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1月として史上最高の半導体販売高、6年以上ぶりの前年比伸び

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、今回はこの年初めの1月についてであり、前月比1.2%減、前年同月比13.9%増の$30.6 billionとなっている。後半から持ち直して史上最高の年間販売高を記録した昨年、2016年であるが、その勢いは維持しており、2016年12月12%増そしてこの1月は13.9%増と前年比大幅な増加を示している。1月としては史上最高の販売高になるとともに、1月の前年比の伸びは6年以上ぶりであり、見極める上でしばらくは月次の推移に一層注目である。

≪1月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表、以下の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯1月の世界半導体販売高が前年比14%の増加−2010年11月以来最大の前年比市場の伸び;前月比は僅かに減少 …3月6日付け SIAプレスリリース

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年1月の世界半導体販売高が$30.6 billionに達し、2016年1月の$26.9 billionに比べて13.9%の増加と発表した。1月のグローバル販売高は2016年12月の$31.0 billionを1.2%下回り、通常の季節的な市場の傾向を反映している。1月は、2010年11月以来該グローバル市場の最大の伸びを示している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体業界は、2017年の力強い幸先の良いスタートを切っており、史上最高の1月販売高そしてここ6年以上で最大の前年比販売高増加を示している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「中国市場への販売高は前年比20%以上増加し、他の大方の地域市場が二桁の伸びを示している。2016年の該業界史上最高の売上げに続いて、該グローバル市場は2017年を力強くスタートして、好位置にある。」

前年比では販売高はすべての地域にわたって大幅に増加し、China(+20.5%), Americas(+13.3%), Japan(+12.3%), Asia Pacific/All Other(+11.0%), およびEurope(+4.8%)である。前月比では、Europe(+1.2%)は増加したが, China(-0.2%), Japan(-1.6%), Asia Pacific/All Other(-1.6%), およびAmericas(-3.1%)では僅かに減少している。

【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jan 2016
Dec 2016
Jan 2017
前年同月比
前月比
========
Americas
5.41
6.33
6.13
13.3
-3.1
Europe
2.71
2.80
2.84
4.8
1.2
Japan
2.49
2.84
2.79
12.3
-1.6
China
8.42
10.17
10.15
20.5
-0.2
Asia Pacific/All Other
7.86
8.86
8.72
11.0
-1.6
$26.89 B
$31.01 B
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
--------------------------------------
市場地域
8-10月平均
11- 1月平均
change
Americas
6.06
6.13
1.2
Europe
2.82
2.84
0.7
Japan
2.89
2.79
-3.2
China
9.78
10.15
3.7
Asia Pacific/All Other
8.88
8.72
-1.8
$30.43 B
$30.63 B
0.7 %
--------------------------------------

※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/January%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf

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これを受けた業界各紙の表わし方である。前年比の伸びに注目が集まっている。

◇Chip Sales Jump 14% in January (3月6日付け EE Times)

◇January semiconductor sales up 14% compared to last year (3月6日付け ELECTROIQ)

◇Chip sales have best monthly growth in over six years -SIA: Jan. chip sales rise 14% from a year ago (3月6日付け MarketWatch)

◇Global January semiconductor sales rise 14%, says SIA (3月7日付け DIGITIMES)

昨年来の半導体販売高の伸びを支える1つがNANDフラッシュメモリであるが、その昨年および昨年第四四半期の伸びが以下の通りとなっている。この余勢が残る現時点と受け止めている。

◇Overwhelming Market Presence: Samsung Electronics Dominating Global NAND Flash Memory Market -Data: Samsung is still No. 1 in NAND flash (3月6日付け BusinessKorea magazine online)
→DRAMeXchange発。2016年のNANDフラッシュメモリ半導体販売高、Samsung Electronicsが$14.15 billionで首位、東芝が次いで$7.9 billion。
Samsungの販売高は前年から34%増、東芝は前年比18.4%増。

◇Global 4Q16 NAND flash market posts 17.8% increase, says DRAMeXchange (3月7日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2016年第四四半期のグローバルNANDフラッシュ業界売上げが、前四半期比17.8%増の$12.05 billion、2016年についてNANDフラッシュメモリ半導体の不足の最も厳しい局面が該四半期になっている旨。

SEMIによる半導体設備投資の予測も、今年そして来年と金額ベース史上最高を更新する読みが表わされている。

◇Record spending for fab equipment expected in 2017 and 2018 (3月7日付け ELECTROIQ)
→SEMIがWorld Fab Forecastレポートを更新、2017年のfab装置spendingが$46 billionを上回って業界史上最高に達する見込み、この記録は2018年に再び破られて$50 billionの大台に近づくと見る旨。これらは、1990年代半ば以降ぶりとなる3年連続の伸び(2016、2017および2018年)からきている旨。

◇Record spending for fab equipment expected in 2017 and 2018, says SEMI (3月8日付け DIGITIMES)

NANDフラッシュメモリをリードするSamsungについて、本年の積極的な設備投資の取り組みが見込まれている。

◇Samsung's chip investment expected to rise 11 pct this year -Samsung said to set $12.5B in chip capex (3月7日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→IC Insights発。Samsung Electronicsが、半導体operations向けの2017年capital expenditures(capex)について$12.5 billionを予算化、2016年から11%増。Intelは今年$12 billionを充てる見込みの一方、TSMCは$10 billionと見積もられる旨。

とりわけ3D NANDフラッシュの生産を中国・西安で行っているSamsungが、昨年始めて中国における半導体生産のトップメーカーになったことに注目させられている。

◇Samsung Xian fab output value exceeds SMIC in 2016 (3月9日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung ElectronicsのXian, China(陜西省西安市)にあるNANDフラッシュfabの2016年生産額がCNY23.75 billion($3.44 billion)、SMICのfabsについて見積もられるCNY20.22 billionを上回っている旨。
Xian fabでは3D NANDフラッシュ半導体生産に専心しているSamsungは、2016年に初めて(生産額の点から)中国で最大の半導体メーカーになった旨。Samsungは他のnon-Chinaベース・メーカーとともに、中国の2016年半導体メーカー・トップ10に入っている旨。

非常に流動的、激動の世界の政治経済情勢のなか、半導体市場の着実な伸びを引き続き期待し、注目するものである。


≪市場実態PickUp≫

【熱いサーバ市場競合、特にIntel対抗】

サーバ・プロセッサ市場で圧倒的な位置づけのIntelに対抗する動きが熱気を帯びてきており、Facebookのイベント、Open Compute Project(OCP)での動きが以下の通りである。

◇AMD Describes Zen for Servers-32-core Naples ships before June (3月7日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)が今週のOpen Compute Project(OCP)(2017年3月8-9日:Santa Clara, CA)イベントにて、同社Zen x86コア・ベースの最初のサーバ・プロセッサを発表、6月までに出てくるAMDのNaplesは、IntelのBroadwellより多くのコア、メモリおよびI/Oを擁して、地震解析benchmarksでは優っている旨。

◇ARM Servers ‘Compelling’ for Microsoft-Cloud giant tests Q'comm, Cavium SoCs-Many apps, multi-year partnerships-M'soft shows Skylake, Naples x86 boards-New machine learning systems tap Pascal-Facebook updates x86 systems-Switches ride Broadcom 100G chip-Power 9 brings PCIe Gen 4 partners (3月9日付け EE Times/Slideshow)
→Facebookがサーバの更新ラインを披露するannual Open Compute Project(OCP)(SANTA CLARA, Calif.)にて、Microsoftが、Cavium, Qualcommおよび少なくとももう1つのサプライヤ製のARMサーバSoCsをテストしており、サーバにおけるIntelのx86の有利な席巻に分け入る希望を高めている旨。
これとは別に、IBMはPower 9プロセッサを用いる最初のボードを披露の旨。全体として該イベントでは、データセンター・ハードウェアにおける活動および分裂の高まりが見られている旨。

◇Microsoft Pledges to Use ARM Server Chips, Threatening Intel's Dominance-The software maker seeks to cut costs in its Azure cloud business by developing new hardware-Microsoft turns to ARM-based chips for servers (3月8日付け Bloomberg)
→Microsoftが、ARM-ベースプロセッサ搭載サーバで走るWindows版開発でQualcommおよびCaviumとコラボ、これらプロセッサを同社Azure cloudサービスをサポートするデータセンターで用いる計画の旨。

AMDについて、さらに次の通りである。

◇AMD prepares for a datacenter comeback with 'Naples'-AMD's re-enters the server market with new Naples chips, based on the Zen processor design used in AMD's high-end Ryzen desktop processors. Intel should be very worried.-AMD aims at servers with "Naples" chips (3月7日付け ZDNet)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、6月前に出荷する新しいZen-ベース"Naples"プロセッサを擁してデータセンター・サーバ市場に対峙、該14-nm, 32-core半導体は、QualcommのARM-ベースCentriq system-on-a-chip(SoC)デバイスにとって競合となる見込みの旨。

◇AMD preps for data centre return with 32-core Naples (3月9日付け EE Times India)

Intelに対抗する現況がまとめて表わされている。

◇Intel Facing Huge Challenge In Fast-Growing Market (3月8日付け Fortune)
→Intelはサーバ用microchips市場の99%近くを支配と言われるが、2017年はAdvanced Micro Devices(AMD), Qualcomm, およびNvidiaのような挑戦者からIntelに対する競合が急成長のサーバ市場で改めて生じる年になる可能性、各社は、cloudデータセンターおよびビッグデータanalyticsなど最も熱い分野のいくつかで特に、市場リーダーを上回る性能の新製品を展開している旨。

【東芝メモリ入札関係】

東芝メモリへの入札に向けた各陣営の動きが日々取り上げられているが、まずは目立った韓国・SK Hynix関連、以下の通りである。

◇SK Hynix may join hands with Foxconn for Toshiba bid (3月5日付け Korea Herald)
→業界観測筋発。韓国・SK Hynixが、東芝の半導体部門買収に向けて台湾のハイテク大手、Foxconnと提携する可能性の旨。

東芝から新たな計画を知らされたとしている。

◇SK Hynix says informed by Toshiba of new memory business stake sale plans -Toshiba gives SK Hynix a heads-up on unit sale (3月6日付け Reuters)
→SK Hynixは、東芝が半導体事業におけるminority equity stake売却についてownershipの大半あるいは全部の売却に変更としている旨。

◇Toshiba informs SK hynix of new plan to sell stake in memory chip business (Yonhap News Agency (3月6日付け South Korea))

◇東芝、メモリ事業売却巡り新たな計画を通知=SKハイニックス (3月6日付け YAHOO! JAPAN)
→韓国のSKハイニックスが6日、東芝が分社化するメモリ事業の株式売却について、東芝から新たな計画に関する情報を受け取ったと明らかにした旨。SKハイニックスは、最終案を提示するかどうかを決定する際に新たな開示を行うとした旨。

そして、共同出資の動きが出てきて、まず台湾同士のFoxconnおよびTSMCの連携である。

◇Foxconn, TSMC to partner on Toshiba Memory bid, says paper (3月7日付け DIGITIMES)
→中国語・Liberty Times発。TSMCとFoxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)が、東芝メモリの株式に向けた入札で連携の旨。該協力によりTSMCは、フラッシュメモリ市場での韓国・Samsung Electronicsの主導力に挑戦でき、新たな成長の波を獲得できる旨。該2社の入札チームは、3月29日の第一次入札を前に日本で積極的に書類提出の準備を現在行っている旨。
続いて、FoxconnがSK Hynixとの連携を探っている。

◇鴻海、韓国SKに共同出資打診、東芝半導体新社へ (3月9日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ新会社への出資を巡り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が韓国メモリ大手、SKハイニックスに共同出資を打診していることが8日わかった旨。ハイニックスはファンドとの連携も検討しているもよう。東芝側は1兆円規模の出資を求めており、資金を複数社で捻出しようと応札企業の連携が始まった旨。メモリを手がけるハイニックスと組むことで同事業の経営をスムーズに引き継げるほか、資金力を補完できると判断、関係者が明らかにした旨。

Foxconnは中国とのつながりから、入札には不利に働くという見方が表わされている。

◇Foxconn approached SK Hynix for joint Toshiba bid, sources say -Tycoon Terry Gou acts on warm personal ties with SK Group Chairman Chey Tae-won-Foxconn may bid with SK Hynix for Toshiba unit (3月9日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Foxconn Technology Groupが、NANDフラッシュメモリデバイスの大手サプライヤ、東芝の半導体事業への共同入札を行う話し合いでSK Hynixにアプローチしている旨。台湾の該contract electronicsメーカーは中国に複数の生産拠点をもっており、入札プロセスで不利に働く可能性がある旨。

◇Foxconn not favored bidder for Toshiba's chip unit due to China link: sources (3月9日付け Reuters)

東芝の家電を買収した中国・美的グループもこの入札に関心を示している。

◇東芝の家電買収、中国・美的、半導体出資にも意欲 (3月8日付け 日経)
→中国家電大手、美的集団の親会社である美的控股の袁利群・副総裁(47才)が7日、日本経済新聞のインタビューで、東芝の半導体事業について「社内には、東芝向けの戦略チームがある。美的は開放的な会社で、(東芝の半導体事業の)出資が実現すれば、社内で受け入れる力が十分にある」と述べた旨。昨年買収した東芝の白物家電事業に続き、半導体事業への出資にも意欲を見せた旨。

【罰金支払い:中国→米国】

半導体関係M&Aで緊張が見られる米中の間であるが、米国輸出管理に違反として中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が、最高額となる罰金を米国政府に支払って今後監査を受ける事態となっている。

◇米、中国携帯大手に罰金1300億円、制裁関連で最高額 (3月8日付け 朝日新聞DIGITAL)

◇北に通信機器輸出、中国通信大手に米政府が罰金 (3月8日付け YOMIURI ONLINE)
→米政府が7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が、イランと北朝鮮に通信機器を米国の規制に違反して輸出したことを認め、総額11.9億ドル(約1360億円)の罰金を支払うことで合意したと発表、ZTEは今後、米政府の監査を受けることや法令を順守することを約束した旨。

◇ZTE Agree to Pay U.S. $892 Billion Over Iran Charges (3月9日付け EE Times)
→中国のテレコム大手、ZTE社が、イランに出荷した製品についての米国輸出管理に違反したことで$892 million以上を支払い、罪を認めることに同意の旨。米国District Courtの承認を受けることになる該同意によりZTEはまた、3年のcorporate保護観察期間に従う必要があり、その間は輸出管理遵守が独立に見直される旨。

中国から適切対応を求めるコメントが返されている。

◇China urges US to properly handle trade relations after ZTE settlement (China Daily)
→中国が木曜9日、米国に対し双務的通商関係の健全な展開に向けて適切に行動するよう督促の旨。

【ソフトバンク、ARMの25%売却】

昨年の9月に英国・ARMを約320億ドルで買収したソフトバンクグループが、その25%をサウジアラビア政府系のファンドに売却する以下の動きが見られている。GlobalFoundriesのオーナーでAdvanced Micro Devices[AMD]の大株主であるアブダビ政府も絡む全体模様となっている。

◇Softbank to Sell 25% of ARM to Saudi-Backed Fund-Mubadala, an Abu Dhabi group, keen on ARM (3月8日付け EE Times)

◇SoftBank Sells 25 Percent Stake in ARM to Vision Fund-Report: SoftBank will sell 25% stake in ARM (3月8日付け Bloomberg)
→ソフトバンクグループが、全株式を保有する英半導体設計、アーム・ホールディングスの株式の25%を、自らも出資するサウジアラビア政府系のビジョンファンドに売却する計画、売却でソフトバンクは約$8 billion(9100億円)を手にすることになる旨。ソフトバンクの孫正義社長は、ビジョンファンドを1000億ドル規模とすることを目指し、サウジやアブダビ政府系のムバダラ開発公社(Mubadala Development…GlobalFoundriesのオーナーでAdvanced Micro Devices[AMD]の大株主)などと資金確保に動いている旨。ソフトバンクは2016年9月にアーム社を約320億ドルで買収した旨。

◇SoftBank to Transfer 25% Stake in ARM to Saudi-Backed Fund-Negotiations over valuation for the stake are continuing (3月8日付け The Wall Street Journal)

◇SoftBank to sell $8bn stake in ARM to Vision Fund, FT reports-Son places 25% of UK's largest tech company with Saudi-backed vehicle (3月8日付け Nikkei Asian Review (Japan))

【米国内でのM&Aの動きから】

まずは、Cypress Semiconductor社の200mm fab売却である。

◇Cypress Sells Minnesota Fab for $30 Million (3月3日付け EE Times)
→Cypress Semiconductor社が、Bloomington, Minn.の同社200mm fabを$30 millionで売却する取引を結んだ旨。該取引の条件のもとCypressは、該fabをもつ子会社をMinnesotaのholding company、Oxbow Industries, LLCが支援するstartupファウンドリー, SkyWater Technology Foundryに売却する旨。SkyWaterが該fabを運営、Cypressなど半導体メーカー向けにウェーハを製造する旨。

◇Cypress closes sale of Minnesota wafer fabrication facility (3月6日付け ELECTROIQ)

もう1つ、アナログ半導体の競合同士であるが、Analog Devices(Norwood, MA)によるLinear Technology(Milpitas, CA)買収が、最終段階の中国の承認も得て完了している。約1.5兆円規模とみられている。

◇Analog's acquisition of Linear set to close-ADI's purchase of Linear Tech to close Friday (3月7日付け New Electronics)
→中国・Ministry of Commerceからの法制承認を受けて、Analog Devicesが、2017年3月10日にLinear Technologyの買収を完了する予定の旨。中国当局の承認が該買収プロセスの最後の段階となっている旨。

◇Analog Devices completes acquisition of Linear Technology (3月10日付け ELECTROIQ)


≪グローバル雑学王−453≫

グローバル経済が展開していく中、我が国は少子高齢化で人口は減っていく流れ。それでは伸ばすために、補うために、どうするか?「企業」「地方」「人材」の切り口で工夫、戦略など具体的な成功例を

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

より追っていく前半である。普段目や耳では馴染んでいる身近な例のそもそも、拡大の経緯が説明してあって、改めて納得するところを随所に感じている。我が国への海外からの来訪が2000万人を越えているが、欧州の観光立国にはまだまだ遠く及ばないこともその1つである。

第3章−1 日本の成長を支えるローカル戦略とグローバル戦略−「企業」「地方」「人材」それぞれの視点

□グローバリズムと日本の活路
・少子高齢化社会で人口が縮小していく日本経済
 →どうしても外に目を向ける必要
・中間所得層の増大によって急速に消費市場が拡大している近隣のアジア諸国
 →過去10年で約8億人増、これから10年でさらに10億人増
・すでに日本の消費財メーカーは、積極的にアジア市場への展開を推進
 →紙オムツ、化粧品、加工食品、アパレルなど
・安倍内閣のもとで進められてきた観光戦略
 →2012年に850万人であった年間訪日外国人の数は、すでに2000万人超え
・日本の企業が海外に積極的に投資
 →グローバル経済の中で日本の競争力を維持するために必要
 →日本からの対外投資に見合うような海外からの対日投資が行われていないことは大問題
・グローバル化という切り口で日本経済や社会のあり方を考えるということが重要

◆なぜ、豊島区は区のお金を使わずに庁舎を建設できたのか?
・日本経済全体に広がっている停滞感
 →肝心の消費や投資の動きが重い
・民間投資を引き出すために、公的な施設に民間資金を入れる手法についての検討が全国のあちこちで
 →東京都の豊島区では、民間資金を使って庁舎の跡地に高層の建造物を建て、その一部を庁舎として使用
 →豊島区の担当者の話では、区のお金をまったく使わないで庁舎の建て替えが可能に
 →街の活性化にも
・全国に広がって進んでいる空港の民営化
 →大阪の関西国際空港・伊丹空港…オリックスとフランスの空港運営会社、バンシ・エアポートに40年以上の運営権
 →仙台空港…東急グループと前田建設に経営権
 →民間の投資資金を呼び込むことで、一石二鳥の効果が期待
・税金を極力使わないで、民間の資金を最大限に引き出すためには何が必要か?
 →地域の公的施設をリストアップして、検討を始める時期に
【視点28】民間投資を活性化するため、公的施設への民間投資を呼び込む動きが全国的に進んだ。この手法は税金を使わずに地域経済を活性化に導く、一石二鳥の手法である。

◆ユニクロ、ダイソー、ニトリ……地方発小売業が成功する理由
・東京大学経済学部におけるニトリ寄付講座にて
 →ある学生が「なぜ多くの成功する小売業は地方から出てくるのか」という質問
  …北海道発のニトリ、広島発のダイソー、山口発のユニクロ、米国アーカンソー州発の世界最大の小売業・ウォルマート
 →「地方は購買力が弱いので、その中で徹底したコスト削減を実現した地方出身の小売業は、恵まれ過ぎた大消費地の東京の小売業などに比べて潜在的な競争力がある」と、似鳥社長
・ニトリは、1998年に出店した東京・南町田の店で格段に大きな売り上げを達成
 →年10店舗を超える出店という急成長のサイクルに
・常磐線沿線で小さな薬局を展開していたマツモトキヨシが、東京・上野のアメ横近くに店を構えることに
 →多くの鉄道の拠点駅、上野は、利用客数が膨大、大挙して来店
 →ドラッグストアの流れを大きく変えることに
【視点29】地方発の小売業には購買力の弱い中で経営を徹底し、潜在的な競争力を持つ企業もある。その多くが、立地の異なる大都市への出店が急成長のきっかけになっている。

◆なぜ、人々は南を目指すのか −沖縄観光、成功の秘訣
・沖縄経済は他の地域よりも元気だという印象
 →人口は全国最高の増加率、他府県から移住してくる人も
・沖縄の経済を支える重要な産業が観光
 →最近の沖縄は低コストの旅行者ばかりではない
 →アジアの富裕層がいて、高級ホテルが次々に建設
 →観光業が栄えるためには、高級と大衆向けの両方がバランスよく存在することが重要
・閑散期の2月、沖縄では大半のプロ野球球団がキャンプ、韓国のプロ野球球団も
 →スポーツキャンプの促進は強力な観光戦略に
・沖縄の立地はハワイに似たところ
 →アジアと米国本土の間にあるハワイ
 →本土とアジアの間にあるリゾート地、沖縄
【視点30】沖縄の観光産業が好調だ。その秘訣は高級リゾートと大衆向けリゾートのバランスのよさにある。冬季キャンプやアジアの観光客の需要も見込める沖縄の今後は有望だ。

◆前代未聞の大改革が奏功! 丸亀町商店街の盛況
・四国の高松市、丸亀町商店街のにぎわいは例外的な存在
 →地権者は店舗を物件として貸し出す。商店街の組合が全体としてまとめ、新規の借り手に貸し出す。
 →総取り換えの商店街ができた
・全国どの町も人口減少の問題に直面
 →中核都市への経済活動の集中と、街のコンパクト化が必要に
・時代の要請に応じてテナントの店舗が簡単に入れ替わることができるようなものでなくては
 →常に変化を続けることができるものでなくてはならない
【視点31】丸亀町商店街は店舗を総取り替えすることで盛況を取り戻した。その結果、商店街を中心に街の再開発が進んでいる。今後は商店街も、変化し続けられる体制が重要だ。

◆グローバル化で変わる海外企業の対日投資
・多くの先進工業国では、直接投資は双方向性
 …外に向かって多くの投資が行われると同時に、外からも多くの投資が入ってくる
・これまでの日本の状況は異常とも
 →日本から海外への投資はそれなりの規模であるが、海外から日本への投資は異常に少ない
・対日直接投資を増やすために何をする必要があるのか
 →海外の企業や人が日本で活動しやすいようなインフラを整備
 →投資の障害となる規制や行政手続きの煩雑さを是正
 →地域による投資誘致活動を活発化
・いろいろな面で日本社会のグローバル化対応が遅れている
【視点32】現在、海外から日本への投資は非常に少なく、対日直接投資の増加は重要な課題だ。そのためには、ミクロな部分で日本社会がグローバル化に対応していく必要がある。

◆ユニチャーム、マンダム、ライオン
  ……高品質を武器に海外に向かう日本企業
・海外に積極的に展開、成長を続けている企業
 →四国のユニチャーム…オムツや生理用品でアジアのビッグブランドに
 →大阪の髪染めメーカー、マンダム…インドネシアの?市場で非常に高いシェアを維持
 →ライオンの洗剤…マレーシアでは市場シェアでトップ
・成功事例におけるいくつかの特徴
 →日本製品の品質の高さ
 →個々の国で異なった取り組み
  …アジアへの進出とは言っても、それなりのしたたかな戦略が必要
【視点33】日本企業は国内市場だけでなく、海外市場に目を向ける必要がある。成功している企業は品質の高さや、地域別に異なる取り組みを行う個別戦略で差別化している。

◆訪日客5000万人!? 日本が観光大国になるための条件
・スペインは、人口4600万人、1年間に外からやってくる来訪者がおよそ6500万人
 フランスは、人口6600万人ほど、海外から年間8370万人の人で世界最大
・日本は、スペインやフランスに比べればまだまだ少ない
 →10年や20年はかかるだろうが、日本への観光客数を3000万人から4000万人にまで増やせないだろうか
・イタリアには4800万人、ドイツには3300万人、イギリスには3260万人の観光客
 →欧州内の交通網が発達、欧州の多くの人は簡単に国境を越えて動くだけの豊かさ
・アジアもそうした時代に少しずつ近づきつつある
 →20年後あるいは30年後には訪日客が年間5000万人を超えるということだって十分に
【視点34】日本がスペイン、フランスのような観光立国を目指すためには、欧州のようにアジア間の交流が鍵となる。国境を越えて観光客を呼び込む枠組みが求められている。

◆スペインで経験した本当の休暇
・15年以上前、観光について、(著者が)スペインで貴重な経験
 →屈指の観光スポット、グラナダ行きで紹介された面白いホテル
・グラナダを一日観光、ホテルへの移動
 →一軒ぽつっとあって、周りは一面林と野原
 →予想に反して非常に快適な滞在に
 →自然たっぷり、快適な部屋とおいしい食事、これが本当の休暇
・田舎は日本のどこにでも
 →一軒でもおいしい食事ができるところ、あとは古民家を改装すれば立派な観光地に
【視点35】林の中を散歩し、おいしい食事を囲んで滞在客と対話する――。スペインのホテルには日本の田舎を観光地化させるヒントが詰まっている。

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