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2019年世界半導体販売高が12%減の$412 Billion;覆う肺炎インパクト

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、2019年12月そして2019年をまとめた販売高が表わされている。注目の年間は、史上最高を記録した2018年から12.1%減の$412.1 billionと、米中摩擦の渦中でのメモリ半導体価格低下はじめインパクトを受けた結果となっている。後半には販売高の持ち直しが見られ、10-12月四半期は7-9月を僅かながら上回って今後に期待感をもたせている。
そのような基調に突如襲った新型コロナウイルス肺炎発生のインパクトで、半導体市場関連にも近々に控えるイベントの延期、中止の一方、生産を続ける動きが見られている。早い鎮静化をひたすら願う中の注目、注視である。

≪12月および2019年の世界半導体販売高≫

今回の米国・SIAからの発表が、以下の通りである。新型コロナウイルス発生については触れていない。

〇2019年の世界半導体販売高が12%減の$412 Billion-第四四半期販売高が、前年同期比5.5%減、前四半期比0.9%増 …2月3日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2019年のグローバル半導体業界販売高が$412.1 billionで、2018年総計に対して12.1%の減少と発表した。2019年12月のグローバル販売高は$36.1 billionに達し、2018年12月総計に対して5.5%減、そして2019年11月総計を1.7%下回った。第四四半期の販売高は$108.3 billionが、2018年第四四半期総計を5.5%下回ったが、2019年第三四半期を0.9%上回った。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、半導体製造、設計および研究における米国のleadershipを代表している。

「グローバル貿易不安継続および製品pricingの循環性など要因の合流の渦中、2019年の世界半導体販売高はかなり低下して、前年比12%落ち込んだ。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「該グローバル市場は2019年後半の間に幾分戻し、第三四半期から第四四半期で僅かに増加、そして2020年については穏やかな年間伸長の見通しである。自由貿易を推進、グローバル市場へのオープンaccessを確実にする政策が、向こう数ヶ月の回復継続に向けて必要となる。U.S.-Mexico-Canada Agreement(USMCA)の批准および"第1段階"米中貿易合意の調印は、前向きのステップである。」

いくつかの半導体製品分野が2019年に目立っている。メモリおよびロジックが販売高で最大の半導体カテゴリーであり、それぞれ2019年販売高総計が$106.4 billionである。メモリ製品の販売高は2019年にdollar valueで大きく低下、2018年に対して32.6%減である。しかしながら、メモリの数量は僅かに増加である。メモリカテゴリーの中で、DRAM製品販売高は37.1%減、NANDフラッシュ製品の販売高は25.9%減であった。メモリ製品を含まない他の製品すべての販売高合計は、2019年に1.7%減である。microprocessorsなどのカテゴリー、Micro-ICs($66.4 billion)が、販売高総計で3番目の製品カテゴリーであった。optoelectronics製品の販売高はbright spotであり、2019年に9.3%の増加である。

すべての地域で年間販売高は次の通り減少している。
 Europe          -7.3%
 China          -8.7%
 Asia Pacific/All Other  -9.0%
 Japan          -10.0%
 Americas         -23.8%

2019年12月販売高の地域別では、以下の通り。

Americas
前年同月比 -10.8%/
前月比  0.1%
Europe
-7.6%/
-4.5%
Japan
-8.3%/
-2.0%
China
0.8%/
-1.5%
Asia Pacific/All Other
-7.5%/
-2.2%

              【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域Dec 2018Nov 2019Dec 2019前年同月比前月比
========
Americas
8.40
7.48
7.49
-10.8
0.1
Europe
3.47
3.35
3.20
-7.6
-4.5
Japan
3.32
3.10
3.04
-8.3
-2.0
China
12.71
13.00
12.81
0.8
-1.5
Asia Pacific/All Other
10.33
9.78
9.56
-7.5
-2.2
$38.22 B
$36.72 B
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %

--------------------------------------
市場地域
7- 9月平均
10-12月平均change
Americas
6.73
7.49
11.2
Europe
3.36
3.20
-4.7
Japan
3.12
3.04
-2.6
China
12.63
12.81
1.4
Asia Pacific/All Other
9.94
9.56
-3.8
$35.79 B
$36.10 B
0.9 %

--------------------------------------

※12月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/02/December-2019-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けた業界各紙の取り上げである。2019年販売高の落ち込みは2001年のDot-Com Bubble破裂以来という表し方が目立っている。

◇Chip Industry Had Worst Sales Year Since Dot-Com Bubble Burst (2月3日付け Bloomberg)
→Semiconductor Industry Association(SIA)の月曜3日ステートメント、2019年半導体業界売上げが12%減の$412 billion。dot-comバブル破裂で業界販売高が32%落ち込んだ2001年以降最大の落ちの旨。

◇Global semiconductor sales drop 12% in 2019, says SIA (2月4日付け DIGITIMES)

◇Chip Industry Had Worst Sales Year Since Dot-Com Bubble Burst (2月4日付け Bloomberg)

◇Semi market down 12.1% at $421bn says SIA-2019 semiconductor sales were 12.1% down y-o-y at $421 billion says the SIA.(2月4日付け Electronics Weekly)

◇Semiconductors Showed an Epic Slump in 2019-Market revenue saw its biggest decline since 2001 (2月4日付け Tom's Hardware)

2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。2018年11月から販売高が前月比マイナスとなって以降、12月、2019年に入って急激に落ち込む経緯があらわれているが、2月以降は$32 billion〜$33 billion台に押しとどまって、8月は$34 billion台に戻すに至っている。9月は$35 billion台半ば、そして10月は$36 billion台半ばを越えて2019年単月最高を続けて更新、11月がほぼ横ばい、12月が僅かに減少という経緯となっている。2019年販売高は2017年は上回っており、後半の持ち直しの2020年への波及を期待するところであるが、コロナウイルス・インパクトが水を差す現時点である。

販売高
前年同月比
前月比販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B


2019年の落ち込みは半導体の他のデータにも当然ながら連動しており、まずはシリコンウェーハ面積出荷についてである。

◇2019 Global Silicon Shipments Dip From 2018 Record High But Revenue Remained Stable Above $11 Billion (2月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)によるシリコンウェーハ業界のyear-end分析。2019年のシリコンウェーハ面積出荷総計が11,810 million square inches(MSI)、最高を記録した2018年の12,732 million square inchesから7%減、一方、2019年の売上げ総計は$11.15 billion、2018年の$11.38 billionから僅かに減少の旨。

◇Silicon slips 7%-Silicon shipments declined 7% in 2019, SEMI reports (2月7日付け Electronics Weekly (UK))

OEMの半導体購入額そしてランキングである。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Spending Declined in 2019 Due to Slowing Macroeconomy and Falling Memory Prices -Apple Took the Top Rank Among Global Semiconductor Customers in 2019 (2月5日付け Gartner)

◇Semiconductor spending declines in 2019, says Gartner-Gartner: Industry spending on chips fell in 2019 (2月6日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2019年の大手original equipment manufacturers(OEMs)の半導体spendが、メモリ価格低下が影響して減少の旨。Appleが、wearable製品, すなわちApple WatchおよびAirPodsでの成功が引っ張って、Samsung から首位の座を奪った旨。Huaweiが第3位を維持、米中貿易戦争にも拘らず2019年を通して健闘の旨。

日々推移がトップニュースの新型コロナウイルス発生関連であるが、半導体業界&市場の対応が以下の通り続いている。

この事態にも拘らず半導体生産を続ける中国での状況である。

◇China Maintains Chip Output in Wake of Virus Outbreak (1月31日付け EE Times)
→今回の突発事態は中国におけるLCD生産の大きな短期的減少を生じさせる、とIHS Markit。武漢(Wuhan)の半導体メーカーは、金曜31日時点で10,000人を上回る人々が感染したコロナウイルスの拡がりにも拘らず、生産を削減していない旨。例えば、3D NANDフラッシュのYangtze Memory Technologies Co., Ltd.(YMTC)は今週ステートメントを出し、従業員を保護ずる対策を採っており、現在のoperationsは"正常できちんとしている"旨。

◇China to Maintain Chip Output Despite Virus Outbreak-It's hard to square the “all is well” stance in China's chip sector with reports from other markets. The outbreak will create a significant near-term reduction in LCD production in China, says IHS Markit. (2月6日付け EE Times India)

◇Huawei, Chinese chip makers keep factories humming despite virus outbreak-Virus outbreak doesn't stop production at fabs, factories (2月3日付け Reuters)
→Huawei Technologiesが中国の拠点にてcarrier装置およびconsumer機器の生産を続ける一方、新型コロナウイルス発生の間で中国の半導体メーカーはウェーハ製造拠点をフルcapacityで動かしている旨。IHS Markitは、該発生の結果として中国のLCD生産の何らか減少を見ている旨。

中国側が稼働中断を勧めて、非常対応を迫られている韓国企業の中国における工場の状況である。

◇中国、工場稼働中断を勧告…サムスン・SK・LG超非常 (2月5日付け 韓国・中央日報)
→新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡散に伴うサプライチェーン管理(SCM)への支障が、半導体やディスプレー、家電など情報通信技術(ICT)業界に広がっている旨。特に輸出の20%以上を占める半導体とディスプレーまで打撃が及ぶ場合、韓国経済全体が揺れる可能性が提起されている旨。
4日、関連業界によると、中国に進出した韓国企業の工場「シャットダウン(shut down)事態」が長期化する兆しを示している旨。新型コロナ拡散阻止が喫緊の問題となった中国中央・地方政府の工場稼働中断勧告が続いているため。たった1秒でも工場を止めれば莫大な被害が避けられない半導体・ディスプレー業界はすでに非常経営体制に入った旨。サムスン電子の西安(NAND型フラッシュメモリ生産)・蘇州(半導体後工程)工場、SKハイニックスの無錫(DRAM生産)・重慶(NAND型フラッシュメモリ後工程)工場は現在稼働中。だが、SKハイニックス関係者は「最小人材を投じて正常稼働中だが、状況がどう変わるか分からないためコンティンジェンシープラン(非常経営)を稼動している」と話した旨。

当座に控える展示会イベントの延期&中止の動きが続いている。

◇Events Across SE Asia Cancelled Due to China Virus Outbreak (2月3日付け EE Times)
→新型コロナウイルスのエスカレートを巡る懸念、イベントが遅れたり、キャンセルされてきている旨。SEMIは、Semicon KoreaおよびSemicon Chinaを延期の旨。

◇SEMI Postpones SEMICON China, Suspends SEMICON Korea in Response to Coronavirus Outbreak (2月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Novel Coronavirus(2019-nCoV)発生の防止&制御における厳格な対策を中国政府が取り入れ、そのガイドラインに合わせ、来場者の健康&安全を守るために、SEMIが火曜4日、元々2020年3月18-20日に予定のSEMICON/FPD China 2020および関連イベントの延期を発表の旨。

◇SEMI Postpones SEMICON China, Suspends SEMICON Korea in Response to Coronavirus Outbreak (2月4日付け 3D InCites)

◇LG電子がスペイン携帯見本市への出展中止、韓国他社も追随か=新型肺炎 (2月5日付け 韓国・朝鮮日報)
→新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、韓国大企業がスペインのバルセロナで24日開幕するモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」への出展を取りやめたり、取りやめを検討したりしている旨。LG電子は5日、「顧客と社員の安全を優先する」としてMWCへの出展取りやめを発表した旨。

新型コロナウイルスのインパクトを受ける中で、今後の市場の見方がそれぞれの視点で以下の通りである。

◇Memory prices to continue growing after outbreak ends, says Adata chairman-Adata chairman sees memory chip prices rising after coronavirus outbreak (2月3日付け DIGITIMES)
→中国の新型コロナウイルス発生が第一四半期のconsumer需要を湿らせるという市場観測筋の懸念にも拘らず、Adata Technologyのchairman、Simon Chen氏はDRAMおよびNANDフラッシュの価格が後で引き続き戻していくと依然楽観的の旨。同氏は、該発生が実効的に食い止められればメモリ需要が5月あるいは6月までに伸びを回復すると見ている旨。

◇Flat Pricing, Minimal Transitions for Memory in 2020-Forecast: Memory faces a choppy year in 2020 (2月4日付け EE Times)
→2020年のメモリ市場の概況は、変遷は疑わしくフラットな様相、Brexit、貿易戦争および新型コロナウイルスからのインパクトが予想される旨。

◇Phison remains optimistic about NAND flash demand-Phison chairman is upbeat for 2020, despite virus outbreak (2月4日付け DIGITIMES)
→NANDフラッシュデバイスコントローラのspecialist、Phison Electronics(台湾)のchairman、KS Pua氏。新型コロナウイルスの発生にも拘らず、同社は今年の業績について依然楽観的の旨。コロナウイルス発生は、中国国内の短期的需給にインパクトを与える可能性、にも拘らず、Phisonは十分な半導体などupstream材料を確保でき、2020年第一四半期の売上げについて依然前向きの旨。

◇GaAs firms fulfilling orders on schedule-GaAs foundries are fulfilling their orders, sources say (2月5日付け DIGITIMES)
→Advanced Wireless Semiconductor(AWSC)など台湾のGaAs foundry housesの大方が、コロナウイルス発生からの受注へのインパクトは短期的には大きくなく、生産拠点の大部分が中国以外にあり、予定通り受注を遂行できる旨。

◇Backend firms positive about China 5G base station chips demand-Sources: China's demand for 5G base station chips continues (2月6日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC backendサービス各社が、新型コロナウイルス発生がいつ食い止められるかを巡る不安定性にも拘らず、中国からの5G基地局半導体需要が中長期的に力強いままと楽観的の旨。


≪市場実態PickUp≫

【湖北省武漢市】

新型コロナウイルス発生の源である中国湖北省武漢市を巡る日々の状況を追って、以下の通りである。封鎖状態にあるとされるが、「中国製造2025」の中核として、半導体では国産化率目標達成を目指してYangtze Memory Technologies Co.(YMTC)およびWuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing(XMC)が立地するとのこと。刻々目が離せないところである。

◇Wuhan lockdown strikes at heart of 'Made in China 2025'-Government goes all out to keep semiconductor and steel production rolling (2月3日付け Nikkei Asian Review)

◇滞る戦略都市、中国経済打撃、新型肺炎、ヒト・交通動けず (2月3日付け 日経 電子版 18:00)
→新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が中国の製造業を直撃している旨。発生地の湖北省武漢市は自動車やハイテク産業が集積する戦略都市だが、交通封鎖で物流は滞る旨。中国各地でも企業の休業が長引き、米中対立による中国経済の減速に追い打ちをかける旨。中国本土の死者数は361人と2002〜03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回り、3日に再開した中国株式市場では株価が急落した旨。世界中に工業製品を輸出する「世界の工場」の生産低迷で、世界貿易が縮小するリスクが高まる旨。
武漢は政府が進めるハイテク産業支援策「中国製造2025」の最前線でもある旨。半導体大手の紫光集団は中国企業として初めて3次元NAND型フラッシュメモリ量産に乗り出した旨。中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)もガラス基板が世界最大の「10.5世代」を生産する旨。

◇中国製造の心臓部、新型肺炎で長期封鎖も、武漢周辺 (2月4日付け 日経 電子版 02:00)
→新型コロナウイルスによる肺炎の発生地である中国湖北省の武漢市は、商都から鉄鋼、自動車、半導体へと産業を発達させてきた中国の経済発展を象徴する町の一つ。陸運と水運の結節点という交通の要衝でもある旨。感染の拡大を防ぐため湖北省のほぼ全域の封鎖は長引くとみられる旨。政府が重視する半導体や鉄鋼などの工場は操業が続くが、自動車産業を中心に中国の広い範囲で物流や交通の混乱が続くとみられる旨。

◇中国の戦略都市、機能不全、新型肺炎、武漢、車・ハイテクの中核、経済打撃、全土に (2月4日付け 日経)
→新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が中国の製造業を直撃している旨。発生地の湖北省武漢市は素材、自動車、ハイテクと幅広い産業が集まる戦略都市だが、春節(旧正月)休暇前に始まった他省との交通封鎖の範囲は広がっており、企業の休業が長引く恐れが強まっている旨。物流が滞れば中国全体の生産が低迷し、世界貿易が縮小するリスクが高まる旨。

◇ホンダ、武漢工場の稼働再延期、トヨタも4工場で検討 (2月6日付け 日経 電子版 18:50)
→ホンダは6日、中国の湖北省武漢市に持つ乗用車工場について、14日にも計画していた稼働再開の時期を再延期する方針を固めた旨。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、最短で2月下旬までずれ込む見通し。トヨタ自動車も中国4工場の稼働を早ければ10日に再開させることを目指していたが、再延期も含めて検討している旨。生産の中国依存は高まっており、電機や素材など製造業全般に影響が及んでいる旨。

◇Lockdown: Who's Who in Wuhan (2月6日付け EE Times)
→現在武漢市は、湖北省内の大方の都市とともに封鎖の状態にある旨。明らかに、該省内の輸送からcateringおよび旅行業まで諸々の業界が大きく影響を受けている旨。

◇Wuhan Profile: Besieged City Fights its Next Battle (2月6日付け EE Times)
→今日中国の“Optics Valley”と謳っている武漢。それは世界最大のfiber optics生産の本場。武漢はまた、中国の原産メモリ半導体会社の基地の役割で、NORフラッシュメーカー、Wuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing(XMC)および3D NANDフラッシュメモリspecialist、Yangtze Memory Technologies Co.(YMTC)などがある旨。該地域は、海外半導体サプライヤへの依存を引き離す中国政府の努力を代表の旨。

【米中摩擦関係】

休戦状態の中、トランプ大統領が一般教書演説で現時点の成果を強調している。

◇Huawei, ZTE urge U.S. not to impose national security risk labels-Huawei and ZTE lobby FCC over national security designation (2月3日付け Reuters)
→Huawei Technologies Co LtdとZTE社がともに月曜3日、米国・Federal Communications Commission(FCC)に対し米国国家セキュリティへのリスクとして指名を最終確定しないよう求めた旨。

◇U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years-US sees first drop in trade deficit since 2013 (2月5日付け Reuters)
→2019年の米国の貿易赤字が6年ぶりに減少、White Houseの中国との貿易戦争で輸入額が削られ、消費者出費低迷および弱含みのビジネス投資にも拘らず穏やかな経済成長が守られている旨。

◇トランプ大統領、経済政策の実績強調、一般教書演説 (2月5日付け 日経 電子版 05:12)
→トランプ米大統領は4日夜(日本時間5日午前)、議会で今後1年の米国の内政と外交の施政方針を包括的に示す一般教書演説(State of the Union Address、SOTU)を実施した。11月の大統領選をにらみ、雇用創出や貿易協定の締結など経済政策の実績を挙げて「公約を守った」と誇示した旨。医療や移民で野党・民主党のリベラルな政策を批判し、対決姿勢を鮮明にした旨。通商政策では1月に中国と署名した「第1段階合意」を巡り「米国製品に新しい巨大市場が開かれる」と力説した旨。北米自由貿易協定(NAFTA)見直しを実現したことを挙げ「過去(の大統領)と違って私は公約を守る」と強調した旨。新協定で「自動車産業に10万人の高賃金の雇用を生む」とも主張した旨。

中国側は、対米国の追加関税の一部引き下げを発表している。

◇China cuts tariffs on $75 billion in U.S. goods. That was the easy part. (2月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇China to halve tariffs on some U.S. imports as coronavirus risks grow-China to halve tariffs on 1,717 US products (2月6日付け Reuters)
→中国・Finance Ministryが、昨年米国製品1,717品目に課した関税を半分にする旨。該変更は2月14日施行の旨。

◇中国、対米追加関税の一部引き下げ、14日の合意発効で (2月6日付け 日経 電子版 14:17)
→中国国務院(政府)関税税則委員会は6日、米国から輸入する約750億ドル(約8兆2500億円)分の製品の追加関税率について14日に引き下げると発表、2019年9月に課した追加関税の税率を10%から5%に、5%から2.5%にそれぞれ引き下げる旨。これ以外の措置は継続する旨。

NYダウ株価は好感して最高値をつける一方、Huaweiへの牽制が続いている。

◇To counter Huawei, U.S. could take 'controlling stake' in Ericsson, Nokia: attorney general-AG Barr proposes investing in Ericsson, Nokia (2月6日付け Reuters)
→William Barr米国司法長官が、Huawei Technologiesの5Gネットワークinfrastructureに向けた世界市場の席巻を防ぐために、米国およびその同盟国がEricssonおよびNokiaに大きく投資する考えを持ち出した旨。

◇NYダウ続伸、80ドル超高で推移、過去最高値上回る (2月7日付け 日経 電子版 05:23)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、15時現在は前日比86ドル68セント高の2万9377ドル53セントと1月17日に付けた過去最高値(2万9348ドル)を上回っている旨。中国政府が6日、米国からの一部輸入品の関税引き下げを発表したことを好感した買いが入った旨。航空機のボーイング株の上昇も指数を押し上げている旨。

【各社業績と新型コロナウイルス発生インパクトの見方】

ソニー、Qualcomm、InfineonおよびTSMCと各社の業績発表&予想にそれぞれ、新型コロナウイルス発生インパクトが表わされている。強弱の見方も各様となっている。

◇Sony hikes profit outlook but fears coronavirus impact-Sony raises profit outlook, warns on coronavirus disruption-Virus outbreak threatens supply chain and strong sensor business results (2月4日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→ソニーが火曜4日投資家に対し、主にイメージセンサ事業の力強い売上げから今年度のoperating profitおよび売上げ予測を上げているにも拘らず、中国でのコロナウイルス発生が同社operationsを混乱させる可能性がある旨。

◇Qualcomm says China virus threatens phone industry disruption-Qualcomm reports virus concerns, increased revenues (2月5日付け Reuters)
→Qualcommの12月29日締め四半期の売上げが前年同期比5%増の$5.1 billionながら、同社executivesが、中国の新型コロナウイルス発生がスマートフォン需要を下落させグローバルsupply chainを混乱させる可能性、と警告の旨。同社は5G技術について少なくとも80件のlicense合意を完了、該期間でのチップセット売上げ減少にも拘らず伸びを焚きつけている旨。

◇Qualcomm Reports Higher Revenue, Issues Mixed Outlook -Like its peers, chip maker grappled with lower global smartphone sales last year (2月5日付け The Wall Street Journal)

◇Qualcomm gets first taste of 5G boom (2月6日付け Mobile World Live (U.K.))

◇Infineon yet to feel coronavirus impact as demand outlook lifts shares-Infineon pleases with quarterly forecast (2月5日付け Reuters)
→Infineon Technologiesが、第二四半期の売上げについて前四半期比5%増を予想、今四半期内にCypress Semiconductorの$10 billion買収を完了予定の旨。同社はまた、新型コロナウイルス発生からくるインパクトはまだないとしている旨。

◇TSMC leaves Q1 sales forecast unchanged despite Wuhan virus (2月5日付け Focus Taiwan News)
→TSMCが水曜5日、中国における新型コロナウイルス発生にも拘らず、南京および上海の工場での生産は正常のままであり、第一四半期の販売高予測($10.2 billion〜$10.3 billion)の維持を決めた旨。

【Intel関連】

Intelが、AI応用向けASICについて従来のNervanaから買収したばかりのHabana Labs製半導体に切り換える戦略的な動きである。

◇Intel Officially Axes Nervana-Intel chooses Habana AI chips over Nervana devices (2月3日付け EE Times)
→1.広く憶測された動き、Intelが、最近買収のHabana LabsからのGaudiおよびGoya半導体の方を選んでNervanaのデータセンター向けNNP-TおよびNNP-I training & 推論半導体を切っている旨。IntelのAI ASIC戦略は、今後Habana半導体に基づく旨。
 2.Intelが、artificial intelligence(AI)応用向けapplication-specific integrated circuits(ASICs)についてNervanaのNNP-TおよびNNP-I training & 推論半導体ではなくHabana Labs製のGaudiおよびGoya半導体を提示の旨。Intelは、12月にHabana買収に向け約$2 billion支払いの旨。

Intelが現地人材獲得に向けて新しく設けたイスラエルのsmart-building技術を投入した拠点である。

◇Intel bets on smart buildings in Israel to attract tech talent-Intel invests in smart-building tech to draw Israeli talent (2月5日付け Reuters)
→Intelが、smart-building技術を用いて同社拠点をより魅力的にして、イスラエルにおいて技術人材を引きつけるようにしている旨。Petah Tikvaの同社の新しいオフィスは、14,000個のセンサで環境に優しくしマッサージparlorおよびsmartジムがある旨。

【「Flashbolt」】

Samsung Electronicsが、High Bandwith Memory(HBM)の新製品規格、HBM2E準拠のDRAM発売を発表している。人工知能(AI)と次世代スーパーコンピュータ(HPC)用データ分析に活用できる超高速DRAM、「Flashbolt」は、容量16ギガバイト(GB)の第3世代高帯域幅メモリで、これまでの第2世代より速度が1.3倍、容量が2.0倍向上したとのこと。第2世代8GBのHBM2 DRAM「Aquabolt」を世界で初めて開発し量産を始めてから2年で第3世代製品を発売し、次世代プレミアムメモリ市場の先取りに乗り出したとの見方が出ている模様である。

◇Samsung launches 16GB HBM2E Flashbolt-Samsung unveils "Flashbolt" HBM2E DRAM-The new memory chip boasts a data transfer rate of 3.2Gbps. (2月4日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、3.2 gigabits per secondのデータ転送速度で16 gigabytesのデータを蓄えられるDRAM半導体、"Flashbolt"第3世代High Bandwith Memory 2Eを投入、該メモリ半導体は、artificial intelligence(AI), ビッグデータanalytics, グラフィックス, 高性能computingおよびsuper computing向け応用に入っていく旨。

◇Samsung Electronics launches super-speed DRAM ‘Flashbolt’ for supercomputing (2月4日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))

◇サムスン電子、世界初の超高速DRAMを発売 (2月5日付け 韓国・KBS WORLD RADIO)
→サムスン電子は4日、次世代のスーパーコンピュータやAI=人工知能によるデータ分析に活用できる世界初の超高速DRAM、「フラッシュボルト」の発売を開始、フラッシュボルトは、16ギガバイトの容量を持つDRAMで、従来のモデルより容量は2倍増え、データを読み書きする速度が1.3倍速くなり、フルHD画像の高画質の映画、82本をたったの1秒で送信できる旨。

【AI Accelerator搭載車載用SoC】

Texas Instruments(TI)が、ADAS、ゲートウェイ、車載コンピューティング、デジタル・コックピットの各システムに向けたJacinto(TM)車載プロセッサ・シリーズで、初めてAI Acceleratorを搭載したSoCを披露している。

◇TI's First Automotive SoC with an AI Accelerator Launches (2月4日付け EE Times)
→TIが、初めて同社車載SoCsの1つに専用AI acceleratorを追加、車載ADASシステムにおけるdeep learning技法の採用増大を完全に示す動きの旨。
Jacinto 7シリーズの一環として打ち上げられた2つの最初のSoCsの1つ、TDA4VMは、8-megapixel front-mountedカメラシステムからの入力を取り扱うよう設計されたセンサpre-processingおよびデータanalyticsを結びつける旨。

◇TI Reveal Automotive SoC with an AI Accelerator-Mid-range ADAS processor includes dedicated deep learning accelerator for the first time. (2月6日付け EE Times India)

【112層フラッシュメモリ】

キオクシア(旧東芝メモリ)が、従来の96層からの飛躍、112層積層プロセスによる第5世代3次元フラッシュメモリ「BiCS(Bit-Cost Scalable) FLASH」を試作して、基本動作を確認したと発表、以下の概要である。

◇KIOXIA announce 5th Generation of BiCS-KIOXIA intros 5th-gen BiCS-based 3D NAND flash (2月4日付け New Electronics)
→KIOXIA Europe GmbHが、112-層垂直stacked構造搭載同社第5世代BiCS FLASH three-dimensional(3D)フラッシュメモリの開発に成功、64 gigabytesのデータを蓄えられるtriple-level-cell(TLC)フラッシュメモリのサンプルを配布している旨。

◇キオクシア、112層のフラッシュメモリ (2月7日付け 日経産業)
→半導体大手のキオクシア(旧東芝メモリ)は112層の記憶素子を積層したフラッシュメモリを試作、回路技術などを最適化して、現行の96層品に比べ単位面積あたりの記憶容量を約20%向上した旨。協業先の米ウエスタンデジタル(WD)と共同開発、試作品の容量は512ギガビットで、1つの記憶素子に3ビットを記録する旨。


≪グローバル雑学王−605≫

メソポタミアとその周辺に纏わる神話を辿っていく2回目は、今のシリアおよびパレスチナあたりというと、かつての美しい風景が今や戦火に苛まされている感じ方になってしまうが、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

より、該地域に根差す神話に触れていく。シリアの地中海岸にあった古代都市ウガリットに保存されていた粘土板文書に記されていた神話、ウガリット神話、そして唯一の神を崇めるユダヤ人が最初の足跡を残した不毛の荒れ地、パレスチナの神話である。パレスチナの神話にある「ノアの洪水」は、前回示した『ギルガメシュ叙事詩』のウトナピシュティムの洪水の話ととてもよく似ているが、このことが発見されたのが1872年で、聖書よりも古くに成立していた『ギルガメシュ叙事詩』から借りてきた話であることが、証明されてしまったとのこと。当時にすれば、すがっていたものの信用&信頼問題に関わることという状況がうなずけるところである。


2 メソポタミアとその周辺の神話 …2分の2

◎ウガリット

・聖書でカナンと呼ばれている地域、ウガリット
→いまのシリアとパレスチナのあたり
・紀元前14世紀のウガリット神話
・重要な神としては、神々の父、最高神のエルと息子の豊穣の神バアル
・バアルは嵐と雷鳴の中で活躍、その武器は雷光
 →混沌を象徴する海に対し勝利を収め、世界の秩序を確立
 →雨を降らせることによって土地を肥沃にし、大地に豊穣を授ける
・シュメールのドゥムジ、バビロニアのタンムズなどのように、バアルもまた死んではよみがえる穀物の神
◇ほかの雷を武器とする神
 →インド…インドラ神が雷の象徴、ヴァジュラ(金剛杵)を持つ
 →北欧神話…トールという戦神、ミョルニルというハンマーが得意の武器
 →ギリシア…ゼウスが雷の神

⇒「バアルとモトの闘争」
 *宿敵モトがバアルに言った。「今お前は冥界へと降っていく」
 *バアルの妹、女神アナトは、バアルがどこにも見つからないとわかると、モトを攻撃した
 *すると、バアルがよみがえった
 *モトは最終的に再び現れ、バアルと戦うことに
―バアルとモトの戦いは季節的な意味
 ⇒周期的に繰り返される冬と夏の交替をあらわす

◎パレスチナの神話

・不毛の荒れ地、パレスチナ
・唯一の神を崇めるユダヤ人は、その地に最初の足跡を残した

□『旧約聖書』の「創世記」
・ユダヤ教の聖典「旧約聖書」
 →一神教の世界に基づき、世界のほとんどの地域と根本的に違う
 →神は唯一絶対の男神

⇒「天地創造」
―「創世記」では、神の「ことば」によって世界が創られていく
―神は光と闇を「分け」、光を昼、闇を夜とよんだ
―次に神は、大空と、大地と海、草木、太陽と月と星、水の生き物と鳥、家畜、地の獣を創造、最後に、人間を創った
―『旧約聖書』は、ある伝承では神は男女を同時に創り、別の伝承では、神は先に男を創り、あとから女を創った、とある
―後者の場合、後のキリスト教社会の男女不平等の問題にもつながっていく

⇒「蛇の誘惑」
 *蛇は神が創造した野の動物の中でいちばん狡猾
 *蛇はエデンの園の中央にある善悪の知識の木の実を食べるよう女をそそのかした
  …食べても触れてもいけないと禁じられていた木の実
 *女はその実を取って食べ、アダムにも渡した
 *神の怒りにより、二人はエデンの園から追放された
 *アダムは女をエバ(命)と名付けた
―さまざまな絵画に描かれているこの誘惑の蛇
―蛇と女は、たいへん近いもの
―蛇はもともと女神、旧石器時代以来、蛇は女神と一体

⇒「カインとアベル」
 *アダムとエバの間にカインとアベルという兄弟が誕生
 *神は兄弟2人の供物を見て、カインの供物はかえりみなかった
 *カインは大いに怒り、アベルを殺して、神の前を去り、エデンの東に住み、都市を建設した
―都市というものが、エバとカインの二重の罪の結実であるということに
―罪深きものとして都市が位置づけられている…筆者の考え

・「創世記」はこの後、ノアの箱船の話に
・アダムは930才で死んだ
・その子孫ノアは神にしたがう無垢の人
・ノアが600才のときに洪水が起こった

⇒「ノアの洪水」
 *神は人間が悪いことばかりに従事していることに心を痛め、後悔した
 *ノアは善人であったので、神の好意を得た
 *神はノアに、箱船を造り、妻子を連れてすべての命あるものの雄と雌も共に入るよう命じた
 *洪水は40日間地上を覆い、水は150日の間、地上に留まった
 *箱船はアララト山の上にとまった
 *水が引いたことを知ったノアは箱船から出て、生けにえを焼いてささげ物とした
 *神は、今後ふたたび洪水によってすべての生命がほろびることがないことを約束、虹が雲の中に置かれた
―『ギルガメシュ叙事詩』のウトナピシュティムの洪水の話ととてもよく似ている
―このことが発見されたのが1872年のこと
―聖書よりも古くに成立していた『ギルガメシュ叙事詩』から借りてきた話であることが、証明されてしまった
―これは当時、人々の信仰をゆるがしかねない、大きなできごと

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