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10月販売高、伸長鈍化のなか増勢維持、2018年15.9%増の予測

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米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、この10月について$41.8 billionと前月に続いて月次最高を更新、前月比1.0%増、前年同月比12.7%増と、伸びが鈍化しながらも依然増勢を保っている。恒例のSemiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの秋季予測を支持して、2018年販売高が15.9%増の$477.9 billionとし、初めて$400 billionの大台を突破した2017年の$412.2 billionから続けて大幅な増加、$500 billionもうかがう水準となっているが、先行き鈍化懸念が増す渦中ますます注目を要するところである。

≪10月の世界半導体販売高≫

今回の米SIAからの発表内容が、以下の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯10月のグローバル半導体販売高が前年比12.7%増;2018年は二桁伸長の見込み−業界予測見通し、2018年販売高15.9%増、2019年2.6%増 …12月3日付け SIA/Latest News

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2018年10月の世界半導体販売高が$41.8 billionに達し、前月の$41.4 billionを1.0%上回り、前年同月の$37.1 billionから12.7%増と発表した。月次販売高の数値はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新たにリリースされた業界予測では上方改定されて、年間グローバル市場伸長が2018年15.9%そして2019年2.6%との見通しである。

「10月のグローバル半導体業界は堅調な前年比の伸びを示し、2018年における史上最高の年間販売高に向かう勢いにあるが、ここ数ヶ月伸びが和らいできている。」と、Semiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「DRAM製品の力強い販売高が引き続き市場全体の伸びを高めているが、他の主要製品カテゴリーすべての販売高も10月は前年比増加しており、主要地域市場すべてが前年比上げている。2018年は二桁の年間伸長が見込まれ、2019年はいっそう控え目な伸びの見通しである。」

次に示すように、地域別では、販売高が前年同月比ですべての地域にわたって堅調に増加している。前月比ではAmericas、Europe、JapanおよびAsia Pacific/All Otherがプラスであるが、Chinaがマイナスとなっている。

China
前年同月比 +23.3%/
前月比 -0.4%
Americas
+14.1%/
+2.8%
Europe
+7.0%/
+0.2%
Japan
+5.5%/
+0.4%
Asia Pacific/All Other
+3.7%/
+1.8%

               【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Oct 2017
Sep 2018
Oct 2018
前年同月比
前月比
========
America
8.54
9.48
9.75
14.1
2.8
Europe
3.36
3.59
3.60
7.0
0.2
Japan
3.20
3.36
3.37
5.5
0.4
China
11.65
14.42
14.37
23.3
-0.4
Asia Pacific/All Other
10.33
10.53
10.72
3.7
1.8
$37.09 B
$41.39 B
$41.81 B
12.7 %
1.0 %

--------------------------------------

市場地域
5- 7月平均
8-10月平均
change
Americas
8.41
9.75
15.9
Europe
3.58
3.60
0.4
Japan
3.39
3.37
-0.3
China
13.83
14.37
3.9
Asia Pacific/All Other
10.34
10.72
3.7
$39.56 B
$41.81 B
5.7 %

--------------------------------------

加えて、SIAが本日、WSTSの2018年秋季グローバル半導体販売高予測を是認、2018年の該業界世界販売高を$477.9 billionと見通している。これは該業界史上最高の年間販売高となり、2017年全体販売高の$412.2 billionから15.9%増である。WSTSは2018年についてすべての市場地域にわたって次の通り前年比増加を見ている。
 Americas 19.6%
 Asia Pacific 16.0%
 Europe 13.2%
 Japan 9.6%
2019年では、半導体市場の伸びが緩和する見込み、年間販売高が2.6%増の見通しである。WSTSは、グローバル半導体メーカーの広大なグループを招集、年に2回業界予測をまとめて表わしており、半導体の流れの正確でタイムリーな指標となる。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2018/12/October-2018-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応、取り上げである。

◇Global semiconductor sales increase in October, says SIA-SIA: Global microchip sales rose 12.7% in Oct. to $41.8B (12月4日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Industry Association(SIA)発。2018年10月の世界半導体販売高が$41.8 billion、前年同月比12.7%増、前月比1%増。SIAはWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) programの最新予測を支持、2018年microchip販売高は$477.9 billionで2017年の$412.2 billionから15.9%増を見込む旨。

◇WSTS Bumps Up Chip Sales Forecast (12月5日付け EE Times)

◇Global semiconductor sales increase 12.7% year-to-year in October (12月6日付け ELECTROIQ)

2016年後半から盛り返して急激な増勢そして高みを保っている世界半導体販売高の推移が次の通りである。27ヶ月連続の前年同月比増、そして15ヶ月連続した前年同月比20%以上増が7月で途切れて、7月17.4%増、8月14.9%増、9月13.8%増、10月12.7%増と高水準ながら下がってきている経過である。史上最高の月次販売高の更新が続いてきており、伸びしろはあるだけに引き続き推移のほどに注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
$389.35 B
(1-10月)

7-9月、第三四半期の関連市場データをいくつか。応用分野別には通信用半導体が最も急速な伸びを示している。

◇Comms Chips Grew Fastest in Q3 (12月3日付け EE Times)
→IHS Markit発。ワイヤレス通信半導体販売高が第三四半期に12.3%増、最も急速な成長率の半導体カテゴリーの旨。ワイヤレス通信半導体の伸びはIntelで際立っており、前四半期比39%増の伸びは最新iPhonesでのIntel modem半導体に大方依存している旨。Appleは、Qualcommとの継続する確執および法的戦いの渦中、Intel modemsに非常に大きく依存している旨。一方、メモリ半導体販売高は10四半期連続で前四半期比増加、$45.1 billionに達している旨。メモリ半導体pricingがここ数ヶ月弱まっているが、メモリ半導体の伸びはストレージメモリ密度の高まりおよび新規携帯電話のリリースが主に引っ張っているとしている旨。

世界半導体製造装置billingsについて、次の通りである。

◇Worldwide semiconductor equipment billings drop to $15.8B in third quarter 2018 (12月3日付け ELECTROIQ)
→SEMI発。2018年第三四半期の世界半導体製造装置billingsが$15.8 billionで前四半期比5%減、しかし前年同期比では11%増。該データは、Semiconductor Equipment Association of Japan(SEAJ)と共同、月次ベースでデータを供給するグローバル装置メーカー95社超から収集の旨。

◇Fab Tool Sales Slip to $15.8 Billion in Q3-Q3 sales of fab tools fell 5% to $15.8B, SEMI says (12月4日付け EE Times)

第三四半期に対する第四四半期のソリッド・ステート・ドライブ(SSD)価格に見るメモリ半導体からくる低下ぶりである。

◇記憶装置SSD、下げ続く、パソコン向け、メモリ下落波及 (12月7日付け 日経)
→パソコンのデータの記憶装置などに使うソリッド・ステート・ドライブ(SSD)価格の下落が続いている旨。指標品の10〜12月期の大口需要家向け価格交渉は7〜9月期比10〜15%の引き下げで決着した旨。需要低迷による基幹部品の半導体メモリの値下がりが波及した旨。競合するハードディスク駆動装置(HDD)からのシフトが進む可能性がある旨。

今後についていろいろな切り口の見方があるが、以下現時点の一端である。
米国との軋轢に揉まれる渦中ながらの中国のメモリ半導体への取り組みである。

◇China unlikely to give up on homegrown memory firms despite Korea DRAM dominance-China to press on in 3-vendor dominated DRAM market (12月5日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronics, SK HynixおよびMicron TechnologyがDRAMsの世界市場を席巻しているが、中国はメモリ半導体事業に向けた積極的な計画を推進している旨。Micron, Fujian Jinhua Integrated CircuitおよびUMCの間の法的係争が続いているが、Yangtze Memory TechnologiesおよびInnotron Memoryはそれぞれ3D NANDフラッシュメモリデバイスおよびLPDDR4 DRAMsの商用量産を来年に備えている旨。

TSMCの7-nmが今後のカギを握る1つの目されるが、来年前半はcapacityフル稼働といかないのではとの見方である。

◇TSMC 7nm capacity unlikely to be fully utilized in 1H19, says report (12月5日付け DIGITIMES)
→最近の中国語・Commercial Times発。Apple, HiSiliconおよびQualcommが出している発注の削減から、TSMCの7-nmプロセスcapacityが2019年第一四半期にフル稼働となりそうにない旨。

◇Six months of over-capacity on 7nm at TSMC-Report: Smartphone sales slump leads to 7nm overcapacity for TSMC (12月6日付け Electronics Weekly (UK))

DRAMのASPsについて、来年第一四半期にかけての下がり方の予想である。

◇DRAM ASPs to fall over 10% in 1Q19, says DRAMeXchange (12月5日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。DRAM ASPsが、第四四半期に前四半期比7-10%低下の後、2019年第一四半期に同10%超下がる予想の旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦】

注目のアルゼンチンでの米中首脳会談であったが、90日休戦協定合意に至った問題含みの多い以下経緯である。

◇米中首脳会談、声明発表へ、追加関税を猶予か (12月2日付け 日経 電子版 03:54)
→トランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が1日夕(日本時間2日朝)開いた首脳会談は、2時間半の協議を経て終了した旨。一部の中国メディアは、米政権が追加関税を発動するのを猶予することで合意したと報道。両国はすぐに会談内容を発表するとみられ、貿易戦争の打開策をどこまで詰めたかが焦点となる旨。

◇米中、内憂抱え一時休戦、90日協議の合意見えず−「中国製造2025」は触れず (12月2日付け 日経 電子版 23:17)
→米中首脳は1日、追加関税の発動を90日猶予する薄氷の合意にこぎつけた旨。双方とも貿易戦争の激化による国内景気の悪化を避けるために一時休戦で折り合った格好だが、知的財産の保護などを巡って両国は「短期決戦」に突入する旨。中国の国家資本主義の根幹ともいえる「中国製造2025」計画の扱いは玉虫色で、両国の覇権争いが和解に向かう期待はかけにくい旨。

◇U.S. expects immediate action from China on trade commitments-US, China agree to temporary truce on trade (12月3日付け Reuters)
→米国・Donald Trump大統領と中国・Xi Jinping国家主席が、両国間通商係争における90日休戦協定に合意、米国は新たな関税を休止、中国はより多くの米国農業産品購入に同意の旨。両国ともに、非関税貿易障壁、intellectual property(IP)保護およびサイバー窃盗など他の問題打開への取り組みに合意の旨。

双方それぞれの言い分、打ち上げが見られる続く展開となっている。

◇It's not over: The US-China trade war is still on despite 90-day tariff ceasefire, experts say (12月3日付け CNBC)

◇Mnuchin Says China Agrees to Lower Auto Tariffs; Beijing Silent (12月3日付け BloombergQuint (India))

◇米中90日協議、期限は19年2月末、米は強硬派が主導 (12月4日付け 日経 電子版 08:51)
→米国家経済会議(NEC)のクドロー(Larry Kudlow)委員長は3日の電話記者会見で、知的財産権保護など中国の構造改革を巡る米中協議について、米通商代表部(USTR)のライトハイザー(Robert Emmet Lighthizer)代表が責任者を務めると明らかにした旨。過去の協議は穏健派のムニューシン(Steven Terner "Steve" Mnuchin)財務長官が率いてきた旨。主導権が対中強硬派に移ることで、2019年2月末を期限とする90日間の協議は厳しい内容になりそうな旨。

米国からはAI, machine learning, SoCデバイスなど半導体に密接な技術の輸出制限の提案が行われ、さらに中国側に圧力がかけられている。

◇US tech control to have more impact on China than tariffs-Viewpoint: US proposes export controls on next-gen tech (12月4日付け DIGITIMES Research)
→米国商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)が、3D printing, artificial intelligence(AI), machine learningおよびsystem-on-a-chip(SoC)デバイスなど14の非常に重要な技術の輸出制限を提案の旨。米国・Donald Trump大統領と中国・Xi Jinping国家主席はアルゼンチンでのG-20会合にて関税引き上げについて90日の休戦に合意したが、これら輸出制限の提案は、関税引き上げよりも深刻な米中間貿易への影響がある可能性の旨。

◇Semiconductor firms to suffer if US imposes export ban-Viewpoint: US export ban could hurt China and the US (12月5日付け DIGITIMES Research)
→米国政府が提案している輸出管理強化は、中国経済およびその発生初期段階の半導体業界を損なう可能性の旨。該輸出管理はまた、先端半導体、半導体製造装置および半導体材料のアメリカのベンダーにマイナスの影響をもたらす旨。

このような動き、そして景気後退懸念から、米国株式市場での株価低下が続いている。

◇NY株、799ドル安、景気後退と米中摩擦の懸念で (12月5日付け 日経 電子版 06:49)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均が急落、前日比799ドル36セント(3.1%)安の2万5027ドル07セントで取引を終えた旨。取引時間中には10月上旬以来、約1カ月ぶりに下げ幅が800ドルを超えた旨。10月上旬につけた年初来高値からの下落率は約7%に達した旨。
米株相場の下落は、長期金利の動向から景気減速の懸念が強まったことが主因。トランプ米大統領が中国との構造改革を巡る協議で合意できなければ制裁関税を拡大する方針を示し、米中貿易交渉の進展に懐疑的な見方が広がったこともあり、幅広い銘柄に売りが出た旨。

そして、さらに摩擦の火を焚きつけているのが、Huawei副会長の逮捕というまさに現下の状況となっている。

◇ファーウェイ副会長、カナダで逮捕、米、引き渡し求める−イランへ違法輸出か (12月6日付け 日経 電子版 10:46)
→カナダ司法省は5日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の創業者の娘である孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したと明らかにした旨。米国が経済制裁を科すイランに製品を違法に輸出した疑いで、米当局が孟氏の拘束を要請していた旨。米国政府は今後、同社に制裁を科す可能性があり、米中摩擦の新たな火種になりそうな旨。

【習近平国家主席コメント】

これも駆け引きの1つ、米中首脳会談にて、中国からQualcommのNXP買収提案が再提出されればこんどは承認にやぶさかではない、との言質があったとのこと。Qualcommはその可能性を打ち消している。

◇クアルコムの蘭NXP買収計画、習氏「再提出なら承認も」 (12月3日付け 日経)
→1日の米中首脳会談で、7月に破談となった半導体業界の大型買収に再び脚光が当たった旨。米政府の声明によると、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が「米クアルコムがオランダ・NXPセミコンダクターズの買収計画を再提出すれば、承認することに抵抗はない」と述べた旨。両社は買収交渉を終わったものとして大規模な株主還元などに乗りだしており、交渉が再燃するかは未知数の旨。

◇Qualcomm says China comment will not revive NXP deal-Despite detente between China and US, Qualcomm won't try to buy NXP (12月3日付け Reuters)

◇クアルコム、蘭社買収再提案を否定 (12月4日付け 日経)
→米半導体大手、クアルコムは2日、オランダのNXPセミコンダクターズの買収に再び乗り出す可能性を否定した旨。1日の米中首脳会談で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が「買収計画が再提出されれば、承認することに抵抗はない」と述べたのを受けて、ロイター通信などにクアルコムの担当者がメールで回答した旨。

【Qualcommのハワイ・イベント】

そのQualcommは、「Snapdragon Technology Summit 2018」(12月4-6日:WAILEA, Hawaii)を開催、2019年始めに商用5G networksおよびモバイル機器を可能にするSnapdragon 855モバイルプラットフォーム&プロセッサ半導体を打ち上げている。システムの5G、デバイスの7-nmの真価が問われている。

◇Qualcomm unveils new chip to power 5G smartphones-Qualcomm joins 5G fray with Snapdragon chip (12月4日付け Reuters)
→QualcommがHawaiiでのイベントにて、5Gスマートフォン用Snapdragon 855プロセッサ半導体を披露、5G機器が米国でリリースされるときまでに備える予定の旨。該半導体は、4Gネットワークスより50-100倍の速度に達し得る5Gデータネットワークスにつながるmodemを特徴としている旨。

◇5G Glimpse Shows Glitz and Warts-Cellular race to market is really a marathon (12月5日付け EE Times)
→Qualcommのイベント、「Snapdragon Technology Summit 2018」(12月4-6日:WAILEA, Hawaii)にて、火曜4日の数時間5G cellularのライブ。記者およびアナリストに新しいチップセットに何ができるか初披露、Ericssonがネットワークを設けている旨。

◇Qualcomm intros 7nm, 5G-ready chip (12月5日付け DIGITIMES)
→Qualcommが、2019年始めに商用5G networksおよびモバイル機器を可能にするSnapdragon 855モバイルプラットフォームを披露、Hawaiiでの同社イベントにて、Qualcomm Technologiesのsenior VP and GM of mobile、Alex Katouzian氏は該新Snapdragon 855半導体により現状の相当対抗品を上回る性能が得られるとしている旨。

◇5G, PC Sire Two-Headed Snapdragon-Qualcomm delivers two high-end SoCs amid corporate troubles (12月7日付け EE Times)
→Qualcommが、flagshipスマートフォン向けの新しいSoCおよびWindows PCsへの引き続き入り込みに向けた同社初のSnapdragon variantを発表、該7-nm半導体は、空前のビジネス、市場および技術の挑戦のときに著しい技術の実行を披露の旨。

【IEDM 2018】

恒例の開催、第64回International Electron Devices Meeting(IEDM:2018年12月1-5日:San Francisco)からの注目である。IBMのAI応用向け8-ビットアナログ半導体である、

◇IBM Guns for 8-bit AI Breakthroughs-IBM to detail 8-bit analog chip for AI at IEDM (12月3日付け EE Times)
→IBM Research-Almaden(Almaden Valley, San Jose, California)が、今週の第64回International Electron Devices Meeting(IEDM:2018年12月1-5日:San Francisco)にて、artificial intelligence(AI)応用向け8-ビットアナログ半導体をプレゼン。IBMはまた、8-ビット浮動小数点数でdeep neuralネットワークスの訓練が可能なディジタルAI半導体についての詳細も示す旨。

◇IBM Targets AI Training Advances-8-bit floating point numbers and in-memory computing to help advance AI (12月3日付け EE Times India)

CEA-Letiからの論文プレゼン2点、3D Sequential Integrationおよびneuromorphicプロセッサ用回路についてである。

◇CEA-Leti moves 3D sequential integration closer to commercialization (12月4日付け ELECTROIQ)
→CEA Techのリサーチ機関、Letiが、これまで製造性、信頼性、性能あるいはコストから人目を引きつけるものと考えられていた6つの3D-sequential-integrationプロセスstepsにおけるブレイクスルーを発表、最近の成果をIEDM 2018(2018年12月1-5日:San Francisco)での論文、“Breakthroughs in 3D Sequential Integration”にて3日プレゼンの旨。CEA-Letiの3D monolithicあるいは3D sequential CMOS技術、CoolCube(TM)は、数10 million/mm2超の独自のconnecting-via密度でいくつかのデバイス層を垂直にstackできる旨。

◇CEA-Leti develops circuits for neuromorphic processors that replace CMOS transistor-based TCAM memory with RRAM-based TCAM memory (12月5日付け ELECTROIQ)
→CEA Techのリサーチ機関、Letiが、これまで開発された最も小型な構造を特徴とするRRAM-ベースternary-content addressable memory(TCAM)回路がmulticore neuromorphicプロセッサの性能および信頼性要求に適合できる、と実証の旨。該取り組みは火曜4日、IEDM 2018での論文、“In-depth Characterization of Resistive Memory-based Ternary Content Addressable Memories”でプレゼンの旨。

◇CEA-Leti develops circuits for neuromorphic processors -CEA-Leti uses TCAM circuits in neuromorphic processors (12月5日付け New Electronics)

【AI関連】

定番メニューの趣きのAI関連となっているが、まずは、Qualcommが打ち上げた$100 millionファンドである。

◇AI Gets $100M Bid from Qualcomm-5G + AI is its formula to expand beyond smartphone SoCs (11月30日付け EE Times)
→Qualcommが、machine learning取り上げ活況のイベント(SAN FRANCISCO)にて、$100 million ventureファンドを打ち上げ、中国・SenseTimeだけが同社プラットフォームに向けた$3 billion取り入れを講演、他は生産性を4倍にし生命を救うAIの例を示している旨。5GとAIの組み合わせが、NXPとの合併に失敗、スマートフォンの伸びが鈍るなか、Qualcommのcorporate戦略の中核となる旨。該2つの技術の結合がsmart internet of things(IoT)に至る同社の対応可能な市場を拡大する、と同社chief executive、Steve Mollenkopf氏。

Nvidiaより新しいAI技術がプレゼンされている。

◇Nvidia AI Project Uses Video for 3D (12月3日付け EE Times)
→Nvidiaが、第32回Neural Information Processing Systems conference(NIPS 2018:12月2-8日:Montreal)にて、技術論文、“Video-to-Video Synthesis”において同社の新しいAI技術の詳細をプレゼンの旨。完全に合成、相互に作用する3D環境を描写できるAI技術の旨。

米国のAI startup、Wave Computingの事業の取り組みである。

◇Wave Rides AI-Enabled MIPS IP Licensing (12月4日付け EE Times)
→Wave Computing(Campbell, Calif.)が、2019年にlicensing事業における旗印を据えようとしており、同社のAI技術を6月に買収したMIPS TechnologiesからのIPsと組み合わせる資格十分なlicensing事業を打ち上げていく旨。

SoC組込型FPGAを展開するAchronix Semiconductorのアプローチである。

◇Achronix Adds Machine Learning to eFPGA (12月4日付け EE Times)
→Achronix Semiconductor社(Santa Clara, CA)が、SoCsに入れるAI acceleratorとして設計された同社新世代のembedded FPGA IP、Speedcore Gen4mを展開の旨。より効率的なデータaccelerationを求めて、AchronixのSpeedcore Gen4はpacket処理およびインタフェースprotocol bridging/switchingに向けたcomputing, networkingおよびストレージシステムなどもっと広範な応用一式を狙っている旨。しかし、Achronixがアーキテクチャーに加えているGen4の最も輝かしいfeatureはMachine Learning Processor(MLP)ブロックである旨。

AI技術を用いた聴覚関連システムへの連携の取り組みである。

◇Battery-powered devices to benefit from a sense of hearing-Firms team to bring AI-based hearing to battery-powered devices (12月4日付け New Electronics)
→Ambiq Micro, Audio AnalyticおよびVesper Technologiesが連携、artificial intelligence(AI)を用いてbattery-powered consumer electronicsにおける聴覚を供給、該AI技術により、機器がcarbon monoxideアラーム、火災警報および窓を破る音を"聞く"助けとなり、ホームセキュリティおよび安全性が改善できる旨。


≪グローバル雑学王−544≫

世界各地の街を取材、路地裏での視点から我が国というものを見つめ直すスタンスで著わされた新書、

『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』
 (早坂 隆 著:PHP新書 1149) …2018年7月27日 第1版第1刷

を読み進めてきたが、今回で本書は収めとなる。最後は馴染み深い台湾。半導体業界でもVIA Technologiesが属するフォルモサ(Formosa)・プラスティックス・グループを目にしているが、欧州では台湾のことをフォルモサと呼ぶ場合があるとのこと。以下その由来から始まって、戦争が絡む悲劇、経緯をここでも知らされるが、零戦パイロットを祀る廟、そして大規模な農業水利事業、烏山頭(うさんとう)ダムの建設、と現地に貢献した2人の日本人の足跡を辿って我がメモリに加えていく。


第十ニ章 台湾―――なぜ、この地は「美しい島」なのか

□「フォルモサ」と呼ばれた島
・台湾のことを「フォルモサ」と呼ぶ言い方
 →16世紀にこの島を発見したポルトガル人が叫んだことに由来すると言われる
 →「美しい」という意味
・(著者が)ルーマニアで暮らしていた折、毎日のように聞いた言葉の1つが「フルモアーサ」
 →ルーマニア語で「美しい」という意
 →ルーマニア語はポルトガル語と同じラテン語系の言語分類
・1895(明治28)年4月、日清戦争後の下関条約によって、清国から日本に割譲された台湾の地
 →1898(明治31)年、後藤新平が民生長官に就任
  →治安の安定や衛生環境の改善、経済基盤の整備などに尽力
・日本統治時代の建物が多く残る現在の台北の街
 →台湾総督府庁舎は、かつての時代の雰囲気を偲ばせる貴重な建築物
  …1919(大正8)年に竣工
  →今も現役の庁舎として活用されている
・1つの比較として、台湾と同じく日本統治下にあった朝鮮総督府の建物
 →1995年、金泳三政権が推進した「歴史の立て直し政策」と「景福宮復元」の一環として解体、撤去
 →台湾と韓国それぞれの人々の気質や対日観、あるいはより本質的な価値観の違いを感じさせる事例

□台北工業が出場した甲子園の夏
・台北市に建つ国立台北科技大学
 →日本統治時代の中等学校、台北工業がその前身
  …現在の高等学校にほぼ相当
・当時の野球部員たちの目標は「甲子園出場」
 →1923(大正12)年に台北一中が初出場
 →当時は台湾の他にも朝鮮や満洲の代表校も出場
・戦時下の1942(昭和17)年夏に開催された大会
 →台湾代表として出場したのが台北工業
 →当時、同校のライトを守っていた今野忠雄さん:
  「台湾で野球に夢中になっていたあの頃が、自分にとって最も大切な思い出。甲子園は、一生忘れられない青春の一ページ」

□零戦パイロットを祀る飛虎将軍廟
・台湾の南西部に位置する台南市に「日本の軍人を祀った廟がある」と聞いて
 →(著者は、)台北から「台湾新幹線」に乗り込んだ
・古都、台南は「台湾料理発祥の地」、美食の街
 →台南名物の「担仔麺(タンツーメン)」は、そぼろ肉が入った麺料理、エビが乗っている
・目的の廟は、台南の中心部から5kmほど離れた郊外に
 →正式な名称は「鎮安堂 飛虎将軍」
 →台南在住の日本人の間では「飛虎将軍廟」という呼称で定着
  …「飛虎」は「戦闘機」の意
・祀られているのは日本海軍の一兵士、杉浦茂峰
 →1944(昭和19)年10月12日、「台湾沖航空戦」が勃発
  →台南の上空に40機ほどの米軍機、迎え撃つ日本軍の戦闘機は約30機、その中には、零戦32型に乗って出撃した杉浦の姿も」
 →やがてのこと、杉浦の乗った零戦に重大な異変
  →このまま村に墜落か、だが、程なくして村人たちから感嘆の声
  →降下を続けていた零戦がにわかに機首を上げ、体勢をわずかに立て直した
  →間もなく、その零戦から一つの落下傘、杉浦は危機一髪で脱出に成功
  →ところが、杉浦のすぐ背後には米軍自慢の艦上戦闘機、グラマンF6Fが肉薄
  →機銃掃射が、無情にも杉浦を襲った
・この日、光景を目の当たりにした住民たち:
 「本当なら彼はもっと早く落下傘で逃げられた。それをしなかったのは、村を守るためだった」

□「戦争美化」と非難する戦後日本の歪さ
・墜落現場の近くに杉浦の御霊を弔うための祠が建立されたのは、1971年
 →1993年には現在の形である「廟」へと拡張
・堂内に設けられた祭壇には、祭神である杉浦を模した軍服姿の本尊が鎮座
 →近隣の安慶小学校では飛虎将軍廟と協力する形で、杉浦の逸話を授業の題材に
・現在の日本でこのような授業を行なえば、「戦争美化」「軍国美談」といった非難の声が少なからず上がるであろう
 →戦後日本の歪さは、まさにこのような部分に集約される

□不毛の土地は、豊穣なる大地へと生まれ変わった
・台南の中心部から車で1時間ほど行った山あいに、日本人が知っておくべきもう1つの重要な場所
 →烏山頭(うさんとう)ダム
・このダムの建設を指揮した人物、八田與一(はった よいち)
 →台湾において「最も尊敬されている日本人」とも
 →最先端の工学知識と技術を学び、気鋭の土木技師として台湾に渡った
 →総督府の土木局に勤務、嘉南平野での大規模な農業水利事業を任された
 →1920(大正9)年、八田の主導の下、灌漑工事が始まった
 →完遂されたのは、着工から実に10年もの月日が流れた1930(昭和5)年のこと
・完成した水路、「嘉南大しゅう(土へんに川:中国・深センのセン)」
 …「しゅう」は、概して「田畑の間の溝」といった意味
・その後に八田が辿った運命の悲劇
 →1942(昭和17)年5月、米軍の潜水艦による魚雷攻撃を受け、八田も船と運命を共に、享年五十六
 →さらに八田の妻・外代樹は、己の身を烏山頭ダムの放水口に投じた

□それでも歴史とは「フルモアーサ」な存在である
・用水路の水源である烏山頭ダムの周辺は今では公園として整備、人々の憩いの場に
 →その一角に、八田の銅像が静かに建っている
 →地元の人々の発意によって建立
・大東亜戦争終結後、この銅像も激動の波に
 →再び銅像が元の場所に戻ったのは、1981(昭和56)年のこと
・2017(平成29)年4月17日、驚くべき新聞報道
 →八田の銅像の頭部が、何者かによって切断されたという痛ましい事件の発生
 →台湾側の行動は迅速、毅然としたもの
 →間もなく検挙された容疑者は、台湾と中国大陸の統一を主張する元台北市議の男
 →銅像の修復も速やかに進められ、毎年の慰霊祭は、例年通り開催された
 →結果的には日本と台湾の強固な友情をより深める効果をもたらしたとも
・人間の営みとは、憎しみの連鎖という哀しき堂々巡りでしかないという感じも
 →それでも歴史とは「フルモアーサ」な存在と信じたい気持ち

≪あとがき≫
・これまでの(著者の)取材生活の背景をまとめた本書
 →学生時代:「バイクの旅」→「自転車の旅」→「徒歩の旅」
 →出版関係の会社でアルバイトをしたり、同人誌を作ったり
・やがて、(著者は)プロの物書きに
 →「取材」という枠組みの中で世界を巡るように
 →旅の延長線上に今の仕事があった

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