中国市場動向アップデート…新技術・新分野;M&A;新工場;業界関連
世界半導体市場の30%以上を現在占める中国であり、その動きには絶えず注目、アップデートを要するところである。今回の切り口は、中国での新技術・新分野についてのイベント、米国政府から阻止する事例が見られて国際情勢を孕んだM&Aの動き、新しい工場・拠点の建設、そして中国市場が大きく影響している業界関連の動きから取り上げている。メモリの高値、そして新市場分野の活況が大きく支える史上最高ペースで推移している現下の世界半導体市場の中で、先行きの動向をこれらから探っていく。
≪メモリ高値&新分野活況の熱気の渦中≫
新技術・新分野について、artificial intelligence(AI)、自動運転はじめ活発に引っ張っているNvidiaが、北京での同社イベントを開催、AI推論プラットフォームはじめ打ち上げを図っている。
◇Nvidia CEO in China: Big Push for AI Inference (9月25日付け EE Times)
→NvidiaのGPU Technology Conference(2017年9月25-27日:北京)にて、同社CEO、Jensen Huang氏が、新しいAI推論プラットフォーム(inference platform)、TensorRT3を披露の旨。今日インターネット大手はどこでも、イメージおよび音声認識, 自然言語処理, visual searchおよびpersonalized recommendationsなどAI-enabledサービスから生ずるデータvolumeの爆発的な伸びと格闘している旨。
◇Nvidia targets China with hardware and unveils software to slash AI costs-Nvidia CEO touts AI inference at China conference (9月25日付け VentureBeat)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、同社のGPU Technology Conference(北京)にて、同社TensorRT3 artificial intelligence(AI)推論プラットフォームおよびTensorRTソフトウェアを披露、JD.com, Alibaba, Baidu, HikvisionおよびTencentがTensorRTを用いてAI応用向けprogrammable推論を加速している旨。
半導体プロセス関係では、fully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)技術を推進するイベントが、上海で行われている。
◇Globalfoundries, Samsung promoting FD-SOI technology in China (9月28日付け DIGITIMES)
→上海での最近のイベントにて、GlobalfoundriesのCEO、Sanjay Jha氏およびSamsung FoundryのEVP & GM、ES Jung氏がともに、中国での車載およびIoT応用向け半導体需要が非常に有望として、それぞれのfully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)プロセス技術を推進の旨。
中国政府が支援するファンドによるM&Aの動きが続いており、今度は英国のImagination Technologies Groupおよびその傘下の米国のMIPS embeddedプロセッサ部門に照準が向けられている。
◇China-backed fund shunned by Trump to buy British chip maker-Canyon Bridge to buy Imagination for $743.5M (9月22日付け Reuters)
→Canyon Bridge Capital Partners(Palo Alto, CA & 北京)が、Imagination Technologies Groupの約$743.5 million in cash買収に合意、一方、米国のMIPS embeddedプロセッサ部門はTallwood Venture Capital(Palo Alto, CA & 無錫)にもっていく計画の旨。中国のfinancial会社が支えるbuyout会社のCanyon Bridgeは、Lattice Semiconductorを約$1.3 billionで買収する入札において米国政府から却下されている旨。
BBC(British Broadcasting Corporation:英国放送協会)の本件取り上げである。
◇UK chip designer Imagination bought by Chinese firm (9月22日付け BBC)
◇Imagination Technologies Agrees to Takeover by Canyon Bridge (9月22日付け Bloomberg)
◇Chinese group blocked by Trump announces UK chip-maker buyout-Canyon Bridge to make £550m all-cash offer for Imagination, whose graphics chips have been used in Apple's iPhone (9月23日付け The Guardian)
米国のMIPS部門について、米国政府が果たしてそのM&Aを承認するかどうか、はたまた注目されるところである。
◇Will Imagination Deals Deliver MIPS to China?-Imagination sells itself to Canyon Bridge, while agreeing to sell MIPS to another VC (9月25日付け EE Times)
→半導体業界watchersが、英国のIP licensor、Imagination Technologiesの売却に関する2つの別々の合意の細目についてあからさまに知りたがっている旨。Imaginationは、同社を最近Donald Trump米国大統領が阻止したLattice Semiconductor買収の提案元、Canyon Bridge Capital Partnersに550 million pounds($742.5 million)のall-cash取り引きで売却すると発表、同じ日に、同社のグローバルMIPS CPU事業を$65 millionで、Palo Alto, Calif.と中国南部の無錫(Wuxi)にオフィスがある投資会社、Tallwood Venture Capitalに売却合意と発表している旨。
世界の半導体新工場建設の大方を占めている中国であるが、現時点、まずは米国・Globalfoundriesが、四川省の成都での棟上げ式を以下の通り予定している。
◇Globalfoundries Chengdu fab nears completion (9月22日付け DIGITIMES)
→本件事情通発。Globalfoundriesが、中国成都(Chengdu)の新しい12-インチウェーハ工場建設の棟上げ式("topping out" ceremony)を10月末に行う旨。該工場、Fab 11の建設は、次の2段階の旨。
フェーズ1:主流CMOSプロセス技術の12-インチウェーハ生産ライン
…2018年末量産予定
フェーズ2:22-nm FD-SOI製造capability構築
…2019年第四四半期量産予定
地元勢のSMICが、浙江省寧波で新工場建設を計画している。
◇SMIC to build new plant in Ningbo-SMIC tabs Ningbo for site of new wafer fab (9月26日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Manufacturing International(SMIC)のマーケティングdirector、Richard Shen氏。同社は、Ningbo, China(浙江省寧波)に新しい工場を設ける計画、specialtyプロセス技術R&Dおよび生産ラインを据え付ける旨。Ningboは中国で最も繁忙なcontainer portsの1つであり、SMICの上海のheadquartersに近い立地の旨。
業界関連の動きからいくつか。12-インチウェーハについて、逼迫する先行きの中での中国の重み、そして価格動向に注目するところである。
◇Supply of 12-inch silicon wafers to stay tight through 2019 (9月22日付け DIGITIMES)
→業界筋発。12-インチシリコンウェーハのグローバル供給が、向こう2年にわたってさらに引き締まり、中国の新しいfabsが稼働する運びの旨。
12-インチシリコンウェーハの需要は、メモリ業界の3D NANDへの移行、中国のメモリstartupsの新しいfabプロジェクト、およびロジックICファウンドリーの主に中国におけるcapacity拡大が引っ張っている旨。12-インチウェーハ価格は、2017年以降50%高に盛り返している旨。
中国の半導体業界、特に北京および上海が引っ張っている現況を受け止める以下の内容である。
◇Beijing, Shanghai IC sectors prospering-China's chip push seen in Beijing, Shanghai (9月25日付け DIGITIMES)
→中国の同国内半導体業界を強化する大きな志が最もはっきりあらわれているのが、ここ10年間半導体生産額が16.1%のcompound annual growth rate(CAGR)となっている北京、および昨年の半導体関連売上げが2015年から10.76%増えている上海である旨。上海は、中国で売上げ最大のファウンドリー、SMICの地元であり、215のファブレス半導体メーカーが多彩な応用に向けて半導体を設計している旨。北京および上海両方のIC分野の展開はまた、同国IC業界の発展を大きく推進するよう中国国務院が打ち出している"National Semiconductor Industry Development Guidelines"および "Made in China 2025"により支えられている旨。
台湾・TSMCの総帥、Morris Chang氏より、中国を意識する中でのあくまで基盤は台湾とのメッセージが出されている。
◇TSMC operations base to stay in Taiwan: chairman-TSMC chairman: Foundry's base to remain in Taiwan (9月25日付け The Taipei Times (Taiwan)/Central News Agency)
→National Chiao Tung University(台湾交通大学)のEMBA(Executive Master of Business Administration)プログラムの20周年イベント(9月23日)にて、TSMCのchairman、Morris Chang氏。中国は広大な市場であるが、TSMCの生産およびR&Dの基地は主に台湾に残ることになる旨。中国のsupply chainの一部となることは、TSMCの生産の大方が中国に移ることを意味しない旨。また、台湾政府はインフラ開発を担う責任がある旨。
現下の中国半導体業界の勢いを改めて知らされる以下の発信であるが、世界の政治・経済情勢との繋がりの中での確認を一層要するところも感じている。
◇Chinese mainland moving up in global semiconductor sector (9月28日付け Global Times)
→China Semiconductor Industry Association(CSIA)からの統計によると、中国のIC業界の2017年1−6月販売高が19.1%増加。台湾はどうか?2017年第二四半期では4.8%低下している。
≪市場実態PickUp≫
【東芝メモリ入札関係】
東芝が米ベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」への東芝メモリの売却を決めて、本売却の承認を求める臨時株主総会を開く運びを進める中、米ウエスタンデジタル(WD)からさらに売却の暫定差し止め請求が国際仲裁裁に出されている。
◇Western Digital Still Hopes to Block Toshiba Chip Sale (9月26日付け EE Times)
→東芝は同社半導体事業についてprivate equity firm、Bain Capitalが率いるconsortiumからの入札に落ち着かせているが、NANDフラッシュ開発で同社の長年にわたるパートナーのownerは該売却を防ぐようなお動いている旨。東芝の半導体事業を買収する取引に腐心して数ヶ月経過、Western Digitalは今度は、3つの別々の仲裁訴訟があって打開に2年以上かかりそうな法廷戦略に期待を寄せている様相の旨。
◇Western Digital to seek injunction to block Toshiba's $18 bln chip unit sale-WD will go to court to stop Toshiba's sale of chip unit (9月26日付け Reuters)
◇WD、暫定差し止め請求、東芝半導体売却、国際仲裁裁に (9月27日付け 日経)
→米ウエスタンデジタル(WD)が26日、東芝による半導体メモリ事業の売却に対し、国際商業会議所(ICC)の国際仲裁裁判所に暫定差し止めを求めると発表の旨。WDは仲裁裁にメモリ事業の売却差し止めを求めているが、東芝は2018年3月末までの売却完了を目指しているのに対し、通常の仲裁では結論が出るまで1年以上はかかる見通し。WDは今回の措置により、その前に売却手続きを止める狙いの旨。仲裁裁は10月上旬にもWDと東芝の件の仲裁廷を構成する予定。このタイミングにあわせて、WDは暫定差し止めによる救済措置を求める旨。今年12月から来年1月にかけて暫定差し止めに対する判断が出るとみており、東芝がメモリ売却の目標とする来年3月末よりもはやい見通しの旨。
韓国・SKハイニックスは、本買収参画に伴う資金拠出を決議している。
◇SK Hynix to put 395 billion yen in Toshiba's chip unit sale-SK Hynix will invest $3.5B in Toshiba's chip unit (9月27日付け San Francisco Chronicle/The Associated Press)
→SK Hynixが、Bain Capital主導の入札コンソーシアムにおける一隊として東芝のメモリ半導体事業への$3.5 billion出資を正式にコミットの旨。
SK Hynixは、Bain-主導のコンソーシアムが該メモリ半導体部門の49.9%を保有、東芝が40.2%およびHoyaが9.9%としている旨。
◇SK Hynix set to invest in Toshiba chip unit, details consortium's plans (9月27日付け Reuters)
◇SK、3950億円拠出を決議、東芝の半導体買収参加で (9月28日付け 日経)
→韓国SKハイニックスが27日に取締役会を開き、東芝の半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の買収に参画することを決議したと発表の旨。米投資会社、ベインキャピタルなどとの日米韓連合で投じる約2兆円のうち、SKが3950億円を拠出する旨。将来、SKが議決権ベースで15%の東芝メモリ株を取得する権利を得たとしている旨。
◇SK Hynix Inc.'s Board approved a plan to invest in Toshiba Memory Corp (9月28日付け ELECTROIQ)
「日米韓連合」への「東芝メモリ」の売却契約が結ばれた、と正式発表が行われ、以下の業界各紙取り上げである。
◇東芝、日米韓と半導体売却契約、日本勢が過半出資 (9月28日付け 日経 電子版 16:53)
→東芝は28日、米投資ファンドの米ベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」と、半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却契約を結んだと発表、売却額は2兆円、東芝とHOYAの日本勢が東芝メモリの議決権の過半を握る旨。東芝は10月24日に開く臨時株主総会で売却について株主の承認を得る予定。原子力発電事業の巨額損失で揺らいだ東芝は、経営再建への一歩を踏み出す旨。
◇Toshiba Inks Acquisition Deal with Bain-led Group (9月28日付け EE Times)
◇Troubled Toshiba, Bain finalize sale of memory-chip business-Toshiba Memory unit sale advances with agreement signing (9月28日付け Houston Chronicle/The Associated Press)
◇Toshiba Inks $18 Billion Deal to Sell Chip Arm to Bain Group (9月28日付け Bloomberg)
◇Toshiba seals JPY2 trillion deal with Bain group (9月29日付け DIGITIMES)
しかし同時に、「日米韓連合」の中の足並みの乱れの様相が以下の通り表わされている。
◇Toshiba $18 billion sale of chip unit signed, but discord emerges immediately (9月28日付け Reuters)
◇解説/東芝、メモリ売却正式契約−会見中止―足並みに乱れ (9月29日付け 日刊工業)
→東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却手続きが、ようやく節目を迎えた旨。28日、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と株式譲渡契約を締結、ただ同日、ベインが設定した会見は、連合メンバーの合意が得られなかったとして急遽中止になった旨。船頭多くして船山に登る―。無事に売却を完了できるのか、迅速な経営判断を下していけるか、懸念が広がる旨。
まだまだ先行き立ちはだかる多くの壁が指摘されている。
◇東芝再生、続く難路、WDとの係争・独禁法審査が壁に (9月28日付け 日経 電子版 23:55)
→東芝は28日、半導体メモリ事業を「日米韓連合」に売却する契約を結んだ旨。2018年3月末までに売却完了できれば、2期連続の債務超過を回避できる見通し。だが売却手続きを進めるにあたっては、米ウエスタンデジタル(WD)との係争が立ちはだかる旨。各国の独占禁止法や内部管理体制の審査といった課題もあり、再生に向けてはなお難路が続く旨。
◇東芝、半導体枠組み多難 (9月30日付け 日経 電子版)
→東芝は半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の株式譲渡契約を日米韓連合と結んだが、二転三転する交渉の末「急ごしらえ」で固めた枠組みには難題や疑問が残る旨。独占禁止法当局の姿勢、売却の暫定停止リスク、議決権を行使できる「指図権」――。上場廃止となる2期連続の債務超過を避けるため、2018年3月末までの売却完了を目指すが、期日通りに売却手続きを終えられるかは予断を許さない旨。
【iPhone 8搭載半導体の解析】
発売されたばかりのiPhone 8 Plusについて、teardown解析の第1報が以下の通り表わされている。注目のプロセッサの中のneural engine部はこれからの調査となっている。
◇IPhone 8 Chips Come into View (9月26日付け EE Times)
→iPhone 8 Plusに入っている半導体についてTechInsightsのteardown解析第1報。Appleは、applicationsプロセッサを30%縮小する一方、2つのCPUコアおよびmachine-learningブロックを加えている旨。概要、以下の通り:
*A11 Bionic AP→89.23mm2(…A10半導体に対し30%縮小)
*いわゆるneural engine部は未調査
*A11はpackage-on-package(PoP)デバイス、A10と同じTSMC InFo-PoPプロセス使用と思われる
*Sonyイメージセンサ→32.8mm2(…iPhone 7の32.3mm2より僅かに大):1.22µmのpixel pitch
*IntelのXMM7480 LTEベースバンドプロセッサ
◇IPhone 8 Chips Come into View (9月27日付け EE Times India)
【Samsungの車載用メモリ】
Samsungが、業界初、自動車用128-gigabyte embedded Universal Flash Storage(eUFS)メモリ半導体を開発、生産リリースを発表している。
advanced driver assistance systems(ADAS)に役立つ次世代品として売り込むとされている。
◇Samsung produces eUFS memory for cars-The 128 Gigabyte(GB) embedded Universal Flash Storage(eUFS) is optimized for use in advanced driver assistance systems, infotainment, and dashboard systems in cars, Samsung says. (9月26日付け ZDNet)
◇Samsung releases industry's first 128-GB eUFS for automobiles-Samsung aims for ADAS with eUFS memory (9月26日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、advanced driver-assistance systems(ADAS), dashboardsおよびinfotainmentシステムなど車載electronics向け128-gigabyte embedded Universal Flash Storage(eUFS)メモリ半導体を投入、これまでスマートフォンで用いられる該半導体が、JEDEC UFS 2.1標準および来るJEDEC UFS 3.0標準に準拠の旨。
◇サムスン電子、自動車用メモリ、容量2倍(アジアフラッシュ) (9月28日付け 日経)
→サムスン電子が、自動車向け半導体メモリの新製品を開発し量産すると発表、記憶容量を128ギガバイトと同社従来品の2倍に高めた旨。先進運転支援システム(ADAS)に役立つ次世代品として売り込む旨。
【メモリ高値関連】
現下の引き続く半導体市場最高潮を支えるメモリの高値であるが、Micronの直近四半期業績が明白に示すところとなっている。
◇Micron's results beat as chip prices continue to rise-Micron forecasts sales, net above analyst estimates (9月26日付け Reuters)
→Micron Technology社(Boise, Idaho)の8月31日締め四半期net販売高が、前年同期比90.8%増の$6.14 billion、net incomeが$2.37 billion、前年同期は$170 millionの赤字。今四半期の売上げは$6.10 billion〜$6.50 billionと見ており、アナリストの平均評価、$6.06 billionを上回っている旨。供給逼迫の渦中でのメモリ高値から引き続き利益を被っている旨。
パソコン用DRAMのスポット価格も上げ基調を保っている。
◇パソコン用DRAM、4%高、スポット、月初比 (9月28日付け 日経)
→データの一時記憶に用いる代表的な半導体メモリ、パソコン用DRAMのスポット(随時契約)価格が上昇している旨。指標品であるDDR3の4ギガビット品は月初と比べ4%高い1個3.37ドル前後。2年半ぶりの高値となっている旨。
【パワートランジスタ販売高】
IC Insightsによるパワートランジスタの今年の販売高の読みが、最高を更新、従来の変わりやすさから抜け出す伸びが予想されている。現下の半導体市場の勢いをもう1つ裏づけるものと思われる。
◇Power transistor growth returns after volatile period (9月27日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsの2017 O-S-D Report - A Market Analysis and Forecast for Optoelectronics, Sensors/Actuators, and Discrete Semiconductors発。パワートランジスタの販売高の推移&予測:
2015年 2016年 2017年
7%減 5%増 6%増
$12.9 billion $13.6 billion(…最高更新となる)
◇Power Transistor Market Poised for Growth-IC Insights: Power transistor sales pick up (9月28日付け EE Times)
◇Power transistor growth returns after volatile period, says IC Insights (9月29日付け DIGITIMES)
≪グローバル雑学王−482≫
来る10月18日に迫っている第19回中国共産党大会を控えて、政権の一層の基盤強化を図る習近平国家主席について、今後についての著者の推理を
『「米中経済戦争」の内実を読み解く』
(津上 俊哉 著:PHP新書 1105) …2017年7月28日 第1版第1刷
より、以下見ていく。習近平主席の盟友、王岐山氏の動向が大きく注目されているが、直近の動きとして、下記にある背景が物語るのか同氏は自ら退任する意向と次のようにあらわされている。
◇王岐山氏が退任の意向、中国の反腐敗指揮、習氏は慰留 (9月22日付け 日経 電子版)
→中国の習近平国家主席の腹心で反腐敗運動を指揮してきた王岐山・中央規律検査委員会書記が、10月の共産党大会で退任したい意向を周囲に伝えていることが分かった旨。複数の党関係者が明らかにした旨。習氏は慰留しているもようだが、党内には留任に慎重な意見も多い旨。1カ月後に迫った党大会で選出する新たな指導部の人事が大詰めに入った旨。
第2章 第19回中国共産党大会 ――習近平政権の天王山
〇習近平が目指す2期目人事の姿は?
・習近平が次に目指すゴール
→2017年秋に迫った中国共産党大会における第19期指導者人事を、自分の思い通りにすること
→これについて思いつくコメント、以下に
・第1:常務委員7名(現状通りとして)のうち何名を「自分の(意中の)人」にできるか
→別の見方もあり、常務委員を自派の人間だらけにすることは、党の長老グループの影響力を増大させる結果になるかも
・第2:今回「習近平の後継者(次のトップ)は誰か?」が明らかになるか否 か
→決めれば習の求心力が低下、思い描いている「共産党を危機から救う」大業が果たせなくなり、決めないと思う
・第3:そのうえで、習近平が2022年に3選目を目指すか否か
・(著者は、)政治・経済情勢が順調であれば、習近平は小平の「院政」方式に倣うと思う
〇習近平の2期目を推理する
・第19回中国共産党大会での習近平政権2期目について、事例研究式に検討
■事例1:2017年から始めた経済引き締め
・習近平は、2016年に入っての景気アクセルの後、2016年秋から厳しい引き締めを開始、2017年後半には恐らく景気が失速
→ポストバブル期を荒療治で乗り切る作戦と覚悟が必要になるのではないか
■事例2:高すぎる成長目標の撤回
・2期目の経済運営の焦点はやはり「2020年のGDPと国民1人当たり収入をそれぞれ2010年の2倍にする(翻一番[ファンイーファン])」公約
→この目標の看板を降ろさなければ、2022年まで中国経済が無事であり続けるのは難しくなると思う
・いまの情勢からすると、舵を切れる可能性は2割くらいかも
→そこに手を付けないなら、いったい何のための権力集中なのか
■事例3:領土・領海問題での「現状維持(=ステータス・クォ)」?
・2010年以降、領土・領海問題を巡る中国の態度が急に強硬に
→「中国が弱かった時代に奪われたものを取り戻すチャンスが到来した」というスイッチが入ってしまった
→奥底には大多数の中国国民の根深い感情
・南シナ海では、それに加えて、習近平が埋め立て計画にゴー・アヘッド(裁可)を出した
→特に2016年には、ハーグ仲裁裁判所から厳しい判断
→内内では「中国外交、対外イメージが大打撃を受けた」と深刻に受け止めた向きも少なくなかった模様
・以来、中国は、「当事国の間で平和的に解決できる」ことをアピールする作戦に転じた気配
→「態度を軟化させた」
→まして米国大統領はトランプ。「しばらくは動かない方が良い」という判断
□余談:フィリピン外相が更迭された訳
・フィリピンのドゥテルテ大統領に対し、習近平主席が『中国はスカボロー礁の埋め立てを行わない』と約束
→この内密の話をヤサイ外相が記者にしゃべった
→2017年3月、ヤサイ外相更迭
→理由はここにというのが私(著者)の憶測
・党の内外でうるさく言われたくなければ、揉め事は少ない方が良い
→問題は、そのときに国内で受ける反発は半端ではない
・2期目に関係国との協議を踏まえた行動指針の策定、さらには2期目の外交ドクトリンにまで昇華させるべき
→やがて紛争が再燃する日を迎えることになる。どこまでいっても、この国を信じ切ってはいけない
■事例4:北朝鮮問題
・2017年4月の米中首脳会談
→北朝鮮の核・ミサイル問題について、習近平は、北朝鮮に対してこれまでにない強い圧力をかけることを約束した模様
→中国共産党には、伝統的な(血で結ばれた)中朝関係を重んじる考え方も依然
■事例5:新外交ドクトリンの行方
・2つの焦点となる舞台(シアター)
→1)中国が世界に向かって中国の経済ビジョンを提唱、投影する舞台
2)東・南シナ海などで中国が領土・領海に関して自己主張するという舞台
・政権2期目を前に、大きな環境変化
→米国・トランプ政権の誕生
→TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの撤退を宣言
→立ちはだかっていた道を空けてしまったようなもの
〇王岐山への糾弾
・習近平の盟友、紀律検査委員会トップとして1期目の反腐敗闘争で辣腕を振るった王岐山の今後の行方
→幾多の難局を果断に処理、「消防隊長」のあだ名も冠せられた人
→私(著者)も王岐山には留任するだけでなく、国務院総理をやってほしいと思う
・2017年5月、半年ぶりに北京を訪問、考えが甘かったと悟った
→ニューヨーク在住の中国人富豪、郭文貴(グオ・ウェングイ)が王岐山親族のスキャンダルを攻撃
→中国で想像以上の波紋
→2017年初めから、急に公の場で、指導者、高級幹部の腐敗を暴露、糾弾する発言を重なるように
・背後でまたぞろ「権力闘争」が展開されている感じがする
→郭が急に目覚めたように王岐山糾弾を始めたのも、政府の金融監督機関トップや金融界の大物が相次いで逮捕された頃と軌を一に
・1つのバロメーターとして王岐山の行く末を注視しなければならない