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メモリ高値が押し上げる$400 billion大台の分析と今後の読み&備え

$400 billionを超える年間半導体販売高の予測を受けて、DRAMおよびNANDフラッシュメモリの高値が引っ張ってともに最高の販売高を記録しそうなことが大きな原動力になっているという分析の一方、この勢いを維持していく上では魅力的な新分野の開拓、立ち上げとともに最先端の半導体設計、プロセスの日進月歩の展開が欠かせないということで、今後に備える読みや備えの活発化を受け止めている。需給逼迫がもたらしている昨年後半以来のメモリの高値が牽引している現況であるだけに、一層の成り行きである。

≪先行きへの対応力≫

DRAMおよびNANDフラッシュメモリが引っ張る本年の世界半導体販売高を、IC Insightsが以下の通り15%増の$419.1 billionと予測している。いつまでこの活況が続くかが最大の関心事となるが、DRAMおよびNANDのaverage selling prices(ASPs)の四半期毎伸び率がともに2016年第四四半期が20%を越えてピークであり、今年に入って依然プラスの高水準ながら低下していく流れとなっている。以下の通り今年後半は鎮静化していくという読みに、当分目が離せないところである。

◇2H17 DRAM, NAND ASP growth to cool, but yearly growth strong (7月18日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが、Mid-Year Update to The McClean Report 2017(7月末リリース予定)にて、2017年DRAMおよびNANDフラッシュメモリ市場の驚くほどの伸びを扱っている旨。2016年第三四半期から2017年第二四半期までで、四半期ASP伸び率平均がDRAMで16.8%、NANDで11.6%という力強さの旨。

◇IC Insights predicts record annual ASP growth rates for DRAM, NAND flash (7月18日付け DIGITIMES)

◇Record Chip Content in Electronics Projected (7月19日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)発。electronicシステムでの半導体搭載平均額が、DRAMおよびNANDフラッシュメモリの平均売価上昇から2017年は最高を記録する見通しの旨。今年のグローバルelectronicシステム市場が2%増の約$1.49 trillionと見込まれる一方、半導体市場は15%伸びて$419.1 billionに達する見込みの旨。

◇Memory Chip ASP Growth Expected to Cool in Second Half (7月19日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)発。DRAMおよびNANDフラッシュメモリの販売高が、逼迫した供給の渦中、2017年はともに新記録となる見込みであるが、average selling prices(ASPs)の白熱した伸びは年末までに鎮静化する見込みの旨。DRAM ASPsが今年、63%高まる見通しの一方、NAND ASPsは33%伸びる見込み、ともにそれぞれASPの最高の伸びとなる旨。DRAM四半期ASPの伸びは2016年第四四半期にピークを示し、第三四半期まで引き続き伸びた後、第四四半期に僅かにマイナスに転じてcyclical upturnの終わりになると見ている旨。

◇Sales of DRAM, NAND flash memory to hit record high in 2017-IC Insights: Chip sales to hit $419B in 2017 (7月19日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→IC Insightsの予測。今年の世界半導体販売高は15%増の$419.1 billion、この伸びの大方はDRAMsおよびNANDフラッシュメモリデバイスの価格上昇が引っ張っている旨。

現下の活況に続く先行きへの対応力が問われるところとなるが、まずは本年業界首位の座が見えてきているSamsungは、3D NANDフラッシュの生産拡充を進めている。

◇Cementing No.1 Position: Samsung Electronics to Expand 3D NAND Flash Plant-Samsung to expand fab line for 3D NAND flash (7月17日付け BusinessKorea magazine online)
→Samsung Semiconductorが、第4世代3D NANDフラッシュメモリデバイスの世界需要に対応、韓国のPyeongtaek(平沢) Line 1の拡張を前倒しの旨。
Samsungは、サーバおよびsolid-state drives(SSDs)用3D NANDフラッシュ半導体の供給で東芝およびSK Hynixに優っているとみられる旨。

また、今後に向けて大きく有望視されるartificial intelligence(AI)応用向けのhigh-bandwidth memory(HBM) DRAMsの生産を高めている。

◇Samsung expands production of high-performance DRAM for AI systems-Samsung makes more HBM2 DRAMs for AI systems (7月18日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、artificial intelligence(AI)応用に向けて第2世代high-bandwidth memory(HBM) DRAMsの生産を高めている旨。次世代8GB HBM2 DRAMのリリースを通して、いろいろなグローバルclientsとのビジネス協力を拡大していく旨。

◇Samsung ramps up high bandwidth DRAM production (7月18日付け The Korea Herald (Seoul))

◇Samsung ramps up high bandwidth DRAM production (7月19日付け The China Post)

◇Samsung increases production of 8GB HBM2 (7月20日付け DIGITIMES)

次に、Apple対応はじめファウンドリープロセスにおいても、SamsungとTSMCの間の最先端の凌ぎ合いが以下の通り一層熱を帯びてきている。

◇Samsung reportedly to accelerate development of 6nm process (7月17日付け DIGITIMES)
→韓国メディア発。Samsung Electronicsが、ファウンドリープロセス向け技術ロードマップを改訂する備え、6-nmプロセスを2019年後半に量産化する狙いの旨。Samsungは当初、6-nmプロセスの試作生産を2019年に始める計画であった旨。台湾の半導体業界筋によると、Samsungは7-nmプロセスの開発でTSMCに後れをとっており、それゆえ2019年にQualcommおよびAppleがリリースする先端半導体発注に向けてTSMCと実効的に競えるよう該6-nmプロセスを早める意向の旨。TSMCは最近、7-nmプロセスについて13件のtape-outsを受けており、7-nmプロセスの量産を2018年に始める運びとしている旨。

◇TSMC expanding number of equipment suppliers for 7nm (7月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、ecosystem pricing balanceを維持すべく7-nmプロセスに向けた装置サプライヤ数を拡げており、Applied Materials, Lam Research, Tokyo Electron, Hitachi High TechnologiesおよびAdvanced Micro-Fabrication Equipment(AMEC)がすべて当該リストに入っている旨。

◇TSMC InFO packaging brings more competitiveness to its 7nm process technology (7月20日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。TSMCのintegrated fan-out(InFO) wafer-level packaging(WLP)技術が第2世代に入ろうとしており、同社の7-nm FinFETプロセス技術に一層の競争力をもたらす旨。TSMCが社内で開発したInFO wafer-level packagingは同社7-nm FinFET技術をSamsungよりも競争力を高めて、SamsungがAppleのiPhone向けapplicationプロセッサ受注を取り戻せそうにない旨。

そして、最も大きくそして伸びる市場の中国であるが、これはなかなか一筋縄ではいかず大きく振れる先行きの読みとなっている。

◇China will dominate the global semiconductor market in the next 5 years (7月19日付け ELECTROIQ)
→中国の半導体市場が驚異的な速さで引き続き伸びており、中国のelectronicsおよびtelecom業界の現状のbackboneである中国の半導体メーカーは、ウェーハfab装置への投資など新しい流れで革新を引っ張っている旨。中国の半導体消費および半導体製造全体も近年急速に伸びている旨。BizVibe(Bengaluru, Karnataka, India)は、中国が向こう5年以内に米国を追い越してグローバル半導体市場のリーダーになると見ている旨。

◇Made in China 2025: Who Cares? (7月20日付け EE Times/AspenCore Global Report)
→近年、学者、consultancies, 市場調査会社, およびなかんずく中国政府が、中国の製造競争力におけるグローバルな優位が続けられるのか、疑問視し始めている旨。“2016 Global Manufacturing Competitive Index”を著わした証券コンサル、Deloitteによると、Asia-Pacificの5か国、Malaysia, India, Thailand, Indonesia, およびVietnamが向こう5年にわたる製造競争力トップ15ヶ国に入り込んでくる見込み、まもなく“New China”となる可能性の旨。

Internet of things(IoT)に向けた200mm Fabの展開に期待がかかる先行きの中で、足元の製造装置の昨年後半からの大きな伸びが続く現時点となっている。

◇Megatrends Drive 200mm Fab Renaissance -Strategies to Maximize “More than Moore” Foundry Growth and Profitability-Analysis: What's causing demand for 200mm fabs (7月14日付け EE Times/Blog)
→Quora Technology, Maja Systems, MythicおよびSiFiveなど最も革新的な半導体およびIoT各社のadvisorであり、configurable mixed-signalを開拓するSilego Technology(Santa Clara, CA)の販売&ビジネス開発を率いるMike Noonen氏記事。200-mmウェーハfab拠点に向けた需要増大を巡る業界の流れについて。今日の市場はinternet of things(IoT)が引っ張っており、単一ではなく多様な末端市場&応用である旨。

◇Installed 8-inch fab capacity to rise through 2020, says SEMI (7月18日付け DIGITIMES)

◇半導体装置販売、6月は53%増、10カ月連続プラス (7月21日付け 日経)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)が20日に発表した6月の日本製半導体製造装置の販売額(3カ月移動平均、速報値)は前年同月比53.6%増の1530億円。
半導体メモリ向けの設備投資が活発で2016年9月から10カ月連続で前年を上回った旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

米カリフォルニア州の上級裁判所での審議が来る28日に持ち越しになる一方、日米韓連合の足並みに向けてSK Hynixは東芝のメモリ半導体事業における議決権は求めない動きとなっている。また、米国控訴裁の判断を受けて、東芝は米ウエスタンデジタル社員による情報アクセスを遮断する措置を再開、サンディスク社員は継続的にアクセス可能という状況となっている。

◇U.S. judge postpones decision in bid to block Toshiba memory unit sale (7月14日付け Reuters)

◇革新機構、東芝メモリ出資方針決定見送り、WD訴訟控え (7月15日付け 日経)
→官民ファンドの産業革新機構が14日、意思決定機関の「産業革新委員会」を開き、東芝の半導体メモリ子会社、東芝メモリへの出資方針を議論した旨。米投資ファンドのベインキャピタルなどとの日米韓連合での買収計画を改めて確認、ただ東芝の協業先の米ウエスタンデジタル(WD)の訴訟の審問を間近に控えており、出資に向けた正式決定は見送った旨。日米韓連合の中では韓国メモリー大手、SKハイニックスの資金の出し方について意見が対立している旨。

◇INCJ won't sign Toshiba memory unit deal if SK Hynix demands voting stake, chief says (7月15日付け The Japan Times/Jiji Press)

◇SK Hynix drops demand for voting stake in Toshiba chip unit-Sources: SK Hynix won't seek voting rights in deal (7月16日付け The Japan Times/Jiji Press)
→共同で入札しているInnovation Network Corp. of Japan(産業革新機構)が反対して、SK Hynixは東芝のメモリ半導体事業における議決権をもはや要求していない旨。一方、San Franciscoの裁判官は東芝の半導体部門売却を阻止を求める訴訟における決定を先延ばしの旨。

◇Toshiba says it again is blocking Western Digital access to chip JV-Toshiba denies WD access to chip JV's data (7月19日付け Reuters)

◇東芝、WDへの情報アクセス遮断を再開、米控訴裁判断受け (7月19日付け 日経 電子版)
→東芝は19日、半導体メモリ事業の売却を巡って対立する米ウエスタンデジタル(WD)社員による情報アクセスを遮断する措置を再開したと発表、米国時間18日に米カリフォルニア州控訴裁判所が東芝側の主張を認めたための旨。東芝は「機密情報を不正に取得している」としてWD社員による情報アクセスを遮断しており、深刻な対立状態が続いている旨。
東芝、WDの両社は共同で開発データのサーバにアクセスしながらメモリ技術の開発を分担しており、WDが2016年5月に東芝の協業先だったサンディスクを買収したが、WDと東芝は直接的な契約を交わしていない旨。そのため東芝はWDによる東芝側サーバへのアクセスを「不正な機密情報の取得」と認定している旨。サンディスク社員は継続的にアクセス可能な状態の旨。

【四半期業績(1):Qualcomm】

高過ぎるlicensing feesおよび不法なlicensing practicesを責められて、AppleそしてEuropean Union(EU)との係争沙汰の渦中にあるQualcomm社が、やはり大きく落ち込む直近四半期業績となっている。改めて手元の豊富な資金力に注目するところがある。

◇Qualcomm Faces Fines After Losing Court Bid in EU Probe-EU may fine Qualcomm $665K a day over antitrust probe (7月17日付け Bloomberg)
→Qualcomm社が、同社販売戦術への公正取引に向けた情報供給を求めるEuropean Union(EU)の命令を阻止するcourt bidが得られず、1日当たり580,000 euros($665,000)の罰金に直面している旨。

◇Qualms Becalm Qualcomm at Quarter's End-Is pending NXP acquisition at risk? (7月19日付け EE Times)

◇Qualcomm tops Q3 targets, revenue down 11 percent-Qualcomm said revenue was $5.4 billion, down 11 percent year over year.-Qualcomm boosts chip sales, despite legal woes (7月19日付け ZDNet)
→Qualcommが、第三四半期の間に187 million個のMobile Station Modem半導体を出荷、現預金を前四半期の$28.9 billionから$37.8 billionに高めている旨。この業績結果は、同社がロイヤリティ支払いを巡るAppleおよびアジアのcontractメーカーからの増大する法的難題に直面する中で出ている旨。

◇Apple's iPhone Manufacturers Join Legal Counter Against Qualcomm (7月19日付け Bloomberg)

◇Qualcomm: All in the Chips -Surprisingly strong chip sales at Qualcomm overshadowed by growing dispute with Apple and uncertainty about the ultimate fate of its NXP acquisition (7月19日付け The Wall Street Journal)

◇Regs, Royalties Drag Down Qualcomm (7月20日付け EE Times)
→Qualcommの2017年第三四半期売上げが$5.4 billion、前年同期($6 billion)比11%減。

◇クアルコム、アップルとの知財紛争が泥沼化、4〜6月4割減益 (7月20日付け 日経 電子版)
→米半導体大手、クアルコムが19日に発表した4〜6月期の売上高が前年同期比11%減の$5.371 billion、純利益が同40%減の$866 million(約969億円)、同社の独占的な地位を問題視する米アップルとの司法対立の影響で、特許料の支払いが止まっているため収益が悪化している旨。特許収入で稼ぐ部門の売上高は同42%減の約$1.2 billionと大幅な落ち込み、主な原因は半導体の供給先であるアップルによる特許料の支払い凍結の旨。

◇Qualcomm net profits fall 40% in fiscal 3Q17 amid Apple dispute (7月20日付け DIGITIMES)

◇Four Taiwan firms file countersuit against Qualcomm (7月21日付け DIGITIMES)
→台湾のAppleのハードウェア生産パートナー4社、Foxconn Electronics, Compal Electronics, WistronおよびPegatronが共同で、Qualcommを相手取って米国で対抗提訴、過剰なlicensing feesおよび不法なlicensing practicesを問題としている旨。Qualcommは、これら4社を相手取ってロイヤリティ不払いで5月に提訴、Appleが該4社にロイヤリティ決済を控えるよう伝え、その不履行から生じる損害に対する賠償に同意したとしている旨。

【四半期業績(2):ASMLとTSMC】

メモリの高値が引っ張る活況の半導体市場の現況を上でかみ砕こうとしているが、メモリ関連装置の売れ行きが引っ張るASMLと4〜6月四半期に低迷要因に見舞われているTSMCとの対比が以下の通りである。

◇Chip Gear-Maker ASML Sees 25% Revenue Growth This Year-ASML forecasts 25% revenue growth for 2017 (7月19日付け Bloomberg)
→ASML Holdingの第二四半期販売高が前四半期比8%増の2.1 billion euros、利益が同3%増の466 million euros、一方、第三四半期売上げが約$2.5 billionと予想している旨。「ASMLは約25%増の年間net販売高を達成する軌道にある」と、ASMLのCEO、Peter Wennink氏。

◇ASML Posts Strong Sales as EUV Orders Surge (7月20日付け EE Times)
→半導体lithography装置ベンダー、ASML Holdings NV(Veldhoven, the Netherlands)の第二四半期販売高が2.1 billionユーロ、前四半期比8%増。

◇ASML expects 25% growth in 2017 sales (7月20日付け DIGITIMES)

◇台湾・TSMC、純利益9%減、4〜6月 (7月19日付け 日経産業)
→半導体受託生産の世界最大手、TSMC(台湾積体電路製造)の2017年4〜6月期連結決算。売上高が前年同期比4%減の2138億台湾ドル、純利益が同9%減の662億台湾ドル(約2400億円)。四半期ベースの減益は2016年4〜6月期以来。台湾ドル高や中国のスマートフォン市場の減速が響いた旨。

【四半期業績(3):旧来の巨人】

マイクロソフトとIBM、この長きにわたる巨艦プレーヤーについてもクラウド事業への乗り加減、在来の根幹事業の転換具合から結構な対比が以下の通り見られている。

◇米マイクロソフト、4〜6月純利益2倍、クラウド倍増 (7月21日付け 日経 電子版)
→米マイクロソフトが20日に発表した2017年4〜6月期決算。全体の売上高が前年同期比13%増の$23.317 billion、純利益が同2倍の$6.513 billion(約7300億円)。力を入れるクラウドサービス「アジュール」の販売が倍増するなど、基本ソフト(OS)のウィンドウズに頼らない事業の構造転換が実りつつある旨。

◇米IBM純利益、4〜6月6.9%減、競合のクラウドに遅れ (7月21日付け 日経産業)
→米IBMの2017年4〜6月期決算。売上高が前年同期比4.6%減の$19.289 billion(2兆1600億円)で21四半期連続減収、純利益も同6.9%減の$2.331 billion。競合のクラウド事業に弾みがつき、従来型のハードウエアやITサービスの収入減少に苦しんだ旨。一方、人工知能型コンピューター「ワトソン」は好調に推移。成長事業と位置づけるビッグデータやセキュリティーなど5事業の売上高は同5%増えた旨。

【Intelの底力】

メモリの高値にプレゼンスが押されがちなIntelとなっている現時点であるが、プロセッサ市場での実力、懐の深さを改めて感じる以下の内容を受け止めている。

◇Here's how Intel plans to change the mainstream processor market-Mainstream processors are Intel's bread-and-butter, but declining PC sales are putting the squeeze on the company. But Intel is turning to an old trick to get people to interested in its next-generation silicon.-Report: Intel to stir up processor market with Coffee Lake chips (7月18日付け ZDNet)
→quad-core半導体が席巻するプロセッサ市場でIntelが、six-core Core i5およびCore i7 "Coffee Lake-S" desktopプロセッサをリリースしようとしている旨。また、lower-end six-core Core i5 8600Kプロセッサのリリースの計画もある旨。

◇Intel strikes back in x86 server CPUs (7月18日付け EE Times India)
→IntelのSkylakeのplatinum 8180および8160バージョンが、Specint_rate2006 benchmarkについてAMDのEpyc 7601を性能で2%〜28%、性能/wattで12%〜22%上回る旨。


≪グローバル雑学王−472≫

「激転」の世の中に邁進する「妖怪軍団」と、筆者独特の表現になる分析の目がいよいよ我が国を向いて、

『世界経済の「大激転」――混迷の時代をどう生き抜くか』
 (浜 矩子 著:PHPビジネス新書 378) …2017年6月1日 第1版第1刷発行

より、「衝撃的」な安倍首相の本年の施政方針演説のポイント6点に注目していく。戦前とか、建国神話とか、戦後の高度経済成長を上り詰めた後の失われた何10年からの脱却がいまだ難しく尾を引く気分の中、はるかかけ離れたものを感じるところである。上にここのところ示し続けている世界の半導体業界の活況を見るにつけ、どうしても"世界を引っ張る優位性の確保"に意識が向かって離れないものである。


第1章−4 妖怪万華鏡時代 ――「激転」に向かって突き進む魔物軍団

5 建国神話の世界を目指す妖怪アホノミクス

・いよいよ日本に足を踏み入れ、妖怪アホノミクス的最新事情へ
 →激転の力学の本質的な部分、つまりは最も怖いところがよく見えてくる

●トランプ演説より衝撃的だった安倍首相の演説
・2017年1月20日は、日米両国でビッグデー
 →アメリカでは、トラ鬼大統領の就任式
 →日本では、安倍総理大臣の施政方針演説
  →激転問題との関わりでいえば、トランプ演説よりもはるかに衝撃的なもの
・6つの衝撃ポイント
 →以下、(1)から(6)で示す

●「戦後レジームからの脱却」の行く先
・衝撃ポイント(1)
 →この演説の始まり方…真珠湾への言及から
 →2016年12月、安倍首相はアメリカのオバマ前大統領とともにハワイの真珠湾を訪問
  →(筆者は、)安部氏の「脱戦後宣言」に違いないと考える
  →戦後レジームから脱却するとは、どういうことか
   →戦後がいやなら、戦前に戻るほかはない
    …大日本帝国という名の世界

●真珠湾訪問と「脱戦後」
・本演説では、真珠湾訪問に言及した上で次の下り
 →「戦後70年余り、今を生きる私たちもまた、立ち上がらなければならない。『戦後』のその先を時代を拓くため、新しいスタートを切る時」
 →真珠湾訪問は、「脱戦後」というモチーフと一体に

●何でもかんでも国創り
・衝撃ポイント(2)
 →何とも引っ掛かる「新しい国創りに挑戦する」という言い方
 →該演説の「はじめに」と「おわりに」に挟まれた5つの本論
  ・世界の真ん中で輝く国創り
  ・力強く成長し続ける国創り
  ・安全・安心の国創り
  ・一億総活躍の国創り
  ・子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り
  →これでもかというほどに、「国創り」の発信
  →今、なぜ改めて「国創り」か? 深まる疑念

●演説の冒頭に外交安全保障
・衝撃ポイント(3)
 →該施政方針演説の全体構成
  →「世界の真ん中で輝く国創り」で始まる本論
   …安倍政権誕生以来、今回が初めて
・外交安全保障上の日本のスタンス
 →「地球儀を俯瞰する外交」という表現も
 →ここにきていよいよ「戦後レジームからの脱却」への前傾姿勢が本格化
 →妖怪の本音と本性がいよいよ本格的に前面に

●世界の真ん中で輝く
・衝撃ポイント(4)
 →外交安全保障を扱った本文冒頭セクションのタイトル
  →「世界の真ん中」という言い方
・我は太陽、彼ら他の者は惑星
 →自分を軸に世界が回るようにしなくちゃ

●今度こそ、インド洋まで
・衝撃ポイント(5)
 →「アジア、環太平洋地域からインド洋に及ぶ」広範な地域に、その平和と繁栄を自分たちが確固たるものにしていく
 →ほかならぬ戦前の東亜共栄圏をはるかにしのぐ広がり、何とも怖い

●建国神話の世界への不気味なお誘い
・衝撃ポイント(6)
 →「次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか」という言い方
 →建国神話の世界への不気味なお誘いが顔出し

●戦前世界に向かっての大激転
・「どのような国にか、その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」
 →頼んでもいない「国創り」の案を我々に提示
 →しかも、それを憲法改正に結びつけて考えている
・以上、施政方針演説2017に表れた妖怪アホノミクスの心象風景
 →かつてなく高ぶった激転志向が充満

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