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米中間通商摩擦が続く渦中、2月の半導体販売高が熱い活況を維持

米国と中国の間の通商摩擦が続いて貿易戦争に至る事態が懸念され、半導体業界の世界でも盟主の米国、最大市場を有して自立化に邁進中の中国ということで、その先行きに目が離せないところがある。そのような情勢の中、米国Semiconductor Industry Association(SIA)より恒例の月次世界半導体販売高が発表され、今回はこの2月について$36.8 billionと依然高水準を維持し、前月比2.2%減、前年同月比21.0%増となっている。これで前年同月比では19ヶ月連続のプラス、しかも20%超が11ヶ月連続という勢いであるだけに一層敏感になるところである。

≪2月の世界半導体販売高≫

今回のSIAからの発表内容が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯2月のグローバル半導体販売高が前年比21%増−Americas市場が前年比約40%増;グローバル販売高は前月比では僅かに減 …4月2日付け SIA/NEWS

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2018年2月の世界半導体販売高が$36.8 billionに達し、前年同月の2017年2月総計$30.4 billionに対して21.0%の増加と発表した。2月のグローバル販売高は、前月の2018年1月総計$37.6 billionより2.2%下回り、通常の季節的市場傾向を反映している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「2月のグローバル半導体市場は引き続き大きく一貫した伸びを示して、19ヶ月連続の販売高前年比増加を刻んでおり、すべての主要地域市場にわたって二桁の%で伸びている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「Americasが前年比約40%の販売高増加でまたまた目立っており、すべての主要半導体製品カテゴリーにわたって販売高が前年比で増加している。」

地域別では、前年比販売高がすべての地域にわたって大きく増加したが、前月比では僅かに増加したEurope以外は幾分減少している。

Americas
前年比 +37.7%/
前月比 -4.3%
Europe
+21.7%/
+0.9%
China
+16.4%/
-2.6%
Asia Pacific/All Other
+16.2%/
-1.5%
Japan
+15.5%/
-0.9%


         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Feb 2017
Jan 2018
Feb 2018
前年同月比
前月比
========
Americas
6.00
8.63
8.26
37.7
-4.3
Europe
2.82
3.40
3.43
21.7
0.9
Japan
2.75
3.21
3.18
15.5
-0.9
China
10.05
12.01
11.70
16.4
-2.6
Asia Pacific/All Othe
8.77
10.35
10.19
16.2
-1.5
$30.38 B
$37.60 B
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %

--------------------------------------
市場地域
9-11月平均
12- 2月平均
change
Americas
8.77
8.26
-5.8
Europe
3.42
3.43
0.1
Japan
3.21
3.18
-1.0
China
11.90
11.70
-1.7
Asia Pacific/All Other
10.39
10.19
-1.9
$37.69 B
$36.75 B
-2.5 %

--------------------------------------

※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/February_2018_GSR_table_and_graph_for_press_release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応、取り上げである。

◇Global chip sales rise year-over-year for 19th straight month (4月2日付け Market Watch)

◇Global semiconductor sales up 21% year-to-year in February (4月3日付け ELECTROIQ)

◇Semiconductor industry reports “substantial and consistent” growth-Positive figures from the Semiconductor Industry Association(SIA) showed the industry achieved 19 consecutive months of year-to-year sales increases.-Chip industry marks 19 straight months of growth (4月3日付け Electronics Weekly (UK))

◇Global February semiconductor sales increase 21%, says SIA (4月3日付け DIGITIMES)

◇February Chip Sales Down From January (4月6日付け EE Times)

2016年後半から盛り返して急激な増勢を保っている世界半導体販売高の推移が次の通りである。19ヶ月連続の前年同月比増があらわれるところとなっている。


販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月
 $27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月
 $28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月
 $29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月
 $30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月
 $31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月
 $31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月
 $30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月
 $30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月
 $30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月
 $31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月
 $31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月
 $32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月
 $33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月
 $34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月
 $35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月
 $37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月
 $37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月
 $37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月
 $37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月
 $36.75 B
21.0 %
-2.2 %

メモリ半導体の高値が引っ張っている現下の半導体市場であるが、メモリで世界を大きくリードする韓国では、この3月の半導体輸出額が以下の通り最高を記録している。輸出の2割を半導体が占める同国である。

◇韓国の半導体輸出、初めて月間100億ドル超 (4月2日付け 韓国・中央日報)
→韓国・産業通商資源部、1日発。韓国の3月の半導体輸出額が108億ドルと、月別で最大実績となった旨。単一品目の輸出額が100億ドルを超えたのは今回が初めて。韓国の3月の輸出入総額:
 輸出 515億8000万ドル 前年同月比6.1%増
 輸入 447億2000万ドル
輸出の2割ほどを半導体が占めた旨。

メモリの世界No.1、韓国・サムスン電子より最高を更新する四半期業績が発表されている。

◇Samsung Electronics operating profit hits record-high in Q1 (4月6日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇サムスン営業益58%増、1〜3月、半導体好調続く-速報値、四半期で最高益 (4月6日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が6日発表した2018年1〜3月期連結決算の速報値。売上高は前年同期比19%増の60兆ウォン、営業利益が同58%増の15兆6千億ウォン(約1兆5600億円)で該利益は四半期ベースで過去最高を更新の旨。スマートフォンなどに載せる半導体メモリの好況が前年から続いているためであるが、2018年に入り、NANDの方は価格が下落して収益環境がやや悪化しているもようだが、DRAMは依然として好況が続いている旨。

現下の米中間通商摩擦の動きを振り返ると、米国の通商法301条に基づいた対中制裁を受けた中国側の反応が続いている。

◇China steps up scrutiny of IP transfers to foreign firms on national security grounds-China looks closer at transfers of IP to foreign investors (3月30日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国が、国家セキュリティへの影響の可能性があるとして、computerソフトウェア著作権, integrated circuit(IC)レイアウト設計, 特許などのintellectual property(IP)を買収する海外投資家への注意をより高めている旨。この動きは、米国が国家セキュリティの利益を引用して中国投資家による米国の会社の買収提案をいくつか阻止した後に出ている旨。

◇中国、対米報復関税を発動、128品目に最大25% (4月2日付け 日経 電子版)
→中国国務院(政府)は1日、米国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすると発表、2日から実施した旨。米国が通商拡大法232条に基づき、中国産を含む鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置。上乗せ関税は15%と25%の2種類。15%上乗せするのはワイン、ピスタチオやクルミなどナッツ類、マンゴーなどドライフルーツ、オレンジ、ブドウ、スイカなど果物、継ぎ目のない鋼管など120品目。2017年の輸入額は計10億ドル(約1100億円)。
米中間の貿易摩擦を巡っては、水面下での交渉が始まっている旨。中国は報復措置を実際に発動することで一歩も引かない姿勢を示し、交渉を有利に進める思惑があるとみられる旨。

上の中国の発動に対して、米国から500億ドルもの輸入額に及ぶ1300品目を対象にした25%関税という制裁原案が打ち上げられている。

◇White House Unveils Tariffs on 1,300 Chinese Products-Trump tariffs focus on high-tech goods from China (4月3日付け The New York Times)

◇Trump's Tariff List to Impact Supply Chain (4月4日付け EE Times)

◇U.S. escalates China trade showdown with tariffs on $50 billion in imports (4月4日付け Reuters)

◇対中制裁関税、産業ロボなど1300品目、米が原案発表 (4月4日付け 日経 電子版)
→米通商代表部(USTR)が3日、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表、産業用ロボットや航空宇宙部品、自動車など約1300品目に25%の関税を課す旨。2018年の想定輸入額で500億ドル(5兆3000億円)に相当する旨。5月下旬まで企業など一般から意見を募ったうえで最終決定する旨。

◇U.S. Leaves Door Open to China Talks Amid Trade-War Fears (4月4日付け Bloomberg)

この事態に対する半導体メーカー、Nvidiaからの反応である。

◇Nvidia responds to Trump's looming trade war with calls for collaboration instead-Nvidia CEO: Let's collaborate, not go to war on trade (4月3日付け ZDNet)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、中国と米国の間の通商緊張の緩和を急ぎ求め、先端技術の開発は一国に限られるものではない旨。「世界が協力的な通商および開かれたビジネス関係をもつことが、確かにより良く、現実に極めて重要である。」と同氏。

こんどはこの米国の打ち上げに対抗して、中国から同じ500億ドル規模の輸入額、106品目に対して25%関税と、ああ言えばこう言う、ジャブの応酬が続いている。

◇中国、米をWTO提訴へ、「同規模の報復」 (4月4日付け 日経 電子版)
→米国が通商法301条に基づき関税25%をかける中国製品1300品目を公表したことを受け、中国商務省の報道官は4日、米国を世界貿易機関(WTO)にすぐに提訴すると明らかにした旨。米国の制裁と同じ規模、同じ強度の報復措置を近く公表する方針も示した旨。

◇China announces new tariffs on 106 US products, including soy, cars and chemicals (4月4日付け CNBC)

◇China Tariffs Threaten U.S. Cars, Planes and Soy in Response to Trump -Beijing hits back at U.S. with tariffs on $50 billion of goods (4月4日付け The Wall Street Journal)

◇中国、米産大豆・車など106品目に25%の報復関税 (4月4日付け 日経 電子版)
→中国政府は4日、米国産の大豆、トウモロコシ、小麦、綿花、牛肉、自動車、飛行機など計106品目に25%の関税をかける方針を発表、2017年の輸入額は約500億ドル(約5兆3千億円)。米国が通商法301条に基づき中国製品1300品目に25%の関税をかける方針を公表したことに対する報復措置。

経済を撹乱する米中摩擦との表し方が見られている。

◇米中摩擦が経済かく乱、商品価格や船賃下げ、株乱高下 (4月5日付け 日経 電子版)
→米中間で貿易摩擦が激しくなり、鉄鋼など商品価格に影響が出始めた旨。
保護主義的な政策の応酬に陥れば、貿易の停滞などを通じて世界景気を圧迫しかねないとの懸念から、世界の金融市場は乱高下している旨。2年目に入った米トランプ政権の政策運営は脈絡を欠き、経済・市場のかく乱要因となっている旨。

米国側からはさらに制裁の積み増しが検討されている現時点である。

◇米、対中制裁10兆円追加を検討、中国の報復に対抗 (4月6日付け 日経 電子版)
→トランプ米大統領は5日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税について1000億ドル(10兆7000億円)の積み増しを検討すると発表、3日に500億ドルに相当する中国からの輸入品1300品目に25%の関税を課す原案を公表しており、大幅な追加措置を米通商代表部(USTR)に指示した旨。中国が同規模の報復関税を課すと表明したことに対抗する旨。


≪市場実態PickUp≫

【中国半導体業界】

自立化に向けて数年前のM&A真っ盛りでは積極的に打って出た中国半導体業界であるが、米国の阻止もあってうまくいかないということか、すべて自前で拡大を図っていく流れに絞っている現状模様があらわされている。

◇Excluded from M&A, China Focuses on Expansion (4月2日付け EE Times)
→グローバル半導体業界に向けた最近のM&Aパーティにはお呼びでなく、中国がその代わりに設計、製造、材料および装置など完全な国内supply chain、自前のせわしいecosystem構築を図っている旨。同国は自前ですべてやるに十分市場は大きいと賭けており、主要半導体製造国家になる活動に臆することなしに見えている旨。

SEMIからは、半導体実装装置および材料については中国が現在世界最大の消費者となっているとのデータである。

◇China now world's largest consumer of semiconductor packaging equipment and materials (4月2日付け ELECTROIQ)
→SEMIの最新China Semiconductor Packaging Industry Outlookレポート。
大量の政府投資が供給されて、2017年の中国のIC実装&テスト売上げが$29 billion、中国が実装装置および材料の最大の消費者となっている旨。2017年7月から2018年1月末までの間に行われた調査に基づく該レポートはまた、IC実装&テスト売上げは近年伸びが鈍化しているけれども、中国のIC実装&テスト業界はIC製造&設計分野よりも成熟しているとあらわしている旨。

◇China becomes largest consumer of semiconductor packaging equipment and materials, says SEMI (4月3日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2017年において中国は、グローバル実装材料市場の約26%を占め、2018年の中国の実装材料売上げが$5.2 billionを越える見込みの旨。
一方、中国組立装置市場は2017年に売上げ$1.4 billionに達し、37%のシェアで世界最大を維持の旨。

注目のメモリ半導体の取り組みであるが、3D NANDフラッシュ半導体についてTsinghua UnigroupがIntelから向こう2年調達する契約を交わしている。
社内での開発・生産化に並行、Intelとの協働を先行させている。

◇Tsinghua Unigroup reportedly to source 3D NAND chips from Intel (4月3日付け DIGITIMES)
→中国発メディア報道。Tsinghua UnigroupがIntelと2018年および2019年に3D NANDフラッシュ半導体を調達する契約を締結、一方、子会社のYangtze Memory Technologies(YMTC)は引き続き社内でその技術開発を行っている旨。Tsinghua Unigroupはメモリ市場に向けたone-stop supply chainを作り出すよう備えているが、にも拘らず、YMTCのような半導体製造子会社が生産技術を開発、ウェーハ100,000枚/月の供給が可能になる前に、先行して野心的な計画の開始に向け世界的な半導体メーカーとの協働に動いている旨。

【Appleの自前設計】

波紋を呼んできているAppleの半導体自前設計の動きであるが、またまた噂の煙が立ち上っている。こんどはMac computersについてIntel社製プロセッサに置き換えて自前のArm-ベースプロセッサに切り替えるという、長らく言われている内容ではあるが、2020年にも起こりそうとされている。

◇Intel Could Lose Apple Business on Two Fronts (4月3日付け EE Times)
→AppleがMac computersについてIntel半導体から自前のArm-ベースプロセッサに切り替えるという長らくの噂が2020年にも起こる可能性という報道、Intelの株価が月曜2日6%以上下げた旨。「Intelには二重の脅威があると思う。Appleがmodemを同社のモバイルSoCsに統合すると、IntelはAppleのmodemビジネスも失うことになり、同じ時間軸になりそう。」とEE Timesとのemail交換でTirias Researchのprincipalアナリスト、Jim McGregor氏。

◇Apple plans to replace Intel chips in Macs with its own: Bloomberg (4月3日付け Reuters)
→本件事情通引用、Bloomberg月曜2日発。Apple社が、Intel社製プロセッサに置き換えて2020年にもMac computersで自前の半導体を用いる計画の旨。

◇Opinion: How Apple dropping Intel would change the future of technology-The iPhone maker engineering more of its own technology would heighten competition (4月3日付け Market Watch)

【Imaginationの新CEO】

中国の政府系ファンド、Canyon Bridgeが、昨年買収したImagination Technologies(英国)の新しいCEOに、中国のファブレスの前president and CEO、Dr. Leo Li氏が指名されている。これに至る脈絡の取沙汰含め、以下の通りである。

◇Dr. Leo Li to become next CEO of Imagination-Imagination taps a new CEO (4月3日付け New Electronics)
→Global Semiconductor Alliance(GSA)のchairmanでTsinghua Unigroupのco-presidentであるLeo Li氏が、Imagination Technologiesの次のCEOに指名され、2016年2月からCEOを務めたAndrew Heath氏から引き継ぐ旨。
Li氏は技術革新を強調する計画の旨。同氏はTsinghuaの前は、Spreadtrum Communicationsのchairman, CEO and presidentおよびRDAのchairmanであった旨。

◇Former Spreadtrum CEO to Lead Imagination (4月4日付け EE Times)
→Imagination Technologiesが、新しいChief Executive Officer(CEO), Leo Li氏を発表、中国での市場拡大に重点化していく旨。

◇AI Connects Imagination, Leo Li, China (4月4日付け EE Times)
→中国政府が後ろ盾のbuyoutファンド、Canyon Bridgeが、昨年買収したImagination Technologies(英国)のbrand-new CEOに中国のファブレスの前president and CEO、Dr. Leo Li氏を選んだが、Imagination, Leo Li氏および中国を結ぶ実際の線はartificial intelligence(AI)である旨。
Canyon BridgeがLi氏とImaginationに寄せる期待はAIおよびneuralネットワーク技術での活躍であり、中国が非常に欲しImaginationが大望を抱く領域である旨。

【AI戦略&人材】

フランスがAI戦略を打ち上げており、世界の主要プレーヤーの進出が見られている。

◇Chipmakers Expand R&D Amid France's New AI Push-France gets on the AI bandwagon, attracting chip firms (4月4日付け EE Times)
→フランス大統領、Emmanuel Macron氏が先週、向こう5年にわたって最大1.5 billionユーロ(約$1.84 billion)の政府出資が支える積極的な新しいAI戦略を打ち上げ、富士通、SamsungおよびDeepMindなどの主要プレーヤーも同国でのAIリサーチ強化を構築している旨。

AI戦略の核となる人材関連について、まずはAmazonのMr. AIと言われる方の見解があらわされている。

◇Amazon on AI and Accelerators-From folding proteins to growing clouds-Amazon's AI evangelist (4月5日付け EE Times)
→Amazon Web ServicesのMr. AI、Matt Wood氏のcorporateイベント(San Francisco)でのインタビュー。genomicsからcloud computingへの転身、deep learning技術の展望そしてartificial intelligence(AI)で必要とされる半導体の種類について。NvidiaのVolta graphics processing units(GPUs)はAWSデータセンター向けにASICsを設計しており、それらでmachine learning acceleratorを設計できると考えられる旨。

アップルが、AIのテコ入れでグーグルから引き抜く動きが見られている。

◇グーグル幹部を獲得、アップル、AIてこ入れ (4月6日付け 日経)
→米アップルはグーグルで人工知能(AI)部門を率いていたジョン・ジャナンドレア氏を採用、「機械学習とAI戦略」を束ねる上級副社長として、4月後半からティム・クック最高経営責任者(CEO)と直接コミュニケーションする立場となる旨。競合に比べて劣ると指摘される音声アシスタント「Siri」のてこ入れなどを進めるとみられる旨。

【新工場起工】

半導体組立&検査のASE(台湾)が、SiPサービス、IoT関連の対応に向けた新工場を台湾・高雄に建設するとしている。

◇ASE investing NT$12.5bn on new fab-ASE spends $429M to meet system-in-a-package services demand (4月4日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Advanced Semiconductor Engineering社(ASE, 日月光半導體)が昨日、高雄(Kaohsiung)の新しい先端fabについてcapacity拡大に向けてNT$12.5 billion($429 million)を投資、system-in-a-package(SiP)サービスの高い需要に対応する狙いの旨。

◇台湾ASE、先進半導体の新工場、IoT需要に対応 (4月4日付け 日経)
→半導体封止・検査専業の世界最大手、台湾の日月光半導体製造(ASE)が3日、4億1600万ドル(約440億円)を投じ、高雄に新工場を建設すると発表、半導体の小型化や電力消費の低減につながる最新のパッケージング(封止)技術を導入、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の需要拡大に対応する旨。

シンガポールでは、Micronが3D NANDフラッシュメモリの新工場の建設を開始している。

◇Micron breaks ground on new flash memory fabrication plant in Singapore-Micron starts building 3D NAND flash memory fab in Singapore (4月5日付け The Business Times (Singapore))
→Micron Technologyが水曜4日、3D NANDフラッシュメモリ製品の今後の製造需要に対応するために新たなクリーンルームスペースを加えるようシンガポール北部で起工の旨。該新拠点は"multi-billion dollar投資"としており、向こう5年以上にわたって装備していき、新たに1,000 jobsを加える旨。


≪グローバル雑学王−509≫

音声で操作できる小型スマートスピーカーとのやりとりがスムースにいかないことを実際に体験しているが、人に寄り添うAIロボットというものに

『AIロボットに操られるな!人工知能を怖れず使いこなすための教養』
 (大塚 寛 著:ポプラ新書 139) …2017年12月7日 第1刷発行

よりいろいろな切り口で迫っていく前半である。現状のロボットの応答には台本、シナリオがあり、自然な会話にはなかなか到達し得ない現時点であり、今後に向けた突破口としてコンピュータが独りでに学習、「知性」が進化していく自然言語処理がカギを握るとのことである。後退する一途の我が身体機能、知性を補完してくれるものの出現に期待するところではある。


第3章 人に寄り添うAIロボット
 自我を持つロボットとの共存前夜 =前半=

□スマートホーム時代に向けて
・自宅がロボットによって制御された快適空間になる「スマートホーム時代」
 →その第一歩、ホームアシスタントロボット
  …アマゾンエコー、グーグルホームなど
 →家庭内IoTのハブ機能の期待
・2017年、「暮らしのIoT」を目指す企業連合「コネクティッドホームアライアンス」が発足
 →業界の垣根を超えた日本の大手メーカー77社が終結
 →2020年をめど、各社のデバイスが相互につながる世の中

□ロボットとの自然な会話
・ロボットが自我を持った時が、人間とロボットの本格的な共存が始まる時
 →それまではアマゾンエコーなどは「便利な道具」もしくは「最先端家電」にすぎない
・現在、スマホやパソコンに搭載されているパーソナルアシスタントと自然な会話を続けることはできない
 →ロボットの返事にはすべて台本がある
 →今はユーザもそのことをだいぶ理解
  …手元のSiriやペッパーに積極的に声をかけない人が多い

□自然な会話を成立させるための技術
・音声認識技術
 →「音声データをテキストデータ(文字列)に変換する技術」
・音声合成技術
 →ロボットに言葉として発言をさせるためには文字列を音声に変換する必要、その技術
・「音声認識」、「メインの処理」、「音声合成技術」の3段階の技術
 →これを経て、人はロボットと「会話」をすることに
・現状のロボットの「メインの処理部分」は、事前に用意されたシナリオを返すことで動いている
 →自然な会話ができているとはなかなか言えない

□カギを握るのは自然言語処理
・技術的な突破口は存在
 →「自然言語処理」という超難解なプログラミング言語
・自然言語処理はコンピュータが独りでに学習していく
 →インターネットから自らデータを探してきて、少しずつ「知性」が進化していく
・アマゾン、グーグル、マイクロソフトの「AI3強」
 →自然言語処理が扱える優秀な人材を世界中から迎え入れ
 →まったく新しい言語の開発に取り組んでいる可能性も

□ロボットに個性を持たせる音声合成技術
・今後、ロボットがより身近で快適な存在になっていくためには、やはり声も大事な要素
 →人の声を学習させて声質をコンピュータで再現する技術も、実はすでに存在

□選択肢が増えるUI
・ユーザがコンピュータを使う時の接点(目に見える部分)
 →UI(ユーザインタフェース)
・近い将来、身近になると予想されているUI
 →手や指の動きによる入力
・脳波によってロボットを制御する技術
 →数十年前から研究が行われている
 →専用のヘッドギアが操縦者の脳の血中濃度を計測…業界的には古典的な技術
・アメリカでは国を挙げて「ブレーン・コンピューティング」の領域を推進
 →脳細胞とコンピュータを直接つなぐインタフェースの開発はじめ

□あうんの呼吸で動くロボット=アバター
・ロボットのアバター化…ディジタル的な自分の分身
 →究極形は自分の脳を丸ごと再現できるアバター
 →自分のことを理解してくれている優秀な秘書がいるようなもの

□今後必要なのは距離感を自動調整する技術
・少なくとも日本の市場で重要になってくるのは「空気を読む技術」
 →日本人の国民性や美徳を体現した「気遣い」ができるロボット
・日本人同士のコミュニケーションは、行間を読み取ることで円滑にまわしている側面
 →ロボットに実装できたら、人間との適度な距離感を自動的に調整してくれるロボットが生まれるはず

□ロボットによる身体機能の拡張
・近い将来、ロボットは人間の身体的な機能を補完したり拡張させたりすることが当たり前の時代に
 →筑波大の山海教授が作った世界初のロボットスーツ「HAL」(Hybrid Assistive Limb)
 …体を流れる微弱な電流を察知、増幅させて自然な形で動きを補助
・将来的にはロボットの力を得て元気に仕事を続ける老人が増えるというシナリオも十分考えられる

□盲導犬ロボット
・視覚障害者をサポートする盲導犬ロボット
 →今のテクノロジーを使えば視覚障害者の目の代わりとなるものは十分作れる
・セグウェイが作られたきっかけも、歩行弱者に力を与えるため

□格差を助長するのではなく、格差をなくすテクノロジー
・テクノロジーの格差社会問題化
 →HALや盲導犬ロボットのように格差がなくなるようなアイデアを考えること

□介護だけではなく医療の進化も
・介護者不足という自明の課題を解決するために今後も自動化、ロボット化を推進する必要
・起こる現象も扱うデータの種類も限られる医療分野
 →IT的な観点からすると、ディープラーニングを含めた機械学習がしやすい特徴
 →医療こそ最もロボット化が進んでいく領域ではないか

□医療自動診断
・厚生労働省が力を入れている医療や介護分野でのAIの開発支援
 →2018年度予算の概算要求が約46億円
 →2017年度予算の7倍
 →特に重点、画像認識による病気の特定
・レントゲン画像だけではなく、血液検査の結果や問診結果などから、AIが治療方針を導き出すことは十分可能に

□糖尿病患者のグルコース値を測定するシステム
・アボットジャパンの「FreeStyleリブレProシステム」
 →人の体に装着して常時、健康状態をモニタリングするデバイス

□血管や神経の中に入るマイクロロボット
・「飲む内視鏡(カプセル内視鏡)」
 →海外では、血管の中に入るマイクロロボットも存在
  →韓国・テグキョンブク科学技術院のゾウリムシ型ロボット

□手術支援ロボット「ダヴィンチ」
・九州大の橋爪先生の手術支援ロボット「ダヴィンチ」の活用
 →3つのアーム、内視鏡カメラの映像を見ながら手元のコントローラを操作
 →患者さんに触れることなく遠隔操作可能
・もともとはアメリカ陸軍が負傷した兵士を遠隔で治療する目的で開発
 →アメリカのIntuitive Surgical社が開発、現在は同社が販売

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