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激動の煽りの中、MWCでの華やかな打ち上げ、一方の舞台裏事情

連日世界の政治・経済の激しい動きがトップニュースを占める中での今年の世界最大の携帯電話見本市、Mobile World Congress(MWC) 2017(2月27日〜3月2日:Barcelona)の開催である。業界記事から追って、例年のスマートフォンはじめ製品&技術開発に加えて、今後に向けたIoTおよび5Gについての取り組み、先々の見方の華やかな打ち上げが行われている。ベンダー別に中国勢がシェアを大きく伸ばす競争環境の中、最先端のモバイル半導体がこの機会に披露されているが、様々な舞台裏事情が見え隠れするところがある。

≪Mobile World Congress(MWC) 2017記事より≫

MWC 2017についての業界関連記事から、まずは、スマートフォン製品について。LG Electronicsからさらに広くした画面である。

◇Handsets Going Wide, says LG-Smartphones expand aspect ratios in 2017 (2月26日付け EE Times)
→LG Electronicsが同社最新のスマートフォンを広くし、AppleおよびSamsungもそうすると見ている旨。Mobile World Congress(MWC)でお披露目されるG6は、アスペクト比18:9の5.7-インチディスプレイおよびdual広角カメラを用いている旨。

◇Smartphones get wider in 2017 (3月1日付け EE Times India)

かつて携帯世界市場をりーどしたNokia、BlackBerryそしてMotorolaからの新型の発表である。

◇携帯「老舗」が新型スマホ続々、MWC開幕へ−ブラックベリーやモトローラ (2月27日付け 日経 電子版)
→世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が27日、スペイン・バルセロナで開幕、先行してかつて携帯電話の世界市場をリードしたカナダのブラックベリーや米モトローラ・モビリティーなどが26日、新型スマートフォンを相次いで発表、単独での開発・製造から撤退している各社は「ブランド」の生き残りへ知恵を絞っている旨。
ブラックベリーは中国家電大手のTCL集団とキーボードを搭載した新型スマホ「ブラックベリーKEYone」を発表、ブラックベリーの代名詞といえる小型のキーボードを画面の下に配置、キーボードの上を指でなぞれば、画面を左右や上下に動かせる仕組みの旨。

いま注目の人工知能(AI)採用について、今は中国・Lenovo傘下のMotorolaの取り組みである。

◇レノボ傘下モトローラ、スマホにアマゾンのAI採用 (2月27日付け 日経 電子版)
→スペイン・バルセロナで開催される携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」を前にしたプレス向け発表会で、中国レノボ・グループ傘下のモトローラが26日、米アマゾン・ドット・コムの人工知能(AI)「アレクサ(Alexa)」をスマホに採用すると発表、中国メーカーが欧米向けのAIサービス開発で割り切り、米国のネット企業と組む事例が目立ち始めている旨。1月には中国・IT大手の華為技術(ファーウェイ)が米国で投入する旗艦スマホにアマゾンのAIを採用すると発表していた旨。

成熟段階に向かうスマートフォンの差別化を如何に図るか、MWC会場からの個々の注目である。

◇Handsets at MWC: Same But Different (2月28日付け EE Times/Slideshow)
→成熟し始めているスマートフォン、各ベンダーはどう差別化を図っていくか。カメラ品質、画面サイズ、そして防塵及び防水のようなfeatures。
applicationプロセッサおよびmodem速度は確実にある旨。MWC on Day Oneの会場から以下の注目:
 Nokia 3310 goes back to the future
 Blackberry KeyOne revives QWERTY keypad
 Huawei fills Samsung void with P10
 LG's G6 designed for split-screen uses
 Lenovo keeps Moto smartphone brand alive
 ZTE brings 3D to Axon 7 max

今後に向けた技術開発について。まずは、Qualcomm, SamsungおよびMediaTekの取り組みから10年目を迎えるiPhone、iPhone 8についての暗示が得られるとしている。

◇Q'comm, Samsung, MTK Offer Hints on iPhone 8-10nm process node, Gigabit LTE come to smartphones (2月27日付け EE Times)
→スマートフォン半導体ベンダー大手3社、Qualcomm, SamsungおよびMediaTekが今週のMWCにて、次世代スマートフォンに向けて設計された新しい先端modemsおよびアプリ・プロセッサを披露する旨。10年目を迎えるiPhoneについてAppleが切り札にするものは誰も正確にはわからないが、MWCで打ち上げられた新技術から集めていってAppleので予想されるものが何らか考えられる旨。

Intelの製造に成る中国・Spreadtrum設計のモバイル半導体の披露である。
Intelのアーキテクチャー、CPU技術が搭載されている。

◇Intel, Spreadtrum Demo Brainchild-Is Intel getting ready for Apple? (3月1日付け EE Times)
→Intel社がMobile World Congressの同社ブースにて、中国のSpreadtrum Communicationsが設計した新しいモバイルSoC半導体を披露、該新半導体、SC90861-IAは、Intelアーキテクチャー・ベース、Intelが同社14-nm LPプロセス技術を用いて製造の旨。該SoCのCPU insideはIntelからきており、Octa-Core 2GHz Intel Airmontアーキテクチャー・ベースの旨。

iPhoneのmodemを巡ってQualcommの牙城に切り込みを図るIntelとの競合が熱を帯びている。

◇Qualcomm, Intel escalate fight over iPhone modem-Taiwan's MediaTek undaunted by rising competition-Qualcomm faces off with Intel on iPhone modem (3月1日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Intelが、次期iPhone 7に向けてより多くの受注獲得を期待する4G LTE modem、XMM 7560半導体を投入、今年前半にサンプル配布の運びの旨。
Intelのmodem半導体は来年まで生産数量での出荷とならない、とQualcommの製品management、senior vice president、Serge Willenegger氏。

今後に向けてIoTについての活発な議論が引き続いている。

◇IoT in Industry Still 'Infant,' But a Big One (2月27日付け EE Times)
→Mobile World Congress(MWC)(BARCELONA)にてパネルメンバーが月曜27日大胆に宣言、industrial IoT(Internet of Things)の賢い使用が今日でも莫大な投資がうまくいくかどうかの不安を払拭する力がある旨。
connected産業用機器から集められるデータによる"予測的洞察"から、業界がconnected機器の能力の利用法を理解しさえすれば、空前の"生産性、信頼性および安全性"をもって利益創出の非常に大きなopportunityが得られる、とUptakeのfounder and CEO、Brad Keywell氏。

IoT半導体の規模の展開が表わされている。

◇SoftBank expects ARM to deliver 1 trillion IoT chips in next 20 years-SoftBank sets ARM goal: 1T IoT chips in 20 years (2月27日付け Reuters)
→SoftBankのChairman and CEO、孫正義氏がMobile World Congress(Barcelona, Spain)にて、ARMが向こう20年の間に約1 trillion個のinternet of things(IoT)半導体デバイスを供給することになる旨。

5Gについての見方、期待について、韓国・KTおよびIntelから以下の通りである。

◇韓経:KT「5G、2年以内に世界初の商用化」 (2月28日付け 韓国・中央日報)
→黄昌圭(ファン・チャンギュ)KT会長(サムスン電子時代、メモリ集積度の「ファンの法則」で知られる)が、2019年に第5世代(5G)通信を世界で最初に商用化すると公式宣言、黄会長は27日、MWC 2017にて「5Gの向こうの新しい世界」(New world beyond 5G)をテーマに基調演説、明らかにした旨。

◇Intel hopes 5G will breathe new life into its smartphone business-Intel bets on 5G to boost its phone chip sales (3月1日付け TechCrunch)
→Intelは、スマートフォンなどワイヤレス製品での同社を高めるために新興途上の5G通信技術を見据えている旨。「スマートフォンの伸びが5Gをもって急増として、備えている」と、同社5G Business and TechnologyのGM、Robert Topol氏。

インドでのIoTネットワーク展開に向けた連携である。

◇HP, Tata to build LoRaWAN IoT network in India (3月2日付け EE Times India)
→Hewlett Packard(HP)がWorld Mobile Congress 2017にて、インド初のLoRaWAN (LoRa)-ベース・ネットワークを展開するTata Communicationsとの連携を発表の旨。インドで4億人以上のユーザをつなぐ最初のIoTネットワークを設立するコラボの旨。

華やかな打ち上げが続く中、スマートフォン市場の競争激化の煽りか、出荷目標を控える反応が見られている。

◇Huawei eschews shipment target amid challenges from rivals-No. 3 smartphone maker to adopt advanced 10nm chips this year-Huawei won't reveal 2017 phone shipment goals (2月27日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Huawei Technologiesが、Mobile World Congress(Spain)にて同社P10 premiumスマートフォンを投入、2017年出荷目標披露は控えた旨。「2017年については市場競争が非常に激しく、今年に向けた出荷目標は置いておらず、できるだけ多く売ることに集中する」と、同社consumerビジネスグループ、CEO、Richard Yu氏。

揺れる渦中にあるSamsungについてはここでも以下の状況がレポートされている。

◇サムスン、携帯見本市でもトラブル続き (2月28日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子に異変が起こっている旨。スペイン・バルセロナで始まった携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」で開催された発表会はトラブルの連続で、イベントとして品質には問題があった旨。ブランドへの意識が高く、手慣れたイベント運営に定評があったサムスンが、晴れの舞台である欧州の大規模イベントで守りに回った時の弱さを露呈した旨。「何から何までサムスンらしくないイベントだった」と、サムスンのイベントに何度も招待されている米半導体大手、インテルの副社長。


≪市場実態PickUp≫

【MediaTekの10-nmモバイル半導体】

MWCを前に台湾・MediaTekの10-nmプロセスに成る10-core Helio X30半導体のインパクトの程合いが、次のように表わされている。

◇MediaTek wants to put its new 10-core chip in $300 VR smartphones-MediaTek's new 10-core Helio X30 chip will be available for smartphones and phablets priced between $300 and $500 -MediaTek aims at VR smartphones with 10-core chip (2月26日付け CIO.com/IDG News Service)
→MediaTekの新しい10-core Helio X30半導体で揺らされるスマートフォンの世界、GoogleのDayDream virtual reality(VR)プラットフォームのようなpremium featuresが価格$300からのAndroid handsetsにもたらされる旨。

そしてMWCでの発表であるが、いくつかの効能の一方で、限られる使用、半導体生産委託先の移行、と気になる下りが含まれている。

◇MediaTek sees only limited use of its new advanced chip in 2017-Taiwanese company may also shift some orders from TSMC to Samsung-MediaTek's new chip to see limited use (2月28日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→台湾・MediatekのCo-Chief Operating Officer、Jeffrey Ju氏が月曜27日、Mobile World Congress(BARCELONA, Spain)でのpress briefingにて。同社最新のhigh-end X30半導体について多くのプロジェクトは予想しておらず、当面採用するのは10以下のスマートフォンモデルと思っている旨。

◇MediaTek rolls out 10nm mobile chips (3月1日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、high-endスマートフォン向けに設計された同社Helio X30 system-on-chip(SoC)の商用品を発表、該SoCの量産は始まっており、搭載した商用機器が2017年第二四半期に出てくる旨。該Helio X30は、同社初の10-nmチップセットに同社10-core, tri-clusterアーキテクチャーを引き合わせて、先行世代のHelio X20より50%以上の電力節減および性能35%増が得られる旨。
追認するように、10-nm FinFET技術の歩留まりが量産規模に高めるには低過ぎるという業界筋の見方があらわれている。

◇Foundry 10nm yield rates still unsatisfactory (3月2日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ファウンドリーの10-nm FinFET技術歩留まり率が不満足で、次世代製品を出荷するスマートフォンSoCサプライヤの予定が後倒しされている旨。TSMCの10-nmプロセス技術歩留まりは、scale経済に高めてもっていくには依然低過ぎる旨。初の商用TSMC製造10-nmスマートフォンSoCとされる、MediaTekのHelio X30の出荷予定が、すでに遅れている旨。
MediaTekは同社10-nm Helio X30 SoC-シリーズを展開したばかり、該半導体を用いるスマートフォンが2017年第二四半期に出てくるとしている旨。

【Xiaomi社内開発モバイル半導体】

もう1つモバイル半導体について、MWCのタイミングで中国のスマホメーカー、Xiaomiが、独自に社内で開発したプロセッサを開発、業界各紙の以下の反応を呼んでいる。

◇Xiaomi just announced its own processor-Xiaomi debuts its custom mobile processor (2月28日付け Mashable)
→Xiaomiが、QualcommのSnapdragon 625と競合する可能性の64-ビット半導体、同社Surge S1 system-on-a-chip(SoC)デバイスを発表、該customモバイルプロセッサは、Xiaomiの子会社、Beijing Pinecone Electronicsとの共同開発の旨。

◇Xiaomi unveils in-house chipset to streamline production, cut prices (2月28日付け Reuters)
→Xiaomiの最新スマートフォン、Mi 5cに搭載されるチップセット、Surge S1について。該Mi 5cは、3月3日から流通価格1499 yuan($218)の旨。

◇China market: Xiaomi unveils Surge S1 mobile chip (3月1日付け DIGITIMES)
→Xiaomi Technologyが、同社初の社内開発スマートフォン・ソリューション、Surge S1を披露、Huaweiに次いで自前のモバイル半導体を展開する2つ目のスマートフォン・ベンダーとなる旨。該Surge S1は、big.LITTLEアーキテクチャーで構築、Mali-T860 MP4 GPUと対になった4つの2.2GHz Cortex-A53コアおよび4つの1.4GHz Cortex-A53コアから構成される旨。

◇中国・小米、スマホ用CPU独自開発、低価格と高性能を両立 (3月1日付け 日経)
→中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)が28日、スマホの性能を左右するCPU「澎湃S1」を開発したと発表、これまでCPUは外部から調達していたが、低価格と高性能を両立し、計画通りの出荷を実現するためには独自開発が必要と判断した旨。本業のスマホに回帰して成長力を取り戻す旨。

Xiaomiのプロセッサは中国市場でどう受け取られるか。おひざ元での開発は何かと有利に働くと、地場のスマホベンダーには好意的な反応が見られている模様である。

◇China market: Xiaomi mobile SoC to heat up competition in AP market (3月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Xiaomiが最近リリースしたSurge S1 application processor(AP)の性能および市場の受け入れはまだこれからであるが、該Surge S1の展開は確実に中国のモバイルAP市場における競合を熱くして中国のスマートフォンベンダーおよび上流コンポーネントサプライヤの市場シェアに影響を与える旨。中国のスマートフォンベンダーには同業のベンダー、Xiaomiの社内CPUs開発を歓迎する向きもあり、自国のSoC半導体はsupply chain management, コンポーネントコストおよび出荷予定を改善していく一方、third-partyサプライヤの開発および生産への依存を減らせる旨。

【台湾からも東芝メモリ入札】

「東芝メモリ」への入札の名乗りについて、シャープを買収したFoxconnからの動きが以下の通り取り上げられている。

◇UPDATE 2-Taiwan's Foxconn "definitely bidding" for Toshiba chip business-Foxconn to bid on Toshiba chip unit (3月1日付け Reuters)
→Foxconn Technology Groupのfounder、Terry Gou氏が、同社はNANDフラッシュメモリデバイスの大手サプライヤ、東芝の半導体事業に入札する旨。
Foxconnは、Guangzhou, China(広東省広州市)で$8.9 billion flat-screen display工場を起工、一方、Gou氏は米国でのディスプレイ製造拠点建設に依然含みを持たせている旨。

◇Foxconn's Gou Says 'Very Serious' About Toshiba Chip Unit Bid (3月1日付け Bloomberg)

◇Foxconn Still Looking at Building U.S. Plant as It Opens Factory in China-Tech manufacturing firm also says it is bidding for Toshiba's flash memory chip business (3月1日付け The Wall Street Journal)

◇東芝株に「鴻海ラリー」、買収発言で一時4%高 (3月2日付け 日経 電子版)
→東芝の株価が2日、急上昇、午前中には一時、前日比4.5%高い221円を付けた旨。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の董事長、郭台銘(テリー・ゴウ)氏が1日、東芝の半導体メモリ事業について「我々は東芝の経営を助け、資金をつぎ込むことができる」と買収に強い意欲を示したことが市場で好感された格好の旨。

◇Foxconn chairman Terry Guo interested in Toshiba Memory investment (3月2日付け DIGITIMES)

◇Foxconn could help Toshiba in ways similar to that for Sharp, says Guo (3月3日付け DIGITIMES)

台湾からさらに、TSMCからのアプローチが表わされている。

◇TSMC seeking stake in Toshiba chip business to expand into 3D NAND sector (3月1日付け DIGITIMES)
→業界筋発。専業ファウンドリー、TSMCが、東芝のメモリ事業への出資を通して3D NAND分野への拡張を図っている旨。TSMCはまた、現地での生産コストを下げるサポートを供給、東芝に台湾での3D NAND fab設立を説得する期待の旨。

世界的な注目を集める入札の手続きはすでに開始され、その後の運びが以下の通りである。

◇東芝、半導体新会社の入札手続き開始、提案締め切り、29日に (3月3日付け 日経)
→経営再建中の東芝が分社する半導体メモリの新会社株の売却を巡って、出資企業の入札手続きを始めたことが2日わかった旨。東芝側は3月29日を提案の締め切り日として設定。事業会社やファンドからの出資提案を募り、出資比率や金額などの希望を聞き取る旨。提案次第では新会社株を最大で100%売却する方針で、売却益は1兆円を上回る可能性もある旨。

◇Toshiba opens bidding on semiconductor unit-Japanese company's restructuring may attract US, South Korean, Taiwanese rivals-Bidding said to begin for Toshiba's chip unit (3月3日付け Nikkei Asian Review (Japan))

【インテルを巡る動き】

インテルの次世代サーバ半導体、Xeon "Skylake"プロセッサが、Amazon他に先駆けてGoogleに向かう動きとなっている。

◇Google Is First in Line to Get Intel's Next-Gen Server Chip-Skylake chips go first into Google Cloud (2月24日付け Fortune)
→11月に発表されたGoogleとIntelの間の合意の結果として、Intelの新しいXeon "Skylake"プロセッサがGoogle Cloud用サーバに入っている旨。該取引は、GoogleがAmazon Web Services, Microsoft AzureおよびIBM Cloudに先駆けて該新半導体のcapabilitiesを利用する最初の大手public cloudsプロバイダーであることを意味している旨。

◇Google cloud debuts Intel's latest Skylake processors -Google beats Amazon to the punch thanks to its recent partnership with Intel (2月24日付け Network World)

微細化プロセスノードでいつまでも表わすのではないと、PC半導体のアップグレードの捉え方の変更が提起されている。

◇Intel will change its approach to PC chip upgrades, deemphasize process sizes-Intel believes PC users won't care about the manufacturing process, just the performance of the chips (2月28日付け PC World)
→Intelが、半導体を如何に格上げするか、見方を変えてきている旨。半導体更新を関係する製造プロセスに直接結びつけるのではなく、各々新しい半導体アーキテクチャーでの性能格上げの一式維持に注目していく旨。
「もたらされる性能の増分量による世代にさらに重点化しようとしており、nodeの移行に世代tagをつけようとは思わない」と、IntelのClient and Internet of Things事業およびSystems Architecture Group、president、Venkata Renduchintala氏。

インテルに長年対抗すると言えばAMDであるが、前回も示したインテルに大きく上回る性能がみられるプロセッサ・ファミリーの発表が続いている。

◇AMD Fills Out Ryzen CPU Family-Mid-, low-end debut as high-end goes on sale (3月2日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、desktop x86 CPU製品の同社portfolioを満たす計画を述べ、同社high-end Ryzen 7プロセッサが正式に発売された旨。Ryzen 5および3ラインが、ライバル、Intelからの競合するiCore 7, 5および3ファミリーに対応するとしている旨。flagshipのRyzen 5 1600Xは、12 threadsを扱い、基本データレート3.6 GHzで動作するAMDのZenコアを6個用いている旨。該プロセッサは、Cinebench nT multithreaded benchmarkでIntelのCore i5 7600Lに69%上回り、6月前に出荷の旨。

◇AMD releases its first three Ryzen desktop processors to accolades-AMD debuts 3 Ryzen desktop processors (3月2日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、desktop PCs用Ryzen 7プロセッサの販売を開始、今年後半にRyzen 5およびRyzen 3製品ラインを展開予定、それぞれIntelのCore i7, i5およびi3半導体に対応する旨。

【中国市場への期待感】

米国政府の厳しい反応が予想されるLatticeの中国・投資会社による買収の件であるが、同社の株主は賛成多数の結果となっている。

◇Lattice Shareholders Approve China Takeover-Lattice Semi purchase gets shareholders' OK (2月28日付け EE Times)
→Lattice Semiconductor社(Hillsboro,Oregon)が、中国の中央政府が支援する投資会社による買収に1ステップ近づき、火曜28日、同社株主が該$1.3 billion取引条項を承認の旨。該取引は、Committee on Foreign Investment in the United States(CIFUS)により依然見直されており、LatticeのCEO、Darin Billerbeck氏は再度、CIFUSの承認を得るプロセスは"順調に進捗している"としている旨。Latticeの株主の約78%が該取引に賛成票を投じる一方、約22%が投票しなかった旨。

中国市場の伸びは当面続いて成長の原動力と、InfineonおよびARMの率直な見方が表わされている。

◇Infineon aims to maintain China growth in 2017-Infineon looks to China for continued growth (2月28日付け China Daily (Beijing))
→Infineon Technologiesが、2016年度にmainland中国での売上げ$1.69 billionの後、今年は中国が二桁の伸びに向けた原動力と見ている旨。「成長の勢いは2017年も続くと思う」と、Infineon in Chinaのpresident、Su Hua氏。

◇SoftBank's ARM sees China overtaking US as its top market-The chip titan has huge hopes for connected devices-Exec: China will soon be ARM's biggest market (3月2日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→ARMのcorporate marketing and strategic alliances、vice president、Ian Ferguson氏インタビュー。ARMは、同社の最大市場として数年以内に中国が米国を追い越すと見ている旨。「ここ5年間、中国は最も急成長の市場であり、その成長速度は向こう5年持続しそう」と、同氏。


≪グローバル雑学王−452≫

デフレ脱却、1000兆円の債務、労働力確保など、日本経済を浮上させる上での挑戦課題キーワードは、まさに今現在日々頭を目をよぎるところとなっているが、

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

よりそれぞれの問題意識を確認&更新していく。10年前、20年前と、英国などの例を見て、成熟経済、高齢化の波にもまれていくなか、如何に"大人の国"になっていくか、という視点をもった覚えがあるが、今やどっぷり浸かることにという感じ方がある。


第2章−2 どうすれば、日本経済は浮上するのか−日本の経済政策と企業・労働者の今を探る

◆ソフトバンクによる英国企業買収はなぜ、このタイミングだったのか?
・ソフトバンクによる英国・アーム社の3.3兆円買収
 →企業の投資の低調が景気低迷の原因と言われる中、集まる注目
・低金利を有効活用できるかどうか、企業の競争力に大きな影響を及ぼす結果に
・日本に必要なのは、横並びで投資に踏み切らない企業ではなく、史上最低の金利という絶好の機会を最大限に活用して、競争優位に立てる企業であるはず
【視点20】2度の大規模金融緩和策とマイナス金利政策によって、日本の金利はまれにみる超低金利にある。この機を活かし、巨額の設備投資に踏み切る日本企業はもっと必要だ。

◆電力自由化の論点は「電気料金」だけではない−業界再編、技術革新の可能性
・電力自由化で電気料金がどれだけ下がるのかが注目
 →航空の自由化の歴史が参考に
 →自由化の影響は長期にわたって及ぶもの。その結果は単なる価格引き下げだけでなく、業界の再編や新規参入や技術革新を伴う
・電力でも今後、様々な形で再編が起こるかも
 →加えて、技術革新が業界を動かすパワーに注目する必要
・何が起きてもそれに柔軟に対応できる仕組みを電力システムに持ち込むことこそが、自由化の重要な目的
【視点21】電力自由化により、ただちに急激な影響はない。しかし、自由化の影響は長期に及ぶものであり、今後は価格競争だけでなく業界再編や技術革新がいずれ起こるだろう。

◆「消費増税の再延期」のメリット・デメリットを考える
・消費税の引き上げを2年半遅らせることに
 →メリットは、デフレ脱却を確実なものにするということに尽きる
・そもそもデフレ脱却に成功しなければ、債務は膨らみ続けることに
 →過去20年経験してきたこと
・いろいろな問題はありながらも、財政再建への道筋をつけるためにも、デフレ脱却に全力で取り組むという考え方も
【視点22】消費増税の再延期は、財政政策の積極活用の流れで出てきた案である。財政健全化や社会保障費の財源に不安は残るが、デフレ脱却を最優先したゆえの策とも考えられる

◆シルバーポリティックスと将来世代の負担−1000兆円の債務をどう捉えるか
・日本の政府は1000兆円を超える債務を負っている
 →将来世代に大きな負担を残す結果に
・進む少子高齢化
 →政治家も、社会保障費の改革を強く打ち出すようなことができない流れ
  …シルバーポリティックス
・本当に日本は、将来世代に多くの負担を押し付けているのだろうか
 →経済学の世界でも多くの論争のあるテーマ
・これから何十年かかけて、この膨大な債務を減らしていくことを覚悟しなくてはいけない
 →もっとも深刻な負担が出るのは、財政破綻のケース
 →もう少しましなのは、財政健全化が進められる場合
  …増税が行われ、社会保障費などが大幅にカットされるケース
 →想定されるもっともマイルドな調整は、穏やかなインフレ
・対応を誤らないように、インフレも含めて経済の動きに一層の関心をもつこと
【視点23】少子高齢化により、日本は高齢者優先の社会にシフトしつつある。その流れを打破し、将来世代に残された負債を減らしていく必要がある。

◆企業を正しい経営に導くコーポレートガバナンス改革−日本企業は変われるか
・コーポレートガバナンス
 →企業の行動のあり方を統治(管理)する仕組みを工夫すること
 →企業関係者だけでなく、地域の多くの人に影響を及ぼす大企業の経営は特に、外からの監視が必要に
・企業経営は、常に外からの厳しい目にさらされ、間違った経営をしていると見られたらノーを突きつけられる
 →コーポレートガバナンスの重要なポイント
【視点24】企業経営は多くの人々に影響を与えるため、不正を犯さないよう監視する必要がある。社外取締役や監査役を導入し、いざとなればノーと言える環境の整備が重要だ。

◆人手不足の時代に求められるビジネスモデルとは?
・有効求人倍率は23年ぶりの高さ、バブルの時代の水準に近づいている現状
 →2020年までに日本の労働供給量はおおよそ5%程度縮小するとの予想
  →毎年、1%縮小していく計算
・経営者は、時代が大きな転換点に来ていることを改めて認識する必要
 →安い労働力を使いこなすことで、事業を拡大。そうした時代はもう終わった。
・企業は、付加価値を求めて、価格を上げても売り上げが下がらないビジネスモデルを構築する必要
 →売り上げが下がっても、利益は確保するというビジネスモデルもあるのかも
【視点25】人手不足の中、今後のビジネスモデルは、安い労働力で価格競争をするモデルから、商品やサービスの付加価値を高めて差別化するモデルにシフトする必要がある。

◆日本的雇用慣行が生み出すインサイダーとアウトサイダーとの格差
・日本的雇用慣行は、結果的に労働市場に二重構造を生み出す
 →終身雇用に守られたインサイダーと、その外にいるアウトサイダーとの間に生じる格差の存在
・労働力不足が顕著になってきた現在、同一賃金同一労働を進める絶好のチャンス
 →人材確保に危機感を感じている企業は、パートの待遇を準社員待遇にすると同時に、パートやアルバイトの賃金を大幅に引き上げ
 →日本経済全体に広がっていけば、同一賃金同一労働の世界により近づいていくことに
【視点26】日本の雇用慣行は、正規雇用者と非正規雇用者の格差を助長している。今こそ同一労働同一賃金を検討し、社会保障・税制と一体で改革を進めるべきである。

◆もっと働けるけれど、働かない−パートの女性と130万円の壁
・130万円の壁の存在がパートの労働供給を大きく制約する要因に
 →妻の年収が130万円未満であれば夫の健康保険の被扶養者になり、健康保険料を自己負担せずに健康保険に加入できる
 →この130万円の壁が、2016年10月から一部106万円に引き下げ
・改革が進まない中でパート労働に多くを依存する業種で人手不足感が深刻に
 →壁の存在が人々の行動をゆがめているなら、その壁を撤廃するような方策が必要
 →壁さえなければもう少し働きたいと考えている人も少なくないはず
【視点27】いわゆる「収入の壁」と人手不足による賃金上昇により、労働力不足が深刻化している。このような規制は撤廃し、所得・年金・労働供給を増やしていくべきだ。

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