セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

米国の対中制裁コントラスト:最高の活況の台湾 vs. 苦境のHuawei

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜25日正午時点、世界全体で3200万人を超え、1週間前から約200万人増と変わらず勢いが続いている。地域別では中南米が850万人を超えて最も多く、アジアは9月18日から北米を上回り、21日に700万人を超えている。この9月15日発効の新しい米国の対中貿易制裁により、中国のテレコム最大手、Huaweiでは必須の半導体が手に入らない事態となって大変な苦境に陥っている。一方、この中国からの駆け込み受注で台湾の半導体および半導体製造装置業界では熱い活況となっている。
折しもSEMICON Taiwanが9月23日に開幕、2020年の台湾の半導体業界のoutput額が$100 billion台突入の見込みが打ち上げられている。

≪いつまで続くこの地政学バランス?≫

まずは台湾関連の動きについて。

米国・Qualcommが、中国・SMICへの半導体製造委託の先行きを案じて、台湾のファウンドリーを訪れている。

◇Qualcomm seeking to shift orders from SMIC, says report-Report: Qualcomm may stop doing business with SMIC (9月21日付け DIGITIMES)
→TechNews発。Qualcommのexecutivesが台湾の専業ファウンドリーを訪問、米国政府が中国最大のファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)とのビジネス遂行を禁じる場合に他の半導体製造パートナーを同定する期待の旨。QualcommはSMICの3大顧客に入るとされる一方、TSMCなどのファウンドリーともビジネスを行なっている旨。

半導体関連市場の半導体材料で、台湾が世界最大の買い手になるというSEMIの見方である。

◇Taiwan to remain largest semiconductor material market in 2020, 2021-SEMI: Taiwan is still the biggest chip materials market (9月22日付け Focus Taiwan)
→SEMI、火曜22日発、台湾が、2020年および2021年で依然世界最大の半導体生産材料の買い手となる見込み、主要ファウンドリーoperatorsおよびintegrated circuit(IC)実装&テストサービスプロバイダーがcapacity拡大および技術アップグレードにやる気満々の旨。

SEMICON Taiwan 2020(9月23-25日:台北)が、実地&オンラインのhybrid開催。以下、関連の内容である。

◇SEMICON Taiwan 2020 opens (9月23日付け DIGITIMES)
→SEMICON Taiwan 2020が、台北で開幕、金曜25日まで。15のテーマパビリオン&革新zones、並びに19のon-siteおよびオンラインでの国際フォーラム。25周年に入って、該annual trade showは、680を上回る出展社、2,200超のブースの旨。

◇Local chip sector to outpace industry (9月23日付け Taipei Times)
→Semicon Taiwan trade showが本日開始、SEMI Taiwanのpresident、Terry Tsao(曹世綸)氏が台北でのメディアbriefingにて。台湾半導体業界の今年の生産額が16.7%増の見込み、グローバル業界の3.3%増を上回る旨。これで台湾は、NT$3 trillion($102.73 billion)を上回る生産額でグローバル半導体市場第2位を維持していく旨。今年のグローバル半導体業界の生産額は、$426 billionに高まる見込みの旨。

今年の台湾の半導体業界のoutput額が$100 billion台突入の見込みが打ち上げられている。

◇Taiwan 2020 semiconductor output to exceed NT$3 trillion-Taiwan's chip output seen reaching $100M in 2020 (9月24日付け DIGITIMES)
→台湾の半導体業界のoutput額が昨年$91 billionに達し、2020年は約$102 billionの見込み、とSu Tseng-chang(蘇貞昌)首相がSEMICON Taiwan 2020 conferenceでの基調講演で。

TSMCが、台湾の北部、中部および南部でバランスをとって投資、そして2-nmをも見据える以下の取り組みである。

◇TSMC makes north its hub for beyond 2 nanometers-TSMC chairman: Northern Taiwan will be sub-5nm IC hub (9月24日付け The Taipei Times (Taiwan))
→TSMCが、capacity均衡戦略に基づいて、台湾北部を2 nanometersの先を見据えた先端技術の製造hubとする計画の旨。現地投資について、台湾北部、中部および南部それぞれ3分の1を充てていく、とSemicon TaiwanのMaster Forum(台北)にてTSMCのchairman、Mark Liu氏。

◇TSMC to build 2nm wafer plant in Hsinchu (9月23日付け Focus Taiwan)
→TSMCが、2-nanometer features搭載半導体の生産が行えるウェーハfab拠点を新竹(Hsinchu)に建設する旨。同社は、2022年後半の間に台南(Tainan)で3-nm半導体の量産を始める計画の旨。

台湾のIC設計サービス関連でも、来年に向けて積極的な展望である。

◇Prospects for Taiwan IC-design service providers positive in 2021 (9月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。application-specific integrated circuits(ASICs)設計会社および半導体intellectual property(IP)プロバイダーの2021年の間の売上げが増える見込みの旨。2020年の大方で新規受注およびIC設計売上げが高みを保っている旨。

台湾のIT業界売上げ指標について、Huawei向け特需などから8月実績が過去最高となっている。

◇台湾IT「かつてない活況」、ファーウェイ特需、売上高最高、8月の19社、5Gも追い風 (9月25日付け 日経産業)
→台湾のIT業界の勢いが増している旨。日本経済新聞社が主要19社の8月実績を調べたところ、売上高が同月として過去最高となる1兆913億台湾ドル(約4兆円)となり、前年同月比で9%増えた旨。華為技術(ファーウェイ)向けの特需や「5G」の本格普及で、活況を呈している旨。

対してHuaweiはじめ中国関連の動きである。

Intelが、米国政府から限定範囲でのHuawei向け製品供給ライセンスを受けている。

◇Intel gets U.S. licences to supply some products to Huawei-US licenses Intel to provide certain chips to Huawei (9月22日付け Reuters)
→Intelが、米国政府からHuawei Technologiesにある特定製品を継続供給するライセンスを獲得の旨。過去にHuaweiにメモリ半導体を販売したSK Hynixは米国ライセンスを申請したとされるが、承認は受けていない、と本件事情通引用、Reuters発。

◇Intel gets licenses to supply Huawei (9月23日付け Taipei Times)

TSMCが、米中貿易戦争によるsupply chainの混乱を警告している。

◇TSMC warns China-U.S. deleveraging will drive up costs-TSMC chairman: US-China trade war disrupts supply chain (9月23日付け Reuters)
→米中貿易戦争により業界コストが引き上げられていると見るTSMCのchairman、Mark Liu氏。「生産あるいは開発のコストが、かってのように世界全体をテコ入れできないから高くなる。」

当のHuaweiは、大変な事態に見舞われて、米国政府の翻意を促している。

◇Huawei chairman urges U.S. to reconsider 'attack' on global supply chain-Huawei chairman decries US "attack" on supply chain (9月23日付け Reuters)
→中国のテレコム大手、Huawei Technologiesが水曜23日、同社のsupply chainが米国からの攻撃にさらされており、Washingtonに対しグローバルにサプライヤを損なっている貿易制限の再考を求めた旨。「米国が制裁を修正したのは3度目、我々の生産およびoperationsに非常に大きな難題を実際にもたらしている。」と、HuaweiのChairman、Guo Ping氏が上海で記者たちに対し。

◇ファーウェイ、米の制裁強化「大きな困難」、自前主義に高い壁 (9月24日付け 日経)
→中国の華為技術(ファーウェイ)が米政府による半導体などの輸出規制にもがいている旨。同社の郭平(グォ・ピン)・副会長兼輪番会長は23日開いた記者会見で「米国の制裁強化が我々の生産と(会社の)運営に大きな困難をもたらした」と認めた旨。米国の技術に頼らない生産体制を整備していかざるを得ないが、先行きは厳しい旨。

◇ファーウェイ、IoT逆風、新スマートウオッチ日本発売も…、スマホ、半導体規制が打撃 (9月25日付け 日経)
→中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)があらゆるモノがネットにつながる「IoT」戦略で逆風にさらされている旨。24日、日本でスマートウオッチ2種類の発売を公表。自社製のスマートフォンとの連携機能が売りだが、米国による対中規制の影響から戦略の根幹を担うスマホ事業が揺らいでいるから。

台湾のIC基板業界からは、IntelおよびAMDのHuawei向け出荷が再開になるものの5Gはじめ有望なビジネスが見込めない模様である。

◇IC substrate makers not to gain much from Intel, AMD resuming shipments to Huawei-Report: Intel, AMD resume CPU shipments to Huawei (9月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。IntelおよびAMDともに、米国当局からの輸出許可を得てHuawei向け出荷を再開、しかし、台湾のIC基板の売上げは結果として大きな高みを見込まない旨。再開された出荷は、大方が2019年5月に最初に禁止されたnotebooks向けCPUsであり、2020年9月15日発効の新しい貿易制裁に従う5Gインフラ応用向けチップセットではない旨。

半導体製造装置について中国からの特需が今年の販売高を最高に押し上げる見込みと、SEMICON Taiwan 2020でのデータである。

◇半導体装置販売、最高に、中国から特需、今年世界で6.8兆円 (9月24日付け 日経)
→アジアを中心に半導体業界の勢いが増している旨。半導体の国際展示会「セミコン台湾」が23日、台北市で開幕し、2020年の半導体製造装置の世界販売額が上方修正され、過去最高の647億ドル(約6兆8000億円)に達する見通しとなった旨。データセンターや中国からの特需が大きく膨らむ旨。
米国による華為技術(ファーウェイ)への制裁強化の影響もプラスに働く旨。中国の半導体メーカーが自社にも制裁が及ぶことを恐れ、駆け込みで各種の製造装置を買い急いでいる旨。実際、中国向けの1〜7月の販売額は前年同期比 45%増と大きく伸びた旨。年間でも過去最高の173億ドルに達し、世界の3割弱を占めるものとみられる旨。

本欄を埋めている最中に目に入った最新の動きで、Huaweiには大変不幸な火災事故の発生である。グローバルsupply chainへの一層大きく前倒しのインパクトが、不安視されるところである。

◇ファーウェイで大規模火災、中国広東省、3人死亡 (9月26日付け 日経 電子版 04:51)
→中国メディアによると、広東省東莞市にある中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の大型施設で25日午後、大規模な火災が発生、消防が出動し、ほぼ鎮火した旨。消防当局によると、現場で3人の遺体が見つかった旨。同社のスマートフォン事業などへの影響が懸念されている旨。
ファーウェイはトランプ米政権の制裁強化で、スマートフォンの生産に必要な半導体などの調達が難しくなっている旨。今回の火災で自前の開発や生産計画に支障が出れば、さらなる打撃となる可能性もある旨。

現下の米中摩擦関連の動きであるが、まずは米国の圧力強化が次の通りである。

◇米、中国に3方面で圧力、輸出、半導体以外も技術規制へ (9月21日付け 日経)
→華為技術(ファーウェイ)やスマートフォンアプリ「TikTok(ティックトック)」をめぐり、米国が中国への圧力を強めている旨。中国への輸出、米国への投資、米政府の調達の3方面から法的な規制をかけるとともに、非常事態の際に認められる大統領の強大な権限を活用しており、全体像はつかみにくい旨。

米国において、先端半導体でのプレゼンス後退を懸念する論調が続いて見られている。

◇Fab Emphasis Questioned as U.S. Chip Lobby Sounds Off-Chipmaker lobby emphasizes more fabs, not next-gen ICs (9月22日付け EE Times)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が米国における新しいウェーハfab拠点の建設&装備の支援に向けて政府補助金を働きかけている一方、連邦当局が次世代microchip技術のresearch and development(R&D)に資金供給するのはより戦略的な可能性がある、と特に言及するいくつかの観測筋。「どちらにしても、米国半導体分野の再活性を狙った法制化および業界のロビー活動は地政学的な現実を強調している。すなわち、アメリカの半導体技術におけるリードが失われてきている。」と、本記事の著者で1986年以降Washington, D.C.から科学技術について書いているGeorge Leopold氏。

半導体を巡る米中ハイテク戦争の現状が、端的にまとめられている。

◇US-China tech war: battle over semiconductors, Taiwan stokes trade feud (9月22日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*半導体は、情報時代の礎石技術であり、米中貿易戦争、並びに両国の台湾との関係のカギとなる旨。
 *中国は半導体の生産では米国、韓国および台湾を追うが、該分野のリサーチおよび融資を強化する対策一式を展開の旨。

米国・Trump政権の対中強硬姿勢が、またも強調されている。

◇「中国の覇権認めず」、米国務長官が警告 (9月24日付け 日経 電子版 05:04)
→ポンペオ米国務長官は23日、対立を深める中国との関係について「トランプ政権は中国が覇権を握ることになるとの考えを認めない」と強調し、対抗する方針を改めて強調した旨。「上意下達の全体主義体制が、米国民の創意や意思、力に勝ることはない」と述べた旨。

米国の半導体についての危機感が、本欄を仕上げながらまたも次の通り入ったばかりである。

◇米、半導体に補助金2.6兆円、生産海外依存に危機感 (9月26日付け 日経 電子版 23:00)
→米連邦議会が半導体の国内生産を促すため、新たに250億ドル(約2兆6000億円)規模の補助金を投じる検討に入った旨。巨額の公的支援で中国に対抗し、インテルなど米大手の開発力を底上げする旨。半導体生産の海外依存を放置すれば、産業競争力の低下に加え、安全保障や軍事力にも響きかねないとの警戒が背景にある旨。


コロナ禍のもと、欧州など再拡大も見られて経済再開への当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□9月20日(日)

TikTokの件、Trump大統領は、Oracleなどの提携案を「原則承認」しているが、裁判所の対抗もあり行き着く先何もないのではという見方もあらわれている。

◇トランプ氏、TikTokとオラクルの提携案「原則承認」−アプリ配信禁止、27日に延期 (日経 電子版 10:30)
→トランプ米大統領は19日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と米IT大手、オラクルなどが提携する案について「原則承認」したと明らかにした旨。商務省は20日に予定していたアプリの配信禁止を27日に延期すると発表した旨。

□9月21日(月)

◇ByteDance, Oracle at loggerheads over terms of TikTok agreement (Reuters)
→ByteDanceおよびOracle社が月曜21日、週末にWhite Houseとともに到達した合意条項を巡って対立するステートメントを出している旨。

◇‘There’s no there there’: What the TikTok deal achieved (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→"辿り着くと、何もなくなる"取引。

□9月22日(火)

シリコンバレーでの状況である。

◇Coronavirus roundup: San Mateo County opens door to more inside business operations (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→2つのcounties、San MateoとAlamedaが、Covid-19の数で十分な改善、制限の少ないBay Areaの他の大方に加わる可能性、より大きなビジネス活動が開けてくる旨。

米国株式市場は、コロナ再拡大、ハイテク株がキーワード、上げ下げする推移を示している。

◇NYダウ続落、一時900ドル安、コロナ感染の再拡大懸念 (日経 電子版 07:10)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比509ドル72セント(1.8%)安の2万7147ドル70セントと8月4日以来ほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた旨。下げ幅は一時900ドルを超えた旨。新型コロナウイルス感染の再拡大を受けて英政府が関連規制の強化を発表すると伝わり、欧州株が軒並み下落し米市場でも株売りが優勢となった旨。米追加経済対策の遅れなど、米国で悪材料が相次いだのも投資家のリスク回避姿勢を促した旨。

□9月23日(水)

◇NYダウ4日ぶり反発140ドル高、ハイテク株が上げ主導 (日経 電子版 05:42)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比140ドル48セント(0.5%)高の2万7288ドル18セントで終えた旨。欧州でのコロナ感染の再拡大が相場の重荷だったが、業績がコロナ禍の影響を受けにくいハイテク株が買われ相場を押し上げた旨。

□9月24日(木)

◇NYダウ大幅反落、525ドル安、ハイテク株への売り加速 (日経 電子版 05:57)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、前日比525ドル05セント(1.9%)安の2万6763ドル13セントで終えた旨。8月3日以来の安値。朝方は買いが先行したが、主力ハイテク株への売りが強まり、昼前に下げに転じた旨。景気敏感株も含めた幅広い銘柄が売られ、取引終了にかけて下げ幅を広げた旨。

新型コロナ感染再拡大を受けた欧州での規制状況である。

◇感染拡大、世界で再規制、フランスは集会制限 (日経 電子版 04:00)
→新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、世界で営業規制など対策を再強化する動きが広がっている旨。フランスは23日、パリでの集会の制限などを発表、英国は22日に飲食店の深夜営業を認めないと発表している旨。経済への打撃が大きい都市封鎖(ロックダウン)は避けるが、日本と違い世界では罰金を科してマスク着用や外出制限を守らせる例が主流。

□9月25日(金)

◇NYダウ小反発52ドル高、ハイテク株上昇、景気懸念は重荷 (日経 電子版 05:42)
→24日の米株式相場は小幅に反発、ダウ工業株30種平均は前日比52ドル31セント(0.2%)高の2万6815ドル44セントで終えた旨。主力ハイテク株が買われ、相場を支えた旨。ただ、景気回復の鈍化懸念から景気敏感株の一角が売られ、次第に相場の方向感は乏しくなった旨。

□9月26日(土)

◇NYダウ続伸358ドル高、主力ハイテク株に買い (日経 電子版 06:02)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比358ドル52セント(1.3%)高の2万7173ドル96セントで終えた旨。朝方は売りが先行したが、主力ハイテク株の上昇が市場心理の支えとなり、昼前に上げに転じた旨。
景気敏感株の一角にも買いが入り、取引終了にかけて上げ幅を広げた旨。


≪市場実態PickUp≫

【NvidiaのArm買収関連】

Nvidiaを率いるJensen Huang氏によるartificial intelligence(AI)半導体性能についてのHuang's Lawが謳われている。かつてのフラッシュメモリでのSamsungの「黄(ファン)の法則」を思い起こしている。

◇Huang's Law Is the New Moore's Law, and Explains Why Nvidia Wants Arm -Viewpoint: Moore's Law is being replaced by Huang's Law (9月19日付け The Wall Street Journal)
→有名なMoore's Lawの弱くなる妥当性が、Huang's Lawによって取って代わられており、Nvidiaのco-founder and CEO、Jensen Huang氏が名づけた新しい決め文句の旨。最近Armの約$40 billion買収取引を行ったHuang氏は、何年もartificial intelligence(AI)半導体の性能を改善する重要性を強調の旨。

Nvidiaの台頭およびArm買収のインパクトの見方である。

◇Arm Deal Will Cement Nvidia at the Top of the Chip Pyramid (9月21日付け EE Times India)
→Intelが支配する半導体業界の崩壊が、NvidiaのArm買収の過程で始まっている旨。

ArmのCTOが、シリコンバレーでの経緯を振り返っている。

◇Arm CTO on company's small, but vital Silicon Valley presence (9月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Arm LimitedのChief Technology Officer(CTO)、Dipesh Patel氏が、同社のSilicon ValleyにおけるプレゼンスについてBusiness Journalに語り、Cambridge, Englandのオフィスよりずっと小さい一方、1990年代半ばまで遡る旨。

NvidiaのArm買収は、中国にとって"悪夢"との論評が、見られている。

◇Nvidia's acquisition of Arm could be a ‘nightmare’ for China, CLSA says-Analyst predicts trouble with Arm-Nvidia deal in China (9月24日付け CNBC)
→アメリカの会社によるArmの所有権は中国にとって"悪夢"となる、とCLSAのmanaging director and head of technology research、Sebastian Hou氏。Armの半導体設計coresはスマートフォン機器市場に"非常に重要"、と付け加える同氏。

【専業ファウンドリー市場】

IC Insightsが、今年の専業ファウンドリー市場について大きく伸びた2014年をも上回る19%の伸びを予想している。該市場を席巻するTSMCはじめ上記の台湾における熱い活況を反映している。

◇Pure-Play Foundry Market On Pace For Strongest Growth Since 2014-Application processors and other device sales for 5G smartphones act as a robust driver. (9月22日付け IC Insights)

◇Pure-play foundry market on pace for strongest growth since 2014, says IC Insights-IC Insights: Pure-play foundry market grows 19% in 2020 (9月22日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。applicationプロセッサなど5Gスマートフォンへのデバイス販売の需要増大が引っ張って、専業ファウンドリー市場が2019年の1%低下を経て今年は力強く19%拡大するペースにある旨。達成されれば、19%増は2014年の18%増以来専業ファウンドリーでは最も力強い伸び率となる旨。

【Intel関連】

米中摩擦、Huawei、そしてTSMCの動きが目立つこのところであるが、そこは半導体ベンダーランキングNo.1の座をメモリ活況の2年を除いて長年にわたり堅守しているIntelであり、新製品関連の展開は目が離せないところである。現下の動きから2点。

◇Intel brings 11th Gen Tiger Lake processors to Chromebooks-Chromebooks to get "Tiger Lake" chips, Iris Xe graphics-Boasting 20% faster system performance and 19% faster web application performance compared to the 10th Gen. (9月22日付け ZDNet)
→Intelが、GoogleのChromebooks向けに第11世代"Tiger Lake" CoreプロセッサおよびIris Xeグラフィックス技術を供給、より良いグラフィックスおよび性能改善が得られる旨。「Chromebooksが、在宅勤務&学習への移行加速で、かくも重要になったことはない。」と、Intelの技術evangelist、Marcus Yam氏がblog postにて。

◇Intel details chips designed for IoT and edge workloads-Intel unveils chips meant for edge computing, IoT (9月23日付け VentureBeat)
→Intelが、digital signage, ヘルスケアサービスロボット, interactive kiosksおよび医療用機器などedge computing応用向けに新しいartificial intelligence(AI)セキュリティ, 機能安全性およびreal-time capabilities搭載第11世代Core Processorsを投入の旨。同社はまた、internet of things(IoT)用途向けにAtom x6000E Series, Pentium, Celeron N, およびJ Series半導体の打ち上げ、すべてIntel Programmable Services Engineを盛り込んでいる旨。

【Xilinx関連】

Xilinxの取り組みから2点。5Gのopen RAN(Open Radio Access Network)への動きに向けたT1 Telco Accelerator Cardのお披露目、そして自動車のContinentalとのコラボによる4D Imaging Radar Sensorsである。

◇Xilinx Debuts T1 Card to Enable Open RAN Splits (9月21日付け EE Times)
→5Gにおいて、open RAN(Open Radio Access Network)への動きで、ネットワークarchitectsがとりわけbaseband units(BBUs)で統合されていたRANに関与、その機能を多彩な組み合わせに再区分できる旨。そこにXilinxが、5G O-RAN分散ユニットおよびvirtual baseband units(BBUs)に向けた新しいT1 Telco Accelerator Cardを擁して入っている旨。

◇Xilinx Takes on 5G O-RAN with Telco Accelerator Card-The Xilinx T1 card handles the "boring 5G stuff," leaving a 5G baseband unit processor to handle applications... (9月22日付け EE Times India)

◇First 4D Imaging Radar Sensors for ADAS to Ship in Vehicles in 2021 (9月24日付け EE Times)
→SAE J3016 Level 2機能性を実現するセンサ装備の車を可能にし、最後のLevel 5自動運転システムに向かう道を開く旨。

◇Xilinx and Continental collaborate on first production-ready auto 4D imaging radar-Xilinx teams with Continental for auto 4D imaging radar (9月24日付け New Electronics)
→Xilinxが、同社のZynq UltraScale+ MPSoCプラットフォームでContinentalの新しいAdvanced Radar Sensor(ARS) 540を動かし、車載業界初のproduction-ready 4D imaging radarをつくり出す旨。該ARS540は、約1,000 feetの適用範囲の旨。

【メモリ関係】

AIなど新分野に向けた新型メモリを巡る論調がいくつか。

◇Memory Technologies Confront Edge AI's Diverse Challenges-Edge AI may benefit from emerging memory technologies (9月18日付け EE Times)
→自動運転車用computer visionなどネットワークedgeでのartificial intelligence(AI)応用が、新規途上のメモリ技術にの開発にかかっている可能性の旨。「AIアルゴリズムが開発&訓練されている応用で高速なbyte-levelメインメモリに向けてlow-latency DRAMの使用が重要になる。」と、Smart Modular Technologiesのsolutions architectでメモリ製品の設計開発者、Pekon Gupta氏。

◇DRAM, 3D NAND Face New Challenges-Analysis: The memory market is going through changes (9月21日付け Semiconductor Engineering)
→いろいろなメモリおよびビジネス展望が至る所散らばっており、時には文字通りであるが、たくさんの混乱が控えている旨。

◇Emerging Memories May Never Go Beyond Niche Applications-Can emerging memory tech replace DRAM, flash? (9月24日付け EE Times)
→新規途上のメモリ技術が何年も開発されている一方、それらがworkhorseメモリのDRAMsおよびNANDフラッシュメモリデバイスに置き換わる証拠が乏しい旨。magnetoresistive random-access memories(MRAMs), resistive RAM(ReRAM), ferroelectric RAM(FRAM)およびphase-change memory(PCM)はniche応用に限られる、と結論づけの旨。

旧型メモリの表記も謳われている。

◇Plenty of Life Left in ‘Legacy’ Memories (9月23日付け EE Times)
→smart機器, AIが吹き込まれたedge computingのリスト増大およびInternet of Things(IoT)の指数関数的増大から、確立したlegacyメモリには“enduring”がより良い表記ラベルとなる旨。

MRAMへの連携の取り組みが見られている。

◇Spin Partners with ARM, Applied in MRAM Manufacturing-Spin Memory targets MRAM tech with help from Applied, Arm (9月22日付け EE Times)
→startup、Spin Memory(Fremont, California)が、ARMおよびApplied Materialsと連携、軍事、車載および医療用機器で広く採用を勝ち取る最初のMRAMになると見込むものを作り始める旨。

趣き変わって、現下の市場でのDRAM価格、この第四四半期に底打ちの見方である。

◇Quarterly avg. OP Estimated at KRW11.0tn in 2021: Samsung Electronics: Semiconductor Earnings Capacity Strengthened -Analysis: DRAM prices to rise in 2021 for Samsung (9月24日付け BusinessKorea magazine online)
→DRAM価格が、2020年第四四半期に底を打つ見込みの旨。


≪グローバル雑学王−638≫

研究開発から製品化を達成するまでの困難な時期、「死の谷」を乗り越えるために、世界をリードする産学共同研究所を、と

『次世代半導体素材GaNの挑戦−22世紀の世界を先導する日本の科学技術』
 (天野 浩 著:講談社+α新書 825-1 c) …2020年4月13日 第1刷発行

より熱い思いに触れていく後半である。2015年からの名古屋大での取り組みで、デバイス、システム、産学など異分野の研究者が集う場が設けられ、さらに、従来型の大学の研究センスに企業の開発センスを加えて切磋琢磨するユニークな研究施設が開設されていく。この中には、世界唯一、GaN専用として運用のクリーンルーム施設があり、産学連携の利用とのこと。2015発足の「GaN研究コンソーシアム」が、2019年10月「一般社団法人 GaNコンソーシアム」に移行、GaNの社会実装に向けた企業が活動しやすい環境がつくられている。

第四章 世界をリードする産学共同研究所を …後半

■異なる分野の研究者が集う場所を
・2015年10月、名古屋大では「未来エレクトロニクス集積研究センター」(CIRFE:Center for Integrated Research of Future Electronics)を開設
 →「未来材料・システム研究所」(IMaSS:Institute of Materials and Systems for Sustainability)のもと
 →GaNを使った高性能なデバイスの実現など、最先端のエレクトロニクス研究を推進
 →6つの部署:未来デバイス部
          マルチフィジックスシミュレーション部
          先端物性解析部
          システム応用部
          国際客員部
          産学協同研究部
 →研究手法が異なる研究室が1つの建物内に集えば、まったく新しい分野が創成できるとの考え

■大学の研究センスに企業センスを
・2018年、「エネルギー変換エレクトロニクス研究館」(C-TECs)と「エネルギー変換エレクトロニクス実験施設」(C-TEFs)を開設
・C-TECsは、技術の階層を垂直に統合して研究を行うことができる研究棟
 →2019年度、第32回日経ニューオフィス賞を受賞
 →ユニークな点として、産業界専用ラボスペースがあること
  →産学協同研究部門(産学連携講座)を開設し、それぞれ独自に研究開発を進められるように
 →従来型の大学の研究センスに、企業の開発センスを加えて切磋琢磨
 →大学の研究室が入るフロアは、共通居室フロアに
  →日ごろから異なる研究室のメンバーとコミュニケーションをとる空間として活用

■研究室相互の協力が進行中
・共通居室フロア、「C-Amp」(「Collaboration Amplifiers」)
 →研究室相互の新基軸の協力関係が自然なかたちで進行中
 →この動きがさらに進めば、企業が抱えている様々な研究開発上の課題が具体的に、しかも直接、若手研究者に伝わるようになるのでは
・大切にしたいのは、この研究棟が世の中の役に立つ研究を行う場所として確立し、研究者とスタッフが、その思いを共有すること

■世界唯一のGaN専門施設
・C-TEFsは、半導体デバイスを研究するクリーンルーム施設
 →高信頼・高精度デバイスの試作を短時間で実現する設備が整っている
 →結晶成長から、デバイス、回路、システムの製作まで、一連のデバイスプロセスに対応
・このクリーンルームは世界唯一、GaN専用として運用
 →産学連携講座を開いている企業を中心に、すでに利用が始まっている

■「大学主導で企業を集めてほしい」
・2015年10月、「GaN研究コンソーシアム」が発足
 →2019年10月には、「一般社団法人 GaNコンソーシアム」に移行
・GaNの優れた特性をもって世の中に貢献するという思いを実現するため、「死の谷」を越えるにはどうすれば良いか、それを考えて取り組んだのが、GaNコンソーシアムの設立
 →当初から地元の企業をはじめ多くの企業が参加
・一般社団法人化した時点で、企業などが47機関、公的研究機関が2機関、さらに20の大学が参加
 →GaNの社会実装に向け、企業が活動しやすい環境を提供していきたい
・日本とアメリカの工学を比べると、日本の場合、アメリカでいう理学に相当する部分が多い
 →日本では学問だけに引きこもり、本来の工学のセンスが欠けているような気がする
 →日本における工学の考え方を改め、それを日本全体に広げていきたい

月別アーカイブ