、insiders曰く、Tesla, Lucid, GMなどの自動車メーカーに対抗できるのに数年かかる旨。

◇Hyundai in early stage talks with Apple over electric car tie-up (1月8日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→現代自動車が電気自動車構築についてのAppleとの初期段階の話し合いを確認、同社の株価が急伸の旨。

【M&A案件】

Applied Materials社(Santa Clara)が、Kokusai Electric(国際電気)社の買収に向けて、提示額を59%引き上げている。当初計画から遅れる中、半導体好況を受けての見直しとされている。

◇Applied Materials boosts offer for Kokusai to $3.5B (1月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Applied Materials社(Santa Clara)が、Kokusai Electric(国際電気)社に向けた当初の$2.2 billion買収提示を59%上げて、$3.5 billionを充てようとしている旨。

◇Applied hot on the trail of Kokusai-Applied Materials bids $3.5B for Kokusai Electric (1月6日付け Electronics Weekly (UK))
→Applied Materialsが、入札価格を$2.2 billionから$3.5 billionにつり上げ、日本の半導体製造装置specialist、Kokusai Electricを買収する決定の強さを示している旨。

◇米アプライド、買収額59%上げ、旧日立系の半導体装置、市況活況で計画完了急ぐ (1月6日付け 日経)
→米半導体装置最大手のアプライドマテリアルズは米国時間4日、旧日立製作所系のKOKUSAI ELECTRIC(東京・千代田)の買収価格を35億ドル(約3600億円)に引き上げると発表、活況な半導体装置の市況を受けて従来計画の22億ドルから59%高い水準に見直した旨。中国当局の承認が下りず、当初期限から半年遅れるなか、買収を完了させたいアプライドの強い思惑が見える旨。アプライドのKOKUSAI買収は2020年6月までに完了する計画だったが、中国当局からの承認が得られていない旨。買収手続きが長引くなか、足元の半導体市況が改善し、買収額の見直しを迫られた旨。

【Qualcomm関連】

Qualcommの来る6月末でのCEO交代が発表され、5G普及期の足場固めとされている。最新applicationプロセッサ、Snapdragon 888の搭載の動きとともに以下の通りである。

◇Chip giant Qualcomm names Amon CEO as 5G era ramps up-Qualcomm taps Amon as next CEO to succeed Mollenkopf (1月5日付け Reuters)

◇Mollenkopf retires as Qualcomm CEO, to be replaced by Amon (1月5日付け FierceElectronics)
→Qualcommの役員会、火曜5日発。QualcommのCEO、Steve Mollenkopf氏が、6月30日に退任、presidentを務めるCristiano Amon氏(50才)が引き継ぐ旨。

◇米クアルコムCEOに「5Gの顔」昇格、普及期、足場固め一段と (1月7日付け 日経)
→米半導体大手のクアルコムは5日、クリスチャーノ・アモン社長(50才)が6月30日付で最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表、同氏は高速通信規格「5G」に関わる製品開発や販売戦略を主導しており、5G普及期の足場固めを一段と強化する旨。スティーブ・モレンコフ現CEO(52才)は退任後も顧問を務める旨。

◇Qualcomm's Snapdragon 888 Spotted on the Street; Mollenkopf to Retire (1月7日付け EE Times)
→Qualcommの最近の大きな動き。Mollenkopf氏退任、そして最新applicationプロセッサ搭載の最初のphone、Xiaomi Mi 11。

【Made in China 2025】

2015年5月に発表、中国の国を挙げた取り組み「中国製造2025(Made in China 2025)」の中に謳われている半導体の自己充足目標について、達成にははるかに及ばない、とIC Insightsの見方である。

◇China Forecast to Fall Far Short of its “Made in China 2025” Goals for ICs-IC Insights forecasts China-produced ICs will represent only 19.4% of its IC market in 2025, a fraction of the Made in China 2025 goal of 70%. (1月6日付け IC Insights)

◇China won't meet its chip goals, says IC Insights-IC Insights: China won't be able to realize chip goals (1月7日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの評価。中国は2025年までに必要とするmicrochipsの70%を生産する目標を置いているが、同国内半導体業界がそのときまでにつくり出すのは19.4%に留まり、該自己充足目標にはるかに及ばない旨。昨年中国は、世界半導体販売高の15.9%を占め、10年前の10.2%から上がっている旨。

◇China Forecast to Fall Far Short of its “Made in China 2025” Goals for ICs (1月8日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)


≪グローバル雑学王−653≫

5年後の未来を決定づけるとして本著者が挙げている11社について、それぞれの今後に向けた取り組み&思惑、およびそれらをまとめて見えてくる3つのメガトレンドに、

『2025年を制覇する破壊的企業』
 (山本 康正:SB新書 525) …2020年11月15日 初版第1刷発行

より3回に分けて迫っていく。1回目は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と、130か国、8000万人以上の会員数を誇る、世界最大の動画配信サービスのNetflixに注目、これら5社をFAANGともあらわされる。非常に巨大になって米国政府から公正取引、独占禁止で厳しい目が向けられているとともに、半導体業界関連では自前設計の取り組みで競合景観に微妙な影を投げかけているGAFAの4社であるが、それぞれの項のタイトルに今後の取り組みのポイントが端的にあらわされている。Netflixについては、一人ひとりの視聴者の嗜好に合わせた動画配信を目指すとのこと。5年後の世界がどう変わっていくか、ここまでいくのか、と率直な受け止めである。


第1部 2025年はどうなっているか

第1章 世界最先端11社の思惑と3つのメガトレンド …3分の1

【Google】検索後の世界から「検索前」の世界へ
・Googleが次に我々の生活をどう変えようとしているか
 →自身がこれまでメイン事業としてきた「検索」自体を不要にしてしまうこと
・「検索前」の世界に進出しようとしているのが今のGoogle
・これまでの買収先は200社以上、投資金額は3兆円以上にも
 →成長企業を囲い込むような形
・代表的な買収例
 →2006年に買収したYouTube
 →Androidを買収したのは2005年。初代iPhone発売が2007年に対し
・私(著者)は2013年から2017年にGoogleに勤務
・Googleの近年目立つ動向
 →クラウド、人工知能回りの技術開発ならびにさらなる積極的な買収
 →代表例:2013年に買収したイギリスの人工知能開発会社、DeepMind
 →人工知能周辺では、自動運転領域にも進出
  →Waymoという子会社でrobotaxiの実験

【Amazon】Alexa君、屋外へ進出。ついに街全体を食いに来る
◆街との会話のペースがAlexaになる
・2020年1月、CES(Consumer Electronics Show)で、AmazonはAlexaとガソリンスタンドを交信するサービスのデモを発表
 →都市との会話のベースがAlexaになる
・購買・検索履歴に限らず、Amazon Echoに話しかけた言葉は、すべてデータとして保存
 →最適な商品のレコメンデーションも、無駄のない広告も
◆Amazon保険を作り、従来事業とのシナジーを生む
・Amazonは、小売りから全業界を取り込みに動いている
 →最近では、ローン、保険といった金融事業への進出がトレンド
  →Amazonの購入履歴から与信判断を行うサービスを展開すると、私は(著者は)見ている
  →医療保険であれば、現在一律の保険料金を、運動することで病気に罹患する確率を下げることができれば、保険料を割り引き
・Amazonが提供する損害保険は、精緻
◆ブレない「顧客ファースト」
・Amazonの動向
 →「顧客ファースト」からブレることなくビジネスを展開してきた
・Amazonの出発点はネット書店だったが、現在では「エブリシングストア」、多種多様な商品を揃えるECサイトに成長
・2003年ごろからは「AWS(Amazon Web Service)」というクラウドを構築
 →当初はあくまで顧客のことを考えての社内システム
 →このクラウドがAlexaの開発につながる
・人の言葉を理解するには、テクノロジーのハードルが上がるスマートスピーカー
 →2つの処理を掛け合わせる必要
  →人が発した音声波形を文字化する処理
  →文字化された言葉の内容を理解する、自然言語処理を行う処理
・Amazonでは、クラウド、人工知能、自然言語処理といった幅広い技術を大規模なオフィスに若手の研究者を大勢集め日々研究開発
 →SeattleやシリコンバレーのPalo Alto
  →日本で同様の事業を手掛ける企業のR&Dは、Amazonのそれと比べると比較にならないほど小規模
◆Amazon Dashは、まさにAmazonのビジョンの表れ
・Amazonのテクノロジーカンパニーへの成長
 →創業者、Jeffrey Preston Bezos氏のキャリアも影響
  →エンジニアである一方で、顧客ファーストやエブリシングストアなど、経営者としての明確なビジョン
 →立派な開発センターを構え、かつ、優秀なエンジニアの採用を積極的に
・フォーカスしているのは、如何に短時間で効率良く、ストレスフリーで買い物ができるかどうか。そして素早く届けられるか
 →注文を頼んだ翌日に商品が届くAmazon Prime
 →洗剤などの消耗品をボタンワンプッシュで購入完結するAmazon Dash
・Amazonで注目しておくべきトレンド
 →さらに、ドローン宅配や自動配達車など控えている

【Facebook】2万km離れた人と目の前で会話ができる世界へ
・Mark Elliot Zuckerberg氏がHarvard大学在学中に創業したときから一貫して変わっていないFacebookのビジョン
 →「人同士のコネクションにフォーカスする」
 →2019年、「Horizon」というサービスを発表
  →自らの分身、「アバター(avatar)」を通じて他の参加者と交流できる
・生活のすべての基点がFacebookで行われるようになる、いわゆるスーパーアプリになる指標
 →blockchain技術を活用し開発したFacebook独自の硬貨、Libra
  →現在は頓挫している状況
・人は同質性を好む習性
 →mixiやGREEは、LINEやFacebookにユーザを奪われていった
・若いユーザを囲い込むために動いたZuckerberg氏
 →2012年にInstagramを約810億円で買収
 →2014年、ヨーロッパ最大手のメッセージアプリ、WhatsAppを買収
  →創業来最も高額の約2兆円という額
  →英語圏の利用者は10億人以上
・買収により新たなユーザ層の獲得を繰り返した結果、Facebookの利用者は世界で26億人に増加
 →「Facebook Secret Crush」
  …面識はないけれど相性がいいと思われる人同士をつなげるサービス
・同社の精神「Done is better than perfect」(完璧を目指すよりはまず終わらせろ)
 →大企業になっても続けられていることは驚異的

【Apple】視覚から聴覚、嗅覚へ。人間の五感すべてを占拠
◆すべてはiPhoneへの囲い込みのため
・アメリカで2019年3月、Appleがクレジットカード「Apple Card」を発表、金融事業に参入
 →まず便利なのは、Apple Payとの連携機能
  →値引き率アップのサービス
 →iPhoneのアプリ、Walletとも連携
 →金融業務においては、Goldman Sachsが協力
 ・なぜ、金融サービスに参入したのか
 →iPhoneへの囲い込み
・ここにきて、成長が鈍化
 →繋ぎ止めるために役立つのがApple Card
  →デザイン力というブランディングこそ、Appleの強み
◆Apple Silicon誕生
・最近注力しているのが、人の五感に関するデバイス
 →「AirPods」は耳
 →2021年内にも発表されるというAR(Augmented Reality:拡張現実)メガネ、「Apple Glass」は目
・これまで外部調達していた半導体などを、今後3年間かけて内製化へ
 →「WWDC(Apple Worldwide Developers Conference) 2020」で発表
・不可欠なパーツそのものはApple Silicon(半導体)に
 →今後は他社に供給する動きやパートナーシップビジネスも十分考えられる
・iPhoneに囲い込む他の戦略的動き
 →Apple Watchを活用、定額制まとめサービス「Apple One」
  →ヘルスケア領域が現在トレンド、Appleが同分野に注力
・新しく打ち出したサービスをきっかけに、iPhoneユーザが1人でも増えれば
 →利益率50%以上、Appleとしては十分利益になる
 →スマートスピーカーの販売
 →動画サービス「Apple TV+」
・現在台頭している企業の多くはソフトウェアカンパニー
 →それがAppleに来れば、ハードウェアカンパニーとしての矜持

【Netflix】2億人以上の嗜好に合わせた映像を届ける
◆映画やドラマはリアルタイムにストーリーが変わる時代へ
・この5年でNetflixが強化してくるであろう動向として特に注目している仕組み
 →一人ひとりの視聴者や個々の属性や嗜好にマッチした、動画の配信
・Netflixの最初に出てくるトップ画面
 →年齢、好み、これまでの視聴履歴などを元に、いま観たい番組を、ソムリエのように一人ひとりにチョイス
・2025年の未来では、さらに高まるその最適化
 →発展型だと視聴者一人ひとりによりエンディングはもちろん、シナリオが異なる動画が配信されることも
 →人工知能が人の喜怒哀楽、表情を分析し、その人が最も感動するであろうシナリオをつなげていく
・100万人の視聴者がいたら、100万通りのストーリーがある。そんな未来が可能な時代に
 →ストーリーの違いがコミュニケーションの中心に
◆Amazon Prime VideoとNetflixの立場の違い
・ストリーミングサービス、アメリカでは圧倒的にNetflixの一人勝ち
 →Netflixは映像の質が他とは比較にならないほどこだわり
 →特に支持されているのが、オリジナル番組の制作
 →各国のテレビ局や映像制作会社と組み、それぞれの国で受ける映像をしっかりと把握
・Netflixの現在の時価総額は約20兆円
 →ディズニーとどのような戦い方をするのか、この2社の動向に注目
・もう1つ、動向で注目している点
 →5Gによるデータ活用
 →5G関連のトレンドをいち早くキャッチした日本企業
  →KDDI:Netflixの番組をauで観るためのパケット代金定額サービスを発表

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