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「COVID-19」インパクト:手探りの再開、技術的支援継続、1Q業績

感染の増加率は低下してきた欧米諸国、経済再開に向けた手探りの方策の検討が見られる一方、比較的早めに増加ペースが鈍った韓国でも一気に緩和の兆しはなくsocial distancingキープが言われており、テレビで観る上海の街もマスク姿の人出となっている。我が国では、東京都の新規感染者が10日以上連続100人超はじめ落ち方が鈍く、Stay Home厳守が一層声高になっている現時点である。そんな中、半導体業界では、医療用半導体はじめ技術的支援による貢献の動きが続く一方、第一四半期の業績発表が行われている。
Intelは、データセンター半導体が伸びて売上高・利益ともに1-3月期として過去最高を更新しているが、4-6月期は下方に転じる予測となっている。

≪インパクト概況&半導体関連≫

「COVID-19」インパクトが引き続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。手探りで経済再開の糸口を求める米国および欧州の対応はじめ、発信日で示している。

□4月20日(月)

各国政府に続き大手各社の基金設立である。

◇IT、コロナ基金設立続々、取引先などを下支え、グーグルやソニー、中小・個人向け (日経)
米グーグルなど世界のITやコンテンツ企業が、新型コロナウイルスで厳しさを増す中小企業や個人事業主を支援する基金を立ち上げている旨。中国アリババ集団やソニーもそれぞれ基金をつくり、主要企業の総額で1000億円近くになる旨。各国政府は巨額の公的支援を打ち出すが資金不足の懸念は強く、取引先などを含むステークホルダー(利害関係者)を下支えするために、事業会社も動き始めた旨。

文在寅政権が選挙に勝利した韓国の経済再建について。

◇韓国経済再建、「反財閥」の壁、革新支持層に抵抗感 (日経 電子版 00:00)
→新型コロナウイルスの影響から選挙を延期する国が相次ぐなか、15日に総選挙に踏み切った韓国。革新系与党「共に民主党」の圧勝で文在寅(ムン・ジェイン)政権は求心力を高めたが、国政運営はなお難路が続く旨。最大の課題は経済。危機克服に向け革新政権ならではのジレンマを抱える旨。

米国とともに欧州の中国に対する警戒感が高まる状況が見られている。

◇EU、買収規制強化へ、新型コロナで中国念頭 (日経 電子版 18:26)
→欧州連合(EU)が、外国企業による域内企業の買収に関する規制を強化する旨。新型コロナウイルスの感染拡大による株安で、企業価値が下がり割安感が出ているため。先端技術の買収に関心を示す中国企業が念頭にある旨。欧州各国が規制対象の拡大など手を打ち始めるなか、EU全体でも審査基準の共通化へ外資系の投資動向に関する情報交換を強化する旨。

□4月21日(火)

原油価格が急落、先物市場で史上初、価格がマイナスという事態である。

◇Oil-Price Crash Deepens, Weighs on Global Markets-Global oil price rout worsens after a drop below $0-Stocks fall as U.S. crude benchmark plunges, a day after one contract fell below zero (The Wall Street Journal)
→グローバル原油価格急落が、West Texas Intermediate価格が$0を下回る落ち込み、月曜20日の史上空前の敗走を経て、本日さらに悪化の旨。

◇Oil's record-setting plunge spreads as June contracts fall 36% (Business Insider)

◇NY原油先物、初の価格「マイナス」、5月物投げ売り殺到 (日経 電子版 07:35)
→20日のニューヨーク原油先物市場で史上初めて価格がマイナスとなった旨。原油需要が激減する中で在庫が増え、保管スペースが枯渇している旨。ファンドが投げ売りし、1分で10ドル以上下落する場面もあった旨。
21日に取引を終える5月物だけの局所的な話だが、世界を代表する国際商品市場で極めて異例の事態。

米国の大規模な追加の新型コロナウイルス経済対策が実行されていく今週である。

◇米、4500億ドルの追加対策発動へ、雇用維持へ財政第4弾 (日経 電子版 08:44)
→トランプ米政権と議会指導部は20日、4500億ドル(約48兆円)規模の追加の新型コロナウイルス対策を発動する方向で最終調整に入った旨。給与補填など中小企業に3500億ドルの追加資金を用意するほか、医療体制の整備に1000億ドルを投じる旨。経済対策は今回で第4弾となり、財政出動の規模も3兆ドルに近づく旨。企業への資金支援で雇用悪化を短期にとどめたい考え。

米国株式市場、引き続きその日気分を反映、この日は原油価格が冷やしている。

◇NYダウ反落、約600ドル下げ、原油価格急落が心理冷やす (日経 電子版 05:09)
→20日の米株式相場は3営業日ぶりに反落、ダウ工業株30種平均は前週末比595ドル89セント安の2万3646ドル60セント(速報値)で終えた旨。ニューヨーク原油先物相場が史上初のマイナス価格に落ち込み、投資家心理を冷やした旨。新型コロナウイルスが収束に向かうとの期待から前週末に相場が大きく上げた後で、目先の利益を確定する目的の売りも出た旨。

□4月22日(水)

イタリアのロックダウン解除の運びがあらわされている。

◇イタリアの都市封鎖、5月4日から段階解除、伊首相意向 (日経 電子版 04:35)
→イタリアのコンテ首相は21日、ロックダウン(都市封鎖)の規制を5月4日から段階的に解除する意向を表明、週内にも計画を発表する旨。同国では新型コロナウイルスの感染拡大がひとまず落ち着いてきたため、経済活動を緩やかに再開する旨。ただ、拡大リスクはくすぶったままで、規制解除は限定的な内容になる公算が大きい旨。

◇NYダウ続落、631ドル安、連日の原油相場急落を嫌気 (日経 電子版 05:48)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、前日比631ドル56セント(2.7%)安の2万3018ドル88セントで終えた旨。原油相場の下落が止まらず、投資家心理を冷やした旨。3月後半以降の戻り相場を牽引してきたハイテク株に売りが出て、指数を押し下げた旨。

米国、欧州での経済再開に踏み切る条件があらわされている。我が国の立ち遅れを感じさせている。

◇経済再開へ3つの条件、米独など制限緩和へ模索 (日経 電子版 06:07)
→新型コロナウイルスの感染拡大の防止に追われる日本とは対照的に、ドイツや米国は経済活動の一部再開へ進み出した旨。欧州連合(EU)は再開に踏み出す条件として
 (1)感染拡大の鈍化
 (2)大規模な検査能力
 (3)十分な医療体制
の3つを挙げる旨。店舗休業や行動制限を緩めていくうえで、この3条件を満たすことが世界的な潮流になりつつあるが、日本は検査と医療の双方で遅れが目立つ旨。

◇米、4800億ドルの追加対策合意、中小企業の給与補填増額 (日経 電子版 07:37)
→トランプ米政権と与野党の議会指導部は21日、4840億ドル(約52兆円)の追加の新型コロナウイルス対策で最終合意、中小企業の雇用対策などに3700億ドルの追加資金を用意し、医療体制の整備にも1000億ドル強を投じる旨。上院は関連法案を同日可決。下院も22日にも通過する方向。これまでの3回の経済対策と合わせ、財政出動は3兆ドルに迫る旨。

我が国でも、医薬・医療関係でのM&Aで、中国はじめへの警戒である。

◇外資の買収阻止、医薬品・医療機器も、コロナで争奪戦 (日経 電子版 18:00)
→新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は高度な医薬品や医療機器の分野で外資による日本企業の買収阻止に動く旨。5月に施行する改正外為法で、感染症に関わるワクチンや医薬品、人工呼吸器などの高度医療機器を安全保障上、特に重要な業種に追加する旨。中国などによる買収を念頭に対策を急ぎ、世界的に争奪戦が広がる医薬品・医療機器の安定供給につなげる旨。

□4月23日(木)

経済再開への期待、米国株式市場が上げに転じている。

◇NYダウ反発、456ドル高、経済活動再開の期待で (日経 電子版 07:17)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発、前日比456ドル94セント(2.0%)高の2万3475ドル82セントで終えた旨。テキサス州など米国の一部の州で経済活動の制限を緩める動きが広がり、米景気悪化に一定の歯止めがかかると受け止められた旨。連日急落していた原油相場が上昇したことも投資家心理を上向けた旨。

韓国のGDP、リーマン以来の下げ幅である。

◇韓国GDP1.4%減、1〜3月、リーマン以来の下げ幅 (日経 電子版 11:21)
→韓国銀行(中央銀行)が23日発表した2020年1〜3月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価の変動を除いた実質ベースで前期比1.4%減、新型コロナウイルスの感染拡大で消費が大きく落ち込んだ旨。マイナス幅はリーマン・ショック後の金融危機で景気が冷え込んだ2008年10〜12月期(3.3%減)以降、最大となった旨。

我が国の景気判断も、リーマン以来の「悪化」である。

◇政府景気判断、11年ぶり「悪化」、4月の月例経済報告 (日経 電子版 17:37)
→政府は23日にまとめた4月の月例経済報告で、景気について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」との判断を示した旨。「悪化」の表現を使うのはリーマン・ショックの影響が残る2009年5月以来約11年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の制約が強まり、消費や生産、雇用などの足元の指標が総崩れとなっており、先行きも「極めて厳しい状況が続く」と記した旨。

米国のコロナウィルス救済経済対策が、大統領署名の運びに至っている。

◇House passes $484B coronavirus relief package-$484B coronavirus bill clears House (The Hill)
→米下院が、コロナウィルス救済$484 billionを承認、Paycheck Protection Program(給与保護プログラム)に$320 billionを加え、中小事業救済およびヘルスケア拠点への出資を増やす旨。世界的大流行以降4番目の該救済法案で、同国の対応が史上空前の$3 trillion規模になる旨。
Donald Trump大統領は、速やかな該法制化への署名を誓った旨。

□4月24日(金)

トヨタ自動車はじめ北米での生産再開の予定である。

◇トヨタ、北米生産5月4日に再開、稼働率抑え感染防止 (日経 電子版 08:33)
→トヨタ自動車は23日、北米での全工場14拠点の自動車生産を5月4日から一斉に再開すると発表、新型コロナウイルスの影響で3月下旬から全面休止していたが、およそ1カ月半で再稼働する旨。独フォルクスワーゲン(VW)やホンダも5月初旬から半ばにかけて再開する予定。労働者の間には感染リスクへの不安も残っており、感染防止を優先しながら手探りの工場再開が広がる旨。

◇NYダウ続伸、39ドル高、コロナ治療薬に懸念で伸び悩む (日経 電子版 05:37)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比39ドル44セント(0.2%)高の2万3515ドル26セントで終えた旨。米原油先物相場が連日で急騰し、投資家心理の改善につながった旨。ただ、新型コロナウイルスの治療薬の臨床試験への懸念や米経済指標の悪化が重荷となり、午後に伸び悩んだ旨。

米国ニューヨーク州でのコロナ抗体検査の結果があらわされている。

◇NY州住民、7人に1人感染か、コロナ抗体検査 (日経 電子版 04:24)
→米東部ニューヨーク州で住民の7人に1人が新型コロナウイルスに感染している可能性があることが判明した旨。23日に会見した同州のクオモ知事によると、州内40カ所で無作為抽出した3000人を対象に実施した新型コロナの抗体検査の結果、13.9%が抗体を持っていることがわかった旨。感染者が多いニューヨーク市では抗体がある人の比率が21.2%と2割を超えた旨。
抗体検査では、感染を経てウイルスへの免疫ができている人を確認できる旨。

□4月25日(土)

◇NYダウ3日続伸、260ドル高、原油相場上昇を好感 (日経 電子版 07:46)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、前日比260ドル01セント(1.1%)高の2万3775ドル27セントで終えた旨。今週前半に急落した米原油先物相場が連日で上昇し、投資家心理を支えた旨。来週に決算発表が相次ぐ主力の大型ハイテク株が業績期待から買われ、相場を牽引した旨。

少し間が空いたが、シリコンバレーの最新状況が以下の通りである。

□4月20日(月)

◇Coronavirus update: Critics pounce on study suggesting more than 48K in Santa Clara County infected | Pandemic could dent rental market (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→他の研究者からすぐさま非難されたStanford Universityの調査速報。
Santa Clara Countyの48,000〜81,000人が4月1日現在COVID-19にすでに感染の可能性の旨。該Stanford調査は、該countyでの感染率が確認されたコロナウィルス事例の公式計算より50〜80倍になるということで、直ちに精査を引き起こしている旨。

□4月22日(水)

◇Coronavirus roundup: Did first Santa Clara County Covid-19 deaths happen a month earlier? (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
Covid-19のSilicon Valleyへの拡がりの時間軸が、より込み入ってきている旨。Santa Clara County当局が火曜21日、コロナウィルスによる最初の当地での死亡が2月6日に起きたと発表、これまで知られているより1ヶ月を上回り、米国で最初に記録されたより3週間も前の旨。

□4月23日(木)

◇Coronavirus roundup: Unemployment claims slow in California | San Mateo County's new ranking (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→California州の人々約533,600人が先週失業申請、Covid-19危機が始まって以降財政支援を求める住民総数が約3.4 millionに達している旨。

以上の世界の概況の中、半導体および関連業界におけるコロナウィルス関連の対応&動きについて、以下日々の動きの中からの抽出である。

□4月17日(金)

◇Automation remodels the distribution landscape-Electronics distribution business becomes more automated (New Electronics)
→2年前、electronics distribution市場は、楽観的で前向きの雰囲気にあった旨。2020年、Covid-19が世界中に拡がって、connectedネットワークスで用いられるセンサ, thermostatsおよびプロセッサ、並びにPCBs,capacitors, relaysなどelectronicsコンポーネントの生産に重大な影響を与えている旨。

□4月19日(日)

最近発表されたAppleの「iPhone SE」発売が、国内で延期となっている。

◇ドコモ、au、ソフトバンクが「iPhone SE」発売を5月11日に延期、新型コロナ対策で (headlines.yahoo.co.jp)
→NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、「iPhone SE」の発売日を5月11日に延期する旨。予約は、予定通り20日より受け付ける旨。新型コロナウイルスの拡大防止に向け、政府が掲げる他人との接触を8割削減させるという方針にあわせ、総務省から取り組み強化の要請を受けたため。

□4月20日(月)

IBMも、コロナ・インパクトから通年の予測を取り下げている。

◇IBM sees shift in client spend priorities, withdraws annual forecast-IBM withdraws 2020 forecast as customers save their cash (Reuters)
→IBMが、同社顧客が新型コロナウイルス世界的大流行からの経済不安定性により資本の節約を図っていると報告、「我々の短期的業績は究極的にこの経済環境におけるclient購買パターンにより影響を受ける。」と、Chief Financial Officer(CFO)、James Kavanaugh氏。

◇Intel Commits $50M with Pandemic Response Initiative to Combat Coronavirus (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Intelが、コロナウィルスと戦うpandemic response technology initiativeに追加$50 millionを約束、患者対応での技術アクセス加速化、科学的リサーチ高速化、および学生向けonline学習アクセス保証化を通して行う旨。

韓国のSamsung ElectronicsおよびSK Hynixは、拠点の拡大を計画通りに進めている。

◇Electronic firms stick to 2020 plans-Sources: Korean firms will carry out their 2020 plans (The Korea Herald (Seoul))
→業界筋発。Samsung Electronics, SK Hynixなど韓国メーカーが、新型コロナウイルス世界的大流行のビジネスへの影響にも拘らず、それぞれの拡大計画を推進している旨。SamsungはNANDフラッシュメモリデバイスを作るXian, China(西安)のウェーハfab拠点にさらにプロセスエンジニアを送りたいとする一方、SK HynixはIcheon, Gyeonggi Province(京畿道利川市)のM16 fabおよびWuxi, Jiangsu Province(江蘇省無錫市)のファウンドリー拠点の建設を完了したい旨。

□4月21日(火)

Texas Instruments(TI)は、力強い第一四半期に続いて、第二四半期は売上げ減を見込んでいる。Texasの新fab拠点建設は進めるとしている。

◇Texas Instruments prepares for coronavirus crisis after strong first quarter-TI beats analyst estimates for Q1, forecasts weaker Q2 (Reuters)
→Texas Instruments(TI)の第一四半期業績がアナリスト評価平均を上回った一方、第二四半期は$2.61 billion〜$3.19 billionの販売高を予測、新型コロナウイルス世界的大流行が経済活動を抑えるとしてアナリストがおおよそ予想しているものの旨。同社CEO、Rich Templeton氏はアナリストに対し、同社は第二四半期に売上げが13%落ちるにも拘らずRichardson, Texasの新しいウェーハfab拠点の建設を進めている、と語った旨。

◇TI expects bigger sales drops as CEO says DFW site construction plans continue (The Business Journals/Dallas)

Huaweiは売上げの伸びが急激に鈍化、コロナと米国、2本立ての下方圧力である。

◇Huawei's revenue growth slows sharply as US blacklisting and coronavirus outbreak bite-US bans, pandemic crimp Huawei's Q1 growth (CNBC)
Huaweiの第一四半期売上げが182.2 billion yuan、前年同期比1.4%増。同社は、Covid-19および米国の政治的圧力に感ずる逆風にも拘らず伸びに依然"弾力性がある"としている旨。通商blacklistは、米国の会社が特別licenseなしでHuaweiとのビジネスを行えないようにしている旨。

◇IDC Forecasts a Drop in IT Spending in Nearly Every Industry in 2020 Due to COVID-19 (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→International Data Corporation(IDC)の現時点予測。今年の世界IT spendingが、COVID-19 pandemicの経済インパクトから2.7%減少する旨。

外出自粛でのゲーム機需要増加である。

◇任天堂、「スイッチ」増産検討、外出自粛で需要急増 (日経 電子版 04:43)
→任天堂は主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の増産検討を始めた旨。
任天堂はゲーム機を自社生産しておらず外部委託しているが、4〜6月期は部品や委託組み立てなど複数のサプライヤに生産台数の上積みを要請した旨。新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な「巣ごもり需要」を受け、ゲーム機が入手困難になっていることに対応する旨。

対コロナ抑制あるいは殺菌に向けた取り組みである。

◇紫外線でウイルス抑制、ウシオ電機が対コロナの実証実験 (日経)
→ウシオ電機はウイルスの感染力を抑えたり細菌を殺したりする紫外線照射装置を開発、医療機関の診察室やオフィスなどに設置して使うことを想定、新型コロナウイルスへの効果を確かめる実証実験を米国で始めた旨。
日本や米国の医療機関など向けに提供を始めており、秋には量産品の供給も計画する旨。米コロンビア大学と協力して波長222-nmの紫外線を発するランプ光源を開発、人の目や皮膚にはダメージを与えず、ウイルスや細菌にだけ効果を発揮する旨。

□4月22日(水)

STMicroelectronicsの第一四半期は堅調な売上げの伸びであるが、第二四半期は落ち込みを見込んでいる。

◇Imaging Drives Q1 Growth at ST, but Expects 10% Lower Q2 Revenue (EE Times)
→STMicroelectronicsの2020年第一四半期売上げが前年同期比7.5%増の$2.23 billion、主にimaging製品が牽引の旨。しかしながら、Covid-19 outbreakから生じる業界全体にわたる難局から、第二四半期売上げは前四半期比10.3%減と見ている旨。

◇ST Q1 up 7.5% y-o-y-ST posts Q1 revenue of $2.23B, net income of $192M (Electronics Weekly (UK))
→STMicroelectronics NVの第一四半期net売上げが$2.23 billion、gross marginが37.9%, operating marginが10.4%, そしてnet incomeが$192 million。

Xilinxも、年次見通しを見送っている。

◇Coronavirus dampens Xilinx's current-quarter revenue forecast-Xilinx lowers forecast for current quarter due to outbreak (Reuters)
→Xilinx社が水曜22日、コロナウィルスからの不安定性を引用、第一四半期売上げが見込みを下回るとし、年次見通しの提示を控えた旨。

業績発表直前のIntelについての見方である。

◇Intel set to release first earnings report since Covid-19 outbreak. Here's what to watch for. (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが、市場が木曜23日締めた後、第一四半期のfinancial resultsをリリースの旨。Wall Streetは、Covid-19 pandemicの間により多くの人々が在宅勤務を行い、streamingおよびインターネットサービスの利用が伸びていることで、PCおよびサーバ需要に注目している旨。

◇Diagnostic Companies Shine in COVID-19 Gloom (EE Times India)
→多数のテストがいますぐ非常に重要であり、microfluidicシステムを持つ向きには特に、診断会社には該opportunityは非常に大きいが、これらベンダーは週あたり何100万のテストを行えるのか?

2019年度の我が国パソコン出荷に在宅勤務需要の反映である。

◇パソコン出荷28%増、2019年度、テレワークや増税受け−国内、5年ぶり900万台超え (日経 電子版 15:24)
→電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、2019年度のパソコンの国内出荷台数が2018年度比28.1%増の947万5千台だったと発表、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポート終了に伴う買い替え需要などで5年ぶりに出荷台数が900万台に達した旨。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及は足元のパソコン出荷の追い風になっている旨。

□4月23日(木)

売上高・利益ともに1〜3月期として過去最高を更新、というIntelの業績発表が行われている。

◇Intel Q1 beats Wall Street, but stock sinks on Apple report (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社(Santa Clara)が、Covid-19世界的大流行以降最初の業績報告、第一四半期売上げが$19.8 billion、前年同期比23%増、profitが$5.7 billion、同42%増と力強い結果。しかしながら、株価はafter-hours取引で5%を上回る低下、Apple(Cupertino)がMacシステムのいくつかに自前の半導体を搭載していくという報道を受けての様相の旨。

さて、そのAppleの自前プロセッサへの取り組みの噂の現時点である。

◇Apple will reportedly use 12-core 5nm ARM processor in a 2021 Mac-Report: Apple plans a 12-core Arm processor for a Mac-Likely starting with a MacBook (The Verge)
→AppleがあるMacモデルに向けてArm-ベース・プロセッサを開発しているという長続きする噂が、信用を得てきている様相の旨。Bloombergが、同社は3つのMacプロセッサを開発しており、その初めてが来年12コアで出てくる、と報じている旨。

Intelも第二四半期については下方圧力を受ける読みとなっている。

◇Coronavirus clouds Intel outlook, despite short-term bump from PC buying-Intel predicts lower Q2 profit as chip demand eases (Reuters)
→Intelが第二四半期adjusted profitは同社半導体への世界需要低下から$1.10/株になるとしており、対してRefinitivからのIBESデータでは平均アナリスト評価が$1.19/株の旨。

SK Hynixの第一四半期、そして今四半期の見方である。

◇SK Hynix warns of volatile chip demand after first-quarter profit beats forecast-SK Hynix posts Q1 profit of $649M, warns on volatility (Reuters)
→SK Hynixの第一四半期operating profitが$649 million、アナリスト予想のRefinitiv SmartEstimateをずっと上回るが、前年同期を大きく下回る旨。今四半期のDRAM出荷は横這いと見ている旨。

"essential"医療機器に向けたコネクター生産対応である。

◇ERNI Connectors Are Contributing to the COVID-19 Fight (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→グローバルelectronic connectorメーカー、ERNI Electronics(ドイツ)が、COVID-19との戦いでessential医療機器に必要とされるcable assembliesの生産サポートに向けてoperationsを再編成の旨。

ワクチン開発に向けたAI活用のアプローチである。

◇NEC、新型コロナのワクチン開発にAI活用、遺伝子を解析 (日経)
→NECは人工知能(AI)を使って新型コロナウイルスのワクチン開発に乗り出す旨。これまでは開発に必要な遺伝子情報を得るのに膨大な時間がかかっていたが、AIの活用で1カ月に短縮。今後、有効性や安全性を確認するための臨床試験(治験)やワクチンの製造を担う製薬会社を国内外から募り、実用化に向けた共同開発を進める旨。

□4月24日(金)

Intelの今回の業績内容が改めてまとめられている。

◇インテル42%増益、1〜3月、「在宅」広がり最高益 (日経 電子版 08:24)
→米インテルは23日、2020年1〜3月期の売上高が前年同期比23%増の$19.828 billion、純利益が同42%増の$5.661 billion(約6090億円)と発表、増益は2四半期連続。新型コロナウイルス感染を防ぐ外出制限でビデオ会議や動画配信サービスの利用が広がり、データセンター向け半導体の需要が伸びた旨。一方、産業機械向けなどの製品は需要が落ち始めており、通期予想を取り下げた旨。
売上高・利益ともに1〜3月期として過去最高を更新、データセンターのサーバを処理するCPUの売上高が$6.993 billionとなり、前年同期と比べて43%伸びたため。

SEMIからの月次発表、北米半導体装置メーカーの3月の世界billingsがあらわされている。コロナ・インパクトの渦中、稼働を維持して健闘している状況がうかがえている。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts March 2020 Billings (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのMarch Equipment Market Data Subscription (EMDS) Billings Report。北米半導体装置メーカーの2020年3月の世界billingsが$2.21 billion(3ヶ月平均ベース)、2020年2月の最終レベル、$2.37 billionを6.8%下回り、2019年3月の$1.84 billionを20.1%上回る旨。「北米半導体装置メーカーの3月月次billingsは難局の市場環境を反映し始めている一方、前年比の増加は半導体製造supply chainの各社がCOVID-19の逆風にも拘らずこれまでのところ効果的に連続稼働を維持していることを示している。」と、SEMI president and CEO、Ajit Manocha氏。
ここ6ヶ月の推移(金額:USM$):

BillingsYear-Over-Year
(3ヶ月平均)
October 2019
$2,080.8
2.5%
November 2019
$2,121.0
9.1%
December 2019
$2,491.7
17.8%
January 2020
$2,340.2
22.7%
February 2020 (final)
$2,374.6
26.6%
March (prelim)
$2,213.1
20.1%

 [Source: SEMI (www.semi.org), April 2020]

◇Semiconductor equipment billings drop to 4-month low-SEMI: Fab gear billings decline 6.8% to $2.21B in March (DIGITIMES)

5Gがコロナウィルスを拡げるとの騒動が見られている。

◇No, 5G Does Not Spread Coronavirus (EE Times India)
→英国のいくつかのcell towersに火がつけられ、5G信号が新型コロナウイルス世界的大流行につながるというonline謀議論の拡がりの渦中でエンジニアが悩まされている旨。

◇SK hynix pledges support to contractors amid COVID-19-SK Hynix will provide $105M to support contractors during outbreak (The Korea Herald (Seoul))
→SK hynixが金曜24日、contractorsに対し新型コロナウイルス世界的大流行のマイナスインパクトを最小にするよう早期払いを確実にしてサポートする旨。

ルネサスエレクトロニクスの動き、2点である。

◇医療用半導体、ルネサス増産、コロナで、人工呼吸器向けなど (日経産業)
→ルネサスエレクトロニクスは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、逼迫する医療用機器向け半導体の増産体制の整備を急ぐ旨。自社工場では医療用機器向けの半導体を優先的に生産するほか、製品の性能試験の外注先を増やす旨。人工呼吸器や非接触の電子体温計などの需要の拡大に対応する旨。中長期的な成長分野に位置づけている医療事業の拡大の足がかりにもなりそうな旨。

◇ルネサスが週休3日制導入へ、連休明けから5千人対象 (日経 電子版 17:30)
→半導体大手のルネサスエレクトロニクスは新型コロナウイルスの事業への影響の長期化を見据え、5月から輪番の形での週休3日制を導入する旨。対象は工場勤務を除く約5千人で、全従業員の4分の1強に相当する旨。一度に出社する人数を減らし感染防止につなげる旨。ニコンも現在の原則在宅勤務を大型連休後も続ける方針を24日に発表するなど、影響が長引いても雇用を維持しながら事業を安定的に続けるよう企業が動き始めている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Samsungへの入国許可】

ベトナムでも入国制限は厳しい中、Samsungの一部のエンジニアは例外、と背に腹は代えられない現実が垣間見えている。

◇ベトナム、新型コロナで入国制限―サムスン例外、経済に配慮 (4月21日付け 日経)
→ベトナムが新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、厳しい入国制限を続けている旨。3月18日から周辺国に先駆け、すべての外国人の入国を禁止、国内の移動制限も強化し、大都市圏では4月からいまだ不要不急の外出禁止が続く旨。ただ、総輸出の25%を占める韓国サムスン電子には例外措置を設けた旨。一部の技術者の入国を許可するなど特別扱いが目立つ旨。

SamsungのXian, China(西安)のウェーハfab拠点拡張については上記にも触れているが、関係者の入国が以下の通り許可されている。

◇China allows Samsung Elec staff to enter country for chip factory expansion-China permits Samsung engineers to work at wafer fab (4月22日付け Reuters)
→Samsung Electronicsの従業員200人が、NANDフラッシュメモリデバイスを生産する同社の中国におけるウェーハfab拠点の拡張に取り組めるように中国への入国を許可された旨。

◇Samsung sends 200 workers to complete chip factory expansion in China amid virus woes (4月22日付け Yonhap News Agency)

【IC出荷数量】

IC Insightsによると、世界IC数量出荷が減ったのは1985, 2001, 2009,2012および2019年、とデータで遡れるが、今年、2020年はどうやら史上初の連続減少となりそうとのことである。

◇IC Unit Shipments Forecast to Display First-Ever Back-to-Back Decline (4月22日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC Insightsの2020 edition of The McClean Report-A Complete Analysis and Forecast of the Integrated Circuit Industry(MR20)、4月更新版。2020年の世界IC数量出荷が史上初の連続した年次減少となると予測の旨。

◇IC unit shipments to drop for 2nd consecutive year in 2020-IC Insights forecasts 2020 chip shipments will decline 3% (4月23日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。IC出荷数量が減少した年は、1985, 2001, 2009, 2012および2019年。今年、2020年は3%減を見込む旨。

【Imagination Technologies関連】

このところ触れている中国への本社移転の動きであるが、中国側ownersが以下の収拾を図っている。

◇Exclusive: Chinese-backed owners commit to British HQ for Imagination Tech-Imagination's biggest shareholder commits to a UK-based HQ (4月17日付け Reuters)
→Imagination Technologiesの中国が支援するownersが英国政府に対し金曜17日、Imaginationの本社は英国のままとし、boardの変更については助言を求めていく旨。

同社CTOによるGPU技術の今後の議論である。

◇Re-Imagining The GPU-Imagination CTO discusses the future of GPU tech-How a basic processing element is being transformed by RISC-V, partitioning and inferencing. (4月23日付け Semiconductor Engineering)
→Imagination Technologiesのchief technology officer(CTO)、John Rayfield氏が、artificial intelligence(AI), computingアーキテクチャーおよびopen-source RISC-V instruction-set architecture(ISA)について語るインタビュー記事。半導体intellectual property(IP)の同社は、次世代graphics processing units(GPUs)にRISC-Vコアを統合の旨。

【中国市場関連】

Huaweiが、社内設計の半導体生産をTSMCから中国国内に移していく動きである。

◇Huawei chip unit orders up more domestic production as U.S. restrictions loom: sources (4月16日付け Reuters)
→本件事情通筋発。Huawei Technologies Co Ltdが、さらなる米国の制限に備えて社内で設計した半導体の生産をTSMCから中国本土の会社に次第に移している旨。

Hisenseの5Gスマートフォンに、Unisocの5G SoC搭載、と中国で完結する組み合わせである。

◇Unisoc makes gains in mid-tier 5G SoC market-Hisense uses Unisoc chip in 5G phone, sources say (4月23日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Hisense(海信集?有限公司:中華人民共和国山東省青島)のF50 5Gスマートフォンが、Unisoc(紫光展鋭:中国)のT7510 system-on-a-chip(SoC)デバイスを軸につくられている旨。Unisocは、HiSilicon Technologies, MediaTekおよびQualcommに比べてmid-tier 5G SoC市場でより競争力をつけてきている、と特に言及の旨。

【YMTCの3D NANDフラッシュ】

中国・Yangtze Memory Technologies Co.(YMTC)の3D NANDフラッシュメモリが独自の技術を盛り込んで、いよいよNANDフラッシュ市場に入り込んできて、2021年には競合激化、とコロナ・インパクトの渦中ながら一層の注目である。

◇Yangtze aiming for 8% of NAND output next year-TrendForce: Yangtze Memory plans NAND volume production in Q4 (4月20日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce発。第一四半期にTLCおよびQLC 128-層NANDのサンプルをコントローラ半導体サプライヤに渡した後、Yangtze Memoryは、第三四半期にウェーハ運用開始、第四四半期に量産立ち上げを目指している旨。

◇Competition in NAND Flash Market to Intensify in 2021 (4月22日付け EE Times India)
→DRAMeXchange発。中国のNANDフラッシュメーカー、Yangtze Memory Technologies Co.(YMTC)が、年末までに128層製品の量産を目指しており、COVID-19世界的大流行が既存NANDメーカーにより大きなインパクトを与えている旨。

◇China's Memory Ambitions Yield Competitive NAND (4月23日付け EE Times)
→中国の“Made in China 2025” initiativeが、Yangtze Memory Technologies Co.(YMTC)の3D NANDフラッシュメモリ半導体に向けた独自のアーキテクチャーによる成功で、結実してきている旨。同社の3D 64L Xtacking TLC NANDデバイスは、すでに先端技術製品における半導体のreverse-engineeringに特化するTechInsights(Ottawa, Canada)によるかなりの解析を引きつけている旨。


≪グローバル雑学王−616≫

インドから始まって中南米&北米まで14回にわたって世界各地の聖なる物語、神話を巡る旅を、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

により巡ってきたが、今回で終わりに辿り着く。最後は、付録として、我が国、日本の神話を体系的に記した『古事記』のあらすじに触れている。アマテラスオオミカミ、スサノオノミコト、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)、オオクニヌシ、ヤマトタケル、草薙の剣など、耳懐かしい登場人物を改めて確認している。小生は島根県出身であり、子供の頃に石見神楽に接していることで、八岐大蛇退治の勇壮な舞いと笛&太鼓の舞台の興奮が蘇るところである。古代の人々の交流、息吹、感覚といったものを辿れるという世界の神話の余韻いまなおの読後感がある。


付録 古事記

・日本の神話伝説を体系的に記した現存最古の典籍、『古事記』のエッセンス
 →『古事記』は712年に成立、上中下の三巻
 →天武天皇の命令により、稗田阿礼がよみ方を伝えた伝承を、太安万侶が撰録
・神話といえる部分である上巻のあらすじを、以下に

I 天地のはじめ

・天地の最初の時、高天原にアメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カムムスヒが誕生
・神々が次々に生まれる

II 国生み・神生み

1)オノゴロ島
・原初の夫婦神イザナキとイザナミ
・アメノヌボコという矛から滴り落ちた塩水が積もって島に
 →オノゴロ島

2)国生み・神生み
・イザナキとイザナミは、オノゴロ島で結婚、国土を産み、次に神々を産んだ

3)カグツチ
・火の神カグツチを産んだときにイザナミは死んでしまった
・イザナキは激しくなげき悲しみ、剣でカグツチの頸を切った

4)黄泉の国
・イザナキはイザナミを追って黄泉の国に行った
・イザナミは「黄泉の神と相談の間、絶対に自分の姿を見ないでください」と言ったが、イザナキは待ちきれずに見てしまった
・怒ったイザナミは、逃げるイザナキを追いかけさせ、最後には自ら追いかけてきた
・イザナキは巨大な岩で道をふさぎ、その岩をはさんで二人は夫婦の別離の言葉を交わした
・こうして、一日に1000の人が死に、そのかわりに一日に1500の人が生まれることになった

2)三貴子誕生
・黄泉の国から逃れてきたイザナキは、川に入って禊をした
・左の目を洗うと太陽の女神アマテラス、右の目を洗うと月の神ツクヨミ、鼻を洗うと暴風雨の神スサノヲが生まれた
・三貴子それぞれに、高天原、夜の国、海の世界が割り当てられた
・スサノヲは命じられた国を治めようとしないで泣きわめき、世界に禍をもたらした
・イザナキは怒ってスサノヲを追放した

III アマテラスとスサノヲ

1)スサノヲの昇天
・スサノヲは、姉のアマテラスに挨拶をしようと、高天原に向かって昇っていった

2)アマテラスとスサノヲの誓約(ウケヒ:古代日本で行われた占い)
・スサノヲとアマテラスの二人は天の安河をはさんで立ち、アマテラスがスサノヲの剣から三柱の女神を誕生させ、次にスサノヲがアマテラスの勾玉から五柱の男神を誕生させた
・スサノヲの持ち物から女の子が生まれたのでスサノヲの勝ちとなった

3)天の岩屋戸
・身の潔白が証明されたスサノヲは調子に乗って高天原でさまざまないたずらをした
・あるときスサノヲは、機屋に皮をはいだ血みどろの馬を投げ込んで、機織りをしていた女神が死んでしまった
・アマテラスは怒って天の岩屋の戸を開いて中にこもってしまった
・八百万の神々が天の安河に集まり、知恵に優れたオモヒカネの神に対策を考えさせた
・天の香具山から根こじにしてきた賢木に勾玉と鏡と白と青の布をかけて、お祭りをした
・女神アメノウズメが踊ると、八百万の神々が大笑いした
・アマテラスが戸を少し開くと、アメノタヂカラヲがアマテラスを外に引き出した
・世界は再び明るくなった
・神々はスサノヲを罰した上で高天原から追放した

4)オホゲツヒメ(五穀の起源)
・高天原を追放されたスサノヲは、オホゲツヒメに食べ物を乞うた
・鼻や口や尻からさまざまなおいしい食べ物を出して調理して差し出した
・スサノヲは、けがれた食べ物を出されたと思って怒り、オホゲツヒメを殺してしまった
・殺された女神の身体から、さまざまな穀物が生じた

5)スサノヲのヲロチ退治
・スサノヲは出雲の国の肥河の河上の鳥髪というところに降りてきた
・毎年ヤマタノヲロチという八頭八尾の大蛇が土地の娘たちを食べていた
・クシナダヒメを救うため、ヲロチに酒を飲ませ、酔ったところを斬り殺して退治した
・その尾から一振りの剣が出てきたので、アマテラスに献上、これが後の草薙の剣である
・スサノヲはクシナダヒメをめとって、出雲の須賀の地に新居の宮を造って住んだ

IV オホクニヌシ

1)因幡の白兎
・オホクニヌシはスサノヲの六代目の孫として生まれた
・彼の大勢の兄(八十神)たちは、因幡のヤカミヒメに求婚しようと思って、オホクニヌシをお供に連れたって因幡に向かった
・気多の岬までやってきたとき、毛皮をはがれて丸裸になった兎が横たわっていた
・オホクニヌシが泣いている兎を見つけて、わけをたずねた
・兎はもともと隠岐島にいて、こちら側に渡りたいと思ったが、渡る方法がなかった
・ワニをだまして並ばせて、その背中を踏んで岬まで渡ったが、最後にワニに皮をはがれてしまった
・オホクニヌシは兎に正しい治療法を教えてやった
・これが因幡の白兎で、兎神と呼ばれている
・ヤカミヒメはオホクニヌシを夫に選んだ

2)根の国訪問
・オホクニヌシは八十神の嫉妬を買い、何度も殺されるが、そのたびに母神が生き返らせた
・八十神から逃れるため、オホクニヌシは祖先のスサノヲのいる根の国を訪れた
・オホクニヌシはスサノヲの娘スセリビメを連れて地上へ帰り、八十神を征伐し、スセリビメを正妻として地上を治めた

3)スクナヒコナ
・オホクニヌシは海からやって来た小人の神スクナヒコナと協力して地上に農業や医療を広め、国造りを行った

V 国譲り

・アマテラスは自分の息子のオシホミミに統治させたいと考え、使者を派遣してオホクニヌシに国を譲るよう説得させた
・オホクニヌシ自身のために壮大な宮殿を建てることを条件に承諾、出雲に立派な宮殿(出雲大社)が作られた

VI 天孫降臨

1)ホノニニギの生誕
・オシホミミに息子が生まれ、このアマテラスの孫ホノニニギを、オシホミミに代わって地上に降すことにした

2)天孫降臨
・ホノニニギはお供の神々を連れて天から降りていった
・このとき、かつてアマテラスを岩屋から導いた勾玉と鏡、それに草薙の剣よりなる三種の神器も携えていた

3)コノハナサクヤビメとイハナガヒメ
・ホノニニギは山の神の娘イハナガヒメとコノハナサクヤビメをめとったが、美しい妹のコノハナサクヤビメだけをそばに留めて一夜を共にした
・山の神オホヤマツミは、岩のように永久の寿命を象徴するイハナガヒメを送り返したことを深く恥じ、ホノニニギの子孫、つまり後の天皇の寿命は短くなるだろうと呪った

VII 海幸彦と山幸彦

1)釣り針の紛失
・ホノニニギとコノハナサクヤビメの間に3人の息子が生まれた
・長男のホデリは海幸彦として海のさまざまな魚をとり、三男のホヲリは山幸彦として山のさまざまな獣を狩って暮らしていた
・あるときホヲリは兄のホデリに取りかえてもらった釣り針を海に落としてなくしてしまった
・返却を求められて海辺で泣いていると、シホツチの神が現れて海の宮殿へ行く方法を教えてくれた
・ホヲリは竹で編んだかごの小舟を作って海の世界へ行った

2)海神の宮殿
・ホヲリは海底の宮殿につくと、侍女が現れ、トヨタマビメに伝えた
・姫はホヲリを見るなり一目惚れして、父の海の神オホワタツミに伝え、祝福されて結婚した

3)兄への復讐
・オホワタツミはホヲリがそもそも海底にやってきた理由を知ると、釣り針のゆくえを問い、赤い鯛ののどの中から見つけ出した
・オホワタツミは兄に返すときの呪文を教え、また兄をこらしめるための宝珠を与えた
・以来兄の子孫は隼人として宮廷の守護をになうこととなった

4)トヨタマビメの出産
・トヨタマビメはワニの姿になって出産していたところを夫に見られ、生まれてきた子にウガヤフキアヘズと名付け、海に帰った
・トヨタマビメの妹のタマヨリビメがウガヤフキアヘズを養育し、後に彼の妻となって4人の子をもうけ、その1人がカムヤマトイハレビコ、後の神武天皇である


≪あとがき≫

・距離的にはかなり遠く隔たっている地域でも、神話は似ているということがよくある
 →1つ1つの事例について、ていねいに検証していく必要がある
・神話が似ている理由を解き明かす方法として、大きく4つのもの

1 伝播による
→一方から他方に神話が伝わった場合
 …(例)日本とギリシアの「冥界降り」に神話
→細かい要素や冥界における「見るなの禁」のような特殊な要素まで似ている
→古代の文化が広まっていく流れと同じように、西から東へ、という経路が想定される
2 インド=ヨーロッパ語族の場合
→インドやギリシア、北欧のゲルマン、ケルトなどは、みな同じ言語の「家族」
 …「インド=ヨーロッパ語族」
→もともとは1つの社会を営み、同じ神話を持っていたが、のちに分散
→分散した後も、共通の神話を受け継いでいった
3 人間の同一の心理に由来する
→人は、同じ人間である以上、みな同じような心理を持っているもの
→「怖い女神」の例
→優しく慈しむばかりの存在ではなく、恐ろしい、人間の命をのみこんでしまうような女神も
→女神は、命を生み出すと同時に、その生み出した命に責任を持たなければならない
→死を与えることによって命を回収する
→同じような女神像を、それぞれの地域で生み出してきたのであろう
4 同じ現象が同じ神話を生む
→同じような自然現象などが、似た神話を生み出すことがある
→「宇宙卵型」と呼ばれる神話
→同じ自然現象を観察して、そこからの類推で生まれた神話と考えられる
・神話について学ぶことで、ただ昔の物語を知るだけでなく、古代の人々の交流の痕跡や、共通の心理の反映や、印象的と思われていた自然現象などを知ることができる
→神話の語りかけてくれるものに、耳を澄ませてみよう

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