10月の世界販売高、月次史上最高、1-10月累計で昨年全体の97%に
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$37.1 billion、前月比3.2%増、前年同月比21.9%増と業界史上最大の月次販売高総計を記録している。月当たり$30 billion越えも昨年10月から13ヶ月、前月比増もこの3月から続き、勢いを増して現在に至っている。本年10月までの累計も$329.4 billionとなり、これまでの業界最高の昨年販売高、$338.9 billionの97%とほぼ並ぶ水準に達しており、本年は20%台の増加、$400 billion越えと大幅な更新の見方が固まるところとなっている。先行きへの警戒感を伴いながらなお活発に世界半導体市場が展開し続けている現時点である。
≪10月の世界半導体販売高≫
米国SIAからの発表内容が次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓
〇10月のグローバル半導体販売高が前年同月比21.9%増; 業界予測が上方修正−WSTSが2017年年間販売高が20.6%増の予測見通し、初めて$400 billionを上回る、2018年は7.0%増の読み …12月4日付け SIA/NEWS
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年10月の世界半導体販売高が$37.1 billionに達し、前年同月、2016年10月総計$30.4 billionから21.9%増、前月総計$36.0 billionから3.2%以上の増加と発表した。この10月販売高は、該グローバル業界史上最大の月次販売高総計を記録している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、最新WSTS業界予測では上方修正が施され、2017年のグローバル市場年間伸長率が20.6%、2018年が7.0%と見通されている。
「グローバル半導体市場は10月も印象的な伸びを見せ、該業界史上最高月次総計を上回る販売高となって、2017年販売高$400 billion超に近づけている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「市場の伸びはメモリ製品に向けた高い需要が1つに引き続き引っ張っているが、ほかの半導体製品販売高合計も実質的に増加して、今年の市場の力強さの幅を示している。」
地域別では、10月の販売高は市場全部にわたって前年比は大幅、前月比は控え目に増加している。
Americas | (前年比 +40.9%/前月比 +6.8%) |
China | ( +19.5%/ +2.6%) |
Europe | ( +19.1%/ +2.6%) |
Asia Pacific/All Other | ( +16.3%/ +1.5%) |
Japan | ( +10.7%/ +1.8%) |
市場地域 | Oct 2016 | Sep 2017 | Oct 2017 | 前年同月比 | 前月比 | ||||
======== | |||||||||
Americas | 6.06 | 7.99 | 8.54 | 40.9 | 6.8 | ||||
Europe | 2.82 | 3.28 | 3.37 | 19.5 | 2.6 | ||||
Japan | 2.89 | 3.14 | 3.20 | 10.7 | 1.8 | ||||
China | 9.78 | 11.36 | 11.65 | 19.1 | 2.6 | ||||
Asia Pacific/All Other | 8.88 | 10.18 | 10.33 | 16.3 | 1.5 | ||||
計 | $30.43 B | $35.95 B | $37.09 B | 21.9 % | 3.2 % |
市場地域 | 5- 7月平均 | 8-10月平均 | change |
Americas | 6.94 | 8.54 | 23.0 |
Europe | 3.20 | 3.37 | 5.1 |
Japan | 3.04 | 3.20 | 5.2 |
China | 10.68 | 11.65 | 9.1 |
Asia Pacific/All Other | 9.77 | 10.33 | 5.8 |
$33.63 B | $37.09 B | 10.3 % |
加えてSIAは本日、WSTSの2017年秋季グローバル半導体販売高予測を支持して発表、2017年の該業界世界販売高が$408.7 billionと見通している。これは$400 billionを初めて上回る該業界史上最高の年間販売高であり、2016年販売高総計から20.6%増である。WSTSは、すべての市場地域にわたって次の通り二桁の前年比販売高増を見通している。
Americas 31.9%
Asia Pacific 18.9%
Europe 16.3%
Japan 12.6%
2017年より先は、半導体市場の伸びがすべての地域にわたって穏やかになるとみられている。WSTSは、グローバル半導体メーカーの広大なグループを招集、年に2回業界予測をまとめて表わしており、半導体の流れの正確でタイムリーな指標となる
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/October%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
※WSTS秋季予測の概要、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/WSTS%20Fall%202017%20-%20Summary%20Table.pdf
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これを受けた業界各紙の取り上げである。
◇Semiconductor Sales to Top $400 Billion (12月5日付け EE Times)
◇Global semiconductor sales increase 21.9% year-to-year in October (12月5日付け ELECTROIQ)
◇Global semicon sales up 21.9% y-o-y in October to US$37.1 billion, says SIA (12月6日付け The Edge Markets)
◇Record global semiconductor sales in October (12月6日付け The Star Online)
◇Record global semiconductor sales in October-SIA: Oct. chip sales hit $37.1B, an industry record (12月6日付け The Star Online (Malaysia))
昨年からの月次販売高の推移であるが、以下に示す通り、昨年10月からの$30 billion越えが定着、しかも本年3月からは増勢基調が高まっていく状況が示されている。本年10月までの販売高累計が$329.4 billionとなり、史上最高を更新した昨年、2016年の年間販売高、$338.9 billionに対し、すでに97%に達するに至っている。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2016年 1月 | $26.88 B | -5.8 % | -2.7 % | |
2016年 2月 | $26.02 B | -6.2 % | -3.2 % | |
2016年 3月 | $26.09 B | -5.8 % | 0.3 % | |
2016年 4月 | $25.84 B | -6.2 % | -1.0 % | |
2016年 5月 | $25.95 B | -7.7 % | 0.4 % | |
2016年 6月 | $26.36 B | -5.8 % | 1.1 % | |
2016年 7月 | $27.08 B | -2.8 % | 2.6 % | |
2016年 8月 | $28.03 B | 0.5 % | 3.5 % | |
2016年 9月 | $29.43 B | 3.6 % | 4.2 % | |
2016年10月 | $30.45 B | 5.1 % | 3.4 % | $272.1 B |
2016年11月 | $31.03 B | 7.4 % | 2.0 % | |
2016年12月 | $31.01 B | 12.3 % | 0.0 % | |
2017年 1月 | $30.63 B | 13.9 % | -1.2 % | |
2017年 1月 | $30.63 B | 13.9 % | -1.2 % | |
2017年 2月 | $30.39 B | 16.5 % | -0.8 % | |
2017年 3月 | $30.88 B | 18.1 % | 1.6 % | |
2017年 4月 | $31.30 B | 20.9 % | 1.3 % | |
2017年 5月 | $31.93 B | 22.6 % | 1.9 % | |
2017年 6月 | $32.64 B | 23.7 % | 2.0 % | |
2017年 7月 | $33.65 B | 24.0 % | 3.1 % | |
2017年 8月 | $34.96 B | 23.9 % | 4.0 % | |
2017年 9月 | $35.95 B | 22.2 % | 2.8 % | |
2017年10月 | $37.09 B | 21.9 % | 3.2 % | $329.4 B |
…前年比21.1%増 |
この半導体市場の活況に関連する内容そして動きのいくつかとして、7-9月四半期の好調ぶりをあらわすものが以下の通りである。
◇Broad 3Q 2017 growth - Both globally and in Europe (12月4日付け ELECTROIQ)
→共催のSEMICON Europa 2017およびproductronica(11月14-17日:Messe Munchen in Munich, Germany)は、好調な参加の出足、雰囲気も高揚の旨。今年第三四半期は、グローバルにも、また欧州electronic supply chainについても、幅広い伸びが見られている旨。
◇半導体装置出荷、最高の1.6兆円に、世界市場7〜9月 (12月6日付け 日経)
→半導体製造装置の国際業界団体、SEMIが5日、世界市場において2017年7〜9月期の半導体製造装置の出荷額が四半期ベースで過去最高の$14.3 billion(約1兆6千億円)になったと発表、前年同期比30%増。地域別では韓国市場の出荷額が最も大きく$4.99 billion。サムスン電子がDRAMなどの増産に向けて積極的に投資したことが影響した旨。
◇Stronger export performance in Oct points to healthy 4Q economy (12月7日付け New Straits Times)
◇7-9月GDP改定値、年率2.5%増に上方修正−速報は1.4%増 (12月8日付け 日経 電子版)
→内閣府が8日発表した2017年7-9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増。速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正となった旨。法人企業統計など最新の統計を反映した旨。
高値で引っ張るDRAMについて、現時点の状況である。
◇DRAM価格、前週比1%安、パソコン用スポット (12月5日付け 日経)
→パソコン用DRAMのスポット(随時取引)価格が下落した旨。指標品であるDDR3の4ギガビット品は現在、1個3.96ドル前後。一週間前に比べ1%安くなった旨。6月以降値上がりが続き、高値を受けて調達を急ぐ動きが一時的に鈍った旨。
なかなか目が離せないところであり、先行きについて見方が分かれたり、警戒感が膨らんだりしている。
◇Contrary to Morgan Stanley Report: NAND Memory Chip Demand Expected to Increase 40% Next Year-IHS Markit forecasts NAND memory demand to grow nearly 40% (12月5日付け BusinessKorea magazine online)
→IHS Markitが、2018年の世界NANDフラッシュメモリ市場需要について244.1 billion gigabytes、2017年から39.6%増と予測、しかしながら、Citigroup Global Market Securities, Morgan Stanleyなど他の業界観測筋はNANDフラッシュ需要が来年は弱まると見ている旨。
◇半導体関連、売り膨らむ、世界の株式市場、増産に警戒感 (12月7日付け 日経)
→世界の株式市場で半導体関連株の値動きに変調が起きている旨。関連株は年初以降大きく上昇していたが、11月下旬から下落基調に転じた旨。先行きの半導体価格の下落やもう一段の株価調整を警戒した売りが膨らんでいる旨。6日も東京市場で製造装置大手の東京エレクトロンやシリコンウエハーを手掛ける信越化学工業が続落。アジアでも半導体大手の韓国・サムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)などが大きく下げ、ほぼ全面安の展開となった旨。
引き続き慎重、敏感に市場の動きを見定めていく必要がある。
≪市場実態PickUp≫
【東芝メモリ関係】
東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の間の懸案の係争がここにきて大きく両社の歩み寄りが見られて、以下の流れで打開に向けた原則的合意に達している。最終的な確認取引への推移に引き続き注目である。
◇東芝とWD、和解で大筋合意、半導体売却の対立解消 (12月4日付け 朝日新聞DIGITAL)
→東芝と米半導体大手、ウエスタンデジタル(WD)が、東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐる対立を解消し、和解することで大筋合意したことがわかった旨。東芝は資本増強決定で債務超過の解消にめどをつけたのに続き、東芝メモリの売却が白紙になるリスクも薄まって、経営危機脱却へ一定の道筋をつけることになる旨。複数の交渉関係者が明かした旨。両社は東芝メモリ四日市工場(三重県四日市市)でのメモリ事業の協業を維持する旨。WDは国際仲裁裁判所に申し立てた東芝メモリ売却差し止めを、東芝もWDの妨害差し止め訴訟を、ともに取り下げる方向。近く両社がそれぞれ取締役会に諮る旨。
◇東芝、WDとの和解議論、きょう経営会議、岩手での共同投資を調整、メモリ株転売制限が争点 (12月6日付け 日経)
→東芝は6日に経営会議を開き、半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却を巡り対立してきた米ウエスタンデジタル(WD)との和解について議論する旨。和解交渉は詰めの段階を迎えているが、WD側が競合する半導体メーカーに東芝メモリ株を転売しないよう求めるなど、なお複数の争点が残る旨。これらの争点で折り合いがつけば、両社とも法的措置を取り下げ和解が成立する旨。
◇Toshiba, Western Digital agree in principle to settle chip dispute -sources -Sources: Toshiba, WD to settle chip unit sale dispute (12月8日付け Reuters)
→本件直接筋発。東芝とWestern Digitalが、Bain Capital主導の入札コンソーシアムへの東芝によるメモリ半導体事業の$18 billion売却提案を巡る法的係争を打開する合意に原則として達した旨。法的決着の枠組みを東芝役員会が承認とされており、来週最終取引にもっていく目標の旨。
【Broadcom関連】
史上最大規模のハイテクM&AといわれるBroadcomがより大きなQualcommに仕掛けた1件、こんどはBroadcomがQualcomm boardに入る11人の推薦候補を列挙、来年3月の総会での投票実施に向けて揺さぶりをかけている。
◇Broadcom launches 11-nominee slate for Qualcomm board-Broadcom nominates members for Qualcomm board (12月4日付け Reuters)
→Broadcomが、Qualcommに向けた敵対的買収入札の一環としてQualcomm boardに入る11人の推薦候補を列挙、QualcommはBroadcomの当初の$103 billion cash-and-stock入札を拒絶したが、Qualcommの株主は今や来る3月6日の年次総会でboardメンバー提案について投票、意見を述べられる旨。
◇委任状争奪戦へ、ブロードコムのクアルコム買収、経営陣の交代要求 (12月5日付け 日経)
→米半導体大手、ブロードコムが同業クアルコムへの敵対的買収に動き出す旨。4日にクアルコム現経営陣の交代を迫るための委任状争奪戦に乗り出すと表明、2018年3月の株主総会で選出する11人の取締役候補を発表した旨。$103 billion(約12兆円)にのぼる買収提案から約1カ月。業界最大の買収劇は新たな局面に入る旨。ブロードコムは4日早朝、フィンランドのノキアや半導体メーカー、金融機関の出身者からなる取締役候補11人を公表、ブロードコムのホック・タン最高経営責任者(CEO)は「我々は繰り返しクアルコムとの建設的な対話を試み、株主や顧客の支持もあった。なのに、クアルコムはこれらの機会を無視してきた」との声明を出した旨。
Broadcom自体の業績も、スマートフォンpart好調で今四半期は力強く推移している。
◇Broadcom Projects Robust Sales on Strong Smartphone Demand-Broadcom's earnings strong amid Qualcomm bid (12月6日付け Bloomberg)
→ライバルのQualcomm買収に最近$105 billionで入札しているBroadcomが、今四半期について$5.22 billion〜$5.37 billionのearningsを見込んでいる旨。スマートフォンpartの売れ行きが、該四半期を高めている旨。
◇Smartphone Parts Boost Broadcom's Earnings -Chip maker has been trying to rally investor support for $105 billion takeover of Qualcomm (12月6日付け The Wall Street Journal)
アップルはじめ半導体の「自社開発」に向かう流れが、Broadcomを焦らせているという見方である。
◇米ブロードコム、顧客の半導体内製化に焦り、クアルコム買収に固執 (12月6日付け 日経)
→米半導体大手、ブロードコムは4日、クアルコムに経営陣の交代を要求すると発表、2018年3月の株主総会に向けて委任状争奪戦に入る旨。成功確率が下がる敵対的買収に踏み出す背景には、アップルなどの主要顧客が半導体の「自社開発」に向かう構造変化への焦りがある旨。
【IBMのAIアプローチ】
IBMのAI(人工知能)に対する次のステップ、取り組みが注目されるところであるが、Power 9プロセッサを用いるLinuxサーバによるmachine learning jobsの加速、そしてNvidiaのgraphics processing units(GPUs)との連携が以下の通り行われている。
◇IBM Power 9 Servers Target AI-Linux systems are first to support PCIe Gen 4 (12月5日付け EE Times)
→IBMが、初めての自社Power 9プロセッサを用いるLinuxサーバを発表、machine learning jobsを加速したいビジネス向けの旨。該システムは、FPGAsなどacceleratorsに向けてNvidia GPUsおよびIBMのOpenCAPIを取りつけるために、初めてPCI Express Gen 4並びにNVLink 2.0を用いている旨。同社は、ライバルのx86システム価格に近づく一方、より大きなバンド幅が得られるとしている旨。しかしながら、どんなacceleratorsが該新interconnectsに向けて出てくるのか、明らかでない旨。
◇IBM and Nvidia Team Up on New Chips For AI and Machine Learning-IBM, Nvidia partner on AI and machine learning chips (12月5日付け Fortune)
→IBMとNvidiaが、PCI Express 4.0高速serial busによるIBMの新しいPower9 microprocessors(MPUs)のNvidiaのgraphics processing units(GPUs)への接続でコラボ、この組み合わせは、データの高速転送を必要とするartificial intelligenceおよびmachine learning応用を狙っている旨。
【Snapdragon 845】
Qualcommが、Snapdragon Tech Summit(2017年12月5-7日:Maui, Hawaii)にて、次世代flagship SoC、Snapdragon 845プロセッサを発表している。来年のAndroid phonesおよびWindows 10 laptopsでの採用、そしてartificial intelligence(AI), 没入型マルチメディア体験に向けた新しいアーキテクチャーについて市場の反応など、待たれるところである。
◇The Snapdragon 845 is Qualcomm's next flagship processor-Qualcomm announces the Snapdragon 845 processor (12月5日付け TechCrunch)
→Snapdragon Tech Summit(2017年12月5-7日:Maui, Hawaii)にて、QualcommがSnapdragon 845 flagshipプロセッサを発表、2018年のhigh-end AndroidスマートフォンおよびWindows 10 laptopsに入っていく旨。Xiaomiは、次期handsetでの該半導体使用を約している旨。
◇Qualcomm announces the Snapdragon 845 processor-The chip that will be in all of the major Android phones next year (12月5日付け The Verge)
◇Snapdragon 845, ARM PCs Debut-Broadcom clouds Qualcomm's SoC event (12月7日付け EE Times)
→Snapdragon Tech Summitイベント(WAILEA, Hawaii)にて、Qualcommが同社次世代flagship SoC、Snapdragon 845のworkingシリコンを披露、該半導体はスマートフォンで広く用いられている835を1歩ずつ強化、cellularモデム搭載PCsなど新しい種類のsocketsに動いている旨。該SoCには、再設計されたCPUおよびGPUブロック、性能を25-30%高める新しいcache層およびUltra HD Premiumビデオencodingなどサポートfeaturesが搭載されて、Samsung 10-nmノードで作られ、835と同じ12mm2パッケージに入っていることで印象的な進展の旨。
◇Qualcomm Snapdragon 845 introduces new architectures for AI, immersion (12月7日付け DIGITIMES)
→Qualcomm Technologiesが、eXtended reality(XR), on-device artificial intelligence(AI), lightning-fast connectivityなど没入型マルチメディアexperiencesに向けて設計された新しいQualcomm Snapdragon 845モバイルプラットフォームを投入、該Snapdragon 845は、消費者がcinema-級ビデオを捉えて物理的および仮想の世界の境界をぼやけさせるよう設計されている旨。Snapdragon 845は、統合Qualcomm Spectra 280 image signal processor(ISP)およびAdreno 630 visual processing subsystemを導入、前世代に比べてUltra HD Premiumディスプレイ上ビデオcapture & playbackに向けて64倍以上のhigh-dynamic rangeカラー情報が捉えられる旨。
また、現在のSnapdragon 835プロセッサを活用したパソコンの魅力も次の通り謳われている。
◇スマホ半導体クアルコムが挑む「IoT時代のPC」 (12月7日付け 日経 電子版)
→米半導体大手、クアルコムがノートパソコン市場向け製品を強化。米インテルの牙城を崩しにかかっている旨。米国時間12月5日にハワイで開催された同社の開発者向けイベント「スナップドラゴンテックサミット」において、台湾華碩電脳(エイスース)や米HP、中国レノボ・グループといった、パソコンメーカー大手がクアルコムのチップセットを採用し、製品化すると発表の旨。採用するのは、スマートフォン向けチップセットとして定評のある「スナップドラゴン835」。これを採用したノートパソコンであれば、常にネットに接続されており、画面を開けばメールなどはいつも最新の状態にある旨。バッテリー駆動時間も長く、エイスースによると、スナップドラゴン835搭載ノートパソコンなら、動画を22時間程度視聴できる旨。
【微細化最先端】
この時期の最先端プロセス・デバイスの発信源となるInternational Electron Device Meeting(IEDM)から、インテルおよびGlobalfoundriesの取り組みである。
◇Few Surprises as Intel, GF Detail Process Technologies (12月7日付け EE Times)
→IEEE International Electron Device Meeting(IEDM)(2017年12月2-6日:SAN FRANCISCO)の最も熱い期待のあるセッションの1つにて、競い合うプロセス技術プレゼンから、Intelが10-nmにていくつかのinterconnect層にcobaltを用いる計画を詳述する一方、Globalfoundriesは7-nmノードで初めてextreme ultraviolet(EUV) lithographyを如何に活用するかの細目を提示の旨。Intelは、10-nm interconnectの底の2層にcobaltを使用、electromigrationで5-10倍の改善およびvia resistanceの半分の削減が得られる旨。同社がcobalt導入の計画を詳述するのは初めてのこと、長らく有望な絶縁候補と考えられている壊れやすい金属である旨。
このところファウンドリー業界での微細化最先端を引っ張る動きが優勢になってきているが、その一角、TSMCが3-nm技術の展開を以下の通りあらわしている。
◇TSMC says latest chip plant will cost around $20 bln-TSMC estimates 3nm wafer fab will cost about $20B (12月7日付け Reuters)
→TSMCのsupply chain management(SCM)フォーラムにて、来年chairmanとしてMorris Chang氏を引き継ぐCo-Chief Executive、Mark Liu氏。TSMCは9月に3-nm技術に専心する半導体fabの台湾での構築を発表、「このfabには$20 billion以上かかり、技術を前進させるTSMCのcommitmentをあらわしている。」と同氏。
◇次世代半導体に2.2兆円超、台湾TSMC、2022年メド3ナノ品量産 (12月8日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音・共同最高経営責任者(CEO)が7日、回路線幅を3-nmまで縮めた次世代半導体への投資金額が「$20 billion(約2兆2500億円)を超える」と述べた旨。先端分野への巨額投資で、韓国サムスン電子などのライバルに先駆ける旨。
≪グローバル雑学王−492≫
歴史問題はじめ戦後日本の「諸問題の根源」について、国際法そして文書学の重みを説く著者の主張に
『国際法で読み解く戦後史の真実 −文明の近代、野蛮な現代』
(倉山 満 著:PHP新書 1116) …2017年10月27日 第1版第1刷
より迫っていく前回からの後半である。第二次世界大戦と国際連合によって伝統国際法が破壊され、戦争というものが法的状態説ではなく実態説に変化した、そして実態説で国際法を運用しようというのは野蛮に回帰していくこと、という本書の重要なテーマの中身があらわされている。中で、問題の打開に向けて公文書の整理が強調されているが、現下の我が国国会審議のやりとりにも見られるところとなっている。
第2章 戦後日本の「諸問題の根源」を国際法で解く …前回から続く
□文書学がわからなければ勝負にならない
・日本の歴史学では古文書学が発展
→古文書に骨董的な価値がついて真贋鑑定の必要
→歴史学者を名乗るには「文書学」を修めていることが絶対に必要
・我が国には歴史学の蓄積があるのに、近代史の議論において文書学の議論がなされないのは、もったいないことこの上ない
→日本は、これだけ歴史問題で苦しめられている
→自らの持てる武器を活用すべき
□歴史問題解決のため「アジア歴史資料センター」にもっと予算を!
・歴史問題といえば、従軍慰安婦が常に話題に
→これも日本近代史における、文書学の貧困が課題
・村山談話の後にできたアジア歴史資料センター
→今後、日本の歴史資料をどんどんオープンにしていこうという趣旨
→ここで「慰安婦」と検索すると、8件ほどしか出てこない
・日本が本当に慰安婦問題を解決させたいのであれば
→予算をアジア歴史資料センターにつけて、公文書の整理を進めるほうが合理的
・戦争に負けたことでつけられた傷を消すためには
→日本が公文書の整理に力を入れ、さらに真の大国に返り咲くしかない
□日本が「航行の自由作戦」に参加してさえいれば……
・2015年12月28日の慰安婦問題日韓合意
→(著者は、)もし日本が、2015年10月から行われた南シナ海における「航行の自由作戦」に参加していれば、該合意を迫られることはなかったのではと考える
→日本がアメリカにきちんと仁義立てすれば、アメリカも仁義を返したことであろう
□戦後日本の「国連信仰」がいかにバカげているか
・1945年10月24日、国際連合が発足
・「国際連合」、英語では「United Nations」
…第二次世界大戦で戦勝国となった国の同盟
「国際連盟」、英語では「League of Nations」
・国連安全保障理事会の常任理事国の5か国は「大国=パワーズ」
→何か国際的な物事を決めるときに、必ずご意向をうかがわねばならない国
□国連は頼るものではなく、自分が強くなって使う道具
・国際連盟は「仮面をつけた大国主義」
国際連合は「仮面を剥いだ大国主義」
…五大国が安保理の拒否権を握っている
・安保理は常任理事国5か国、非常任理事国10か国の合計15ヶ国から構成
→常任理事国のうちの一国でも反対したら結局、不成立に
・国連はシアター(=場)であって、アクターではない。しかも、我が国に敵対的なシアター
→国連は頼るものではない。自分が強くなって使う道具にするしかない
□「決闘」が全部「ケンカかリンチ」になった
・1945年10月24日に発効した国連憲章は「戦争」を根絶した
→国際法というルールを前提に合法化されていた「戦争」を違法化、すべて「紛争」になった
→つまり、それまで「決闘」だったものが、全部「ケンカかリンチ」になったということ
→これを(著者は、)「近代の文明を捨てて、現代が野蛮になった」といっている
・戦前の日本では、宣戦布告のない武力衝突を「事変」
…北清事変や満洲事変など
→1950年に起きた北朝鮮と韓国の紛争は、当時「朝鮮事変」や「朝鮮動乱」という呼び方
→3年以上も戦争と同じ戦闘行為が行われたこともあり、現在では「朝鮮戦争」と呼ぶのが一般的に
・「戦争」という言葉の定義としては、もう法的状態説ではなく、実態説が広まっている
□「東京裁判」は裁判という名前のリンチだった
・1946年から約2年間、占領軍によって極東国際軍事裁判所なるものが設けられ、日本の戦時指導者の裁判が行われた
→東京裁判
・事後的に処罰規定を定めた法律に基づいた裁判
→事後法
・日本のみならず、世界中の法令の一般的な原則として、事後法による処罰は禁止
…法の不遡及
→しかし東京裁判は、事後法ですらない
→単にマッカーサーの命令で行われた
□ニュルンベルク裁判と東京裁判はどう違うか
・ナチスの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判、東京裁判とどう違うか?
・問われた罪状
→A級=「平和に対する罪」
…「侵略戦争を企てて共同謀議を行ない、実行した罪」
B級=「通常の戦争犯罪」
C級=「人道に対する罪」
・ドイツと日本で大きく違いを見せるのがC級
→ドイツの場合、ナチスが国を挙げて「ジェノサイド=特定の集団の皆殺し行為」などあり、大きなポイントに
・「人道に対する罪」「通常の戦争犯罪」は、刑事事件的なものであり、一方、平和に対する罪というのは民事事件的なもの
□日本の戦争を「アグレッシブ・ウォー」と主張する愚
・東京裁判でアメリカが声高に主張した「日本の戦争はアグレッシブ・ウォーだった」という見方
→ほとんどいいがかり
・アメリカが「国際法を理解できないこと」がもたらす被害の甚大さを侮ってはならない
□現代の「領土問題」がなぜ野蛮なのか
・本書の重要なテーマ
→第二次世界大戦と国際連合によって伝統国際法が破壊され、戦争というものが法的状態説ではなく実態説に変化した
→実態説で国際法を運用しようというのは野蛮に回帰していくこと
・目に見えてわかる領土問題に対する国際司法裁判所が出す判断の傾向
→最近の国際司法裁判所は、げんに実効支配をしているほうを勝たせる傾向に
・戦前、日本が国際法の優等生たりえたのは、相手に国際法を守らせるだけの「力」を持っていた
→北方領土問題でも、ソ連を含めた連合国側が戦争の定義を法的状態ではなく実態説でとらえていることがポイントに
→ロシア人には固有の領土という日本人が持っているような概念がない
□もし尖閣で「満洲事変」のようなことが起きたら
・尖閣諸島には、竹島や北方四島と違ってアドバンテージがある
→日清戦争と関係なく明治28年(1895年)に日本領に
→1960年代末にこの地に地下資源があるらしいとわかって以来、中国が圧力をかけてきて、今に至っている
・尖閣諸島の場合、日本が実効支配はしてきている
→国境紛争というのは、それを狙う国がいるかぎり続くもの
→実効支配をしている分、日本が有利