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9ヶ月連続の$30 billion超え、四半期および月次販売高が最高に

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から恒例の月次世界半導体販売高が発表され、この6月について$32.6 billionで前月比2.0%増、前年同月比23.7%増、そして4-6月第二四半期について$97.9 billionで前四半期比5.8%増、前年同期比23.7%増という内容である。6月および4-6月ともに最高の月次販売高および四半期販売高を記録しているとのこと、通例後半の新製品打ち上げが引っ張る販売高の増加傾向を入れると、年間$400 billion超えが真に迫ってくるし、これで$30 billion超えも9ヶ月連続となって、引き続く熱い活況および関連する動き、展開ぶりに目が離せないところである。

≪2017年6月および第二四半期の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表内容が、以下の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇2017年前半のグローバル半導体販売高が、前年同期比21%増−第二四半期の販売高は最高を記録、前四半期比5.8%増、前年同期比23.7%増 …8月4日付け SIA/NEWS

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年第二四半期の世界半導体販売高が$97.9 billionに達し、前四半期比5.8%増、前年同期比23.7%増、と発表した。2017年6月のグローバル販売高は$32.6 billionに達し、前月の$32.0 billionから2.0%増、前年同月の$26.4 billionから23.7%増となっている。累計して2017年前半の販売高は、前年同期を20.8%上回っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体業界は2017年半ばで印象的な販売高の伸びを享受しており、第二四半期に史上最高の四半期販売高そして6月に最高の月次販売高を示している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「Americas市場での販売高は6月に特に力強く、すべての地域市場が少なくとも前年同月比18%以上の伸びとなっている。市況は向こう何か月か引き続く市場の伸びに与している。」

地域別の前年6月比での販売高は、Americas(+33.4%), China(+25.5%), Asia Pacific/All Other(+19.5%), Europe(+18.3%), およびJapan(+18.0%)とすべて大きく増加している。前月比では、Americas(+5.1%), Europe(+1.9%), China(+1.5%), Japan(+1.0%), およびAsia Pacific/All Other(+0.8%)とすべての地域にわたって増加している。

【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Jun 2016
May 2017
Jun 2017
前年同月比
前月比
========
Americas
4.94
6.27
6.59
33.4
5.1
Europe
2.68
3.11
3.16
18.3
1.9
Japan
2.52
2.95
2.98
18.0
1.0
China
8.29
10.25
10.41
25.5
1.5
Asia Pacific/All Other
7.95
9.43
9.50
19.5
0.8
$26.38 B
$32.00 B
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
--------------------------------------
市場地域
1- 3月平均
4- 6月平均
change
Americas
5.96
6.59
10.5
Europe
2.96
3.16
7.1
Japan
2.84
2.98
4.8
China
10.06
10.41
3.4
Asia Pacific/All Other
9.02
9.50
5.4
$30.84 B
$32.64 B
5.8 %
--------------------------------------

※6月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/June%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

このSIA発表から間がなくて、さらに反応および分析が続くものと思われるが、現時点次の通りである。

◇Semiconductor Sales Tracking up 21% From 2016 (8月4日付け EE Times)

◇Mid-year global semiconductor sales up 21% compared to 2016 (8月4日付け ELECTROIQ)

昨年からの月次販売高の推移(SIA発表時のデータ)を書き足すパターンになってしまっているが、次のようになる。

販売高
前年同月比
前月比
2016年 1月
$26.88 B
-5.8 %
-2.7 %
2016年 2月
$26.02 B
-6.2 %
-3.2 %
2016年 3月
$26.09 B
-5.8 %
0.3 %
2016年 4月
$25.84 B
-6.2 %
-1.0 %
2016年 5月
$25.95 B
-7.7 %
0.4 %
2016年 6月
$26.36 B
-5.8 %
1.1 %
2016年 7月
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
2017年 1月
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月
$32.64 B
23.7 %
2.0 %


今回は事前の予想もSIAから発信されて、本年前半について次のように振り返っている。

◇How Have First-Half 2017 Semiconductor Sales Performed? (7月31日付け SIA/Blog)
→SIAが今週後半リリースするJune 2017 global sales report(GSR)にある2017年前半のグローバル半導体販売高について。2017年の5月までの月次販売高は一貫してこれまでのどの年より上回っており、前半の販売高もほぼ確実にどの年より上回る旨。6月にWorld Semiconductor Trade Statistics organization(WSTS)は、2017年予測を2016年12月時点の3.3%増から最大11.5%増に改定、GartnerおよびIC Insightsなどいくつかの業界アナリストも、力強い前半の販売高業績を反映、2017年予測を上方修正している旨。June 2017 GSRから何を見るべきか?第1には、第二四半期販売高が第一四半期を上回るかどうか?WSTSは第二四半期販売高が第一四半期より0.8%下回ると予測しているが、4月および5月の力強い販売高からするとこれはありそうもない旨。第2に、6月の前月比の伸びがこれまでの年を上回るかどうか?2016年および2014年はプラスの伸びで後半が非常に力強かった一方、2015, 2012, 2011年はマイナスとなって後半の低迷につながっている旨。問題は、本年を締める伸びが如何なるプラスとなるか、WSTSの11.5%の予測を越えるか、ということ。また、後半の伸びが、これまでそうきているように前半より加速するかどうか?そうなればWSTSの秋季予測が一層高く改定される可能性があり、確かに6月そして残る本年がどう最後まで振る舞いとなるか興味深い旨。

IC Insightsからは年央予測改定が表されて、年初時点の予想を上回る現在の力強い半導体市場はDRAMおよびNANDフラッシュが非常に大きく牽引するという内訳とともに、今年の年間予想も16%増の$419.1 billionと大台越えとなっている。

◇Significant Mid-Year Revision to 2017 IC Market Forecast-DRAM, NAND flash memory markets drive the first annual double-digit upturn since 2010. (8月1日付け IC Insights)
→IC Insightsが、IC業界の見通し&分析を改定、2017年1月に初版発行のThe McClean Report 2017に対するMid-Year Updateにおける新しい知見をプレゼンの旨。本年後半に入って、IC業界は1月に当初予測されたよりずっと力強い上昇の軌道にあることは明らかである旨。IC Insightsは現時点、DRAMおよびNANDフラッシュメモリ市場の並外れた伸びから、2017年のIC市場が16%増えると見ている旨。DRAM市場は今年55%、NANDフラッシュ市場は同35%伸びると見ており、ともに数量の伸びではなくほぼ急上昇の価格に全面的によっている旨。これら2つの市場を除くと、IC市場の伸びの全体は6%増に留まる見込みの旨。IC市場16%増という予想は、不況後の回復の年、2010年の33%増以来の二桁の増加であり、2000年以降では5回目のIC市場二桁増加となる旨。

◇Significant mid-year revision to 2017 IC market forecast (8月2日付け ELECTROIQ)

◇IC Insights revises 2017 IC market forecast to 16% growth-IC Insights forecasts 16% growth for chip sales in 2017 (8月2日付け DIGITIMES)

◇Chip Sales Forecasts Continue to Rise (8月3日付け EE Times)
→市場watchersの2017年半導体販売高予測の上方修正が続いており、見通しの数字がさらに大きくなっている旨。今週IC Insights社が、正式に2017年半導体市場の評価を高めて、16%増の$419.1 billionに達すると見ている旨。急な市場の上昇が昨年後半に始まったことで予測を上方修正している業界watchersの見方では、該改定予測は最も積極的な部類の旨。ここ数ヶ月でGartner社およびWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationがともに劇的に予測を上げており、各々今年約12%増の見通しとなっている旨。

この非常に熱い活況に関連、呼応する市場の動きが相次いでおり、現下の時間軸で取り出してみて以下の通りである。

◇S. Korea's export of chips all-time high in Q2-Data: Korea's Q2 chip exports hit a record (7月29日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Bank of Korea発。第二四半期の韓国の半導体輸出量指数が393.97と最高を記録、前年同期比20.2%増。該指数の基準線は2010年出荷を100としている旨。

◇Silicon wafer shortage starts in 2018 (7月31日付け ELECTROIQ)
→電子材料情報を供給するadvisoryサービスのTECHCET CA発。半導体デバイス製造用シリコンウェーハの供給が、来年から需要にかなり後れをとる見込み、中国での投資にも拘らず2021年まで不足のままとなる可能性の旨。
シリコンウェーハサプライヤのexecutivesは、300-mm拡大の投資を行うにはaverage selling prices(ASPs)が低過ぎるとしている旨。シリコンウェーハsupply-chainは、サプライヤ2社、Shin-Etsu HandotaiおよびSUMCO合わせて2016年のグローバルウェーハ市場の約3分の2を占めており、トップ5社で92%以上になる旨。

◇主要5社4〜6月、半導体メモリ活況、サムスンとSK、営業利益率45%突破、DRAM・NAND、需要旺盛 (7月31日付け 日経産業)
→半導体メモリ主要5社の業績が伸びている旨。2017年4〜6月期決算で、韓国サムスン電子の半導体部門と韓国SKハイニックスの売上高営業利益率は45%を突破。マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタル(WD)の米国勢も高い利益率を確保した旨。東芝が売却手続きを進める半導体メモリ事業も好調で、市況の“春”はしばらく続きそうな旨。

◇Samsung, SK hynix to make record-high investments in 2017 -Samsung, SK Hynix are investing heavily this year (8月1日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→業界筋発。Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが、半導体工場のアップグレードおよび生産拡大で今年合わせて$26.7 billionを投資する可能性の旨。Samsungはすでに、2017年前半6ヶ月で昨年facility投資を行ったのとほぼ同額を費やしている旨。

◇Semiconductor Capex Forecast Raised as Boom Continues (8月2日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)が現時点、今年の半導体業界capital spendingについて10.2%増の$77.7 billionと見ている旨。前回は1.4%増と冷めた予測であった旨。

◇High Hopes for Second Half Smartphone Shipments (8月3日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)によると、第二四半期のスマートフォン出荷は、前四半期比0.8%減、前年同期比1.3%減。しかしながら他の市場watchersと同様、今年後半は戻して、第三および第四四半期ともに前年比伸びると見ている旨。AppleのiPhone新モデルはじめいくつかの次世代flagship handsetsの打ち上げが効く旨。

◇半導体メモリ上昇、7月、指標品3〜13%高、スマホ増産、品不足に拍車 (8月3日付け 日経)
→半導体メモリの大口向け価格が一段と上昇、パソコンに使う指標品の7月納入価格は前の月に比べ3〜13%高くなった旨。スマートフォンの生産が本格化する夏場を迎え、昨年から続く品不足に拍車がかかっており、パソコンなど最終製品の値上がりにつながりそうな旨。
データの長期的な記録に使うNAND型フラッシュメモリは、指標となるトリプル・レベル・セル(TLC)の64ギガビット品が1個3.5ドル前後。前の月と比べ13%高くなった旨。

◇半導体装置3社最高益、4〜6月最終、ディスコは84%増 (8月4日付け 日経)
→半導体製造装置5社の2017年4〜6月期決算が3日、出そろった旨。5社のうち東京エレクトロン、ディスコ、日立国際電気の純利益がそろって過去最高(残る2社は、日立ハイテク、アドバンテスト)。動画の視聴ニーズやオンラインゲームの普及により、同装置の需要がスマートフォンなどの端末から業務用データセンターにも拡大。業績見通しを上方修正する企業も相次いだ旨。各社の業績の牽引役はデータセンター向けの半導体需要の旨。

◇Memory supply to remain tight in 3Q17, says Transcend (8月4日付け DIGITIMES)
→メモリモジュールメーカー、Transcend Information発。DRAMおよびNANDフラッシュメモリ半導体の供給は、2017年第三四半期まで依然逼迫の見込みの旨。メモリ契約価格は短期的には引き続き伸びていく旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

米カリフォルニア州の上級裁判所では売却可否の判断は示されず、代わりに売却が完了する二週間前にウエスタンデジタルに通告するよう求められて、東芝はこれに同意している。東芝株が8月1日、東京証券取引所の第1部から第2部に「降格」となる一方、四日市工場(三重県四日市市)の新製造棟となる第6棟について、生産設備を単独で投資すると発表、ウエスタンデジタルとの駆け引きが続いている。

◇Toshiba Will Give Western Digital Advance Notice of Chip-Unit Sale-Toshiba, WD agree on 2 weeks' notice of sale (7月28日付け Bloomberg)
→東芝が、San Francisco Superior Court Judge、Harold Kahn氏による取引条件、合弁パートナー、Western Digitalに対する半導体事業売却に先立つ2週間前の通告に同意の旨。

◇Toshiba to give Western Digital notice on closing memory sale (7月28日付け Reuters)

◇東芝、喜びなき勝利−米上級裁、メモリ売却の可否判断せず (7月31日付け 日刊工業)
→東芝の半導体メモリ事業売却の予備的差し止めを米ウエスタンデジタル(WD)が求めた訴訟で、米カリフォルニア州上級裁判所は判断を示さなかった旨。WDの請求を事実上退けた格好。東芝は売却手続きを進め、産業革新機構を軸とする「日米韓連合」などと最終契約の締結を急ぐが、ただ係争状態が売却を妨げる状況は変わっていない旨。上級裁の判断が東芝にもたらしたのは、喜びのない勝利というのが実情の旨。

◇Toshiba Agrees to Give Western Digital Notice of Sale (8月1日付け EE Times)

◇東芝、上場維持へ3要件、きょう東証2部に降格、まず監査で「適正意見」焦点 (8月1日付け 日経)
→東芝株は8月1日、取引市場が東京証券取引所の第1部から第2部に「降格」となる旨。大手電機では2016年のシャープに次ぐ2例目。2017年3月末時点で債務超過となり、1部上場基準に抵触した旨。次は上場維持が焦点になるが、債務超過の解消や監査法人の適正意見付き有価証券報告書の提出など、3つのハードルが待ち受ける旨。

◇How Toshiba's sale of $18 billion chip unit stalled, and what's next-When will Toshiba sell its chip unit? (8月2日付け Reuters)
→東芝の米国原子力事業からの損失を埋めるための半導体事業売却計画が、いくつかの厄介な問題からここ数週間滞っている旨。Western Digitalは、NANDフラッシュメモリデバイスの製造で東芝とは合弁パートナーであり、自らが買い手として考えられるべきとしている旨。

◇Toshiba Cuts WD Out of New Fab Investment (8月3日付け EE Times)

◇Toshiba Memory's investment in production equipment for Fab 6 at Yokkaichi Operations (8月3日付け ELECTROIQ)

◇Toshiba to Build Chip Plant Without Partner Western Digital-Toshiba will go it alone on a new memory fab (8月3日付け Bloomberg)

◇Toshiba to invest in chip line without JV partner Western Digital (8月3日付け Reuters)

◇東芝、四日市工場新棟に単独投資、WDの譲歩狙う (8月3日付け 日経 電子版)
→東芝は3日、半導体メモリ主力拠点の四日市工場(三重県四日市市)の新製造棟となる第6棟について、生産設備を単独で投資すると発表、メモリ事業子会社の東芝メモリが1950億円を投じる旨。共同投資相手の米ウエスタンデジタル(WD)とは事業売却を巡って対立が続き、東芝は「合意に至らなかった」として単独投資を決めた旨。WDに揺さぶりをかける狙いもある旨。

【Intel 対 Samsung】

四半世紀ぶりのこと、少なくともこの4-6月四半期について、半導体販売高トップベンダーの座が、IntelからSamsungに替わったとされているが、その余波とともにデータの中身について精査を要するところとなりそうである。

◇25-year Reign Finished: Intel Loses Throne of Leading Chip Producer to Samsung Electronics -Samsung Electronics surpassed Intel to become the leading maker of the computer chips and even SK Hynix is hot on its trail. (7月31日付け BusinessKorea)

◇Samsung semiconductor revenues eclipse Intel's, says IHS (8月1日付け DIGITIMES)
→IHS Markitの第二四半期半導体販売高トップ2ベンダーの見方。Intelの該四半期半導体売上げは$14.7 billion、third-party販売高あるいはファウンドリーoperationsなどnon-semiconductor売上げを差し引いて、merchant市場半導体売上げが$14.4 billion。Samsungは半導体全体売上げが$15.5 billion、これにはファウンドリーサービス売上げ$1.1 billionが含まれ、差し引き$14.4 billionの旨。

【Nanyaの動き】

台湾のDRAMメーカー、Nanya Technologyの生産増強そして先端プロセスの社内開発と、積極的な動きが以下の通りである。DRAMの活況とともに、小口の顧客のIoT関連需要への対応で独自の市場開拓&展開につながっている模様である。

◇Taiwan's Nanya Technology to invest $1.85 bln to boost memory chip output-Nanya will spend $1.85B on memory chip expansion (8月1日付け Reuters)
→Nanya Technologyが、メモリ半導体の生産拡大に向け$1.85 billionを予算化、韓国および中国のDRAMメーカーから市場シェアを獲得する期待の旨。該資金は、20-nm半導体製造へ移行するなか、生産装置とともに新しいheadquartersおよびウェーハfab拠点の建設に向けられる旨。

◇Nanya mulls developing 10nm DRAM technology in-house-Nanya may develop 10nm DRAM technology (8月2日付け DIGITIMES)
→Nanya Technologyが、Micron Technologyから1xおよび1y DRAM技術のライセンス供与を受け、10-nmプロセスの社内開発を考えている旨。同社は、中国の半導体メーカーとのDRAM競合増大に直面している旨。

◇台湾DRAMの南亜科技、IoT追い風、4〜6月営業利益2.5倍、小口顧客、600社超開拓 (8月4日付け 日経)
→DRAM世界4位、台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)の業績が苦境を脱し急回復している旨。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」需要の追い風を受け、DRAMの用途や顧客が拡大している旨。韓国サムスン電子など大手3社が対応しにくい小口の顧客を開拓できる強みも生かしている旨。
南亜の2017年4〜6月期の本業の稼ぐ力を示す連結営業利益は41億台湾ドル(約150億円)と前年同期比2.5倍。市況の改善に加え、IoT需要を担う中小顧客向けの供給が伸びた旨。南亜は1日、新北市で新本社の落成式典を開催、総投資額は557億台湾ドルで大部分は直結する新工場に投じた旨。先端技術は提携するマイクロンに頼ってきたが今後は独自でも開発・生産に取り組む旨。技術的な相乗効果をどう生み出すかがカギになりそうな旨。

【対中摩擦】

中国との摩擦として、まずは米国の通商面での調査が本格化している。かつての日米半導体摩擦でのキーワードであるUSTR、通商法301条など、改めて思い起こすところがある。

◇Trump Administration Is Said to Open Broad Inquiry Into China's Trade Practices-US reportedly to investigate Chinese trade practices (8月1日付け The New York Times)
→重要技術におけるグローバルリーダーになるという中国の活動に懸念を抱くWhite Houseが、中国関連の通商面を調査する計画、米国のintellectual property rights(IPRs)侵害の可能性などの旨。該作業は、Office of the US Trade Representative(USTR)で始められる旨。

◇US may get tougher against China trade policies (8月2日付け Fox News)

◇米、中国に通商法301条検討、不公正貿易なら制裁も (8月2日付け 日経 電子版)
→トランプ米政権は1日、巨額の貿易赤字を抱える中国に不公正な貿易慣行がないか、米通商法301条に基づく調査を始める検討に入った旨。同法301条は不公正貿易があると判断すれば、大統領権限で関税引き上げなどの制裁を科せる旨。トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル問題を巡って中国に不満を強めており、通商面から圧力をかける意図がありそうな旨。

韓国のSamsungからは、中国メーカーからの人材の引き抜きについての苦言が呈される状況が見られている。

◇Chip industry suffers manpower shortage -Samsung struggling to stop brain drain-Sources: IC industry needs more engineers (8月1日付け The Korea Times (Seoul))
→より多くのエンジニアが中国メーカーに引き抜かれて、Samsung Electronicsが人材不足に直面している旨。「中国の半導体業界を高めていく動きは、長期的な観点から脅威と考えられる」と、今年株主に語ったSamsung ElectronicsのVice Chairman、Kwon Oh-hyun氏。

【シーテック】

エレショーからCEATEC JAPANと、家電・ITの我が国最大の展示会も、時代の波を受けて模様替えされてきているが、この秋には以下の通り異業種の初出展が行われるとのこと。取り巻く枠の広がりが著しい様相が強まっている。

◇IT見本市「シーテック」に日銀・メガバンク参加 (7月31日付け 日経 電子版)
→10月に開催予定の日本最大の家電・IT見本市「シーテック(CEATEC)」(3-6日:幕張メッセ)に、日銀やメガバンクが参加することが明らかになった旨。三井住友フィナンシャルグループが初出展し、日銀やみずほフィナンシャルグループは金融とITが融合した「フィンテック(Fintech:financial technology)」がテーマの関連会議に参加する旨。シーテックの主役は電機メーカーだが、フィンテックの普及などを受けて異業種の存在感も高まってきた旨。

◇「シーテック」に工作機械初出展、“IoT色”鮮明 (8月1日付け 日刊工業)
→10月3日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕するIT・電機の展示会「シーテックジャパン2017」に、工作機械メーカーが初出展する旨。現時点でファナック、アマダホールディングス、ジェイテクトの3社が参加を決定。
家電見本市として発展してきたが、IoT(モノのインターネット)総合展への転換を図っており、IT・電機の枠を超え出展者が広がっている旨。


≪グローバル雑学王−474≫

グローバル対応が進んで海外からの来訪、特に観光客の多さを身近にも感じるが、この時代のもとでの経済政策について見るとどうか、浮かび上がる問題点を、

『世界経済の「大激転」――混迷の時代をどう生き抜くか』
 (浜 矩子 著:PHPビジネス新書 378) …2017年6月1日 第1版第1刷発行

より辿り考えてみる。マイナス金利まで導入、デフレ脱却を図っている我が国であるが、物価上昇もなかなか目標には至らず、日銀総裁の記者会見のネット中継をしばしば目にし、達成時期の先送りが繰り返されている。国を越えて行き来するハードルと各国の経済政策の織り成しというものに改めて注目するところである。


第2章−1 簡単越境時代がもたらす政策不全 ――国境無き時代に翻弄される国々

1 国々の政策はなぜ無力化するのか

●レスキュー役を果たせない経済政策
・本章のテーマは政策、より厳密にいえば、経済政策
 →まさしく国々の経済運営に異変が生じている
・経済政策は、民間経済に対する外付け装置
 →民間経済が変調を内的な矯正力で解消することができなくなったときの手助け役
・レスキュー役としての機能を、経済政策が上手く果たせなくなってきている

●経済政策はどのように置いてきぼりを食っているのか
・国々の経済政策がグローバル時代の経済活動に追いつけていない
 →どのような形で国々の経済政策がグローバル時代に置いてけぼりを食っているのかを見定めておく必要
・グローバル時代においては、経済政策においても国境の内と外の区別がつきにくくなってくる
 →各国の経済政策が何かにつけて機能不全に陥り、人々の政策不信が深まる
 →激転妖怪たちが付け入る隙が出来てしまう

●対内・対外から機能不全ぶりを見る
・対内政策 …金融・財政政策
 対外政策 …通商政策と為替政策
 →この区分けを使って政策の今日的機能不全ぶりを見ていく
 →間隙めがけて、妖怪たちはどのような劇薬を注入しようとしているのか

2 金融政策は誰のため?

●カネが伸び伸びと地球上を駆け巡る時代
・グローバル化によって最も振り回されて来たのが、国々の金融政策
・金融緩和政策が取られれば、その国の中ではカネ余り状態が現出
  …いまや「マイナス金利」にまで踏み込む金利の引き下げ
  …2001年に日本が初めて導入した量的緩和
 →経済活動が全体として活発化、デフレ状態からの脱却が実現
 →従来はそうだった
・グローバル化が一枚噛んでくると、カネが容易に国境を越えるようになっている
 →制度的にも技術的にも、カネがあまりにも伸び伸びと地球上を駆け巡るように
 →それが今日の経済的時代状況

●資金流出をもたらすデフレ国の金融緩和
・金融緩和が進めば、カネの借り手にとってはカネが借りやすくなる
 →カネを貸す側にしてみれば、カネを貸すことで金利を稼げる余地が小さくなる
・グローバル金融の伸び伸び感を生かして、海外にカネを出稼ぎに出そうという流れに
 →金融緩和国から流れ出るカネの受け皿となった他の国の中で、金融緩和効果が出てしまう
 →金融緩和の輸出現象が発生
・一国が金融を緩和すると、その国で余ってきたカネは高金利を確保できる高金利国目がけてどんどん出稼ぎに出て行ってしまう

●新興国のインフレ経済が引き寄せる出稼ぎ資金
・出稼ぎ資金の受け皿となる国にとっても、なかなか厄介な問題
・ある国において、デフレとは逆のインフレ退治が課題になっているとする
 →金融引き締めを実施しても、出稼ぎ資金の流入で効果が薄まってしまう
 →自国経済の発展を進めようとしている若い国々の場合がそうなる
 →経済発展がもっぱら外国資本依存型に

●天地がひっくり返るグローバル時代の金融政策
・先進諸国の長引く金融大緩和に対しては、実際に新興諸国から以上の観点からの苦情の投げかけ
 →新興国クレーマーの代表格を務めてきたギド・マンテガ(Guido Mantega)氏
  …2006年から2015年までブラジルの財務大臣
・グローバル時代における国々の金融政策は、実に奇妙な論理に逢着
 …金融緩和効果を目指す国は、金融を引き締めなければならない
 …金融を引き締めたい国は、金融緩和することが必要
 →まるで天地がひっくり返ってしまったような有様

●金融鎖国状態は激転妖怪を喜ばせる
・堤防強化作戦に向かって国々が突き進み出すということになると、喜ぶのは激転妖怪たち
 →国々が金融鎖国状態を選択するということになれば、地球経済はズタズタに切り刻まれていく
 →こうなってしまわないためにどうするか。さらに探索を進めていかなければならない。

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