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自立化を図る中国、最先端技術を競う韓国/台湾の絡み合う市場構図

知的財産の侵害を巡る制裁発動に端を発する米中間の通商摩擦の渦中で、最大市場を擁し特に半導体業界の自立化に邁進する中国、そしてメモリ半導体を席巻する韓国、最先端ロジックおよびファウンドリーを引っ張る台湾が、いろいろな切り口で絡み合う現下の市場構図が見られている。サプライヤの国籍別では世界の半導体市場を圧倒的に占める業界の盟主、米国であることに変わりはないが、市場規模の面での中国、そして最先端技術の展開における韓国、台湾、それぞれの間の動きに注目させられている。

≪米中摩擦の渦中の敏感な動き≫

米中摩擦についての見方、データが続いている。かつての日米摩擦と比べた率直な論評である。

◇In Trade Fight, China Today Differs From 1980s Japan-Tokyo never threatened to retaliate; Beijing says it is prepared to strike back (4月8日付け WSJ)
→White Houseが、中国を相手取った貿易戦争における教訓に向けて、1980年代および1990年代における米国の日本を相手取った貿易の戦いに注目している旨。

中国の対米黒字について現下の状況である。

◇China's trade surplus with U.S. soars in first quarter but March exports falter (4月13日付け Reuters)
→中国の米国との貿易黒字が第一四半期に約20%増加、本格的な貿易戦争の懸念を生じてきている関税問題を前にして輸出の駆け込み出荷が行われたとの憶測がある旨。

知的財産についても、米中間の開きは急速に狭まっていると実態の見方である。

◇Trade war or not, China is closing the gap on U.S. in technology IP race (4月13日付け Reuters)
→特許エキスパートの見方。中国の研究投資増加および教育システム高度化拡大は、中国がintellectual property(IP)における米国とのギャップを急速に縮めていること、そしてNo.1グローバルハイテクpowerになるという努力を意味している旨。

米国および中国、双方の相手先への投資金額であるが、昨年の中国の米国ビジネスへの急減が目を引くところである。米中摩擦に至る伏線があらわれている感じ方である。

◇US-China foreign investment fell 28 percent in 2017: report (4月10日付け The Hill)
→両国間の経済関係の緊張が高まる中、火曜10日National Committee on U.S.-China relationsがリリースしたレポート。以下の概要:

2016年
2017年
米中間cross-border投資
$60 billion
$43.4 billion
28%減
米国ビジネスへの中国投資
$46 billion
$29 billion
中国における米国投資
$13.8 billion
$14 billion

◇Chinese investment in the United States dropped 36% last year-2017 saw drop in Chinese investment in US (4月10日付け CNNMoney)
→Rhodium GroupおよびNational Committee on US-China Relationsからのレポート発。2017年の中国entitiesの米国における投資が36%低下、$46.5 billionから$29.7 billionに落ち込んだ旨。この落ち込みは、中国の資本制御および米国法制厳格化などで説明される旨。

海外メーカーのM&Aから自立化に向けて自前の開発設計、そして生産に立ち向かっていく流れが見られる、Tsinghua Unigroupのchairman、Zhao Weiguo氏を巡る以下の内容である。

◇Zhao Weiguo resigns from two Tsinghua Unigroup subsidiaries -Chairman of Tsinghua Unigroup resigns posts at 2 subsidiaries (4月9日付け DIGITIMES)
→Zhao Weiguo氏が、UnisplendourおよびUnigroup Guoxin両社のchairman、並びにそれらboards of directorsから退任する旨。Zhao氏は、UnisplendourおよびUnigroup Guoxin両方をもつ中国の国有Tsinghua Unigroupのchairmanとして残る旨。中国のCNBeta.com発によると、Unisplendourは国内外の買収を通してTsinghua Unigroupの規模拡大を図る上で重要な役割を果たしており、いくつかの国内買収をこなしたが、海外メーカーを買収する動きは思わしくない旨。

◇Tsinghua Unigroup readies CNY370 billion for chip deployments in next 5 years, says chairman -Tsinghua Unigroup budgets $58.74B over 5 years for chips (4月11日付け DIGITIMES)
→Tsinghua Unigroupのchairman、Zhao Weiguo氏。Tsinghua Unigroupは、半導体運用サポートに向けて向こう5年にわたって$58.74 billion、チップセット生産に向けて向こう10年で最大$100 billionを充てる計画の旨。
同社子会社、Yangtze Memory Technologyは、今週生産装置搬入、32-層3D NANDフラッシュメモリデバイスの小規模製造をまもなく始める旨。

中国の最新プロセッサ開発における台湾・TSMCの最先端プロセス適用である。以下の通り、ファウンドリー対応の7-nmプロセスはTSMCと韓国・Samsungが競い合うところとなっている。

◇HiSilicon's Kirin 980 in volume production on 7nm in Q2-Report: HiSilicon sets Q2 to take Kirin 980 into 7nm mass production (4月9日付け Electronics Weekly (UK))
→HiSilicon Technology Co., Ltd(中国広東省深セン市:前身はHuaweiのASICデザインセンター)が、同社最新Kirinプロセッサ、980を今四半期後半にTSMCの7-nmプロセスで量産化する旨。TSMCの7-nmプロセスは、HiSiliconに加えてQualcomm, XilinxおよびAppleを顧客として6月に量産開始予定の旨。Kirin 980は、第四四半期に出てくるHuawei Mate 20 phoneで最初に用いられる予定の旨。Samsungは、7-nmプロセスの開発を終えて、同社最新Exynos 9820プロセッサで用いられ、また、最新Snapdragonプロセッサ、855でも用いられる可能性の旨。

中国での人工知能(AI)、仮想通貨に向けたASICから、台湾でのTSMCはじめビジネスの盛り上がりが見られている。

◇Design Houses Bank on AI, Bitcoin-Analysis: AI, bitcoin applications propel chip designs (4月11日付け EE Times)
→Global Unichipなど多くの台湾の半導体設計メーカーに、artificial intelligence(AI)およびbitcoin miningで用いられるapplication-specific integrated circuits(ASICs)に向けた非常に大きな需要が見えている旨。TSMCおよび関連メーカーが、bitcoin-mining半導体におけるビジネス増大を享受している旨。

◇Bitmain Ethereum ASIC miner to be released in July (4月10日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ASICサプライヤ、Bitmain(北京)が、回路性能が予想を下回って同社Ethereum ASIC miner, Antminer E3の出荷を4月から6月半ばあるいは後半に延期、しかし依然2018年の出荷は当初目標の1.8-2 million個に達すると見ている旨。該ASICは、TSMCの28-nmプロセスで製造の旨。

中国での最先端そして半導体量産と、現下の取り組み、実態である。

◇Unigroup Spreadtrum RDA gearing up for 5G (4月12日付け DIGITIMES)
→中国国有Tsinghua Unigroup傘下でIC設計のSpreadtrum CommunicationsおよびRDA Microelectronicsが合併したUnigroup Spreadtrum & RDAが、向こう3-5年にわたって主導的なグローバル5G半導体ベンダーになっていく目標を置いている旨。Unigroup Spreadtrum & RDAは親会社および政府により完全サポートされている、とUnigroupのグローバルexecutive VPでUnigroup Spreadtrum & RDAのCEO、Adam Zeng氏。

◇紅い半導体、市況揺らす?、3次元NAND、中国で量産進む、供給過剰で価格下落の恐れ(真相深層) (4月12日付け 日経)
→半導体市況に中国発の波乱の芽が見え始めている旨。半導体の国産化を急ぐ中国の設備投資が本格化。2018年末にも先端品である3次元NANDフラッシュメモリの供給が始まる見通し。液晶パネルなど様々な産業で繰り返されてきた「紅い」製品による供給過剰が価格下落を招く恐れがある旨。

韓国では、半導体の活況を引っ張るDRAMからくる絶好調ぶりが以下の通りである。

◇サムスン、二刀流が強み、1〜3月、営業最高益に、「フラッシュ」苦戦、DRAMが支え (4月7日付け 日経)
→韓国サムスン電子の半導体メモリ事業が好調。6日、2018年1〜3月期の連結営業利益が前年同期に比べて58%増え、過去最高を更新したと発表した旨。利益の約7割は主力の半導体が稼いだもよう。2018年のメモリ市況は2つの主な製品のうち、フラッシュメモリが値下がりする一方、DRAM価格は上昇する見通し。二種類のメモリで世界首位を握り、好不調を補い合う“二刀流”の強みを示した旨。

◇Global chip industry boom to continue for another year: BOK-Bank of Korea predicts another big year for microchips (4月8日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Bank of Koreaの予測。artificial intelligence(AI)および自動運転車が、2018年の間そして以降と半導体の世界需要を引っ張って支える旨。
「DRAM製品について2016年後半に始まった業界の活況は、2019年前半まで続き、その後次第に薄まっていく。」と同bankがレポートにて。

しかしながら、スマートフォンでみると、中国市場でのSamsungの非常に厳しい状況があらわれている。

◇サムスン電子のスマホ、中国市場でシェア0%台のショック…反撃に出たギャラクシー (4月9日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子の中国スマートフォン市場でのシェアが0%台に落ちたという調査結果が出た旨。米市場調査会社ストラテジーアナリティクスが8日に明らかにしたところによると、昨年10-12月期にサムスン電子の中国スマートフォン市場のシェアは0.8%を記録したことがわかり、今年初めに発表した速報値では1.7%だったが確定値でシェアがさらに落ちた旨。これに伴いサムスン電子のスマートフォンの年間中国市場シェアも速報値では2.4%で8位だったが、確定値では2.1%と9位に落ちた旨。もちろん世界市場を見れば昨年のスマートフォン市場シェア世界1位はいまだサムスン電子。だが中国そしてインド両市場での不振はサムスン電子のスマートフォン事業の危機につながりかねないという点で簡単な問題ではない旨。

台湾では、TSMCの3月売上げが最高を記録、地味に推移していたこのところから目立っているが、上記の中国でのAI、仮想通貨の需要が大きく引っ張っている模様である。

◇TSMC March revenues surge (4月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2018年3月連結売上げが約NT$103.7 billion($3.55 billion)、前月比60.4%増、前年同月比20.8%増、最高を記録の旨。
2018年第一四半期の連結売上げ総計がNT$248.08 billion、前年同期比では6.1%増、しかし2017年第四四半期のNT$277.57 billionからは10.6%減。

◇TSMC revenue up 60% on AI demand-HITTING THE TARGET:High-performance computing chips would be the strongest growth driver this year, due to the widening use of AI applications, the company said-AI chips, GPUs drive TSMC's March revenue to $3.5B, up 60% (4月11日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Apple社の最新iPhoneシリーズ向けsole半導体サプライヤ、TSMCの3月売上げがNT$103.7 billion($3.55 billion)、2月のNT$64.64 billionから60%増で新記録更新。artificial intelligence(AI)応用およびcryptocurrency graphics processing units(GPUs)に向けた活発な需要が支えている旨。

3月売上げの突出は、台湾のDRAMメーカー、Nanyaでも見られている。

◇Nanya March revenues hit 11-year high-Nanya posts March revenues of $230.1M, highest since Jan. 2007 (4月11日付け DIGITIMES)
→DRAM半導体メーカー、Nanya Technology(台湾)の2018年3月連結売上げがNT$6.72 billion($230.1 million)、前月比13.4%増、前年同月比60.3%増、この売上げは2007年1月以来最高水準でもある旨。20-nm半導体outputの立ち上がりおよびASPs上昇が効いている旨。2018年第一四半期売上げが約NT$18.8 billion、前年同期比53.7%増。

巨大市場を抱える中国と、最先端を引っ張ろうとする韓国そして台湾。米中摩擦の渦中では、ますます注目を要する半導体業界を舞台にする構図の展開と感じている。


≪市場実態PickUp≫

【市場シェア10年の変化】

IC Insightsより、2017年の半導体市場のサプライヤシェアが10年前の2007年のそれと比較されている。トップ5のシェアが2007年の33%から2017年には43%と大きく高まっているなど、以下の通りとなっている。

◇Semiconductor leaders' marketshares surge over the past 10 years (4月11日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのMcClean Report、April Update to the 2018 editionより、世界の大手半導体サプライヤの市場シェアがここ10年で大きく高まっていることを示すデータ。

2007年
2017年
半導体販売高
$278.1 billion
$444.7 billion
トップ5
33%
43%
トップ10
46%
57%
トップ25
67%
77%
トップ50
76%
88%

◇The Concentration of Semiconductor Market Share-Chip market share grows more concentrated (4月12日付け EE Times/Semi Conscious)
→IC Insights発。Samsung Electronics, Intel, SK Hynix, Micron TechnologyおよびBroadcomを合わせて2017年の世界半導体販売高の約43%を占め、10年前の半導体ベンダー・トップ5と比べて10-percentage-point増の旨。

◇Semiconductor leaders continue to gain market share (4月13日付け DIGITIMES)

IHS Markitからは、昨年、2017年のトップ10が表わされているが、AI、自動運転など高性能プロセッサを引っ張るファブレスのNvidiaが初めて第10位に登場している。

◇Nvidia Moves Into Top 10 in Chip Sales (4月12日付け EE Times)
→IHS Markit発。Nvidiaが、2017年に初めて半導体販売高のトップ10ベンダー入り、ファブレス半導体サプライヤとしてQualcommに加わった旨。
Nividiaの2017年販売高は$8.57 billionで第10位、皮肉にも同業ファブレスの台湾・MediaTekをトップ10から押し出した形の旨。
2017年トップ10ベンダーランキングのデータ、下記参照:
https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1333181&image_number=1

【最高更新の販売高】

史上最高を大きく更新した世界半導体販売高の熱い活況がいまだ続いているが、SEMIのデータにて、半導体製造装置そして半導体フォトマスクの2017年販売高がともに当然の流れで過去最高を更新している。

◇SEMI Reports 2017 Global Semiconductor Equipment Sales of $56.6 Billion (4月5日付け SEMI)

◇半導体装置の2017年世界販売、過去最大の6兆円−業界団体調べ (4月9日付け 日経 電子版)
→半導体製造装置の世界市場が6兆円を突破した旨。業界団体の国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は9日、2017年の世界販売額が前年比37%増の566億ドル(約6兆円)になったと発表、17年ぶりに過去最高を更新した旨。
2018年も旺盛なメモリ需要や中国市場での積極的な設備投資が継続する見通しで、装置メーカー各社は成長投資を続ける予定の旨。
半導体メモリの需要増加に伴い、韓国サムスン電子や同SKハイニックスなど大手メーカーの設備投資が盛んだった韓国市場が前年比2.3倍の179億5000万ドルと、世界最大の装置市場となった旨。

◇SEMI reports record semiconductor photomask sales of $3.7B (4月9日付け ELECTROIQ)

◇Photomask Sales Surge-SEMI: Photomask sales grew 13% in 2017 to $3.75B (4月10日付け EE Times)
→SEMI trade group(Milpitas, Calif.)発。昨年の半導体フォトマスク販売高が最高の$3.75 billionに増大、2019年には$4 billionを上回る見込みの旨。昨年の13%増加は、Asia-Pacific地域での製造の伸び継続および45-nm以降の設計数増加が引っ張っている旨。マスク販売高は、今年5%、来年さらに4%の伸びを見通しの旨。

【それぞれの業界展望】

Qualcommの買収が米国政府に阻止されたBroadcomのCEO、Hock Tan氏が、中国でのITイベントにてネットワークスの将来を展望、あらわしている。

◇Fully self-driven smart networks to be available in future, says Broadcom CEO-Broadcom CEO: The future will see autonomous networks (4月10日付け DIGITIMES)
→BroadcomのCEO、Hock Tan氏の2018 China Information Technology Expo(CITE)(4月9-11日:深セン[Shenzhen])での基調講演。将来、情報ネットワークスは、組み込みintelligenceを通して問題点を同定、内部の出来事を予想して勝手に動作する旨。2016年のディジタル経済は16 zettabytesのデータを作り出したと特に言及、ネットワークスは来る何年かで生み出される莫大な量に追いつくよう自ら治めて動作しなければならない旨。

こちらはEDA業界、Cadenceのトップ、これまたTan氏が、ユーザ比率でのシステムメーカーの上昇への対応の必要性を強調している。

◇Lip-Bu Tan on AI, China, & Moore-EDA's a systems game, says Cadence CEO-Cadence CEO: EDA firms should address system-level design (4月12日付け EE Times)
→Cadence Design Systemsのchief executive、Lip-Bu Tan氏。ベテラン投資家として、中国が席巻したいとするいくつかの半導体分野の1つ、machine learning用acceleratorsには依然投資の余地がある旨。EDAメーカーとしては、シリコンロードマップには強気であり、EDA各社はシステムレベルに引き上げる必要がある旨。Cadenceのユーザの40%ほどが今や何らかのシステム会社である旨。

【IoTの見方&アプローチ】

IoTを本格化させるにはAIの低コスト化が必要として、安価なSoCsおよびDRAMsが求められる、と以下の現実的な要求である。

◇IoT Startup Wants Lower-Cost AI-Sub-$5 accelerator, cheaper DRAM needed-Noon Home developing less expensive AI (4月9日付け EE Times)
→smart homes用照明システムを設計しているstartup、Noon Home(米国ベイエリア)が、machine learningをInternet of Things(IoT)にもってくるためにより安価なSoCsおよびDRAMsを求めている旨。consumer市場に向けて「一桁のコンポーネントコストを見ており、たくさんのAIアプリにはかなりのメモリバンド幅が必要となる。」と、前最初のApple Watchの技術managerで現在はNoon Homeでハードウェア技術headを務めるSaket Vora氏。「従来半導体メーカーは要求を得るためにシステムベンダーと協働しているが、IoTではこれはうまくいく戦略ではない。」
と同氏。

産業用IoTに向けたセキュリティモデルの展開である。

◇Security Model Targets Industrial IoT (4月9日付け EE Times)
→Industrial Internet Consortium(IIC)が、事業環境においてIoTを安全確実にするガイドラインを届けるべく、次のステップを展開、新しいwhite paperでは、それぞれの状況に適当するセキュリティレベルを定義して供給するプロセスが割りつけられている旨。

向こう10年のグローバルIoT市場があらわされている。

◇Global IoT market to register revenue CAGR of 21.6% over next 10 years (4月9日付け ELECTROIQ)
→MarketResearch.bizの最新レポート、Global Internet of Things Market by Components (Hardware, Software, and Services), Application, and Region - Global Forecast to 2026。最初の5年(2017-2021年)の売上げ累計が$ 7,760.8 billionの見通し、該5年予測期間の後半にわたって大きく増加していくと見ている旨。

Qualcommより、IoT機器に向けて新しいvision intelligenceプラットフォームとそれに基づく半導体が発表されている。

◇Qualcomm launches its new vision intelligence platform for IoT devices-Qualcomm targets new chip at IoT devices (4月11日付け TechCrunch)
→Qualcommが、同社のartificial intelligence(AI)および画像信号プロセッサをmulticore Armプロセッサと組み合わせた新しい半導体を発表、同社は該半導体をsmartセキュリティカメラ、virtual reality(VR)機器、スポーツおよびwearableカメラ、およびroboticsなどinternet of things(IoT)向けに狙っている旨。

【米中通商摩擦関連】

米中の摩擦については冒頭に示しているが、ここでは関連する動き、データである。米国では、関連業界団体が連携、中国への関税対抗措置への慎重な対応を政府に求めている。

◇Coalition of Industry Groups to Fight Trump Tariffs Is Growing-More than 100 business groups unite against tariffs (4月11日付け Bloomberg)
→流通およびハイテク業界団体からの107の事業グループが、House Ways and Means Committee(米下院歳入委員会)に手紙を送り、中国との問題を提案されている関税よりもっと効果的で害の少ない方法での打開に向けてTrump政権と協働するよう急ぎ求めている旨。該委員会は本日、該関税についての聴聞会を開いた旨。

◇More than 100 trade groups lobby White House against China tariffs -Coalition says tariffs will result in higher prices for businesses and consumers (4月12日付け MarketWatch)

対する中国のこの1〜3月であるが、輸出が好調で対米黒字の過去最高ペースが治まらない貿易統計データとなっている。

◇中国の対米黒字19%増、1〜3月、輸出が好調 (4月13日付け 日経 電子版)
→中国税関総署が13日発表した2018年1〜3月の貿易統計(ドルベース)。米国向けの輸出は前年同期比15%増の999億ドル(約10兆7千億円)、輸入は同9%増の416億ドル。輸出から輸入を差し引いた貿易収支の黒字は同19%増の582億ドル。黒字全体が縮小する中で対米黒字は拡大しており、トランプ米大統領が批判を強める可能性がある旨。中国の対米黒字は2017年に約2800億ドルとなり、年間ベースで過去最高を更新したが、2018年1〜3月は2017年を上回って推移している旨。米経済が好調で輸出が輸入を上回るペースで拡大、携帯電話、パソコン、おもちゃ、家具などの輸出が増えたとみられる旨。


≪グローバル雑学王−510≫

人とロボットの間の距離を縮め、融合を図っていくいろいろな切り口のアプローチがなんとあることか、

『AIロボットに操られるな!人工知能を怖れず使いこなすための教養』
 (大塚 寛 著:ポプラ新書 139) …2017年12月7日 第1刷発行

より改めて知らされる人に寄り添うAIロボットのあり様についての後半である。好ましい声の響き、馴染む匂いが距離感改善策で挙げられる一方、その音声や匂いから病気の探知も可能になることもある。また、ロボットのガタイの堅い素材を人に優しいものに改良していく、など今後に向けてのアプローチの奥行きの深さを感じるところである。


第3章 人に寄り添うAIロボット
 自我を持つロボットとの共存前夜 =後半=

□ストレスを定量化する
・(著者が)今取り組んでいる医療技術、音声病態分析
 →「心の状態(ストレスなど)を可視化すること」…MIMOSYSと呼ばれるソフト
  →平時の声と比較、定量化しづらい領域が可視化

□世界初の音声病態分析
・心の状態計測がうまくいったことで、現在、その発展系として研究
 →声だけでパーキンソン病、アルツハイマー病、大うつ病などの精神疾患や神経疾患を検知する技術
・声による計測を行うことで分析結果をスマホ自体に保管可能

□ビッグデータ化の遅れ
・日本の医学の現場で課題になっているビッグデータ化の遅れ
 →健康診断データの管轄が、小中学生の時は文部科学省、高校生の時が厚生労働省
 →この2つのデータは連動していない

□「裸眼のVR」が当たり前になる
・業界としてロボットに向けて取り組むべき技術的な課題
 →まず、VR(Virtual Reality=仮想現実)技術
 →伸び悩んでいる理由として、専用のゴーグル(Head Mount Display=HMD)が必要
・今後のVRの進化の方向性
 →HMDがさらに低価格化、ユーザが増える
 →次の段階として、マイクロソフトのホロレンズに代表されるホログラフィック技術
  …透明なゴーグル上に映像が映し出される
  →MR(Mixed Reality=複合現実)やAR(Augmented Reality=拡張現実)と呼ばれる
  →メガネをかける感覚でホロレンズを装着、コンピュータのモニター代わりになる時代が来ることも
 →その先に待っている裸眼によるVRやAR
  →左右の視差を利用、画像や映像を立体的に見せる技術

□「実家の匂い」が再現できる部屋
・未開拓の要素技術として「匂いの再現」
 →理想の住環境は、自分にとって最も心地良い空間に部屋自体が変化してくれること

□匂いが再現できたらエンタメも広告も変わる
・東工大では、センサで検知した匂いを遠隔にある匂いを発生できる装置で疑似的に再現するシステムの研究
・匂いを制するものはロボットを制する

□匂いでがんを探知する
・匂いを自動的に定量化する専用センサ
 →医療でも役立つセンシング技術
・日本医大千葉北総病院が、ガン探知犬の導入の研究を主導
 →ガン患者の尿の匂いを犬に学習させることで探知犬を育成
 →匂いセンサによる探知も併用

□人を傷つけない「やさしい素材」
・実現を期待している、状況に応じて硬度が変わる素材
 →環境変数で硬さが変わることが肝
 →ロボットの市場規模はまったく変わる
・人間との共存社会ではロボットの外装の技術についてもっと議論されるべき
 →ヨーロッパではボルボV40など、外部用のエアバッグを搭載した車種
・「ロボット=硬い=人を傷つける可能性」からくる恐怖心

□素材メーカーの参入を
・好みや身体的な特徴などに合わせて硬さを自動調整してくれる「スマートベッド」は近い将来登場するはず
・形状記憶シャツの素材
 …乾いた状態では硬く、水に濡れると柔らかくなる特性
 →如何に短期間で硬度スイッチングできるか
・素材メーカーがロボットを語る時代が来たら、いよいよ本格的なロボット市場の幕開けになるのかも

□女性に直観的に受け入れられるロボット
・ロボット業界で置き去りにされている女性の声
 →家庭にロボットが入ってくるとなると、女性が接する機会は確実に多くなる

□女性受けがいいセグウェイ
・圧倒的に女性受けがいいセグウェイ
 →移動自体を楽しくする乗り物であり、直感を重視する女性に受けている
・男性目線だとどうしても効率化や機能ばかり重視
 →女性には女性のロボット観があり、UX(ユーザ体験)の質も違う

□セキュリティ技術は必須
・あらゆるものがコンピュータ制御される時代になると、今よりもはるかに高いセキュリティ技術が求められるように
 →そこが解決しないと、自動化技術があったとしても誰も使わない
・CPUを含むハードウェアを制御する「ミドルウェア」の段階でセキュリティをかける
 →日本ではベンチャー企業による技術開発の取り組み

□科学の常識を塗り替える可能性を秘めた量子コンピュータ
・あらゆるデータを「0か1」の集合体で管理するノイマン型コンピュータ
 →量子コンピュータ(非ノイマン型)は、ノイマン型では扱えない「領域」を扱える

□「タイムマシン」は生まれるのか
・量子コンピュータによれば、現在の物理の世界では説明できないことが白日のもとに

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