セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

摩擦激化、Huawei排除に向かう流れの一方、iPhone差し止めの動き

|

連日テレビのトップニュースで取り上げられる中国テレコム最大手、そして中国最大のスマートフォンメーカー、華為技術(Huawei)の副会長、カナダでの逮捕を巡る動きとなっている。もとをただせば、イランへの通信機器輸出に伴う機密の漏洩の危険性であり、我が国はじめHuawei製品の排除を決める流れとなっている。知的財産の応分の補償に端を発する米中摩擦が激化する中での噴出する1つの流れである一方、Qualcommの特許を巡る係争でアップルiPhone旧機種の中国での販売差し止めの裁定が出されている。半導体業界に密接するこれら今後の展開に目が離せないところである。

≪知的財産から国対国へのエスカレート≫

米中摩擦の打開を探る90日交渉に入っていく先でのHuawei問題の推移が、以下の通りである。

◇米中90日交渉はや暗雲、ファーウェイ問題で先鋭化も (12月9日付け 日経 電子版 01:22)
→米中両国が貿易戦争の打開策を探る90日間の交渉は、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐる問題で先鋭化するリスクが浮かんできた旨。中国は米国製品の購入拡大などを迫られているのに加え、本格交渉前からハイテク摩擦で新たな圧力をかけられた旨。トランプ政権の出方に反発を強め、追加関税の回避を狙う交渉は難航する恐れもある旨。

◇米通商代表、対中協議の90日間「厳格な期限」 (12月10日付け 日経 電子版 02:09)
→米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は9日、中国の構造改革を巡る米中協議で定めた90日間について「厳格な期限だ」と述べ、2019年2月末までに合意できなければ追加関税の税率を引き上げると強調した旨。中国の華為技術(ファーウェイ)幹部が米国の要請で逮捕された事件は米中協議に影響しないとの見方を示した旨。

我が国もHuawei製品を使わない方向を明らかにしている。

◇機密漏洩防止へ調達指針、政府、ファーウェイ念頭 (12月10日付け 日経 電子版 10:40)
→政府は10日、中央省庁や自衛隊が使う情報通信機器の調達に関する運用指針をまとめた旨。不正プログラムの埋め込みなど安全保障上の危険性を考慮に入れ、機密情報の漏洩を防ぐ旨。イランへの製品輸出の疑いがある中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)などの製品を念頭に置く旨。2019年4月以降に調達する機器に適用する旨。

◇携帯4社、5G投資で中国製使わず、政府に同調 (12月10日付け 日経 電子版 17:17)
→NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は10日、次世代通信「5G」の基地局などに中国製品を使わない方針を固めた旨。来年秋に参入する楽天も同様の方針を示している旨。日本政府が情報漏洩など安全保障上の懸念から、中国・華為技術(ファーウェイ)製などの通信機器を政府調達から事実上、排除する指針をまとめたことを受けた旨。米国政府による中国製通信機器排除の圧力が日本企業にも影響を及ぼしている旨。

◇ファーウェイ排除念頭、民間に協力要請、政府 14分野で (12月13日付け 日経 電子版 06:24)
→政府は情報漏洩や機能停止の懸念がある情報通信機器を調達しないよう重要インフラを担う民間企業・団体に要請する旨。電力や水道、金融、情報通信、鉄道など14分野が対象。悪意のあるプログラムで社会機能が麻痺するなど安全保障上の懸念があるため。米国が取引を禁じる中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)などが念頭にある旨。

◇ソフトバンク、既存基地局もファーウェイ製排除 (12月13日付け 日経 電子版 14:00)
→ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(ファーウェイ)など中国製の基地局をなくす方針を固めた旨。北欧の通信機器大手、エリクソンとノキアの製品に順次置き換える旨。次世代通信「5G」でも中国製を排除し、北欧2社に発注する旨。世界で広がる中国製通信機器排除の動きが、日本企業の設備投資に影響を及ぼし始めた旨。

現下の世界経済を巡る流れがあらわされている。

◇Tech Weapons, Walls, and Shared Wells (12月10日付け EE Times)
→次の大きな戦いがすでに始まっており、各国が技術およびグローバル協力を武器および目標の両方として用いている旨。ますますのこと、北京、ロンドンそしてワシントンD.C.で生じている保護貿易論者の政治学に向かう流れをもって衝突に入っている旨。先週のVancouverでのHuaweiのCFO逮捕はこの高まりゆく戦いにおける最新の一斉射撃である旨。検察官たちが特定の意図した攻撃と見ているかどうかと思うし、昨年のZTE取り締まりよりは小さい付随的損害となっている旨。

肝心の米中90日交渉への取り組みである。

◇China, U.S. discuss road map for next stage of trade talks-US, China lay groundwork for next round of trade talks (12月11日付け Reuters)
→米国および中国当局が、貿易交渉の次の段階について電話での取り組みを開始、中国・Vice Premier、Liu He(劉 鶴)氏, 米国・財務長官、Steven Mnuchin氏および米国・US Trade Representative(USTR)代表、Robert Lighthizer氏の旨。Chinese Commerce Ministry(中国・商務部)は、該3人が"経済&貿易consultations作業の次の段階に向けた時間線表およびロードマップの推進"について見方を交換した旨。

◇U.S., China Kick Off a New Round of Trade Talks -In a phone call, officials discuss Chinese purchases of agricultural products and changes to fundamental Chinese economic policies (12月11日付け The Wall Street Journal)

Huawei問題が、中国対カナダの対立、駆け引きに飛び火している。

◇中国がカナダ人元外交官を拘束、加当局が懸念表明 (12月12日付け 日経 電子版 03:30)
→中国が11日までにカナダの元外交官を拘束したことが明らかになった旨。カナダのトルドー首相は11日、「中国でカナダ人が拘束されていることを承知している」と拘束を確認するとともに、事態を「極めて深刻に受けとめている」と強調した旨。公共放送CBCなどが伝えた旨。拘束されたのは、ブリュッセルに本部を置くシンクタンク「国際危機グループ(ICG)」の北東アジア担当のシニア・アドバイザーであるカナダ人、マイケル・コブリグ氏。カナダ当局は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕した件との関連に関して「明白に示すものは現時点でない」としたうえで「安全確保に最善をつくす」と述べた旨。

◇カナダ裁判所、ファーウェイ幹部の保釈決定 (12月12日付け 日経 電子版 08:15)
→中国の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を米国の要請に応じてカナダ当局が逮捕した事件で、カナダの裁判所は11日、同氏の保釈を認める決定を下した旨。現地メディアが報じた旨。米当局はイラン制裁違反に絡む金融取引で詐欺の容疑をかけており、米国に身柄を引き渡すかが今後の焦点となる旨。
孟氏は12月1日、バンクーバーの空港で逮捕され、中国政府はカナダと米国に強く抗議、身柄の即時釈放を求めてきた旨。逮捕が明らかになった5日以降、米中関係が悪化し貿易戦争の「休戦」を巡る米中協議に悪影響が及ぶとの懸念が金融市場で広がっていた旨。

中国が国家政策の柱、「中国製造2025」の見直しを行っていると米国での見方である、

◇中国、「中国製造2025」見直し検討か、米報道 (12月13日付け 日経 電子版 08:18)
→複数の米メディアは12日、中国政府がハイテク産業育成策「中国製造2025」の見直しを検討していると報じた旨。中国企業が将来の先端技術を独占する色彩を薄め、外国企業の参加を認めるなどの修正案をつくっている旨。トランプ米政権は同政策の撤回を要求しており、受け入れるかどうかは不透明の旨。

米国の輸出規制強化が、DRAMに取り組もうとしている中国・福建省晋華集成電路(JHICC)に深刻な打撃を与えているとの記事が見られている。

◇米、中国半導体の野心くじく、習氏期待60億ドル工場向け輸出禁止 (12月13日付け Sankei Biz 14:00)
→トランプ米大統領によるテクノロジー輸出規制強化の影響が、中国南東部の海沿いに位置する福建省晋江市で如実に表れている旨。国産技術でテクノロジー大国になるとの中国の目標に沿って、福建省晋華集成電路(JHICC)は60億ドル(約6810億円)規模の半導体工場を建設したが、トランプ政権が同工場への輸出を禁止したことから、米サプライヤー企業から派遣されていたコンサルタントは去り、工場は静まり返っている旨。同社の夢は引き裂かれ、そこで働く人々は戸惑うばかりの旨。

そもそものHuaweiに対する米国のスタンスが次の通りである。

◇反ファーウェイ、米、15年来の警戒 (12月14日付け 日経 電子版 01:11)
→米当局の圧力で中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の製品の排除が日本などにも広がってきた旨。米当局は少なくとも15年前に知的財産権の侵害で疑念の目を向け始め、2011年には「安全保障上の脅威だ」と指摘しサイバー攻撃の温床と警戒してきた旨。次世代通信「5G」で出遅れる米国の技術覇権死守への強い執着が浮かび上がる旨。

引き続き米中摩擦の推移に注目せざるを得ない中、Qualcommのワイヤレス技術特許を巡るアップルとの係争の動きである。中国の知財裁判所がiPhoneの中国におけるいくつかのモデルの販売を差し止める裁定を以下の通り発している。

◇Chinese Court Slaps Injunction on iPhone Sales (12月10日付け EE Times)
→Qualcommが、中国の裁判所から2つの差し止め命令を獲得、Qualcommが保有する特許2件侵害が見い出されたiPhoneのいくつかのモデルの販売をAppleに対して禁止するものである旨。該裁定のインパクトがどうかは明らかでなく、Appleは該命令がlegacy iOS 11で動くiPhonesだけに関係と主張、すべてのiPhoneモデルが中国での販売がそのまま行えるとしている旨。「該命令はoperating system(OS)に特定されるものではない。」と、Qualcommのgeneral counsel and executive vice president、Dan Rosenberg氏。

◇Qualcomm Says It Won Case Banning Sale of Older iPhones in China-Qualcomm wins patent case; sale of many iPhones banned in China (12月10日付け Bloomberg)
→Qualcommが、Appleを相手取って中国における裁判所差し止め命令を獲得、最新iPhoneモデルを除くすべての販売を禁止、世界最大のスマートフォン市場でのAppleの見込める売上げを妨げる旨。Fuzhou Intermediate People's Court(福州中級人民法院)は、AppleがQualcomm特許を侵害していると裁定、iPhone 6S, iPhone 6S Plus, iPhone 7, iPhone 7 Plus, iPhone 8, iPhone 8 PlusおよびiPhone Xの販売に対する差し止め命令を出した旨。

◇Apple Hit With Sales Ban on Older iPhones in China-Chinese court rules that Apple infringed on two Qualcomm patents related to photo editing and swiping on a touch-screen device (12月10日付け The Wall Street Journal)

◇China court bans sales of older iPhone models in Apple-Qualcomm global battle (12月10日付け Reuters)

◇China bans sale of most iPhone models after granting Qualcomm an injunction against Apple (12月11日付け CNN)

◇中国の知財裁判所、iPhone旧機種の販売差し止め −クアルコムの主張認める (12月11日付け 日経 電子版)
→米クアルコムは10日、中国福州市にある知的財産を扱う裁判所がアップルのスマートフォン「iPhone」の一部販売差し止めの仮処分を出したと発表、「8」や「X」など、2017年までに発売された7機種(他に「6s」「6sプラス」「7」「7プラス」「8プラス」)が対象となる旨。クアルコムはアップルと知財の対価を巡り係争中で、中国での販売差し止めを求めていた旨。

Qualcommは、差し止めの対象から除外された「iPhone」の最新機種についても請求するという現時点である。

◇クアルコム、中国で最新iPhoneも販売差し止め請求へ (12月14日付け 日経 電子版)
→米クアルコムが米アップルの「iPhone」の最新機種についても、中国での販売差し止めを請求する方針であることが分かった旨。中国の裁判所は11月末、2017年までに発売したiPhoneの旧機種がクアルコムの特許を侵害しているとして販売差し止めの仮処分を出したが、クアルコムは新機種にも同様の侵害があると主張している旨。

半導体の知財関連がエレクトロニクス市場はもちろん、世界経済を大きく揺さぶる現状を改めて受け止めている。あるべき「グローバルな協調と競争」の意味合いをいままた考えている。


≪市場実態PickUp≫

【SEMICON Japan】

半導体デバイス製造の全工程から、自動車、IoTそして5G技術などSMART応用まで、エレクトロニクス製造supply chain全体の国際展示会、SEMICON Japan(2018年12月12-14日)が開催され、目に入った関連内容、以下の通りである。本年も最高更新が見込まれる世界半導体製造装置販売高であるが、来年は減少に転じ、再来年、2020年にまた最高更新を見込む読みとなっている。

◇SEMICON Japan 2018 opens tomorrow focusing on SMART applications (12月11日付け ELECTROIQ)
→日本におけるelectronics製造supply chainの最大イベント、SEMICON Japan 2018が明日開幕、14日までTokyo Big Sightにて、70,000人超来場見込み、テーマは“Dreams Start Here”。

◇Fab Tool Sales Expected to Decline in 2019-SEMI: Fab gear sales to contract in 2019, soar in 2020 (12月12日付け EE Times)
→SEMI発。今年の世界半導体製造装置販売高が、2017年から9.7%増の$62.1 billionと最高更新の見込み、2019年は4%減の$59.6 billionと見ている旨。該IC装置市場は2020年には戻して、20.7%増の$71.9 billionとまた最高更新を予想の旨。

◇Semiconductor Equipment Sales Forecast: $62 Billion in 2018 A New Record, Market Reset in 2019 with New High in 2020 (12月12日付け SEMI)

◇Semiconductor equipment sales ‘to hit record high’ (12月12日付け The Taipei Times (Taiwan))

◇セミコン・ジャパン、5G関連技術が結集、各社先進性アピール (12月14日付け 日経産業)
→東京ビッグサイト(東京・江東)で開催中の半導体製造装置の国際展示会「セミコン・ジャパン」では、ビッグデータの流通を支える次世代通信規格「5G」や半導体メモリに関連する技術を多くの企業が出展している旨。
アドバンテストは車載機器の検査装置などを公開し、ディスコは次世代パワー半導体などの加工装置を披露。活況に沸く半導体業界で、各社が先端技術のアピールを競い合っている旨。

【メモリ半導体価格】

注目のメモリ半導体価格であるが、DRAMは下落傾向が続く一方、NANDフラッシュは僅かながら戻しが見られている。米中摩擦はじめ下げに働く環境要因が支配する状況下にある。

◇DRAM、2カ月連続下落、大口価格、サーバ需要停滞で (12月11日付け 日経)
→DRAMの大口需要家向け価格が2カ月連続で下落、指標となるDDR4型の4ギガビット品の11月の価格は1個3.85ドル前後と前月比4%ほど下がった旨。
DDR3型の4ギガビット品も前月と比べ3%安く、3.5ドル前後となった旨。
DRAM需要を牽引してきたサーバ需要は「足元で引き合いが弱まっている」(DRAMメーカー)。米中貿易摩擦の影響で、一部のサーバ投資の伸びが鈍化しているとの見方もある旨。

◇NAND flash price rebound to be short-lived-Sources: NAND flash prices are up, will fall in the new year (12月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。NANDフラッシュ価格が僅かながら戻しており、Lunar New Year holidayに先立って一時的な回復となる見込みの旨。一時的に戻した後再び下げの圧力を受け、供給過剰から2月のLunar New Year休暇の後下がっていく旨。

【Intel発】

Intelのイベント、“Architecture Day”(11日)にて、最新の技術およびアーキテクチャーが披露されている。特に、CPU、グラフィックスなど高性能ロジックおよびAIプロセッサに3D実装の考え方を拡げた新技術、Foverosについて以下の通りである。

◇Intel Steps Toward Heterogeneous Integration (12月12日付け EE Times)
→Intelが、ロジックのface-to-face stackingに向けた新しい3D実装技術を披露、来年の後半にavailable予定の旨。該3D実装技術、Foverosは、Intelでのロジックおよびメモリを組み合わせる3次元heterogeneous構造にdieをstackする20年のリサーチの極致である旨。現状見られるpassiveインターポーザおよびstackedメモリ技術と違って、Foverosは、3D実装の考え方をCPU、グラフィックスなど高性能ロジックおよびAIプロセッサを含めて拡げている旨。

◇Intel plans 'stacked' circuits in bid to regain its chipmaking lead-Intel to stack logic ICs in a package, shows off 10nm chips (12月12日付け Reuters)
→Intelが、半導体レベルでのデータ処理加速に向けて新しいFoveros 3D実装技術をもって単一ICパッケージにロジック半導体をstackする計画の旨。同社はまた、10-nmプロセスで作った半導体を披露、そして次世代アーキテクチャー計画を謳い、「過去50年で見たよりも多くのアーキテクチャーにおける変化を向こう10年で見るだろう。」と、IntelのCore and Visual Computing Group、senior vice president、Raja Koduri氏。

◇Intel shows off its next big chip plans for ‘architecture era’ (12月12日付け VentureBeat)

トランジスタ技術更新でMoore's Lawは生き続ける、とのシリーズ記事が、あらわされている。

◇Transistors Keep Moore's Law Alive-Viewpoint: Moore's Law survives in modern transistor tech (12月12日付け EE Times)
→Intelの技術&製造グループ、ICs探求directorおよびsenior fellow、Ian Young氏記事。シリーズ第1回でMoore's Lawの見通しを探求、現在に導いたロジックプロセスにおける変化に重点化。


【AI関連】

台湾政府のAI半導体への取り組みである。

◇Semiconductor Moonshot Project in full swing to sharpen AI edge, says science ministry official (12月10日付け DIGITIMES)
→台湾行政院 科技部(Ministry of Science and Technology[MOST])、Department of Engineering and Technologies、director general、Shawn SH Hsu氏。中小IC design housesの今後の展開に非常に心を砕いている台湾政府は、$132 million台湾AI半導体プロジェクトを通して向こう数年、AI edge技術の開発および一級の設計人材育成の支援に向けてacademic forcesのテコ入れを図っていく旨。主にIC製造、設計、実装&テスト分野から成る台湾半導体業界の年間生産額が、2018年にNT$2.6 trillionに達した後、2020年にはNT$3 trillion($97.31 billion)の水準を上回って増大する見込みの旨。

一方、中国のAI業界展開に向けた壮大な計画と現時点見られる実態である。

◇China's Big AI Plan: Do Toys Count, Too? (12月11日付け EE Times)
→中国・国務院が2017年7月に出した"次世代Artificial Intelligence(AI)開発計画"は、中国が究極にはAIで世界のリーダーになり、国内AI業界が2030年までに約$150 billionの規模としている旨。第1ステップとして、2020年までにAI技術&応用で米国に追いつくこと。最近出くわした中国のAI市場増大がもっとも分かる事実として、深セン空港の店から店で目に入ってくる多くのAI-driven玩具とのこと。

IBMとNvidiaが連携、AI最適化ストレージシステムへの取り組みである。

◇IBM, Nvidia pair up on AI-optimized converged storage system-IBM Spectrum AI with Nvidia DGX is designed for AI and machine learning workloads.-IBM works with Nvidia for AI-optimized converged data storage (12月11日付け ZDNet)
→IBMがNvidiaのコラボ、artificial intelligence(AI)技術で最適化された垂直統合型データストレージoffering、Nvidia DGXシステムとともにIBM Spectrum AIを開発している旨。該システムは、AI workloadsに当てられ、TensorFlow, SparkおよびPyTorchのようなデータtoolsを使える旨。

かくも注目され大きく進展してきているAI技術について、来る新年に対応すべき問題点が提起されている。

◇AI Still Has Trust Issues-AI goals for 2019: Bias elimination, more transparent decisions (12月14日付け EE Times)
→IBM Researchのvice president、Jeff Welser氏。artificial intelligence(AI)技術は2018年に多くの進展が見られているが、2019年にはさらに当てになるためにいくつかの問題に対応しなければならない旨。
AIのdecision makingで偏りを除去することが、該技術の"対立する例"への脆弱性を減らすこととともに、該新年にとって主導的な目標である旨。

【STT-MRAM】

STT-MRAM(spin-transfer torque magnetoresistive random-access memories)と取り組みについて、ImecによるHPC cache用でのSRAMとの比較、そして、先週のIEDMにおけるIntelおよびSamsungの取り組みプレゼンである。

◇STT-MRAM performance fits HPC last-level cache-Imec compares STT-MRAM with SRAM for use in HPC cache (12月10日付け Electronics Weekly (UK))
→Imecが、5-nm nodeでのSRAM-およびSTT-MRAM(spin-transfer torque magnetoresistive random-access memories)-ベースlast-level cachesの間の初のpower-性能-面積の比較をプレゼンの旨。SST-MRAMは、high-performance computing(HPC)で用いられるlast-level cachesについてSRAMと比べて今や優位にあり、また、エネルギー利得もかなり優る旨。

◇Intel, Samsung Describe Embedded MRAM Technologies -Embedded MRAM technologies detailed by Intel and Samsung (12月11日付け EE Times)
→Intelが、先週の第64回International Electron Devices Meeting(IEDM:2018年12月1-5日:San Francisco)にて、spin-transfer torque magnetoresistive random-access memory(STT-MRAM)技術の詳細を披露、該ノンボラメモリは同社22FFL(FinFET Low power)プロセスで"production-ready"である旨。Samsung Electronicsは、28-nm fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)プラットフォームで製造の同社STT-MRAMを披露の旨。


≪グローバル雑学王−545≫

1983年だったかと改めて感じるが、大橋巨泉さん司会のTV番組、『世界まるごとHOWマッチ』に出演し始めたという馴染みの顔、ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)さんの書、

『日本人だけが知らない本当は世界でいちばん人気の国・日本』
 (ケント・ギルバート 著:SB新書 443) …2018年8月15日 初版第1刷発行

をこれから読み進めていく。アメリカ人のカリフォルニア州弁護士である同氏の論調基調として、日本人の誠実さや他者への思いやりなどを「世界標準を圧倒する高いレベル」と評価する一方、その国民性が同時に「軍事を含む外交の分野では、最大の障害になる」としているとのこと。新聞・テレビでは言えない炎上覚悟の日本論!、隠蔽されてきた奇跡の国・日本、と本書のカバーの見出しにあるが、日本在住40年以上になるという同氏が挙げる「草莽崛起」、民間にあって地位や名誉を求めず、国家の危機には使命感や志を持って立ち上がる人々が、以下順次触れられていく。「日本人としての誇り」を取り戻す、ひとつのきっかけになれば、とのもどかしさを覚えながらの著者ならではの期待に映っている。


≪はじめに≫

・学校をはじめ公共の場で、ことあるごと国旗が掲げられ、国歌が歌われる
 →洋の東西を問わず、どこの国でも当たり前の光景
 →生まれ育った国、あるいは自分を国民として迎え入れてくれた国に、愛着や誇り、敬意を抱くのは当然
・「戦前の日本はすべて間違っていた」「日本はかつて極悪な戦争犯罪人が侵略戦争をしかけた国」
 →強すぎた日本を弱体化させる目的で、アメリカなどの連合国が日本人に施した洗脳政策の結果
 →教育が個人に与える影響は大きいもの。幼いときから教え込まれた嘘に自ら気づくのは、なかなか難しいかも
・今、何歳になっていようとも、真実を知ったうえで今後の人生を過ごすほうが幸せだと思う
 →日本という国と民族が外国からどう評価されているのか知ってほしいと思う
・国の本質は、その国の人たちにとって「当たり前のもの」にこそ現れると思う
 →日本人にとっては当たり前のもの、普通のものが、どれほど外国人から羨望や憧憬の念をもって見つめられているか
  …「メイド・イン・ジャパン」の高品質な製品
  …日本の伝統文化
  …ポップカルチャーやサブカルチャー
  …繊細で多様な食文化
  …「おもてなし」のホスピタリティ精神やサービス精神
  …圧倒的な清潔さと治安のよさ
 →「世界で愛される日本、知らぬは当の日本人だけ」、そんなふうに思えてくる
・40年以上も日本に住んでもなお、日本の文化や国民性の素晴らしさに新鮮な感動を覚えることが度々
・ただし、正直いって、国家としての現代日本は国政も外交も、今なお不甲斐ない姿を露呈
 →日本人が自国を過小評価する一因かも
 →大きな原因は、日本を弱体化させる目的でアメリカ人が草案を書いた日本国憲法という名前の「不平等条約」に
 →「市井の民」にスポットを当てれば、世界に誇るべき功績がたくさん
・いったい日本の何が世界から憧れられているのか
 →それを知ることが、「日本人としての誇り」を取り戻す、ひとつのきっかけになれば

序章 日本の新聞・テレビが隠す日本文化の「粋」
  ―――民間の「草の根精神」こそ日本の誇り

□幕末の志士から受け継がれる世界に冠たる精神性

〓「国」でなく「民」が「世界一人気の国」・日本
・(著者が)本書で「世界でいちばん人気」と謳いたい理由
 →多くの面において、これほど世界の人気を集めている国は他に存在しない
・1つとして、世界シェアで日本が1位を占めている商品
 →57品目中、11品目(2016年)
  …リチウムイオン電池、デジタルカメラ、タイヤ、産業用ロボットなど
 →驚異的といえる

〓日本在住約40年の外国人だから言える本音
・このような調査結果や統計の結果データ
 →日本在住約40年の外国人である私が日ごろから日本に抱いている印象と相通ずる
 →たとえば、日本人は約束を守ることは当たり前と考えている
  →アメリカなど海外では、「約束は破られるもの」という前提で社会が成立
   …分厚い契約書に何でも書き込んで、裁判ですぐに証明できるよう備えている
   …「性悪説」的な価値観
  →日本人だけは「性善説」的な考えを「当たり前の信条」としている
・日本は治安が非常にいい。むしろ「よすぎる」
 →海外の治安当局では、ある「クレーム」が聞かれる
  →「日本人が無防備なのは日本が安全すぎるからなのか。せめて海外ではもっと気をつけてほしい」と、ハワイの警察官の「ぼやき」
 →日本であれば、ほぼ問題ない。ところが、その感覚のまま海外に行ったら大変
  →私も、「本国の治安がよすぎるせいで無防備になった日本人」の仲間入りをしたよう
・海外からの旅行者にとっては、「日本は街が非常にきれい」というのも驚くところのよう
 →少し海外に行ってみれば、どれほど日本の街がきれいか思い知るはず
 →日本人の清潔好きは、「お風呂好き」にも
  …「垢が抜ける=垢抜ける」という言葉が、「洗練」を意味、日本人の価値観がうかがわれる
 →おそらく、その根底には神道の観念
  …自分の身の回りのすべてを清く保つべき

〓ハードとソフトで世界を魅了し続ける「メイド・イン・ジャパン」
・アメリカ人の間でのメイド・イン・ジャパン
 →私が子どものころは「落としたら壊れる」というイメージ
 →今では「高品質」の代名詞
・ハードにおいてもソフトにおいても、日本のプロダクトは世界中の人々を魅了
 →日本のファッションも注目
  …「かっこいい」「おしゃれ」といった意味合いをすべて包含した「kawaii」、原宿を発信源、すでに世界各国で通用するように
・日本文化は、海外のアーティストにも多大なる影響
 →古くはゴッホやモネの作品に、日本の浮世絵の影響が色濃い
 →人気映画シリーズ「スター・ウォーズ」
  …監督、ジョージ・ルーカスは、黒澤明作品の大ファン
 →世界の芸術作品には、日本文化の神秘性や日本人の精神性が表れているものが少なくない

〓「敵ながらあっぱれ」と思わせる潔い国民性
・日本人の精神性というと、私には必ず思い出す話
 →第二次世界大戦中に「不死身の分隊長」と呼ばれた船坂弘
  …瀕死の重傷を負っても、数日後には回復して戦場に戻ったといわれる伝説の兵士
  …戦後は東京・渋谷に大盛堂書店を開いて今に
 →武士道にも通じる日本的な精神性
・苛烈な戦いの中で日本の兵士たちが見せた戦いざまには、やはり「敵ながらあっぱれ」と思わせるもの
 →ハワイ・オアフ島の真珠湾に浮かぶミズーリの艦長は、特攻隊員の遺体を海軍式の水葬で弔った
 →戦火を交えた相手からも尊敬の念を抱かせた

〓Grass Roots Patriots―――民間の人々の「草莽」の精神こそ日本の誇り
・「草莽崛起」
 …「民間にあって地位や名誉を求めず、国家の危機には使命感や志を持って立ち上がる人々」
・「草莽の志士」…吉田松陰や坂本龍馬、西郷隆盛など
 →英語にも似た概念:Grass Roots Patriots
  →「草の根の愛国者」…主にイギリスからの独立戦争において立ち上がったアメリカの民間の人々を指す
・これから本書で取り上げる人々も、ある意味では「草莽崛起の人々」と呼んでいい
・残念ながら現代の日本は、一つの主権国家としては足りないことだらけ
 →常に「アメリカ追従」などと謗られ、日本に対抗心を燃やす近隣諸国からは明らかに見くびられている
 →人材教育的にも国内制度的にも、世界中の注目と人気を集めるイノベーションを生み出すような発想力や創造力を、子どものころから芽吹かせて大事に育てたり、ベンチャー企業を支援したりするような国の基盤や風土は、今の日本では極めて脆弱であると言わざるを得ない
・日本の強みは国家的な強みではなく、すべて「民間の力に源泉がある強み」といえる
 →日本文化の醍醐味は、江戸の昔から庶民文化に
   …浮世絵、落語、歌舞伎、相撲
 →現代の「世界一人気」の源泉が民間にあるというのも、日本なら自然なことといえるのかも
・日本人の草の根の力が、いかにたくましく、世界に誇れるものを生み出す可能性に満ちたものであるか
 →日本人ならではの「草莽スピリット」を改めて思い起こしていただければ幸い

月別アーカイブ