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販売高増勢の一方、20%以上増15ヶ月連続で途切れ、先行きに警戒感

米国Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この7月について$39.5 billionと前月比0.4%増、前年同月比17.4%増、そして6月に続いて単月最高を更新している。2017年4月から2018年6月まで15ヶ月連続の前年同月比20%以上増が、ここでついに途切れる結果となっている。メモリ半導体の高価格が引っ張る現下の熱い活況の半導体市場という決まり表現が続いてきているが、米中摩擦はじめ世界情勢の雲行きを受けて今後に向けた警戒感が具体的に強まっている現時点でもある。

≪7月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表が次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯7月のグローバル半導体販売高が前年比17.4%増−月次販売高の最高更新;主要製品カテゴリーおよび地域別市場のすべてで前年比増 …9月4日付け SIA/NEWS

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2018年7月の世界半導体販売高が$39.5 billionに達し、前年同月、2017年7月の総計$33.6 billionに対して17.4%の増加と発表した。2018年7月のグローバル販売高は、前月、2018年6月の$39.3 billionを0.4%上回った。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「7月のグローバル半導体業界は史上最高の月次販売高を示しており、昨年7月を容易に上回り、前月総計には辛うじて先行している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「すべての主要半導体製品カテゴリーおよび地域別市場にわたって販売高は前年比で増加しており、中国とアメリカ市場が20%を上回る伸びで牽引している。」

次に示すように、地域別では、販売高が前年同月比ですべての地域にわたって堅調に増加している。前月比ではJapanおよびEuropeが僅かなマイナス、Asia Pacific/All Otherが横這い、ChinaおよびAmericasが僅かなプラスとなっている。

China
前年同月比 +29.4%/
前月比 +1.7%
Americas
+20.7%/
+0.4%
Europe
+11.7%/
-2.4%
Japan
+11.5%/
-0.1%
Asia Pacific/All Other
+5.7%/
+0.0%


              【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jul 2017
Jun 2018
Jul 2018
前年同月比
前月比
========
Americas
6.94
8.34
8.38
20.7
0.4
Europe
3.20
3.67
3.58
11.7
-2.4
Japan
3.04
3.39
3.39
11.5
-0.1
China
10.68
13.59
13.82
29.4
1.7
Asia Pacific/All Other
9.77
10.32
10.32
5.7
0.0
$33.63 B
$39.31 B
$39.49 B
17.4 %
0.4 %

--------------------------------------
市場地域
2- 4月平均
5- 7月平均
change
Americas
8.16
8.38
2.7
Europe
3.65
3.58
-2.0
Japan
3.29
3.39
3.1
China
12.38
13.82
11.6
Asia Pacific/All Other
10.13
10.32
1.8
$37.61 B
$39.49 B
5.0 %

--------------------------------------

※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/July_2018_GSR_table_and_graph_for_press_release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の取り上げである。伸びの鈍化が示されている。

◇Chip Sales Growth Slows (9月6日付け EE Times)
→7月の半導体販売高はまた増加しているが、ついに冷める兆しを見せている旨。

◇Global semiconductor sales increase 17.4% year-to-year in July (9月6日付け ELECTROIQ)

◇Global semiconductor sales increase 17% in July, says SIA (9月6日付け DIGITIMES)

◇Semiconductor worldwide sales see 17.4% increase year-to-year in July (9月7日付け New Electronics)

◇Semiconductor Sales Still Increasing-But does show signs of cooling off (9月7日付け EE Times India)

2016年後半から盛り返して急激な増勢を保っている世界半導体販売高の推移が次の通りであり、24ヶ月連続の前年同月比増ながら、15ヶ月連続した前年同月比20%以上増が7月は17.4%と途切れる結果となっている。史上最高の月次販売高の更新が続いてきており、伸びしろはあるだけに引き続き推移のほどに注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月
 $27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月
 $28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月
 $29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月
 $30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月
 $31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月
 $31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月
 $30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月
 $30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月
 $30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月
 $31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月
 $31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月
 $32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月
 $33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月
 $34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月
 $35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月
 $37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月
 $37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月
 $37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月
 $37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月
 $36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月
 $37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月
 $37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月
 $38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月
 $39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月
 $39.49 B
17.4 %
0.4 %


これまで直近の実績をまとめた各種データは、半導体関連の伸びが当然ながらタイトルにあらわれる形になっている。特に半導体にあまりにも偏る結果になっている韓国経済に注目せざるを得ないところである。

◇韓国、過去最大の輸出額も…実際は「半導体錯視」 (9月3日付け 韓国・中央日報)
→今年1-8月の累積輸出額が3998億ドルで過去最大、このペースだと今年は年間輸出額が初めて6000億ドルを超えると予想される旨。しかし半導体依存度がさらに強まり、輸出構造の脆弱性に対する懸念は続いている旨。産業通商資源部によると、韓国の8月の半導体輸出額は前年比31.5%増の115億ドルとなり、6月(112億ドル)の過去最大月間輸出額を更新、輸出額全体で半導体が占める比率も22.5%で過去最大になった旨。

◇設備投資12.8%増、4〜6月、半導体関連伸びる (9月3日付け 日経 電子版)
→財務省が3日発表した2018年4〜6月期の法人企業統計。全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の設備投資は前年同期比12.8%増。プラスは7四半期連続で、伸び率はリーマン・ショック前の2007年1〜3月以来、約11年ぶりの高水準。製造業で半導体関連を中心に生産能力を引き上げる動きが広がった旨。
同日発表した2017年度の設備投資は5.8%増の45兆4475億円、遡れる2001年以降で過去最高。

そして、今後についての見通しの材料は以下の通り冷え加減が増す内容が見られている。NANDフラッシュの値下がりが先行して、押し下げ要因になっている感じ方である。Samsung ElectronicsとSK Hynixのメモリ半導体を引っ張る韓国2社の増強投資先延ばしの報道があらわれている。

◇Eight-inch foundries face unclear order visibility in 4Q18 (9月3日付け DIGITIMES)
→台湾のIC design houses筋発。8-インチICファウンドリーの2018年第四四半期受注visibilityが不明確になってきている旨。ファブレス半導体メーカーは2018年前半に在庫拡大に努めたが、今や発注ペースを落とし始めている旨。

◇Samsung, SK Hynix reportedly to defer expansion plans-Report: Samsung, SK Hynix to hold off on capacity expansion plans (9月6日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung ElectronicsおよびSK Hynixともにcapacity拡大計画を延期する意向、顧客需要の低迷が2019年前半を通してDRAMおよびNANDフラッシュメモリ価格を引きずりおろしていく旨。グローバルNANDフラッシュ市場は、伝統的にpeak seasonであるにも拘らず2018年第三四半期に依然供給過剰である旨。サプライヤが64-および72-層3D NANDフラッシュoutputを引き続き立ち上げ、notebookおよびスマートフォン市場の飽和による需要の伸びの抑制が合わさって、メモリ価格を下げる要因と同定されている旨。一方、該業界supply chainはsubstandard NANDフラッシュ半導体で溢れており、メモリ価格へのさらにマイナスインパクトとなっている旨。NANDフラッシュ契約価格は、第三四半期に予想を上回る前四半期比10-15%の低下、第四四半期にはさらに15%下がりそうな旨。

◇SSD価格が一段安、7〜9月、部材の値下がり波及 (9月7日付け 日経)
→データの記憶装置に使うソリッド・ステート・ドライブ(SSD)が一段と値下がりした旨。指標品の7〜9月期の大口需要家向け価格は4〜6月期より5〜6%下がった旨。主要部材の半導体メモリ、NAND型フラッシュメモリの値下がりが波及している旨。SSDの指標となるTLC(トリプル・レベル・セル)規格の256ギガバイト品は、大口価格が4〜6月期比で6%安い1個64ドル前後で決着した旨。下落は4四半期連続。512ギガバイト品も5%下がり、1個124ドル前後となった旨。

◇Memory production value growth to slow in 2019, says Digitimes Research (9月7日付け DIGITIMES Research)
→Digitimes Research発。2018年のDRAMおよびNANDフラッシュ分野を合わせたグローバルoutput valueが30%弱の伸びの見込み、2019年には一桁に鈍化する旨。サーバの力強い需要が主に高めて、2018年のグローバルDRAMのoutput valueが約$100 billionの最高に達する旨。2018年の世界サーバ出荷は15%超に上がる予測の一方、サーバのメモリcontent/boxが上昇し続けている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連の動き】

Trump政権が、2ヶ月の見直しを経て中国製品の追加$200 billion相当に10%の関税を課す計画を発表したのが7月始めであり、はや2ヶ月、その通りであれば発動のタイミングを迎えている。現下の関連する動きとして、摩擦に備える投資分散化である。

◇信越化学、シリコーン5割増産、米中摩擦受け分散投資 (9月3日付け 日経 電子版)
→信越化学工業は車の樹脂部品や化粧品などに幅広く使うシリコーンを5割増産する旨。1100億円を投じ、日本やタイ、米国など各拠点の設備を増強する旨。シリコーンは増産していた中国勢が環境規制で工場の操業停止を迫られており、需給が逼迫している上、さらに米国が8月、中国に対し追加で制裁関税を課した旨。信越化学は世界の拠点から供給できる体制を整える旨。米中貿易摩擦の激化に備え、供給網を見直す動きが広がりそうな旨。

7月の米国の貿易赤字のデータであるが、次の通り削減には至っていない状況である。

◇US trade deficit widened to $50.1 billion in July-July trade deficit passes $50B (9月5日付け The Associated Press)
→米国の製品&サービス貿易赤字が、6月の$45.7 billionから7月は$50.1 billionに増大、2月以降最高の数字。対中赤字が10%増、そして対EU赤字が50%増、ともに最高値に上がっている旨。

◇7月米貿易赤字、対中輸出8%減、貿易戦争で大豆減少 (9月5日付け 日経 電子版)
→米商務省が5日発表した7月の貿易統計(通関ベース、季節調整済み)。中国への輸出額は110億2600万ドル(約1兆2000億円)で、前月比8.2%減。米中貿易戦争の影響で、中国が報復関税を課した大豆などの輸出が減った旨。中国からの輸入額は1.6%増え、対中貿易赤字は341億3500万ドルと5.2%拡大した旨。季節変動を考慮しない調整前の対中貿易赤字額は368億3400万ドルで、単月として過去最大となった旨。米中は7月に互いに年340億ドル分の品目を対象に第1弾の追加関税を課したが、米国にとっては輸出への影響が相対的に大きく、赤字削減にはつながっていない旨。

発動の検討期限を控えて、中国からの対抗ののろしが上げられている。

◇Thursday marks probably the most important moment yet in Trump's trade war with China-US considers new tariffs as China vows retaliation (9月6日付け Business Insider)
→本日が、Donald Trump大統領と彼の政権が$200 billion規模の中国製品に対する新たな関税の実行を考える協議期間の終わりとなる旨。該関税が実施されれば、中国は$60 billionのアメリカ製品を狙った対抗策をとるとしている旨。

◇China warns of retaliation if U.S. slaps new tariffs (9月6日付け Reuters)

◇China says it will retaliate if US tariff hikes go ahead (9月6日付け USA Today/The Associated Press)

Trump大統領はこれに対して、さらに上乗せの警告を行っている。

◇Trump ups ante on China, threatens duties on nearly all its imports-Trump ups ante on Chinese imports, threatening duties on $267 billion more goods (9月7日付け Reuters)
→Donald Trump大統領が金曜7日、発動待ちの$200 billionに加えて中国からの輸入品$267 billion相当に関税を賦課する備え、と警告の旨。

半導体関連業界にはたまったものでなないと、米国政府への反対表明が続けられている。

◇US chip industry to warn Trump against export controls on Chinese trade-Attempt to curb Beijing's 'Made in China 2025' could be devastating say-US tech execs head to D.C. to warn against export controls for China (9月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→米国半導体業界の代表が今月Washington, D.C.を訪問、中国に対してのICsおよび半導体製造装置の輸出管理賦課に反対を主張の旨。「半導体関連メーカーすべてが米国政権への我々の懸念の表明に結集している。」
と、KLA-Tencorのsenior vice president and chief marketing officer、Oreste Donzella氏が木曜6日、SEMICON Taiwan exhibitionでのnews briefingにて。Semiconductor Industry Association(SIA)およびSEMIなどの業界団体も該表明に入っている旨。

【SEMICON TaiwanおよびMorris Chang氏】

恒例のSEMICON Taiwan(2018年9月5-7日:台北)が開催され、今回はその中でICの誕生60年を祝うイベントが開催されている。

◇SEMICON Taiwan opens with AI, IoT, automotive in the spotlight (9月4日付け ELECTROIQ)
→台湾で最大の半導体supply chainイベント、SEMICON Taiwan(2018年9月5-7日:Taipei Nanang Convention Center)について。世界中から2,000を上回るboothsおよび出展社680。台湾の2018年半導体業界売上げは6%増の$84.76 billion U.S. dollars($2.6 trillion NT dollars)の見込み。

◇ASE COO sheds light on future IC development (9月4日付け DIGITIMES)
→2018 Semicon Taiwan(9月5-7日:台北)の前に行われたpress conferenceにて、ASE Technology Holdingのchief operating officer、Tien Wu氏。
グローバル半導体市場の22%シェアをもつ台湾のIC業界は今後のビジネス展開に向けて話す権利を捉えなければならない一方、IC誕生60周年を喜んで受け入れて、政府、supply chains, enterprises, academicsおよびresearch unitsがすべて向こう60年におけるビジネスおよびvalue distributionの最適化に向けて力を合わせなければならない旨。

該イベントでは、台湾半導体業界の総帥でこの6月にTSMCを引退したMorris Chang氏が基調講演を行って、これまでを振り返り今後を俯瞰するプレゼン内容が大略以下の通りである。

◇Morris Chang to deliver speech at forum marking 60th year of IC development (9月4日付け DIGITIMES)
→TSMCのfounder、Morris Chang氏が、9月5日開催の"IC60 Master Forum"にて、2018年6月に引退後初めての基調講演を行い、該イベントを主催する台湾・Ministry of Science and Technologyの招待での"IC60-I See the Future"シリーズ活動の一環の旨。science minister、Cheng Liang-gee氏が2018 Semicon Taiwan(9月5-7日)を前にしたpress conferenceで、最初のIC誕生60周年を記念するIC60シリーズ活動のhonorary chairmanとしてChang氏を招いたと語っている旨。

◇TSMC founder Chang warns of Chinese dominance in chips-Industry icon sees 6% growth in sector over 20 years, double that of global GDP-TSMC's Chang forecasts long-term growth for chip industry (9月5日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→引退したTSMCのfounder、Morris Chang氏がannual Semicon Taiwan conferenceにて、microchip業界は成長が維持されていくと予想の旨。
「グローバルGDP成長は約2.5%-3%と思う一方、半導体業界は向こう20年にわたって約5%-6%と引き続きより早く伸びていく。」一方、TSMCのChairman、Mark Liu氏は世界を引っ張るファウンドリーの前には課題山積とし、"スマートフォン数量は安定水準に達しているが、平均の各スマートフォンのシリコンcontentは依然高まっていく"と特に言及の旨。

◇Top 10 semiconductor industry innovations (9月7日付け ELECTROIQ)
→SEMICON Taiwan 2018にて、TSMCおよびICファウンドリーモデルの創設者、Dr. Morris Chang氏が、IC発明60周年を祝うIC60 Master Forum基調講演で挙げた1948年以来の半導体業界革新milestonesトップ10:
 1. Invention of the transistor by Shockley, Bardeen, and Brattain - 1948
 2. Silicon transistor           - 1954
 3. Integrated circuit           - 1958
 4. Moore’s Law              - 1965
 5. MOS technology
   MOS FET               - 1964
   Silicon gate             - 1967
   CMOS                 - 1970
 6. Memory
   DRAM                 - 1966
   Flash                - 1967
 7. Outsourced assembly and test(OSAT)   - 1960s
 8. Microprocessor             - 1970
 9. VLSI systems design          - 1970-1980
   IP and design tools          - 1980-present
 10. Foundry model            - 1985
今後の半導体の進展に向けた革新項目:
artificial intelligence(AI)およびmachine learning,
  新デバイスアーキテクチャー
  Extreme Ultraviolet lithography(EUV)
  2.5D/3D packaging
  新材料 …grapheneおよびcarbon nanotubesなど

【中国の半導体fab capacity】

SEMIのChina IC Ecosystem Report予測にて、中国におけるfront-end fab capacityが2020年末までに世界全体の20%に増大していくとされている。官民投資$20 billion以上が充てられる見方である。

◇China's semiconductor fab capacity to reach 20% worldwide share in 2020 (9月4日付け ELECTROIQ)
→SEMIによるIC製造supply chainの包括的なレポート、China IC Ecosystem Report。中国におけるfront-end fab capacityが、今年世界の半導体fab capacityの16%を占めるまで伸びて、2020年末までに20%に増大する旨。この急成長で中国は、2020年には$20 billionを上回るfab投資で世界の他に上回り、multinationalおよび同国内メーカーの両方が出資するメモリおよびファウンドリー・プロジェクトが引っ張る旨。

◇China semiconductor fab capacity to reach 20% worldwide share in 2020, says SEMI-SEMI: China will have 20% of global fab capacity in 2 years (9月5日付け DIGITIMES)
→SEMIの予測。中国が今年世界のfront-endウェーハfabrication capacityの16%を占め、2020年末までに20%に増大していく旨。中国では25の新規あるいは計画されたfabsがあり、官民entitiesが2020年にIC生産capacity拡大に向けて$20 billion以上投資する旨。

【7-nm関連】

中国のHuaweiが、世界初の7-nmモバイル半導体、Kirin 980を披露、9月12日に新型iPhonesの発表を控えるAppleに一石を投じている。

◇Huawei promises its 7nm Kirin 980 processor will destroy the Snapdragon 845-Huawei touts 7nm Kirin 980 processor as a Snapdragon 845 alternative (8月31日付け The Verge)
→HuaweiのHiSilicon部門が、Androidスマートフォン向けにQualcommのSnapdragon 845半導体代替として7-nmプロセスで作ったKirin 980 system-on-a-chip(SoC)デバイスを推進している旨。該Kirin 980は、dual neural processor unitを特徴とし、artificial intelligence(AI)技術をイメージ認識capabilitiesに加えている旨。

◇Huawei debuts Kirin 980, the world's first 7nm mobile chip (8月31日付け VentureBeat)

◇China's Huawei races to beat Apple to release the first next-generation A.I. chip for smartphones (8月31日付け CNBC)
→HuaweiはKirin 980が10月発表予定のMate 20スマートフォンに入る可能性としているが、Appleは9月の次期iPhonesにおいて7-nm半導体を広く投入する見込みの旨。

◇New Chip Seen Boosting Huawei's Smartphone Market Share (9月7日付け EE Times)
→アナリストの見方。Appleを抜いてスマートフォンの新しい第2位となっているHuaweiが、次のflagship SoC, Kirin 980の投入で市場シェアを上げる見込み、該SoCにはいくつかの世界初、これまで発表の唯一の7-nm半導体、そしてスマートフォンでのAIに向かう流れを導く2つのneural processing units(NPUs)搭載の唯一である旨。該Kirin 980を作ったTSMCは、Appleが最新iPhonesラインのリリースで9月12日に発表予定のApple A12 applicationプロセッサの生産にも7-nmプロセスを用いている旨。

GlobalFoundriesが7-nmの取り組みを中止した件を前回取り上げたばかりであるが、最先端半導体についての業界構図が改めてあらわされている。

◇Chipmakers slowing down transition to sub-10nm technology-Chip designers, foundries tread carefully into sub-10nm era (9月4日付け DIGITIMES)
→業界筋が特に言及、QualcommおよびMediaTekがそれぞれの7-nm microchip設計を来年に延期する一方、14-nmおよび12-nm offeringsを強化している旨。GlobalFoundriesは14-nm/12-nmプラットフォームの開発にリソースを移行、UMCは成熟およびspecialtyプロセスに重点化して、Samsung ElectronicsおよびTSMCがファウンドリーでは7-nmプロセス開発を引っ張る構図となっている旨。

◇TSMC、7-nm半導体、強み鮮明、アップルやAMDから受注、膨らむコスト、米GF苦戦 (9月5日付け 日経産業)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が攻勢をかけており、米アップルのスマートフォンの頭脳となる半導体を独占受注。米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)からの先端品受注も判明した旨。技術の壁を突破するコストが膨張しているなか、TSMCの優位が際立つとともに、競争の構図にも変化が起きている旨。

【Intelの次期CEO】

Intelの次期CEO人事を巡る噂段階の記事が、次の通りあらわされている。

◇Intel CEO List Eyes Outsiders in Break With Tradition-Report: Intel looks inside and outside for its next CEO (9月4日付け Bloomberg)
→Intelが、社内候補はいるけれども、同社の歴史50年にして初めてのこと、CEO指名を社外に頼る可能性、Intelボードメンバーと会っているinsidersのshort listにNavin Shenoy氏およびMurthy Renduchintala氏が載っていると特に言及の旨。Anand Chandrasekher氏およびSanjay Jha氏がoutsidersの間で考慮中の旨(Chandrasekher氏は以前Intelで20年以上勤務)。

挙がっている各氏のデータを拾って次の通りである。

 Navin Shenoy氏
  …executive vice president and general manager of the Data Center Group at Intel Corporation
 Murthy Renduchintala氏
  …group president of the Technology, Systems Architecture & Client Group and chief engineering officer at Intel
 Anand Chandrasekher氏
  …Qualcommの子会社である米Qualcomm Datacenter Technologies(QDT)のシニア・バイス・プレジデント
 Sanjay Jha氏
  …Qualcommの元バイスプレジデントで、2018年3月にGLOBALFOUNDRIESのCEOを解任された


≪グローバル雑学王−531≫

関税賦課の応酬が続く米中摩擦の渦中、タイムリーなタイトルに魅かれて読み進めてきた書、

『「米中関係」が決める5年後の日本経済新聞・ニュースが報じない貿易摩擦の背景とリスクシナリオ』
 (渡邉 哲也 著:PHPビジネス新書 393) …2018年5月11日 第1版第1刷発行

も最終章となり、今回はその前半である。米中間の貿易戦争が我が国に及ぼす影響を考察しているが、いろいろな切り口で問題意識を挙げてそれぞれに分析した答えの内容があらわされている。自由で民主主義の米国と、共産党一党独裁の中国。その間でどう振る舞うか。あらためて整理する思いの心構えである。


第5章 米中対立から日本経済の「勝ちパターン」を読み解く ―――前半

[POINT OF VIEW]
・本章では米中間の貿易戦争が日本に与える影響と日本経済の進むべき道を 探っていく
・難しくなる米中対立における日本の立場
 →今後は、同盟国のアメリカについていくだけでは安泰とはいえない状況
・ピンチはチャンスでも
 →米中経済の対立をきちんと読み取れれば、具体的な「戦略=勝ちパターン」が見えてくるはず

■米中貿易戦争が日本に及ぼす影響

Q70:アメリカの輸入制限、日本への影響は甚大か?
・切り替えられている日本の生産構造
 →直接的な消費者向けビジネス(B to C)から、キーパーツや特殊材料などを業者に供給する業販型ビジネス(B to B)へ
 →さらに政府移管向け(B to G)へ拡大
・日本企業が完成品を輸出することは、ほとんどない
 →仮に輸入を制限されても、アメリカの現地生産に切り替える手も
・米中による関税の掛け合いも、短期的な視点に立てば、日本にプラスに働く可能性
 →関税が掛けられた中国の品目以外の製品については、日本の輸出が増えるかも
・トランプ大統領が行った保護主義的な政策
 →日本だけ特別待遇ということはない
 →日本企業としては、これまで同様に産業製品の地産地消化を進めていけば問題ない

Q71:日本は米中どちらの立場に付けば得か?
・自由で民主主義の国と、共産党一党独裁の国、どちらを信用するか
 →後者を選ぶ人は、ほとんどいないはず
 →残念ながら、日本には選択肢が1つしかない

Q72:アメリカの産業は日本企業がいないと成り立たない?
・アメリカの製造業を支えているのは、ほかでもなく現地の日本企業
・いまアメリカの製造業でのホワイトカラーの中心的業務
 →生産業務ではなく、主に知的財産権の管理や生産企画
 →GE(General Electric)社がその典型
・実際の生産はそれぞれ世界中に散らばった別会社につくらせる構造
 →知的財産権侵害がアメリカの産業にとって致命傷
 →知的財産権侵害が対中制裁の「目玉」
・アメリカの製造業を復活させるには、モノをつくる力を取り戻さなくては
 →高い技術力をもっていて安心できる同盟国は日本しかない

【COLUMN】安倍政権の外交スタンス
・現在のトランプ政権の考え
 →「中国抜きでも、繁栄できる経済圏をつくっていこう」
 →中国に依存しない経済圏をつくっていこうという試み
・これは、いまの日本外交の基本的スタンス「自由と繁栄の弧」とも重なる
 →中国包囲網
 →発展形として、中東の「平和と自由の回廊」、安倍首相のセキュリティ
  ・ダイヤモンド構想
・アメリカがいわゆる保護主義に過剰に傾いたとしても、その保護下にいればいい
 →それが、現在の日本の立場

Q73:政治はアメリカ、経済は中国―――「二股交際」は可能?
・「日本は政治的にアメリカ、経済的には中国と、付き合い方を変えればよい」といった二股交際のような外交論
 →現実的ではない
 →政治と経済は表裏一体であり、棲み分けはほぼ不可能
・中国が日本に甘い言葉を使ってきたときは、中国の国内経済が悪化しているから
 →中国が日本を褒め始めたら危ないと思わなければ

Q74:中国に進出した日本企業は大丈夫?
・中国にこれ以上技術移転を進めると、リスクが大きいのは間違いない
 →中国で活動する企業は、外資系を含め、社内に中国共産党組織を設立することが法律で求められている
 →2017年夏ごろから、欧州系企業にそのような圧力が強くなったとのメディア報道
・取締役会は関連子会社まで含めたすべての企業の統治を行うのがグローバルなルール
 →しかし、中国に進出した企業はその国際的ルールに反している
・中国でコピーがつくられることを前提に製造するといった知恵も必要かも
 →日本企業は留意するべき

【COLUMN】中国からの撤退事情
・中国に進出した日本企業は、簡単に撤退させてもらえない
 →最も簡単な撤退法は、香港企業に株式を全部売却して逃げること
 →中国では、債務があると国外に出してもらえない
・在留邦人を国外に逃がし、売却交渉を安全な場所で行うこと

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