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垣根を越えて拡がる「CES」、Nvidiaはじめ自動運転、AI向け半導体

最近はどの展示会を見ても見出しに踊る将来に向けたキーワード、自動運転、AI(人工知能)という感じ方があるが、世界最大の家電展示会、International Consumer Electronics Show(CES)(2018年1月9日〜12日:Las Vegas)も然り、家電にとどまらず業界の垣根を越えて拡がる色合いの内容が強まる一途となる様相である。半導体から見ても、家電、consumer用の従来の枠から自動運転、AIなどに向けてNvidiaはじめ各社のアプローチが注目を浴びており、新分野、新市場の本格的到来を一層感じさせている。

≪活発な取り込み、連携≫

グラフィックス用半導体から、自動運転、AIはじめ先行して取り組んできているNvidiaの基本スタンスである。

◇Nvidia Hails Uber with Robocar Platform (1月7日付け EE Times)
→グラフィックス半導体ベンダーとして15年、今や“autonomous machineプロセッサ”における世界のリーダーに成長しているとの印象づけにConsumer Electronics Show(CES)に臨んでいるNvidia。日曜7日の基調sales pitchにおいてNvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、同社は今日GPU技術に支えられてgaming($100 billion), Artificial Intelligence(AI)($3 trillion)および輸送業界($10 trillion)など急成長の技術分野を追い求める良い位置づけにあると自信を示した旨。

今回は、自動運転に向けた世界の当該業界各社との連携が次の通り組まれている。Nvidiaが自動運転向け半導体設計のリーダーを目指すものとの見方があらわれている。

◇Baidu and ZF tap Nvidia Drive for self-driving compute tech (1月7日付け TechCrunch)

◇Nvidia partners with Uber, Volkswagen in self-driving technology-Nvidia drives self-driving tech with international partnerships (1月8日付け Reuters)
→Nvidiaが、中国・Baiduおよびドイツ・ZF Groupに向けた自動運転車技術並びにUberおよびVolkswagenの自動運転車用のプロバイダーとして選ばれた旨。同社の自動車業界での連携は同社を自動運転向け半導体設計のリーダーにするもの、とエキスパートの見方。

◇米エヌビディア、VWと自動運転協業、米家電見本市が開幕へ、自動車参加目立つ (1月9日付け 日経)
→世界最大の家電見本市「CES」が9日(米国時間)、米ラスベガスで開幕する旨。人工知能(AI)を搭載した機器の展示が増えるほか、自動運転やコネクテッドカー(つながる車)など自動車関連の技術も多く紹介される旨。家電業界と他の業界との垣根がなくなり、最新の技術を紹介する展示会としての様相が色濃くなっている旨。

インテルは、傘下にMobileyeを擁して自動運転車のプラットフォームを打ち上げている。

◇Intel Springs ‘Vision-First’ Robocar Plan (1月8日付け EE Times)
→Intel社のCEO、Brian Krzanich氏が月曜8日の夜、同社automated vehicle(AV)プラットフォームを投入、今年のConsumer Electronics Show(CES)にて最も期待される講演を行っている旨。

Qualcommが買収しようとしているNXP Semiconductorsは、LG Electronicsと組んでの該プラットフォームの取り組みである。

◇NXP Does Robocars -- Without Qualcomm (1月5日付け EE Times)
→Qualcommによる買収が依然仕掛り状態、NXP Semiconductorsの車載事業部門は2017年比較的目立たなかったが、その隙間は来週のConsumer Electronics Show(CES)(Las Vegas)で終わる旨。NXPが今回のCESで披露する新しいいくつかの開発の中に、LG Electronicsが重要車載tier oneパートナーとなる披露がある旨。LGおよびNXPは、ADASおよび自動運転車に向けてNXPのS32V-ベースAutomotive Vision Platformを推進していく旨。

Infineon Technologiesは、中国・Baiduとの連携である。

◇Infineon partners with Baidu on Apollo program-It was announced at the Consumer Electronics Show that Infineon is joining Baidu's Apollo Program. -Infineon gets on the Baidu bandwagon for self-driving cars (1月9日付け New Electronics)
→Infineon Technologiesが、中国・Baiduの自動運転技術に向けたApolloプロジェクトについてコラボの旨。「BaiduのApollo ecosystemはしっかり計画されており、先見の明があり、実用的」と、Infineon Chinaのvice presidentでInfineon China mainland, Hong Kong and Taiwan Regionの車載部門head、Helen Xu氏。

車載部品メーカーからも自動運転プラットフォームが披露されている。

◇Visteon Works with DNN Vanguard DeepScale-Tier one strikes back by promoting open AV platform (1月9日付け EE Times)
→車載直接部品供給のVisteon社がConsumer Electronics Show(CES)にて、同社初の自動運転ソリューション用技術プラットフォーム、DriveCoreを披露、該プラットフォームは、Level 3以上の自動運転向けmachine-learningアルゴリズムを開発するためのハードウェア、middlewareおよびframeworksで全部の旨。

トヨタ自動車を軸とする自動運転車の取り組みが、以下の通りあらわされている。

◇Toyota Head at CES Touts Mobile Commerce-Amazon, Uber, Didi, Mazda, etc. join the club (1月8日付け EE Times)

◇トヨタが目指す「なんでもクルマ」、店や配送車に変身 (1月9日付け 日経 電子版)
→トヨタ自動車が8日、1台で移動や宅配、小売りなどの多様なサービスに使える自動運転車を発表、米アマゾン・ドット・コムや中国ライドシェア最大手の滴滴出行(ディディチューシン)など5社と共同で、2020年代前半に米国で実証実験を始める旨。欧州メーカーは移動サービス事業で先行するが、トヨタはネット通販や外食などのサービス事業者向けに専用システムを提供して対抗する旨。
世界最大の家電見本市「CES」が9日、米ラスベガスで開幕するのに先駆けて発表、披露したのは全長4.8メートルの電気自動車(EV)「e-Paletteコンセプト」。エリア限定で完全自動運転ができる「レベル4」の技術を載せて、まず2020年の東京五輪で、大会関係者の移動で実験する旨。

次に、AI関係について、台湾・MediaTekがedge computingに向けたプラットフォームを披露している。

◇MediaTek unveils edge AI platform-MediaTek debuts AI platform for edge computing (1月10日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、NeuroPilot AIプラットフォームを投入、artificial intelligence(AI)技術をもってedge computingを可能にする旨。該プラットフォームは、AI processing unit, computingハードウェア&ソフトウェア, およびNeuroPilotソフトウェア開発kitを組み合わせの旨。

AIについてはグーグルとアマゾンが主導する新たな時代フェーズの業界模様となっているとの見方である。

◇AI産業革命始動、グーグルとアマゾンがCESの主役 (1月10日付け 日経 電子版)
→世界最大の家電見本市「CES」が9日(日本時間10日未明)、開幕。これまで主役だった電機、自動車メーカーではなく、存在感を示すのがグーグル、アマゾン・ドット・コムの米ITの2強。武器は人工知能(AI)。激しい提携先企業の囲い込みが始まっている旨。企業がそれぞれ独自技術を競ってきた時代とは異なり、AI企業は一気に産業や社会の中心部に入り込む可能性がある旨。

最後に加えてセンサ技術について、多彩な業界分野に向けた興味深い取り組みを感じる以下の出展内容となっている。

◇March of A Billion Sensors Unveiled at CES (1月9日付け EE Times)
→センサ技術を駆使、趣向を凝らした展示から注目内容:
 How ripe is it?
  …Consumer PhysicsのSCiOデバイス(食べ物の成分を同定)
 Debussy, luxury autonomous headsets
  …startup、Funky Sound Studioの豪華なheadsets
 Use the power of your feet in VR
  …3DRudderのfoot-powered VR motionコントローラ
 Drive it, honk it, fold it up
 Sensor fusion comes to drones
  …低電力センサ融合ソリューション、“Sigma Fusion”
 Blockchain comes to your PCs
  …中国・Triangle Technology (HK) Co., Ltd.のAcute Angle PC
 Do you know you have a finger in your ear?
  …Innomdle Lab(ソウル)が開発したSGNL watchband
 A robot babysitter from Paris
  …Blue Frog Robotics(Paris)によるBuddy
 Virtual reality goes wireless
  …Display Link Corporationのワイヤレスvirtual reality(VR)システム
 A wine rack that gives advice
  …初の"smart" wine rack、Caveasy
 Finally, an auto-haptic pleasure machine!
 Sniffy lets you smell and record your reaction
  …飲食物のたくさんの匂い抽出


≪市場実態PickUp≫

【CPU脆弱性問題】

年初早々、1月2日に明らかになったこのセキュリティ欠陥への各社の対応が相次いでいる。

ARM:

◇ARM Says About 5% of Its Chips Have Hack Vulnerability-Arm, AMD chips are vulnerable to security flaws (1月9日付け Bloomberg)
→Arm Holdingsが、同社の設計コアおよびintellectual property(IP)を用いる半導体の約5%がSpectre欠陥に晒されやすい一方、Meltdown脆弱性からくるリスクはより少ないとしている旨。

AMD:

◇AMD Hits a Snag Over Patch for Chip Flaw -Microsoft said some customers found their AMD-powered computers were unusable after a Windows security patch (1月9日付け The Wall Street Journal)
→Advanced Micro Devices(AMD)は、セキュリティ更新をWindows machinesに適用したあるcomputerユーザたちが該ソフトウェアpatchesをinstall後にcomputersを使えなかったと発表の旨。

インテル:

◇インテルのCPU脆弱性、9割対象、修正ソフト、提供を開始 (1月9日付け 日経産業)
→米インテル製CPUに起因するセキュリティ上の脆弱性が明らかになった問題で、同社は4日、CPUが抱える欠陥を修正するソフトの提供を始めたと発表、13日ごろまでに、過去5年間に出荷したCPUの90%以上を対象に修正ソフトを提供する予定の旨。インテルは同社のCPUを搭載したパソコンやサーバの利用者に対して、ソフトの自動更新機能を有効にするよう呼びかけている旨。欧米の情報セキュリティ専門家はCPUの処理速度を高める「投機的実行」と呼ばれる機能に欠陥があると指摘しており、具体的には「メルトダウン」と「スペクター」と名付けられた欠陥の旨。

◇Intel says patches can cause reboot problems in old chips-Intel: Older chips can have issues with patches (1月11日付け Reuters)

マイクロソフト:

◇Microsoft Says CPU Security Fixes Slow Computers (1月10日付け EE Times)

◇プロセッサの脆弱性、Microsoftの対策パッチでパフォーマンス大幅低下も (1月10日付け ITmediaエンタープライズ)
→Microsoftによると、2015年代以前のプロセッサを搭載したPCや、Windowsサーバでは、対策パッチを適用すると、パフォーマンスに相当な影響が出ることが分かった旨。IntelやAMDなどの主要プロセッサに「Meltdown」「Spectre」と呼ばれる脆弱性が発覚した問題で、米Microsoftは9日、対策パッチがWindowsマシンのパフォーマンスに及ぼす影響についての調査結果を公表、この脆弱性に対処するため、Microsoftは9日までに、現在サポートしているWindowsの45エディションのうち、41エディションについてWindows Update経由で対策パッチを配信。残るエディションについても近くパッチを配信する予定としている旨。

Nvidiaは、同社GPUsについて脆弱性はないとしている。

◇Nvidia updates software, says graphic chips not hit by flaws-Nvidia's GPUs not affected by Spectre and Meltdown (1月10日付け Reuters)
→Nvidiaが、同社のgraphics processing units(GPUs)はIntel, Advanced Micro Devices(AMD)およびArm-ベースプロセッサに影響を与え得るSpectreおよびMeltdown cybersecurity欠陥に対し脆弱性はない旨。

◇Nvidia CEO clarifies its GPUs are ‘absolutely’ immune to Meltdown and Spectre (1月10日付け TechCrunch)

各社の対応が以下の通り最新時点としてまとめられている。今後に引き続き目が離せないところである。

◇Meltdown, Spectre Repeat Hard Security Lessons-Speculative execution won't go away (1月11日付け EE Times)
→これまでのところ、AMD, Apple, ARM, Google, IBM, IntelおよびMicrosoftなどが自分たちのpatchesについて詳細をリリース、Cavium, OracleおよびQualcommなどがMeltdown/Spectreについて特にステートメントを出していない旨。

◇CPU問題対策、最大10%減速も、インテルなど影響公表 (1月12日付け 日経 電子版)
→CPUの脆弱性が明らかになった問題で、インテルやマイクロソフトなどは、対策を講じた場合の性能への影響を公表し始めた旨。新しいCPUと基本ソフト(OS)の組み合わせなら利用者が気付かないほどの影響にとどまるが、一部のソフトウエアを使う場合や旧型CPUでは顕著な減速がみられた旨。ただCPUやOS、記憶装置の組み合わせは膨大、影響の出方も多様で、各社は情報公開に注力するとしている旨。

【IntelとMicronそれぞれの道へ:3D NAND】

両社合弁を組んで取り組んできているIntelとMicronの3D NANDフラッシュであるが、第3世代の開発をこれから1年くらいかけて完了した後、それぞれ独立にやっていく計画を発表している。諸々の考え、事情が以下あらわれている。

◇Micron and Intel announce update to NAND memory joint development program (1月8日付け ELECTROIQ)
→MicronとIntelが、業界を主導するNAND技術の開発、市場化を支えているNAND共同開発連携のアップデートを発表、3D NANDの将来世代について独立に取り組む両社相互合意が入っている旨。両社は3D NAND技術の第3世代の開発完了で合意、今年の終わりに向けて届けられ、2019年始めに及ぶ旨。該技術nodeの先では両社は独立に3D NANDを開発、それぞれ個々のビジネスニーズに向けて技術および製品をより良く最適化する旨。MicronおよびIntelは、それぞれの将来nodesの3D NAND技術開発のリズムに変化はないと見ており、ともに現在は3D NAND(64層)技術の第2世代ベースの製品を立ち上げている旨。

◇Intel, Micron to Shelve NAND Flash Partnership-Intel and Micron will fold their IM Flash Technologies JV (1月9日付け EE Times)
→IntelとMicronが、来年始めまでにNANDフラッシュメモリを巡る長期間の連携を中止する計画の旨。月曜8日に出した共同ステートメントで両社は、今年後半および2019年にかけて3D NANDの第3世代の開発を完了後、その先の3D NANDについては"独立に取り組む"旨。3D XPoint non-volatileメモリの開発および製造は引き続き協働していく旨。Objective Analysisのprincipalアナリスト、Jim Handy氏によると、2年前に始まったIntelの3D NANDを作るDalian(大連), Chinaの300-mm fab立ち上げにより、Micronへのサプライヤとしての依存が減っている旨。

◇Intel, Tsinghua Unigroup may team up to develop China NAND flash market (1月10日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Intelが中国のNANDフラッシュ市場での存在感を高める見込み、該分野でのMicronとの協力関係を1年で終わりにして、大連(Dalian)の同社12-インチfabのcapacityを立ち上げ、たぶんに3D NANDフラッシュ半導体の生産についてTsinghua Unigroupに技術ライセンスする計画の旨。IntelとMicronは、2018年の終わりあるいは2019年始めまでに両社12年になる合弁、IM Flash Technologies(IMFT)での96-層3D NANDフラッシュ第3世代を投入後、それぞれ分かれた道を進む意向を発表、フラッシュメモリの特別な型、3D Xpointはその例外としている旨。

上記のInternational Consumer Electronics Show(CES)の場でも、Micronから本件についてコメントされている。新型技術、3D Xpointについては両社一緒にやっていく点、今後に引き続き注目である。

◇Micron Talks 3D NAND Sans Intel (1月11日付け EE Times)
→2018 International CESでの第16回J.P. Morgan Annual Tech Forumにて、Micron TechnologyのChief Technology Officer(CTO)、Ernie Maddock氏。Intelとの3D NAND共同開発合意を終えるのは、"徹底的そして注意深く検討"したもの、共有する製造拠点には影響を与えない旨。両社は、該Q and Aでほとんど注目を得なかった技術、3D Xpointでは依然コラボしている旨。

【Samsung絶好調関連】

メモリの高値で2017年半導体サプライヤ別販売高ランキングの速報データで首位に躍り出ているSamsungであるが、2017年の10〜12月期および年間ともに過去最高益の更新を達成している。

◇Samsung Elec on track for record fourth quarter earnings (1月5日付け Reuters)

◇サムスン、前期の営業益83%増、4年ぶり最高益 (1月9日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が9日発表した2017年12月期の業績速報値。売上高が前期比19%増の239兆ウォン、連結営業利益が53兆6000億ウォン(約5兆6800億円)と同83%増。営業益は、主力の半導体メモリが牽引、4年ぶりに過去最高益を更新、スマートフォン事業も堅調に推移の旨。
同時に発表した2017年10〜12月期の連結営業利益の速報値は、前年同期比64%増の15兆1000億ウォン。四半期ベースでも過去最高益を更新した旨。

そのSamsungを取り巻く製造装置・材料サプライヤの拠点、そして顧客のIT大手が供給確保で連日押し寄せる状況があらわされている。

◇半導体、異次元の攻防、顧客までサムスン詣で [ルポ迫真] (1月8日付け 日経 電子版)
→新年を迎え零度以下と冷え込む韓国、ソウル近郊の華城市。グーグル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの担当者が連日のようにサムスン電子の半導体工場を訪れる。「最新DRAMは当社に供給を」。米3社は昨年中にそれぞれ近隣に拠点を設置済み。常駐する営業担当がサムスン詣でを続けている。サムスンの巨大工場の周辺は日米の製造装置、素材のメーカーが拠点を設け、技術的な擦り合わせや生産量に合わせた出荷計画を決めてきた。これらはサムスンにとって調達先だ。半導体を供給するIT大手という顧客までもソウルに吸い寄せる力をサムスンは身につけた。・・・

【台湾メーカーの業績】

急激に伸びたSamsungとはどうしても地味な対比になるが、TSMCおよびUMCの2017年販売高はそれぞれ3.1%および0.96%の伸びとなっている。組立・テストのASEは、同社最高の年間売上げを記録している。

◇UMC revenues drop in December (1月9日付け DIGITIMES)
→台湾・United Microelectronics Corporation(UMC)の2017年12月連結売上げがNT$10.668 billion($306.79 million)、前月比12.23%減、前年同月比15.05%減。2017年売上げ総計が、0.96%増のNT$149.285 billion。

◇ASE 2017 revenues hit all-time high (1月10日付け DIGITIMES)
→台湾・Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の2017年12月連結売上げがNT$28.001 billion($945.59 million)で11月並み、2017年第四四半期売上げが前四半期比13.7%増のNT$83.986 billion、2017年年間が5.66%増のNT$290.44 billionとなって、この四半期および年間売上げがともに同社最高を記録の旨。

◇TSMC December revenues up on year (1月11日付け DIGITIMES)
→TSMCの12月連結売上げがNT$89.897 billion($3 billion)、前月比3.5%減、前年同月比15.1%増。2017年第四四半期売上げが前四半期比10.1%増のNT$277.57 billion、同社四半期最高となる旨。2017年年間では3.1%増のNT$977.45 billion、同社の5-10%増の見通しには届かなかった旨。中国語・Economic Daily News(EDN)によると、Apple向け10-nm A11半導体およびHuawei向けの他の10-nm製品の出荷が第四四半期における力強い売上げに効いている旨。

◇TSMC's revenue for fourth quarter exceeds projection-TSMC reports Q4 revenue of $9.38B, higher than expected (1月11日付け The Taipei Times (Taiwan))

【中国とSamsung】

まずは、アジアの株式市場での時価総額で、中国のIT(情報技術)2社がSamsungを抜いて1位、2位を独占、アジアそして中国の位置づけ、熱気の高まりを感じさせている。

◇中国IT、サムスン抜く、株時価総額、アジアが3分の1 (1月9日付け 日経 電子版)
→中国企業がアジアの株式市場で存在感を高めている旨。2017年末時点で企業価値を示す時価総額を算出したところ中国のIT(情報技術)2社、騰訊控股(Tencent)およびアリババ集団が韓国サムスン電子を抜き1および2位を占めた旨。中国の消費市場の伸びを背景に時価総額が2倍に増加した旨。
銀行など金融も好調で、アジア全体の時価総額は1年前より3割近く増え世界でも3割強を占める旨。日本勢はソニーや任天堂の復活が鮮明の旨。

米国特許の2017年件数において、Samsungそして中国勢の躍進ぶりが目を引いている。

◇China, Samsung Rise in U.S. Patents-LCDs makers, Facebook surge ahead in 2017 (1月9日付け EE Times)
→IFI CLAIMS Patent Servicesがリリースした年間レポート。米国Patent and Trademark officeの2017年特許が320,003件で前年比5.2%増、2015年の1%減、2016年の2%増から戻してきている旨。トップ25社、下記参照:
https://m.eet.com/media/1301917/PatentTop252017x800.png


≪グローバル雑学王−497≫

冷戦に向かう道のり、そしてその終結の後の成り行きの事実、真実を、

『国際法で読み解く戦後史の真実  −文明の近代、野蛮な現代』
 (倉山 満 著:PHP新書 1116) …2017年10月27日 第1版第1刷

より3回に分けて国際法で読み解いていく1回目である。イランにおけるパーレビ国王政権からホメイニ師のイスラム革命、アフガニスタンに侵攻して大きな痛手を被ったソ連、そしてイラン革命に連動したイラン・イラク戦争を取り上げている。今なお果てしなく世界情勢に尾を引く「因果は巡る」実態を振り返る。


第5章 冷戦が終結し、世界はさらに野蛮になった …3回に分けパート1

□カセットテープでイスラム革命を起こしたホメイニ
・1945年以降の米ソ冷戦下、唯一軍事衝突を避けられている地域
 ⇒ヨーロッパ
 →なぜ武力衝突が避けられたか
  →NATO(北大西洋条約機構)という備えがあった現実
・1960年代にオランダの音響メーカー、フィリップスが開発、主に音楽を楽しむカセットテープ
 →中東では国を動かすツールに
 →利用したのがイラン革命の指導者、ホメイニ師
・1953年、イランは親英米のパーレビ国王(パフラヴィー二世)の政権に
 →1960年代から近代化と西欧化を推進
 →急激な西欧化は国情に合わぬ面もあり、反発を招く
 →秘密警察を使った言論弾圧も行い、反西欧化の急先鋒、イスラム法学者のホメイニを国外追放
・ホメイニは、SONY製のカセットテープにメッセージを録音、イラン中にばらまいた
 →1978年、ホメイニ支持派の大規模なデモがイラン国内で多発
 →1979年、パーレビ国王が国外に亡命へ
 →入れ替わってホメイニが帰国、イスラム原理主義国家、イラン・イスラム共和国成立
 →反米であり反ソ
・ホメイニのイスラム革命を防ぎきれなかったことは、アメリカにとっては最大の失策

□「国際法などキリスト教国の野蛮なルール」
・1979年11月、アメリカ大使館人質事件が起きた
 →大使館員を人質にとってパーレビ国王の身柄引き渡しを求める事態にまで発展
・国際法では「外交官身体不可侵」という大原則
 →国に対する脅迫は許されるけれども、その国の外交官の身体に危害を加えてはならない
・イランは国際法違反だと非難された
 →ホメイニは「国際法など、キリスト教徒の野蛮人が勝手につくった法ではないか」と切り返し
・日本はどの宗教も1つの信仰として客観視できる近代国家
 →日本が国際法を世界一遵守している意味は重い
・最近も、「外交官身体不可侵」という国際法の大原則を破った国
 →2017年3月、金正恩の義兄・金正男がマレーシアで殺害された事件

□アフガニスタンの地獄の戦場に突っ込んだソ連
・1979年12月、イランの隣国、アフガニスタンのソ連が侵攻
 →アフガニスタンの左翼政権に対する抵抗運動が全土で巻き起こった
 →イスラム原理主義的な動きがソ連邦内のイスラム教地域に及ぶ危険
・ソ連軍は大いに苦戦
 →アフガニスタンの峻険な山岳地帯での対ゲリラ戦は、誰が敵か、誰が民間人かなど、まったくわからない

□因果は巡り、ゲリラ戦で足をすくわれる
・ソ連は、なぜ、こうした武力侵攻に踏み切ったのか
 →東欧、中国に対して、孤立に追い込まれていたソ連
・ソ連の武力による内政干渉に西側諸国は激しく反発、東西の緊張が高まる
 →西側諸国は、1980年に開催決定のモスクワ・オリンピックをボイコット
・ソ連からすれば、ベトナム戦争はじめ世界各地でアメリカに味わわせた苦渋を、熨斗をつけてお返しされてしまったようなもの
 →「因果は巡る」
・ソ連は、1989年2月にアフガニスタンから全面撤退
 →ソ連は経済的にも疲弊、崩壊の遠因に
・アメリカも、反共イスラムゲリラに膨大な資金と武器を与えて肩入れ
 →その後その勢力が販売活動を行い、手痛いしっぺ返しを喰らうことに
 →2001年に9・11テロを行うアルカイダも、反共イスラムゲリラから生まれた組織
 →まさに「因果は巡る」

□アメリカへの忖度からはじまった? イラン・イラク戦争
・イラン革命に連動、1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争
 →サダム・フセインにとって、イスラム原理主義は自らの体制とは相容れない仇敵のような存在
 →フセインのイラクは、1980年9月、イランに対して軍事行動を起こした
  →アメリカの援助を受けたいサダムが、アメリカの意思を忖度して始めたのではないかとも

□軍国主義で正気を保つか、ファシズムで正気を保つか
・イラクは、サダム・フセインの独裁による世俗主義的なファシズム国家
 →1963年と1968年のクーデターで、アラブ社会主義と汎アラブ主義を掲げるバース党(アラブ社会主義復興党)が政権を掌握
・中東の政治の原理
 →イスラム教の中でも、まず分かれる穏健派と過激派
  →穏健派…エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、トルコ、イスラエル
   過激派…シリア(とその属国、レバノン)、イラク、イラン
 →軍国主義で正気を保っているのが穏健派
 →ファシズムで正気を保つのが過激派
・軍国主義とファシズムは、絶対に両立することができない
 →ファシズム国家では、常に軍部が宿敵に
 →ファシストは秘密警察を使って軍を絶えず牽制するもの

□独裁は無政府状態よりマシ
・中東でテロを起こしているのは、国家を持たない、他に生活の手段のない人たち
 →主権国家同士で話し合いができていたときは、テロリストを使う必要はなかった
 →秩序の維持ができているほうが、どれだけマシであるか

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