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急転の半導体予測/デバイス世代の推移/グローバル雑学王−20

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米SIAはじめ半導体関係の市場予測の見直しが相次いで発表されている。9月後半以降の金融危機の影響を受けて、急転直下の大幅なマイナス修正となっており、本年のグローバル半導体販売高は前年比やっとプラスをキープするか、あるいはマイナスに落ち込むか、といったすれすれの見方になっている。

≪急転の半導体予測≫

米SIA恒例の年次予測プレゼン「World Semiconductor Forecast 2008-2011」のスライド資料は、「空前の視界の無さ(Unprecedented lack of visibility)」で始まっている。9月の世界半導体販売高に早くも影響があらわれて、クリスマスを控えた当面の市場見通しを大きく遮っている構図ということと思う。

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SIA予測:半導体販売高が鈍化…11月19日付けSIAプレスリリース

Semiconductor Industry Association(SIA)がグローバル半導体販売高の年次予測をリリース、2001年以来となる販売高減少を予想している。その予測によると、2008年販売高はは$261.2 billionで、2007年販売高$255.6 billionからは2.2%の増加である。従来microelectronics業界が活況となる四半期である今四半期の販売高は、前四半期から5.9%減少する見込みである。2009年の販売高は5.6%減の$246.7 billion、2010年には伸びが戻る、とSIAは見ている。2010年の販売高は7.4%増の$264.9 billion、2011年には7.5%増の$284.7 billionである。

「現状のグローバルな経済混乱は、明らかに半導体販売高に大きなインパクトを与えてきている。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「半導体業界の浮沈は、electronic製品に対する消費者出費にますますかかっている。消費者購買が今や、世界半導体販売高の半分以上を大きく引っ張っている。」

SIAは最近のDeutsche Bankレポートを引用し、それによると、2009年のパソコン販売台数は5%、携帯電話販売台数は6.4%それぞれ減少し、販売高はすべての地域にわたって減少している。PCsおよび携帯電話はいっしょにして世界半導体消費の約60%を占めている。これら2つの重要市場分野でのいかなる減少も、半導体販売高にはマイナスのインパクトとなる。

SIAは、グローバル経済の低迷がますます明らかになって消費者信頼感が低下するにも拘らず、半導体販売高は2008年の始め3四半期を通して依然力強さを保った、と特に言及している。「9月の販売高データが半導体販売の低迷の最初の兆しを呈している。」とScalise氏は続ける。「消費者およびcorporateの技術への出費が両方とも2009年は低下するという指標になっている。visibilityは非常に限られており、多くは如何に素早く公共政策が対応できて消費者信頼感と取り戻せるかにかかっている。」

半導体業界は、2001年のdot.com崩壊以降、6年連続の伸びを謳歌してきている。「2001年および現在の状況の間にはほとんど似たところはない。」とScalise氏は続ける。「2001年の半導体販売の急落は、主として'dot.com'業界の内波に引っ張られており、甚大な在庫のだぶつきを生じた。現在は過剰在庫は問題ではなく、現下の世界経済の不安が鎮まると直ちに業界は伸びを取り戻す状況下にある。」とScalise氏は締め括った。

地域別市場予測

2011年まで通してすべての地域市場で伸びが見込まれている。Asia-Pacific地域が引き続き最も急成長する地域であり、2008年のグローバル半導体販売高の50.7%から2011年には52.9%に伸びていく。

SIAのwebcast slides資料は下記参照。
http://www.sia-online.org/galleries/Statistics/081119_Webcast.pdf
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米SIAの発表と並行して、各社から発表されている半導体関係の予測データ見直し、目についた範囲で次の通りである。

◇VLSI Research cuts chip, capital equipment forecasts (EET)(11月21日付け EE Times)
→VLSI Research社(San Jose, Calif.)の改訂予測。今年の半導体販売高は1.7%の減少、前回は3.6%増と見ていた旨。データ内容、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2008/chart1_112108.gif

◇iSuppli cuts PC growth forecast (EET)(11月20日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。2009年グローバルPC出荷台数予測を、次の通り下方修正の旨。
       2009年  2010年
 今回  4.3%増   7.1%増
 前回  11.9%増  9.4%増

◇Fear, negative momentum influence chip market, iSuppli says-The psychology of many industry players has shifted to a "survival mentality," with cost-control and cash-conservation considerations driving decisions, iSuppli says as it reports full-year revenue will decline in 2008 for the first time since 2001.
(11月19日付け Electronics Design, Strategy, News)
→iSuppli社発予測。2008年のグローバル半導体売上げは$266.6Bで2007年$272Bから2%減、前回9月時点では3.5%増と見ていた旨。

◇2009 equipment sales could hit lows not seen since 2003, Gartner warns
 -According to Gartner's estimates, 2009 capital spending expectations are reduced from $41.1 billion to $39 billion and 2009 total equipment spending expectations are reduced from $30.5 billion to $26.8 billion.(11月17日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Gartner社が本日、capitalおよびequipment spending予測を2回目の下方修正、来年はcapital spendingが約17%減、capital equipment売上げが18%減と見る旨。

世界経済の急転というと、以下の記事にもかくもと驚かされるところがある。
○石油景気も今は昔…ロシアの摩天楼、建設を凍結(11月22日付け asahi.com)
 →モスクワで建設が進む超高層ビジネスセンター街「モスクワ・シチー」で、最も高いビル「ロシアタワー」(118階建て、612m)の建設が凍結されることに。インタファクス通信が21日伝えた。石油景気に沸くロシアを象徴するプロジェクトだったが、金融危機の荒波をもろに受ける形となった。

世界的な修復努力が続けられており、回復に向かう潮目はいつという焦点絞りをしばらくはきめ細かく続けることと思う。


≪デバイス世代の推移≫

市場は荒波を受けて混沌状態にあるものの、半導体技術の方は絶え間なく着実に進展しており、少し間を置くと取り残される風情があり、時とともにその度合いが増していくのは致し方ないことかもしれない。

まずは、SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)(上海)のこれも恒例の
「SMIC 2008 TECHNOLOGY SYMPOSIUM …Partnering for Success…」
を聴講、以下小生なりに受け止めたアップデート・メモである。

「還暦後の半導体」 SMIC取締役 兼 SMICジャパン会長 川西 剛氏
・9月時点で「オリンピックイヤー 半導体はまさかの低成長」という半導体産業新聞のTOP見出し、今はもっと悪くなっている状況。
・半導体を50年やってきているが、DRAM価格低下の受け取り、次の通り。
             年初  今時点
 16M DRAM時代  $16 → $1
  今年         $10 → $2
・450-mmの経済効果、疑問に思う。
・DRAMは今頃は16Gビット時代と以前言われていたが、実際にはまだ1Gビット。
・今のステッパは〜35億円するという。かっては〜2億円で何十台も入れた。
・パソコン、携帯電話の使い方もここまでくると、飽和傾向があるのでは。
・これからのInnovationの例として、SIPと貫通電極。
・太陽電池が非常に注目を浴びているが、高コスト、材料など課題多々。まだまだ要改良。
・LED照明も注目、電力1/5だが、値段は5倍。

「SMIC:現在と将来」 SMIC社長 兼 CEO Richard Chang氏
・今回の北京オリンピック、新技術のお披露目の場に。
 RFID →入場チケット  LEDs →ディスプレイ、照明
 Mobile TV         MEMS
・2005年から中国が世界最大のIC市場に。
       世界市場シェア  中国市場規模
 2005年  21%         $40.8B
 2007年  31%         $80.3B
 2010年  39%         $124.0B     

上記の2010年の中国市場規模は下方修正を要しないことを願うところがある。「還暦を迎えたのは米国と日本。アジアの若さ、エネルギーを吸収すること。」(富士通マイクロエレクトロニクス(株) 取締役 副社長 藤井 滋氏)というお話、まさに1社、1国ではやっていけない規模と拡がりというものをここでも改めて感じるところがある。

もう一つ、最近久しぶりに訪れた秋葉原の電気街、これも小生なりに感じる変わりようである。
・パソコン、携帯もここまで進化すると、多様な使い方に圧倒されてしまう感がある。説明員の方に一から頼らないと話にならない。今年のCEATEC JAPANは見学しなかったが、今後の技術としては以下が挙げられるとのこと(「EE Times Japan」2008年11月号より):
□ディスプレイ技術
 …3次元表示が興隆、有機ELの大画面化は見られず
  ※3D映像 ⇒右目と左目に視差情報を含んだ僅かに異なる映像を送る
□携帯電話機
 …高速化するデータ伝送、画面はより精細で3D表示も
□ストレージ装置
 …大容量化進むSSD、アクセス速度と耐久性向上
  これらの技術のTime to Marketはどうなっているのか?整理がつかないながら、店の中を見て回るというもどかしさがある。
・海外、特にアジア圏から見た日本のconsumer electronics製品の品質の良さは依然定評があると小生の知人からよく聞かされている。秋葉原も一層海外向けの販売拠点という色彩が濃くなった、と強い感じ方である。大型テレビも、輸送費や電源の変換の手間を入れてもまだ日本製製品が魅力があるという声には我が国ならではの強みというものを感じるところがある。


≪グローバル雑学王−20≫

このコーナーではしばし色、色彩にこだわったが、今回からしばらくは世界の様々な言語に注目してみたい。

『言語世界地図』(著者 町田  健氏:新潮新書 266)

から小生ながらの抜粋であり、今までみてきた世界各地の文化、歴史、伝統などとのハッと感じる結びつきが増していく趣を感じている。

○ヨーロッパ 〜前半〜

◇スペイン語 −3億5千万人の存在感−
 ・フランスに次いで世界で2番目に観光客数が多い国 →スペイン
 ・ヨーロッパだけでも3千万人以上の話者、大部分は中南米諸国に。
 ・アメリカ合衆国でもスペイン語を日常的に使用する人間(ヒスパニック)の数が急速に増加。
 ・スペイン語の文法は、主語の人称や時制によって動詞が比較的複雑な活用をするほか、名詞に性の区別がある
  →日本人には難しい
 ・スペイン語は、英、仏、露、中、アラビア語と並び国連公用語の一つ。
 ・スペイン語圏 →生み出した文学作品の豊富さ
             サッカー選手の活躍

◇ポルトガル語 −これからも深まる関係−
 ・全世界では、ポルトガル語の話者は2億数千万人に。最大はブラジル。
 ・我が国が輸入するワインの栓などのコルクの三分の二はポルトガル産。
 ・「パン」、「カステラ」、「カッパ(合羽)」など 
  →ポルトガル語から入ってきた日本語
 ・ポルトガル語にはスペイン語にはない特徴 
  →「鼻母音」と呼ばれる音が目立つ(フランス語より多い種類)
 ・ブラジル在住の日系人は約140万、日本に居住する日系ブラジル人は31万人。

◇イタリア語 −フィレンツェ方言が標準語に−
 ・音楽用語のほとんどはイタリア語 →andante(歩くような速さ)
                         da capo(最初から)
 ・イタリア語は、母音が日本語と大体同じ。
 ・現代イタリア語の標準語 →トスカーナ地方のフィレンツェの方言がもとに
                  ⇒ダンテの「神曲」
                   ボッカッチョの「デカメロン」

◇フランス語 −英語に遅れをとる「現在」−
 ・英語の祖先の「ゲルマン祖語」、フランス語の祖先のラテン語は、ともに「インド・ヨーロッパ祖語」と呼ばれる共通の祖先
 ・フランス語以外に、イタリア語、スペイン語、ルーマニア語などもラテン語が祖先 ⇒「ロマンス諸語」
 ・英語には大量のフランス語からの借用語 →table、veryなど
 ・現在では、国際語としての有用性では、圧倒的に英語に遅れ。中世とは逆に英語からフランス語への借用語の流入は留まるところを知らない。

◇バスク語 −周囲の言語と際立つ違い−
 ・バスク地方…ピレネー山脈をはさんでスペイン北部とフランス南西部の大西洋岸
 ・ベレー帽              →バスク地方由来
  宣教師フランシスコ・ザビエル →バスク人
 ・1939年から1975年にわたるフランコ将軍独裁の時期に徹底的な弾圧 
  →テロ活動が活発化
 ・バスク語の特徴 ⇒「能格」構文…他動詞の主語だけ特別の方法によって表わされるようなしくみ

◇アイルランド語 −弾圧、衰微との闘い−
 ・アイルランド国民400万人強、アイルランド語を話すことができるのは70万人程度。
 ・アイルランド語保護政策 
  →「ゲルタハト地区」と呼ばれるアイルランド語使用地区を指定
 ・アイルランド語が属するケルト諸語は、ブリテン島の西部やアイルランド島などの辺境へと追いやられていった経緯。
 ・英語とは著しい相違: =単語の最初にあるpやtが、fや英語のthの音に変化する「緩音化」
                 =主語ではなく動詞が文頭に置かれる語順

◇オランダ語 −日本を世界に案内した貢献−
 ・オランダ語起源 →「ビール」「ズック」「オルゴール」「ランドセル」「アルコール」「メス」
 ・明治維新以降、「蘭学」の伝統は急速に終焉 
  →第二次大戦で我が国との溝は決定的に
 ・オランダ語は、ドイツ語と英語の中間に位置するような特徴
 ・画家ゴッホGogh →オランダ語では「ホーホ」のような発音
 ・「オランダ」という日本での名称 
  →中心地域「ホラント地方」のポルトガル語読みに由来。
   オランダ語では「ネーデルラント」

◇ワロン語・フラマン語 −いまだ対立の種を残す二語−
 ・ベルギーでは、オランダ語とフランス語の話者がそれぞれ人口の6割と4割。
 ・ベルギーのオランダ語は「フラマン語」、フランス語は「ワロン語」とも呼ばれる。
 ・ベルギーの言語問題 →優位に立つフランス語に対してオランダ語の威信を高めていく運動の展開に由来
                 ⇒最終的に行き着いたのが、1963年の使用言語に基づく行政区分の確定

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