$400 billionの大台を一気に超える読みのなか、業界各分野への波紋
昨年10月からこの5月まで8ヶ月連続で$30 billionを上回ったという米SIAからの世界半導体販売高の発表を受け、また、スマートフォンはじめモバイル機器の新モデルがこれから打ち上げられ市場を活性化する期待感もあって、10%台半ば増の$400 billionを超える本年の予測があらわれてきている。久方ぶりの昔懐かしい感じ方のある二桁の伸び、そして2010年の$300 billion以来の大台越えとなる。早々に半導体製造装置業界、ファウンドリー業界、そして半導体intellectual property(IP)業界それぞれの波紋が浮き出ており、半導体市場の動きとともに今後に注目である。
≪それぞれの分析と戦略≫
Gartner社およびIC Insights社から、それぞれに$400 billion超えの本年世界半導体販売高予測が発表され、業界各紙それぞれの受け止め方が以下の通り表わされている。
◇Chip Sales Now Expected to Top $400 Billion (7月11日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)からの改定予測。2017年の世界半導体販売高が今や初めて$400 billionを上回る見込みの旨。メモリ半導体市場における逼迫が、半導体市場全体の活況を作り出している旨。グローバル半導体売上げは、2000年に$200 billionを越え、2010年に初めて$300 billionを上回った経緯の旨。
◇Semiconductor market to top $400bn-This will be the first time semiconductor revenue has reached $400 billion. The market reached the $300 billion milestone seven years ago, in 2010, and $200 billion in 2000.-Gartner: 2017 chip sales set to exceed $400B (7月11日付け Electronics Weekly (UK))
→Gartner発。2017年の世界半導体売上げが$400 billionを越える見込み、大方はメモリ半導体の販売高拡大による旨。このメモリの活況は、1992年以降No. 1の座にあるIntelを追い抜いて、Samsung Electronicsを半導体販売高首位に持ち上げる可能性がある旨。
◇Worldwide semiconductor revenues to top US$400 billion in 2017, says Gartner (7月12日付け DIGITIMES)
◇Worldwide semi revenue to hit $400 billion in 2017 (7月13日付け Evertiq.com)
→Gartner社発。2017年の世界半導体売上げが、2016年から16.8%増の総額$401.4 billionになる見込み、$400 billionを越えるのは初めての旨。
◇韓経:今年の世界半導体市場、4000億ドル超か (7月13日付け 韓国経済新聞/中央日報日本語版)
→世界半導体市場の規模が4000億ドルを超えるという見方が強まっており、こうした好況は少なくとも2019年4-6月期まで続く見込みの旨。市場調査会社、ガートナーは12日、今年の世界半導体市場規模を前年比16.8%増の4014億ドルと予想、メモリ市場規模が前年比52%増え、市場規模の拡大につながった旨。
◇Semi content in electronic systems forecast to set new record in 2017, says IC Insights (7月14日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2017年のグローバルelectronicシステム市場が2%増の$1,493 billionとなる一方、世界半導体市場は15%増の$419.1 billionと大きく伸ばす見込みの旨。IC Insightsはまた、半導体市場全体が2021年に$500 billionを上回ると予想の旨。この2017年の予測が実現すれば、electronicシステム内の平均半導体contentが28.1%に達し、史上最高となる旨。
Samsungが半導体ベンダー首位の座をインテルから奪うかどうか、大きな関心を呼ぶところとなっているが、おひざ元では同社経営トップの非常事態からジレンマに富んだ評論が見られている。
◇【中央時評】憂鬱な世界1位、サムスン電子 (7月12日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子が世界最高の企業に君臨、48年ぶりに成し遂げた夢。サムスン電子の4-6月期営業利益は一時雌雄を争ったLGエレクトロニクスの売上額(14兆ウォン)とほぼ同じ。だが、サムスンは沈鬱だ。今月6日、史上最大の実績を伝える報道資料は無味乾燥だった。売上高と営業利益の推定値を入れた、たった2行の文章だけだった。李健熙(イ・ゴンヒ)会長は3年間病床に臥せったままで、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が拘束されているためだ。・・・・・
半導体は生産ライン一つ作るのに15兆ウォンという資金と2年という時間が必要だ。これまでのサムスン半導体の奇跡はオーナーの果敢な決断、未来戦略室の効率的なコントロールタワー機能、そして系列会社の自律経営という三拍子がそろっていた。だが、いま李健熙会長と李在鎔副会長は経営不在中で、未来戦略室は解体された。・・・・・
サムスン電子は世界1位に上り詰めたが、「今後いつまでトップを守ることができるか分からない」と、憂鬱な雰囲気だ。DRAMはナノ技術でどれくらい微細な回路を作るのか、NANDフラッシュは積層技術を利用してどれくらい多く積むのか次第で競争力が決まる。スピードと時間の戦いだ。
このような状況下、業界各分野に各様の波紋が見られており、折しもSemicon West(2017年7月11-13日:SAN FRANCISCO)が開かれた半導体製造装置業界では、半導体市場の読みに呼応して史上最高の本年の世界販売高見通しが打ち上げられている。
◇Industry Giddy as Curtain Rises on Semicon West-IC gear, semi materials vendors seeing a great year (7月11日付け EE Times)
→半導体装置業界にとって10年以上ぶり最善の年になろうとしている渦中、第46回Semicon West tradeshow(2017年7月11-13日:SAN FRANCISCO)が開幕。市場watchersが12%増の半導体販売高を予想する今年、SEMIは非常に大きく23%増のウェーハfab装置販売高を見込む一方、1-2%増/年が代表的な半導体材料販売高も昨年比5%増を見通している旨。
◇$49.4B semiconductor equipment forecast: New record, Korea at top (7月12日付け ELECTROIQ)
◇Global semiconductor equipment sales set to reach record high in 2017, says SEMI (7月12日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2017年の新規半導体製造装置の世界販売高が19.8%増の総額$49.4 billionに達する見通し、2000年に記録した$47.7 billionの市場最高を初めて上回る旨。2018年は7.7%の伸び、$53.2 billionが見込まれ、さらに記録破りの年になる旨。
◇半導体投資、韓台中牽引、製造装置需要、今年最高へ、中国、政府支援で急増(ビジネスTODAY) (7月13日付け 日経)
→世界の半導体製造装置の販売額が2017年、ITバブル時の2000年を超え、過去最高になる見通し。半導体製造装置の米業界団体、SEMIが明らかにした旨。サムスン電子など韓国メモリ大手の設備投資が装置需要を牽引、さらに中国市場が2018年、国・地域別で首位を競ってきた韓国、台湾に並ぶ規模に拡大する見込みで、半導体投資は「韓台中」が三つどもえで競う構図に移りそうな旨。
◇South Korea, Taiwan, China lead surging chip investment-Semiconductor capex seen passing 2000 peak this year as world craves memory-SEMI sees IC gear sales rising in East Asia (7月13日付け Nikkei Asian Review (Japan))
次に、ファウンドリー業界では、韓国・SK Hynixがファウンドリー事業に重点化する子会社の設立を打ち上げる一方、TSMCとSamsungの間の最先端技術で引っ張る顧客へのアピールの凌ぎ合いが先鋭化している。
◇SK hynix launches foundry affiliate -SK Hynix debuts System IC foundry unit (7月10日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→SK hynix社が月曜10日、同社のファウンドリー事業に重点化、システム半導体業界にさらに深入りする新しい子会社、SK hynix System IC社を正式に打ち上げの旨。SK hynix System ICは、より広範囲の買い手を得るために同社200-mm生産技術での展開に活動の重点を置く計画の旨。
◇SK Hynix sets up foundry subsidiary, says report (7月11日付け DIGITIMES)
◇Samsung hosts foundry forum, unveils vision -Samsung lays out plans for its foundry business (7月11日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが本日、同社ファウンドリー事業パートナー向けフォーラム、Samsung Foundry Forum Korea 2017を開催、7-nm半導体の生産に取り組んでおり、10-nmプロセス技術は安定している旨。
Samsung Foundryは、artificial intelligence(AI), 車載electronicsおよびinternet of things(IoT)向け半導体需要に対応していく旨。
◇サムスン、最先端技術導入の半導体、来年量産、TSMCに先行 (7月12日付け 日経)
→韓国サムスン電子が11日、半導体の受託生産事業の技術戦略を取引先などに説明した旨。次世代の回路線幅7-nmの半導体を最先端の製造技術に取り入れて2018年から量産する旨。ITの進化に重要な技術革新で、受託生産で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)に先行する旨。
◇TSMC Logs First 10nm Sales (7月13日付け EE Times)
→TSMCが、最初の10-nm製品売上げを記録、ファウンドリー事業での主要ライバル、Samsungから約4ヶ月遅れの旨。TSMCは、第二四半期売上げ全体の1%を10-nmが占めたとしている一方、3月にSamsungは、同社のExynos 8895 SoC並びにQualcommのSnapdragon 835など最初の10-nm製品を発表している旨。TSMCの第二四半期販売高は前年同期比3.2%増止まり、「第三四半期は前四半期比15.7%増の売上げを予想、10-nmモバイル顧客製品の高速立ち上げが引っ張る」と、台北での第二四半期業績発表にてTSMCのCo-CEO、Mark Liu氏。
半導体intellectual property(IP)業界では、戦略的で波乱に富んだ動きが強まっている。まずは、AppleとImaginationの間の動きについて。
◇Apple Fires Back at Supplier Imagination in Contract Dispute-Apple disputes Imagination's contract account (7月7日付け Bloomberg)
→Appleが金曜7日、Imagination Technologiesに対して2015年にグラフィックスintellectual property(IP)の使用を段階的に止めていく計画を伝えていた旨。Imaginationは、売上げの約半分を占める該IP契約をAppleが徐々に終わらせていくと発表、この4月に株主たちに衝撃を与えた旨。
◇Suppliers Beware: The Perils of Vertical Integration-Analysis: Vertical integration isn't always good (7月12日付け EE Times)
→グラフィックスintellectual property(IP)を巡るAppleとImagination Technologiesの間の侵食するビジネス関係は、単一顧客に閉じ込められるサプライヤの危険を示している旨。"Appleは常に、組立ラインからIPまで、そして間のすべてのpartsについて、指令されるのではなく指令者になるよう、サプライヤの力を減らす原理で動いている"旨。
昨年の半導体IPベンダー・ランキングが、次の通り表わされている。
◇ARM, MIPS and ARC lead CPU IP rankings-CPU IP rankings led by ARM, Synopsys, Imagination (7月7日付け Electronics Weekly (UK))
→IPnestからのDesign IP Report発。2016年の世界Design IP売上げが13.1%増。トップ10ベンダー:
1 ARM(Softbank) $1.65 billion …全体($3.39 billion)の48%シェア
2015年から20%増
2 Synopsys $450 million …13%シェア
3 Imagination Technologies $182 million …2015年から21.5%減
4 Cadence $109 million
5 Ceva $73 million
6 Verisilicon $66 million
7 eMemory Technology $38 million
8 Rambus $32 million
9 Lattice(Silicon Image) $29 million
10 Kilopass Technology $29 million
高速メモリインタフェースのRambus社が売却を考えているという観測記事が以下の通り表わされている。あくまで噂の域ではあるが、該業界の現状の空気を反映するものを感じるところがある。
◇Chip Firm Rambus Is Working With an Adviser to Pursue a Sale-Report: Rambus hires adviser for a possible sale (7月8日付け Bloomberg)
→本件事情通発。特許係争の歴史が長い半導体設計メーカー、Rambus社(Sunnyvale, California)が、自前ブランドの半導体販売で事業を拡げるなかながら、自社の売却を考えている旨。売却の選択肢を評価、可能性ある買い手を探すためにfinancial adviserと協働している旨。最終決定は行われておらず、売却を選ばない可能性もある旨。Rambusの株価は今年20%下げている旨。
◇Rambus Reportedly Exploring Sale Possibilities (7月10日付け EE Times)
→Bloombergニュースサービス発。メモリ技術licensorで半導体ベンダーのRambus社が、自社売却の選択肢を調べるためにfinancial advisorと協働している旨。Rambusは、spokespersonを通して本件へのコメントを控えている旨。
その空気を率直に表わす論調が、以下の通り見られている。
◇Is The IP Industry Healthy?-First of two parts: IP has grown to become the largest segment of EDA revenue, but is it sustainable?-Analysis: IP business faces uncertain future (7月13日付け Semiconductor Engineering)
→半導体intellectual property(IP)市場はelectronic design automation(EDA)では最大の分野であるが、その伸びと繁栄を無期限に続けられるか、業界executivesが疑問視の旨。「IP事業は伸びているという感じ方はあるものの、引き続き伸びる、あるいはさらに1-2年でもそうかどうか、とは思わない。」と、Texas Instruments(TI)のsenior director of worldwide silicon development and fellow、Sanjive Agarwala氏。
≪市場実態PickUp≫
【東芝メモリ入札関係】
「日米韓連合」への売却交渉がSKハイニックスの議決権要求などで難航するなか、東芝による取引銀行への説明が行われ、他の陣営、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のほか、米ウエスタンデジタル(WD)とも再交渉を始めたことが明らかにされている。米カリフォルニア州の上級裁判所の判断が下され、東芝によるWD社員の情報アクセス遮断を禁じる暫定判断が行われた後、半導体メモリ事業の売却を差し止めるかについての初審問は28日再審議で持ち越しとなっている現時点である。
◇東芝半導体売却、11日に主要行向け説明会 (7月7日付け 日経 電子版)
→東芝が主要取引行向けの説明会を11日に開くことが7日分かった旨。主要行は経営再建中の東芝を支援する姿勢だが、東芝が再建策の切り札とする半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却交渉は長引いている旨。東芝は説明会の場で交渉の現況を銀行団に説明し、支援継続に向けた理解を求めることになりそうな旨。
◇Toshiba in talks with Western Digital, Foxconn over chip unit sale: sources-Sources: Toshiba talks to WD, Foxconn on chip unit sale (7月11日付け Reuters)
→銀行筋を引用、Reuters発。優先入札グループとの交渉が滞っており、東芝が、半導体事業の売却提案についてWestern DigitalおよびFoxconnと話し合いを行なっている旨。優先入札先には韓国のメモリ半導体ベンダー、SK Hynixが入っており、convertible bonds(転換社債)売却を提案、これは結局は東芝株を保有しての議決権行使につながる旨。
◇Western Digital gets U.S. court order to access Toshiba databases, chip samples-Court orders Toshiba to allow Western Digital access to samples, databases (7月11日付け Reuters)
◇東芝首脳、半導体売却「日米韓連合、時間かかる」 (7月11日付け 日経 電子版)
→東芝は11日、半導体メモリ事業の売却を巡って、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のほか、米ウエスタンデジタル(WD)とも再交渉を始めたことを明らかにした旨。6月下旬に優先交渉先とした日米韓連合との調整に時間がかかっており、次善の策として他陣営とも協議する旨。同日の取引銀行向け説明会で、平田政善最高財務責任者(CFO)らが出席者に説明した旨。
◇SK Hynix CEO's stake stand off muddies Toshiba chip sale-SK Hynix CEO insists on equity for Toshiba deal (7月12日付け Reuters)
→SK HynixのCEO、Park Sung-wook氏は、同社が入る入札グループが東芝spinoff買収に成功すれば、東芝のメモリ半導体事業におけるequity stakeをもつことを依然欲する旨。東芝は、SK HynixとはNANDフラッシュメモリ市場で競合することから、メモリ事業におけるstakeを与えることには慎重である旨。
◇東芝半導体、情報遮断を禁じる暫定判断、米上級裁 (7月12日付け 日経 電子版)
→米カリフォルニア州の上級裁判所は11日までに、東芝が半導体メモリ事業の売却を巡る対立から米ウエスタンデジタル(WD)に製品開発の機密情報へのアクセス遮断措置をとっていることに対し、東芝にこれを一時的に差し止めることを命じた旨。期間は28日まで。東芝によるWDへの牽制措置は米国の司法判断で後退する旨。
◇WD社員の情報アクセス遮断、東芝が一部解除 (7月12日付け 日経 電子版)
→東芝が12日、半導体メモリ事業の売却を巡って対立する米ウエスタンデジタル(WD)社員への情報遮断を一部解除した旨。同日に米カリフォルニア州の上級裁判所が、WDの申し立てを認めて遮断を一部やめさせる暫定的な命令を下したため。売却への反対姿勢を崩さないWDへの牽制を狙い東芝は6月28日に情報を遮断したが、米司法の命令で修正する事態となった旨。
◇韓経:SKハイニックス、東芝買収が「暗礁」に (7月12日付け 韓国経済新聞/中央日報日本語版)
→SKハイニックスなど「韓日米連合」の東芝メモリ買収作業が暗礁に乗り上げた旨。SKハイニックスの議決権要求などで難航して売却契約の締結が遅れる中、東芝側が米ウエスタンデジタル、台湾の鴻海(ホンハイ)などとも売却交渉を再開した旨。
◇東芝半導体売却の結論持ち越し、加州裁判所、28日再審議 (7月15日付け 日経 電子版)
→米カリフォルニア州の上級裁判所は14日、東芝に対し半導体メモリ事業の売却を差し止めるかについての初審問を開き、28日に再審議する方針を示した旨。協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が売却反対を求めて提訴しており、両社の主張を慎重に吟味する旨。これにより東芝は28日までは事業売却ができないことになる旨。
【IntelのXeon scalableプロセッサ】
データセンター事業に向けた新しいXeon Scalableプロセッサをインテルが発表、圧倒的な市場位置キープに向けてライバルのAMD、Qualcommなどに対する優位性がアピールされ、今後の市場の反応、評価に注目である。
◇Intel Skylake Counters AMD Epyc-The Empire strikes back in x86 server CPUs (7月11日付け EE Times)
→Intelが、同社Skylakeサーバプロセッサは先のBroadwell半導体を平均性能で65%上回ると発表、該新Xeon Scalableファミリーのtop-end版はライバル、AMDが最近リリースしたEpyc CPUsを性能で凌ぐが、I/Oはそう多くはない旨。この結果から、Intelは儲かるデータセンターでの席巻を維持するに問題ないことになるが、それにも拘らず、AMDのEpycおよびQualcommなどからのARM-ベースサーバ半導体の流れの増大は広く多角的なcloud computing分野で大きな足場を見い出す見込みがある旨。
◇Intel rolls out new chips in battle for data center business (7月11日付け Reuters)
◇Intel Xeon Scalable processors are 1.65X faster than previous server chips-Intel debuts faster server processors (7月11日付け VentureBeat)
→Intelが、サーバ半導体最新版、Xeon Scalableプロセッサラインを投入、データセンターにおいてAdvanced Micro Devices(AMD)などからの次世代プロセッサと競うことになる旨。Xeon Scalableは、同社以前のサーバ半導体より1.65倍高速である旨。
◇Intel unveils new Intel Xeon scalable processors (7月12日付け DIGITIMES)
【米国および中国関連での注目】
米国・国防総省向けのASICは、IBMから現在のGlobalFoundriesに至るfabで一本化して作られているという理解であるが、その門戸を広げる動きが見られている。
◇U.S. Paves Roads to Trusted Fabs-DoD programs to secure sub-32nm sources-Defense Dept. to qualify more trusted fabs (7月11日付け EE Times)
→米国・国防総省(Department of Defense)が、機密扱いの軍事用application-specific integrated circuits(ASICs)を作るために2019年までに米国内でさらに多くのウェーハfab拠点を認証する動きを打ち上げの旨。Pentagonは、該ASICsを作るのに現在は2015年にIBMから買収された1つのGlobalFoundries fabに依存している旨。
中国のシンクタンクより、米国は新技術・新分野に邁進して、熟した領域での中国によるアメリカの半導体技術買収、パートナー合弁を認めるべき、阻止すべきでない、との主張が表されている。
◇U.S. should not block Chinese chip acquisitions: China think-tank-Think tank: US should allow Chinese acquisitions (7月12日付け Reuters)
→Chinese Academy of Science and Technology for Development(CASTED:中国科学技術発展戦略研究院)のpresident、Hu Zhijian氏。米国は中国によるアメリカの半導体技術買収をもっと好意的に見て、中国の会社による海外のパートナーとの合弁追求を認めるべき旨。「米国が利益が減ってきている業界で門戸を閉ざすのは賢くない。米国は、前進して新技術領域を開発すべきだ。」と同氏。
アップルが、中国当局の規制に対応、中国内陸部に1100億円をかけてクラウド拠点を設けるとしている。
◇アップル、中国にクラウド拠点、内陸部に1100億円で (7月12日付け 日経 電子版)
→米アップルと中国内陸部の貴州省政府が12日、同省に中国向けクラウドサービスを手掛けるデータセンターを設置すると発表、総投資額は10億ドル(約1100億円)。中国当局は中国でクラウドサービスを提供する場合、国内でのデータセンター設置を求めており、規制強化に対応した旨。外資系企業に同様の動きが広がりそうな旨。
【AI(artificial intelligence)関連】
台湾にて、産学筋から政府に対し、AI開発強化に向けてソフトウェア開発の助成には手厚い一方、大きく支える半導体には冷たいとして、バランスを合わせるよう訴えが行われている。
◇Taiwan government urged not to sacrifice semiconductor to bolster AI development (7月12日付け DIGITIMES)
→産学筋発。academicおよび研究分野によるAI(artificial intelligence)ソフトウェア開発の助成に積極的に動く一方で、台湾の政府は、AI開発を大きくサポートできる半導体業界に向けた資源を向う見ずに削減してはならない旨。National Tsing Hua Universityのvisiting professor、Wu Chen-wen氏が半導体業界およびAI開発の両方に同等の対応を施すよう政府に要求、強力な半導体サポートがAIあるいはIoT(Internet of Things)応用の開発成功に欠かせないとしている旨。
中国のHuaweiが、GoogleおよびAppleにしっかり対抗、年末までにAIプロセッサを披露する運びとしている。
◇Huawei set to unveil AI processors by yearend, says executive-Huawei exec: AI processors to be unveiled by end of 2017 (7月13日付け DIGITIMES)
→中国のトップICTソリューション・プロバイダー、Huawei TechnologiesのConsumer Business Group、CEO、Richard Yu氏が、2017 China Internet Conference(7月11-13日:北京)にて。同社は、本年後半の適当な時期にCPU, GPUおよびAIを組み合わせた機能を特徴とするapplicationプロセッサを披露、SoC製品の世界大手サプライヤの1つとしてHuaweiは、AI applicationプロセッサの新分野でGoogleおよびAppleとしっかり競う期待の旨。
【Semicon Westより】
半導体市場の大変な活況で業界史上最高の予測が打ち上げられた、と上に示したSemicon West(2017年7月11-13日:SAN FRANCISCO)であるが、他にもということで、目についた範囲ながら、200-丱ΕА璽capacity、3D-IC関連のSEMI表彰、インテルの自動運転プレゼン、そしてASMLのEUV進捗と、以下の通りである。
◇200mm fabs thriving (7月11日付け ELECTROIQ)
→SEMICON West(San Francisco, Calif.)にてSEMIが、200mm Fab Outlookレポート更新版を発行、200mm fabの流れの予測を2021年まで拡げている旨。2009年以降200mm fab capacityは増加しており、2020年までに200mm capacityは約5.7 million wafers per month(wpm)に達する見込み、これは2007年のピークを上回る旨。
◇200mm wafer processing on track for record-200mm capacity will exceed its 2007 peak in 2020, says SEMI, when a level of 5.7 million 200mm wpm level is expected to be reached.-SEMI: 200mm capacity set for record in 2017 (7月12日付け Electronics Weekly (UK))
◇SEMI Awards honor process and technology integration achievements (7月13日付け ELECTROIQ)
→SEMICON West 2017にて、2017 SEMI Awards for the Americasの表彰、次の受賞者:
*hybrid memory cube(HMC)の開発およびHybrid Memory Cube Consortium共同創設における主導性に対して、Micron Technology(Micron)チーム
*“Fiji” 3D-ICグラフィックスプロセッサ製品の統合に対して、Advanced Micro Devices(AMD)のBryan Black氏
◇Big data in autonomous driving (7月13日付け ELECTROIQ)
→Intel CorporationのAutomated Driving Group、Vice President、Katherine Winter氏の基調講演、SemiCon Westのいつもとは外れると大方が受け止めるテーマ、"Big Data in Autonomous Driving"。自動運転は、目のくらむ速度でterra flopsのデータを処理するよう半導体業界の重点を移していく旨。
◇ASML Claims Major EUV Milestone-ASML: EUV power sources finally hit 250W (7月14日付け EE Times)
→誰もが予想しているよりずっと長い時間、コストがかかっているが、半導体業界はやっとextreme ultraviolet(EUV) lithographyをhigh volume生産にもっていけそうな旨。今週のSemicon West tradeshow(SAN FRANCISCO)にて、lithographyベンダー、ASMLが、重要で長らくつかまらないmilestone、250-watt EUV sourceの披露到達を発表の旨。
≪グローバル雑学王−471≫
筆者の言う妖怪軍団、米国、欧州に続いてロシア、中国に注目である。国家体制上、顔ぶれと言っても、プーチン大統領そして習近平国家主席ということになるが、
『世界経済の「大激転」――混迷の時代をどう生き抜くか』
(浜 矩子 著:PHPビジネス新書 378) …2017年6月1日 第1版第1刷発行
よりそれぞれの妖怪度に迫ってみる。主要20カ国・地域(G20)サミットがドイツのハンブルグでこの7月7、8日に開かれ、貿易問題、気候温暖化はじめ大項目の懸案とともに、米国大統領選へのロシアの介入など敏感なやりとりが更新されている。トランプ政権の米国内外に深まりを見せる溝の行方に目が離せないところである。
第1章−3 妖怪万華鏡時代 ――「激転」に向かって突き進む魔物軍団
4 マッチョのロシア、モナ・リザの中国
●グローバル時代のラスプーチン
・欧州と日本の間に広がる大きな妖怪糠床ゾーンをチェックしておく必要
→ロシアと中国
・ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、どちらかといえば鬼型の妖怪だといえる
・したたかなロシア人、どうしても思い出すのが、かの怪僧、グリゴリー・ラスプーチン(Rasputin)
→帝政ロシアの末期を舞台に、怪気炎を上げまくった人物
→プーチンさんにも、その血がかなり高い濃度をもって受け継がれているに違いない
●「ロシアねた」の2つのテーマ
・大統領就任前のトランプ氏が選挙後初の記者会見を行ったとき
→「ロシアねた」で2つのテーマが大きな焦点に
→1.メールハッキングなど民主党ヒラリー・クリントン氏の選挙活動を妨害、トランプ氏の流れを作ろうとしたという疑惑
2.トラ鬼さんが2013年にモスクワでミス・ユニバース大会に出席した際、セクハラ型の不埒な行動に
●友好勲章を授与されているティラーソン氏
・事の真偽は、結局のところ定かではない
→トラ鬼さんの記者たちへの反応があまりにも過激、必死の反撃に
・トランプ政権下で国務長官に就任した巨大石油会社、エクソン・モービル社の元会長、レックス・ティラーソン氏
→2013年には、プーチンさんから「友好勲章」を授与
●フリン大統領補佐官の辞任
・2017年2月13日、ホワイトハウス発表、マイケル・フリン大統領補佐官(安全保障問題担当)が辞任
→2016年末に駐米ロシア大使と電話で協議、対露制裁解除について話し合ったという疑い
→問われている該行為の違法性
・プーチン大統領によるトラ鬼首根っこ掌握説
→妖怪も上には上がいる
●ダボス会議は勝者と強者の祭典
・非営利団体、「世界経済フォーラム」の年次総会、ダボス会議
→スイスのDavosで開催
→多分に、勝者と強者の祭典の様相が色濃い
・「ダボスじゃない会議」をつくって、グローバル時代の本当のあり方を協議すればいい
→筆者の常々の考え
●人々を瞠目させた習近平の言葉
・2017年1月のダボス会議で、2つの点で注目を集めた習近平氏
→1.中国からこんなに偉い人が該会議に参加したのは初めて
2.習近平氏が何を言うか
⇒以下、概要
・人々が耳をそばだて瞠目した次のくだり
→「今日、世界を苦悩させている問題の多くが経済のグローバル化に起因するものではない」
→中国の国家主席が、そうそう何でもかんでもグローバル化のせいにするなと言い切った
●1対99問題
・習主席が「経済のグローバル化に起因しない問題」として挙げた事例
→難民問題 …戦争がもたらす
→金融危機 …「金融資本による行き過ぎた利益追求と金融行政の重大な失策の帰結」
・さらに調子があがる習節
→「世界で最も裕福な1%の富裕層が、残りの99%の人々よりも多くの富を所有している」
→格差と貧困を今日の世界の最大の共通課題と明言
●格調高くグローバル時代の良心を謳う陰で
・次のように続く習節
→「国々は、視野の広い脈絡の中に自国の利益を位置づけてみなければいけない」
・習節はついに保護主義問題への言及に到達
→「我々は多角主義に徹し、多角的国際機関の権威と有効性を支えて行かなければならない」
●モナ・リザに化けた妖怪習さんの狙い
・ここから先の習節は、ひたすら中国礼賛、自画自賛ワールドに突入
→「いまやグローバルな経済成長の8割分が新興諸国と発展途上諸国によって担われている」
「ところが、グローバル経済に関する統治機構の現状は、このような変化を反映していない」
・トラ鬼さんとの妖怪ウォーズの中、好機到来、モナ・リザに化けて、ダボス族の世界に乗り込んでおく
…習さん戦略