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依然世界各地警戒:月次販売高、1-4月連続$34B以上踏み止まり

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜5日、世界全体で650万人を超え、南米のブラジルで60万人を突破、アジアで最も感染者が多いインドでは22万人を上回る状況、収まり加減と見られた我が国でも"東京アラート"が出されて、世界各地それぞれの警戒が続いている。世界半導体業界恒例の月次販売高が米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より発表され、この4月について$34.4 billion、前月比1.2%減、前年同月比6.1%増となっている。昨年、2019年は前半の落ち込みを後半盛り返して今年を迎え、この2月以降中国発で全世界に波及しているコロナ・インパクトという経過の中、この1月から4月まで$34 billion以上に踏み止まる見え方である。

≪4月の世界半導体販売高 & 世界の概況≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇4月のグローバル半導体販売高が、前月比1.2%減−4月販売高は前年比6.1%増;COVID-19 pandemicからの混乱はこれまでのところグローバル販売高全体に実質上インパクトを与えていない …6月1日付け SIA/Latest News
Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年4月の世界半導体販売高が$34.4 billionで、前月、2020年3月の総計$34.9 billionを1.2%下回るが、前年同月、2019年4月の総計$32.4 billionを6.1%上回る、と発表した。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
SIAは、売上げで米国半導体業界の95%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「4月のグローバル半導体販売高は、前月比で僅かに減少し、季節的な流れに沿うものであるが、2019年4月の販売高をはっきりと上回っている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「4月までのグローバル半導体市場は、COVID-19 pandemicから生じる経済的混乱に対する弾力性の初期の兆しを示しているが、向こう数ヶ月においては不安定性が残っていく。」

地域別には、前月比で、China(2.1%)で増加したが、Japan(-0.9%), Americas(-1.1%), Asia Pacific/All Other(-3.1%), およびEurope(-7.6%)では減少した。前年同月比では、Americas(24.5%), China(4.4%), およびAsia Pacific/All Other(3.3%)で増加したが、Japan(-0.1%)およびEurope(-7.1%)で減少した。

Americas
前年同月比  24.5%/
前月比 -1.1%
Europe
-7.1%/
-7.6%
Japan
-0.1%/
-0.9%
China
4.4%/
2.1%
Asia Pacific/All Other
3.3%/
-3.1%

                       【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2019
Mar 2020
Apr 2020
前年同月比
前月比
========
Americas
5.86
7.37
7.29
24.5
-1.1
Europe
3.37
3.39
3.13
-7.1
-7.6
Japan
2.86
2.88
2.86
-0.1
-0.9
China
11.28
11.52
11.77
4.4
2.1
Asia Pacific/All Other
9.08
9.68
9.38
3.3
-3.1
$32.44 B
$34.85 B
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %

--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
7.37
7.29
-1.0
Europe
3.24
3.13
-3.5
Japan
2.99
2.86
-4.5
China
12.22
11.77
-3.7
Asia Pacific/All Other
9.52
9.38
-1.4
$35.34 B
$34.43 B
-2.6 %

--------------------------------------

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/05/April-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応、取り上げである。

◇Global Semiconductor Sales Decrease 1.2 Percent Month-to-Month in April (6月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semicon sales rose 6.1% y-o-y in April to US$34.4b, says SIA (6月2日付け The Edge Markets)

◇Global semiconductor sales slip in April (6月2日付け DIGITIMES)

◇April IC sales up 6.2% y-o-y-SIA reports April chip sales of $34.4B, rising 6.2% on year -April semiconductor sales were down 1.2% on March at $34.4 billion but 6.2% up on the $32.4 billion of April 2019, says the SIA. (6月3日付け Electronics Weekly (UK))

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りそこからの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年後半の折角の戻し加減がコロナウイルス・インパクトにより大きく水を差されて、今後の下振れが避けられない情勢はあるが、今年の1月から4月まで$34 B以上をキープして踏み止まっている状況がうかがえている。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %


今回の販売高発表とほぼ並行する米国・SIAの動きとして、まず、米国における半導体製造&リサーチを支える出資の政府への働きかけである。

◇Semiconductor Industry to Lobby for Billions to Boost U.S. Manufacturing -SIA seeks $37B in federal aid for US chip manufacturing -A goal is to keep America ahead of China and other countries that heavily subsidize chip industries (5月31日付け The Wall Street Journal)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、米国における半導体製造&リサーチを支える$37 billionの連邦出資を働きかけている旨。内訳として、$17 billionがresearch and development(R&D)に、$15 billionが州に現地投資に向けたincentivesとして、そして$5 billionがウェーハfab拠点を建設&稼働させるIntelに向けられる旨。

◇US putting $37bn into semiconductors-The SIA has asked Washington for $37 billion for R&D, to build a fab and to provide funds for states wanting to give incentives to get semiconductor investment, according to the Wall Street Journal. (6月1日付け Electronics Weekly (UK))

これに対するAMDの支持コメントである。

◇AMD's Lisa Su cites 'shifts in thinking' about US semiconductor manufacturing-AMD CEO emphasizes security for US chip supply chains-While the US semiconductor industry has long sought greater federal support, the AMD CEO said there's new awareness now of the significance of the industry and creating secure supply chains. (6月2日付け ZDNet)
→Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su氏が、Semiconductor Industry Association(SIA)のアメリカ半導体技術のさらなる連邦出資推進を支持する一方、「それには安全確実なsupply chainsの必要性が伴う。」と加えている旨。

コロナ・インパクトに対抗するSIAの取り組みである。

◇SIA, Salesforce Team Up for Discussion on Navigating Business Uncertainty in the Age of COVID-19 (6月3日付け SIA Blog)
→世界がCOVID-19グローバル健康危機を航行、半導体業界および多くの他の分野の各社が、数ヶ月以上は残っていそうな挑戦的なsupply chainの景観および大きな市場の不安定性に取り組んでいる旨。SIAはSalesforceと連携、このような課題およびそれらを如何に克服するかを討議するために、5月27日にwebinarを開催した旨。

コロナ禍に依然覆われる世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□6月1日(月)

米国経済の回復に10年かかると、米議会の見方である。

◇U.S. Economy Faces Long Recovery From Coronavirus Effects, Experts Say-CBO: US coronavirus recovery could take 10 years -Surveys of purchasing managers in U.S., Asia and Europe offer some hope that decline in factory activity is starting to bottom out (The Wall Street Journal)
→Congressional Budget Office(米議会予算局)発。米国経済がcoronavirus pandemicから回復するのに10年ほどかかる旨。CBOは、2020年から2030年の経済output予測を$7.9 trillion、GDPの3%削減の旨。

◇The coronavirus will cost the economy nearly $8 trillion, Congressional Budget Office says (CNBC)

Minneapolisでの警官による黒人男性の暴行死への抗議デモが全米に吹き荒れているが、AppleおよびIntelから社会正義への活動に向けた寄付が行われている。

◇What is Big Tech saying - and doing - about police brutality and protests (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米ミネアポリス市警の元警官による黒人男性の暴行死を巡って全米でデモが続き、ハイテク大手が抗議の人々および人種差別撤廃を支持してステートメントを出しお金の援助をしている旨。Apple社のCEO、Tim Cook氏は最近、米国で継続する差別および不平等を訴えたメモを同社従業員に出し、Equal Justice Initiativeなどの団体への資金寄付を誓った旨。

◇What Intel's CEO told employees as he announced a $1M donation to social justice groups (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

□6月2日(火)

米国株式市場は、経済再開&景気回復期待から今週は上げ基調であるが、コロナ対応の渦中で実態との乖離についての問題意識が付きまとっている。

◇NYダウ反発、91ドル高、景気回復期待で金融株に買い (日経 電子版 05:30)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発、前週末比91ドル91セント(0.4%)高の2万5475ドル02セントで終えた旨。米経済活動の正常化への期待から、金融株など景気敏感株が買われた旨。ただ、白人警官による黒人暴行死への抗議デモが全米で広がっており、経済再開に水を差すとの見方は相場の重荷となった旨。

□6月3日(水)

◇AMD CEO Lisa Su: ‘The racial divide has to be addressed’-AMD CEO: US needs to address the racial divide (VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su氏。ここ1週間の出来事はアメリカにおける人種間の断絶をあらわにし、社会的公正を達成するために立ち向かわなければならない問題の旨。我々国民としてのカギは、如何に変化をもたらすかにある旨。

◇NYダウ続伸、267ドル高で3カ月ぶり高値、景気改善期待で (日経 電子版 05:41)
→2日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比267ドル63セント(1.1%)高の2万5742ドル65セントと3月6日以来ほぼ3カ月ぶりの高値で終えた旨。米経済活動の再開で景気回復を織り込む買いが優勢となり、資本財や素材を中心に幅広い銘柄が買われた旨。全米で続く人種差別への抗議デモへの相場の反応はみられなかった旨。

□6月4日(木)

◇Coronavirus roundup: Poll says many Californians are pessimistic about the pandemic and the economy (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Public Policy Institute of Californiaが5月17-26日の間にCaliforniaにおける1,706人の成人に電話で調査した結果。約半数がCovid-19 pandemicについて最悪の事態はまだこれからと考えており、約4分の3がcoronavirus規制の今通りの継続、あるいはより厳しく望んでいる旨。

◇NYダウ続伸527ドル高、3カ月ぶり2万6000ドル回復 (日経 電子版 05:35)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、前日比527ドル24セント(2.1%)高の2万6269ドル89セントで終えた旨。2万6000ドル台回復は3カ月ぶり。市場予想を上回る米経済指標の発表が相次ぎ、米景気が回復に向かっているとの見方が広がった旨。金融や資本財など景気敏感とされる銘柄を中心に幅広く買われた旨。

◇コロナ下の米株価上昇「経済反映せず」63% (日経 電子版 19:00)
→英フィナンシャル・タイムズ(FT)と米ピーター・G・ピーターソン財団は5月20〜26日、11月の米大統領選に関する世論調査を実施した旨。新型コロナウイルスの影響下で続く株価上昇は「(今後の)米経済回復を示していない」との回答が63%に上った旨。市場は経済活動の再開期待で持ち直すが、有権者の慎重な姿勢との乖離が浮き彫りになった旨。

□6月5日(金)

◇NYダウ小幅続伸、11ドル高、経済活動再開の広がりを好感 (日経 電子版 06:01)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4日続伸、前日比11ドル93セント(0.0%)高の2万6281ドル82セントと3月上旬以来、3カ月ぶりの高値で終えた旨。利益確定売りが先行したが、経済活動再開の広がりを好感した景気敏感株への買いが相場を支え、引け間際に上げに転じた旨。

◇Coronavirus roundup: San Mateo County opens outdoor dining and indoor funerals (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Mateo Countyの住民には、まもなく自由に外で食事、屋内の小さな葬儀に出席できる旨。

米国の失業率が発表され、5月は13.3%と4月の戦後最悪14.7%からは予想外の改善としているが、あくまで20%もとしていたエコノミスト予想に対してのことである。

◇Unemployment in U.S. unexpectedly falls in May (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国・労働省、金曜5日発。米国の5月の失業率が13.3%に低下、4月に政府が第二次世界大戦後公式統計を始めて以降最高の14.7%となって、エコノミストが20%に高まると予想していたが、意外な改善の旨。

◇May sees biggest jobs increase ever of 2.5 million as economy starts to recover from coronavirus-Employers added 2.5M jobs in May (CNBC)
→米国の労働市場が5月に癒える兆し、失業率が4月の14.7%から13.3%に低下、経済再開で2.5 million jobsが加えられた旨。

□6月6日(土)

◇米失業率、5月は13%に一転改善、就業者も250万人増 (日経 電子版 07:44)
→米労働省が5日発表した5月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が13.3%となり、戦後最悪だった4月(14.7%)から一転して改善した旨。市場は20%程度の失業率を見込んでいたが、経済活動の一部再開で人材の職場復帰が進んだとみられる旨。景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数も、前月比250万人増加した旨。

◇NYダウ、雇用回復で829ドル高、ナスダックは最高値接近 (日経 電子版 06:49)
→5日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸、終値は前日比829ドル高の2万7110ドル(速報値)と大幅続伸し、約2カ月半ぶりの高値を付けた旨。ナスダック総合指数は2月に付けた史上最高値が目前に迫った旨。5日朝発表の米雇用統計が市場予想に反して好調だったうえ、経済対策への期待も根強く、株高が勢いづいている旨。


≪市場実態PickUp≫

【半導体市場関連の動き】

コロナ禍での検温素子&機器の需要増大である。

◇Covid-19 Raises Demand for Thermal Imagers and Detectors (6月1日付け EE Times)
→Yole Developpement(Lyon, France)発。温度imagingおよびsensing技術などがCovid-19 virus対策ラインに確実に入っており、温度技術市場を焚きつけている旨。2019年から2020年の間に、温度imagerおよび温度detector市場はそれぞれ76%および20%高まる見通しの旨。

◇Post COVID-19 Era: How Thermal Imaging Paves The Way to a Safer World (6月3日付け EE Times India)
→COVID-19大流行は、温度detector & imager市場および異なる水準での産業の景観に大きなインパクトを与える旨。

◇Europe Taps Supercomputers to Fight Pandemic (6月1日付け EE Times India)
→欧州におけるトップ・スーパーコンピュータのいくつかが、Covid-19 high-performance computing(HPC) Consortiumに結集、Covid-19の攻略支援を誓っている旨。Partnership for Advanced Computing in Europe(PRACE)のメンバーは、自分たちのスーパーコンピュータをHPC ConsortiumのCovid-19関連プロジェクトに向けて利用できるようにする旨。これには、世界で6番目に強力なスーパーコンピュータ、25 Petaflopsが可能なSwiss National Supercomputing CentreのPiz Daintなどがある旨。

第一四半期の世界半導体製造装置であるが、billingsが前年同期比13%増、国・地域別では台湾が首位である。

◇First-Quarter 2020 Global Semiconductor Equipment Billings Up 13 Percent Year-Over-Year (6月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのWorldwide Semiconductor Equipment Market Statistics(WWSEMS) Report。世界半導体製造装置の2020年第一四半期のbillingsが、前四半期比13%減の$15.57 billion、しかしながら、前年同期比では13%増。

◇Taiwan chipmakers outspend rivals to buy new equipment-SEMI: Taiwan leads world in Q1 spending on fab gear (6月5日付け The Taipei Times (Taiwan))
→SEMI、水曜3日発。第一四半期のグローバル半導体装置billingsが、前年同期比13%増の$15.57 billion。うち台湾の半導体メーカーが$4.02 billion、前年同期の$3.81 billionから6%増。

◇COVID-19: What It Means for Electronics Market (6月2日付け EE Times India)
→Covid-19 pandemicは世界中の市場に劇的なインパクトを与え、electronics分野は例外ではない旨。初めて“virtual mode”開催となった5月19日のAssodel(Electronic Districts Association - Italy) meetingでのプレゼンから、第一四半期のelectronics distributionは360.5 million eurosの総売上高、前四半期比25.6%増、前年同期比3.5%減。

リモート会議&会合の浸透を反映、米国・Zoomの業績急拡大である。

◇Zoom reveals massive customer boom after Covid-19 (6月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇Zoom売上高2.7倍、2〜4月、ビデオ会議利用増 (6月3日付け 日経 電子版 10:02)
→ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは2日、2020年2〜4月期の売上高が前年同期比2.7倍の$328.16 million(約360億円)だったと発表、新型コロナウイルス対策で外出制限が広がり、3月以降にユーザー数が急増した旨。純利益は137倍の$27.03 million。

在宅勤務からUSB半導体も活況を呈している。

◇Rising stay-at-home economy results in USB chip shortages-Sources: USB chips are in shortage with stay-at-home economy (6月3日付け DIGITIMES)
→stay-at-home経済上昇により、earphones, microphonesおよびPCカメラなど周辺で用いられるUSB半導体に向けて台湾の半導体サプライヤへのclientsからの発注が増大、該半導体への現下の供給逼迫を生じている旨。業界筋によると、台湾のウェーハファウンドリー、United Microelectronics Corporation(UMC)およびVanguard International Semiconductor(VIS)が、USB半導体製造に向けた受注を熱心にとっている旨。

DRAM価格も、在宅勤務からくる需要が下支えしている。

◇DRAM、5月も横ばい、スマホ・デジカメ向け不振 (6月3日付け 日経)
→DRAMの値上がりが一服している旨。5月の大口需要家向け価格は4月に比べておおむね据え置きとなった旨。在宅勤務などの広がりでデータセンター向け需要が増え価格を下支えした旨。ただ外出規制でスマートフォンやカメラなどの最終需要が落ち込んでいる旨。

◇COVID-19 Decimates Automotive Power Semiconductor Revenue in 2020 (6月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→OmdiaのPower Semiconductors in Automotive Report - 2020。COVID-19 pandemicが、車載用power半導体の売れ行きをひどく荒らしており、2020年の世界売上げが、2019年の$10.8 billionから16%減、$9.1 billionに低下する旨。

◇The World's Combined Compute Power Takes on COVID-19 (6月4日付け EE Times India)
→Covid-19に対する戦いで、どんなtoolsを運用できるのか?まとめれば、世界にはこの複雑な問題を積極的に素早く攻撃するに十分な本当のcompute powerがある旨。米国では、White HouseがCovid-19 High Performance Computing Consortiumを打ち上げ、そのメンバーが該pandemicに関連する問題に取り組んでいる研究者にcompute time提供を申し出ている旨。

第二四半期の半導体メーカー各社の販売高見通しを、揃った範囲21社のデータからIC Insightsがまとめている。平均すると前四半期比5%減となっている。

◇Q2 Outlook-IC Insights: Most chip vendors see lower sales in Q2 (6月5日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。半導体各社の第二四半期販売高見通し。いつもより少ない提示の備えがある21社について平均前四半期比-5%。

◇Sampling of 2Q Semiconductor Sales Guidance Now At -5% (6月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

【TSMC関連】

米中摩擦に挟まれながら米国新工場を決めたTSMCであるが、摩擦の影響を和らげるよう、lobbyistを採用している。

◇TSMC's lobbyist hire to help calm China tensions (5月30日付け Taipei Times)
→Apple社およびHuawei Technologies Co(華為)向け主要半導体メーカーであるTSMCが、同社ビジネスに対する米中関係激化の影響を食い止める狙いでWashingtonで新しいlobbyistを採用の旨。前米国商工会議所executive、Nicholas Montella氏が政府関係directorとして5月TSMCに入社、Intel社の前トップlobbyist、Peter Cleveland氏がTSMCのvice president for global policyに就いてからほんの数ヶ月の旨。

台湾の中でのTSMCの新しい工場、およびR&Dセンターの建設の取り組みである。

◇TSMC's IC packaging, testing plant to become operational in mid-2021-TSMC to bring up IC packaging/testing plant next year (5月30日付け Focus Taiwan)
→台湾・Miaoli Countyの行政長官、Hsu Yao-chang(徐耀昌)氏。TSMCがMiaoli Countyで計画している新しいhigh-end integrated circuit(IC)実装&テスト工場は、2021年半ばに稼働開始予定の旨。

◇TSMC to build cutting-edge R&D center in Taiwan's Hsinchu-TSMC will build Taiwan's "Bell Labs" for advanced R&D -New facility dedicated to pursuit of advanced chipmaking technologies (6月4日付け Taiwan News)
→TSMCが、新しいresearch and development(R&D)センターを建設する許可を取得、電話などいろいろな歴史的革新が生まれたBell Labsの台湾版と謳われる旨。ここ20年でHsinchu Science Parkで行われる最大となる該プロジェクトは、世界最大の半導体製造ファウンドリーの半導体生産の腕前を進める狙いの旨。high-end半導体に向けた3および2 nanometer製造プロセス技術の開発に重点が置かれる旨。

【Samsung関連】

Samsung Electronicsが、最先端の韓国・Pyeongtaek(平澤市)拠点でNANDフラッシュメモリデバイスの生産capacityを拡大している。

◇Samsung Announces New NAND Flash Facility to Address Future Data Center and Mobile Demands (6月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung Electronics Co., Ltd.が、Pyeongtaek(平澤市), KoreaにおけるNANDフラッシュ生産capacityを拡大する計画を発表、新規途上技術需要に適合する能力を高めていく旨。この5月に始まった建設により、Samsungの最先端V-NANDメモリの2021年後半での量産に道が開ける旨。

◇Samsung begins expansion of V-NAND production line in South Korea-The expanded factory line at the Pyeongtaek plant will begin producing 100-layer class V-NAND flash memory in 2021. (6月1日付け ZDNet)

◇Samsung to add new memory chip line in South Korea as COVID-19 boosts demand (6月1日付け Reuters)

◇Samsung Electronics adds NAND flash memory line in Pyeongtaek-Samsung adds NAND flash memory fab line in South Korea (6月1日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsが、coronavirus pandemicの間の在宅勤務増加によるメモリ半導体の需要増大に対応、韓国・Pyeongtaek(平澤市) complexにてNANDフラッシュメモリデバイスの生産capacityを拡大の旨。該拡大は、来年後半の間に完了予定の旨。

2020年で最もエネルギー効率の良いSoCとなるかも、とSamsungの最新チップセット、Exynos 850があらわされている。

◇Samsung's latest chipset might be the most power-efficient of 2020-Samsung touts energy efficiency of Exynos 850 (6月2日付け Android Authority)
→Samsung ElectronicsのExynos 850モバイルプロセッサは、8個のCortex-A55 CPU coresがあり、8-nanometerプロセスでの製造。該設計面から、2020年これまでで最もエネルギー効率の良いsystem-on-a-chip(SoC)デバイスとなる旨。

【Intel関連】

Intelの長期的社会的責任、そして現下のAIオンライン展示会、とそれぞれ次の通りの取り組みである。

◇Intel's Amps Up Its 2030 CSR Goals Amongst COVID-19 Crisis-Analysis: Intel ups corporate social responsibility goals for 2030 (6月1日付け Forbes)
→Intelが、annual social Responsibility Reportをリリース、CSR(Corporate Social Responsibility)を改善する新しい2030年戦略&目標を打ち上げの旨。

◇インテル、AIのオンライン展示会 (6月1日付け 日経産業)
→インテルは最新の人工知能(AI)技術を紹介するオンラインの展示会、「インテルAI Park―オンライン」を開くと発表、開催期間は6月4日〜12月。
NECやパナソニックなどパートナー企業も出展し、インテルの技術を使ったサービスを動画を使うなどして紹介する旨。新型コロナウイルスの影響で大型の展示会が開催しにくいなか、オンラインで自社の技術をアピールする旨。

このところ最先端微細化のTSMCなどへの後れが取り上げられるIntelであるが、今年新しいhigh-end desktopプロセッサを投入する計画なしというロードマップのプレゼンが見られているとのこと。

◇Intel Roadmap Suggests No New High-End Desktop Processors This Year-Intel roadmap: No new high-end desktop chips in 2020 (6月4日付け Tom's Hardware)
→今週のアジアでのIntel Partner Connect virtualイベントにて、プレゼンで示されたロードマップでは、今年新しいhigh-end desktopプロセッサを投入する計画なしとなっている旨。Advanced Micro Devices(AMD)が7-nanometerプロセスでつくられるHEDT半導体を提示している一方、Intelは14nmプロセスnodeで留まっている旨。

【連携&提携】

5Gネットワークス開放に向けて、O-RAN AllianceとGSMAのコラボである。

◇GSMA Joins O-RAN Alliance, Hobbling Ericsson (6月3日付け EE Times)
→モバイル通信インフラにおけるさらなるopennessへの移行を引っ張る1つ、O-RAN Allianceが、モバイルすべての砦、GSMAと力を合わせる旨。

◇GSMA and O-RAN Alliance Collaborate on Opening up 5G Networks-Collaboration aims to accelerate industry-wide consensus on the adoption of open, interoperable interfaces and radio access network virtualisation... (6月5日付け EE Times India)

ソニー系と中国・アリババ、人工知能(AI)によるコロナ肺炎の画像分析診断についての連携である。

◇コロナ肺炎、AIが診断、ソニー系、アリババと画像分析、高速・高精度でPCR補完 (6月4日付け 日経)
→ソニー系で医療情報サービスのエムスリーは中国アリババ集団と連携し、人工知能(AI)を使い新型コロナウイルスによる肺炎を診断するシステムを開発、厚生労働省に製造販売の承認を申請した旨。日本はPCR検査体制の遅れが指摘される中、AIを使った効率的な検査ができれば感染者を把握しやすくなり、感染の第2波への対策も打ちやすくなる旨。

米国同士、Amazon傘下のAmazon Web Services(AWS)とSlack Technologiesが、以下の内容の複数年にわたる戦略的提携を結んだと発表している。

◇AmazonとSlack提携、ビデオ会議システムなど (6月5日付け 日経 電子版 10:20)
→米アマゾン・ドット・コムとビジネスチャット大手、米スラック・テクノロジーズがビデオ会議システムなどの分野で提携、スラックがアマゾンのビデオ会議を自社サービスに組み込むほか、クラウドコンピューティングなどの領域で連携を深める旨。米マイクロソフトなどとの競争が激化しそうな旨。

【Apple関連】

Broadcomの業績発表で、悪化の原因の引き合いの様相、Appleの恒例9月の新型iPhone投入が遅れている、との見方があらわされている。

◇Broadcom Suggests New iPhone Launch Will Be Delayed-Broadcom CEO suggests Apple may delay iPhone release (6月4日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Appleが、次のiPhone更新が伝統的な9月より遅れてリリースの模様、とBroadcomのCEO、Hock Tan氏が、pandemic関連のsupply chain問題からある"大手北米携帯電話"顧客での"大きな製品サイクル遅延"を指摘の旨。同社はまた、四半期earnings発表にてスマートフォン部品需要弱含みを引き合いの旨。

◇Broadcom's revenue forecast disappoints on possible Apple iPhone delay (6月5日付け Reuters)

AppleのiPad Pro 11に搭載されている、「自動運転の目」と呼ばれるLiDAR技術への注目である。

◇Breaking Down iPad Pro 11's LiDAR Scanner (6月5日付け EE Times)
→Appleが、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging) scannersを用いる競争を引き起こしており、同社iPad Pro 11でつくっている旨。


≪グローバル雑学王−622≫

ロシアのサイバー攻撃というと、2016年の米大統領選におけるハッキング攻撃を思い起こすが、その暗躍する実態に、

『サイバー戦争の今』
 (山田 敏弘 著:ベスト新書 607) …2020年1月5日 初版第一刷発行

より迫っていく。アメリカのトランプ大統領に対する弾劾裁判で、米議会上院が権力乱用と議会妨害いずれも無罪評決を下したのが今年の2月始めのこと。これは、ロシア軍とつながりがあるハッカー集団が、米民主党のバイデン前副大統領の息子が取締役を務めていたウクライナのエネルギー会社にハッカー攻撃を仕掛けていたことが明らかになり、トランプ米大統領が昨年、バイデン親子の汚職疑惑を調査するようウクライナのゼレンスキー大統領に要請したのがそもそも。アメリカやイギリスなど西側諸国、そして旧ソ連圏の国々に対する容赦なく相次ぐ攻撃が以下に示されている。


第6章 脅威をばらまくロシアの暗躍
 −闇フォーラムでサイバー兵器を売買するハッカーたち

◆ロシアンハッカーが売るサイバー兵器の値段
・2018年2月、ダークウェブで日本人の電子メールとパスワードが売りに出された
 →2億アカウント分の個人情報になるという
 →売り出したのは、ウクライナ在住のハッカー
 →そしてデータを購入したのは、中国人
・2018年から闇のフォーラムで、サイバー攻撃ツール、「Panda」が頻繁に話題に上がっていたという
 →日本の大手企業を標的にしていたことが発見された
 →最初に2016年リオ夏季オリンピックで見つかったマルウェアの亜種
 →感染するとクレジットカードなどの顧客データや個人情報などが盗まれてしまう
・如何に日本をはじめとする世界各地の企業などの情報が漏れており、ハッカーたちの間で売買されているのか
 →深く関与しているのは、ロシア系のマフィアやハッカーたちと言われている
 →2016年に世に出回ったランサムウェアの75%はロシアで作られたもの
・(筆者の)手元にあるダークウェブでロシアから売りに出されている、サイバー攻撃ツールの料金カタログ
 →様々な種類、値段も驚くようなものではない
・購入者で、最も多いのは中国系ハッカー、北朝鮮系や中東系も
 →ロシアのサイバー攻撃ツールの市場は、1年余りで3億ドルほどの市場になっていると見られている
 →ロシアのマフィアやハッカーの資金源に
・さらに不穏なことに、こうした攻撃ツールをプログラムする人たちの中には、日本人も含まれているとのこと
 →オンラインゲーム中にリクルートされてしまう人も

 ◆NSAから7つのサイバー兵器を盗み出したシャドウ・ブローカーズ
・ロシアのサイバー攻撃者
 →サイバー安全保障における歴史的事件をいくつも起こしている能力の高いハッカーたち
 →国外の諜報を担当するSVR(ロシア対外情報庁:Service of the External Reconnaissance of Russian Federation[ラテン文字転写:Sluzhba vneshney razvedki Rossiyskoy Federatsii])
 国内の諜報活動を担うFSB(ロシア連邦保安庁:Federal Security Service of the Russian Federation[ラテン文字転写: Federal'naya sluzhba bezopasnosti Rossiyskoy Federatsii])
 ロシア軍の諜報部門、GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局:Main Intelligence Directorate of the General Staff[ラテン文字転写:Glavnoye Razvedyvatelnoye Upravleniye])
 →彼らはターゲットが同じであっても、ともに動くことはないという
 →SVRとFSBは、元々はソヴィエト連邦時代に恐れられたKGBの後継組織
 →ウラジーミル・プーチン大統領は元KGBのスパイ
・ロシアがターゲットにするのは、主にアメリカやイギリスなど西側諸国
 →日本を含むアメリカの同盟国も、もちろん対象に
・旧ソ連から独立した国々に対しても、ことあるごとにサイバー攻撃を見舞っている
 →2007年、エストニアに激しいサイバー攻撃、国家としての機能をダウンさせた
 →2008年、ジョージアでの南オセチア紛争などでもサイバー攻撃を駆使して戦闘を有利に
・特筆すべき例、ウクライナの大問題になったケース2件
 →2015年12月23日、ウクライナ西部にある電力会社のシステムが完全に乗っ取られていた
  →50万人ほどが電力が使えなくなるという事態に
 →2016年12月、首都キエフで作られる電力の5分の1がダウン
  →使われたサイバー攻撃ツール、「クラッシュ・オーバーライド(CrashOverride)」
・最近では、ロシアのサイバー攻撃は、他国への内政干渉が度々話題に
 →2016年の米大統領選におけるハッキング攻撃
  →票の集計自体も操作されていた可能性が指摘
 →2016年に英国で行われたEU離脱を問う国民投票
  →投票を妨害するようなサイバー攻撃が確認
 →2017年のフランス大統領選挙
  →フェイクニュースからハッキングによる電子メール流出
・2011年、米軍は所有するサイバー攻撃ツールを武器弾薬のリストに初めて含めている
 →その一端は、元CIA職員で元NSAの契約職員、エドワード・スノーデンが暴露した機密文書の中で明らかに
・そんな米国のサイバー兵器が、2016年までに、ロシアのハッカー集団とされる「シャドウ・ブローカーズ(TheShadowBrokers)」という組織によって、何らかの形で盗まれてしまったことが明らかに
 →2017年4月、さらにNSAのサイバー兵器をネット上で暴露するに至った
  →中には、「EternalBlue」と呼ばれるもの
   …マイクロソフト製ウィンドウズにある脆弱性(セキュリティの穴または欠陥)を突いて不正なプログラムを感染させるプログラム
・このEternalBlueを使った攻撃
 →北朝鮮のハッカーが行った、日本でも大騒ぎになったランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の「WannaCry」
・今後NSAから盗まれた別のサイバー攻撃兵器が、世界で再び猛威を振るう可能性がある(欧米の情報関係者)
・ロシア政府は、こうしたハッキング集団などを監視下に置きながら、うまく使いこなしていると言われている
・ロシアのサイバー部隊は1000人規模(日本の防衛省)
 →おそらく、これはロシア軍の中でサイバー攻撃に関与している人たちの数
 →とにかくロシアの部隊は層が厚く、奥行きが深い

◆セキュリティソフトを利用して個人情報を"抜いて"いたカスペルスキー
・ロシアは、国外の「反米仲間」のために協力を惜しまない
 →例えば、北朝鮮、同国内の携帯通信やインターネットのインフラを国外企業に任せてきた
  →エジプトのオラスコム(Orascom Telecom Holding S.A.E.)という通信会社が敷設を担当
  →ロシアも2017年からインターネットのインフラ構築に参入
・ロシアは、北方領土で進めている通信インフラなどの開発に中国を参入させている
 →インフラを担当しているのが、近年物議を醸している中国企業、ファーウェイ(華為技術)
・もう1つの「反米仲間」のために協力を惜しまない例は、ベネズエラ
 →米国と中露が影響力を競う舞台
 →左派のウゴ・チャベス大統領が2013年にガンで死去、以降GDPが実に60%も減少
 →中国はベネズエラの石油利権を狙って、多額の融資で影響力を行使
 →一方でロシアは、軍事支援などを強化
 →米政府は2019年、野党リーダー、フアン・グアイド国民議会議長を大統領に承認、親米政権を作ろうと画策
 →それを受けてロシアは、軍用機を送り込み、サイバー部隊を入国させた
・ロシアのセキュリティ企業、カスペルスキー(Kaspersky Lab[Moscow])を巡る疑惑
 →2017年、ロシア政府系ハッカーが、カスペルスキーのソフトウェアを自在に悪用していたケースが世界的に
 →カスペルスキーのアンチウイルスソフトをインストールしているパソコンの内部を検索できるようになっていた
 →米政府はカスペルスキー製品の使用を禁じ、米電化製品大手小売店などもカスペルスキー製品の販売を中止
 →このケースは、ファーウェイの顛末を想起させる
・ロシアのサイバー攻撃は、今後も活動の手を緩めることはないだろう

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