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混乱の喧噪の一方、IoT、AIはじめ新分野・新技術の取り組み進捗

米国新政権スタートに伴い、移民入国問題はじめ世界の政治経済に大きな動揺が生じているが、こんどは東芝分社そしてトップ逮捕の事態と我が国および韓国で連日トップニュースとなる混乱が続いている。東芝、サムスン電子と半導体業界でもトッププレーヤーであるだけに、直接、間接、インパクトが懸念される一方、目下のIoT、AIはじめ新分野・新技術については、各社、そして業界の"競争と協調"の積極的な取り組みが日々展開されている。
現時点の進捗を追うとともに、順調な足並みを願うところである。

≪日進月歩の展開≫

新分野・新技術への各社の取り組みとして、まず、自動車のFordのAIへの出資の動きである。

◇Ford to Invest $1 Billion in Argo AI-Argo AI may license robot car technology (2月10日付け EE Times)
→Ford Motor Companyが金曜10日、2人のAI roboticタレント、Bryan SaleskyおよびPeter Rander両氏が設立したstartup、Argo AI(Pittsburgh)に向こう5年にわたって$1 billion出資する旨。両氏は、Carnegie Mellon National Robotics Engineering Centerの卒業生であり、GoogleおよびUberの自動運転車チームの前リーダである旨。

IntelのポストPC・サーバに向けた取り組みの考え方である。

◇Intel researches tech to prepare for a future beyond today's PCs-Intel is investing heavily in quantum computing and neuromorphic chip research as it prepares for the post-Moore's Law era-Intel looks to advanced tech for its future (2月10日付け Computerworld/IDG News Service)
→Intelが、neuromorphicおよびquantum computing技術へのリサーチを行っており、PCおよびサーバ半導体への依存を減らすときに向けての計画の旨。「世間一般であるそれらedge-typeのものに投資している」と、投資家に対し同社CEO、Brian Krzanich氏。

Qualcommの次世代Wi-Fi半導体が間近に見えている。

◇Chips coming by June will herald the next generation of Wi-Fi-A new generation of Wi-Fi chips is coming (2月13日付け CIO.com/IDG News Service)
→Qualcommが今年、IEEE 802.11axスペックによる半導体のサンプル配布を計画、データのワイヤレス伝送高速化が得られる一方、消費電力が少なくなる旨。同社のWi-Fi access pointsに向けたQCA6290 system-on-a-chip(SoC)デバイスは、6月までに出てくる予定の旨。

IBMは、AIに向けたCognitive Computingを中核として集中するとしている。

◇IBM Bets on Cognitive Computing (2月16日付け EE Times)
→今週のPartnerWorld Leadership Conference(LAS VEGAS)にて、IBMが、同社半導体のすべてをcognitive computingに注いでいく旨。「cognitive computingそしてとりわけWatsonが、IBMでの変容の本質になってきている」と、基調講演においてIBMのCEO、Ginni Rometty氏。

IoT関連の動きとして、まずは、半導体需要の高まりについての見方である。

◇IoT demand could reignite semiconductor market-Easy access to memory spurs rapid development of web-linked devices-Global demand grows for IoT sensors, memories (2月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→internet of things(IoT)に向けたイメージセンサなどcommodity-gradeセンサが、appliances、自動車などIoT-関連応用の需要が高くなっている旨。DRAMsおよびNANDフラッシュメモリデバイスの価格は昨年春に底に達して後半戻している一方、依然比較的安価なメモリ半導体となっている旨。

IoTについてのリスク事例が警鐘として挙げられている。

◇Security Experts Cite IoT Risks-Fingerprints found on critical infrastructure (2月14日付け EE Times)
→RSA Conference(2月13-17日:Moscone Center, San Francisco)にて、エキスパート・パネルで取り上げられた脅威の1つとして、暗号法のエキスパートが、単一smart白熱電球が数分で悪意のあるソフトウェアをもってsmart cityを如何に汚染する可能性があるか、論文で示している旨。

IoTをめぐるサービスの枠組みが業界規模で検討されている。

◇IoT Group Sets Broad Agenda-Security is an early focus for OpenFog (2月15日付け EE Times)
→50以上のorganizationsグループが今週、Internet of Things(IoT)をめぐるサービス供給の広範な枠組みをリリース、該OpenFog Reference Architectureは、セキュリティから始まって標準および製品設計についての作業をガイドする基本線を敷く狙いの旨。この1年になるグループは、IoT end nodesからcloudサービスに至るすべてをカバーするよう広く“fog”を定義している旨。

IoTソリューションを進めるIBMとAvnetの連携である。

◇Avnet and IBM advance IoT solutions with joint development lab (2月16日付け ELECTROIQ)
→Avnet社(Phoenix, AZ)が、IoTソリューションの市場化加速に向けてIBMとコラボの旨。AvnetのTechnology Solutionsチームが引っ張ってIBMと連携、IBMが新たにMunich, GermanyでオープンしたグローバルWatson IoT Center内にWatson Internet-of-Things(IoT) Joint Labを設ける旨。

AIに向けたmachine learning分野の革新的なソフトウェアが披露されている。

◇Startup Schools Machine Learning-Software explores faster, cheaper route (2月14日付け EE Times)
→新しいstartup、Gamalon(Cambridge, MA)が、新興途上のmachine learning分野を急激に変化させるソフトウェアを披露、FacebookおよびGoogleなどでよく知られているdeep-learning技法に必要なhigh-endプロセッサではなく複雑な数学およびアルゴリズムを用いている旨。該startupは、ライバルのGraphCoreが現在のdeep-learning技法に向けて仕立てられたAIプロセッサを支えるソフトウェアについていくつか詳細を披露した同じ日に、表に登場している旨。

ものづくりの新技術としての三次元IC実装について、今後の市場展開規模の見方が表わされている。

◇3D and 2.5D IC packaging market expected to be worth $170B by 2022 (2月14日付け ELECTROIQ)
→Research and Markets発。3Dおよび2.5D IC packaging市場が、2016年から2022年にかけて38.30%のCAGRで伸びて2022年には$ 170.46 billion規模になると見る旨。

新分野・新技術への順調な足並みに各社のR&D投資が牽引役となるが、昨年の半導体R&Dランキングが以下の通りであり、Intelが引っ張るデータ内容となっている。

◇Intel continues to drive semiconductor industry R&D spending (2月16日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのThe McClean Report、20周年2017年版発。2016年のR&D支出について、Intelが引き続き他の半導体メーカーを上回り、昨年$12.7 billionに達して同社半導体販売高の22.4%を占めた旨。Intelは、R&D spendingトップ10の36%、そして2016年世界半導体R&D支出総計、$56.5 billionの約23%を占めている旨。
・2016年半導体R&Dのトップspenders一覧、下記参照
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2017/02/semi-rd.png

◇Intel continues to drive semiconductor industry R&D spending, says IC Insights (2月17日付け DIGITIMES)

引き続き、進捗、進展に注目していくところである。


≪市場実態PickUp≫

【巨艦の行方−1】

連日のTVニュースでトップに取り上げられている東芝であるが、ここでは国内外の半導体関連業界各紙の受け止め方を追って、以下の通りである。フラッシュメモリ事業の分社、そしてそれ以外の本体に残る半導体ともに、業界を引っ張る存在として今後に注目していくしかない。

◇Toshiba May Sell Majority Stake in Chip Unit (2月14日付け EE Times)

◇Toshiba Puts Prized Chips Unit Up for Sale to Salvage Business-Toshiba may sell all or most of chip unit (2月14日付け Bloomberg)

◇Toshiba delays earnings announcement (2月14日付け DIGITIMES)

◇東芝綱川社長「半導体、株式の過半保有にこだわらず」−債務超過回避に手立て (2月14日付け 日経 電子版)
→東芝が14日発表した2016年4〜12月期連結決算(米国会計基準)見通しは、最終損益が4999億円の赤字(前年同期は4794億円の赤字)となった旨。米原子力発電事業に関連し「のれんの減損」など7125億円の損失を計上する旨。巨額損失により昨年12月末時点で自己資本がマイナスになる「債務超過」となった旨。
正式な決算は監査法人の手続きを経て3月14日までに開示する旨。14日午後6時半から記者会見した綱川智社長は、売却予定の半導体メモリ事業について「株式のマジョリティー確保にはこだわらない」と述べ、過半数の株式を譲渡する可能性に含みを持たせた旨。

◇Toshiba may delay chip auction after widening sale to majority stake - source (2月15日付け Reuters)

◇Toshiba now willing to sell majority of memory business (2月15日付け DIGITIMES)

◇主力行、東芝に半導体分離迫る、融資継続 (2月16日付け 日経 電子版)
→米国の原子力事業を巡る巨額損失で経営難に陥った東芝に対し、みずほ銀行など主力取引行は15日、3月末まで融資を継続することを決めた旨。ガバナンス(統治)不全などを巡る銀行の不信感は根強く2017年度以降の支援は「白紙」の旨。半導体事業の分社を軸に出直しを迫る銀行に対し、東芝は半導体新会社の過半の株式売却を容認し出資提案を改めて募る旨。

◇Toshiba to delay sale of semiconductor unit, faces Tokyo Stock Exchange(TSE) demotion-Toshiba to sell chip unit after March 31 (2月16日付け The Mainichi (Japan))

◇東芝株、一時11%下落、経営再建へ消えぬ不安感 (2月17日付け 日経 電子版)
→17日の東京株式市場で、東芝の株価が一時11%安と急落、経営再建の不透明さを不安視した売りが続いている旨。原子力発電事業の巨額損失によって2016年末には1912億円の債務超過になったが、今年3月末にも債務超過を解消できない可能性が出ている旨。

◇東芝、東証2部降格ならシャープ以来の危機、来期も債務超過なら上場廃止 (2月17日付け SankeiBiz)
→東京証券取引所第1部に上場する東芝は、決算期末の今年3月末に債務超過を回避できなければ8月1日付で東証2部に降格となる旨。実際にそうなれば、業績不振で一時的に債務超過に陥り昨年8月1日に降格したシャープ以来となる旨。

【巨艦の行方−2】

もう1つ、韓国・サムスン電子でのトップ逮捕の事態は、同国の屋台骨の企業グループであるだけに、これも推移を注目していくしかないところである。世界の半導体関連業界の受け止め、反応に引き続き注目であるが、市場の進展へのインパクト最小限を望むところである。

◇創業79年のサムスン、初めてトップ逮捕 (2月17日付け 韓国・中央日報)
→李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(49才)が17日、朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)氏に賄賂を渡した容疑で逮捕された旨。ソウル中央地裁のハン・ジョンソク令状担当部長判事は逮捕状を発付し、新たに構成された犯罪容疑と追加で収集された証拠資料などを総合すると拘束の理由と必要性が認められると判断した旨。1938年に三星商会として創業してから79年、サムスングループのトップが逮捕されたのは今回が初めての旨。

◇サムスン改革に打撃、「トップ」逮捕−持ち株会社移行など (2月17日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の逮捕で「トップ」拘束というグループ創立以来初めての難局を迎えた旨。サムスンを持ち株会社に移行する「企業統治改革」の停滞やグループ首脳人事の延期など経営に与える打撃は大きい旨。一方、特別検事はこの逮捕をテコに本丸である朴槿恵(パク・クネ)大統領の聴取へ前進する旨。

◇Samsung chief Lee arrested as South Korean corruption probe deepens (2月17日付け Reuters)

◇サムスン、「運命の一日」、トップ逮捕で改革漂流 (2月18日付け 日経 電子版)
→最大の韓国財閥、サムスン電子の事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が17日、特別検事に逮捕された旨。贈賄など5つの容疑。創業以来、司令塔が初めて不在になる異常事態を迎えて、サムスンは、複雑なグープ支配の構造を改め、李容疑者の力を強める経営改革を検討していた旨。今回の逮捕劇で巨艦の行方は迷走しかねない旨。

【中国市場関連】

Globalfoundriesが中国・成都に12-インチウェーハ生産拠点を構築、2018年第四四半期に生産開始ということで、大きな注目、そして反応を呼んでいる。

◇Winners & Losers of GloFo's China Deal-FD-SOI wins big; TSMC worries brain drain (2月13日付け EE Times/Blog)
→GlobalfoundriesがChengdu(成都), Chinaに$10 billion fabを建設する先週の発表が、半導体生産capacityに向けた中国の容赦ない拡張競争を思い起こさせる旨。この取引から誰が得をし、誰が不利な形勢になるか?次の切り口:
 FD-SOI in China …fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)技術の推進者はbig winners
 TSMC will feel the pain
 Do the math
 Brain drain …台湾から中国への人材流出

◇GlobalFoundries 12-inch wafer production line in Chengdu commences operation (2月13日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、米国およびドイツのウェーハ工場への投資を継続、シンガポールのcapacityを増強、そして同社22FDX技術の中国およびグローバル需要を満たすためにChengdu(成都), Chinaに12-インチウェーハ生産拠点を構築する旨。該Chengdu工場は、2018年第四四半期に生産を開始、先端22FDXの製造は2019年第四四半期に始まる予定の旨。

◇Globalfoundries Chengdu fab to start production in 4Q18 (2月13日付け DIGITIMES)

◇Globalfoundries to invest for capacity growth in US, Germany,China and Singapore (2月13日付け DIGITIMES)

上にも見られるが、中国への人材流出が台湾の業界の問題として浮上してきている。

◇Facing a brain drain, Taiwan must recruit chip experts abroad-China is luring industry workers with lucrative packages (2月13日付け Nikkei Asian Review)
→前TSMCのR&D、vice president、Burn J. Lin氏。台湾の業界が人材流出を防ぐよう何かやらなければ、台湾は頭脳流出に苦しみ、輸出依存の経済が蝕まれる可能性の旨。

中国での生産が拡大している2つとして、指紋センサおよびlight-emitting diode(LED)の現況である。

◇Robust fingerprint sensor demand continues to fill 8-inch fab capacity in 2017-Fabs keep busy making fingerprint sensors (2月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。シリコンファウンドリーが今年、4億個の指紋認証センサを生産する見込み、8-インチウェーハ製造capacityを満杯にする需要の旨。また、指紋センサのトップサプライヤ、Fingerprint Cards(Goteborg, Sweden)は、中国および台湾のIC design houses、特にEgis Technology, Goodix TechnologyおよびSileadとの競合が厳しさを増している旨。

◇Tight LED chip supply due to robust demand for lighting, fine pixel pitch displays-Sources: LEDs tighten for lighting, displays (2月16日付け DIGITIMES)
→light-emitting diode(LED) supply chain筋発。LED照明およびLED fine-pitch-pixelディスプレイの需要増大から、LED半導体の入手が困難となっており、中国のいくつかのLEDメーカーが生産capacityを拡大している旨。

中国のファウンドリー、SMICも、活発な引き合いを受けて本年、2017年について強気の読みとなっている。

◇Chip maker SMIC on target for 20pc growth this year-Chief executive Chiu Tzu-yin confident of a continued environment for growth for the semiconductor industry-SMIC CEO holds to 20% growth forecast for 2017 (2月15日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国のファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)のCEO、Chiu Tzu-yin氏が、今年の同社は2016年の売上げ、約$3 billionを20%上回る、と依然自信をもっている旨。「2016年のウェーハ406,000枚/月に対し、今年は450,000枚/月と11%増のcapacity装備を目指している。」とアナリストに対して同氏。

【Xiaomiの自前プロセッサ設計】

中国のスマートフォンメーカー、Xiaomiのモバイルプロセッサ自前設計について、以下の動きの推移が見られている。いろいろ要素が絡み合う展開の難しさを感じるところがある。

◇China's Xiaomi to Take On Top Tier With Smartphone Chip of Its Own-Struggling at home but with global aspirations, it looks to join the likes of Apple, Samsung and Huawei -Report: Xiaomi to debut a custom phone chip (2月9日付け The Wall Street Journal)
→Xiaomiが、自ら設計したモバイルプロセッサを搭載したスマートフォンを投入する計画、この同社カスタム"Pinecone"プロセッサは、Huawei Technologiesの自前シリコンを開発する動きに従っており、AppleおよびSamsung Electronicsが何年もやっていることである旨。

◇Ex-Leadcore Team Crafts SoC for Xiaomi (2月14日付け EE Times)
→自前のスマートフォンSoCを設計するXiaomiについて。新機軸として、Xiaomiのカスタム設計SoCがまもなく披露されるMi5Cスマートフォンに搭載の旨。8個のARM A53コア・ベースのXiaomiの新しいSoCは、LTE Cat 6対応可の旨。Xiaomiでの自前設計は、2年前にLeadcore Technologyからのエンジニアチームが来ていることが前兆となる動きの旨。

◇Commentary: Xiaomi in-house developed smartphone CPUs face uncertainty-Viewpoint: Xiaomi may not be big enough yet (2月15日付け DIGITIMES)
→phoneベンダー、Xiaomiが、自前のモバイルプロセッサ開発を正当とするに十分な同社スマートフォン販売数量がない可能性の旨。同社は、来月Mi 5C handsetを投入、自前のPinecone V670プロセッサを搭載の旨。

◇MediaTek to lag in 10nm-chip race, says paper (2月17日付け DIGITIMES)
→中国語・Economic Daily News(EDN)が、Xiaomi TechnologyがMediaTekとともにカスタマイズ10-nm Helio X30半導体を開発しないことを決めた、と報道、MediaTekが進みゆく10-nmモバイル半導体レースで後退に苦しむ可能性の旨。これまでMediaTekとの10-nmソリューション開発に名乗りを上げているのはMeizuおよびLeEcoのスマートフォンベンダー2社だけであり、MediaTekにとって10-nm半導体開発の道のりは平坦ではない旨。

【好調なDRAM売上げ】

昨年後半からの半導体販売高盛り返しを引っ張っているメモリであるが、2016年第四四半期のDRAM関連販売高データが以下の通りしっかり裏付ける内容となっている。

◇Global DRAM revenues increase 18% in 4Q16, says DRAMeXchange (2月14日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2016年第四四半期のグローバルDRAM市場販売高が、前四半期比18.2%増、モバイルDRAM需要の季節的増大およびPC DRAMメモリの契約市場価格上昇が引っ張っている旨。

◇Global DRAM market grew 18.2 pct in Q4 last year-Data: Global DRAM revenue hit $12.4B in Q4 (2月15日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇Global 4Q16 mobile DRAM revenues surge 20%, says DRAMeXchange (2月16日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2016年第四四半期のグローバルモバイルDRAM販売高が、前四半期比約20%増の$5.51 billion、スマートフォン向け需要が季節的に増大の旨。Samsung Galaxy Note 7の撤退にも拘らず、Apple, HuaweiおよびLGなど他のベンダーに向けた売上げが力強かった旨。


≪グローバル雑学王−450≫

すべてのものがインターネットでつながって、我々の生活が根本的に変わってしまう流れになっていくと言われるなか、現状そして将来はどう展開していくのか、

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

より、AI、IoTなど押し寄せる波の実態の例に触れていく。上記にAI、IoTの取り組み進捗の現状、今時点について示しているが、根本の技術的内容、そして広範な応用の展開と、目まぐるしいアップデートがついていく上で迫られる予感が沸々となっている。


第1章−2 最新技術が変えるビジネスの未来地図−AI・IoTの本質を読み解く

◆要するに「IoTの本質」は何なのか? −「つながる」が時代を変える
・IoT…Internet of Things(モノのインターネット)
→多くのモノが情報機器でインターネットにつながっている
 …スマホの中のグーグルマップを開けば、車のナビよりも正確で詳細な渋滞情報
 …防犯カメラも、インターネットでつなげることが可能
 …ポイントカードで、店はより効率的な販売戦略を推進
・日本の総電力量よりも、世界でコンピュータサーバだけに利用されている電力量の方が多いというデータ
・自動車、住宅、工場、機械、鉄道、荷物のタグなど、あらゆるものが無線でコンピュータにつながる
→情報技術によって社会は急速に変化を続けている
【視点4】IoTによって、ありとあらゆるものがインターネットでつながるようになる。この技術は、私たちの暮らしを根本から変えてしまう大きな潮流となっていく。

◆情報技術によって実現したシェアリングエコノミー
・情報技術を駆使すれば、いろいろなモノを多くの人がシェアリングできる
→大きな費用削減を生み出すシェアリングエコノミー
・誰でも必要なときだけ自動車を確保することが可能
→海外で急拡大しているUBER(米国)
 …運転手つきの自動車をシェアリングしようというもの
・旅行者に部屋を提供するAirbnb(エアビーアンドビー)(San Francisco)
 →部屋という資産を多くの人でシェアリングしようという仕組み
・情報化を進める原動力になっているCloud Computingも、サーバという資産をシェアリング
・最近、いろいろなスキルの人をスポットで活用できる仕組みを提供しているサービスも
【視点5】情報技術の発達によって、使いたいときだけモノを借りる「シェアリングエコノミー」というビジネスが誕生した。将来的には人材が持つ特殊技能もシェア可能になる。

◆拡大を続ける「サブスクリプション・ビジネス」−リアルタイム情報が鍵を握る
・モノを売るのではなく、顧客にサービスを継続的に提供する
→「サブスクリプション・ビジネス」
・IoTの進化によって、顧客の利用状況がリアルタイムでわかる
→タイヤにセンサ、利用状況や摩耗などの情報がメーカー側に
→一定期間の照明サービスを提供するオフィスなどの照明
・携帯電話について、新機種が出たら、一定の利用料金で貸し出す。次の新機種が出たら、常に新しい機種に変更するサービスの提供
・市場の規模が伸びない中、多くの企業はモノを売り切るだけのビジネスに限界
→サブスクリプション・ビジネスが有効
→顧客の利用状況についてリアルタイムで情報が確保できるIoTが鍵
【視点6】IoTによって、顧客情報はリアルタイムで把握できるようになり、製品に付随するサービスを継続的に提供する「サブスクリプション・ビジネス」が生まれた。

◆技術革新によって生まれ変わる世界経済
・「secular stagnation」(長期停滞)
→主要な先進国が一斉に経済的な停滞状況に
→よく指摘される理由:
 1)先進国が一斉に高齢化
 2)リーマン・ショックの影響が長く尾を引いている
 3)イノベーションが低調、潜在成長率を下げている
・イノベーションや産業構造の変化によって生まれる成長部分
→TFP(total factor productivity:全要素生産性)
・米国のTFPは、1880年から1980年の100年間非常に高く、黄金の百年
→残念ながら、1980年以降、ずっと低迷
・日本のTFPが顕著な形で下がったのは1990年のこと
→現在に至るまでずっと低迷、「失われた二十年」
・成長を牽引するような技術がないと、先進国を覆っている長期停滞から脱出することは難しい
・次の成長を促すような新たな技術革新が足元で次々に
→人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ、ロボットなど情報革命が起こしている新たな技術の波
・イノベーションの主たる担い手は民間企業
→民間が新たな技術に積極的に取り組むことなく、経済のイノベーションを活性化させることはできない
【視点7】先進国の経済長期停滞の理由は「技術革新の枯渇」が原因かもしれない。そう考えれば、人工知能やIoTによる情報革命は、世界経済を復活させる可能性を秘めている。

◆「車よりスマホ」に消費がシフトする理由 
−限られた時間の争奪戦は続く
・「モノからコトへ」
→ただモノを売るだけの商売では難しく、消費者にコトを楽しんでもらえる仕掛けが必要
・消費者は2つの制約の下で消費活動
→ひとつは予算制約、もうひとつは時間制約
・若者の自動車離れが起きているのは、自動車に大枚をはたいてもそれで何時間楽しい時間が過ごせるのか?
→スマホに使うお金が増えているのは、友達とつながっていること、いろいろな楽しい体験につながっている時間を大切にしているから
・より踏み込んだ形で消費者に有意義な時間を提供ビジネスが求められる
【視点8】消費者は豊かになるほど快適に過ごせる時間に価値を見い出し、ビジネスも「モノからコト」へとシフトする。こうした「時間ビジネス」は技術革新でさらに加速する。

◆女性の購買行動によって、出産時期がわかる時代
−問われるデータの使い方
・全米有数の大型小売業、Target Corporationによる顧客の情報分析の事例
→「人生の中で家族の消費行動が大きく変わるのはいつなのか」
→家族に赤ん坊が生まれたとき
・購買行動を分析すれば、どこの家でいつごろ赤ん坊が生まれるのか、かなり正確に予想できるというもの
・顧客のデータを分析してどのような情報を獲得するのか
→マーケティングや商品化にどう活かすのかということは、今後ますます重要に
【視点9】今後、IoTが生むデータやビッグデータなど、技術革新によって情報の収集範囲は格段に広がる。しかし本当に重要なのは、その情報を分析し活用する能力である。

◆勢いを増す「読み放題・見放題サービス」はコンテンツホルダーにとって福音となるか
・広がる定額料金でのディジタルサービス
→アマゾンの「キンドル・アンリミテッド」…月額980円:コミックや書籍を5万点以上読める
→NTTドコモのdマガジン…月額400円:160誌以上の雑誌が読み放題
・背景として、サービスを提供するための限界費用が限りなくゼロに近いということ
・定額料金サービスの特徴は、できるだけ多くの種類のコンテンツを取り込むことで、定額料金を下げられること
→定額サービスに入るかどうかは、個々のコンテンツにとっては重要な決断事項
【視点10】ディジタルコンテンツは限界費用が限りなく低いため、定額サービスと相性が良い。今後は、そのラインナップに相対的に高価値のコンテンツが入るかどうか注目される。

◆電子マネーの競争が招く「貨幣発行権の自由化」
・Appleの「iPhone7」にJR東日本のスイカなどの電子マネー機能が付加
→現金を使わないでスイカを利用するという習慣が定着へ
・ノーベル経済学賞を受賞したFriedrich August von Hayek(ドイツ)の『貨幣発行自由化論』の議論
→貨幣発行を、民間に自由化することで何が期待できるのか分析
→貨幣発行という産業でも国の独占をやめて、民間の競争を促進することが好ましい
・重要なのは、そのあとの展開。次のステージでの競争が始まるのかも
→ポイントなどの形での顧客への利益提供
【視点11】現状、電子マネーは貨幣の「使いやすさ」の促進に留まっている。しかし、今後は電子マネー間の競争が加速し、貨幣発行権の自由化という大きな流れにつながる。

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