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PC、モバイルから新分野対応と時代を画すComputex Taipeiでの動き

PC、モバイル機器はじめコンピューター関連の総合見本市としていまやグローバルな規模では貴重な場となっている感じ方があるComputex Taipei(2017年5月30日〜6月3日:台北)が開催され、ここでもIoT、AIはじめ新分野、新市場に向けた活発な打ち上げが主役となる新たな時代を画する動きが目立っている。1つとして、AIを積極的に推進するNvidiaからは、AI cloud computingに向けた需要にもっと急速に適合するよう、Foxconnなど世界の大手ODMsに連携を問いかけるIsaac Initiativeが披露されている。

≪Wintel再現の期待≫

今回のComputex TaipeiでもAIが随所に飛び交っており、まずはNvidiaのCEO、Jensen Huang氏のAIの今後に向けたプレゼン概要である。パソコンでのIntelとMicrosoft、すなわちWintelが達成した軌跡の再現の期待が"accelerated computing"に託されている。

◇Nvidia wants to drive the future of AI (with ice hockey)-When processors can't get smaller, they need to get smarter. Nvidia wants its tech to be at the heart of that smart future with machines taking the lead.-Nvidia touts AI's role in chip technology (5月29日付け CNET)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏がComputex conference(台湾)にて、artificial intelligence(AI)技術の応用の可能性をはっきりとあからさまに話し、台湾のoriginal design manufacturers(ODMs)に対して同社のIsaac Initiativeを受け入れるよう急ぎ促した旨。

◇Nvidia Pitching AI to ODMs in Taiwan (5月30日付け EE Times)
→今週のComputex Taipei(2017年5月30日〜6月3日:台北)にて、Nvidiaが、PC市場でIntelおよびMicrosoftが数10年前に達成したことを再現する期待、ただ一つの重点化として"accelerated computing"の新時代の席巻にある旨。Nvidiaはaccelerated computingを、deep learning, analyticsおよびengineering応用を加速するCPUとのgraphics processing unit(GPU)使用増大と定義づけの旨。月曜29日にNvidiaは、AI cloud computingに向けた需要にもっと急速に適合するよう、世界の大手ODMs、Foxconn, Inventec, QuantaおよびWistronとの連携プログラムを披露の旨。NvidiaのAIおよびcloud computingに向けたhyperscale GPU acceleratorを軸に作られる該プログラムを通して、Nvidiaは各ODMにNvidiaのGPU computing技術および設計ガイドライン、Nvidia HGX reference architectureに早くアクセスできるようにする期待の旨。

◇Nvidia CEO Says Moore's Law Is Dead-Nvidia CEO says it's the end of Moore's Law (6月1日付け EE Times)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、主要半導体メーカーのheadとして初めて、academicsがここのところ示しているMoore's Lawが廃れていることに言及の旨。

そのIntelからは、high-endプロセッサ、および今後の方向性が以下の通り披露されている。

◇8th Generation Intel Processors Will Be 30% Faster Than 7th Gen-Intel aims at high-end PCs with new processors (5月30日付け Ubergizmo)
→Intelが火曜30日、Core Xプロセッサラインをお披露目、5つのCore i9モデルがあり、desktop computingのvideo streaming, virtual reality(VR)などの応用に対応の旨。該新半導体は14-nmアーキテクチャーで作られ、Core i9 Extremeプロセッサには18個のコアおよび36のthreadsが入っている旨。

◇Intel's New Core X High-End Processors Feature Core i9 Models (5月30日付け Ubergizmo)

◇Intel's New Processors Are Built For the High-Powered Future of PCs (5月30日付け Wired online)

◇Intel Computex message: One size doesn't fit all in today's IT industry (5月31日付け DIGITIMES)
→Computex Taipei 2017の初日、Intelのcorporate vice president and general manager of the Client Computing Group、Gregory Bryant氏のComputex e21 Forumでの開幕基調講演。データが如何に世界を変えていくかについて。

◇Intel makes it rain for PC enthusiasts (5月31日付け DIGITIMES)
→Intelが今回初日の基調講演にて、desktop CPUsの新しいX-シリーズに向けた数多くのプロセッサを発表の旨。

モバイルプロセッサをリードするARMも、AIが引っ張る今後を前倒しすべく新しいプロセッサコアを打ち上げている。

◇ARM Cores Target AI-powered Future-Plans to be in all 1 trillion IoT devices by 2035 (5月29日付け EE Times)
→ARM plcが月曜29日、2つのapplicationプロセッサコア、high-end Cortex-A75およびmid-range Cortex-A55を発表、AI採用を加速、2035年までにどのIoT機器にもARMプロセッサコアを入れていくという野心的な目標の一環の旨。Cortex-A75はこれまでの世代に対し性能を高める一方、Cortex-A55は性能および効率をともに高めている旨。両コアとも、同社がmulti-core処理を再定義する方法と告知している真新しいDynamIQ技術に基づいている旨。

◇Computex 2017: ARM has designs on more than mobile-The latest Cortex processors and Mali graphics will push phones to new levels of performances. But ARM has even bigger plans for this generation including VR headsets, laptops, networking gear and servers, and especially machine learning.-ARM looks beyond mobile to AI and more (5月29日付け ZDNet)
→ARMが台湾のComputex conferenceにて、3つの新しいコアを投入、高性能computing向けCortex-A75およびgaming, machine learningおよびvirtual reality(VR)向け高効率Cortex-A55およびMali-G72グラフィックスコアの旨。

◇ARM rolls out new solutions to accelerate AI adoption (6月1日付け DIGITIMES)
→ARMが、AI採用の加速を狙ったプロセッサコアシリーズ、high-end Cortex-A75およびmid-range Cortex-A55半導体, およびMali-G72グラフィックス半導体を打ち上げの旨。

PCでIntelに対抗してきているAMDは、RyzenプロセッサおよびRadeon GPUへの重点化である。

◇AMD shows rising support for Ryzen processors and Radeon graphics-AMD's Ryzen chips, Radeon cards gain in use (5月30日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)がComputex trade show(台湾)にて、大手グローバルPCメーカーのすべてがAMDのRyzen desktopプロセッサ・ベースのPCsを作っており、Ryzen 7およびRyzen 5 desktopプロセッサ・ベースの製品が第二四半期末までに出てくる旨。

モバイルプロセッサのQualcommのIntel PCの砦への参入に注目である。

◇Qualcomm Enters Intel PC Stronghold (6月2日付け EE Times)
→QualcommがSnapdragon 835 Mobile PCプラットフォームを発表、世界最大手半導体メーカーが30年以上もの間市場の半分以上を有しているIntelのCPU芝地に入っていく旨。

以上、主要各社の目に入った範囲についてであるが、全体的な印象が以下の通り端的にまとめられている。

◇Chipmakers at Taiwan's biggest tech fair look beyond crowded smartphone market-IoT brings chipmakers to new focus during Computex Taipei (6月2日付け Reuters)
→今週のComputex Taipei tech fairにて半導体メーカー各社は、core処理に注目しているが、internet of things(IoT)に重点が置かれている旨。
これまでスマートフォン市場に関わった半導体メーカーの多くが、artificial intelligence(AI), virtual reality(VR)およびsmart carsに乗り出している旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

入札の4陣営の1つ、官民ファンドの産業革新機構およびKKRグループにWestern Digital(WD)が加わるかどうかの検討から、日本へのcommitmentを示すべく日本西部での新工場建設の検討まで、東芝との応酬を孕みながらのWDの現下の動きの以下経緯となっている。

◇Western Digital may join Japan-KKR group for Toshiba chip unit bid: sources-Sources: KKR bidding group may add Western Digital (5月29日付け Reuters)
→Western Digitalが、KKR, Innovation Network Corp. of JapanおよびDevelopment Bank of Japanから成る東芝メモリ買収の入札グループへの参加を検討している旨。東芝のメモリ製造パートナー、SanDiskを傘下にもつWestern Digitalは、該NANDフラッシュメモリデバイスのサプライヤに向けた連合入札について日本政府機関などと協議している旨。

◇革新機構、WD連携探る、東芝半導体買収 (5月30日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ子会社・東芝メモリの売却先選定を巡り、カギを握る官民ファンドの産業革新機構が米ウエスタンデジタル(WD)との連携を視野に本格協議に入る旨。国際機関への申し立てなど強硬姿勢をみせるWDを排除するのは困難なためで、早急に現実的な落としどころを探る旨。株の取得割合などについてWDと経済産業省との溝があり、6月半ばごろまで際どい折衝が続きそうな旨。

◇Public-private fund mulls Toshiba chip bid with Western Digital-INCJ, Tokyo seek compromise as Toshiba partner refuses to budge (5月30日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇Toshiba moves back some chip unit assets to ward off Western Digital's legal claim-Toshiba shifts chip unit assets over WD claims (5月31日付け Reuters)

◇革新機構、東芝半導体への出資方針を議論、決定は見送り (5月31日付け 日経)
→官民ファンドの産業革新機構は30日、意思決定機関の「産業革新委員会」を開き、東芝の半導体メモリ子会社、東芝メモリへの出資方針を議論、機構は米ウエスタンデジタル(WD)との連携を探っているが、買収時の株の取得割合などを巡って溝があり、出資に向けた正式決定は見送った旨。機構は、東芝の決算問題や株主総会をにらみ、6月中ごろまでにWDと落としどころを見つけた上で出資することで合意したい考えの旨。

◇WD「仲裁取り下げず」、東芝の対抗措置に反論 (6月1日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業売却に反対し国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てている米ウエスタンデジタル(WD)は1日、東芝側が仲裁申し立てを無効化する対抗措置を打ち出したことに反発し「仲裁請求は取り下げない」と表明した旨。WDは「東芝側の契約違反は明確。合弁事業における自社の権利を守る」とし、東芝側と協議を続けていく姿勢を示した旨。WDが同日に公式コメントを発表、WDは「(自社が)日本における技術革新を支える東芝の最良のパートナー」としている旨。

◇東芝、WDに対抗策、半導体合弁株、本体に移管 (6月1日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ子会社の売却手続きを巡り米ウエスタンデジタル(WD)が法的手段に出たことに対して、東芝が6月上旬にも対抗措置に出ることが31日、分かった旨。両社で共同運営する半導体工場の合弁会社の株式持ち分を東芝本体に戻す。仲裁を申し立てたWD側の主張の根拠をなくし、東芝の半導体メモリ子会社に応札した4陣営との売却交渉を円滑に進める狙いもある旨。WDは5月15日、東芝が4月に分社したメモリ子会社「東芝メモリ」に合弁会社の持ち分を了解を得ずに移転したことを契約違反として、売却の差し止めを求める仲裁申し立てを国際仲裁裁判所にしていた旨。

◇東芝、年度内売却へ強硬、半導体事業、価値低下の恐れ (6月1日付け 日経)
→東芝が米ウエスタンデジタル(WD)に対して対抗措置に乗り出すのは、国際仲裁の動きを封じ込めて米国、台湾の4社が応じた入札による東芝メモリの売却手続きを進めるための旨。WDとの四日市工場(三重県四日市市)の合弁生産会社の株式が東芝メモリの保有でなくなることにより、売却価格が低下する恐れがある旨。

◇Toshiba seeks to sidestep Western Digital in flash memory sale-Japanese conglomerate may retake memory unit's stakes in joint operations (6月1日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇Western Digital considering new memory plant in western Japan: source-Report: WD may build memory chip plant in Japan (6月1日付け Reuters)
→本件事情通筋発。Western Digitalが、東芝とともに持つ5つの製造facilitiesでやっていくために、日本西部にもう1つフラッシュメモリ半導体工場を建設する新たな投資を考えている旨。日本へのcommitmentを示す動きの旨。

◇WD、東芝に譲歩案提示へ、半導体売却、CEOが来週再来日 (6月2日付け 日経)
→東芝の半導体メモリ事業を巡り、第三者への売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来週に来日して譲歩案を提示することが1日分かった旨。WDは入札手続きに反対して個別交渉を持ちかけてきており、東芝は態度を硬化させているが、WDが出資比率などの条件を見直せば協議が進む可能性がある旨。WDは東芝メモリを買収した場合、共同運営する四日市工場(三重県四日市市)で、追加の生産設備となる第7製造棟を設置する検討も始め、ミリガン氏の来日時に日本側に表明する旨。国内工場に先端技術をとどめる意向を示すことで経産省などの協力を取り付ける狙いもある旨。

【Samsungの中国NAND工場増強】

どこまでの決定なのか、読み分けが必要な以下の内容であるが、Samsungが3D NANDフラッシュメモリ生産の中核である中国・西安工場に1兆円規模の投資を行おうとしている模様である。東芝はじめ競合との差を広げるとともに、中国での売上高最大の工場の位置づけが一層固まってくる。

◇Samsung Electronics says may add NAND capacity at China plant amid demand surge (5月28日付け Reuters)

◇Samsung undecided on Chinese NAND flash investment-Samsung may boost investment in NAND flash (5月29日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、Xi'an, Shaanxi Province, China(中国陝西省西安市)の同社ウェーハfab拠点での3D NANDフラッシュメモリデバイスの生産拡大に約$9 billionを投資するかどうか熟考している旨。
NANDフラッシュメモリ半導体の需要増加により該工場に2つ目のfabライン構築を計画している旨。

◇サムスン、中国に1兆円投資、最先端半導体首位固め (5月29日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子は最先端の半導体メモリを手掛ける中国の工場に約1兆円を投資し、2019年をメドに同工場の生産能力を現在の2倍に引き上げる旨。東芝がメモリ子会社の売却に手間取るなか、中国を韓国と並ぶ最先端品の量産拠点に育てシェア首位を固める旨。内陸部の西安工場(陝西省)にスマートフォンなどで画像や文書を記憶するNAND型フラッシュメモリの第2ラインを設け、第1ラインと合わせた月産の生産能力はシリコンウエハー換算で計22万枚と倍増する旨。年内に着工し、2019年までに10兆ウォン(約1兆円)程度を投じる旨。西安工場は記憶素子を重ね耐久性や消費電力の低さに強みがある3次元技術を使う旨。需要に見合う量が市場に供給されておらずサムスンは投資効果が大きいと判断した旨。

◇Samsung to pour $9bn into Chinese flash memory plant-Aims to extend lead over Toshiba amid chip sale turmoil (5月30日付け Nikkei Asian Review (Japan))

【人工知能(AI)関連】

上記のComputex Taipeiでも然り、昨今いずこでも舞台中央のキーワードの趣きのAIとなっており、話題に事欠かないところであるが、AppleのAI半導体、Apple Neural Engineがなにがしか登場を控えている模様である。

◇Apple Is Working on a Dedicated Chip to Power AI on Devices-Report: Apple crafts an AI chip for devices (5月26日付け Bloomberg)
→Appleが、iPhoneなどの製品、augmented reality(AR)および自動運転車などに入るartificial intelligence(AI)プロセッサを開発しており、来月の同社developer conferenceにて、iOS 11 operating system(OS)とともに該AI半導体、Apple Neural Engineについてのニュースが見られる可能性の旨。

◇Apple Is Working on a Dedicated Chip to Power AI on Devices (5月27日付け Bloomberg)
→本件事情通筋発。Appleが、artificial intelligence(AI)を半導体にもってきており、AI-関連tasksに特に傾注するプロセッサに取り組んでいる旨。社内でApple Neural Engineとして知られる該半導体は、顔認識および音声認識など人間の知性を必要とするtasksを取り扱うやり方を改善する旨。

◇【電子版】アップルがAIチップ開発か、iPhoneや自動車AR向け (5月29日付け 日刊工業)
→6月5日に開幕するアップルの世界開発者会議(WWDC)で、アップルのAI関連の技術成果について何らかの発表がある可能性の旨。

もう1つ、囲碁の世界ではグーグルのAI「アルファ碁」が最強棋士に完勝して、囲碁AIの開発は打ち切りとなっている。囲碁AI同士の対決も行われた模様であるが、どう見たらよいのか混乱の体が伺えている。人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事、シンギュラリティ(技術的特異点)の領域に立ち入っている感覚がある。

◇囲碁AI、人間圧倒し「引退」、医療・エネに応用へ (5月27日付け 日経 電子版)
→米グーグルの囲碁用人工知能(AI)「アルファ碁」と中国の世界最強棋士、柯潔(カ・ケツ)九段(19才)の三番勝負第3局が27日、烏鎮で打たれ、AIが3連勝して幕を閉じた旨。グーグルは囲碁AIの開発は打ち切り、アルファ碁で培った技術の医療やエネルギー分野への応用に軸足を移す旨。高度化するAIを適切に管理する仕組みの重要性は今後、一段と高まりそうな旨。

【活況の半導体業界】

間近にピンとこないところがあるが、世界の半導体業界は活況を呈しており、我が国の株価大台回復にもキーワードとしてあらわれているが、半導体製造装置業界各社が引っ張る形となっている。

◇株2万円支える「半導体ブーム」、企業の成長牽引 (6月2日付け 日経 電子版)
→日経平均株価が1年半ぶりに2万円の大台を回復した旨。終値で2万円を超えたのは2015年12月1日以来。その日から2017年6月2日午前9時10分時点までの日経平均採用銘柄の騰落率を見ると、上位には半導体関連株がずらりと並んだ旨。家電などあらゆる機器がネットにつながる「IoT」革命を背景とした世界的な半導体ブームが日本株の上昇を牽引している旨。

今年$1 billion以上の設備投資が見込まれる半導体メーカーをIC Insights社があらわしており、活況を反映してここ10年で最多となる15社と以下の通りである。

◇Chip Industry's 'Billion Dollar Capex Club' Expands (5月31日付け EE Times)
→IC Insights社のMcClean Report最新版発。今年$1 billion以上のcapital expenditures投資が見込まれる半導体メーカーの数が15、ここ10年で最多となる旨。昨年は11社、今年"billion dollar capex" clubに加わる見込みの4社、次の通り:
 欧州のSTMicroelectronics NV
 台湾のNanya Technology社
 ドイツのInfineon Technologies AG
 日本のRenesas Electronics社
2007年からの"billion dollar capex"顔ぶれの推移、下記参照:
http://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1331833&image_number=1

◇“Billion Dollar Capex Club” forecast to swell to 15 companies in 2017 (6月1日付け ELECTROIQ)

◇Fifteen chipmakers to spend more than US$1 billion on capex, says IC Insights (6月2日付け DIGITIMES)

【次世代半導体対応】

次世代に向けて最先端の微細化に備える動きが、こちらは業界の当初から変わりなく熱く競い合って進められている。ロジック関係は、御大のインテルが控えるもとで、TSMCとSamsungの間でAppleはじめビジネス対応に向けて先陣争いが続いており、以下現時点の一端である。

◇TSMC tests 7-nanometer chips, edges ahead of Samsung-World's no.1 contract chipmaker will spend 'astonishing' amount on R&D-TSMC takes the lead in making 7nm chips (5月26日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→TSMCが、十数の顧客に向けて7-nm features搭載半導体をテストしており、来年前半に7-nm ICsを量産化する計画の旨。同社は2019年第二四半期に5-nm半導体を作る、と同社Co-CEO、C.C. Wei氏。

メモリのDRAMについては、首位のSamsungを追って、SK HynixおよびMicronの取り組みである。

◇米マイクロン、次世代DRAM量産、広島工場に投資 (5月29日付け 日経 電子版)
→米半導体大手、マイクロン・テクノロジーが、日本でスマートフォン向けの最先端の半導体投資に踏み切る旨。広島工場(広島県東広島市)に今後2〜3年で20億ドル(約2200億円)を投じて次世代DRAMを量産する旨。スマホやデータセンター、自動運転車などに不可欠な半導体の需要は活況で、世界で設備投資が増えている旨。

◇Micron Technology to invest $2bn in Japan for cutting-edge chips-US company eyes mass production of next-generation DRAMs-Micron's Japan fab to spend $2B in the next 24 to 36 months (5月29日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇10-nm DRAM Competition: SK Hynix, Micron Announce 10-nm DRAM Development Plans -Micron and SK Hynix will make 10nm DRAMs (5月30日付け BusinessKorea magazine online)
→Micron TechnologyおよびSK Hynixがそれぞれ、市場リーダー、Samsung Electronicsについていくよう10-nm featuresのDRAMsを開発、量産化。
Micronは13-nm DRAMsに向けて広島のウェーハfab拠点を格上げしていく一方、SK Hynixは2017年後半に18-nm PC DRAMsの生産を始める旨。


≪グローバル雑学王−465≫

「世界激変」の行方、こんどは諸々蠢くアジア情勢に注目、

『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』
 (中西 輝政 著:PHP新書 1076) …2017年2月21日 第1版第4刷

より2回に分けて迫っていく前半である。まずは、昨年半ば以降イギリスのEU離脱の陰で見落とされがちな中国とロシアのかつてないほどの接近に注目、中露と日米の間の牽制の構図が解き明かされている。確かに、最近開催された北京での「一帯一路」打ち上げイベントでも、中露両首脳が相並ぶTV画面を目にしている。アジア地域での高度経済成長を成し遂げた長らくの日本への傾倒から、現在の世界経済での重みを増し続ける中国への傾斜が強まっていく状況が、「地獄のオセロゲーム」と端的に表わされている。


第5章−1 「地獄のオセロゲーム」化するアジア

◆中露は相互の「核心的利益」を死守すべく結束した
・ヨーロッパの秩序変動ともリンクする形で、アジアの情勢は大きく転換
・2016年6月、イギリスのEU離脱を巡る喧噪の裏
 →「中露同盟」と評してもよいほどの、かつてない緊密な中国とロシアの接近が現実のものとなり始めた
・プーチンのロシアと習近平の中国は、「対米対抗」という強烈な執念と強固な利害の一致を一層強く意識するように
 →2016年6月、2度にわたって開催された「中露首脳会談」
  …6月23日、中央アジアのタシケント(Tashkent)
  …6月25日、北京
・中露両国は、互いの「核心的利益」を相互に支持することで合意
 →ロシア側…クリミア併合、ウクライナ問題、ロシアの一体性
 →中国側 …台湾、チベット、新疆ウィグル自治区、南シナ海、尖閣諸島の領土保全、国家主権、そして共産党体制の維持
・アメリカの弱腰を見て、一気に攻勢に出てきたのが「中露共同声明」だとも

◆日米を引き離し、アメリカをアジアから追い出す
・2016年7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所で、中国の主張する南シナ海の境界線「九段線」に国際法上の根拠がない、との判決
 →中国政府は「紙屑」と断じた
 →南シナ海と東シナ海は中国の「死活的国益」
・2014年3月のクリミア併合以降、ロシアは欧米から制裁を受けてきた
 →イギリスのEU離脱で今後必ず弱体化するであろうヨーロッパに対し、ロシアは確かな安心感を持てるように
・プーチン大統領にとってアジア戦略の要は、アジアからアメリカを追い出すこと
 →アメリカの覇権に対抗しなければ、ロシアの生きる道はないというのが、彼らの積年の思い
・ロシア人、おそらく中国やイスラム、さらにはドイツ人やフランス人も、たとえ口には出さずとも、心の裏では強い反米感情
 →それだけの外交的誤謬を、冷戦終焉後のアメリカ外交は続けてきてしまった
・ロシアも中国も、アジアからアメリカを追い出すという戦略は共通
 →タイミングを計って安部政権が飛びつきそうな話を持ち掛け
・中国とロシアの連携関係は、場合によると日米関係よりも強固、少々のことでは引き離せない
 →"中露同盟"の「戦略的ターゲット」の焦点が日本になっていることは、もはや明白なこと

◆THAADミサイル配備をめぐって
・2016年6月25日、北京での中露共同声明
 →「北朝鮮の核・弾道ミサイルプログラムを口実に、アメリカの防衛体系太平洋拠点が北東アジア地域に新しく配備されることに反対する」と強烈に批判
 →北朝鮮の核やミサイル開発を阻止しようとするアメリカや韓国、それらを後ろで支えている日本の動きに、中露が一体となって強い反対姿勢
・アメリカと韓国は、2016年7月8日にTHAAD(高高度ミサイル防衛体制)を配備することで合意したとの共同声明を発表
 →中露と米韓は、真っ向から対立する構図に
・すでに日本にも、青森県つがる市と京都府京丹後市にシステムの一部としてXバンドレーダーが配備
 →1000km先まで見通すことができる
・THAADミサイル配備は、沖縄の基地問題さらには尖閣問題と並ぶ、北東アジア地域の戦略的・軍事的安定の要
 →北朝鮮によるミサイル発射と核実験は、東アジアを巡る中露と米韓の大きな動きのなかで捉えるべきもの
・2016年11月末、韓国・朴大統領が退陣表明
 →「大きな動き」が蠢いている可能性も

◆インドが上海協力機構に正式加盟した意味
・もう1つ日本にとって一層気がかりなのは、中露の巧妙な外交に引き摺られる形で、アジアの各国が対中傾斜を強めている点
 →タシケント会合で、新たにインドとパキスタンが上海協力機構に正式加盟する見通しに
 →インドには自国の経済発展という最優先の課題
・2016年6月、インドは日米との共同訓練に軍艦を派遣しつつ、他方でまったく同じ時期に中露主導の「反米陣営」に嬉々として正式メンバー申請
 →これが国際政治

◆日中を「秤にかける」アジア諸国
・世界経済が停滞を続けるなか、不況に喘ぐ世界の国々が「中国離れ」できないという事情
 →いまの中国について、現在はまだ大きな市場としての存在を無視できないのが各国の見方
・フィリピン
 →2016年6月30日、前ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテが大統領に就任
  →国際法に基づくハーグ裁定が出る前から、中国との二国間での話し合いを重視する姿勢を繰り返し
 →日本と中国それぞれにいい顔をして、「おいしいところ取り」
・シンガポールのリー・シェンロン首相
 …「シンガポール建国の父」リー・クアンユーの息子
 →フィリピンと同じく二国間の当事者同士の話し合いを訴え
・ベトナムでは、「親中派」とされるグエン・フー・チョン書記長留任
・2014年の軍事政権の誕生以来、かつてないほど親中路線を強めているタイ
・ラオス、カンボジアは以前から明白に中国をパトロン視

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