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「COVID-19」インパクト:緊急事態宣言、武漢封鎖解除の中の業界関連

米国および欧州ではピークを越えたというデータもあらわれる一方、依然と厳しい事態が日々見られる「COVID-19」インパクトである。我が国ではついに7都府県を対象にした緊急事態宣言が発令され、全国的なさらなる自粛、引き締めが求められる現時点である。新型コロナウイルスの感染拡大が世界で初めて確認された中国湖北省武漢市の封鎖措置が、2ヶ月半ぶりに解除され、NANDフラッシュのYMTC(長江存儲科技)はフル稼働とされている。このような状況下の半導体業界については、在宅勤務需要から関連半導体の伸びが期待される一方、スマートフォンは売れ行きの落ち込みが懸念され、半導体市場全体予測も大幅な下方修正があらわれ始めている。

≪インパクト概況&半導体関連≫

「COVID-19」インパクトを受け激震が続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。封鎖解除ながら立ち直り加減に依然目が離せない中国の一方、欧州そして米国は引き続く危機感で対応に追われる状況が以下にあらわされる通りである。

□4月6日(月)

我が国の緊急事態宣言に向けた直前の構えである。

◇首相、7日にも緊急事態宣言、午後6時すぎに対策本部 (日経 電子版 10:32)
→安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言を発令する意向を固めた旨。政府は同日午後2時から専門家ら16人で構成する「基本的対処方針等諮問委員会」を非公式に、午後6時すぎから新型コロナウイルス感染症対策本部をそれぞれ開き準備に着手する旨。対象は東京都など首都圏や大阪府などを軸に検討し、7日にも発令する旨。

□4月7日(火)

中国では景気浮揚に向けた動きが見られている。

◇中国、消費刺激に軸足、「感染一服」新車購入に補助金 (日経 電子版 02:08)
→中国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ消費の刺激に乗り出した旨。国内総生産(GDP)の1割を占める自動車産業のテコ入れへ、新車購入の補助金創設や所有制限の緩和といった政策が相次ぐ旨。商品券の発行で消費を促す取り組みも広がる旨。政策頼みだが、一部の地域では需要底入れの兆しも出てきた旨。

米国株式市場は、その日諸々の気分で大きく振れる状況が続いている。

◇NYダウ急反発、1627ドル高、コロナ感染鈍化の期待で (日経 電子版 05:54)
→6日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が急反発し、前週末比1627ドル46セント(7.73%)高の2万2679ドル99セントで取引を終えた旨。米欧で新型コロナウイルスによる死者数の鈍化がみられ、感染拡大と景気落ち込みへの警戒感が和らいだ旨。これまで売られていた銘柄を中心に買い戻しが入った旨。

◇中国、6日は新型コロナの新たな死者ゼロ、1月中旬以来 (日経 電子版 13:48)
→中国政府は7日、中国本土で新型コロナウイルスによる新たな死者数が6日はゼロだったと発表、衛生当局によると、新型コロナの死者がゼロになったのは1月中旬以来。
中国では統計上、新型コロナの感染拡大が抑えられつつある旨。感染が世界で初めて確認された中国の湖北省武漢市では8日、事実上の封鎖措置が解除される予定。

我が国での緊急事態宣言が、次の通り発令されている。

◇緊急事態宣言を発令、首相「接触を8割削減」−7都府県対象、5月6日まで (日経 電子版 18:19)
→安倍晋三首相は7日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した旨。感染が急拡大している東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で、5月6日まで効力がある旨。

□4月8日(水)

◇NYダウ、小反落、一時937ドル高も利益確定売り (日経 電子版 05:24)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小反落し、前日比26ドル13セント安の2万2653ドル86セントで終えた旨。これまで売られていた景気敏感銘柄への買いが先行し、朝柄には一時937ドル高を付けた旨。ただ、取引時間中としては3月11日以来の高値水準にも戻したこともあり、午後は戻り待ちや利益確定の売りに押された旨。

「COVID-19」インパクトの震源地、中国・武漢市の封鎖が、2ヶ月半ぶりに解除されている。

◇中国・武漢封鎖2カ月半ぶり解除、航空・高速鉄道が再開 (日経 電子版 13:03)
→中国当局は8日、新型コロナウイルスの感染が世界で最初に拡大した湖北省武漢市で、事実上の都市封鎖を2カ月半ぶりに解除、国内の航空路線や高速鉄道が再開し、同市を出発する市民の姿が多く見られた旨。一方で「まだ感染リスクは残る」と話す市民もおり、市民生活の完全な正常化にはまだ時間がかかりそうな旨。
8日午前0時(日本時間同1時)に封鎖が解除された旨。健康に問題がないことを証明する資料があれば武漢市を出発できることになっている旨。武漢を除く湖北省の他の地域は、3月25日に封鎖を解除ずみで、今回、同省全体で人の往来が回復することになる旨。

□4月9日(木)

◇世界のモノの貿易は最大32%減、WTOが2020年予測 (日経 電子版 02:03)
→世界貿易機関(WTO)は8日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年の世界のモノの貿易量が前年比で最大32%減るとの予測を発表、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱や大幅な需要減退が響く旨。世界金融危機後の2009年(13%減)を上回る打撃になる可能性が高いと分析している旨。

封鎖が解除された武漢市の状況があらわされている。

◇Two Months in Hubei, Quarantined Away from Home (EE Times)

◇武漢封鎖解除、交通網再開、車・ハイテク通常稼働へ−ホンダ工場、「月内の通常稼働めざす」 (日経 電子版 04:47)
→中国当局は8日、新型コロナウイルスの感染拡大が世界で初めて確認されて多くの犠牲者を出した湖北省武漢市の事実上の封鎖措置を2カ月半ぶりに解除した旨。航空や鉄道、道路などの交通網が本格的に再開してヒトやモノの流れが正常化。中国経済全体を支える主力の自動車産業やハイテク産業も回復。半導体大手の長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)はフル稼働となり、ホンダも4月中に通常稼働に戻す計画。

◇NYダウ反発、779ドル高、コロナ感染の峠越えに期待 (日経 電子版 05:41)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前日比779ドル71セント(3.4%)高の2万3433ドル57セントと、3月11日以来約1カ月ぶりの高値で終えた旨。新型コロナウイルスの感染拡大が近く峠を越えるとの見方が投資家心理の改善につながった旨。急進的なリベラル政策を掲げていたサンダース上院議員が米大統領選から撤退すると8日に発表したのも株買いを後押しした旨。

◇日銀、全国の全9地域で景気判断下げ、11年ぶり (日経 電子版 14:59)
→日銀は9日発表した地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域すべての景気判断を下方修正した旨。全地域の引き下げはリーマン・ショック後の2009年1月以来、約11年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大が内需・外需を問わず幅広い産業に悪影響を及ぼしている様子が浮かんだ旨。

楽観的なデータが見えると、抑制されたビジネスの再開を、とトランプ政権トップのコメントが見え始める一方、医療関係者のそれを押さえる警告、といずこでも目に入る応酬である。

◇Mnuchin, Kudlow say U.S. economy could open in May, defying experts-Mnuchin: US economic shutdown could end in May (Reuters)
→コロナウイルスの拡がりを抑えるために閉じられたビジネスは来月再開の可能性、と米国財務長官、Steven Mnuchin氏。しかしながら、エコノミストおよび医療エキスパートは大人数があまりに素早く仕事場に戻ることに警告の旨。

□4月10日(金)

◇米、失業保険申請さらに660万件、3週1600万件超す (日経 電子版 05:10)
→米労働省が9日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、4日までの1週間で660万6千件となり、過去最大を大幅に更新した前週(686万件)に並ぶ高水準だった旨。新型コロナウイルスで経済活動が制限され、飲食店などでは従業員の一時解雇が急増している旨。4月の失業率は金融危機時を上回る10%超に上昇するとの見方が強まっている旨。

◇米社債価格が急上昇、FRB支援、NYダウ285ドル高 (日経 電子版 06:18)
→米国の信用収縮に歯止めがかかってきた旨。米連邦準備理事会(FRB)が9日、大規模な金融支援を発表し、企業の資金繰り不安が後退したため。
ニューヨーク市場では社債の価格が上昇(金利は低下)。不安視されてきた低格付け社債は特に買われ、3月の下落分をほぼ埋めた旨。ダウ工業株30種平均も前日より285ドル上昇した旨。

◇Post-Lockdown China: Glimpses of the New Normal (EE Times)
→我々のアジアの同僚は、2月半ば以降Covid-19の山をすでに平らにしてきている大都市に住んでいる。彼らは実際、運よくいけば数ヶ月で"我々の今後"となる今後に生きている。

シリコンバレーの現状の一端があらわされている。

◇Coronavirus roundup: More unemployment money | COVID data by city and race in Santa Clara County (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→California州が、コロナウイルス世界的大流行の結果としてjobsを失ったworkersに向けてさらなる失業資金の備えを進めている旨。;Santa Clara Countyが、COVID-19感染&死亡のさらに詳細な分析をリリースの旨。

◇ユーロ圏、60兆円超の経済対策で合意、救済基金を活用 (日経 電子版 09:04)
→ユーロ圏の財務相は9日夜(日本時間10日早朝)、新型コロナウイルス感染拡大の悪影響を和らげるため、5400億ユーロ(約64兆円)規模の経済対策で合意した旨。救済基金である「欧州安定メカニズム(ESM)」を使うほか、雇用や中小企業のための安全網を設ける旨。感染拡大で停滞した経済の再建に役立てるユーロ共同債券は、閣僚レベルでの合意を見送り、首脳間で協議する旨。

□4月11日(土)

◇トランプ氏「死者は予測下回る」、経済再開へ具体策議論 (日経 電子版 07:15)
→トランプ米大統領は10日の記者会見で、新型コロナウイルスによる米国内の死者数が「最低10万人以上とした(政府の)予測を大幅に下回るだろう」との見通しを示した旨。厳しい行動制限により、当初想定よりも感染拡大を抑えられていると主張した旨。近く専門家会議を設置し、経済活動の再開に向けた議論を本格的に始めると表明した旨。

以上の世界の概況の中、半導体および関連業界におけるコロナウィルス関連の対応&動きについて、以下日々の動きの中からの抽出である。

□4月5日(日)

コロナ・インパクト後に備える動きである。

◇CEO Steve Mollenkopf preparing Qualcomm for what comes after COVID-19 shutdown-Qualcomm CEO looks beyond the coronavirus shutdown (The San Diego Union-Tribune)
→QualcommのCEO、Steve Mollenkopf氏が、同社がコロナウィルス世界的大流行が緩和するとき如何に機能するか備えている旨。時間の大半を製品を予定通り確実にもつこと、そして必要な大きな回復に対応できる供給に充てていく旨。

□4月6日(月)

各社の寄付活動が続いている。

◇Intel donates 500,000 Euro to Irish charities in support of Covid-19 efforts-The multinational has made donations in communities where it has a significant business presence. (Irish Examiner)
→Intel Foundationが、コロナウィルス救済および回復を支援する慈善事業に約$540,000を寄付の旨。

◇COVID-19 Tech Bits-Industry offers tech to combat COVID-19 infections-Tech fights COVID-19 with AI, 3D printing, supercomputers, simulation & wearables (Semiconductor Engineering)
→COVID-19 High Performance Computing Consortiumは、COVID-19感染抑制を狙ったリサーチを支えるためにsupercomputing resourcesへのアクセスを供給の旨。3D printing技術, 人工呼吸器生産, wearablesおよびシミュレーションソフトウェアをもってコロナウィルス世界的大流行と戦う上での協力活動もある旨。

中国の半導体自立化に向けた投資踏み上げがあらわされている。

◇China revving up IC backend equipment development-Sources: China's Big Fund will invest in fab gear tech (DIGITIMES)
→業界筋発。中国が半導体装置の自己充足を拡大しており、国産メーカーが国内ファウンドリーおよびbackend housesに向けてwetプロセスおよびhigh-end back-end実装装置の開発を踏み上げている旨。中国のphase-2National IC Industry Investment Fund(Big Fund)が、国産メーカーによる半導体etching, 薄膜, testing, および洗浄装置の開発の財政支援継続だけでなく、主に米国サプライヤから供給されている先端lithographyおよびchemical mechanical planarization(CMP)装置の開発への投資も強化する旨。

◇イスラエル、医療テック勃興、スタートアップ、8年で倍増、日本勢との協業相次ぐ (日経)
→中東のシリコンバレーと呼ばれるイスラエルで、医療にITを活用する「デジタルヘルスケア」のスタートアップ企業が次々と生まれている旨。人工知能(AI)で治療計画づくりを支える企業など、2019年の関連企業は8年前から倍増し550社となった旨。個人の医療データが蓄積され、企業が使える環境がある旨。日本に商機を求める動きもあり、協業が始まっている旨。

□4月7日(火)

「COVID-19」との戦いに向けて、知的所有権を無料ライセンス供与する動きである。

◇Intel, Mozilla, and others join pledge to make IP freely available to fight coronavirus-Intel and others sign pledge for IP to fight the coronavirus (VentureBeat)
→Intel, Mozilla, およびCreative Commonsなどいくつかのorganizationsが、COVID-19と戦うためにintellectual property(IP)を入手可能にするよう法律エキスパートおよび科学者が率いる活動、Open COVID Pledgeに参加の旨。コロナウィルス世界的大流行を終わらせるよう協力を強化する狙いの旨。該目標支援に向けて、各社、各機関および各大学が、COVID-19の診断、予防あるいは治療に向けて技術を開発している誰にも自分たちの特許、copyrightsなど所有権を無料でライセンス供与する旨。

◇Intel pledges another $50M to COVID-19 relief (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社が、グローバルCOVID-19対応活動にさらに$50 millionを約束、総額約$60 millionとなる旨。

◇Taiwan IC design houses see sales pick up in March and April-Sources: Revenue rises for Taiwan-based IC design firms (DIGITIMES)
→業界筋発。治まらないコロナウィルス世界的大流行にも拘らず、大方の台湾のIC design housesの売上げが3月および4月で上昇する見込みの旨。特にヘルスケアMCUsに特化する向きは、3月および4月ともに印象的な結果となっていく旨。

◇次世代国産スパコン「富岳」、コロナ対策で活用研究−文科省 (日経 電子版 12:08)
→文部科学省は7日、新型コロナウイルス対策として、次世代の国産スーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」を活用した研究を始めると発表、治療薬候補の探索や、ウイルス表面のたんぱく質のふるまいの予測などに使う旨。富岳は2021年の運用開始を計画していたが、前倒しして試行的に利用を始める旨。

□4月9日(木)

コロナ対策で活況のビデオ会議について、セキュリティ絡みの問題が見えてきている。

◇US Senate tells members not to use Zoom (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国上院が、コロナウィルス危機の間に人気で活況のビデオ会議プラットフォームについてデータセキュリティを巡る懸念から、クラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスを提供するZoom Video Communications(San Jose)を使わないようメンバーに指示の旨。

◇Healthcare MCU shipments to stay in high gear throughout 2Q20-Sources: Pandemic to drive demand for health-care MCUs (DIGITIMES)
→業界筋発。新型コロナウイルス世界的大流行での耳および額の体温計およびヘルスケア応用に向けた需要が、第二四半期を通してmicrocontroller(MCU)売上げを高める旨。Generalplus, Sonix Technology, Holtek Semiconductor, Nuvoton TechnologyおよびHycon Technologyなどが、たくさんの半導体受注を抱える台湾のMCU specialistsである旨。

◇鴻海、米で人工呼吸器、来月から生産、政権と関係強化図る (日経)
→電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は8日、米国で人工呼吸器の生産に乗り出すと表明、アイルランドの医療機器大手・メドトロニックと協力し、液晶パネル工場を建設中の米中西部ウィスコンシン州で生産する旨。米では新型コロナウイルスの感染拡大で人工呼吸器が不足しており、鴻海はトランプ米政権との関係強化につなげる構え。

◇Intel CEO Says First-Quarter Demand Picked Up on Laptop Orders (Bloomberg)

◇On Semiconductor plans layoffs amid restructuring due to COVID-19-ON Semi responds to outbreak with 1.4% workforce reduction (The Business Journals/Phoenix)
→ON Semiconductor社が、COVID-19 pandemicによる財政的打撃からグローバルfootprintにわたって従業員475人を削減する意向の旨。同社グローバルworkforce、34,800人の約1.4%相当の旨。

今年の半導体市場予測も、現下のコロナ・インパクトから大幅な下方修正が以下の通りあらわれてきている。

◇Global semiconductor revenue expected to slump in 2020-Analysts predict COVID-19 will impact both semiconductor supply and demand. (ZDNet)
→Gartnerが、2020年グローバル半導体業界の評価を改定、前回の12.5%伸長から0.9%の減少と見る旨。

◇Global IC Market Forecast Lowered From 3% to -4%-Coronavirus pandemic further reduces worldwide GDP and IC market outlooks. (IC Insights)
→IC Insightsの2020年世界半導体市場の見方。Covid-19ウィルスの急速な世界的拡がりから、2020年第一四半期に世界が急激に変わった旨。

◇Gartner Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Decline 0.9% in 2020 Due to Coronavirus Impact-Expected Memory Revenue Growth of 13.9% Could Help Prevent Steep Decline (Gartner)

□4月10日(金)

◇Gartner, IC Insights cut 2020 chip market growth forecasts to negative-Market watchers revise 2020 forecasts (DIGITIMES)
→GartnerとIC Insightsが、新型コロナウイルス世界的大流行による販売高の低下を示すために半導体市場についてのそれぞれの2020年予測を改定の旨。「COVID-19の世界中への拡がりとその食い止めに向けた政府による強力な施策が、当初の予想よりはるかに重大な需要へのインパクトをもつ。」と、Gartnerのresearch practice vice president、Richard Gordon氏。

◇Business in the Age of COVID-19:Intel in the age of COVID-19: After sales surge to deal with the new normal, ‘all bets are off’-Intel CEO: High demand for laptop chips due to outbreak (MarketWatch)
→IntelのCEO、Bob Swan氏。学校の子供たちおよびworkersが在宅を迫られて、新型コロナウイルス世界的大流行によりlaptopsに搭載される半導体の需要が増加の旨。

◇パソコン供給追いつかず、在宅勤務と部品調達難で (日経 電子版 22:29)
→新型コロナウイルスの感染拡大を受け、パソコンやタブレットの需給が逼迫している旨。在宅勤務が広がり需要が急増する一方、サプライチェーン(供給網)の乱れで供給がままならないため。生産地が中国に偏り、部品調達などで混乱が生じている旨。パソコンなどの供給が滞り、円滑にテレワークができない人が増えれば経済活動がいっそう停滞する恐れもある旨。

「COVID-19」対抗に向けてAppleとGoogleの連携である。

◇Apple and Google team up to ‘contact trace’ the coronavirus (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

□4月11日(土)

◇コロナ濃厚接触をスマホで追跡、米アップルとグーグル (日経 電子版 04:09)
→米アップルとグーグルは10日、スマートフォンを使って新型コロナウイルスの濃厚接触の可能性を検出・追跡する技術を共同開発すると発表、5月に第1弾となる機能を各国の公衆衛生当局向けに提供を始める旨。スマホを使って感染経路を追跡する技術はすでに中国などで導入されているが、プライバシー上の課題もあり、対策が急務になっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【2月の世界半導体販売高】

前回、週末に発表された米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの定例の月次世界半導体販売高発表を示したが、それについての業界各紙の取り上げが以下の通りである。この2月について、$34.5 billion、前月比2.4%減、前年同月比5.0%増というデータ内容である。

◇Global Semiconductor Sales in February Down 2.4 Percent Month-to-Month (4月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇February IC sales down 2.4% m-o-m; up 5% y-o-y (4月6日付け Electronics Weekly)

◇Global semicon sales up 5% y-o-y in February to US$34.5b, says SIA (4月7日付け The Edge Markets)

◇Global semiconductor sales fall in February (4月7日付け New Electronics)

【米中摩擦関連】

米国の特に中国に対する輸出管理の一層厳格化が進められているが、SIAはじめ半導体について後退を求める主張である。

◇U.S. chipmaking industry pushes back on proposed export rule changes-Industry groups oppose proposed changes in export rules (4月6日付け Reuters)
→Semiconductor Industry Association(SIA), SEMIおよび7つのほかのtrade organizationsが、Wilbur Ross商務長官宛てletterにおいてコロナウィルス世界的大流行の渦中輸出管理変更案について意見公募手続を要求の旨。「半導体は一般の治療を行うhealth professionalsが用いる先端医療機器における機能性を引っ張っている。」と該letterは読み取られる旨。

◇U.S. chipmaking industry pushes back on proposed export rule changes (4月7日付け Reuters)
→業界団体が中国へのある半導体などの技術の販売にインパクトを与える米国輸出管理変更案を後退させている一方、COVID-19世界的大流行への対応で半導体が果たす役割を強調している旨。

中国側の筆頭当事者、Huaweiからの反発コメントである。

◇Huawei laments U.S. plans to crimp its global chip supply-Huawei exec: US plan to end chip supply is "unfortunate" (4月7日付け Reuters)
→Huawei Technologiesのnetworking事業、chief technology officer(CTO)、Paul Scanlan氏は、米国政府の同社向け半導体supply chainを遮断する計画を"unfortunate"とあらわしている旨。「しかし我々はR&Dに$20 billionを充て、それがたぶん我々がたくさん儲けている理由。」と付け加える同氏。

5G半導体およびHuaweiを巡る半導体業界模様があらわされている。

◇Samsung, MediaTek vying for 5G mobile chip orders from Huawei-Samsung, MediaTek compete for Huawei's 5G chip orders-With tensions between the US government and Huawei showing no signs of easing, the latter is looking to reduce reliance on the west. (4月9日付け Hindustan Times (India))
→Qualcommが米国政府から5G半導体のHuawei Technologiesへの販売を阻止される可能性があって、Samsung ElectronicsおよびMediaTekがHuawei向けモバイルチップセット供給で入り込める可能性の旨。Huaweiの社内半導体設計部門、HiSilicon Technologiesが該親会社にKirin 5G半導体を供給するが、Qualcommをサプライヤとして失う補填でHuaweiは外部ベンダーを必要とする旨。

【各社業績関連】

Samsung Electronicsの第一四半期が以下の通り増益を達成、スマートフォンの厳しい状況をメモリ半導体の値上がりが支えたという状況がうかがえている。

◇Samsung Electronics' First-Quarter Estimates Outperforms The Skeptics In Coronavirus Crisis-Samsung estimates Q1 operating profit of $5.2B amid outbreak (4月7日付け Forbes)

◇サムスン営業益2.7%増、1〜3月、半導体堅調 (4月7日付け 日経 電子版 09:53)
→韓国サムスン電子が7日発表した2020年1〜3月期連結決算の速報値。半導体の販売額が伸びたことで売上高は前年同期比5.0%増の55兆ウォン、営業利益が6兆4000億ウォン(約5720億円)と同2.7%増。半導体メモリの値上がりや、為替がウォン安に振れたことが寄与した旨。ただ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費低迷で「4〜6月期の不確実性は高まっている」(韓国証券会社)との指摘が目立つ旨。

◇韓経:半導体で持ち堪えたサムスン…「コロナの真の衝撃はこれから」 (4月8日付け 韓国・中央日報)
→「善戦したのではありません。持ち堪えたのでしょう」。
サムスン電子の1-3月期業績速報値の売り上げ55兆ウォン、営業利益6兆4000億ウォンに対するサムスン高位関係者の評価だ。半導体のおかげで業績評価のバロメーターとなる四半期6兆ウォン台の営業利益を守ったということだ。
産業界全体ではサムスン電子による錯視効果を懸念する。サムスン電子の善戦がややもすると「他の企業も大丈夫だろう」という「誤ったシグナル」を与えかねないという懸念だ。ある大企業関係者は「1-3月期の他の大企業の業績はショック水準を避けるのは難しいだろう」と話した。

◇サムスン、遠のくV字回復、スマホ出荷数千万台減、今年、5G期待、コロナで帳消し (4月8日付け 日経)
→韓国サムスン電子の2020年の復活シナリオが遠のいてきた旨。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、主力のスマートフォンの今年の出荷が数千万台程度減ることが予想されるため。スマホが落ち込むと関連の半導体やディスプレーなど大半の事業も落ち込むのが弱み。7日の決算発表に前後し、証券各社も相次ぎ同社の通期見通しを下方修正した旨。次世代通信網「5G」の普及などを背景とした、年初のV字回復期待は吹き飛んだ旨。

Samsungに先行の雰囲気を感じるが、7-nm以降の最先端微細化を引っ張るTSMCの3月の上場来高値の売上げという活況ぶりが次の通りである。

◇TSMC, UMC post increased March revenues-TSMC and UMC grow revenues in March (4月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2020年3月連結売上げがNT$113.52 billion($3.78 billion)、前月比21.5%増、前年同月比42.4%増。市場観測筋によると、該3月売上げは上場来高値の旨。第一四半期売上げがNT$310.60 billion、前年同期比42%増。UMCの2020年3月連結売上げがNT$14.57 billion、前月比7.1%増、前年同月比41.1%増。第一四半期売上げがNT$42.27 billion、前年同期比29.7%増。

コロナ・インパクトを本格的に受ける今後に注目となる。

【Imagination関連】

グラフィックス&通信プロセッサintellectual property(IP)のImagination Technologies(本社 英国)を巡る内容が以下の通り相次いだ今週始めである。2017年に中国側ownersに買収された同社の中国への移転を巡る動きによる緊急board meetingの開催が、結局は中止に至った推移である。

◇Imagination Tech's Fate Hangs as Chinese Investors Assert Rights (4月6日付け EE Times)
→英国に本社があるが中国の投資家が所有するグラフィックス&通信プロセッサintellectual property(IP)のImagination Technologiesが中国に移る瀬戸際にあるという週末報道を経て、同社の今後を巡る憶測が広まっている旨。Sky Newsによると、ImaginationはChina Reform Holdingsを代表する4人のdirectors指名を話し合う緊急board meetingを今週開催の旨。

◇MPs resist move to re-locate Imagination to China-Relocation of Imagination to China is opposed by key MPs (4月6日付け Electronics Weekly (UK))
→2017年に中国が支援するprivate equity company、Canyon Bridgeにより€550 millionで買収されたImaginationの緊急board meetingが火曜7日予定され、Imagination boardにCanyon Bridgeに最大の投資をしているChina Reform Holdingsの4人の代表を指名する動きがある旨。

◇Welcome to the Third Era of 32/64-bit Embedded CPUs (4月7日付け EE Times)
→Imagination Technologiesのchief strategy officer and chief of staff、Woz Ahmed氏記事。32/64-bit embeddedプロセッサのはじめの2つの時代は独自固有のアーキテクチャーで定義づけされたが、第3の時代はそうではない旨。

◇CEO and execs to resign if China takes control of Imagination-Chinese takeover of Imagination would see top execs leave (4月7日付け Electronics Weekly (UK))
→半導体intellectual property(IP)会社、Imagination TechnologyのCEO、Ron Black氏はじめsenior executivesが、同社最大株主、China Reform Holdingsが緊急board meetingにて4名のrepresentatives指名を進めれば、辞任となりそうな旨。中国政府が財政的に支えるprivate equity firm、Canyon Bridge Capital Partnersが、2017年にImaginationを約$680 millionで買収の旨。

◇Imagination Tech's Fate Hangs on Chinese Investors (4月8日付け EE Times India)

◇China's Imagination coup abandoned-Imagination's biggest shareholder calls off Chinese takeover-The China coup on Imagination has been abandoned. (4月7日付け Electronics Weekly (UK))
→Imaginationのowners、Canyon Bridgeが、Canyon Bridgeの最大の投資家で中国が制御するChina Reform Holdingsの4人のrepresentativesがImagination boardに指名される予定であった本日の緊急役員会を中止の旨。該指名はImaginationを中国に移転する予備と考えられていた旨。

【最先端微細化プロセス】

上記の各社業績でも触れたが、5-nmそして3-nmと、TSMCとSamsungのしのぎを削る現時点の状況である。

◇Samsung's plan to beat TSMC to 3-nanometer chips suffers setback (4月6日付け Cult Of Mac)
→今年のiPhone 12におけるA-シリーズ半導体は、Appleのパートナー、TSMCがつくる世界初の5-nanometer半導体の1つに入ろうとしているが、半導体メーカーはすでに明日の超強力半導体の開発となると5-nanometersの先を見ている旨。ともにこれまでApple向けA-シリーズ半導体をつくってきているライバル同士のTSMCおよびSamsungは、3-nanometer生産プロセスの探求に忙しいが、月曜6日発報道によると、Samsungが次々世代半導体プロセスをつくり出す試みで遅れを出したばかりの旨。

これら最先端アプローチへの特に信頼性の課題があらわされている。

◇Reliability Challenges Grow For 5/3nm-5nm and 3nm chips present reliability issues-New transistors, materials and higher density are changing the testing paradigm. (4月7日付け Semiconductor Engineering)
→5-nanometerおよび3nm features搭載microchipsの製造には、新材料および新しいトランジスタ構造の使用などの面が課題となる旨。「我々にはgate-all-around(GAA)などの型のトランジスタでも生じ得る欠陥型の広範囲に対応する正当な枠組みがある。」と、Siemens Business、Mentorのproduct marketing director for test、Geir Eide氏。

【中国の伸びっぷり】

自動運転のカリフォルニア州公道試験走行距離のランキングにて、中国勢の米国勢猛追ぶりである。

◇自動運転、中国勢が米国勢猛追、加州の試験ランキング (4月7日付け 日経 電子版 11:00)
→自動運転の技術開発の中心地とされる米カリフォルニア州で、中国系企業の活動が活発になっている旨。2019年の公道試験の走行距離のランキングでは米国勢を押しのけ、中国のスタートアップの小馬智行(ポニー・エーアイ)が3位、ネット大手の百度(バイドゥ)が4位に入った旨。米中のハイテク競争が激しくなる中、意外にも自動運転分野では中国勢が米国で実績を積み上げる旨。米中で先頭を競う構図が鮮明になりつつある旨。

世界知的所有権機関(WIPO)の2019年特許国際出願件数で、中国が米国を追い抜き初めて世界トップに立っている。

◇国際特許出願、中国が初の首位、昨年5万8990件、米を抜く、アジア、技術革新牽引 (4月8日付け 日経)
→世界知的所有権機関(WIPO)が7日発表した2019年の特許の国際出願件数によると、中国が米国を追い抜き初めて世界トップに立った旨。個別企業では中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が3年連続で首位。上位50社のうち6割以上を中国と日本、韓国の企業が占め、アジア勢が技術革新を牽引する構図が鮮明。
世界全体の出願件数は前年比5%増の26万5800件と、過去最多を更新した旨。デジタル通信やコンピュータ技術で申請が目立つ旨。次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)など先端技術の開発競争が激化し、企業や研究者が知的財産権の保護を強化している旨。出願のうち52%はアジアからで、欧州と北米はそれぞれ23%と続く旨。


≪グローバル雑学王−614≫

西太平洋のミクロネシア・ポリネシア・メラネシアの島々や オーストラリア大陸・ニュージーランド・ニューギニア島などの総称であるオセアニア、あるいは大洋州の諸民族に伝わる神話を、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

より味わっていく。歴史的背景から、東南アジアや中国南部に伝わるものと類似したものが存在しているとのこと。ミクロネシア・メラネシアの神話、オーストラリア・アボリジニの神話、そしてニュージーランドの神話から以下いくつかお話が挙げられている。ニュージーランドの神話で登場するマウイは、トリックスター(trickster)、すなわち神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者で、往々にしていたずら好きとして描かれ、特に名高いとある。


9 オセアニアの神話

・オーストラリアやニュージーランドなどの地域
→あまり知られていない神話
・まずは、「どこかで聞いたことがある」神話から

◎ミクロネシア・メラネシアの神話

⇒「イルカ女房」――ミクロネシア ウリティ島
 *二匹のイルカの少女たちが、岸辺にやって来て男たちのおどりを見ていた
 *2人の少女は夜毎尾びれを脱ぎ捨てて人間に変身し、その尾びれを隠していた
 *ある男が少女たちを盗み見し、1人の尾びれを盗んでしまった
 *その少女は海に戻れなくなり、その男と結婚し、2人の子をもうけた
 *ある日、尾びれを見つけ、それを身に付けた
 *海に戻る前に女は子供たちに「決してイルカの肉は食べないように」と警告した

⇒「空の乙女」――メラネシア バヌアツ
 *トリックスター(いたずら者の神)のクァットという男がいた
 *あるとき彼は空の乙女たちが翼を外して水浴びをしているのを見て、その翼を一組隠した
 *1人の乙女が空に帰れなくなってしまった
 *乙女はクァットと結婚した
 *ある日、彼女はクァットの母にしかられて、泣き出してしまい、その涙が翼を隠していた土を洗い流し、見つけた乙女は空に飛び去った
 *クァットは矢をくさり状にして天空に放ち、天空の樹の根元にからみつけ、妻を追って天空の世界に行った
 *しかしクァットが妻を連れて地上に下っている間に、根っこは折れてしまい、クァットは死んでしまった
 *空の乙女は天空に飛んで行ったということ
 ―とてもよく似ているこの2つの話
 →「天人女房型」、ほぼ世界中に分布
―次のように、よく知られた話が日本に

⇒「天女の羽衣」(「駿河国風土記逸文」)
 *昔、天女が天から降りてきて、その羽衣を松の枝にかけた
 *漁師がこれを手に取ってみると、えも言われずやわらかく軽い
 *返すよう天女に乞われたが、漁師は返さなかった
 *やむを得ず漁師の妻になった
 *のちに天女は羽衣を見つけて天に去り、漁師も仙人となって天に昇って結ばれた

◎オーストラリア・アボリジニの神話
・オーストラリアの先住民、アボリジニ」
→彼らの神話のキーワードは「夢の時代」
→「夢の時代」に、世界のすべての秩序が整えられた
・ユダヤ・キリスト・イスラームの一神教的な世界観
→神はあるとき世界を創り、その後は自らが創った世界の「外部」にいることに
→世界と神は、隔たっている
→人間は自然を「利用する」ことができる
→科学の発達が一神教の世界において顕著であった背景かも
・アボリジニの世界観においては、神はまさに「世界」そのもの
→人々は神の中で生きている
→人間は自然に手を加えることができない
・「違う神話、違う思想を持つ人々が世界にはたくさんいる」ということ

◎ニュージーランドの神話
・ニュージーランドの先住民、マオリ
→顔や身体に細かい入れ墨をしている伝統

⇒「天地分離」
…19世紀に、当時の大英帝国のニュージーランド総督、ジョージ・グレイが、マオリの首長から語ってもらった話
 *はじめに一組の夫婦神だけがあり、天空の神ランギと、大地の女神パパ
 *天地は暗黒で覆われていて、二人の神はたがいに抱き合ったままだった
 *二人の間に子供が生まれ、生き物が増えたが、光がさすことはなく、ずっと暗いままだった
 *子供たちは話し合い、天地を引き離す計画が立てられた
 *最後に森の神タネ・マフタが、頭を大地につけ、足を天にあげて力いっぱい押すと、天地は引き離されはじめた
 *とうとう天地は遠くへだたり、世界は明るくなった
 *遠く離れてしまった天と地の愛は今でも続いていて、大地の愛は霧になって天に届き、天の愛は露となって地に降り注ぐ
―原初のときに抱き合っていた天地の夫婦が分離して世界が形作られたという話は、類話が多く認められる

〇マウイの神話
・ニュージーランドの神話の中でも特に名高いトリックスター(いたずら者の神)、マウイの一連の神話

⇒「マウイの冒険」
 *半神半人のマウイは未熟児で生まれたため、母タランガが髪にくるみ海に捨てた
 *拾われて育てられ、やがて母と再会した
 *父親がマウイの命を保護するための呪文を唱えたが、一部を誤って省略、マウイは将来、死を克服できない運命となった

⇒「マウイ、太陽をつかまえる」
 *世界ができたばかりの頃、太陽は、駆け足で空をわたっていた
 *マウイは太陽をゆっくり歩ませるために、4人の兄たちに協力を求めた
 *太陽に見つからないように夜の間旅をし、太陽が昇ると身を隠した
 *東のほうの、太陽がそこから昇る穴にたどりついた
 *太陽が出てきてわなにかかると、太陽は大暴れしたが、ロープのわなはきつくしまっていくばかり
 *太陽はとうとう降参し、ロープが解かれた
 *太陽は、その後はゆっくりと空を渡るようになったという
―なぜ太陽神の脚の不具合の神話が広く語られているのか
 →太陽は空を非常にゆっくりと歩むので、その遅さが、古代人に、太陽は脚が悪いという神話を語らせたのではないか

 ⇒「マウイ、島を釣り上げる」
 *4人の兄たちが漁に出るとき、マウイはこっそりカヌーの船底に隠れた
 *兄たちにマウイはいい漁場を教えたので、魚がどっさりとれた
 *マウイは先祖の女神のあごの骨で作った釣り針に、自分の鼻血をつけて
 海に入れ、風を呼び寄せる呪文を唱えた
 *かかったのは、みごとな島だった
―「島釣り型」と呼ばれる創世神話の1つのタイプ
 →海に面した南海地域に多く分布

⇒「マウイ、人々に火をもたらす」
 *ある日、マウイはいたずら心を起こして、夜の間に村中の火を消して回った
 *翌日の朝早く、召使いたちは料理のための火を探したが、見つけることはできない
 *マウイが、火を持っているマフイカという祖先の女神の所へ行くことに
 *マフイカはマウイが自分の孫であることにすぐに気づいて、こころよく火を与えた
 *ところが、二、三歩歩いたところで、マウイはいたずら心を起こして火を消してしまい、「もう一つ火をくださいませんか」と言った
 *同じことを繰り返し、何度も火を消しては女神のところで新しい火をもらった
 *マウイは、もはや村に火を持ち帰ることなどに興味はなく、女神から最後の火まで奪ったらどうなるか、それが知りたかった
 *ついに女神はマウイが自分をあざむいていることに気づき、残っている足のつめを引き抜くと、それを地面に投げつけ、一面火の海となった
 *マウイは必死で逃げながら、雨の神タフィリを呼んで雨を降らしてくれるように頼んだ
 *女神マフイカの周りにも水かさが増し、以前に持っていた呪力を奪われてしまった
 *火は、乾燥した樹木の中に入り、人々は摩擦によって樹木から火を起こすことができるようになった

⇒「マウイ、死の克服に失敗する」
 …マウイの最後の冒険
 *マウイは人間たちを死から解放するため、小鳥たちをお供に西へ向かった
 *死の大女神ヒネ・ヌイ・テ・ポに会って、その脚の間から胎内にもぐりこみ、口から出ることに成功すれば、人間はみな、死の大女神から永遠に解き放たれる
 *マウイは小鳥たちに、何があろうと決して笑うなと言いわたした
 *マウイは芋虫になってはっていくと、孔雀鳩がついに笑い出してしまった
 *女神はその笑い声に目を覚まし、芋虫のマウイを殺してしまった
 *人間は、永遠に、不老不死を手に入れることができなくなった
―人は通常、母の脚の間から生まれる、その逆、脚から入って口から出ていくことで、マウイは死を克服しようとした

―「いたずら」と狡知によって世界の秩序を作り出した、それがマウイ

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