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1-3月の世界半導体販売高が前四半期比15.5%減、今年後半の改善期待

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高データが発表され、この3月について$32.3 billion、前月比1.8%減、前年同月比13%減、そして1-3月四半期について$96.8 billion、前四半期比15.5%減、前年同期比13%減、とそれぞれ発表され、引き続き大きな落ち込みを呈している。昨年半導体サプライヤランキングで首位を維持したSamsungの1-3月業績も、売上高が前年同期比13%減、営業利益が同60%減と昨年終わりからの悪化が止まらない。2位のIntelも年間売上げ予測を下方修正している中、首位を取り返せるかどうか。ともに今年後半の持ち直しを期待している。

≪3月の世界半導体販売高≫

米国・SIAからの今回の販売高発表が次の通りである。、

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇2019年第一四半期のグローバル半導体販売高が、前四半期比15.5%減−3月の販売高が、前年同月比13%減、前月比1.8%減 …4月29日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2019年第一四半期の世界半導体販売高総計が$96.8 billion、前四半期比15.5%減、前年同期比13%減、と発表した。2019年3月のグローバル販売高は$32.3 billion、前月比1.8%減、前年同月比13%減であった。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、半導体製造、設計および研究における米国のleadershipを代表している。

「2019年第一四半期のグローバル半導体販売高は鈍化、前四半期および前年同期を二桁%下回った。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「3月の販売高は、すべての主要地域市場および半導体製品カテゴリーにわたって前年同月比減少し、グローバル市場が最近経験している周期的傾向と首尾一貫している。」

2019年3月販売高の地域別では、前月比でChinaおよびEuropeが僅かに増加となった以外は次の通り減少している。

Europe
前年同月比 -6.8%/
前月比 +0.6%
Americas
-26.6%/
-6.7%
Asia Pacific/All Other
-9.3%/
-1.9%
China
-9.4%/
+1.3%
Japan
-11.1%/
-4.5%

               【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Mar 2018
Feb 2019
Mar 2019
前年同月比
前月比
========
Americas
8.09
6.37
5.94
-26.6
-6.7
Europe
3.60
3.34
3.36
-6.8
0.6
Japan
3.21
2.99
2.86
-11.1
-4.5
China
11.99
10.72
10.86
-9.4
1.3
Asia Pacific/All Other
10.21
9.44
9.26
-9.3
-1.9
$37.10 B
$32.86 B
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
--------------------------------------
市場地域
10-12月平均
1- 3月平均
change
Americas
8.40
5.94
-29.2
Europe
3.47
3.36
-3.1
Japan
3.32
2.86
-13.8
China
12.71
10.86
-14.5
Asia Pacific/All Other
10.33
9.26
-10.4
$38.22 B
$32.28 B
-15.5 %
--------------------------------------

「半導体業界における成長および革新を促進し、半導体技術における米国の指導性を引き続き確固とするために、Washingtonのpolicymakersは、科学的リサーチに出資、トップ技術人材を引きつけて維持し、そして市場開放およびintellectual property(IP)の強力な保護を確実にする施策を遂行すべきである。」と、Neuffer氏は言う。「これらが、SIAの最新レポート、Winning the Future: A Blueprint for Sustained U.S. Leadership in Semiconductor Technologyの中核の推奨である。」

※3月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2019/04/March-2019-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の取り上げである。前四半期比の落ち込みの大きさである。

◇Global semiconductor sales fall 15.5% in 1Q19, says SIA (4月30日付け DIGITIMES)

◇Semi sales drop 15.5% q-o-q (4月30日付け Electronics Weekly)

◇Q1 Chip Sales Drop Among Largest on Record (5月1日付け EE Times)
→第一四半期のグローバル半導体販売高が、前四半期比15.5%減、ここ35年での該業界quarter-to-quarter低下で最大に入る旨。

2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年11月から販売高が前月比マイナスとなって以降、12月、今年に入って1−3月の第一四半期と、急激に落ち込む経緯があらわれている。
前月比の下げ止まりの今後に注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %


関連データとして、SEMIからの世界シリコンウェーハ面積出荷であるが、昨年後半から度を増して低下する推移がここでもあらわれている。

◇Silicon Wafer Shipments Drop to Lowest Level Since Fourth Quarter of 2017 (4月29日付け SEMI)
→シリコン面積出荷の推移(単位:百万平方インチ):

4Q2017
1Q2018
2Q2018
3Q2018
4Q2018
1Q2019
Total
2,977
3,084
3,160
3,255
3,234
3,051

             [Source: SEMI, (www.semi.org), April 2019]

◇Silicon wafer shipments drop to lowest level since 4Q17, says SEMI (4月30日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2019年第一四半期の世界シリコンウェーハ面積出荷が、前四半期比5.6%減の3.05 billion平方インチ、2017年第四四半期以来の低水準の旨。シリコンウェーハ面積出荷全体は2018年第四四半期に前四半期比1%減の3.23 billion平方インチで、3四半期連続の前四半期比増が終わっている旨。

半導体業界を引っ張るトップサプライヤについて、まず首位のSamsung。折り畳みスマホの品質問題にも見舞われる中、1-3月第一四半期の業績発表が行われ、メモリ半導体の荒波から昨年終わりからの悪化に歯止めがかからず業績減少の度合いを一層高める結果となっている。

◇Samsung profit sinks amid chip slump, Fold woes (4月29日付け Market Watch)

◇Samsung Electronics bets on better second-half after first-quarter profit slumps (4月30日付け Reuters)
→韓国・Samsung Electronics Co Ltdが、第一四半期での2年以上で最も弱い利益を計上後、メモリ半導体およびスマートフォン売上げの持ち直しの期待から後半には業績が改善するとしている旨。

◇Samsung posts revenue and profit declines in 1Q19 (4月30日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsの2019年第一四半期の連結売上げがKRW52.4 trillion、operating profitsがKRW6.2 trillion($5.3 billion)。この売上げおよび利益は前年同期比それぞれ13%および60%減。

◇サムスン、半導体事業6割減益、1〜3月、悪化とまらず (4月30日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が30日発表した2019年1〜3月期連結決算。全体の連結売上高が前年同期比13%減の52兆ウォン強、営業利益が6兆2300億ウォン(約6000億円)と同60%減少した旨。同日公表された部門別の営業損益は、主力の半導体部門の利益が同64%減の4兆1200億ウォンと苦戦した旨。同部門の減益は2四半期連続で、減益幅も2018年10〜12月期の29%から大幅に拡大した旨。1〜3月期の半導体の利益額は、過去最高だった2018年7〜9月期の3分の1程度の水準に縮小、韓国市場では4〜6月期についても1〜3月期と同水準の利益を予想する声が多い旨。

◇Korea's semiconductor export volume drops 12 pct in Q1: BOK-Data: S. Korea's Q1 chip exports fell 12% from Q4 (5月1日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Bank of Korea(BOK)発。microchipsの世界需要が冷え込んで、韓国の半導体輸出volumeが、第一四半期の間に前四半期比12%低下の旨。BOKの半導体輸出volume indexが、第四四半期の544.03から第一四半期は478.64に落ち込んだ旨。

◇(LEAD) Samsung Electronics tipped to recover from Q3: analysts-Analysts see Samsung Electronics recovering in Q3 (5月2日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→アナリストの予測。半導体需要が2019年第三四半期の間にもち上がり、Samsung Electronicsの財務状態を支える旨。「該業界の現在の生産調整の効果が今年後半に急にあらわれる見込み、DRAMおよびNAND半導体に向けて需給状況改善に寄与していく。」と、Korea Investment & SecuritiesのYoo Jong-woo氏が投資家向けnoteにて。

上記にあらわれている通り、メモリ半導体およびスマートフォンの売上げ持ち直しから今年後半には業績回復に向かっていくという期待である。

次に、サプライヤランキング首位奪還を目指すIntelはSamsungに先立って業績見込みをあらわしているが、本年の売上げ予測を若干下方修正している現時点である。Intelも、先端品打ち上げから今年後半の回復を期待している模様である。

◇Intel Cuts 2019 Sales Forecast (4月26日付け EE Times)
→Intel(Santa Clara, Calif.)の第一四半期販売高および第二四半期予測が、Wall Streetの予想を下回る一方、同社executivesは今年後半に同社最初の10-nm製品を打ち上げる予定を繰り返し述べた旨。

◇Intel cuts forecast as China data center sales remain weak-Lower sales for data center chips dampen Intel's outlook (4月26日付け Reuters)
→Intelが木曜25日、同社full-year売上げ予測を下方修正($71.5 billionから$69 billionへ)、そして伸びを引っ張っているデータセンター事業の第一四半期販売高がアナリスト評価を下回った旨。

月次販売高がいつプラスに転じるか、引き続き各市場分野の動きとともに注目するところである。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中摩擦の狭間に揺れる台湾の現状があらわされている。

◇米中「新冷戦」揺れる台湾−ハイテク分断に現実味 (4月29日付け 日経 電子版)
→米中の「新冷戦」で、台湾が揺れている旨。最大の投資先である中国とのハイテクを巡る「分断」が現実化する恐れがあるから。米国は本気で先端技術の流出を止めにかかっており、台湾の行方は日本にも他人事ではない旨。中国の習近平国家主席は「中国製造2025」を掲げ、先端産業育成を目指す旨。特に半導体は輸入依存度が高く、総額15兆円とされる巨額の基金を設けて国産化プロジェクトを進めており、頼みは台湾企業の技術力。

肝心の米中協議は応酬のラウンドが繰り返されているが、合意か分裂か、方向性が2週間で見えてくるとか、関税一部撤廃で米国が中国に歩み寄る見通しとか、5月8日からのワシントンでの会合が注目されるところである。

◇米高官、対中貿易協議「2週間で結論出る」 (5月1日付け 日経 電子版)
→マルバニー米大統領首席補佐官代行は30日、米中貿易協議について今後2週間で結論が出るとの見通しを示した旨。ロイター通信などが報じた旨。両政府は現在、北京で閣僚級の会合を開いており、5月8日からワシントンで次回の会合を実施する旨。合意するか決裂するか「いずれにしても」方向性が見えるとしている旨。

◇米中貿易交渉、“中国に歩み寄る見通し”、米メディア (5月2日付け NHK NEWS WEB)
→米中の貿易摩擦の解消を目指す閣僚級の交渉について、アメリカのメディアは、トランプ政権が、中国からの輸入品に上乗せしている関税の一部を直ちに撤廃することで歩み寄る見通しだと報じている旨。来週、ワシントンで行われる交渉に注目が集まっている旨。米中の閣僚級の貿易交渉は、1日までの2日間、北京で行われ、来週8日から、ワシントンで再開される旨。

【AppleとIntelのやりとり】

Appleが昨年夏からIntelのスマートフォンmodem半導体事業を買収する話し合いをもって、決着の発表が間近いとされる中、Intelの5G modem半導体設計チームのリーダーがAppleに移る一方、かつて5G modemの取り組みを率いた長年のApple社executiveが同社を離れるという動きが見られている。

◇Apple Held Talks With Intel About Buying Its Smartphone-Modem Chip Business-Talks have cooled and Intel plans to seek out other buyers (4月26日付け The Wall Street Journal)

◇Apple poached Intel's 5G leader weeks ahead of Qualcomm truce-Apple hired Intel's 5G modem designer before Qualcomm deal-It may be part of why Intel bailed on 5G modems. (4月28日付け Engadget)
→The Telegraph発。Intelの5G modem半導体設計チームのリーダー、Umashankar Thyagarajan氏が、同時にQualcommとの法的決着を交渉していたAppleにより最近募集、採用された旨。一方、The Wall Street Journalは、Appleが昨年夏からIntelのスマートフォンmodem半導体事業のelements買収についてIntelと話し合いをもち、ほぼ今月の決着発表に近づいていた、としている旨。

◇Apple reportedly held talks to buy Intel's 5G modem business, but poached top talent instead (4月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→The Wall Street JournalおよびThe Telegraph発。Apple社が数ヶ月かけてIntel社の5Gモバイルmodem事業を買収するmultibillion-dollar取引を探求していた一方、同時にIntelのチームからのトップ人材を採用の旨。

◇Apple loses longtime executive who once led 5G modem work (4月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→名前未公表筋引用、The Information発。長年のApple社executive、Ruben Caballero氏が、同社5G modem開発チームの社内改造の渦中、外に出る旨。Caballero氏は、2005年にAppleに入り、初期のiPhonesおよびiPadsの戦略、ロードマップおよび設計に関与、同社でどのハードウェア製品にも漸次拡がった役割の旨。

【Apple対Qualcommの係争後】

両社の法廷係争決着を受けて喜ぶApple側である。

◇Apple CEO says settlement with Qualcomm is ‘important for both companies’-Cook: Qualcomm truce "important for both companies" (4月30日付け The San Diego Union-Tribune)
→AppleのCEO、Tim Cook氏がアナリストに対し。2年の訴訟を経てQualcommとの法廷係争を決着させたことを喜んでいる旨。加えて、multi-year供給合意が非常に喜ばしく、両社にとって重要であったと思うQualcommとの直接license arrangementを喜んでいる旨。

該決着を受けて、QualcommはAppleから少なくとも$4.5 billionの支払いが得られ、中国でのスマートフォンの弱含みが続く渦中でのたなぼたとなっている。

◇Q'comm Booking $4.5B in Apple Deal-Windfall comes amid continuing smartphone weakness in China (5月1日付け EE Times)

◇Qualcomm expects at least $4.5 billion from Apple settlement (5月1日付け CNBC)

◇Qualcomm will get at least $4.5 billion from Apple as part of its patent settlement-Nothing says ‘sorry’ like a giant pile of money (5月1日付け The Verge)

◇Qualcomm to Get at Least $4.5 Billion in Apple Settlement-Payment is one part of three-pronged deal between the companies last month (5月1日付け The Wall Street Journal)

◇New filing: Apple will pay at least $4.5B to settle Qualcomm lawsuit (5月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Qualcomm(San Diego)、今週発。Appleとそのcontractメーカーが、Qualcommとの法的係争決着のために1回限りの現金支払いで$4.5 billion〜$4.7 billionの支払いに合意の旨。

【ファーウェイ(Huawei)関連】

ファーウェイの「5G」対応搭載でテレビに参入する動きである。

◇ファーウェイがテレビ参入、年内にも、5G機器を搭載 (5月1日付け 日経 電子版)
→中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が、年内にもテレビ事業に参入することがわかった旨。次世代高速通信規格「5G」に対応した通信機器を搭載して、付加価値を高める旨。ハイテク分野を巡る米中摩擦の逆風は強まっているが、幅広い家電製品を手がける総合メーカーへの脱皮を図る旨。関係者によると、同社は早ければ年内に独自のテレビを発表する旨。
当初は自国の中国市場で投入するとみられる旨。

英国では、「5G」対応のファーウェイの扱いで国防相が解任される事態になっている。

◇「5Gにファーウェイ可」情報漏れ、英国防相、突然解任 (5月2日付け 朝日新聞DIGITAL)
→英国のウィリアムソン国防相が1日、メイ首相に突然解任され、原因は、次世代通信規格「5G」のインフラ整備に華為技術(ファーウェイ)の機器を一部採用することを認めるとする英国家安全保障会議(NSC)の情報が報道機関に漏れたこと。メイ首相はウィリアムソン氏宛ての書簡で「あなたの責任を示すあらがえない証拠」があると非難した旨。

米国・IDCの調査データ、この1-3月のスマートフォン出荷台数で、ファーウェイが急伸、2位に浮上である。世界首位にも手が届くとのコメントが付されている。

◇中国のファーウェイ スマホ出荷急増でシェア2位に (5月2日付け NHK NEWS WEB)
→アメリカの調査会社、IDC発。2019年1-3月に世界で出荷されたスマートフォンの台数は、3億1080万台、前年同期比6.6%減。首位のサムスン電子やアップルの出荷台数が落ち込む中、中国のファーウェイが大幅に増やしメーカー別のシェアで2位になった旨。これは中国経済の減速に加えて、アメリカなどで消費者の買い替えサイクルが長くなっているためと見られる旨。
メーカー別シェア:
 1. サムスン電子 23.1%    出荷台数 8.1%減
 2. ファーウェイ 19%         50.3%増
 3. アップル   11.7%        30.2%減
 4. シャオミ    8%

この結果について調査会社は「ファーウェイは、世界首位に手の届く圏内にはいった」とコメントの旨。

【AMD関連】

Advanced Micro Devices(AMD)が50周年を迎えるとのこと。Intelに続くMPUの担い手として長い時間経過を感じるものであるが、その後の路線の修正&適応の道筋が以下あらわされている。

◇AMD Announces 50th Anniversary Ryzen 7 2700X and Radeon VII Gold Editions-AMD celebrates its 50th anniversary with Gold Edition chips (4月29日付け Tom's Hardware)
→AMDが、5月1日に50周年を迎え、いくつかの特別edition製品をリリースしてこの非常に大きな達成を記念することを決めた旨。

◇Fifty Years of AMD, a Tech Leader (4月30日付け EE Times)
→AMDで10年以上過ごし、現在Tirias ResearchのPrincipal Analyst、Kevin Krewell氏記事。以下の内容:
 AMD Backs Intel for the IBM PC
 The Path to PC Independence and Innovation
 Fusion Leads to the ATI Acquisition

◇Fifty Years of AMD-While AMD may not have always flourished, it has adapted and is now entering an era of sustainable growth and profitability (5月2日付け EE Times India)

現下の同社業績状況が以下の通りである。

◇AMD results beat estimates on data center, server growth; shares climb-Gaming chip sales could get a boost in 2020, AMD CEO says (4月30日付け Reuters)
→ゲーム機用半導体などAdvanced Micro Devices(AMD)でのsemi-custom半導体事業が、Sony PlayStation 5などハードウェアに向けて来年増加していく、と同社CEO、Lisa Su氏。第一四半期について、AMDのenterprise, embeddedおよびsemi-custom分野の売上げは前年同期比17%減の$441 million、アナリスト評価の$410.2 millionは依然上回っている、とFactSetは特に言及の旨。

◇AMD CEO: Game-related chip sales should start growing in 2020 (4月30日付け VentureBeat)

【5G関連】

5Gスマートフォンの伸びが、次のように予測されている。

◇The Key Segments for 5G Smartphones-The 5G smartphone market should be analyzed by its three distinctly different segments, says a veteran semiconductor analyst. (5月1日付け EE Times India)
→約十数の市場リサーチが予測、5Gスマートフォンの数は2023年までに0.5〜1 billion台に及び、4G LTEスマートフォンの採用速度を上回って増えていく旨。

5G特許出願において、中国が世界シェア3分の1で他を圧倒している現状があらわされている。米中摩擦が吹きすさぶ中、注目すべき実態である。

◇5G特許出願、中国が最大、世界シェア3分の1 (ASIA TECH)−自動運転など主導権狙う (5月3日付け 日経 電子版)
→次世代通信規格「5G」に関する特許出願数で中国が34%と、現行の4Gの1.5倍以上のシェアを握ることがわかった旨。4Gでは欧米が製品の製造に欠かせない標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)を握ったが、次世代産業のインフラとして注目される5Gでは中国が存在感を増す旨。特許数は自動運転など各国の新産業の育成や次世代の国力をも左右する旨。
SEPは事業を進める上で代替の効かない技術の特許で、現在の4Gのスマートフォンでは出荷価格のおよそ2%が特許使用料の旨。国内の知財関係者によるとその総額は年間1兆円以上にのぼるといい、特許を押さえた企業が主力プレーヤーになる旨。


≪グローバル雑学王−565≫

「世界3大投資家」と称される1人、ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)による驚愕の未来予測の書、

『お金の流れで読む 日本と世界の未来 −世界的投資家は予見する』
 (ジム・ロジャーズ 著  大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷

より、お金の流れについて風はアジアから吹いているとして、日本、朝鮮半島そして中国を見てきたが、これら東アジア経済の先を読むうえで避けて通れない大国、アメリカ、ロシア、インドについて今回注目している。著者の歯切れ良い今後への予測が展開、今が絶好調のアメリカは米中貿易戦争から2020年までのどこかで上昇トレンドは終焉、インドは世界最悪の官僚制度が蔓延っていて魅力的だが大国への道は遠い、そしてロシアは皆から敬遠されているから株が安い上、国の借金が少なく『買い』、とそれぞれの大局観を反芻している。


第四章 アジアを取り囲む大国たち――アメリカ・ロシア・インド

[訳者記]
・東アジア経済の先を読むうえで、避けて通れない大国
 →アメリカ、ロシア、インド
・著者、ジム・ロジャーズの予測
 →好調なアメリカ経済は早晩、悲劇を迎える
 →インドはまだ『本物の国家』ではない
 →ロシアは『買い』だ

◎アメリカの上昇トレンド終焉後の世界
  米中貿易戦争がもたらす悪夢

〓アメリカで上がっているのは一部のメガIT企業の株だけ
・アメリカ株は2018年末の時点で、最高値にある
 →アメリカの株式市場はどれだけ悪いニュースが流れても上がり続けているが、いま起きていることはすべて「ノイズ」
 →2020年までのどこかの時点で、上昇トレンドは終焉し、アメリカは悲惨な目に遭うことに
・いまの上昇基調は非常にアンバランスな状態で続いている
 →上昇しているのは、FAANG(Facebook, Apple, Amazon, Netflix, Google)の株だけ
 →これは異常な事態。こうした状況がいつまでも続くはずはない
・アメリカはいま、トランプ政権下で保護主義政策を進めている
 →歴史上、保護主義政策による貿易戦争で勝った国は一つもない。どの国にもマイナスになる

〓1920年代のアメリカの関税法が招いた悲劇
・アメリカの株式市場がにわかに景気づいていた1929年
 →歴史上最高の10年間だった
 →その時、議会は何だかんだ言って関税法を通してしまい、大統領が署名
・その途端、株式市場が暴落
 →世界大恐慌の大きな影響、そのあと第二次世界大戦が勃発、そして世界中の経済が崩壊
 →すべては、アメリカが1929年に大規模な貿易戦争を始めたから
・それでもトランプは、貿易戦争は正しい行いで、必ず自国が勝つと思っている
 →彼の言動は間違っている

〓貿易戦争が商品(コモディティ)にもたらす影響
・現に、彼のせいでトランプの支持者たちが打撃を食らっている
 →アメリカの大豆生産者にとって、中国は大切なお客様
 →トランプの貿易戦争の結果、アメリカ産大豆の価格は2018年の4月〜8月の間に22%も下がった
 →トランプは、アメリカの中でも敵を作り始めている
・鋼鉄(スチール)についても同じ
 →アメリカ産鋼鉄の価格は、現在5〜10%上昇
 →少数の労働者を守るために、アメリカではすべての物の価格が上昇する

〓本当の貿易戦争はいつ勃発するか
・貿易戦争が絶対に功を奏しない理由の1つ
 →少数の労働者を守ることによって、それよりもはるかに多くの人が苦しむことになる
・政治家はいつでも、歴史について間違いを犯してきた
 →彼らの甘言を鵜呑みにしてはいけない
・アメリカの株価は、いまは上り調子にあるが、2020年にかけて悪化し始めると、トランプは日本人、韓国人、中国人のせいにするだろう
 →経済状況が厳しさを増せば、トランプ大統領はより多くの貿易戦争をするのが解決策だと考えるかもしれない
  →まるっきり間違った考え
・米中貿易戦争が本格的に始まれば、まず恩恵を受けるのはロシア農業だろう
 →アメリカがロシアの農業に制裁を加えると、内需が拡大、国内の農業は天井知らずに反映する

◎インド経済はどうなる
  「一生のうちに一度は訪れるべき国」だが、いまだ本物の国家ではない

〓国としては魅力的だが大国への道は遠い
・アメリカに続き、インドも見逃せない国
 →インドが成功することはまだ考えられない
・インドには、世界最悪の官僚制度が蔓延っている
 →いまのままでは、「本物の国家」にはなれない
・それでもインドは、一度は訪れるべき国
 →豊かな自然、多様な言語、宗教など
 →女性も男性も容姿端麗、頭も非常にいい
 →大成功して億万長者になった人がごろごろ

◎ロシア経済を注視せよ
  皆から敬遠されているところにこそ、投資のうまみがある

〓ロシア投資は狙い目
・私も4年前まではロシアに対して悲観的な見方
 →最近は変わった。楽観的な気持ちで、各業界に多くの投資をしているところ
・ロシア株としては、肥料業界の銘柄を持っている
 →農業が繁栄すると、当然肥料の需要も増大
 →他には航空会社、アエロフロートの株も保有
・ロシア株式市場の指数は、2008年頃に記録した最高値から半減したままの状態
 →投資にはもってこい

〓いま国債を買うのに最もふさわしい国
・ロシアは、債務が少ない国であることも注目すべき点
 →誰もロシアに金を貸さないから
・ロシアの国債も持っているが、ほとんどが短期債
 →購入するのが簡単で、高い利子で同じだけのリターンがある
・現在、国債を購入するのにふさわしい国は、ロシアくらいしか思いつかない
 →ロシアの金利はましな方ではないか(2018年11月時点で7.5%)
・これからの35年も米国債が上げ相場である可能性は少ない
 →2019年からしばらくは、ロシアのような国でない限り、国債を購入するのは得策ではない

〓ウラジオストクの可能性
・いま、プーチン大統領はウラジオストクで、ロシア極東を開発しようと莫大な資金を投入
 →2015年から、国際経済フォーラム、「東方経済フォーラム」をウラジオストクで開くように
 →現在、世界にはワクワクする都市がいくつか、ウラジオストクはその一つ
・シベリア地方には、大きな機会があり、特に中国との国境付近には、天然資源が豊富
 →いずれ中国がそこを占領することを、プーチンはわかっているのだろう
 →だからいま、シベリアにほど近いウラジオストクに莫大な投資

〓メディアの反ロシアプロパガンダに騙されるな
・みながロシアを嫌うのは、ヨーロッパやアメリカのプロパガンダのせい
 →ロシアには、2014年から欧米による経済制裁がなされてきた
 →2017年から2018年にかけて、アメリカはロシアへの制裁圧力をさらに強化
 →確かに経済制裁は、短期的に見れば相手に一定の驚異を与えることができるかも
・ロシアの農業は、むしろ経済制裁によって繁栄している
・いまモスクワ空港は、中国人で溢れている。「赤の広場」もそう
 →トランプがロシアを痛めつけようとすればするほど、中国とロシアは距離を縮めていくだろう
・ロシアの株価は、原油価格にも大きく左右される
・一国の株価が、たった一つ、あるいは二つか三つの製品(産物)の株価に左右される例は他にも
  …綿の株価とパキスタン株は密接に関係
  …ザンビアも、銅にかなり依存
・私がロシア株を買う理由は、誰も注目していないがゆえに安いからであるし、国の借金が少ないからでも
 →ロシアは世界中から嫌われているが、私は嫌われている人や物が好き

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