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米国の対中国牽制が高まる中、半導体業界の減速予測&勢力変化

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米国政府が中国・華為技術(Huawei)製の通信機器の購入を控えるよう同盟国に働きかけ、また、来る1月1日からは関税率の引き上げと対象製品をすべてに拡大する可能性、と中国を牽制する中、アルゼンチンでのG20の機会を捉えた米中首脳会談を迎えている。その成り行き、今後の展開如何が確実に大きなインパクトとなる半導体業界では、メモリ半導体伸長の一転マイナスを見込むなど減速の予測が出揃ってきている一方、プロセッサ性能を上げる最先端微細化を不動のトップで引っ張ってきたインテルの牙城をTSMCが脅かしてきているなどベンダー勢力図の変化の兆しが色濃くなってきている。

≪目が離せない展開&変化≫

米国が、Huawei Technologiesからのテレコム装置の購入を控えるよう同盟国に働きかけており、ニュージーランドもこれに応じている。

◇Washington Asks Allies to Drop Huawei -U.S. worried about potential Chinese meddling in 5G networks, but foreign carriers may balk -Report: US wants allies to not buy Huawei networking gear (11月23日付け The Wall Street Journal)
→米国政府が、ドイツ、イタリアおよび日本など同盟国に対しHuawei Technologiesからのテレコム装置の購入を控えるよう説得を試みている旨。Washingtonの当局は、該大手中国ベンダー製品にはcybersecurityリスクを抱えていると強く主張の旨。

◇New Zealand blocks Huawei on security grounds-New Zealand cites security issues in banning Huawei gear (11月28日付け New Electronics)
→ニュージーランドが、国家セキュリティ懸念からHuawei製のテレコム機器を用いる提案を阻止する国に加わった旨。

Trump大統領より、関税率の引き上げと対象製品すべてへの拡大の可能性がちらつかされている。

◇Trump says he expects to raise China tariffs: Wall Street Journal-Trump to increase tariffs on Chinese products (11月27日付け Reuters/The Wall Street Journal)
→Donald Trump大統領が、中国からの輸入品$200 billionに対する関税を1月1日に10%から25%に引き上げる計画、延期するという中国の要求を気に留めることは"高度にありそうもない"としている旨。同氏は、米国が中国から輸入するすべてのほかの製品に関税を賦課するかもしれない、と言っている旨。

次世代通信規格「5G」技術についてHuaweiはじめ中国勢の台頭が目立っている中でのこれら米国の牽制の動きとなっている。

◇5G覇権争い、中国、欧米を猛追、優位な規格・低価格武器、米は中国企業締め出し (11月27日付け 日経)
→通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの中国企業が、次世代通信規格「5G」技術の普及で攻勢を強めている旨。ファーウェイは既に世界66カ国150社以上と実証実験を進め、来年に5G対応のスマートフォンを発売する旨。警戒感を強める米国は同盟国に中国技術の不使用を求め、対抗策に打って出ている旨。ただ、中国は5Gに優位な通信規格と低価格品を武器に覇権争いで優位に立つ狙いの旨。

このような中で迎える米中首脳会談が、以下の運びとなっている。

◇米中首脳、12月1日に会談へ、不調なら「全品関税も」 (11月28日付け 日経 電子版)
→米ホワイトハウスは27日、トランプ大統領が30日〜12月1日にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の機会に日本、中国、ロシア、韓国、インド、トルコ、ドイツの各国首脳と会談すると発表、複数の欧米メディアによると、米中首脳はG20が終わった後の1日夜に夕食をともにしながら会談に臨む旨。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は27日の記者会見で、米中首脳会談が不調に終われば制裁関税の対象を中国からのすべての輸入品に広げる可能性に重ねて言及。貿易赤字の是正に向けて中国に圧力をかけ、譲歩を促す姿勢を示した旨。

会談の結果に注目するところであるが、関連でいくつか。「5G」とともに新技術のキーワード「AI」について米国政府の対応である。

◇AI a Focus as U.S. Preps Export Controls-U.S. outlines 14 broad areas in effort aimed mainly at China (11月29日付け EE Times)
→今夏通過した法制化の一環として、米国商務省が、14の広範な途上技術のどれに輸出管理を当てるべきか、12月19日までにinputを集める旨。該呼び掛けは、管理により米国の会社に傷みが出たり中国とのハイテク貿易戦争が悪化する可能性があると懸念、業界veteransおよび団体から素早く注目されている旨。11月14日に出された呼び掛けは、あり得る候補としてバイオテク、AI、量子computing、半導体、robotics, drones, および先端材料関連を挙げている旨。AIについて特に注目しており、computer visionおよび自然言語処理からAIチップセットまで10の特有領域を列挙の旨。半導体ではむしろより広い捉え方で、microprocessor(MPU)技術, SoCs, stacked memory on chip, およびmemory-centricロジックなどである旨。

TSMCからの米中摩擦のインパクトの見方である。

◇US-China trade war affecting chip industry growth, says TSMC co-CEO-IC industry growth is hurt by US-China trade war, TSMC co-CEO says (11月29日付け DIGITIMES)
→TSMCのco-CEO、CC Wei氏。中国と米国の間の貿易戦争によりmicrochip業界はマイナスの影響を受けており、関税の衝突の継続で、5G, artificial intelligence(AI)およびmachine learning, 自動運転車, cloud computing,ディジタルヘルスなど途上の半導体応用の成長および進歩を乱し得る旨。

中国経済への摩擦のインパクトが見え始めている現時点でもある。

◇11月の中国景況感、3カ月連続低下、貿易戦争が下押し (11月30日付け 日経 電子版)
→中国国家統計局が30日発表した2018年11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月比で0.2ポイント低い50.0だった旨。3カ月連続の低下で、好不調の節目となる50ちょうどまで落ちこんだ旨。米国との貿易戦争で新規受注が振るわなかった旨。PMIは製造業3千社のアンケート調査から算出し、生産や新規受注が50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す旨。

米中間の摩擦の高まる進行を受ける中での半導体業界について、まずはここ数ヶ月鈍化が著しい半導体販売高の伸びである。

◇Slowing Memory Market Cools Chip Growth (11月27日付け EE Times)
→半導体販売高の伸びがここ数ヶ月実質的に鈍化しており、2年以上の間該市場の伸びを焚きつけた急速な価格増大が少量に鈍化している旨。World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationによると、半導体販売高伸長の3ヶ月rolling平均が1月に13.8%に鈍り、2016年11月以来の最低水準であった旨。実際、伸び率が20%を下回るのは2017年第一四半期以来となった旨。

恒例のWSTSによる2018年秋季予測が発表され、今年は$478 billionと半導体市場が$400 billion台後半に伸びるが、来年は$490 billionと期待の$500 billion台突入は見送られる小幅な伸びとなっている。

◇WSTS 2018年秋季予測発表:世界半導体市場規模、2019年は2.6%成長へ−2018年は前年比15.9%成長か (11月27日付け EE Times Japan)
→WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)が27日、2018年秋季半導体市場予測を発表、以下の概要:
              2018年      2019年
 世界半導体市場規模   $477.936 billion $490.142 billion
              15.9%増       2.6%増

大きく引っ張るメモリ半導体のトップ、Samsungの昨年、今年とこの2年の設備投資の凄さが以下の通りであるが、来年は慎重な手控えの流れとなっている。

◇Samsung's big semi capex spending keeps pressure on competition (11月29日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが、半導体業界capital spending全体見通しを改訂、今月始めにリリースされたNovember Update to The McClean Report 2018において個々のメーカーの半導体capex spending予測をあらわしている旨。
Samsungが2018年も最大のcapex予算の見込み、2017年の$24.2 billionの後の2018年は若干減るものの$22.6 billionと非常に力強い水準、これでいけばSamsungのこの2年の半導体capital spendingは仰天の$46.8 billionになる旨。
 ・Samsungの年間半導体capexの推移:2010〜2018年
  ⇒https://electroiq.com/wp-content/uploads/2018/11/4e78b866-a245-450f-ba4b-65cf6a4f8f18.png
 ・主要各社の2019年半導体capex予測
  ⇒https://electroiq.com/wp-content/uploads/2018/11/bfb42622-3b50-4517-9dcd-d6018c870f01.png

世界半導体市場が踊り場に差し掛かって、どういう振る舞いになるか。伸びの鈍化の一方、新技術・新分野の台頭如何がカギを握るとの見方が謳われている。

◇半導体サイクル試練、メモリ4%成長、一転マイナス (11月29日付け 日経 電子版)
→急ピッチの成長が続いた世界の半導体市場が転換点を迎える旨。2019年に約4%の拡大が見込まれたメモリ市場は、直近の調査で0.3%の減少予測に転じた旨。スマートフォン市場の縮小や米中貿易戦争が影を落としており、需給バランスの悪化が価格下落も招いている旨。2017年に初めて40兆円を超えた半導体市場の変調は、一時的な調整局面なのか、さらに落ち込む入り口なのか。世界で拡大するデータ経済圏が市場の行方を左右する旨。
 ・WSTS           6月時点   今回
   2019年半導体メモリ   3.7%増    0.3%減
   2019年半導体全体    4.4%増    2.6%増

◇拡大するデータエコノミー、半導体市場の浮沈握る (11月29日付け 日経)
→近年の半導体市場の高成長は、膨大なデータを経済に生かす「データエコノミー」の伸長がもたらした旨。今後もあらゆるモノがネットにつながる「IoT」や自動運転など新しい半導体用途は広がる旨。今後の市場の浮沈は次世代サービスの普及がカギを握る旨。
市場拡大を支えたのは、10年目に突入した息の長い米国の景気拡大。主役はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)を代表とする、米IT大手企業。膨大なデータを蓄積・処理するデータセンター向けの需要が急速に高まった旨。今後もデータを基盤とする経済圏の拡大は続く見通し。
データ通信が増える次世代通信規格「5G」やセンサを多用する自動運転車、膨大なデータ処理が必要な人工知能(AI)の普及など、半導体の用途は広がる旨。また米国など先進国が中心だったデータエコノミーは今後、新興国に範囲を広げる見通し。

もう1つ、ここにきて業界勢力図の変化の兆しが注目されるところであり、その中心にはインテルの今後如何があるとの感じ方である。まずは、インテルのCPUs供給不足のインパクトである。

◇MOSFET makers optimistic about revenue prospects for 2019-Sources: MOSFET makers are sanguine for 2019 sales (11月22日付け DIGITIMES)
→台湾のMOSFETメーカーは2019年の売上げ見込みに楽観的であり、端末販売展望が不明確にも拘らず来年に向けてMOSFET在庫を備蓄しようとするdownstream顧客からの受注でいっぱいの旨。しかし、IntelがいつCPUsの完全供給を取り戻せるかが受注visibilityの主要variableとなる旨。

◇Intel CPU shortfalls may ease in 1Q19, benefiting Taiwan chip vendors-Sources see Intel's CPU shortfalls easing in Q1 (11月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。第三四半期に始まったIntelのCPU供給不足は、2019年第一四半期には緩和あるいは終わる可能性、notebook computersおよびPCsを製造するclientsからの台湾のIC設計メーカーへの発注が増えていく旨。一方、Intelは"Arctic Sound" discrete GPUの2020年リリースを前に、同社graphics processing unit(GPU)アーキテクチャー技術の更新を披露するconferenceを来月主催する計画の旨。

本年の半導体販売高では、インテルはSamsungに差を開けられることが確実な情勢である。

◇Samsung Extending its Sales Lead Over Intel (11月28日付け EE Times)
→IC Insights発。昨年Intelを抜いて半導体販売高世界トップベンダーとなった韓国・Samsung Electronicsが、今年はその差を広げる見込みの旨。

 インテルが10-nm対応が先延ばしにする一方でこれとほぼ同等水準との見方が多いTSMCの7-nmプロセス対応が活発に展開され、TSMCの業績を支えているということで、インテルの長年の牙城を脅かしかねないとの見方につながっている。

◇Supply chain partners see mixed impacts from iPhone order cuts-Cuts in iPhone orders disrupt semiconductor supply (11月27日付け DIGITIMES)
→AppleのiPhones向け半導体の所要削減が半導体業界に影響を与えており、多くのサプライヤが11月売上げの低下を見込んでいる旨。TSMCは、他のclientsが同社の7-nmプロセスcapacityを取り合っており、該損失からは大方逃れられるようやり繰りしている旨。

◇Taiwan's TSMC Could Be About to Dethrone Intel-Analysis: TSMC is helping to chip away at Intel's dominance (11月29日付け BloombergQuint (India))
→Intelの30年以上に及ぶ半導体業界の席巻に、TSMCが挑んでいる旨。PC半導体市場でのIntelの長きにわたる競争相手、Advanced Micro Devices(AMD)が最新のプロセッサ製造にTSMCを使っている一方、TSMCはAmazon, Apple, Qualcommそしてサーバ半導体市場でIntelと競っているstartup、Ampere Computing向けにも半導体を製造の旨。


≪市場実態PickUp≫

【AI関連】

Nvidiaが、中国の電気自動車startupsへのAIプラットフォーム供給契約を行っている。

◇U.S. chipmaker Nvidia to provide AI platform for Chinese EV start-ups (11月21日付け Reuters)
→Nvidia社のChief Executive、Jensen Huang氏が水曜21日、中国東部の都市、Suzhou(江蘇省蘇州市)でのイベントにて講演、同社は、自動運転技術の開発に向けて中国のelectric vehicle(EV) startups、XPeng Motors, Singulato MotorsおよびSF Motorsとそれぞれ契約調印の旨。

日本政府が策定したAI7原則が示されている。

◇AIの判断、企業に説明責任、ルール作りへ政府7原則 (11月26日付け 日経 電子版)
→政府がまとめた人工知能(AI)に関する7つの原則が明らかになった旨。AIが物事を判断する際、その企業に説明責任を求めるのが柱。AIの判断基準を示し、金融機関の融資などで、過程が分からない状態をなくす旨。この原則をもとに法整備を進め、外国企業が日本で活動するときの混乱回避に役立てる旨。
政府が策定したAIの7原則、下記参照:
 ⇒https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXKZO3818778026112018MM8000&dc=10&ng=DGXMZO38186770W8A121C1MM8000&z=20181126

恒例のEmbedded Technology 2018(11月14-16日:パシフィコ横浜)でもAIとIoTが活況のキーワードの模様である。

◇Japan Sniffing Out Its AI Niches (11月27日付け EE Times)
→Embedded Technology 2018 Exhibition(11月14-16日:パシフィコ横浜)も今日の2つの熱い活況の話題、AIおよびIoTが席巻。一方では、日本のelectronics大手、大方は富士通、NECおよび東芝がIoT応用の拡がりに重要な新しい材料およびワイヤレス技術を披露。もう一方今年のEmbedded Technology/IoT showでは、AIについてビジネスおよび技術に熱烈に重点化したAscent Robotics, LeapMind, Robitなどたくさんの日本のstartupsが前面に出てきている旨。これら日本のAI rookiesは大半世界には知られていないが、何をやるか、如何にやるか、そしてなぜやるかは、何処のstartupsと変わりない旨。

◇Japan Showcases its AI Tech-A mammoth report on the hottest happenings from Yokohama's Embedded Technology 2018 (11月27日付け EE Times India)

ネットワークの端末、すなわちedgeに向けたAI半導体の取り組みの活況ぶりがあらわされている。

◇AI Chip Architectures Race To The Edge-Companies battle it out to get artificial intelligence to the edge using various chip architectures as their weapons of choice. -AI chips are going to the network edge (11月28日付け Semiconductor Engineering)
→edge computing向けartificial intelligence(AI) acceleratorsは、データセンター用に設計された屈強なプロセッサよりは、標準field-programmable gate arrays(FPGAs)およびsystem-on-a-chip(SoC)デバイスのように見える旨。市場リサーチのTractica(Boulder, CO)のリサーチdirectorでedgeデバイス用AIについての同社レポートの著者、Aditya Kaul氏は、少なくとも70社がカメラ, drones, ロボット, セキュリティシステムおよびスマートフォンなどedge応用向けのAI半導体を開発していると評価の旨。

【SamsungのQLC NAND SSD】

1個のメモリセルに4bitのデータを記憶する「QLC(quadruple level cell)」技術の取り組みはすでに見られているが、Samsungが、該技術NANDフラッシュメモリデバイスで作られた初のsolid-state drive(SSD)を以下の通り出荷している。

◇Samsung joins the QLC NAND party with its 860 QVO SSD-New Samsung SSD features QLC NAND flash memory (11月27日付け VentureBeat)
→12月15日にリリース予定のSamsung 860 QVO solid-state drive(SSD)は、1-terabyteモデルが$150, 2TBが$300および4TBが$600の価格。該SATA-ベース860 QVO 2.5-インチdriveは、ほとんどの日常応用における動作高速化に向けてquad-layer-cell(QLC) NANDフラッシュメモリデバイスで作られたSamsung初のSSDである旨。

◇サムスン電子、大容量4TB SSD出荷 (11月28日付け もっと!コリア)
→サムスン電子は28日、容量が4テラバイト(TB)に達するSSDモデル「860QVOシリーズ」を業界初で開発、来月に市販すると明らかにした旨。
今回のSSDはひとつのセルに格納するデータを、これまでの3ビットから4ビットに増やしたことが特徴。 4ビット(QLC/クワッドレベルセル)は、1つのセルに2進数で4桁のデータを入れる技術で、それだけ同じサイズのチップにより多くのデータを入れることができる旨。サムスン電子は「保存容量が33%増加した」とし、「容量を1TB・2TB・4TBなどに変えて販売する」と説明した旨。特に今回の製品には連続読み取り(毎秒550MB)と、高速書き込み(520M/秒)を実現する「インテリジェントターボライト(Intelligent Turbo Write)」機能を採用した旨。

【Infineon関連】

デンソーが、Infineonのパワーはじめ半導体技術との組み合わせを狙って同社への出資を行っている。

◇Denso Takes Equity Stake in Infineon (11月26日付け EE Times)
→日本の車載コンポーネントサプライヤ、Denso社が、ドイツの半導体メーカー、Infineon Technologiesにおけるstake獲得、"二桁半ばmillion-euro規模"の出資の旨。DensoとInfineonは、Infineonのintelligentセンサ, microcontrollers(MCUs)およびパワー半導体を用いて自動運転、vehicle electrificationおよびelectro-mobilityなど新しい途上の車載技術の開発を加速する狙いの旨。

◇DENSO invests in Infineon-DENSO makes an equity investment in Infineon for auto chips (11月26日付け Electronics Weekly (UK))

◇デンソー、独半導体大手に数十億円出資 (11月27日付け 日経)
→デンソーは26日、半導体大手の独インフィニオンテクノロジーズに出資したと発表、出資比率は0.2%程度、出資額は数十億円。車の電動化が進むなか、インフィニオンの半導体技術とデンソーの車載分野での知見を組み合わせ、技術開発を加速させる旨。インフィニオンは電力をつかさどる半導体「パワー半導体」などに強みを持つ旨。

システムの安全確実に向けて、Infineonが、blockchainセキュリティkitを披露している。

◇Infineon's Blockchain security 2Go starter kit-Infineon debuts a blockchain security kit for secure systems (11月26日付け New Electronics)
→Infineon Technologiesが、設計者に向けたBlockchain Security 2Go starter kitを投入、financial技術などblockchain-ベース・応用向けの安全確実なシステムを作る助けになる旨。2019年第一四半期に入手できる該kitは、5枚のnear-field communication(NFC)スマートカードが入っており、複数のblockchainsに向けたblockchain cryptography featuresを備えた同社のセキュリティ・コントローラを使っている旨。FinTechsおよびblockchain設計者のシステムにハードウェア-ベースセキュリティを構築する早くて容易な方法が得られる旨。

これも安全確実なbiometricカードに向けて、InfineonのIDEX Biometricsとの連携である。

◇Infineon and IDEX Biometrics join forces-Infineon teams with IDEX for secure biometric cards (11月27日付け New Electronics)
→Infineon Technologiesが、先端指紋同定&認証ソリューション・プロバイダー、IDEX Biometrics(Norway)と協働、Infineonのsecure elementsをIDEXのbiometric技術を組み合わせて、Infineonのdual-interface 16-bit cybersecurityコントローラ上で動くsystem-on-a-card prototypeを開発していく旨。「biometricsはcontactless決済カードに向けた次の革新段階であり、銀行および顧客にセキュリティおよび利便性が追加される。」と、InfineonのHead of the Payment & Wearables、Bjoern Scharfen氏。

【SEMIの活動関連】

業界初というパワーおよび化合物半導体の世界fab関連をまとめたデータが、今後の予測とともにSEMIから発表されている。

◇SEMI unveils industry's first power and compound fab outlook (11月26日付け ELECTROIQ)
→SEMIが、業界初、パワーおよび化合物半導体の世界fabデータを発表、該新レポート、Power and Compound Fab Outlookには、パワーおよび化合物半導体の包括的なfront-end半導体fab情報およびグローバル製造capabilitiesについて2022年に向けた予測が示されている旨。

◇SEMI extends data gathering remit to power and compound semis-SEMI offers wafer fab data on power and compound semiconductors (11月27日付け Electronics Weekly (UK))

もう1つ、SEMIからの半導体製造工場の自動化やデータ管理にとって必須のソフトウェア標準仕様、SECS/GEM(Semiconductor Equipment Communications StandardおよびGeneric Equipment Model)の各社採用が以下の通り広がっている。

◇Semiconductor equipment communication standard sees increasing application-More companies embrace the SECS/GEM standards, sources say (11月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。GlobalFoundries, Intel, NXP Semiconductors, Samsung Electronics, TSMCおよびUMCが、Semiconductor Equipment Communications StandardおよびGeneric Equipment Model(SECS/GEM)を取り入れており、electronics ecosystem内の他の各社の該SECS/GEM標準受け入れを引っ張っている旨。採用の広がりは、LCDs, optoelectronics, printed circuit boards(PCBs)およびphotovoltaic solar cellsのメーカーの間で起きている旨。

【Amazon関連】

Amazon Web Services(AWS)が、自前のArm-ベース・サーバ用プロセッサ半導体、Gravitonを打ち上げている。

◇Amazon's cloud unit launches Arm-based server chips (11月26日付け CNBC)

◇AWS makes Arm processors available in the cloud with new Graviton processor-AWS produces Graviton processor utilizing Arm-based chips-AWS dropped a handful of product announcements ahead of re:Invent 2018, including its own processor for scale-out workloads. (11月27日付け ZDNet)
→Amazon Web Services(AWS)が自社のGravitonプロセッサを打ち上げ、cloud事業を拡げてArm-ベースcomputing resourcesを含めている旨。該プロセッサに依存する同社のEC2(Elastic Compute Cloud:アマゾンが提供する計算資源を用いてアプリケーションを実行するAWSの商用ウェブサービス) A1 instances(ARMコアを用いた独自開発のシリコンチップを大規模に使用、性能とコストに最適化)は、あるworkloadsについて45%ほどコストを削減する可能性の旨。

Amazonが他のventureファンドとともに、Amazonが開発したAIアシスタント、Alexaの強化に向けて低電力デバイス開発のstartupに出資している。

◇Amazon invests in Strip District internet of things startup that could help power Alexa -Amazon, others invest in low-power chip startup for Alexa, IoT (11月27日付け Pittsburgh Post-Gazette)
→always-on sensing用低電力デバイスを開発しているstartup、Aspinity(Pittsburgh)が、Birchmere Ventures率いるventure capital(VC) fundingで$2.9 millionを調達、Amazon Alexa Fundも該roundに参加、該startupのprivate funding総額が$3.5 millionの旨。Aspinityの半導体設計により、non-voice sound処理が80%および電力消費が10分の1に削減される旨。

【新技術・新製品】

チップを構成するモジュール部品、chipletというXerox傘下、Palo Alto Research Center(PARC)からの今後の半導体技術の考え方の採用の広がりである。

◇Getting Down To Business On Chiplets -Chiplets tech gains in industry adoption (11月26日付け Semiconductor Engineering)
→LEGOsのように異なるモジュールを合わせていく考え方、chiplet技術の使用が、半導体業界における3つのinitiatives(DARPA;IEEEのSEMIと合同のInternational Roadmap For Devices and Systems;Netronome, Achronix, Kandou Bus, GlobalFoundries, NXP, Sarcina Technology, およびSiFiveなど各社グループ)の主題であり、Marvell Technology Groupが、同社modular半導体アーキテクチャー搭載chipletsの商用採用で引っ張っている旨。「ChipletsはMoore's Lawの終焉に対する良いソリューションである。」と、Marvellのnetworking CTO and senior director、Yaniv Kopelman氏。

Xilinxの軍事および宇宙用途に耐え得る"防衛-グレード"programmableロジック半導体の最新世代が、以下の通りあらわされている。

◇Xilinx's New FPGAs Address Evolving Threats, Fake ICs (11月27日付け EE Times)
→FPGAのパイオニア、Xilinxが、machine learningおよびAI応用並びにネットワークedgeでの機器安全確保の拡張軍事用途を含む"防衛-グレード"programmableロジック半導体の最新世代を擁して、1つの範囲、すなわち軍事および宇宙応用を狙っている旨。耐久性実装および極端温度耐性など標準featuresとともに、軍用グレードシステム最新世代、XQには、しばしば何10年も動作しなければならないシステムに向けて偽造防止および信頼性featuresも含まれる旨。

GLOBALFOUNDRIESより、業界初、300mm SiGeファウンドリー技術が発表されている。

◇GLOBALFOUNDRIES announces industry's first 300mm SiGe foundry technology to meet growing data center and high-speed wireless demands (11月29日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、同社の300-mmウェーハ製造プラットフォームで試作評価が行える先端silicon germanium(SiGe) offering, 9HPを発表、データセンターおよび高速wired/wireless応用における力強い伸びの前触れとなる動きの旨。


≪グローバル雑学王−543≫

先の大戦による戦禍、無念の思いを前回のサイパン・パラオで改めて知らされたが、続けてフィリピンである。特攻隊が初めて結成された場所、そして渡辺はま子さんの唄『あゝモンテンルパの夜は更けて』の地について、

『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』
 (早坂 隆 著:PHP新書 1149) …2018年7月27日 第1版第1刷

より訪れた著者の受け止めに触れ、感じ方を共有していく。特攻隊結成の場所は「アンヘレス(Angeles)」、英語の「エンジェルス(Angels)」で天使たちの町。それとはかけ離れた現在に至る経緯を知らされる。大戦後にいわゆる「BC級戦犯」とされた方々が収容されたモンテンルパで、ただただ合掌せざるを得ない著者の感じ方に、今に見るフィリピンの深層にある消してはならないメモリを受け止めている。


第十一章 フィリピン―――天使たちの町に残る特攻兵の面影

□特攻隊が初めて結成された場所で
・「神風特別攻撃隊」が初めて結成された場所はどこか
 →「フィリピン」
 →1944(昭和19)年10月26日、日本史における最初の組織的な特攻作戦断行
・出撃した部隊の名、「敷島隊」
 →本居宣長の歌、「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山桜花」に因む
 →「大和隊」「朝日隊」「山桜隊」も存在
・敷島隊が出撃した地を確かめるため、(著者は)フィリピンへ
 →敷島隊が飛び立ったマバラカット西飛行場の跡地は、アンヘレスの郊外に位置
  …アンヘレスは、マニラから北西方向に約80km
・戦時中、マバラカットには西飛行場と東飛行場
 →東飛行場跡地への入り口には、日本式の鳥居
 →西飛行場の跡地は旧米軍基地の敷地内に
 →旭日旗とフィリピンの国旗が配された立派な記念碑が建立
  …碑の前面には日本語で「第二次世界大戦に於て日本神風特別攻撃隊が最初に飛立った飛行場」
  →記念碑の近くに残っている防空壕。現地では「カミカゼ・トンネル」
・(著者は)その後、記念碑の建立や整備に尽力した人物に話を聞きに
 →アンヘレス在住、1930年生まれのダニエル・H・ディソンさんという方

□ケヤキの柱に残された空気銃の弾の跡
・戦後、ディソンさんは画家として成功
 →現在、自宅の一部を「カミカゼ・ミュージアム」として公開
 →自ら収集した日本兵の飛行服や鉢巻きといった遺留品を数多く陳列
  →その中には、敷島隊の一人として散華した谷暢夫(のんぷ)を描いた肖像画も
  …京都府舞鶴市の出身。父親は明教寺という寺院の住職
・後日、(著者は)谷の実弟で明教寺を継いでいる英夫(えいふ)さんに会いに
 →本堂の入り口の辺りのケヤキの柱、その柱のあちこちに残る十ヶ所くらいの空気銃の弾の跡
 →「これは、子供の頃、兄と一緒に遊んだ跡。これこそが、一番の懐かしい兄の遺品」

□特攻の町がその後に歩んだ混沌の道
・「アンヘレス(Angeles)」という町の名は、スペイン語の「天使たち」が語源
 →英語の「エンジェルス(Angels)」と同義
 →特攻隊発祥の地が「天使たちの町」というのは、歴史の皮肉に
・かつて多くの日本兵たちで賑わったこの町は、今ではアジア有数の売春街に
 →大東亜戦争が終わった後も、アンヘレスは混沌の道
 →かつての占領者、アメリカ兵たちが戻ってきて「クラーク空軍基地」の復活
 →米軍の兵士たちを相手にする歓楽街が生まれた
・1991年、基地近くのピナトゥボ火山が大噴火
 →基地はフィリピン政府に返還される運びに
 →兵士は去っても娼婦は残った

□杜撰な戦犯裁判で下された絞首刑判決
・フィリピンでもう1ヶ所、ぜひとも訪問したい場所、「モンテンルパ」
 →マニラから南へ30km
 →大東亜戦争後にいわゆる「BC級戦犯」とされた方々が収容された場所
 →身に覚えのない罪状により、多くの元兵士がその命を奪われた
・京都府に住む宮本正二さん(取材時・94才)は、モンテンルパからの帰還者の一人
 →第十六師団歩兵第二十連隊の一兵卒としてフィリピンに渡った軍歴
 →終戦を受け戦友たちとともに収容所に移送
 →1948年6月、マニラの裁判所から突然の呼び出し、「戦犯」として起訴
・一方的かつ杜撰(ずさん)な裁判
 →宮本さんは死刑囚としてモンテンルパ刑務所に移送された

□モンテンルパの夜は更けて
・翌1949年11月、新たな教誨師としてモンテンルパにやってきた真言宗宝蔵院の住職、加賀尾秀忍
 →懸命な助命嘆願運動により、死刑は2年以上にわたって執行されなかった
・1951年1月、14名の死刑囚が夕食後に不意に呼び出され、そのまま処刑されてしまった
 →極度の不安と絶望に再び突き落とされた死刑囚のため、加賀尾は歌をつくることを発案
 →こうして生まれた『あゝモンテンルパの夜は更けて』
・当時の人気歌手、渡辺はま子によって唄われ、助命嘆願運動は一挙に拡大
 →同年12月、渡辺がモンテンルパ刑務所を訪れた
・フィリピン政府による特赦、収監者たちの帰国が実現したのは、1953(昭和28)年のこと
 →宮本さんにとって実に12年ぶりの帰郷

□刑務所内に往時の名残りはなかった
・モンテンルパ刑務所は、現在も国立の刑務所としてその機能を果たしている
 →美しい白壁の外観をもつ洋風の建物
 →正式名称は「ニュー・ビリビッド刑務所」
・(著者は)エントランスの付近に立っていた所員の男性を呼び止め、施設内への取材の交渉を試みた
 →アジアでの取材時に何より有効なのが「チップ」
 →「面会だけだぞ。写真撮影はダメ」との言葉を引き出すのに成功
・元日本兵について彼は、「今では当時の名残りはもう何もない。設備も内装も大きく変化している」
 →(著者は)その足で、刑務所の近隣にあるという日本人墓地へ
 →静寂に包まれた敷地内には、平和観音像や平和祈念塔など
・粗雑な裁判の末、刑場の露と消えた人々が抱えた幾重もの無念は、とてもではないが図りかねる
 →ただただ合掌し、御霊の安らぎを祈った
・特攻、売春、賄賂、麻薬、冤罪。そんな言葉の数々に自身の価値観が侵食されていくようなフィリピンの旅は、こうして終わりに

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