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米国の対中追加制裁発効間近、Huawei、SMICはじめ広範に走る動揺

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜11日昼前時点、世界全体で2795万人を超え、1週間前から約180万人余り増と勢いが続いている。累計地域別では中南米が最多、北米、そしてアジアが続いている。米国による中国・Huaweiに対する輸出禁止措置で基幹の半導体が来る9月15日から入手できなくなる事態を間近に控えて、Huaweiはもちろんそのsupply chainに大きな衝撃が走っている。中国を代表する半導体ファウンドリー、SMICも、次のブラックリストの目標かという報道が流れて動揺を受けている。米国の半導体技術を中国に対し遮断する動きの拡大に衝撃が広がる一方、Huaweiのスマホのシェアを狙う虎視眈々の動きが錯綜する現下の状況を受け止めている。

≪摩擦激化の最前線≫

米中のハイテク摩擦が、1つには9月15日を控えて激しさを増している。米中関連全体含め発信日の日付けでその動きを追っている。

□9月6日(日)

Huaweiに続いてSMICのブラックリスト入りが囁かれ始めている。

◇U.S. considers blacklisting China's largest chipmaker as tech tensions escalate (CNBC)

政治の舞台でも、南シナ海を巡ってオンラインの東南アジア閣僚会議が開かれ、米中のせめぎ合いが展開されようとしている。

◇中国の南シナ海「支配」巡り温度差、東南ア閣僚会議 −9日から関連会合、オンラインで (日経 電子版 18:09)
→9日に始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)と関係国・地域の会合は、南シナ海を巡る米国と中国の「対決」が軸になる旨。米国はASEANに対中包囲網への参加を求めるが、加盟国には温度差がある旨。新型コロナウイルスのワクチン供与、景気てこ入れ支援を中国に期待する国も多い旨。
会合はいずれもベトナムが主催し、オンラインで開催。最終日の12日には日本や北朝鮮を含む27カ国・機構がアジア太平洋の安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議を開く旨。当初7月末ごろを予定したが、新型コロナの影響で延期していた旨。

□9月7日(月)

SMICへの制裁脅威の衝撃が、以下の通り瞬く間に走っている。

◇SMIC ‘Shocked’ by Report U.S. May Blacklist Company-Report: SMIC may be the next blacklist target (EE Times)
→米国国防総省が商務省に対し、中国最大のシリコンファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)をアメリカの会社とのビジネス遂行を禁じられる会社のentity listに載せるよう働きかけている旨。香港での取引株価の低下が20%を上回ったSMICはステートメントにて、「SMICはそのニュースに完全に衝撃を受け当惑している」旨。

◇US sanction threat wipes 23% off the value of China's biggest chipmaker (CNN)

◇Chinese chip giant SMIC 'in shock' after US trade ban threat (BBC News)

Huaweiについては、半導体の駆け込み調達の一方、スマホの価格が高騰する動きである。

◇中国、半導体の輸入急増、ファーウェイ駆け込み調達か (日経 電子版 21:44)
→中国が半導体輸入を増やしている旨。中国税関総署が7日公表した2020年8月の貿易統計によると、集積回路の輸入額は単月で過去2番目の大きさを記録。数量でも最多だった7月に続いて高水準だった旨。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が米国による禁輸措置の厳格化を前に、駆け込みで調達している旨。

◇ファーウェイ製スマホ高騰−中国サイト、米制裁見越し (共同通信)
→中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のスマートフォンの価格が中国国内のインターネット通販サイトなどで上昇している旨。同社はトランプ米政権の輸出禁止措置で9月15日以降、基幹部品の半導体が入手できなくなるため、品薄になると見越した業者がつり上げているもよう。中国メディアが7日までに伝えた旨。

制裁を加える米国は問題ないのか。中国への半導体供給&売上げが途絶えると死活問題、と米国半導体工業会(SIA)が反旗を翻している。

◇米半導体産業の憂鬱(眼光紙背) (日経産業)
→米商務省は8月半ばに中国の華為技術(ファーウェイ)への包囲網を強め、米国製または米国の技術を使って生産された半導体の供給を事実上、禁止した旨。その結果、ファーウェイは事業継続が困難になるという見方が出ている旨。
実はこの規制に頭を抱えているプレーヤーが米国にもいる旨。米国半導体工業会(SIA)は禁輸措置を受け、「機微技術を含まない、一般的な半導体の中国への供給継続は、米半導体産業の基盤を強め、ひいては米国の安全保障の充実にも寄与する」と政府に公然と異を唱える声明を発表した旨。

中国の8月の輸出は、堅調に伸びを取り戻している。

◇中国、8月の輸出9・5%増、3カ月連続、伸びも拡大 (日経 電子版 12:56)
→中国税関総署が7日発表した2020年8月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比9.5%増の2352億ドル(約24兆9千億円)、3カ月連続で増え、伸びも7月(7.2%)より拡大した旨。マスクやパソコンなど新型コロナウイルス関連の出荷は引き続き好調だったほか、衣類なども伸びた旨。

◇China's Exports Surged 9.5% In August Despite Escalating Tensions With The United States-China's recovery continues as exports jump 9.5% in Aug. (Forbes)

□9月8日(火)

Trump大統領は、もう引けないということか、中国切り離しが米国に有利と強硬姿勢を貫いている。

◇トランプ氏、中国切り離し「損失少ない」、強硬姿勢鮮明 (日経 電子版 08:03)
→トランプ米大統領は7日の記者会見で、中国と経済面で「デカップリング(切り離し)」を進めた方が米国が被る損失は少ないとの見解を表明、中国に仕事を発注する企業には、連邦政府との取引を禁じる可能性も示唆し、対中強硬姿勢を一段と鮮明にした旨。11月の大統領選を見据え、強い指導者像をアピールする狙いがありそうな旨。

□9月9日(水)

中国でものづくりしている米国の会社には、米国に帰れなんてとんでもないとの反応である。

◇US companies defy Trump's demands to leave China (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国で操業する200を上回る米国の会社の調査。各社は、中国から離れて製造を本国に戻すというDonald Trump大統領の要求を無視している旨。

ドイツでは、中国一辺倒の政策を見直す心変わりの雰囲気が見えてきている。

◇ドイツ、中国依存を転換、アジア政策で日本などと連携 (日経 電子版 05:11)
→ドイツ政府がこれまでの中国一辺倒のアジア政策の転換に動き始めた旨。新たにまとめたインド・太平洋戦略で、日本や韓国など民主主義をはじめとした共通の価値観を持つ国との関係強化を打ち出した旨。独の方針転換は、中国への依存に対する欧州の警戒感の高まりを映している旨。

東南アジア閣僚会議が開幕、米中の応酬に集まる注目である。

◇米中、ASEAN舞台に対決へ、関連外相会合が開幕 (日経 電子版 16:49)
→東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と米国、中国、日本など域外国による一連の外相会議が9日、オンラインで始まった旨。米中関係が険悪になるなか、ポンペオ米国務長官と中国の王毅(ワン・イー)外相の「直接対決」となり、両者の応酬が注目されそうな旨。

中国の最先端半導体を引っ張るとされたHSMC(Wuhan Hongxin Semiconductor Manufacturing Co.:武漢弘芯半導体製造)であるが、資金不足で建設停止となっているとのこと。同じ武漢市でフラッシュメモリに意欲的に取り組むYangtze Memory Technologies(YMTC:長江存儲科技)との対比を感じざるを得ないところである。

◇HSMC promised China's first 7 nm chips. It didn't go well. -HSMC promised China's first 7 nm chips. Now it's gone bust, leaving only a half-built headquarters. (TechNode)
→中国・武漢市の政府支援半導体製造プロジェクトが失敗し、key operator、HSMCが負債に陥っている旨。現地政府は、該プロジェクトに約RMB 128 billion(約$18.7 billion)の投資を行なっている旨。中国メディアは最近、650,000m2(約160 acre)に中国初の7-nanometer(nm)半導体製造工場を収める計画の該Wuhan Hongxin Semiconductor Projectの建設が12月以降行き詰っている、と報じた旨。

韓国勢のHuawei向けディスプレイパネルの供給が、米国の制裁により止まる方向である。

◇サムスンとLG、ファーウェイへのパネル供給停止へ=韓国メディア (ロイター)
→韓国のサムスン電子傘下のサムスンディスプレイとLGディスプレーは、米国の規制により、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への高級スマートフォン向けパネルの供給を停止する見通し。韓国のオンラインメディア、朝鮮ビズが9日報じた旨。

Samsungはじめ韓国メーカーに対する追加制裁により広がる波紋である。

◇U.S. sanctions on Huawei to hit S. Korean chipmakers (Yonhap News Agency)
→業界筋、水曜9日発。Samsung Electronics Co.など韓国のメモリ半導体メーカーが、来週発効する米国の中国テレコム大手、Huawei Technologies Co.に対する追加制裁の危機を感じている旨。

◇Chip, display makers expected to stop sales to Huawei next week-Huawei suppliers to cut off shipments to the company (JoongAng Daily[中央日報] (South Korea))
→米国の制裁が9月15日に発効、Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが来週Huawei Technologiesへのメモリ半導体の出荷を止める一方、Samsung DisplayおよびLG DisplayがHuaweiへのディスプレイパネルの出荷を止める旨。米国商務省は、ディスプレイdriver半導体のHuaweiへの販売も禁止の旨。

◇サムスン、天津でテレビ生産中止、「脱・中国」を加速 (日経)
→韓国サムスン電子は8日、中国天津市のテレビ工場の生産を11月末に中止することを明らかにした旨。人件費高騰や販売低迷を背景にベトナムなどに生産移管し、中国でのテレビ生産から撤退する旨。サムスンはスマートフォンやパソコンでも中国生産を取りやめており、組み立て工場の「脱・中国」を加速する旨。

□9月10日(木)

Huaweiの事業責任者が認める制裁インパクトである。

◇US sanctions on Huawei hit chip supply and growth, exec says-Huawei exec criticizes US ban, says it is hurting firm's business (Houston Chronicle/The Associated Press)
→Huawei Technologiesのconsumer事業president、Richard Yu氏が木曜10日、company conference for developersにて。最近の米国の同社に対する制裁が、computer半導体の不足を生じており、スマートフォン事業の伸びを損なっている旨。同社は依然、中国スマートフォン業界で51%の市場シェアを得ている旨。

台湾の半導体design housesが、米国の制裁がSMICに及んだ場合への不安を募らせている。

◇IC design houses brace for impact of possible US ban on SMIC-Sources: US ban on SMIC would affect IC design firms (DIGITIMES)
→業界筋発。台湾の半導体design housesが、中国最大のファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)とのビジネス実施に対する米国の禁止提案に神経を尖らせている旨。該ファブレス半導体会社は、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC), United Microelectronics(UMC)およびVanguard International Semiconductorに
向かわざるを得ない一方、該現地ファウンドリーのすべてが8-インチウェーハfabラインでフル稼働にある、と特に言及の旨。

東南アジア閣僚会議での米中の激しい応酬である。

◇米「南シナ海、中国の主張違法」、ASEAN外相会議で非難−激しい応酬 中国「米が邪魔」 (日経 電子版 09:10)
→ポンペオ米国務長官は9日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議で、中国が南シナ海で主張する海洋権益は「違法だ」と非難、中国の王毅(ワン・イー)外相は米国を「解決の努力を邪魔している」と批判し、激しい応酬を繰り広げた旨。
舞台となったのは、ASEAN10カ国に米国や日中韓などが参加する東アジアサミット(EAS)の外相会議。ASEANのベトナムが議長国を務め、オンラインで開いた旨。

Huaweiインパクトの日台韓への影響が度合いがあらわされている。

◇対ファーウェイ、日台韓で2.8兆円の部品供給停止リスク (日経 電子版 05:14)
→米商務省が中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に課す規制実施が15日に迫り、米国技術を使う企業から同社への半導体輸出が全面的に止まる可能性が高まってきた旨。日本、台湾、韓国の企業だけで2兆8000億円規模の部品が供給停止リスクにさらされる旨。一部企業は代替納入先を模索するなど、ファーウェイ規制は企業経営にも変容を迫る旨。

中国市場での半導体製造装置の販売高は、4-6月では活況を呈しているが、問題は先行きである。

◇半導体製造装置、中国市場で活況続く、4-6月販売高36%増 (日刊工業)
→半導体製造装置業界では中国市場の活況が続いている旨。日本半導体製造装置協会(SEAJ)と米SEMIが9日に発表した2020年4-6月期の中国市場の半導体製造装置販売高は、前年同期比36%増の45億9000万ドル(約4860億円)だった旨。第5世代通信(5G)やデータセンター(DC)向け半導体の需要増に伴い、メモリ、ロジック、半導体受託製造(ファウンドリー)の投資活発化が寄与したとみられる旨。一方、米中貿易摩擦の先鋭化は装置業界の先行きを曇らせる旨。

中国の本年1-8月の半導体輸入が$219 billionに上ると、次の中国政府発表である。年間$300 billion規模とされているが、今後の世界半導体販売高への影響のほどが危惧されるところである。

◇China imports $219 billion semiconductor microchips in first 8 months-Ministry calculates $219B worth of chips imported to China this year (Global Times (China))
→中国の今年1-8月におけるintegrated circuit(IC)あるいは半導体microchip輸入が、市場需要の急速な回復で着実な増加の旨。Ministry of Commerceのspokesperson、Gao Feng氏が木曜10日のpress briefingにて、今年1月から8月までの中国のintegrated circuits(ICs)輸入全体が1.5 trillion yuan($219 billion)に達し、前年同期比15.3%増、中国の輸入全体を17.6%上回っている旨。

Huaweiのhigh-endスマートフォンシェアの落ち込みを奪い合うSamsung, Appleという業界図の見込みがあらわされている。

◇Samsung, Apple to compete for smartphone share to be relinquished by Huawei (DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung ElectronicsおよびAppleが、特に中国以外の市場でHuaweiが放棄しそうなhigh-endスマートフォンシェアを競い合う情勢、それぞれのsupply chainsに大きなインパクトを与える競争の旨。

前出の建設停止となっている武漢市のHSMCについてである。

◇China's most ambitious semiconductor investment project halted-State-backed HSMC, which eyes to compete with TSMC and Samsung, experiences capital chain rupture (Taiwan News)

米国の制裁インパクトを受け入れざるを得ない韓国のハイテク各社である。

◇Korean tech industry braces for new US sanction on Huawei-New restriction's reach extends to displays, 5G parts (The Korea Herald)
→米国が火曜15日から中国のハイテク大手、Huaweiへの各種半導体供給を遮断する運び、韓国のハイテク各社は第四四半期の販売高低下の可能性を受け入れている旨。

□9月11日(金)

15日に控える米国の追加制裁、米中ハイテク摩擦の渦中での半導体業界がまとめてあらわされている。米国への跳ね返りはどうなのか、今後に注目するところである。

◇激化するハイテク覇権争い、中国半導体に米欧シリコンの壁、装置も禁輸で包囲網 (日経産業)
→米中のハイテク覇権を巡る争いが激烈になってきた旨。15日に米商務省は華為技術(ファーウェイ)への規制を実施し、同社は半導体の調達などが厳しくなる旨。米国は安全保障を脅かす動きを牽制し、ハイテク強国の野望を掲げる中国を封じ込めようとする旨。中国は半導体の国産化で対抗するが、そこに壁となって立ちはだかるのが製造装置。装置企業は米中覇権争いの激しい渦に飲み込まれつつある旨。
「軍とは一切の関わりはない。報道はまったくのショックであり、困惑だ」。中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は5日、異例の声明を発した旨。

中国・YMTCからの悲痛な声が次の通り出てきている。

◇China's top memory chipmaker unable to wean off US (Taipei Times)
→中国のトップフラッシュメモリ半導体メーカーには、米国製半導体製造装置を置き換えるのは容易でなく、米国技術の供給のさらなる締めつけが現地の半導体業界を如何に途方に暮れさせるか強調の旨。Yangtze Memory Technologies Co(長江存儲)は米国および日本から80%を上回る装置を得ている、とsupply chain management担当のvice president、Zheng Jiuli(鄭久利)氏。


コロナ禍のもと、経済再開への当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□9月9日(水)

シリコンバレーでの警戒に満ちた状況が続いている。

◇Coronavirus roundup: Santa Clara and Santa Cruz counties now play a waiting game (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Californiaの再開に向けた新しいCovid-19リスクassessmentシステムのred tierにあるSanta ClaraおよびSanta Cruz countiesについて。

米国株式市場が大幅下落、ハイテク株への期待と売りが繰り返す様相である。

◇NYダウ632ドル安、ハイテク株急落、テスラは21%安 (日経 電子版 05:40)
→8日の米株式相場は大幅続落、ダウ工業株30種平均の終値は先週末比632ドル42セント安の2万7500ドル89セント。8月に急上昇した大手IT株を中心に調整売りが強まった旨。IT株の多いナスダック総合指数は2日に付けた史上最高値からの下落率は10%を超えた旨。

◇ハイテク株、過熱一転、テスラのオプション9割安 (日経 電子版 17:23)
→米国のハイテク株の調整が続いている旨。8日の米国市場ではテスラ株が前週末比21%、アップル株が7%安と先週に続き大幅な下落となった旨。調整が大きい背景には、個人投資家などが「マネーゲーム」の様相を強めていた反動がある旨。テスラ株の個別株オプションと呼ばれる商品では、わずか1週間で9割安となったものもある旨。急激な損失に慌てた売りが株価下落を加速している旨。

□9月10日(木)

◇Coronavirus roundup (update): San Jose opens aid grants for local small businesses | Winchester Mystery House reopens (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→地主への支払いができなくなり始めているBay Areaでの借地人の数が増えているが、当面依然立ち退きからは守られている旨。

◇NYダウ4日ぶり反発、ハイテク株になお過熱感も (日経 電子版 06:40)
→米国株式市場でダウ工業株30種平均が4日ぶりに反発し、終値は前日比439ドル(1.6%)高の2万7940ドルだった旨。前日まで高値警戒感による売りが目立っていたハイテク株を中心に買いが優勢となった旨。もっとも急ピッチで上昇してきたハイテク株の過熱感は依然として強く、株価の戻りに対して慎重な見方も多い旨。

□9月11日(金)

◇NYダウ反落、405ドル安、ハイテク株売り再び強まる (日経 電子版 05:36)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比405ドル89セント(1.5%)安の2万7534ドル58セントで終えた旨。前日は上昇したスマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株への売りが再び強まり、投資家心理を冷やした旨。米上院で追加の経済対策法案が否決され、米景気回復が遅れるとの懸念が強まったことも投資家心理の悪化につながった旨。

□9月12日(土)

◇NYダウ反発131ドル高、ナイキなど景気敏感株が高い (日経 電子版 05:35)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比131ドル06セント(0.5%)高の2万7665ドル64セントで終えた旨。株価指標面で割安感が指摘される景気敏感株が上昇し、指数を押し上げた旨。前日同様、スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなど主力ハイテク株には午後から売り圧力が強まり、指数の重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Arm関連】

データ処理能力を2倍にするIPの発表でArmを取り上げるつもりであったが、本週報発信直前の日曜の朝、次の注目の動きが目についている。株式時価総額がIntelを越えたという最近の動きがあったNvidiaによる買収が成るかどうか、IPの中立性がまたぞろ問われていく。

◇Report: Nvidia close to buying Arm Holdings from SoftBank for more than $40 billion (9月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Wall Street Journal、土曜12日発。Nvidia社(Santa Clara)が、半導体設計powerhouse、Arm Holdingsを買収する$40 billion取引に近づいている旨。

Armが、リアルタイム処理に対応するプロセッサコアIP「Cortex-Rシリーズ」の最新製品、「Cortex-R82」を発表、従来比で最大2倍の性能向上を果たすとともに64ビットに対応している。半導体製造のターゲットプロセスは16nm以降で、半導体メーカーへのライセンス提供時期は2021年初頭を予定とのこと。

◇Arm Targets Computational Storage with 64-bit Processor Running Linux (9月8日付け EE Times)
→次世代enterpriseおよびcomputationalストレージソリューションを目指して、Armが最高性能のCortex-Rプロセッサ, Cortex-R82を発表、64-bitサポートおよびLinux capabilityを盛り込んで、最大1TBのDRAMに対応の旨。該プロセッサでArmは、ストレージ上のreal-time computeを狙っている旨。

◇英アーム、データ処理能力2倍IP提供 (9月10日付け 日経産業)
→半導体大手の英アームは、ハードディスク駆動装置(HDD)やソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の頭脳を担う「プロセッサ」を高性能化できる開発・設計IP(知的財産)の提供を始めると発表、記録媒体内でのデータ処理能力が従来のIPに比べて最大2倍に高まる旨。
アームはIPを顧客企業に提供し、ライセンス収入を得るビジネスモデルを展開している旨。最新のIP「コアテックス―R82」の提供をこのほど開始し、2021年以降に同IPを搭載した半導体が製品化される見通し。


【Samsung関連】

いくつかの動き。まずは、米国・Verizonからの5G基地局の大型受注である。

◇Samsung Electronics wins $6.6 billion Verizon order for network equipment (9月6日付け Reuters)

◇サムスン、5G基地局で7千億円受注、米ベライゾン (9月7日付け 日経 電子版 17:00)
→韓国サムスン電子は7日、米携帯通信最大手のベライゾン・コミュニケーションズに次世代通信規格「5G」用の基地局を供給すると発表、受注額は7兆9000億ウォン(約7000億円)で、サムスンの基地局関連事業の年間売上高の1.6倍に相当する旨。

Qualcommが5G対応Snapdragon 4チップセットの製造委託先にSamsungを選んでいる。

◇Samsung reportedly to make new Qualcomm 5G chip-Report: Samsung will fabricate Qualcomm 5G chipset (9月8日付け JoongAng Daily (South Korea))
→Qualcommが、同社の5G compatibility搭載Snapdragon 4-シリーズチップセットの製造にSamsung Electronicsを選んだ旨。

Samsungの初のArmコア搭載モバイルapplicationプロセッサへの期待である。

◇Samsung's mobile AP biz to grow next year: analysts-Analysts: Samsung's Exynos AP sales to rise in 2021 (9月11日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→業界アナリスト発。Samsung ElectronicsからのExynosモバイルapplicationプロセッサの出荷が、年平均約150 million個から200 million個に増える予測の旨。「custom central processor unit(CPU)開発チームを捨てる決定、次のExynosはArm-designed coresを適用する最初のSamsung製品であり、Qualcommとの性能gapを減らせることになる。」と、KTB Investment & SecuritiesのKim Yang-jae氏。

【絶好調の台湾の半導体メーカー】

TSMCの例年の倍の人材採用である。

◇Taiwan's TSMC embarks on unprecedented recruitment drive-TSMC will add 8,000 employees by the end of 2020 -Chip giant plans to recruit 8,000 employees by end of year (9月9日付け Taiwan News)
→世界最大のcontract半導体メーカー、TSMCが、今年8,000人の従業員を採用する計画、通常の倍の旨。

最先端微細化をリードするファウンドリー世界最大手、TSMCおよび半導体設計大手のMediaTekのともに台湾勢が、8月売上げが史上最高水準となっている。

◇TSMC August revenue surges 16%-TSMC posts Aug. revenue of $4.2B, up 15.8% on year (9月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2020年8月売上げがNT$122.88 billion($4.2 billion)、前月比約16%増、前年同月比15.8%増。1-8月累計がNT$850.14 billion、前年同期比30.7%増。
UMCの8月売上げがNT$14.84 billion、前月比4.2%減、前年同月比12.6%増。1-8月累計がNT$117 billion, 前年同期比22.5%増。

◇TSMC August sales hit highest monthly level (9月10日付け Focus Taiwan)

◇MediaTek posts record August revenue-Aug. revenue totals $1.12B for MediaTek, a company record (9月11日付け DIGITIMES)
→IC design houseのMediaTekの8月売上げが最高記録のNT$32.72 billion($1.12 billion)、前月比22.6%増、前年同月比約42%増、新しい5Gスマートフォンおよびgaming phonesに向けた受注取り込みが引っ張っている旨。

【イベント関連】

ミュンヘンで恒例のElectronica 2020であるが、これもvirtual開催となっている。

◇Electronica 2020 Goes Virtual-After hopes of a compact in-person event, electronica 2020 organizers have finally had to concede to making it a completely digital event.. (9月8日付け EE Times India)
→Messe Munchenが、この11月のelectronica 2020を完全ディジタルイベントとしての開催を決定の旨。

AMDの10月のCPU&GPU発表、そして5G対応iPhoneの発表となるか、米国のHuawei追加制裁とたまたま同じく9月15日のAppleの特別イベントである。

◇AMD's next-generation Zen 3 CPUs and Radeon RX 6000 ‘Big Navi’ GPU will be revealed next month-AMD to roll out Zen 3 CPUs, Radeon RX 6000 GPU in Oct.-October 8th for CPUs and October 28th for GPUs (9月9日付け The Verge)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、次世代Zen 3 CPUsおよびRadeon RX 6000 "Big Navi" graphics processing unit(GPU)の投入に向けて、来月2つのイベントを予定の旨。該新GPUは、NvidiaのRTX 3080グラフィックスカードと競合になる様相の旨。

◇Apple、15日に特別イベント、5G対応iPhone発表か (9月9日付け 日経 電子版 07:30)
→米アップルは8日、15日に特別イベントをオンラインで開くと発表、詳細は明らかにしていないが、高速通信規格「5G」に初めて対応するスマートフォン「iPhone」などを発表するとみられる旨。

【連携の動き】

5G network functions virtualisation(NFV)プラットフォームの研究開発に向けたIntel、Samsungはじめ各社協力である。

◇SK Telecom, Samsung, Intel and HPE combine on 5G NFV-Industry team forms for 5G NFV R&D (9月10日付け Electronics Weekly (UK))
→SK Telecom, Intel, Hewlett Packard Enterprise(HPE)およびSamsung Electronicsが、徐々に発展の5G network functions virtualisation(NFV)プラットフォームの商用化への協力に向けたMOUに調印の旨。該活動は、モバイルoperatorsのaugmented reality(AR), virtual reality(VR)などの応用に向けた5G-ベースNFV技術の使用を可能にする旨。

韓国の政府-産業界の向こう9年に及ぶ次世代半導体の研究開発に向けた連携である。

◇Ministries forge team for next-gen semiconductors-Korean government forms team for next-gen microchips (9月10日付け The Korea Herald (Seoul))
→韓国の政府-産業界チームが、次世代半導体技術のresearch and development(R&D)に向けて結成され、向こう9年にわたって2つのministriesが$842.4 millionを出資の旨。該活動は2029年まで続き、100を上回る会社、32の大学および十数のリサーチ機関が関係する旨。


≪グローバル雑学王−636≫

大学教員としての著者の立場から見た日本の研究環境に対する思い、特に若手研究者の直面する課題について、

『次世代半導体素材GaNの挑戦−22世紀の世界を先導する日本の科学技術』
 (天野 浩 著:講談社+α新書 825-1 C) …2020年4月13日 第1刷発行

より、今回現状の実態の理解を改めて深められるとともに、章のタイトルにある「日本の研究力はまだ強い」という背景にある我が国の当面する課題に共感を覚えさせられている。1年単位で高い研究成果を求められる若手研究者の現状は早急に改善されるべき、そして、論文数の減少の指摘に対して大学発の論文は減っておらず、社会的課題の解決に向けた取り組みの移行が見られる、というあるべき姿、そして近年の傾向の分析があらわされている。
大学が種を蒔いて企業に提供して、ビジネスとして花開いた青色LEDの成功事例を今後とも着実に増やしていけるよう、現状の課題の打開に向けた産官学の結集力を醸成することと、ここでも改めての認識である。


第三章 日本の研究力はまだ強い

■競争的資金の課題とは
・日本の国立大学は、国から定常的に配られる資金(運営費交付金)を基礎として、その他に各種の競争的資金によって運営
 →減少している運営費交付金
  →将来の科学技術を担う人材に対する安定的な投資が減っている
 →競争的資金は、応募時の提案書やプレゼンで重要性を理解してもらい、予算を付けてもらうシステム
  →研究成果が短期的で分かりやすい分野に偏る傾向があると感じる
・私は、赤崎先生のもと、自由に研究をやらせてもらった経験が自身の糧になり、現在に至ったと強く思っている
 →若手研究者が長期的・計画的に自立して研究を行うことができる資金配分のあり方を、政策レベルで検討してもらう必要性を感じている

■産官学で若手研究者のポスト確保
・日本の大学では、任期付きの若手教員の数が一気に増えている
 →数年先の予算が勝ち取れるかどうか不明瞭な状況、長期間にわたって教員を雇う見通しは立たない
・海外からの研究者の多くは、母国に戻った際の受け皿、すなわちポストが十分にある
 →欧米諸国やアジアの新興国と比べて日本は、研究者の待遇が劣っていると痛感
 →最低限、任期中は研究に専念し、次のポストを見つけるまでは、一定のサポートが受けられるような仕組みを、日本全体で作っていく必要
 →1年単位の任期で高い研究成果を求められる若手研究者の現状は、すぐに改善されなければならない

■大学発の論文は減っていない
・近年、日本の大学や企業の研究レベル低下を指摘する声も
 →大学で書かれた論文数はそれほど変わっておらず、企業からの論文が減っているだけ
・企業は研究を怠っているかといえば、そんなことはない
 →論文発表という手段の位置づけが、企業のなかで変わってきているという話
 →昨今は企業が技術をブラックボックス化し、戦略的に論文発表を控える傾向に…何人かの民間企業の方たちの話

■社会課題を反映した論文数の変化
・2005年から2007年までの3年間、日本の総論文数は、企業・大学・公的機関を合わせて、年平均6万7026本
 →10年後の2015年から2017年の3年間は、年平均6万3725本に減少
・この10年で、他の国の論文投稿数が増えている
 →我が国のシェアも7.2%から4.3%に減少
・日本を取り巻く社会的課題の解決に向けて、研究リソースをシフトしているとも解釈できる
 →日本の研究レベルが下がっているとは、必ずしも言い切れない

■研究者の総数は増えている
・ここ10年ほどの日本の研究者数の推移
 →大学の研究者と公的機関の研究者は減っているが、企業部門では増加している
・研究者数(FTE)の推移
 →FTE=Full-Time Equivalents...研究業務をフルタイム勤務に換算して計測する方法
 →研究者全体では、2005年から2007年までの年平均65万1391人から、2015年から2017年までの年平均66万1591人に、つまり約1万人も増加
・自然科学系大学院生の7人に1人は留学生という状況
 →国際化という観点で良い方向に向かっていると思う
 →日本人だろうと留学生だろうと、日本の大学で実力をつけ、国際社会の課題解決に取り組んでもらうことを期待

■大学が種を蒔いた青色LED
・科学技術の高度化、1つの企業が研究開発のすべてを企業内で担うには限界
 →企業間の連携や、大学などの外部機関との連携による開発の効率化やスピードアップが必要に
・青色LEDの場合、大学が種を蒔いて技術を育て、それを企業に提供することによって、ビジネスとして結実
 →広く普及するまでに30年という時間
 →技術の進歩が速い現在では、もっと効率的に、スピード感を持って研究を進める必要
 →例えば技術を育てる初期的な段階から、企業と大学が実用化を強く意識した協力体制をとること
 →実用化するという目的を強く持つことが重要
・私たち大学の教員、とりわけ工学系の教員も、新しい産業や技術を発展させることによって社会を作る一員、いま、その前線にいる
 →心強いことに、周りにいる30代の若い教員の多くは、産業界に積極的に寄与したいと考えているよう
■日本人学生の基礎学力は高く優秀
・科学者を志す若者たちは、常に論理的に考えられるようになる必要
 →「なぜ?」「どうして?」と考えるトレーニングをすることが大切
 →惰性に流されないようにすることも大切
・日本人の学生たちと接していて実際に感じること
 →基礎学力のレベルは高いのに、それぞれが持つ本来の実力を発揮しようとしない人が多いと感じる
 →一方、海外から来た留学生は、高度な知識を身に付け、将来のキャリアにつなげるという確固とした目的
・日本の学生のあいだでは、修士課程修了者のドクターコース、すなわち博士後期課程への進学が年々少なくなっている
 →留学生と切磋琢磨し、世界の科学技術分野を担う人材として成長してほしい
・本章では、大学教員から見た日本の研究環境に対する思い、特に若手研究者の直面する課題を提起
 →日本の研究の潜在力については決して悲観するものではない

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