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双方対抗・応酬の動きが続く米中通商摩擦:止まないIT・新技術逆風

スマートフォンが支えるなか、新技術・新分野をうかがうM&Aの嵐、そしてメモリ半導体の高値が引っ張る熱い活況となっている半導体業界のここ数年であるが、こんどは米国と中国両大国の間の通商摩擦およびIT・新技術への治まらない逆風が半導体業界にも大きくインパクトを与える事態が当面続きそうである。米国の通商法発動に端を発して米中間の対抗・応酬の動きが続くとともに、フェイスブックを巡る情報利用、そして自動運転での死亡事故はじめ喫緊に対応を迫られる問題があらわれており、半導体の視点で推移を追っていく。

≪通商および技術両面の激震≫

米国、中国両国の双方牽制投げかけの動きが続いている。

◇中国、米国債購入減に含み、301条に対抗 (3月24日付け 日経 電子版)
→中国政府は23〜24日、米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強く牽制した旨。崔天凱・駐米大使は23日、米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた旨。劉鶴副首相も24日、ムニューシン米財務長官との電話協議で「中国側はすでに準備できており、国家の利益を守る実力もある」と述べ、対米報復を示唆した旨。

◇U.S. Pushes China on Cars and Finance in Tariff Talks (3月26日付け Bloomberg)

◇Trump Presses China to Buy More U.S. Chips (3月27日付け EE Times)
→各紙発。米国の中国との貿易赤字を減らし通商戦争を避ける舞台裏交渉の一環として、中国が米国メーカーからもっと多くの半導体を買うことを検討している旨。

◇U.S. seeks China trade moves on autos, financials, chips: source-US-Chinese trade topics: Financial services, cars, chips (3月27日付け Reuters)
→米国当局が中国に対し、金融サービス会社のforeign-majority所有権、輸入自動車への関税削減および米国製半導体の購入増大を強く求めている旨。該提案は、輸入中国製品に対する新しい米国の関税を避ける中国からの譲歩獲得を目指す米国の動きの一環の旨。

◇米、中国製通信機器の使用禁止検討、スパイ活動懸念 (3月27日付け 日経 電子版)
→米連邦通信委員会(FCC)は26日、国内の通信会社に対し、安全保障上の脅威となる外国企業製品の使用を禁じる規制案を発表、禁止対象の企業は今後詰めるが、華為技術(Huawei)など中国勢を念頭に置く旨。中国製の通信機器が中国政府のスパイ活動に使われているという懸念の高まりに対応する旨。

◇China warns U.S. not to open Pandora's Box, unleash trade ills on world (3月29日付け Reuters)
→中国が木曜29日米国に対し、Pandora's Boxを開けて世界中に保護貿易論者の慣行の洪水を起こさないよう警告、北京は深まる米中通商論争の中で標的となり得る米国製品を指している旨。

今回米国が問題としている中国の知的財産の侵害について、以下の分析である。

◇米、技術移転の強制懸念、中国の知財侵害「4つの手口」 (3月25日付け 日経 電子版)
→トランプ米政権は中国の知的財産の侵害を巡って制裁措置を発動する方針を決めた旨。背景にあるのは電気自動車など国際競争が激しい分野で中国に先端技術を奪われたとの懸念であり、外資規制に伴う技術移転の強制や技術を盗むためのサイバー攻撃を特に問題視し、年間500億ドル(約5兆2000億円)の損失を被ったと主張する旨。
トランプ大統領は22日、米通商代表部(USTR)の報告書に基づき、中国からの輸入品に制裁関税を課すと表明。報告書は主に4つの手口で米国企業の技術が奪われたと主張した旨。
・中国の外資規制。「中国が自動車を外資に開放したのは、国有企業を近代化するよう米国企業から技術を移転させることが目的だった」と断定。
・高い関税で輸入品を締め出し、中国市場に入りたい外国企業には国内生産を求める
・中国企業との合弁会社設立を条件とし、合弁会社はバッテリーなど中核技術の知財を保有しなければ製品を売れない規制を設ける
・最終的には技術を中国側に渡さなければ事業ができない

◇U.S. Weighs Use of Emergency Law to Curb Chinese Takeovers-US reportedly targets Chinese investment in sensitive tech (3月27日付け Bloomberg)
→米国財務省が敏感な技術への中国の投資の制限に取り組んでおり、Trump政権の知的所有権侵害に対処する狙いの旨。半導体および5Gワイヤレス技術が、同省が同定する分野に入っている旨。

両国の間の話し合いが模索されている。

◇U.S., China Quietly Seek Trade Solutions After Days of Loud Threats-Wide-ranging discussions aimed at widening market access follow Washington's vow to use tariffs, which sent U.S. stocks sharply lower -China, US open high-level talks to ease trade dispute (3月26日付け The Wall Street Journal)
→米財務長官、Steven Mnuchin氏、通商代表、Robert Lighthizer氏および中国のトップ経済adviser、Liu He氏が、両国間の通商係争について話し合いを開始の旨。Mnuchin氏とLighthizer氏は先週後半Liu氏に手紙を書いて該緊張関係の緩和に向けた譲歩を求めており、財務省spokesmanは、彼等が貿易赤字を議論し、"減らすためのお互い合意できる方法を見い出す対話を続けていく約束"、としている旨。

中国の半導体業界に関連する動きとして、まずは、法人税免除の措置である。

◇China cuts tax rates for chipmakers amid trade tensions-China reduces taxes for domestic chipmakers (3月30日付け Reuters)
→中国・Ministry of Finance発。中国の半導体メーカーは、2-5年間法人税を免除される旨。中国が米国との通商係争に陥っているこのとき、北京は輸入技術への依存を減らすためにmicrochipsの国内生産を高めようとしている旨。

中国への対応が多分に意識されるところであるが、米国政府とTSMCの総帥、Morris Chang氏のコンタクトが行われている。

◇TSMC confirms meeting between chairman and U.S. commerce official (3月28日付け Focus Taiwan)
→世界最大のcontract半導体メーカー、TSMCが水曜28日確認。同社chairman, Morris Chang氏が最近、米国Deputy Assistant Secretary of Commerce for Manufacturing、Ian Steff氏と会って意見を交換、詳細は明らかにされていない旨。

◇US envoy meets TSMC boss amid concerns over Chinese IP theft-Washington trade official says Taiwan key ally in tackling Chinese infringement (3月28日付け Nikkei Asian Review)

◇台湾TSMCの董事長と会談、米商務次官補代理 (3月30日付け 日経)
→複数の台湾メディアによると、訪台したイアン・ステフ米商務次官補代理が29日までに、半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長と会談した旨。米トランプ政権は中国の知的財産侵害を問題視し、制裁関税を検討中。技術吸収を志向する中国と長く向き合ってきた張氏と、情報や意見を交換したとみられる旨。

メモリ半導体を引っ張るSamsungが、中国・西安工場での新ラインの起工を行っている。

◇Samsung begins building $7 billion chip line in China-Samsung breaks ground on $7B NAND flash fab line in China (3月28日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、Xi'an(西安), Chinaの同社第2半導体ラインの建設を開始、来年完成予定の該新ラインに$7 billionを投資する旨。ここでは中国のベンダーからの非常に高い需要があるV-NANDメモリ半導体を生産する旨。同社は、2017年8月に遡ってShanxi Province(陝西省)と該ラインを建設するmemorandum of understanding(MoU)に調印している旨。

◇Ramping Up 3D NAND Production-Samsung Electronics Breaks Ground for Second Semiconductor Line in China (3月29日付け BusinessKorea)

メモリの2番手、SK Hynixも中国市場での主導性を維持するとしている。

◇(LEAD) SK hynix vows to maintain lead in Chinese market-SK Hynix chief promises to maintain focus on China (3月28日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→SK Hynixのchief executive、Park Sung-wook氏が株主に対し、同社は市場におけるリードを保つために中国に対して"最高品質の製品"を供給し続けていく旨。「我々は特色を維持してその意味での差を引き続き保っていく」と同氏。

中国における半導体開発のプレゼンス向上ぶりが、端的にあらわされている。

◇Beijing's blessing helps Chinese chipmaking thrive-Local and foreign players pile into the country's nascent semiconductor industry-Investment in China's chip industry begins to pay off (3月29日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→政府機関による投資に海外の会社が加わってきて、中国の国内半導体業界を伸ばす推進力が実を結び始めている旨。「5年前、半導体開発は中国では人気のない職業であったが、今では半導体業界エンジニアは最も当世風のキャリアの1つである。」と、中国のnetworking and consultancyプラットフォーム、IC Cafeのfounder、Hu Yunwang氏。

IT・新技術への逆風に目を転じて、フェイスブックを巡る問題についての動き、そして率直な論評である。

◇米FTC、フェイスブックを調査、個人情報取り扱いで (3月27日付け 日経 電子版)
→米連邦取引委員会(FTC)は26日、米フェイスブックが個人情報を適切に管理していたかについて調査に乗り出したと発表、フェイスブックの情報不正流出問題で米当局が調査を表明するのは初めての旨。同社の社会的な影響力が増す中、これまでIT企業に寛容とされてきた米政府も厳しい目を向け始めた旨。

◇ザッカーバーグ氏、米議会で証言か、4月第2週にも (3月28日付け 日経 電子版)
→米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が情報の不正流出にからみ米議会で証言する見通しであることが27日分かった旨。複数の米メディアが報じた旨。個人情報の取得や管理のあり方などについて説明するもよう。同CEOの議会証言は初めてで、フェイスブックにとってはかつてない正念場となる旨。

◇Big Data Denial Gets Woke (3月29日付け EE Times/Blog)
→トレーダーはFacebook株をたたきつけ、regulatorsはオンラインprivacy規則を作成するかもしれないが、ビッグデータのパンドラの箱は常に開いている旨。

Uberの自動運転での死亡事故という深刻な事態を受けた対応、論評がここでも続いている。

◇ウーバーの自動運転実験、アリゾナ州が許可取り消し−エヌビディアは実験自粛 (3月28日付け 日経 電子版)
→米アリゾナ州は米ライドシェア最大手、ウーバーテクノロジーズの自動運転車が18日夜に同州で歩行者との死亡事故を起こしたのを受け、ウーバーへの実験許可を取り消した旨。「ウーバーの技術力に疑いが生じている」と指摘した旨。ウーバーの自動運転車は搭載されたセンサやレーザが正常に稼働していなかった疑いが強まっている旨。同社は全ての実験を既に中止しているが、再開までには長い時間がかかりそうな旨。
画像処理半導体大手、米エヌビディアはウーバーの死亡事故を受け同日、一時的に公道での実証実験を控えていると明らかにした旨。実験手順などを見直した上で再開する旨。

◇Chipmaker Nvidia's CEO says Uber does not use its self-driving processing solution (3月29日付け Reuters)
→Uber Technologies社はNvidia社の自動運転プラットフォームアーキテクチャーを使っていない、とNvidiaのChief Executive、Jensen Huang氏。

◇Robocar Testing: It's Simulation, Stupid!-You can still miss the ground truth even with millions of miles of test drives on the road (3月27日付け EE Times)
→Tempe, ArizonaでのUber衝突事故から10日、SiemensがChicagoでの同社技術イベントにて火曜27日、自動運転システムの開発に向けて設計された新しいシミュレーションtoolsを披露の旨。

年初からのプロセッサ脆弱性の問題であるが、新たに加わる可能性が以下の通りみられている。

◇First Spectre, now BranchScope - another vulnerability in Intel processors -Intel processors have another security flaw, "BranchScope" (3月29日付け Digital Trends)
→Intelプロセッサにもう1つcybersecurity脆弱性、"BranchScope"欠陥があると学術研究者の報告。

今後の展開に向けて乗り越えなければならない新技術・新分野における試練に目が離せないところである。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

GTC(GPU TECHNOLOGY CONFERENCE)イベント(2018年3月26-29日:SAN JOSE)にて、人工知能(AI)、自動運転はじめ新技術&市場をリードするNvidiaのプレゼンが行われ、概要&反応が以下の通りである。上記の通りIT・新技術逆風の吹き荒れる中の開催ということで、競い合い、連携そして当面する懸案への対応と慌ただしさが増すところがある。

◇Nvidia Taps Memory, Switch for AI -Intel's Nervana aims to leapfrog Nvidia in 2019 (3月27日付け EE Times)
→Nvidiaがannual GTC(GPU TECHNOLOGY CONFERENCE)イベント(2018年3月26-29日:Silicon Valley)にて、neuralネットワークス訓練での同社GPUsの性能を高めるsystem-level強化、および推論jobsへ技術を拡げるARMとの連携を発表の旨。Nvidiaはロードマップの詳細は提示せず、たぶん7-nmグラフィックスプロセッサが2019年以降の旨。AMDはこの領域には入ったばかり、IntelがNervana acceleratorを出荷するのは来年以降、そして主導するstartup、Graphcoreはしゅんとしている、ということでいくぶん息つく余裕がある旨。数ヶ月前、IntelおよびGraphcoreがともに、今年生産シリコンをリリースする見込みであった旨。

◇Nvidia and ARM take deep learning to the internet of things-Nvidia partners with Arm for deep learning tech (3月27日付け VentureBeat)

◇NVIDIA and Arm partner to bring deep learning to billions of IoT devices (3月28日付け ELECTROIQ)
→NVIDIAとArmが、グローバル市場に入る何10億ものモバイル, consumer electronicsおよびInternet of Things(IoT)機器へのdeep learning推論取り入れで連携の旨。この連携のもとNVIDIAとArmは、Armのmachine learning向けProject Trilliumプラットホームにopen-source NVIDIA Deep Learning Accelerator(NVDLA)アーキテクチャーを統合、該コラボにより、IoT半導体メーカーにとってはAIを自分たちの設計に統合、世界中の何10億の消費者に知的で手ごろな製品を届けることが簡単に行える旨。

◇Nvidia's CEO on Uber, AI, and Moore (3月29日付け EE Times/Slideshow)
→annual GTCイベント(2018年3月26-29日:SAN JOSE, Calif.)にて、Nvidiaのchief executive、Jensen Huang氏は、Uber, 中国、仮想通貨などの問題に直面、ほとんどのCEOsと同様に同氏は楽天的、AIにおける同社の取り組みのような話題にしばしば返答を向けていた旨。該イベントには8,500人が入場登録、特にAIおよび自動運転車でのGPU computingの最新状況について関心が寄せられた旨。プレゼン概要:
 Robocar road tests suspended
 Car roadmap drives fast to integration
 Little to say about China and cryptocurrency
 A look inside Nvidia’s DGX-2 GPU server
 Expanding to new markets via AI
 Bullish on Moore’s law and the 7-nm node

◇Chipmaker Nvidia's CEO says Uber does not use its self-driving processing solution (3月29日付け Reuters)
→Uber Technologies社はNvidia社の自動運転プラットフォームアーキテクチャーを使っていない、とNvidiaのChief Executive、Jensen Huang氏。

◇NVIDIA talks Robocars, AI at GTC (3月30日付け EE Times India)

【2017年グローバル半導体販売高】

IHS Markitより2017年のグローバル半導体売上げのデータがまとめられ、21.7%増の$429.1 billionと確認されている。ベンダー別では25年ぶりにIntelが首位の座を明け渡したが、メモリ半導体の高値に立つ首位のSamsungは優位を維持できるかどうか、砂上の楼閣ではという市場筋の表し方が見られている。

◇With its Highest Growth Rate in 14 Years, the Global Semiconductor Industry Topped $429 Billion in 2017, IHS Markit Says-Samsung edged out Intel, to become the new semiconductor industry leader (3月28日付け IHS Markit)

◇Intel loses chip throne after 25 years, but Samsung's lead is ‘built on sand’ (3月29日付け Market Watch)
→Intel社をNo. 2としたSamsung Electronics Co.の世界No. 1半導体サプライヤとしての位置づけは、変わりやすいメモリ半導体市場と同じくらいの堅さにすぎない旨。Intelに対する新たな優位を維持したければ、Samsungには高止まりするメモリ価格が必要になる旨。

◇Global semiconductor revenues increase 21.7% in 2017, says IHS-IHS: 2017 chip sales rose 21.7% to $429.1B globally (3月29日付け DIGITIMES)
→IHS Markit発。2017年のグローバル半導体売上げが21.7%増の$429.1 billion、14年ぶりの高い伸び。Samsungが、前年比53.6%増を記録、同社史上最高の半導体売上げで、Intelに代わって2017年の半導体業界の新しい市場リーダーになった旨。

◇With its highest growth rate in 14 years, the global semiconductor industry topped $429B in 2017 (3月30日付け ELECTROIQ)

【東芝メモリ関係】

東芝の長きにわたる「東芝メモリ」売却の動きであるが、結局中国の独禁当局からの承認が得られず、3月末の期限までには完了せず、4月以降に持ち越しとなり、引き続き5月1日までのとりまとめを図ることになっている。

◇The Chips Are Down for Toshiba, Thanks to China-The Japanese conglomerate still hopes to complete the $19 billion sale of its chip unit to a Bain-led consortium as planned-Toshiba has a big hurdle in chip-unit sale: China (3月26日付け The Wall Street Journal)
→東芝が、Bain Capital率いるコンソーシアムへの同社半導体事業$19 billion売却提案について中国からの法制関連承認がいまだ得られておらず、該取引が危なくなる可能性がある旨。東芝は2017年の間での株式発行で約$6 billionを得て財政上の困難を緩和、3月31日までに完了しなければ該半導体部門売却を取り消す選択肢がある旨。

◇東芝、中国の審査通らず、期限までに、半導体売却 (3月26日付け SankeiBiz)
→東芝は26日、半導体子会社「東芝メモリ」(東京)について、月内の売却完了のための期限だった23日までに中国当局の独禁法審査を通過しなかったと発表、契約上の期限は過ぎたが、引き続き早期の売却完了を目指すとしている旨。

◇東芝メモリ、来月以降に、売却ずれ込み、中国独禁法審査が壁、投資判断に遅れも (3月27日付け 日経)
→東芝の半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却完了が当初計画の3月末に間に合わない見通しとなった旨。中国当局による独占禁止法の審査手続きが長引いているため。東芝は増資などで債務超過を解消する見込みで、財務面への影響は少ない旨。ただ膠着状態が長引けば、投資判断などの意思決定に遅れが生じる懸念がある旨。

◇東芝、半導体事業売却は4月以降に 一部競争当局の承認確認取れず (3月30日付け msn.com)
→東芝は30日、半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」の売却について、現時点で一部の競争法当局の承認状況の確認が取れていないため、株式譲渡は4月以降になると発表した旨。関係筋によると、中国の独禁当局からの承認が得られていない旨。同社は引き続き「早期の譲渡完了を目指す」としている旨。

◇Toshiba's $19 Billion Chip Sale Set for Delay-Toshiba resets the clock on $19B sale of chip unit (3月30日付け Bloomberg)
→東芝が、今月のBain Capital主導コンソーシアムへの同社半導体事業の$19 billion売却提案は完了せず、今度は5月1日までの該取引まとめに取り組んでいく旨。一方、東芝メモリはFab 6拠点向け半導体製造装置に$1.31 billion充てる旨。

【Renesas Electronics関連】

フラッシュメモリ内蔵、28-nm microcontroller(MCU)製品がRenesas Electronicsより発表されているが、一方、28-nmのマイコンからはすべて生産をTSMCに委託する動きがとられている。我が国内での先端半導体製造が非常に遠のく感じ方をさらに強くするところである。

◇Renesas MCU Has 28nm Flash-Renesas integrates flash memory in automotive microcontroller (3月27日付け Electronics Weekly (UK))
→Renesas Electronicsが、最大16 megabytesのフラッシュメモリを内蔵した車載electronics向けRH850/E2x Series microcontroller(MCU)のサンプルを配布、該MCUsは28-nmおよび40-nmプロセスで作られる旨。

◇車向け最先端半導体製造、ルネサス、全量を委託、受託生産のTSMCに (3月27日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスは車載用の最先端マイコンの製造を半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)に全量委託する旨。サンプル出荷を始めた回路線幅28-nmのマイコンから自社工場での生産を取りやめる旨。外部委託に切り替えることで高価な製造装置への投資を抑え、半導体やソフトウエアの設計・開発に集中投資する旨。

【NXP Semiconductors関連】

Qualcommからの買収提案を受けているNXP Semiconductorsであるが、中国での合弁の持ち株を売却、上記の東芝のようにならないようこれが中国当局の承認獲得に有利に働くのではという見方である。

◇NXP Semiconductors sells China JV stake as Qualcomm takeover awaits Beijing nod-NXP divests stake in Chinese IC design firm (3月28日付け Reuters)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、Suzhou ASEN SemiconductorsにおけるNXP Semiconductorsの40% equity stakeを$127 millionで買収の旨。ASEとの合弁であるこの中国の半導体design houseにおける該処理により、QualcommによるNXPの$44 billion買収提案について中国の法制当局からの承認を得る助けになる可能性の旨。

一方、中国のAlibaba Groupが開発したIoT用OS、AliOSが、NXPの車載infotainmentソリューションに搭載されている。

◇Alibaba IoT Platform Partners with NXP for Automotive (3月29日付け EE Times)
→中国のAlibaba Groupが開発したIoTソリューション用operating system(OS)、AliOSが、NXPとの連携に入り、2020年までに中国での"何100万台もの車"にAliOSシステムおよびNXPの車載infotainmentソリューションを据えつける旨。該コラボにより、multi-screenディスプレイ, artificial-intelligence-driven interactionそして安全確実なover-the-air(OTA)更新が強化するsmart cockpitが構築されていく旨。

◇AliOS to Feature in NXP Infotainment Solutions (3月30日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−508≫

押し寄せる自動化の波を追っていく後半は、どのような仕事が無人化されていくか、

『AIロボットに操られるな!人工知能を怖れず使いこなすための教養』
 (大塚 寛 著:ポプラ新書 139) …2017年12月7日 第1刷発行

より認識&考察していく。決まりきったルーティン化された仕事、敬遠されがちな「3K」の仕事、自動化しないと採算が取れない仕事、高度な判断力が求められる仕事、そして豊富な知識が求められる仕事、と大分類で挙げられている。自動化するよすがとして、自動運転、ディープラーニングはじめ最先端技術が主役として登場しているが、まさかという衝突事故、セキュリティ保護不具合が問題視されている現時点であり、完璧な品質信頼性の追求がまだまだ道半ばを知らされている。


 第2章 止まらない自動化の波
 労働人口の減少とその解決策としてのAIロボット =後半=

□無人化されていく仕事(1)ルーティン化された仕事
[人間が付加価値を与えられない仕事は自動化される]
・今後無人化、省人化が進むであろうさまざまな仕事
 →決められたルールに則り、ひたすら反復をするだけのルーティンワーク
[企業の一般職全般(受付業務、データ入力、コールセンター)]
・企業のいわゆる「一般職」が行っている作業の多くは自動化へ
 →受付、製品問い合せ、サービスの申し込み、書類作成などの事務作業の多く
[生産ラインでは職人技も自動化されていく]
・Factory Automationは日本の得意分野、主に車の製造現場で発展
 →FAロボットのメーカー各社、細かい作業を行えるロボットに注力
・細かい作業を行える「手先」と組み合わさることでもはや職人技も自動化される時代に
[無人レジ]
・小売りの現場でも無人化は加速
 →アマゾンが世界で普及を目指している無人コンビニ「Amazon GO」
 →日本の大手コンビニ各社でも無人レジの導入を計画
[完全自動のガソリンスタンド]
・中国でアリババが普及を目指している完全自動のガソリンスタンド
 →近い将来の自動化社会を象徴するもの
 →ナンバープレートを読み取って車を誘導、給油をして決済するまで、1つのプログラムが複数の機械を制御

□無人化されていく仕事(2)「3Kの仕事」
[人が敬遠する仕事はロボットが行う]
・「3K」の仕事、ロボット技術の進化に伴い、かなり早い段階で自動化へ
[実用化が間近な「警備・掃除ロボ」]
・日本の大手警備会社でも着々と進められている警備ロボの開発
 →監視カメラの死角になる箇所の巡回、ロボットに代用
 →道案内はもちろん、平時は床掃除
・ドバイでは2017年末、自動運転の小型パトカーを導入
[大規模工事ほど人が減る自動建築技術]
・無人化、自動化技術が昔から注力されてきた課題である建設業界
 →清水建設が開発、画期的な次世代のビル工事システム、
  「シミズ スマート サイト」
  …検査、管理含め現場で起こるさまざまな作業の効率化

□無人化されていく仕事(3)自動化しないと採算が取れない仕事
[長距離トラック運転手・バス運転手]
・技術的には今すぐにでも導入しても大丈夫なレベルまで進化している自動運転
 →最初に本格的な自動運転化が進むのは長距離トラックではないかと予想
・人間が距離の短い一般道を走って、最も大変な長距離移動を無人のトラックが担うという新しい物流の仕組みができるかも
[自動運転のレベルとは]
・自動運転の度合い基準、アメリカのSAE(Society of Automotive Engineers)インターナショナルが定めた5段階
 →レベル0:運転自動化なし
  レベル1:運転者支援…運転の一部をアシスト
  レベル2:部分的運転自動化…部分的に運転支援、ドライバーは常に監視
  レベル3:条件付き運転自動化…周囲の状況を把握しながら自動走行が可能
       →2017年7月、アウディ(ドイツ)が世界初のレベル3市販車「A8」を発表
  レベル4:高度運転自動化…無人走行が可能なレベル
  レベル5:完全運転自動化…どのような条件でも無人の自動運転が可能
・レベル2まではあくまでもドライバー主体
 →レベル3に入ると基本的には車が主体
・レベル3の市販車の実用化は2020年頃

□無人化されていく仕事(4)高度な判断力が求められる仕事
[与信管理の自動化]
・過去の取引実績や会社のバランスシートなどから融資の貸し倒れリスクを想定する与信管理
 →ディープラーニングが最も得意とする領域

□無人化されていく仕事(5)豊富な知識が求められる仕事
[イヤホンが通訳になる]
・グーグル・トランスレート(Google翻訳)
 →グーグルは2016年から、ディープラーニングで動くエンジン(プログラム)に変更、精度が飛躍的に向上
 →特に大きな変化は、「文章単位」での翻訳
  →「翻訳」だけではなく「通訳」としても機能するように
・2017年秋、北米で発売、グーグルのBluetoothイヤホン、「Pixel Buds」
  →複数の「外国語脳」をクラウド経由でいつでも使えるように
[暗記ものはロボットに任せればいい]
・薬に関する知識を丸暗記、副作用のリスクを軽減
 →コンピュータにやらせた方がはるかに確実で安全
 →自動化できれば、薬の配達も普及

□農業のIT化は早急に 〜農業が変わると生き方が変わる〜
・行き着く先は自動化である農業の歴史
 →農業は国を挙げて議論をすべき大事なテーマ

□葉物の自動栽培
・自動栽培技術がかなり普及している葉物の野菜
 →葉物ハウスロボット

□NTTドコモのICT導入活動
・NTTドコモが取り組んでいる農業へのICT(Information and Communication Technology)導入活動
 →女性社員で構成された特命部隊「アグリガール」が、生産農家を訪ねてIT化の支援
 …「モバイル牛恩恵」システム−出産を間近に控えた牛の体温をモニタリング
  …「PaddyWatch」サービス−水田の水位や水温をモニタリングしてスマホで確認
・もっと画期的なサービスを生むことができるはず

□農具シェアリング
・テクノロジーの力で休眠資産を有効活用する仕組み、シェアリング・エコノミー
 →必要な時にスマホから予約を入れて使うという「農具シェアリング」は十分現実的

□バランスが大事
・全て無人化すればいいわけではなく、特に過渡期においてはバランスが大事
 →人間とロボットの共存社会に向けて

□人間にしかできない仕事
・実際の業務ではマニュアル以外のことも
 →その人がやることによって付加価値を与えられている

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