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次に備えるインテル、グーグル、そして両社連携、それぞれの戦略

アップルの新型iPhone、「iPhone X」が発表され、新たな時代に向けた顔認証機能はじめ今後に注目である。次に備える新技術、新機能そして新製品を伴った戦略がこれから各社より次々と披露されると思われるが、早々のこと、インテルからは5年にわたる事業展開計画およびやっとの感じの10-nm対応、グーグルからはアップル対抗をうかがわせるスマホ強化の動き、そしてインテルおよびグーグル両社の自動運転技術および事業展開の連携が発表されている。次世代を睨んだ打ち上げ、凌ぎ合いが繰り広げられていく。

≪一層の市場拡大に向けて≫

今こそ時代の切り換わりを乗り越えていかなければと、インテルの壮大な5年の計画が打ち出されている。現下の活況の半導体市場の波に乗った数値目標、そして何より次に備える重大な危機意識があらわされている。

◇Inside Intel's $300 billion, five-year plan-Intel said to have a 5-year plan for growth, value (9月17日付け The Oregonian (Portland))
→The Oregonian/OregonLive発。Intelは、Sun MicrosystemsおよびYahooなど他の老化ハイテク大手を打ち倒した種の科学技術disruptionを克服する時代の転換点に同社があるとしている旨。同社は、市場価値を向こう5年にわたって75%増の$300 billionに高める期待の旨。

SamsungおよびTSMCの競り合いが目立つ昨今の最先端微細化の感じ方が否めないが、インテルが北京でのイベントにて、10-nm nodeベースのウェーハを披露するとともにプロセッサ製品の年末打ち上げを発表している。今後は各社の進捗と特性の実力が問われるとともに注目していくことになる。

◇Intel shows off 10nm Cannon Lake wafer at Beijing event (9月20日付け Bit-Tech)
→Intel Technology and Manufacturing Day(9月19日:北京)にて、Intelは10-nm nodeについての約束を倍にしており、初めて同社10-nm nodeベースのCannon Lakeウェーハを披露の旨。

◇Intel provides 10nm updates, plan for 10nm FPGA-Intel updates 10nm process tech roadmap (9月20日付け DIGITIMES)
→Intelが、北京で最近開催した同社イベントにて、同社10-nmプロセスの現状、並びにデータセンター応用向け64-層3D NANDのavailabilityを披露の旨。かつて2015年リリースが予想されたIntelの10-nm "Cannon Lake" プロセッサが今年末前に市場に出てきて、トランジスタ性能およびトランジスタ密度の改善が示される旨。同社は、次世代"Falcon Mesa" field-programmable gate arrays(FPGAs)の計画も披露、10-nmプロセスで製造される旨。

◇Intel expects Chinese tech to see growth-Intel looks to China for growth (9月20日付け China Daily (Beijing))
→Intelが、中国でのパートナーおよびファウンドリー顧客に対し、同社14-nmプロセス技術および低コスト化22FFLプロセスへのaccessを提示の旨。「中国の半導体生産および消費売上げともに、引き続きグローバル市場より伸びが上回って、半導体分野での重要プレーヤーとしての位置づけがさらに確固となっている。」と、Intelの技術&製造グループ、vice-president、Zane Ball氏。

新技術、新分野を先駆けて多彩に切り開いてきているグーグルであるが、こんどは台湾・HTCのスマホ事業の一部を買収して、本格的なアップル対抗に乗り出す戦略がうかがえている。中国プレーヤーの台頭が目覚ましいこの領域での今後に展開に注目である。

◇Google Buys HTC's Pixel Team (9月21日付け EE Times)

◇グーグル、HTCのスマホ事業の一部を1230億円で買収−ソフトとハード、一体開発を強化 (9月21日付け 日経 電子版)
→米グーグルは21日、台湾の宏達国際電子(HTC)のスマートフォン事業の一部を11億ドル(約1230億円)で買収すると発表、買収によりソフトとハードの一体開発を強化、同様の「垂直統合モデル」を強みとする米アップルに対抗する旨。HTCのスマホ事業部門に在籍する技術者約4000人のうち、半数がグーグルに移籍するほか、HTCが保有するスマホ関連の特許など知的財産をグーグルにライセンスする旨。移籍する技術者はグーグルが昨年、自社ブランドで発売したスマホ「ピクセル」の開発や受託生産に関わった人材の旨。

以上のインテルおよびグーグルの両社が、自動運転に関する連携を打ち上げている。グーグルの親会社、Alphabetの傘下の自動運転開発会社、Waymoがインテルの半導体技術を採用していくもので、搭載の新車も発表されている。すでに2009年から両社の関係があった模様であるが、該市場の本格的立ち上がりに向かってそれぞれの動きが活発化されていくと思われる。

◇Waymo and Intel Collaborate on Self-Driving Car Technology-Autonomous Driving will End Human Driving Errors and Lead to Safer Roads for Everyone (9月18日付け Intel)
→Intel社CEO、Brian Krzanich氏記事。グーグルの親会社、Alphabetの傘下にあるWaymoの最新vehicles、self-driving Chrysler Pacifica hybridミニバンは、センサ処理, general compute & connectivityにIntel-ベース技術を盛り込んでおり、都市条件での完全autonomyに向けたreal-time決定を可能にしている旨。

◇Intel collaborates with Waymo on self-driving computer design-Intel, Waymo partner on autonomous-car technology (9月18日付け Reuters)
→Intelが、Alphabet傘下のWaymoと協働、自動運転車でのreal-time情報を測れる技術を作る旨。該合意は、Intelが3月のMobileyeの$15 billion買収の後の自動運転車技術に踏み込むさらなる範囲拡大の動きを示している旨。

◇Left Unsaid in Waymo-Intel Deal (9月19日付け EE Times/Blog)
→自動運転車技術についてのIntelのWaymoとのコラボに関するIntel CEO、Brian Krzanich氏blog記事について。該発表で触れられてないこととして、この新たな連携が必要とするもの、そしてWaymoがheavy-duty deep-learningアルゴリズムを動かしているのはどこの半導体か。

◇グーグルの自動運転車、インテル半導体採用、供給元を公開 (9月20日付け 日経)
→米グーグル系の自動運転開発会社、ウェイモは18日、車の「頭脳」となるコンピューターシステムの開発で2009年から米インテルの半導体技術を採用していたことを明らかにした旨。インテルはパソコンに次ぐ収益の柱を模索しており、グーグルとの協業を含めて自動運転分野での事業拡大を進めている旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

米投資ファンドのベインキャピタルが主体の「日米韓連合」へ売却、9月20日の東芝の取締役会にて最終確定する、という流れが週末に見え始めて、その通りに同日売却決定が行われ、この間以下の時間経過となっている。

◇Toshiba Is Said to Aim for Chip Deal With Bain by Sept. 20-Report: Toshiba wants to wrap up Bain deal by Wed. (9月17日付け Bloomberg)
→本件事情通発。東芝は、パートナー、Western Digital社からの反対にも拘らず、Bain Capitalが主導するグループへのメモリ半導体事業を売却する取引を9月20日の取締役会にて最終確定する狙いの旨。

◇東芝メモリ売却、日米韓連合と詰めの協議、米有力企業が存在感 (9月19日付け 日刊工業)
→東芝は半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、20日の契約締結を目指し、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と詰めの協議を急ぐ旨。同連合には米アップルなどメモリの有力顧客が名を連ねる旨。メモリ不足という危機感を共通して集まったこの“東芝サポーター”は頼もしい存在である一方、買収スキームで日本企業の影は薄い旨。日本勢で東芝メモリの経営を主導する体制を盤石にできるかが、残された課題の一つの旨。

ウエスタンデジタル(WD)陣営からは直前に新たな譲歩案が出されたが、結果的には取り上げられていない。

◇東芝半導体売却、WD陣営が新譲歩案−革新機構が5000億円拠出 (9月20日付け 日経 電子版 00:30)
→東芝の半導体メモリ事業の売却を巡って、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の陣営が新たな譲歩案を示したことが19日わかった旨。WDは買収時に資金を出さず、代わって産業革新機構が従来案より2000億円程度積み増して5000億円を拠出する。ただ、WDの将来の出資比率がどうなるかは不透明で、なお協議を要するもようの旨。

結局、「日米韓連合」への売却決定が行われて、世界の業界各紙の反応あわせ以下の通りである。

◇東芝、日米韓連合へ売却方針 メモリ事業−取締役会で決議 (9月20日付け 日経 電子版 12:30)
→東芝は20日午前に取締役会を開き、米投資会社、ベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」にメモリ事業を売却する方針を決めた旨。協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が関与する陣営も新たな提案を東芝に示し、取締役会で2陣営の提案を精査した旨。そのうえで日米韓連合を選び早期の最終契約締結を目指す旨。東芝には売却先決定に向けた時間がなく、提案の契約書作りが先行している日米韓連合を選んだもようの旨。

◇東芝半導体、日米韓連合に売却決定、2.4兆円の見通し (9月20日付け 朝日新聞DIGITAL 12:55)
→東芝は20日午前、取締役会を開き、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先を米投資ファンドのベインキャピタルが率いる「日米韓連合」に正式に決めた旨。売却額は設備投資負担分も含めて2.4兆円の見通し。来年3月末までに売却益を得て債務超過を解消し、株式上場を維持したい考えの旨。売却先は決まったが、米ウエスタンデジタル(WD)は今後も売却に強く反対し、係争は続く見通し。同業の韓国SKへの売却で、各国の独占禁止法の審査が長期化する可能性もある旨。

◇Toshiba Agrees to Sell Chip Unit to Bain-led Group (9月20日付け EE Times)

◇Bain-Led Group to Buy Toshiba Chip Unit in $18 Billion Deal-Toshiba signs $18B deal with Bain group for chip unit (9月20日付け Bloomberg)
→東芝のフラッシュメモリ半導体部門が、Bain Capitalにより$18 billionで主導されたコンソーシアムに売却となり、該グループの入札を東芝の役員会が受け入れた旨。

◇Toshiba says seals $18 billion deal to sell chip unit to Bain Capital group (9月20日付け Reuters)

◇Toshiba agrees to sell memory-chip unit to Bain Capital-led consortium (9月21日付け DIGITIMES)

◇東芝、日米韓連合に売却決議、半導体2兆円「近日中に契約」 (9月21日付け 日経 電子版 01:29)
→東芝は20日、半導体メモリ子会社「東芝メモリ」売却に向けて、米投資会社のベインキャピタルが中心の「日米韓連合」と株式譲渡契約を結ぶことを決議したと発表、「近日中」に契約を締結するとしている旨。買収総額は2兆円で、契約が完了すれば懸案の債務超過の解消へ前進する旨。昨年末に米原子力事業の巨額損失が発覚して以来、揺れ続けた東芝の経営再建は大きな転機を迎えた旨。並行して進めてきた米ウエスタンデジタル(WD)と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の陣営、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の陣営との交渉は打ち切る旨。

これに対してウエスタンデジタル(WD)陣営では、東芝単独の半導体投資差し止めを求める2つ目の提訴に踏み切っている。

◇WD、東芝の半導体投資差し止め提訴、売却牽制か (9月21日付け 日経 電子版 09:15)
→米ウエスタンデジタル(WD)が20日、東芝が進める半導体メモリ工場の単独投資を差し止めるよう国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に申し立てたと発表、WDは5月に東芝の半導体事業売却もICCに差し止めを求めている旨。法的な対抗措置を重ね、決まったばかりの「日米韓連合」への売却に揺さぶりをかける狙いとみられる旨。

◇Western Digital takes legal step to stop Toshiba memory investment-WD seeks to block Toshiba move on new fab (9月20日付け Reuters)
→Western Digital(WD)がInternational Court of Arbitrationに対して、四日市に新しいウェーハfab拠点をWDの子会社で東芝のNANDフラッシュメモリデバイスを製造する長年のパートナーであるSanDiskによるinputあるいは投資なしに建設するという、東芝の計画を阻止するよう求めた旨。

東芝は、本売却の承認を求める臨時株主総会を開く予定を直ちに発表している。

◇東芝、10月24日に臨時株主総会 (9月21日付け 日経 電子版 14:30)
→東芝は21日、10月24日に幕張メッセ(千葉市)で臨時株主総会を開催すると発表、株主への報告が遅れていた2017年3月期の決算を報告事項とするほか、米投資ファンドのベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」を売却先に選んだ半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却を決議事項とする旨。日米韓連合と株式譲渡契約を締結したうえで、株主の承認を求める予定の旨。

◇東芝、半導体売却契約へ詰め急ぐ、10月24日株主総会 (9月21日付け 日経 電子版 23:58)
→東芝は21日、10月24日に臨時株主総会を開催すると発表、米ベインキャピタル率いる「日米韓連合」と早期の締結を目指す半導体メモリ事業の売却契約について株主の承認を求める旨。総会に向けて東芝と同連合は契約締結への詰めを急ぐ旨。一方、売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)は同日、工場投資の差し止めを求める新たな法的措置に動き、契約締結に揺さぶりをかけた旨。

【GLOBALFOUNDRIES関連】

ファウンドリー業界でのプレゼンスアップを目指すGLOBALFOUNDRIESの活発な動きである。まずは、silicon-on-insulator(SOI)プロセスで作られたradio-frequency半導体向けのprocess design kits(PDKs)の新たな強化版である。

◇GLOBALFOUNDRIES announces enhanced RF SOI process design kit (9月18日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、新しいRF SOI process design kits(PDKs)強化版一式を発表、RFスイッチの設計を改善、差別化RF front-endソリューションが得られる旨。GFの先端RF技術プラットフォーム、7SW SOIは、次世代スマートフォンにおけるmulti-band RF switchingに最適化され、Internet of Things(IoT)応用の革新を引っ張っていく旨。

◇GloFo has enhanced PDKs for multi-band RF switching-GlobalFoundries enhances PDKs for RF SOI chips-Globalfoundries has launched enhanced RF SOI PDKs optimised for multi-band RF switching in smartphones and IoT. (9月18日付け Electronics Weekly (UK))
→GlobalFoundriesのsilicon-on-insulator(SOI)プロセスで作られたradio-frequency半導体向けの新たに強化したprocess design kits(PDKs)について。同社の7SW SOI PDKは、Coupling Wave SolutionsからのSiPEX simulationソフトウェアで出されている旨。

次に、Soitecとの最先端fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)ウェーハの長期供給合意である。

◇GLOBALFOUNDRIES and Soitec enter into long-term supply agreement on FD-SOI wafers (9月19日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESとSoitecが、最先端fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)ウェーハの量産を確実にする5年の合意に入った旨。この合意は、現状の連携を拡張して、FD-SOI supply chainを強化、high-volume製造を確かにする両社にとっての強固な基礎を与える旨。

ファウンドリー業界の要となる最先端プロセスへの取り組みが、以下の通り続いている。

◇Globalfoundries' 12-nanometer process can boost chip speeds by 10%-GF unveils 12nm process for faster chips (9月20日付け VentureBeat)
→GlobalFoundriesが、12-nm FinFETプロセスを発表、Advanced Micro Devices(AMD)などの顧客が14/16nmおよび10nmプロセスnodesの間のつなぎとして使える旨。該12-nmプロセスにより、完全な設計し直しなしに半導体性能の10%改善が得られる旨。

◇7 Views of Globalfoundries in 2017-Masks are top EUV challenge at 7 nm-Driving FD-SOI toward mainstream markets-Funding secure, profits on the horizon-Turning up the radio at GF-14-nm FinFET gets midlife kicker-On MRAM, packaging, and machine learning (9月21日付け EE Times/Slideshow)
→Globalfoundriesがannual gathering(SANTA CLARA, Calif.)にて、RFプロセス・アップグレードおよび12-nm FinFET nodeなどたくさんのリリース発表、アナリストは同社のcapabilities増大を称賛しているが、向こう12ヶ月で主に競争力のある7-nmプロセスを届け、fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)に向けたvolume市場を示す必要があるとしている旨。

◇Synopsys Design Platform certified by GLOBALFOUNDRIES for 22nm FD-SOI process technology (9月21日付け ELECTROIQ)
→Synopsys社発。GLOBALFOUNDRIES(GF)が、GF 22nm FD-SOI(22FDX)プロセスについてSynopsys Design Platformを認証の旨。

圧倒的なトップを走るTSMCに対して、取引の公平性について欧州のEUに調査を求める動きが見られている。

◇Globalfoundries Reportedly Asks EU to Probe TSMC (9月21日付け EE Times)
→Reutersニュースサービス発。Globalfoundries(Milpitas, Calif.)が欧州のregulatorsに対して、不公平な競合があるとしてライバルの半導体ファウンドリー、TSMCを調査するよう求めている旨。

◇Exclusive: Chipmaker GlobalFoundries asks EU to investigate bigger rival TSMC - source-Report: GlobalFoundries seeks EU investigation of TSMC (9月21日付け Reuters)

【先端技術での連携】

5Gワイヤレス技術について、MediaTekのNokiaとの技術協働、そしてHuaweiとの開発連携が以下の通りである。

◇MediaTek to unveil 5G prototype chip by end-2017-Sources: MediaTek will have 5G chip prototype soon (9月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTekが、今年末までに同社5G半導体prototype開発を完了予定、2018年の該半導体trialsが視野の旨。同社は、来年披露予定の5G新radio技術プラットフォームについてNokiaと協働している旨。

◇MediaTek, Huawei Partner in 5G Development-MediaTek teams with Huawei on 5G technology (9月21日付け EE Times)
→MediaTekと中国最大の携帯電話メーカー、Huaweiが、北京での5Gテストを完了、5G端末, チップセット, 機器およびネットワークスなど業界ecosystemを構築する狙いの旨。両社は初めて、5 Gbps以上の伝送レートで5G new radio(NR) interoperability and docking test(IODT)を終えている旨。MediaTekは、3GPPの5G標準提案スペックに適合する5G端末prototypeを提案の旨。

自動運転用artificial-intelligence(AI)半導体について、AMDとTeslaの開発連携が表わされているが、AMDの半導体を製造するGlobalFoundriesからはこの件の声はかかっていないとする反応が見られている。

◇AMD Copilots Tesla AI Chip, Says Report (9月21日付け EE Times)
→CNBC発。Teslaが、Advanced Micro Devices(AMD)と協力して開発したmachine-learning半導体サンプルをテストしている旨。AMDとTeslaともに本件へのコメントを控えている旨。該半導体は、AMDのZen x86プロセッサへの取り組みを率いたベテランMPU設計者、Jim Keller氏のもとでの約50人のエンジニアチーム、TeslaのAutopilotグループが開発の旨。

◇Tesla is working with AMD to develop its own A.I. chip for self-driving cars, says source-Report: Tesla crafts an AI chip with AMD tech (9月21日付け CNBC)
→本件事情通発。Teslaが、Advanced Micro Devices(AMD)とともに自動運転用artificial-intelligence(AI)半導体を開発している旨。
GlobalFoundriesはコメントを控えているが、Tesla向けAI半導体を製造する見込みであり、Nvidiaへの依存は減る様相の旨。Teslaは該プロジェクトに50人以上の従業員を充てており、AMDのマイクロプロセッサ・コアのチーフ・アーキテクトを務め、Teslaに移籍してAutopilotのハードウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントとなっているJim Keller氏などの旨。

◇GlobalFoundries says no commitment from Tesla on chip deal-Tesla hasn't committed to GlobalFoundries for AI chip, GF says (9月21日付け Reuters)
→Advanced Micro Devices(AMD)向け半導体を製造するGlobalFoundriesが木曜21日、Teslaは自動運転技術あるいは製品について一緒に取り組むとコミットしていないとし、それまでのメディア報道を矛盾している旨。

【市場データ&見通し】

現状のファウンドリー市場では、先端部類のsub-40nmが如何に伸びを引っ張っているか、端的に示す以下の内容である。

◇Leading-edge paves the way for pure-play foundry growth (9月20日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのSeptember Update to The McClean Reportより。

◇Leading-edge paves way for pure-play foundry growth, says IC Insights (9月20日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2017年の専業ファウンドリー市場が、sub-40nm feature sizeデバイス販売高の18%増によって、全体で7%増が予想される旨。売上げ全体の60%を占めると見込まれるものの、40nm-and-above市場は今年$0.2 billion増に留まると予想されるのと対照的に、先端sub-40nm市場は$3.3 billionほど急増する見込みの旨。

現下のメモリの活況がいつまで続くか、NANDフラッシュおよびDRAMの目先の見方関連である。

◇NAND flash supply to stay tight til end-2017, says Phison chairman-Phison chairman: NAND flash supply tightness to linger (9月20日付け DIGITIMES)
→台湾のフラッシュデバイスコントローラ・サプライヤ、Phison Electronicsのchairman、Khein Seng Pua氏。NANDフラッシュメモリの供給が、2017年末まで逼迫したままと見る旨。主要半導体プロバイダー、Samsung ElectronicsおよびSK HynixがeMMC, eMCPおよびSSDについての価格を最近10-20%上げている一方、東芝およびMicron TechnologyもNANDフラッシュ半導体の供給が第三および第四四半期に減少すると顧客に通知している旨。

◇DRAM bit growth to reach 19.6% in 2018, says DRAMeXchange-DRAMeXchange: DRAM bit demand to exceed supply next year (9月21日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2018年のグローバルDRAMビット生産の伸びが19.6%、主要サプライヤが半導体価格の安定性に向けてcapacity拡張および技術格上げのペースを落としていく意向の旨。2018年のDRAMビット需要の伸びはより大きく20.6%、来年の供給は締まったままと見ている旨。

【韓国経済における半導体】

高値のメモリが引っ張る現下の半導体市場の活況となっているが、SamsungおよびSK Hynixとメモリのトップメーカーを擁する韓国での半導体の重みそして強烈な期待を受け止める以下の内容である。

◇Korean chipmakers vow W51.9tr investment amid record sales forecasts-Korean companies will invest $45.8B in capacity (9月18日付け The Korea Herald (Seoul))
→韓国の半導体メーカーおよびディスプレイメーカーが、月曜18日の同国政府・産業通商資源部(minister of trade, industry and energy:MOTIE)との会合にて、今年予想される記録的な販売高に対応、経済の刺激およびjobs創出に向けて2024年までに合わせて51.9 trillion won($45.8 billion)の投資を誓約の旨。

◇韓国、世界10大輸出国の中で輸出増加率1位に…日本の約2倍 (9月19日付け 韓国・中央日報)
→韓国の今年の輸出増加率が輸出額上位10カ国中1位となった旨。19日、世界貿易機関(WTO)によると、韓国は今年1月から7月まで累積輸出量が前年同期比16.3%増。全世界平均8.8%より2倍程度、増加幅が大きかった旨。このような輸出増加幅は昨年の石油価格の下落にともなう輸出低下、過去最大の半導体実績によるものと分析される旨。

◇韓国の半導体売上、100兆ウォン目前に…「スーパーサイクル」あと2年は続く (9月19日付け 韓国・中央日報)
→「価格は上昇するが需要にブレーキがかからない珍現象が広がっている」。ユジン投資証券のイ・スンウ研究員は最近のグローバル半導体市場の状況をこのように要約した旨。経済学の原則では説明のつかないこのような「珍現象」を背景に、サムスン電子とSKハイニックスの半導体売上の総額が100兆ウォン(9兆8800億円)を突破する見込みの旨。


≪グローバル雑学王−481≫

2013年より第7代中華人民共和国主席を務めている習近平政権の実態、作用する力学について、

『「米中経済戦争」の内実を読み解く』
 (津上 俊哉 著:PHP新書 1105) …2017年7月28日 第1版第1刷

より迫っていく。中国は政治を抜きに経済だけを論じても限界があり、政権の浮揚力、党内からの支持を最大化するという行動原理があるとしている。
進歩的な構造改革派、保守的な安定成長派の狭間での習政権1期目のかじ取り経過が分かりやすく表わされていると思う。足元の我が国でも、安倍政権が9月28日召集の臨時国会冒頭にも衆院を解散する意向を固めており、5年に1度の共産党大会を10月18日に迎える習政権ともども、流動性を孕んだ東アジアの今後というものをよく見据えざるを得ないところである。


第1章 習近平の政権力学

・よく言われること
 →「中国は政治が殊の外重要な国で、政治を抜きに経済だけを論じても限界がある」
・(筆者が)得た教訓
 →中国政治について得たヒューミント(HUMINT:Human intelligence)情報[…人を媒介として得られた情報]は「そういう見方もある」程度の参考情報に留めるべき
・限定的でも自分なりの政治ウォッチングを始めてみよう
 →(筆者は、)この5年間、中国経済と習近平を見てきた

〇「大連立政権」の成立
・中国共産党内には、改革派もいれば保守派も、国際協調派もいれば対外強硬派も、そして深く根を張っている様々な既得権益
 →「ここは1つ、習近平に体制の危機乗り切り(リリーフエース)を託そう」という広範なコンセンサスが成立
 →(筆者は、)そう仮定
・西側概念に類例を探せば「大連立政権」に似ている

〇「連立政権」の弱点
・習近平の足下に参集、劉鶴(リウフー) 中共中央財経領導小組弁公室主任ら経済参謀
 →習近平政権1期目の改革宣言文書、三中全会(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)の改革決定を準備
 →2013年10月に決定、発表された改革案
 →改革提言を取り入れた部分もいろいろ、80点はあげてもよい内容
・習近平は、経済参謀たち改革派の立場に立つことを旗幟鮮明に
 →しかし、次には別の顔も
 →議論が大紛糾したもう1つのテーマは、国有企業改革
・三中全会決定をさらに具体化する国務院のガイドラインは、遅れに遅れて
 三中全会から2年近く経って(2015年9月)やっと出てきた
 →「国有企業をより強くより卓越してより大きくする」という新しいスローガンばかりが目立つ結果に
・いったんは改革にコミットしたと見えた習近平が、国有企業問題では守旧派や既得権益の側に付いた
 →「連立政権」の限界
 →習近平は、「自分の政権の浮揚力、党内からの支持を最大化する」という行動原理で動いていると見るべき

〇「権力集中」のアイロニー
・「連立」政権には自ずと限界
 →習近平自身、政権に就いてからずっと「権力集中」を追い求めてきた
 →1期目の習近平は、国家主席、軍事委主席、党総書記以外に、少なくとも合議機構のトップを7つ兼任
・いまの第18期中国共産党政治局常務委員7名について
 →習本人と王岐山(ワンチーシャン)を除く残り5名は「習近平の人」ではなく、言わば「なさぬ仲の同僚」
 →「兼任」ポストの束は、担当の常務委員たちから独立王国の統治権を取り上げるための仕掛けだったのでは

〇江沢民もなし得なかった大技
・盟友、王岐山の力を借りて、政敵を駆除、習近平に本当に権力が集中し始めた
 →変化の兆候は、2016年初め頃から出始め
・習近平は、江沢民でも成し得なかった大技を達成しつつある
 →2015年11月の中央軍事委員会で決定された軍制改革
  →これまでの人民解放軍を換骨奪胎するに等しい大改造

〇「党中央の核心」まで到達
・「権力集中」を目指す習近平の短期的なゴール
 →2016年10月の六中全会(中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議)で、「党中央の核心」の称号を得ること
 →「残りの政治局常務委員はみな部下」と見なせる格付けを手に
・しかし、この六中全会の公報は、同時に、「集団指導体制」を堅持する姿勢を鮮明に

〇権力はどこまで集中したか?――ケーススタディ
・習近平政権で経済を担当する顔ぶれ
 →前出の劉鶴ら習の経済参謀は、学究肌の改革派が多い…「構造改革派」
・これに対する別の一派…「安定成長派」
 →国務院の各省庁や地方政府は、大方の人がこの派
・この両派は習近平政権の1期目に何度も対立
 →構造改革派による「景気アクセル」を踏まない「新常態」(ニュー・ノーマル)の結果、景気はどんどん悪化
 →経済運営をめぐる両派の確執は、2016年春に表面化

〇唐突な景気アクセル
・毎年末12月の翌年の経済運営の基本方針を定める重要会議、「中央経済工作会議」
 →2015年暮れに開催された本会議は、デフレ色の強い「供給側改革」を宣言する内容
 →構造改革派が主導
・ところが、年が替わって2016年第1四半期は、国務院が主導、公共投資、不動産投資を加速
 →2016年前半は、第13次5ヶ年計画の初年度、政府の投資アクセルが踏み込まれやすい素地
 →2014年から2015年にかけては下がる一方だった各指標が2016年に至るや、大きなリバウンド
 →李克強は、「幸先の良い(年度の)スタート」と自画自賛

〇不発に終わった? 「権威人士」の批判
・党の公式機関誌『人民日報』の2016年5月9日付け第1面
 →「(この景気アクセルは)相変わらずの負債と投資頼みの旧いやり方」と、厳しく批判する「権威人士」名の論説
  →「権威人士」…経済運営の節目節目で人民日報に登場する匿名人物
   →習近平の経済参謀、劉鶴だという点で、衆目が一致
・この批判記事の後も、国務院が景気アクセルを反省したり軌道修正したりする気配はなかった

〇権威人士の予言どおりの弊害が深刻化
・ところが、景気アクセルの後、権威人士が警告した弊害を地で行くように副作用が深刻化
 →2016年夏には、地方中小都市にまで不動産投機が蔓延

〇習近平が経済引き締めへの転換を宣言
・ここで、習近平がやっと登場
 →2016年10月、党政治局で、厳しい言葉遣いの講話
  →10月の前後から全国各地であたふたと不動産投機抑制の措置が再導入
・2017年4月、習近平は改めて「金融安全を擁護せよ」という異例の講話を
 発表、経済引き締め圧力を一段と高めた

〇第1四半期の景気アクセルを放任した理由
・中国マクロ経済運営は、構造改革派と安定成長派の間で揺れ続けてきた
 →恐らく正論を唱える構造改革派は少数派、体制内の大多数(国務院各
  省、地方政府、国有企業など)は「安定成長」派
・折から「党中央の核心」称号を手に入れるための駆け引きの真っ最中だったという時期の問題
 →李克強や安定成長派を叱責することは、政治的に難しかったと思われる
・六中全会で「党中央の核心」になったと同時に、厳しい言葉遣いの政治局講話

「党中央の核心」称号を獲得
・2016年10月の六中全会で、念願の「党中央の核心」の称号を手に
 →しかし、習近平に対する抵抗もすべて消え失せる、というほど物事は簡単ではない
・習近平を律する行動原理は、そのときどきの情勢に応じた政権パワーの最大化を目指すこと
・次章では習近平政権の2期目について

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