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中台韓の目立つ動き:YMTCのフラッシュ、ウイルス、新分野投資

DRAMの高値が引っ張る熱い活況が2年近く続く半導体業界の世界であるが、変わり目はいつ来るか、米中摩擦のインパクトはどうあらわれるか、といった懸念に見舞われる中、中国、台湾そして韓国、それぞれに内容の異なる目立つ動きが見えている現時点である。最初の本格的な先端メモリ半導体の開発生産計画を国際会議の場で発表した中国、Apple向け出荷などを控えるこの時期にTSMCの生産ラインがcomputerウイルスに汚染された台湾、そしてDRAM絶好調ながら次の新分野開拓に向けて向こう3年の投資計画をサムスンが打ち上げた韓国である。

≪それぞれの市場・市況対応≫

「スーパーサイクル」とまで称される現状の市場・市況ではあるが、諸々の気配から変わり目の可能性が取沙汰されている。

◇半導体製造装置、スーパーサイクルに踊り場感? (8月10日付け 日経 電子版)
→半導体製造向け装置を手掛ける企業の業績の伸びに減速感が出ている旨。
半導体需要の拡大サイクルが長期化する「スーパーサイクル」は健在との見方は根強いものの、短期的な波に受注がぶれている旨。大手の東京エレクトロンの2018年4〜6月期の連結純利益は2年連続で最高益を更新したが、通期予想に対する進捗率は2割強にとどまる旨。技術革新の進捗が当初よりも遅れており、半導体メーカーは設備投資を先送りし始めている旨。回復が遅れるようなら、今期業績の不安要因になる旨。

そんな中、メモリ半導体をDRAMとともに引っ張るフラッシュメモリの恒例の国際会議、Flash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)が開催され、今回の最大の注目、中国のYangtze Memory Technologies Co.(YMTC)が、同国としてメモリでは最初となる先端フラッシュメモリ半導体の開発&生産計画についての講演を行っている。独自の開発アプローチ、Xtackingが盛り込まれている。

◇YMTC Adds Detail to NAND Plans-Xtacking chips run up to 3.0 Gbits/second (8月6日付け EE Times)
→Yangtze Memory Technologies Co.(YMTC)が、Flash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)での火曜7日の講演を控えて同社3D NAND計画のさらに詳細を披露、競合の倍以上高速、最大3.0 Gbits/sのデータレートをサポートする256-Gビット半導体を来年後半に届ける狙いの旨。YMTCの講演は、中国からの先端メモリ半導体を生産する活動の最初の公の議論となる旨。密度でライバルたちに及ばず、商用歩留りにまだ達していないとして、アナリストたちは該新製品のインパクトに懐疑的の旨。64-層, 3-bit-per-cell半導体の計画が、ライバルのIntel, Micron, Samsung, およびToshiba/WDが256 Gビット以上、96-層, 4-bit-per-cellデバイスを発表あるいは出荷しているときにあらわれている旨。Samsungは同社半導体が最大1.4 Gbits/sのデータレートをサポートするとしている一方、ほかは1.0 Gbits/s動作の見込みの旨。YMTCでのいわゆるXtackingアプローチは、NANDとI/O arraysを別々のdieに作ってbit密度を高める狙い、該半導体は、何100万ものYMTCの言う単一プロセスstepでつくられるmetal vertical interconnect accessesと接合される旨。

◇China to mass produce 3D chips next year, challenging Samsung-Beijing-backed Yangtze Memory to join market during a glut-YMT to put 3D NAND flash into volume production in 2019 (8月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Yangtze Memory Technology(YMT)が、同社64-層Xtacking 3D NANDフラッシュメモリデバイスを2019年までに量産する旨。この中国の半導体メーカーは、今週のSilicon ValleyでのFlash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)にて該メモリを披露している旨。

◇China to mass produce 3D chips next year, challenging Samsung-Beijing-backed Yangtze Memory to join market during a glut-YMT to put 3D NAND flash into volume production in 2019 (8月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Yangtze Memory Technologyが、同社64-層Xtacking 3D NANDフラッシュメモリデバイスを2019年までに量産化するとしている旨。同社は、該メモリを今週のFlash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)で披露の旨。

今回の会議の概要があらわされている。DRAM、フラッシュと最先端を引っ張ってきているSamsungがプレゼンには不参加とのこと。DRAMも飽和感があるものの高値を維持している一方、値下がり傾向が明らかに続いているフラッシュメモリという現況の中でのそれぞれのスタンスをうかがわせている。

◇NAND Makers Up Flash Ante-Flash Memory Summit brings out the latest in NAND flash -SK Hynix sampling Tbit chip in 2019-Micron, WD sparse on chip details-Yangtze gives a deeper dive on NAND plan (8月8日付け EE Times)
→1)3D NANDフラッシュメーカーの確立した4社が、Flash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)での基調講演において少なくともそれぞれのロードマップのsmall piecesを披露の旨。彼らの最新のライバル、Yangtze Memory Technology Corp.(YMTC)は、press会合で技術およびビジネス見通しにより深く突っ込んでいる旨。
 2)Micron Technology, SK Hynix, 東芝メモリおよびWestern Digitalが、Flash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)にて3D NANDフラッシュメモリデバイスの新製品&技術を議論している一方、業界newcomerである中国のYangtze Memory Technologyはジャーナリストと会って市場への計画を論じている旨。solid-state drives(SSDs)に入るNANDフラッシュ半導体は、データストレージでの市場席巻に向けてhard-disk drives(HDDs)と力強く競合している旨。

台湾では、TSMCの生産ラインにおけるcomputerウイルスによる汚染の事態が次の通り発生、即座に修復を図っているとしている。

◇TSMC fab tools infected by computer virus (8月4日付け DIGITIMES)
→TSMCが、いくつかのfab toolsが8月3日の夕方にcomputerウイルスに汚染されたと発表、しかし、該問題含みでソリューションを見い出していると主張の旨。同社は、影響を受けたtoolsの修復は進んでおり、"hacker攻撃という噂は正しくない"としている旨。「汚染の程度はfabにより異なる。」と公式ステートメントにて。「あるfabsは短時間で正常に復帰、他のfabsは1日で正常に戻ると見ている。」該ウイルス汚染から生じる生産上の損失についてのfiguresは示していない旨。

売上げへのインパクトが具体的にあらわされている。

◇TSMC expects virus incident to impact 3% of 3Q18 revenues (8月5日付け DIGITIMES)
→TSMCが、週末にわたるcomputerウイルスによる生産行き詰まり部分が同社第三四半期売上げの3%にインパクトを与える見込みの旨。「この出来事で、出荷遅延および追加コストが生じると見ている。」と、土曜4日に最初に報告されたウイルス汚染のインパクトについて本日のアップデート。

◇TSMC Sales Hurt by Virus Outbreak (8月6日付け EE Times)

◇Computer virus cripples top Apple supplier TSMC-TSMC struggles with computer virus, will lose revenue (8月6日付け CNN)
→WannaCryウイルスの変形が週末にわたってTSMCを襲い、半導体製造など同社operationsを混乱させている旨。同社は該汚染含みで該ウイルスが生じる出荷遅延により最大$171 millionの売上げを失う可能性の旨。

Appleはじめこの秋に向けた出荷対応も含まれる模様である。

◇Apple reportedly among affected 7nm clients in TSMC virus incident (8月6日付け DIGITIMES)
→TSMCでのcomputerウイルス勃発が、Appleなど同社clients向けに従来ピークseasonである第三四半期の間の同社出荷、特に7-nm半導体outputに対するインパクトを巡る懸念を起こしている旨。TSMCは、Appleなどモバイル機器ベンダー向け半導体ソリューションを製造、次期iPhonesなど新しいスマートフォンmodelsに向けた出荷を始めている旨。8月3日の夕方に起こったウイルス汚染で、台湾にあるfab toolsのいくつかの中断を余儀なくされている旨。

◇TSMC Struck by Virus-Production halted last Friday, reducing third quarter revenue (8月7日付け EE Times India)

売上げインパクトのアップデートが行われている。

◇Virus incident to affect less than 2% of 3Q18 revenues, says TSMC CEO (8月7日付け DIGITIMES)
→TSMCはcomputerウイルスに見舞われてから完全回復している、と同社CEO、CC Wei氏が6日のpress eventにて。第三四半期売上げへのインパクトは、前回評価した3%に対し2%以下になる見込みの旨。該computerウイルスは、WannaCry(Microsoft Windowsを標的としたワーム型ランサムウェア)のvariantであり、computerシステムおよびfab装置を汚染、主要12-インチfabsなどいくつかをオフラインにせざるを得なかった旨。しかしながら、同社はfab operationsの完全回復に向けてやり繰りしている、とWei氏は特に言及の旨。

◇台湾TSMC工場、ウイルスで停止、影響額190億円 (8月7日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は台湾の主力工場がコンピューターウイルスに感染し、6日にかけて生産が一時停止したと発表した旨。影響額は売上高で最大190億円規模に膨らむ旨。米アップルが今秋発売を予定する新型スマートフォン用半導体の生産拠点が含まれ、若干の影響が出る見通し。

◇TSMC Elaborates on Virus Incident-WannaCry virus causes delays in third quarter shipments (8月9日付け EE Times India)

世界半導体業界の販売高にも大きく影響するだけに、引き続き注視を要するところである。

もう1つ、韓国では、Samsungの向こう3年に向けたartificial intelligence(AI), 5G networks, バイオおよび車載技術への新分野投資を含んだ超大型投資計画が発表されている。メモリに続く次の柱の構築を目指す取り組み、これも熱い状況、雰囲気が伝わってくる。

◇Samsung to Spend Over $22 Billion on AI, Auto Tech and 5G-Investment to be spent in next three years as company looks to build business beyond smartphones, chips (8月8日付け The Wall Street Journal)

◇(News Focus) Samsung aims to overcome biz hurdles through 180 tln won investment-Samsung spending big to explore new growth areas (8月8日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsungが、成長を引っ張る新たな方法を探しており、artificial intelligence(AI), 5G networks, バイオおよび車載技術に向こう3年にわたってbillions of dollarsを向けていく旨。該投資の多くが、Samsung Electronics向けの旨。

◇サムスンが18兆円投資へ、2020年までの3年で (8月8日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子は8日、2020年までの3年間に設備投資と研究開発費の合算で180兆ウォン(約18兆円)を投資すると発表、2017年までの3年間の投資額と比べて10兆ウォン上積みする旨。主力の半導体メモリなどを対象に大型投資を続ける方針、半導体やパネルの製造装置に強い日本の産業界の成長につながる可能性がある旨。サムスンは設備投資と研究開発費の内訳を公表していないが、投資総額のうち「100兆ウォン以上は設備投資に充てる」旨。次世代通信規格「5G」に対応した通信インフラ設備やバイオ、人工知能(AI)や自動車部品といった新規事業の育成に25兆ウォンを投じる旨。

◇サムスン、新事業に2.5兆円、李副会長が再び指揮、5G・バイオで成長狙う (8月9日付け 日経)
→韓国サムスン電子は8日、2020年12月期までの3年間で、次世代高速通信「5G」のインフラ設備やバイオ医療など新規事業に25兆ウォン(約2兆5千億円)を投じると発表、投資全体は180兆ウォンで世界の有力企業と比べても大きいが、スマートフォンなど既存事業は陰りもみられ、次の柱を育てる必要に迫られている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連の動き】

直近ではトルコとの関係悪化を理由に、同国製鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を倍にして波乱を起こしている米国のトランプ政権。本欄で注目している中国に対しては、関税第2弾を23日発動、この対象品目の中には半導体関連が含まれている。

◇Trump escalates trade war with 25 percent tariffs on another $16 billion in Chinese goods-Administration announces next round of US tariffs on Chinese goods (8月7日付け USA Today)

◇米、対中関税第2弾を23日発動へ、化学品など279品目 (8月8日付け 日経 電子版)
→米通商代表部(USTR)は7日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の第2弾を23日に発動すると発表、半導体や化学品など中国からの輸入品160億ドル(約1兆8千億円)、279品目に25%の関税を上乗せする旨。中国は既に報復する構えをみせており、米中の貿易戦争が激化、実体経済への影響も広がりそうな旨。

早速に米国半導体業界からの波紋が広がっている。自らにはね返ってくる宿命を孕んだ米中摩擦の局面の推移に今後さらに注目である。

◇China Tariffs to Hit the Chip Sector-US tariffs coming on China-made semiconductors (8月8日付け EE Times)
→米国半導体業界による集中的なロビー活動にも拘らず、中国輸入品に対する関税の次のroundにはbillions of dollars相当の半導体が含まれる旨。
Trump政権は火曜7日、年間$16 billionもの中国製品listに25%関税を今月後半実行する計画を最終決定の旨。Semiconductor Industry Association(SIA)は、約$6.3 billion/年の半導体関連製品が2つの関税区分の1つにあるとしている旨。該listの半導体関連項目には、半導体製造用機器、並びにdiodesなどのデバイスが含まれる旨。

◇US IC firms may see China revenue prospects dimmed by trade war-Trade war with China raises concerns for US chip vendors (8月9日付け DIGITIMES)
→米国が中国からの輸入品$16 billionについて発表した25%関税に直面、半導体およびhigh-techハードウェアが当該製品リストにあり、中国が米国からの半導体輸入に懲罰関税で対抗すれば、米国半導体メーカーの事業展望に暗い影を投げかけることになる旨。ここ4年にわたって米国の中国からの年間半導体輸入は$4.8 billion〜$5.5 billion、solar diode製品が大きな比率、プロセッサ半導体が次第に増えている旨。いくつかの米国および韓国のメモリメーカーが米国向け輸出に向けてメモリ製品を組み立てる工場を中国で動かしているが、他の地域での組立operationsで柔軟に調整でき、該関税制裁によるインパクトはほとんどない旨。

【DRAMの大台突破】

ここで言っているのは、製品カテゴリーの1つとしてのDRAMが年間販売高$100.0 billionを越えるかどうかであり、そうなれば初めてのこととなる。
いつそうなるか、IC Insightsは今年、International Business Strategies(IBS)は来年、とそれぞれの予測である。DRAMの現状の高値が続いてこその見方であり、敏感にならざるを得ない日々が当面続いていく。

◇DRAM sales forecast to top $100B this year with 39% market growth (8月9日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが最近リリースしたMid-Year Update to The McClean Report 2018から、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationが定義する33のIC製品カテゴリーについて今年の販売高および出荷数量の伸びの予測。
今年の販売高第1位はDRAM市場で、39%増の$101.6 billion、昨年に続く1位、年間販売高が$100.0 billionを上回れば初めてのIC製品カテゴリーになる旨。該DRAM市場は2018年IC販売高全体の24%を占める予想。第2位はNANDフラッシュ市場で$62.6 billionの見方。DRAMとNANDを合わせると、2018年IC市場全体、$428.0 billionの38%を占める見込みとなる旨。

◇DRAM Closing in on $100 Billion Mark-Analysts see DRAM becoming a $100B market (8月10日付け EE Times)
→供給不足の渦中の価格上昇の波に引き続き乗って、DRAM市場が今年30%以上の伸び、$100 billionの大台をも上回る勢い、この大台を突破すれば半導体最初のカテゴリー、と業界アナリストの見方。IC InsightsおよびInternational Business Strategies(IBS)がともに最近、DRAMが$100 billionを凌ぐ予測を発行、しかしながら、IC Insightsは今年そうなると見ているのに対し、IBSは2019年にとしている旨。DRAM市場は2017年に78%増大。

【インテル対AMD】

長年続くMPUライバル対決が、AMDの世界記録破りの性能を誇るプロセッサ打ち上げで、再燃の気配である。

◇AMD unveils 'world record breaking' Intel-beating 2nd-generation Ryzen Threadripper processors-Starting today you can pre-order AMD's flagship Intel-beating 32-core, 64-thread 2nd-gen Ryzen Threadripper 2990WX from over 80 system integrators and retailers -- but it will cost you!-AMD offers 2nd-generation Ryzen Threadripper processors (8月6日付け ZDNet)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Zen coreアーキテクチャーを用い12-nmプロセスで作られる同社第2世代Ryzen Threadripperプロセッサのpreordersを受けている旨。該32-core AMD Ryzen Threadripper 2990WX半導体は来週出荷、価格$1,799。

◇AMD opens preorders for 2nd-generation Threadripper chips (8月6日付け VentureBeat)

直接、間接、距離感はあるにせよ、Intelからの意識十分の対抗の打ち上げが行われている。

◇Intel plans array of upgrades to stave off AMD data center competition-Facing pressure from AMD, Intel plans chip upgrades (8月7日付け Reuters)
→Intelが、2019年に向けて同社を引き離すかもと識者が言っているAdvanced Micro Devices(AMD)と競い合う方法として現状の半導体を新しいメモリ技術をもってアップグレード、組み合わせていく旨。Intelは、2019年後半までに10-nm半導体および2020年までにサーバ半導体をリリースする計画の旨。

◇Intel in the Cloud Post-Moore's Law-X86 giant expands its bag of tech tricks-Xeon's future from Cascade to custom-Tales of two engineering rock stars-Spring Crest and hope springs eternal (8月9日付け EE Times)
→Intelが、headquartersでのデータセンターイベントにて高揚したイメージの見通し、同社が時とともに如何に非常に大きく変わっていくか示した旨。

◇Intel Aims for the Cloud-Talks data center opportunities, Jim Keller talks AI (8月10日付け EE Times India)

【サムスンの新型スマホ】

サムスンが、今後の目玉となるスマートフォン、「Galaxy Note 9」をニューヨークで発表、新しいAIスピーカー搭載が打ち上げられ注目を浴びている。高級機で売上げを伸ばしているアップル対抗の色合いが強く打ち出されている。

◇サムスン電子 スマホ発表会でAIスピーカーをサプライズ披露 (8月10日付け 韓国・聯合ニュース)
→韓国のサムスン電子が米ニューヨークで9日(現地時間)に開いた新型フラッグシップスマートフォン「ギャラクシーノート9」の発表会で、音声を使った人工知能(AI)アシスタント「ビックスビー(Bixby)」を搭載したスピーカー「ギャラクシーホーム」をサプライズで披露した旨。
同社が新AIスピーカーの名前と実物を公開したのは初めて。

◇サムスン、高級機でアップルに対抗、新型スマホ発表−タッチペン進化、写真撮影と連動 (8月10日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子は米ニューヨークで9日、新型の高級スマートフォン「ギャラクシーノート9」を発表、独自の人工知能(AI)を使ったAIスピーカーを投入する方針も明らかにし、スマートウオッチも拡充する旨。高級機市場で米アップルなどに対して劣勢に立たされるなか、新製品で巻き返しを狙う旨。

【新顔の中国半導体ハブ】

DRAMメーカーが3社見えてきた中国であるが、半導体の一大中心を目指すニューフェイスとして、福建省廈門市の海滄区が見えてきている。中国の半導体業界地図のアップデートに暇なしである。

◇Haicang District taking off in bid to become China chip hub-Haicang District wants to be China's chip hub (8月7日付け DIGITIMES)
→Xiamen Haicang District(中華人民共和国 福建省廈門市に位置する市轄区、海滄区[かいそうく])は、中国のIC, biomedicalおよび先端材料業界の中心になる期待、中国は輸入半導体&技術への依存を減らそうとしている旨。「Haicangは、偉大な地理的位置およびビジネス風土があってlatecomerの優位性がある。」と、Xiamen Semiconductor Investment Groupのgeneral manager、Huilian Wang氏。

【インド関連】

ARMではなくRISC-Vの人工知能(AI)コアに備えるstartup、InCore Semiconductorsが、以下の通りあらわされている。

◇India Startup Preps RISC-V, AI Cores-Berkeley-born ISA expands footprint-InCore Semiconductors to offer RISC-V, AI cores (8月7日付け EE Times)
→インドのstartup、InCore Semiconductorsが、RISC-V-ベース・プロセッサcores並びにdeep-learning acceleratorsおよびSoC設計toolsを設計、ライセンス供与する意欲的な計画を発表、年末前に最初のcoresを出していく旨。この動きは、RISC-V ecosystemには小さいが意味深い追加、Armなど従来のサプライヤからのofferings代替として、open-source instruction set architectureにグローバルな関心を呼んでいる旨。
InCoreは、IIT-MadrasのShaktiプロセッサリサーチチームからスピンアウト、Robert Bosch AI Centreでのmachine learningをテコ入れしている旨。

◇India's InCore Adds to RISC-V and AI (8月8日付け EE Times India)

中国のスマホメーカー、Xiaomiに部品供給している中国のHolitech Technologyが、インドでの工場建設を次の通り予定している。

◇Holitech Plans $200 Million Plant in India for Xiaomi Components (8月8日付け EE Times India)
→Xiaomiのスマートフォン向け主要サプライヤでもある中国のコンポーネントメーカー、Holitech Technologyが、インドでの現地製造工場に3年で$200 millionを投資する計画、Andhra Pradesh州とのmemorandum of understanding(MoU)に調印、Xiaomi向けに寺院の街、Tirupatiで現地製造を始める旨。


≪グローバル雑学王−527≫

米国が中国に対する関税第2弾を発動していく一方、半導体はじめ米国自らへのはね返りのインパクトが議論され、中国は都度同規模の対抗措置を繰り出している現時点であるが、

『「米中関係」が決める5年後の日本経済新聞・ニュースが報じない貿易摩擦の背景とリスクシナリオ』
 (渡邉 哲也 著:PHPビジネス新書 393) …2018年5月11日 第1版第1刷発行

より、それでは中国経済の実態はどうなのか、読み解いていく前半である。
アメリカに進出する中国企業のほとんどがガバナンスに難点、アメリカの金融機関が米ドル調達のパイプを閉じれば企業活動は成り立たない、日本のバブル末期に起きた現象がいままさに中国で、と今後に向けて情勢を見ていく上でのチャックリスト項目が挙がってくる。


第3章 中国経済の実態を読み解く―――前半

[POINT OF VIEW]
・本章では、中国経済のいまとこれからを概観
 →はたしてバラ色の状況なのか。10年後の中国がどうなっていくか

■中国企業に異変! アメリカ進出を阻む壁

Q39:好調と報じられたあの企業のいまは?
・昨今、中国の企業の業績がおかしくなっているのは事実
 →海航集団(HNAグループ)…保養地、「海南島」を中心に発展、海南航空など傘下
  →ここにきて資金ショートの恐れ
 →不動産大手、大連万達集団(ワンダグループ:Wanda Group)
  →経営環境の悪化を大規模な資産売却で凌ぐ考え
 →中国第二の複合金融グループ、安邦保険集団
  →さらに不安な先行き、少なくとも1年間、経営権を国に握られることに

Q40:海航集団が失敗したのはなぜ?
・こうした企業に共通しているのは「対米投資」による失敗
・中国企業がなぜ海外で次々と案件を買収できたか
 →海外の債券市場で米ドル建ての債券発行を行う一方、欧米の投資銀行から米ドルを直接調達する方法をとっていた
・しかしアメリカの主要金融機関が取引を止めてしまえば、この仕組みは成り立たない
 →米ドルによる資産回収が不可能に
・アメリカの金融機関が米ドル調達のパイプを閉じてしまえば、アメリカで展開している企業のほとんどが成立しない

Q41:中国人が海外で購入した土地はこれからどうなる?
・不動産は動産と違って中国に持って帰れない
・トランプ政権が発足して行ったヒト・モノ・カネの移動の自由の制限
 →ヒトの移動の制限とは、不法移民の排斥
  →外国人に不動産の買い占めを許さない効果的な方法
 →モノ・カネの移動の制限
  →外国法人のバブルマネーによる不動産の過度な買収を防げる
・他方、日本の土地も中国企業の「爆買い」の対象に
 →一部の関係者からは「外国人土地法」という法律適用の話、国会でも取り上げ、戦前につくられた法律で現在でも有効
 →法の運用も一つの手段として検討してもいい

Q42:中国企業に対するアメリカの銀行の対応は?
・アメリカに進出する中国企業の問題
 →そもそもアメリカに進出する中国企業のほとんどがガバナンスに難点がある
 →理由の一つとして、中国の「拒否権」
  …AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank:アジアインフラ投資銀行)の主要な意思決定は75%の賛成を条件、中国の意に沿わない案件は簡単に否決に
・政府に烙印を押された銀行の対応
 →横並びで同じ条件に従わない銀行は、取締役会で責任を問われる可能性が飛躍的に高まる
・「ガバナンスができていない」という判断を下され、海外に対して投資案件を多く抱えていた海航集団が「資金ショート」に陥った
 →「アメリカ進出失敗」の真相

■中国消費バブルのいま

Q43:中国は本当に景気が景気がいいのか?
・新聞や経済誌を読むと、中国の消費は好調、経済はうなぎ登りのような錯覚
 →中国の実体経済は判断が分かれるが、おそらく悪いと考えられる
  →陰りが見えてきた消費

Q44:好景気に見えるのはなぜ?
・2015年7月のバブル崩壊以降、中国において数字のごまかしが顕著に
 →もはや、それも隠し切れなくなっている状況
・日本のバブル崩壊が、なぜあそこまでひどい状況になったか
 →欧米基準に基づく決算方式や時価評価を導入せざるをえなくなったことが原因の一つ
・結局、水増しと同時に、いわゆるバブルマネーによる消費に依存しているのが中国経済の実体
 →「仮想通貨」や不動産投資によって膨れ上がったバブルマネーが、さらなる不動産投資や理財商品に回されている
・収入源そのものが、マネーゲームに終始しているのが問題でもあり、中国経済の実体がわかりにくい要因

Q45:中国経済バブルと日本のバブル、違いは何?
・不動産価格が依然上がり続けている中国国内
 →日本のバブル末期に起きた現象が、いままさに、中国で
・およそ30年近い時を経て、当時の日本が直面した事態が中国で起きている
 →海外資産をどんどん売却せざるを得なくなる結末へ

Q46:キャッシュレス化は先進性の証?
・中国では、いまキャッシュレス、電子マネーが本格的に浸透
 →中国では偽札が横行、やむを得ずキャッシュレス化を進めている側面
・中国人は盗難リスクを考えて、財布を持たない
 →急速に進んでいるキャッシュレス化
 →同じ理由で、地方ではインターネット通販が発達

Q47;中国のEV開発は今後どうなっていくか?
・中国のEV(電気自動車)保有台数が約65万台と世界第1位、世界全体の約32%に相当
・じつは中国のEV開発技術は2世代ほど遅れている
 →非常にシンプルなEVの構造、ハイブリッド車からハイブリッドの技術を抜いただけのものが多い
・いま最も中国でのEV販売に注力している海外の自動車メーカーは、VW

Q48:中国が燃料電池車をつくらない理由は?
・日本の自動車メーカーはハイブリッドをつくって、その先にあるのは燃料電池車
 →本来は燃料電池車が望ましいが、高い技術を要する点や、水素スタンドをはじめインフラ整備にも非常にコストがかかる難点
・中国が2015年に発表した「中国製造2025」
 →「2025年までに自動車市場におけるエコカー比率が20%、自主ブランドシェアが80%」という目標
 →EVを普及させるためにさまざまな優遇措置を次々と

Q49:ダイムラーと提携した吉利は今後どうなる?
・現在、飛ぶ鳥を落とす勢いの自動車メーカーが、浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ:Zheijiang Geely Group Holding Co. Ltd.)
 →2000年、中国で民間企業として初めて乗用車の本格生産を始めた吉利
 →2018年、約1兆円を投じて商用車世界最大手、独ダイムラーノートパソコン株主に
  →吉利としてはダイムラーが有するEV向けの電池が手に入る一方、ダイムラーが吉利から得られる技術面のメリットはほぼない
  →該提携が功を奏すかどうかは、しばらく様子を見ないと何とも

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