本当に"変"なる2008年から感じる警告/グローバル雑学王−25
テレビで見る歳末の街の声、「好調に進んでいたのに、土壇場で180度逆転」、「まさかここまで落ち込もうとは」、・・・。数年ぶりの低下、低水準という表現はもう慣れてしまった昨今であるが、「米国の小売業者が歳末商戦で苦戦。雇用や経済の先行きへの不安で消費者の財布のひもは固く、大手カード会社の調査では売上高は前年比5.5〜8%減と、ここ数十年で最悪の水準。」(12月27日付け asahi.com)というこのクリスマス商戦の速報には、改めて今年、2008年の激変ぶりを感じさせられる。
≪本当に"変"なる2008年から感じる警告≫
9月後半の金融危機以降、"変動"、"激変"、"余波"という表現が決まり文句になってしまった本欄の見出しである。その一月前あたりからの主タイトルを振り返ってみると、次のようになる。米SIAの世界半導体販売高の推移を注記している(⇒以下)。
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8月11日: 上半期の世界半導体販売高
⇒ 2008年上半期のグローバル半導体販売高が$127.5 billionで、2007年上半期に対して5.4%増。
輝きを増すLED
8月18日: SSDsの進展
8月25日: 40周年のインテル
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9月 1日: “Photovoltaic”って?
9月 8日: 7月半導体販売高
⇒ 今年始めから7月までの累積販売高は$148.3 billionとなり、2007年同期間の$141.3 billionから5%の増加。
9月16日: Bell研の一時代
9月22日: 金融再編の「嵐」
9月29日: 米国金融危機の波紋
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10月 6日: 金融危機の渦中での米SIAからの8月半導体販売高
⇒ 今年年初から8月までの販売高は$170.2 billionであり、2007年の同期間の$162.9 billionからは4.5%増大している。
10月14日: 金融危機の渦中、双十節を迎える台湾へ
10月20日: 半導体業界への余波は?
10月27日: 引き続く余波
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11月 4日: 余波の渦中の警告&見通し
⇒ 2008年の1-9月の販売高は$196.4 billionで、2007年の同じ期間の販売高$189 billionに比べると、4%増。
9月の米国は前年同月比大きくマイナスに振れる(-15.7%)とともに、欧州もマイナス(-1.5%)。
11月10日: 韓国滞在中に見る世界の激動
11月17日: 相次ぐ下方修正
11月25日: 急転の半導体予測
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12月 1日: 続く鈍化傾向
12月 8日: a far cry, overly
⇒ 2008年1-10月の累計販売高は$216 billionで、昨年の同じ期間の$210 billionから2.6%の増加。
9月は前年比1.6%増と辛うじてプラスであったが、10月は同2.4%減とマイナスに転じている。
12月15日: 深刻な余波と対策の動き
12月22日: 改めて知る激動
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9月22日以降の際立つ変化、変貌ぶりを自分ながらに感じている。それまでは世界半導体販売高も予想の域内にあって、LED、SSDs、Photovoltaic(PV)というその後激変がなければ2008年話題の業界キーワードとしてもっとクローズアップされたはずの項目を取り上げている。
金融危機に先立つ激変と言えば、原油価格の動きがある。年初1月7日付けの小生の手元コメントメモに以下の内容がある。
「・・非常に気になるのは、東京株式市場の早々の大波乱、4日の「大発会」で一時765円と過去最大の下げ幅を記録したとのこと。昨日出席したある新年会でも、これが話題になり、一昔前は1 barrel(昔、石油を入れた樽:158.98リットル)=10ドルであったのが、ここ1年で急勾配の上昇、この年末年始を静かに過ごしている間に、ついに100ドルの大台を突破したというお話です。ドラム缶一缶の勘定ですが、複雑な思いに駆られるところがあります。」
あるインターネット・ホームページから1 barrel当たりの輸入原油価格の推移を取り出すと、次のようになった。
1990年度 23.35 US$/barrel
1995年度 18.27
2000年度 28.37
2005年度 55.80
2006年度 63.46
2007年度 78.69
直近の激変ぶりは、次のニューヨーク市場の原油価格推移から知らされる。
2007年 1月 3日 58.32 US$/barrel
2008年 7月11日 147.50
2008年11月20日 49.91
投機的な動きに翻弄された感のあるこちらの方は元の鞘に収まった様相がある。
この原油価格の動向も、昨年半ば時点での読みでは以下の表現が見られる。
「・・今後の見通しとしては、世界経済は減速するものの、今後もインドや中国をはじめとする世界的な原油需要は堅調な伸びが続くと考えられる。
一方で、供給不安のリスクも考えられ、原油価格は今後も高止まり傾向が予想される。・・」
誰しもここまで急速に落ち込むとは思わなかった一端がここにも、という感じ方である。
さて、この本当に"変"なる2008年から、強烈な警告のメッセージを受け止めている。新興国そして個人消費者需要が支えるグローバルな経済拡大というものは、果てしなく続くことはなく、段階的に体質、足腰を強化していかなければ耐えられないということである。爆発的な拡大もここらあたりで一休みしたらというアドバイスにも聞こえるし、昨今のグリーン対応、高信頼性の本当によいもの、といったグローバルに通用する尺度に十分耐えられるものに絞っていくべきという現下の時勢が織り成して作り出す道筋というものを感じている。
≪グローバル雑学王−25≫
言語について、中東の後半、そしてアフリカ編であるが、耳新しいことばかりであり、以下の通り一遍の抜き出しにできるだけ誤りなきことを祈っている。
『言語世界地図』(著者 町田 健氏:新潮新書 266)
による学びの旅も、アメリカ大陸を残すのみとなる。
○中東、アフリカ 〜後半〜
◇グルジア語 −紛争絶えぬカフカス、言語の周辺−
・ロシア語のGruziyaを英語風に置き換え、英語ではGeorgiaと綴る。グルジア本国では自国を「サカルトベロ」(sakartvelo)と呼ぶ。
・大相撲の力士、黒海の活躍。
・グルジアが属するカフカス地方
→全体でも日本の1.2倍程度の面積
→40もの「カフカス諸語」と呼ばれる言語が話される
・グルジア語 …話者数が400万近くと最多、唯一独自の「グルジア文字」を有し、最古の文献も5世紀に遡る有力な言語
・カフカス諸語の特徴
→母音の数は比較的少ないが、子音が豊富
…グルジア語は、子音は28個、母音は日本語と同じ5個
・膠着語がより進んだ段階の「抱合(ほうごう)語」と呼ばれるタイプに近い。
・グルジア語、アブハズ語、チェチェン語は、同じカフカス諸語に属するものの、互いには全く通じない。
◇クルド語 −国家なき「大言語」がたどった悲劇−
・クルド人の居住地域:「クルディスタン」
…トルコ、シリア、イラク、イランなどにまたがり、2500万程度の推計人口
・クルド人の話す言葉が「クルド語」
・統一国家をもたないことから、クルド語には標準語というものが存在しない。
3つの方言: 北部方言(クルマンジー) −トルコ、イラク北部
中部方言(ソーラーニー) −イラクからイランにかけて
南部方言 −イラン西部
・北部方言と中部方言には書き言葉。
・第一次大戦後は列強によって無理矢理異なった国家の領域に分断されたという不幸な歴史
◇ヘブライ語 −文字言語から復活した言葉の三千年−
・ヘブライ文字を使う言語:
ヘブライ語 …ユダヤ人固有の言語
イディッシュ語 …中世の東ヨーロッパに住んでいたユダヤ人たちが、ドイツ語をもとにしてヘブライ語、スラブ語などと混交させて作り上げた言語
・ヘブライ語は、『旧約聖書』を記した言語。三千年以上の歴史をもつ由緒ある言語。
・19世紀になってユダヤ人のパレスチナへの入植が開始
→話し言葉としてヘブライ語が復活
・ベン・イェフーダという学者が、古いヘブライ語を改革、実用に耐えうるようにした。
◇スワヒリ語 −東アフリカの「共通語」の有用性−
・アフリカ南部の諸言語の多くは、「ニジェール・コンゴ語族」という分類に。この中で最も話者数が多い有力な言語が、スワヒリ語。話者数は約7000万人。
・日本語とよく似ている発音。ただし、「ン」に似た音で始まることが可。
ndugu 兄弟
mbwa イヌ
・マラソン選手のヌデレバ(これも「ン」で始まる)
◇南アフリカの公用語 −十一もの公用語が併存、やむなき非効率−
・マンデラ氏自身がFIFA(国際サッカー連盟)理事会で強調
→2010年のサッカー・ワールドカップ大会が南アフリカで開催に
・南アフリカの住民: 黒人 79%
白人 10%
黒人と白人の混血(カラード) 9%
インド人を主とするアジア系 残り
・11もの公用語: 英語
アフリカーンス語 ⇒人種隔離政策の象徴
−以上、ヨーロッパ系
ンデレベ語
北ソト語(ペディ語)
南ソト語
スワティ語
ツォンガ語
ツワナ語
ベンダ語
コサ語
ズールー語
−以上、アフリカ系
→インド(ヒンディー語、英語と17の地方公用語)に次ぐ多さ
・アフリカ系の9言語は、すべてバンツー系の言語。
→この諸語では「ン」で始まる単語も使われる。
名詞がいくつもの「クラス(類)」に分類。
・アパルトヘイト政策解消後、南アフリカの言語状況がどのような道を辿るのか、興味深い問題。