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AI、5Gなどに向けた各社競演、世界の摩擦&緊張の中のCES 2020

恒例の年初早々のConsumer Electronics Show(CES) 2020(1月7日〜10日:Las Vegas)が開催され、米中貿易摩擦に加えて米国とイランの一触即発の緊張が覆う中、昨年、2019年の5G元年という打ち上げから、今回はartificial intelligence(AI)そして5Gなど多彩な応用分野への一層の浸透、深化を感じるところである。Alibaba, Tencent, およびJD.comなど中国のハイテク大手が参加していない一方、Appleが約30年ぶりの正式参加、と米中の軋轢が色濃く影を落とす中ではあるが、半導体関連ではIntel、Texas Instruments(TI)、AMD、Qualcommなど伝統的な常連の顔ぶれのAI、5G、自動運転はじめ活発な打ち上げが見られてホッとする感じ方がある。

≪多彩な応用の深化≫

今回のCESの概要、雰囲気から、まずは開催直前である。

◇CES開幕間近、準備進む米ラスベガス (1月5日付け 日経 電子版 13:30)
→世界最大のディジタル技術見本市「CES」が7日、米ラスベガスで開かれる旨。開幕を控えた現地では急ピッチで準備が進み、会場周辺もCESムードが漂っている旨。

そして、開幕。中国のハイテク大所の不在である。

◇CES 2020 Kickoff Highlights the Decoupling of U.S. and China's Tech (1月7日付け Fortune)
→世界最大のconsumer技術trade showが、米中のハイテクcold warの渦中、火曜7日にLas Vegasで開幕、artificial intelligence(AI)および5Gなど中国のinnovation活動の重点である新世代技術がCES 2020の最前線である一方、Alibaba, Tencent, およびJD.comなど主要な中国のハイテクプレイヤーがこの10年最初の主要グローバルハイテクイベントに出ていない旨。

端的な全体概要、中国勢の参加低下の一方、とめどない分野の広がり&進展である。

◇デジタル技術、見本市が映す米中分断、AI開発主導のアリババ不参加 (1月7日付け 日経 電子版 05:16)
→世界最大のデジタル技術見本市「CES」が7日、米ラスベガスで開幕、一般公開に先立って5日から始まったメディア向けの事前公開で目立つのは米中対立や「分断」の爪痕。多くの産業で付加価値の源泉がハードからソフトに移る大転換が迫るなか、日本勢を含む企業は「ニューノーマル(新常態)」への対応を迫られる旨。
米中の対立激化を背景に中国勢の存在感は低下気味。2010年に12万人台だったCESの来場者は2017年には過去最高となる18万4000人にまで増加した旨。この増加を支えたのは中国からの来場者だったが、2019年は前年より17%少ない約1万3000人に減少。韓国や日本からの来場者がそれぞれ1割以上増えたのと明暗を分けた旨。

◇CES、あす開幕、未来のサービス披露 (1月7日付け 日刊工業)
→世界最大規模の家電・IT見本市「CES」が7日(日本時間8日)、米ラスベガスで開幕、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の進展で家電・IT、自動車など産業の垣根を越えた未来のサービスが披露される旨。
米デルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)が航空会社として初めて基調講演し、米アップル幹部もプライバシーに関する座談会に登壇。アップルのCESへの正式参加は約30年ぶりの旨。

◇見本市CES、AI競演、グーグル、音読滑らかに、アマゾン、「アレクサ」を車載 (1月9日付け 日経)
→世界最大のデジタル技術見本市「CES」が7日、開幕、CESを舞台に人工知能(AI)を使った音声認識技術の進化を競うグーグルとアマゾン・ドット・コムの米IT大手2社は今年も存在感を見せつけた旨。生活に浸透しつつある音声AIの深掘りが進む一方、利用者の声が集められることへの懸念は強まり、両社はプライバシー保護の説明にも力を割くようになっている旨。

◇米「CES」開幕、最新技術で新サービス創出 (1月9日付け 日刊工業)
→世界最大規模の家電・IT見本市「CES」が7日(日本時間8日)開幕、家電や自動車分野だけでなく、出展社が25%増えたデジタルヘルスケア分野をはじめ、デジタル技術を活用した「住宅」や「旅行」などの分野も注目が高まっている旨。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、第5世代通信(5G)といった最新技術の“出口”となるサービスが広がりを見せつつある旨。

開幕講演より、2010年代のIoTから2020年代はintelligence of thingsと、新しいカラーが謳われている。

◇CES: Top Trends in 2020 (1月7日付け EE Times India)
→CES 2020(Las Vegas)にて、Consumer Technology Association(CTA)のvice president of market research、Steve Koenig氏のopeningプレゼン。機器の一層のintelligence、自動車のelectrification、およびディジタルヘルスが、2020年で見られるトップハイテクトレンドである旨。
「ここ10年はinternet of things[IoT]であったが、今やintelligence of thingsで定義づけられる新しい10年が始まる。」

イランとの緊張の渦中での、米国政府の運輸長官の講演である。

◇Secretary of Transportation Presents Solution for ‘Mystery Drone’ Problem (1月9日付け EE Times)
→Trump大統領がイランのQassim Soleimani司令官をBaghdad International Airportで殺害するdrone攻撃を命令後わずか5日、運輸長官Elaine Chao氏が水曜8日Consumer Electronics Show(CES)にて、米国空域でのdronesのunregulated使用を厳しく取り締まると立ち見席以外満員の聴衆に約束の旨。

Boeingの事故も厳しい目が向けられている。

◇Airline Safety Omitted at CES (1月9日付け EE Times India)
→航空技術の今後についてのCESプレゼンで目立って欠けているのが、Boeing 737 Maxの2件の墜落の直後における定期航空安全性の重大な問題であった旨。

そうして閉幕に。AIのプレゼンスが一層のこと、高まっている。

◇米デジタル見本市CES閉幕へ、AIで賢くつなぐ時代に−プライバシー保護に厳しい目も (1月10日付け 日経 電子版 14:27)
→10日に閉幕する米デジタル技術見本市「CES」は人工知能(AI)が人々の生活に浸透する時代が一段と近づいたことを印象づけた旨。あらゆるモノがネットにつながるIoTを深掘りし、ハードやサービスを賢く便利に使うにはAIは欠かせない存在となる旨。一方で多くの利用者が使いたいと思う製品・サービスの開発やデータの処理能力の確保、プライバシー保護といった課題も浮き彫りになった旨。

半導体業界の目ということで、CESあるいはそのタイミングでの各社の新たな打ち上げ関連を取り出している。世界の現下の情勢から、米欧メーカーが主体の内容になるのは致し方ないところである。

まずは、Intelについて。CESに先立ってか、量子computingに向けた低温制御プロセッサがあらわされている。

◇Intel Cryogenic Chip for Quantum Computing-A processor that allows control of many qubits simultaneously and will facilitate the development of larger and more complex quantum computing systems. (1月6日付け EE Times)
→Intelが、量子computingに焦点を当てた新しいハードウェアソリューションを披露、Horse Ridgeは、full-stack量子computingシステムの開発を加速するよう設計された初の低温制御プロセッサである旨。

CESにおいては、広範囲の新分野を覆う内容の打ち上げ、以下の通りである。

◇Everything Intel announced at CES 2020: A.I., VR, and folding laptops-Intel unveils augmented video, Tiger Lake processors at CES (1月6日付け Digital Trends)
→IntelがCES 2020(Las Vegas)にて、いくつかの発表を行い、augmented video技術および今年後半に出荷予定のIntel Core "Tiger Lake"モバイルプロセッサのpreviewなどの旨。

◇Intel's Mobileye demos autonomous car equipped only with cameras, no other sensors (1月6日付け Reuters)
→Intelの子会社、Mobileyeが、12個のon-boardカメラを用い他にはセンサはなくてJerusalemの街を通る自動運転をビデオプレゼンの旨。

◇It's all about data for Intel at CES 2020 (1月7日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→半導体メーカー、Intel社が今年のConsumer Electronics Show(CES)にて、PCおよびデータセンター事業を巡るいくつかの新しい製品および連携を披露、同社初のディスクリートgraphics processing unit(GPU)、同社第2世代10-nanometer central processing unit(CPU)およびfoldable OLED画面搭載concept機器などの旨。IntelのCEO、Bob Swan氏が、3つの新興途上技術、5G, artificial intelligence(AI)およびintelligent edge機器の中核にあるIntelの戦略の概要を説明、同社イベントをキックオフの旨。

◇CES 2020: Intel previews Tiger Lake mobile processors and discrete GPU-CEO Bob Swan said the chip giant is focused on 'relentless innovation'. (1月7日付け ZDNet)

◇AI Mapping Used for Disaster Preparedness (1月10日付け EE Times India)
→Intelが、同社のMissing MapsプロジェクトでRed Crossと連携、攻撃されやすい地域の地図をつくり、道路、橋、建物などインフラを同定する旨。

次に、Intelに対抗するAMD。7-nmプロセスでの最高性能が強く打ち出されている。

◇AMD unveils mainstream 7-nanometer Radeon 5600 GPUs and new mobile Ryzens-AMD intros mobile Ryzen chips, 7nm Radeon 5600 GPUs (1月6日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、7-nanometerプロセスでつくられたgraphics processing units(GPUs)、AMD 5600ラインを披露、Nvidiaの主流GPUsに対抗の旨。AMDのCEO、Lisa Su氏はまた、7-nmプロセス製造の64-core, 128-thread Ryzen Threadripperプロセッサも披露、価格$4,000で2月7日に出てくる旨。

◇Gamers Inspire Latest Mobile and Desktop Processors (1月8日付け EE Times)
→AMDのCEO, Lisa Su氏が、世界最高性能のdesktopプロセッサおよび超薄laptopプロセッサを発表、CES 2020にて元気に溢れていた旨。

◇AMD CEO interview - Expect a lot more from us in 2020-AMD CEO sets high expectations for 2020 (1月8日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su氏が、ここ2年の間同社をIntelから市場シェアを獲得するよう引っ張り、AMDでの該転向を終えていない旨。「2020年に我々からさらにずっと多くの期待を」と、CES 2020(Las Vegas)にてreportersに対して同氏。

TIは、車載応用に向けた新規プロセッサである。

◇TI Brings ADAS to the Masses With New Processors (1月8日付け EE Times)

◇CES 2020 - Jacinto 7 processors to support automative ADAS and gateway applications-CES 2020: TI debuts Jacinto 7 processors for ADAS, gateways (1月8日付け New Electronics)
→Texas Instruments(TI)が今週CESにて、車載応用向けJacinto 7プロセッサプラットフォームを投入、advanced driver assistance systems(ADAS)および車載gateway応用に関わる課題に対応、enhanced deep learning capabilitiesおよび先端networkingをもたらす旨。まず出てくるのは、ADAS向けTDA4VMプロセッサおよび車載gatewayシステム向けDRA829Vプロセッサの旨。

◇TI Target ADAS With New Processors (1月8日付け EE Times India)
→Texas Instruments(TI)が今週のConsumer Electronics Show(CES)にて、ADASおよびgatewayプロセッサ、TDA4VMおよびDRA829Vを投入、TIの最新Jacintoプラットフォームで構築、mass-market ADAS車を可能にするよう設計されている旨。この動きは、当初の完全自動運転車を開拓するcommitmentから縮小するいくつかの大手car OEMsによる決定を強調している旨。

Qualcommは、5G応用の急伸、そして自動運転向けの取り組みを披露している。

◇Qualcomm promises better voice calls over Bluetooth with aptX Voice-Qualcomm intros new tech, predicts 5G growth (1月6日付け TechCrunch)
→Qualcommのpresident、Cristiano Amon氏は、今年5G機器がこれまでの目標200 million台を遥かに越え、5G connectionsが2025年前に2.8 billionに達すると見ている旨。Qualcommはまた、5G personal computer, 改善されたBluetooth音声技術および自動運転向けscalingプラットフォームを投入の旨。

◇Qualcomm expects over 200 million 5G devices in 2020, reveals Yoga 5G PC (1月6日付け VentureBeat)

◇CES 2020: Qualcomm Automotive unveils new autonomous driving platform-The chipmaker also introduced a new car-to-cloud services platform, as well as a new reference platform to advance Cellular Vehicle-to-Everything (C-V2X) technology. (1月6日付け ZDNet)

◇Qualcomm announces chips for self-driving cars that could be in cars by 2023-Qualcomm debuts Snapdragon Ride system for self-driving cars (1月6日付け CNBC)
→Qualcommが、自動運転車向けのSnapdragon Driveシステムを投入、車のセンサによりつくられたデータをまとめていく旨。同社はまた、cellular vehicle to everything(C-V2X)通信技術を用いるシステムも発表の旨。

欧州のNXP Semiconductorsは、これも車載向け、新しいnetworkプロセッサを展開している。

◇NXP Rolls Out Vehicle Network Processor-If a software-upgradeable car is the automotive industry's objective, NXP's S32G is designed to bring car OEMs a step closer to it. (1月6日付け EE Times)
→NXP Semiconductorsが今週のCESにて、新しいvehicle networkプロセッサ, S32Gを展開、2つのプロセッサ、車載microprocessor(MPU)とenterprise networkプロセッサを組み合わせた“a single-chip version”の旨。

◇NXP unveils S32G automotive network processors-NXP unveils S32G network processors for auto uses (1月6日付け New Electronics)
→NXP Semiconductorsが、先端車載electronics向けS32G vehicle networkプロセッサを投入、vehicleアーキテクチャーの設計&取り入れの中で大きなturning pointが示される旨。該半導体は、同社プロセッサのS32ラインの一部の旨。

Samsung、SK Hynixの韓国勢は、メモリ半導体価格がやっと底打ちの気配かというところで、今回目に入った以下2点である。

◇ノーベゼルvsロールダウン…サムスン・LG、米CESでテレビ戦争 (1月6日付け 韓国・中央日報)
→8Kテレビ市場の最強者は誰になるだろうか。7日(現地時間)、米国で開幕する世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2020」でサムスン電子とLGエレクトロニクスが8Kテレビ市場の王座をめぐり再激突する。これまでサムスン電子とLGエレクトロニクスはそれぞれ「QLED 8Kテレビ」と「リアル8Kテレビ」を前面に掲げて激しい攻防戦を展開してきた。今年のCESで両社はそれぞれ画面のベゼルをなくした(bezel-less)テレビや画面をコンパクトに巻いて収納できるロールダウン(roll down)テレビを全面に出して8Kテレビ市場の王座を狙う。

◇[CES 2020] SK hynix boasts advanced memory solutions-CES 2020: SK Hynix demonstrates advanced memory tech (1月7日付け The Korea Herald (Seoul))
→CES 2020にて、SK Hynixが、5G, artificial intelligence(AI), augmented reality(AR), 車載, ビッグデータ, internet of things(IoT)およびvirtual reality(VR)応用に向けた次世代DRAMsを披露、同社はまた、CMOSイメージセンサ、Low Power DDR5 DRAMsおよびUniversal Flash Storage(UFS)製品も展示の旨。

今回の新規の取り組みの中より、haptic(触覚)技術に注目させられている。

◇Driver Safety Strengthened By Piezo Haptic Feedback (1月8日付け EE Times)

◇Driver Safety to be Enhanced with Piezo Haptic Feedback (1月9日付け EE Times India)
→Boreas Technologies(Bromont, Canada)が、最初という低電力高電圧piezoelectric driver ICを展開、車載human machineインタフェースにおける高品位hapticフィードバックを可能にする旨。

◇First Haptic Smartphone Display Offers Texture Sensations (1月10日付け EE Times India)
→今年のConsumer Electronics Show(CES)にて、フランスの触覚技術startup、Hap2Uが、世界初、触覚スマートフォンディスプレイを披露、ユーザがtouchscreens上で物体を感じられる旨。該Hap2phone技術は、2020 CES Innovation Awardを受賞の旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米国から対中国警戒の動きが見られる年初早々である。

◇U.S. government limits exports of artificial intelligence software (1月4日付け Reuters)
→Trump政権が、来週付けでartificial intelligence(AI)ソフトウェアの輸出にさらなる歯止め、中国のようなライバル勢力の手から敏感な技術を守る努力の一環の旨。

◇Trump administration pressed Dutch hard to cancel China chip-equipment sale: sources-Sources: US wanted to keep EUV litho tools from China (1月6日付け Reuters)
→本件事情通を引用、Reuters発。Trump政権が最近オランダ政府に対し、ASMLがextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムを中国の顧客に出荷しないよう働きかけの旨。昨年7月のWhite Houseでの会談を経て、オランダ政府(コメントを控えている)はASMLの輸出licenseを更新せず、$150 million EUV scannerが中国に出荷されなかった旨。

「第1段階の合意」調印は予定通りの模様、Trump大統領の率直な今後の線表があらわされている。

◇China's Vice Premier Liu to sign U.S. trade deal in Washington next week (1月9日付け Reuters)
→中国商務省、木曜9日発。米中貿易交渉の中国の交渉チームhead、Liu He(劉鶴)副首相が、来週Washingtonで“Phase 1”合意に調印する旨。

◇トランプ氏、第2段階の対中協議「すぐに開始」 (1月10日付け 日経 電子版 05:45)
→トランプ米大統領は9日、中国との貿易交渉に関して「すぐに『第2段階』を始める」と述べ、第1段階で合意後速やかに未解決の構造問題を話し合うことに改めて意欲を表した旨。ただ、交渉の妥結は11月の米大統領選挙まで「待ってもよいのではないか」とし、スピードより成果を重視する姿勢を強調した旨。

【Samsung関連】

最先端微細化プロセスを巡って先行する勢いが目覚ましいTSMCであるが、Samsungより年初早々3-nmへの挑戦の取り組みである。

◇Samsung Makes the First 3nm GAAFET Semiconductor! (1月4日付け Wccftech)
→Korean Maeil Economy、今週始め発。Samsungが、初の3-nmプロセスのprototype製作に成功、Samsungの目標は、2030年までに世界No.1半導体メーカーになることの旨。該3-nmプロセスは、Gate All Around(GAAFET)技術が中軸、業界標準のFinFETとは異なる旨。この技術変化で、シリコンサイズ全体が35%減る一方、電力も50%少ない旨。5-nm FinFETプロセスに対して33%の性能増大が可能の旨。

メモリ半導体の低迷で落ち込んでいるこのところのSamsung Electronicsであるが、2019年第四四半期の業績を巡る動き&内容が以下の通りである。

◇Samsung to draw line under lackluster 2019 with chip revival in store-After a lackluster 2019, Samsung seen having a better year (1月6日付け Reuters)
→Refinitiv SmartEstimate発。Samsung Electronicsが今週、第四四半期業績速報で$5.56 billionのoperating profitを示す見込み、前年同期比40%減。「市場全体が2020年第一四半期に回復すると見ている。」と、IHS Markitのdirector、Michael Yang氏。

◇Samsung Electronics says profit fall likely milder than forecasts as chip prices bottom out (1月8日付け Reuters)

◇サムスン営業益34%減、10〜12月、半導体減益響く (1月8日付け 日経 電子版 10:26)
→韓国サムスン電子が8日発表した2019年10〜12月期連結決算の速報値。売上高は前年同期比0.5%減の59兆ウォン、営業利益が同34.3%減の7兆1000億ウォン(約6500億円)。前年が好調だった半導体メモリの市況悪化に伴う反動減をスマートフォンなど他事業が補えなかった旨。
同時に発表した2019年12月期の通期連結業績。売上高は前期比5.9%減の229兆5200億ウォン、営業利益は同53.0%減の27兆7100億ウォン。2018年12月期の過去最高益から営業利益は半減した旨。

◇Samsung Reports 34% Drop In Q4 2019 Profit-Samsung posts Q4 profit of $6.02B, down 34% on year (1月9日付け Business Times (China))

◇10〜12月営業利益34.3%減、サムスン、半導体不振 (1月9日付け 日経産業)

「5G」が引っ張って2020年にはメモリ半導体市場が回復、増益に向かうという期待感が一層高まっている。経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)氏の裁判の判決が控えるという状況もある。

◇サムスン、業績底入れも暗雲晴れず、迫る運命の判決 (1月8日付け 日経 電子版 11:41)
→韓国サムスン電子の業績が底入れした旨。次世代通信規格「5G」普及が半導体とスマートフォンの主力2事業に追い風となり、2020年12月期は2年ぶりの増益となりそうな旨。5Gへの期待で株価は最高値に迫るが、財閥トップの贈賄罪に問われた裁判の判決が2月にも出て再び収監される可能性もあり、暗雲が垂れこめたままの旨。

◇[Exclusive] Samsung vice chairman says memory market is recovering-Memory chip market is improving, Samsung vice chairman says (1月8日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsのvice chairman、Kinam Kim氏がCES 2020でのインタビューにて、「メモリ半導体市場が回復してきていると確信する兆候がある」旨。同社は、第四四半期について$6.04 billionのoperating profit、前年同期比34%減を発表する予定、Refinitiv SmartEstimateによる落ち込みの予測ほど厳しくはない旨。

◇サムスン業績底入れ、今期、2年ぶり増益へ、5G、半導体に追い風 (1月9日付け 日経)
→韓国サムスン電子の業績が底入れした旨。次世代通信規格「5G」普及が半導体とスマートフォンの主力2事業に追い風となり、2020年12月期は2年ぶりの増益となりそう。5Gへの期待で株価は最高値に迫るが、財閥トップの裁判の判決が2月にも出て再び収監される可能性もあり、暗雲が垂れこめたままの旨。

【ファウンドリー関連】

専業ファウンドリー市場において、2019年は中国だけが米中摩擦の最中で伸びている、とIC Insightsの見方である。

◇China Only Region to Register Pure-Play Foundry Market Growth in 2019-Rise of China-based fabless IC suppliers offers increased opportunities for foundries. (1月9日付け IC Insights)

◇China only region to register pure-play foundry market growth in 2019, says IC Insights-IC Insights: China's pure-play foundries posted 2019 gain (1月10日付け DIGITIMES)
→IC Insightsの評価。中国の専業ファウンドリーが2019年に売上げを伸ばし、他の地域が二桁減となった年においての旨。中国の伸びの継続は、ここ10年の間のファブレス半導体会社の途轍もない増加が焚きつけており、米中貿易戦争と称される年でも売上げ増となっている旨。

上記のSamsungと対照的に、2019年で売上げ最高を更新しているTSMCの業績発表である。

◇TSMC posts record 2019 revenues-TSMC reports 2019 revenues of $35.7B, a record for the foundry (1月10日付け DIGITIMES)
→専業ファウンドリーのTSMCの2019年連結売上げが3.7%増のNT$1.07 trillion($35.7 billion)と最高を記録、一方、同業のUnited Microelectronics(UMC)およびVanguard International Semiconductor(VIS)は各々約2%減少の旨。
TSMCの2019年12月売上げがNT$103.31 billion、前月比4.2%減、前年同月比15%増。

【XeroxによるHP買収の件】

富士フイルムとの提携を解消したXeroxが、昨年11月にHPに対し買収を提案したが拒否された経緯であるが、このほど以下の通り再トライが試みられたもののまたもや「評価低すぎる」と拒否と相成っている。

◇Xerox makes another try for HP, this time with funding locked in (1月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Xerox Holdings社(Connecticut)が、HP社のドアを再びノックしており、こんどはfinancing commitmentsを得たとして買収への違った答えを期待の旨。月曜6日午前のステートメントでXeroxは、Citigroup社, Mizuho Financial Group社およびBank of America社から“binding financing commitmentsで$24 billion獲得”を確認するletterをHPのboard of directorsに送った、としている旨。

◇Xerox secures $24 bln financing for proposed HP takeover (1月6日付け Reuters)

◇HP、ゼロックスの買収再提案も拒否「評価低すぎる」 (1月10日付け 日経 電子版 07:24)
→米HPの取締役会は8日、ゼロックスが6日付でHPに申し入れた約330億ドル(約3兆6000億円)での買収提案を拒否すると発表した旨。ゼロックスは2019年11月にもHPに対して270億ドルで買収提案したが拒否されていた旨。HPはゼロックスにあてた公開書簡で「ゼロックスはわれわれの評価を低く見積もり過ぎている。交渉の土台とはならない」と主張した旨。

【メモリに災難】

底入れから回復に向かおうとするメモリ半導体であるが、2件の災難の事態。まずは、フラッシュメモリのKioxiaの四日市工場での火災である。以下の2つの記事の間では、損害の度合いがわかりかねるところがある。

◇Kioxia Fire Will Impact NAND Flash Supply-Fire strikes Kioxia's Fab 6, halting 3D NAND flash output (1月8日付け Forbes)
→Kioxiaが7日、四日市NAND Flash PlantのFab 6で火災があった旨。負傷者はなく、1台の装置が部分的に損傷の旨。該火災はクリーンルーム拠点で起こり、該拠点は点検で閉鎖された旨。Kioxiaからの最新ニュースでは、該火災で該工場での3D NANDフラッシュメモリ生産が2週間止まる旨。

◇キオクシア四日市工場で出火、「生産に影響なく」 (1月8日付け 日経 電子版 17:25)
→半導体大手、キオクシア(旧東芝メモリ)の四日市工場(三重県四日市市)で7日朝に製造装置1台から出火していたことが8日、分かった旨。すぐに消し止められ、人的被害はなかった旨。四日市工場はフラッシュメモリを生産する同社の主力拠点で、被害があったのは2018年秋に完成した第6製造棟の装置。キオクシアは「生産計画に対する影響はない見込み」(広報)としている旨。

Samsungでは停電が発生、DRAM価格への影響があらわされている。

◇Outage stiffens DRAM price-DRAM prices gain after Samsung's fab power outage -The Q1 DRAM contract price forecast has moved from “slightly downward” to “mostly holding steady or slightly upward”, according to DRAMeXchange. (1月9日付け Electronics Weekly (UK))
→DRAMeXchange発。スポット価格が先月上昇、およびSamsung ElectronicsのHwaseong(華城)製造complexでの大晦日の停電から、DRAM pricingが上がっている旨。PC DRAM価格が横這いか僅かに上昇する一方、モバイルDRAM価格が短期的に0.5%下がると予測の旨。

【韓国での半導体材料】

我が国からの輸出管理が厳格化されている半導体材料について、米国・Dupontが韓国での生産を行っていくと発表している。日本のシェアが圧倒的であるだけに、今後の推移&インパクトに注目するところである。

◇Amid trade row with Japan, South Korea gains Dupont investment to make chip materials (1月9日付け Reuters)

◇米デュポン、韓国で半導体材料生産、日本の輸出管理品目 (1月10日付け 日経)
→米化学大手デュポンは9日、韓国で先端半導体製造に必要なフォトレジスト(感光材)を生産すると発表、同製品は日本勢が世界シェア9割超を握り、日本政府が対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ。韓国政府は半導体材料の国産化を掲げ外資企業の工場誘致を促しており、デュポンのような動きが増えれば日本企業の競争力に影響する可能性もある旨。

管理厳格化以降ストップしていた森田化学工業(大阪市)からの高純度フッ化水素の対韓輸出が再開されている。メモリ半導体市場の本年の回復に賭ける韓国半導体業界であり、引き続きの動きに注目である。

◇フッ化水素、対韓輸出再開、森田化学、6カ月ぶり、半導体向け (1月10日付け 日経)
→化学メーカーの森田化学工業(大阪市)が先端半導体の製造に使う高純度フッ化水素の韓国への輸出を再開したことが9日、分かった旨。日本政府から許可を得て、8日に約6カ月ぶりに出荷した旨。同製品は日本政府が2019年7月に対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ。森田化学は7月以降、輸出できない状況が続いていたが解消されたことになる旨。


≪グローバル雑学王−601≫

5Gで中国・ファーウェイが世界をリードしている中での米中の摩擦から貿易戦争勃発、世界2大経済圏の互いに譲れないぶつかり合いをほぼリアルタイムで並行して、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より詳細に見てきたが、今回で読み納めである。米中協議は「第1段階の合意」が間近に調印される運びではあるが、非常に流動的な国際情勢の渦中、先行きはまったく予断を許さないところがある。本書の理解を一助に引き続き今後の推移を見ていくことになる。下記の英国のファーウェイ対応にあるように、国家の核心的部分を除いて取り入れるスタンスがあらわれているが、本当に心から信用できるか、にかかるところである。ファーウェイの任正非CEO、そして娘の孟晩舟副会長ともに日本が非常にお気に入りとのこと、習近平主席の来日をこの春に控えて日中関係は好機にあり、グローバルなバランスをとる中での我が国の立ち居振る舞いが非常に重要と改めて考えさせられている。


終章 ファーウェイと日本

■生き残りを図ってファーウェイと提携
・本終章で考えること
 →ファーウェイと日本、そして米中対立の狭間で日本がどう生き抜くか
・2019年5月15日、米ワシントン発のファーウェイ「エンティティ・リスト」入り発表の衝撃、日本にも
 →ファーウェイの主要提携企業表彰「92社リスト」、日本企業11社
 →「エンティティ・リスト」入り発表を受け真っ先に動いたのは、携帯電話のキャリア3社
  →5月22日、ソフトバンクとKDDI、ファーウェイの新型スマートフォン「P30シリーズ」を発売延期に
  →NTTドコモも同日、予約受付を停止
・トランプ政権は、日本企業に特別な規制を課したわけではなく、あくまでもアメリカ企業に対して
 →アメリカ商務省は5月20日、グーグルなどアメリカ企業への影響を考慮、「一部品目に対して90日間の猶予期間を設ける」と発表
・アメリカを選ぶか、中国を選ぶか―――。まるでハムレットのような心境に立たされた日本企業の苦悩
 →パナソニックのケース
  …5月23日、「パナソニックがファーウェイとの取引停止」というニュースが、日本で一斉に
  …ところが、パナソニックの中国現地法人の中国語のホームページ、同日付「厳正声明」
   〈目下、パナソニック・グループとファーウェイとの取引は正常である〉
   〈継続してファーウェイなど中国の顧客の商品を購入し、サービスを提供していく〉
・そもそも、日本の電器業界は、2018年6月14日、ファーウェイとともに5G標準仕様の策定を終了したことを発表
 →実際にはファーウェイの5Gシステムの「大樹」の下に、枝葉として掴まりたい
 →近年は日中逆転現象が顕著
 →日本メーカーは、「巨竜」ファーウェイの「下請け部品メーカー」として、生き残りを図っているのが現状

■日本へのリスペクト
・2018年12月19日、バンクーバーの拘置所から保釈された8日後、孟晩舟副会長の長い日記
 →東京在住のある日本人から、励ましの手紙をもらったとのこと
 →〈人間には真の愛情があって、自分が危険や困難に遭った時にようやく、自分にはかくも多くの見知らぬ人たちからの愛情が寄せられているのだと知るもの〉
  〈日本の東日本大震災後の復旧作業中、ありとあらゆる障害に直面したが、それまで蓄積してきた非常時の貴重な経験が助けになった〉
  〈いまにして誇れるのは、あの不確定な状況下で、私が日本行きの飛行機に乗ったこと〉
・彼女の父親で創業者の任正非CEOも、2018年1月18日に深セン本社で、日本記者団の質問に答え
 →【福島】
  〈ファーウェイの社員たちは、被災地に向かい、2週間で668基の基地局の復旧作業を完了〉
  〈日本の災害復旧に向けてサービスを提供〉
 →【情報窃盗】
  〈我々は、あくまでも設備のベンダー〉
  〈通信データを所有していない〉
 →【『北国の春』と桜】
  〈私が好きな『北国の春』は、奮闘する人に向けた歌〉
  〈勤勉な日本人の奮闘精神を歌っている〉
  〈私もそうした気持ちがよく理解できる〉
  〈山全体ピンク色に染まる規模になると、桜はとても美しい〉
  〈日本人は非常に団結力が強いが、これは世界でも稀なもので、それこそが日本の美〉
  〈中国は日本人の仕事への真摯な態度、品質にこだわったものづくりの心を学ぶべき〉

■アメリカに白旗を掲げる日本
・2005年に始動したファーウェイ・ジャパン
 →6年後の東日本大震災、ファーウェイは福島を始めとする被災地に飛び込み、いち早く基地局の復旧を行った
 →この時の功績が評価されて、悲願だった日本経団連への加盟を、中国企業として初めて許可
 →2019年現在、社員数が1050人を数え、うち75%は日本での現地採用者
 →日本での通信基地局のシェアは、2017年に13%超
・ファーウェイ・ジャパンは、日本の法律・法規を遵守しながら、堅実にビジネス活動を行ってきた
 →深セン本社から派遣された中国人駐在員たちは、中国で言うところのとびきりの「精英」(エリート)
・そんなファーウェイ・ジャパンに、最初の「激震」
 →2018年12月、孟晩舟副会長がカナダで緊急逮捕された時
 →「ファーウェイとの訣別」発表が続く中、残ったのは、ファーウェイと最も深いビジネス関係にあるソフトバンク
 →孫社長は、近未来の世界に「ファーウェイ5G網」が築かれることを見越して、大規模なパートナー関係を結んできた
 →だが2018年12月13日、ソフトバンクも観念、翌14日に、「ファーウェイ製品を使用しない」と発表
・アメリカはいざとなれば何でもできるし、かつやってしまう国
 →「アメリカの常識」は「日本の常識」とはかけ離れている

■ファーウェイ排除は日本の国益になるのか
・2019年6月末現在、アメリカは「ファーウェイが現在、どんな悪事を働いているのか」について、何も答えていない
 →過去に日本でファーウェイが情報を窃盗したと判明したケースも、1つもない
 →今回も「悪の証拠を示していない」という点では、イラク戦争の開戦前とまったく同じ
・5Gの敷設は、日本にとっても、今後数十年の国運を賭けるほどの大事業
 →日本としての本当の国益は何かという深い議論を行うべきでは
・「ファイブ・アイズ」のメンバーで、日本より高レベルな同盟関係にあるイギリスは、独自の道を歩んでいる
 →他のEUの主要国、ドイツ、フランス、イタリアなども、イギリス型の道を歩んでいくよう
 →1)国家の核心的な部分には参入させない
  2)それ以外には参入を認める
  3)常に調査を行い、もしも問題が発生した場合には排除する
・EU型も1つの参考にしながら、日本としての最大の国益は何かを、もう少し国民的に幅広く議論することはできないものだろうか
・現在、中国では、ものすごいスピードと技術、資金力で、ファーウェイが中心になって主要都市の「5G化」が進められている
 →「5G化」で決定的な差がつけば、彼我の差は埋めようがなくなる

■ホーキング博士の予言
・アメリカは、「ハイテクのカーテン」を引いた場合、このまま覇権国家でいられるかという問題に直面する
 →アメリカのIT業界のサプライチェーンが崩壊
・アメリカの最大の弱点
 →5Gに関して取って代わる「アメリカのファーウェイ」が見当たらないこと
・ファーウェイの問題は、単に一企業のことではなく、「21世紀の世界の趨勢」を決める重要事
・Stephen William Hawking博士
 〈AIの短期的な影響は、誰がそれをコントロールするかにかかっており、長期的な影響は、AIはそもそもコントロール可能かどうかにかかっている〉
・「米中新冷戦」が終息するのは、AIがコントロール不能なほどに発達したときになるのかもしれない
 →だがそんなときに和解しても、「時すでに遅し」では

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