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米国の政権交代のタイミング、半導体業界であい続く落ち着かない動き

米国でトランプ新政権がスタート、初日にTPP離脱など公約が実行されて、大きな路線転換に世界中に波紋を呼ぶとともに今後に向けての警戒感が漂う情勢となっている。移民受け入れに厳しいスタンスの同政権といわれて、シリコンバレーでも摩擦の展開が予想されているが、このようなタイミングのなか、半導体業界では中国の半導体業界構築に向けた投資戦略を巡る軋轢が続いていることに加えて、米国および日本で波乱要因を孕んだ落ち着かない動きが生じている。

≪中国を巡る動き、そして米国および日本の業界≫

トランプ新政権がスタート、米国内での反対運動、そして穏やかでない隣国、メキシコはじめ世界中での波乱の動き、警戒反応が報道されている現時点である。

◇トランプ大統領、理念より自国優先主義、就任演説 (1月21日付け 日経 電子版)
→米国の第45代大統領に就任したドナルド・トランプ氏は20日、連邦議事堂に設けられた特設会場で就任演説に臨み、「米国第一」を繰り返して「貿易、税制、移民、外交に関するあらゆる決定は、米国の労働者や家族の利益になるようにする」と宣言した旨。「国境を守る」とも述べ、崇高な理念よりも、現実的な自国優先主義をうたった旨。

このタイミングでの半導体業界であるが、中国を巡る動きが引き続いており、まずは台湾政府が中国からの投資提案を承認しなかった1件である。

◇Chinese tech giant's Taiwan deals unravel as Powertech calls off share pact (1月13日付け Reuters)

◇PTI terminates deal with Tsinghua Unigroup-Powertech ends pact with Tsinghua Unigroup (1月16日付け DIGITIMES)
→台湾の実装&テストhouse、Powertech Technology(PTI)が、中国国有のTsinghua Unigroupとの株式割り当て合意終結を発表、Tsinghua UnigroupがPTIへの投資について台湾政府からの承認が得られなかった旨。

SEMI ISSの場でも中国に絡む当面の要因が確認されている。

◇China Factors Heavily in Policy and Business Considerations (1月17日付け SEMI)
→今年は中国の半導体業界の急速な伸びへの注目が特に集まって始まり、最近のSEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(1月8-11日:HALF MOON BAY, Calif.)の中心テーマとなり、また、米国Presidential advisory councilからの最新レポートで大きな圧力を受けている旨。

オバマ政権が最後になって中国に対する厳しいスタンスをトランプ政権に託した現時点でもある。

◇Obama leaves Trump with need for a hard line on China and chips-Analysis: Feds finally hearken to China's chip moves (1月18日付け MarketWatch)
→中国の半導体への大きな志に連邦政府が引き続き如何に反応するか、Donald Trump新政権への転換に伴い問題となる旨。

一方、中国の経済成長の減速が増しており、世界経済への今後のインパクトに注視を要するところである。

◇中国GDP 6.7%に減速、2016年、1990年以来の低水準 (1月20日付け 日経 電子版)
→中国国家統計局が20日発表した2016年の国内総生産(GDP)伸び率は物価の変動を除く実質ベースで前年比6.7%と2015年から0.2ポイント縮小した旨。2011年から6年連続で伸びが鈍り、1989年の天安門事件の影響で経済が低迷した1990年以来、26年ぶりの低い伸びにとどまった旨。輸出が低迷し民間投資も振るわなかった旨。中国経済の減速はトランプ次期米大統領の就任で不確実性を増す世界経済の不安要因になる旨。
2016年のGDPは名目で前年比8.0%増の74兆4127億元(約1240兆円)と米国に次ぐ世界2位。現在の為替レート換算では3位の日本のGDP(約540兆円)の2.3倍となった旨。

中国を巡る動きが引き続くなか、米国および日本の半導体業界での落ち着かない動きである。米国では、New York州北部における半導体業界の重要R&Dが、450-mmウェーハに向けた活動の停止はじめ以下の通り暗礁に乗り上げている雲行きとなっている。最先端技術を牽引する役割の早期修復に期待せざるを得ない。

◇Chip firms walking away from landmark SUNY Poly program-G450C group loses members after arrest (1月10日付け Times Union (Albany, N.Y.))
→Global 450 Consortiumの2つの創設メンバーが、半導体業界の300-mmシリコンウェーハから450-mm基板への移行を支援するよう設立された該機関での活動を停止の旨。SUNY Polytechnic Institute presidentでG450Cを創設したCEOのAlain Kaloyeros氏が、連邦および州の入札談合の咎めで昨年逮捕されている旨。

◇Collapse Of Major Consortium Delays Launch Of 450mm Silicon Wafers (1月16日付け ITech Post)
→メンバー5社のうち2社がG450Cで知られるコンソーシアム活動停止を発表、SUNY Polyの450-mmシリコンウェーハプロジェクトの今後が不安定になっている旨。

◇Future of Chip Research Group Questioned (1月19日付け EE Times)
→New York州北部におけるSUNY(State University of New York) Polytechnic Instituteの半導体業界の重要R&D支援の今後が、昨秋の該大学CEOの辞任&逮捕およびhigh-profileプロジェクト2件の崩壊に伴って問題となっている旨。
 *先月、アナログ/mixed-signal ICsおよびセンサ開発のAMS(オーストリア)が、New York州北部での$2 billionプロジェクトから撤退
 *今月始め、extreme ultraviolet(EUV) lithography導入を加速するGlobalfoundries社との$500 million R&Dプロジェクトが全くスタートしていないことが確認
 *もう1つのSUNY Polytechnic半導体プロジェクト, Global 450 Consortiumが最近徐々に活動を停止、450-mmウェーハは半導体業界にすぐには必要ないとの参加者の結論

我が国では、半導体業界を大きく引っ張る東芝が半導体の分社に向かわざるを得ない状況となっている。各社統合が進んできたなか、単独でベンダー・トップランキングに残っていた同社であるだけに、一つまた大きな変わり目を感じるところである。

◇Toshiba mulls chips business stake sale to Western Digital-Toshiba eyes stake sale in chip business as writedown looms: source (1月18日付け Reuters)

◇東芝、米社と出資交渉、半導体事業を分社へ (1月18日付け 日経 電子版)
→東芝が主力のフラッシュメモリを含む半導体事業を分社し、ハードディスク駆動装置(HDD)世界最大手、米ウエスタンデジタル(WD)から出資を受ける交渉に入った旨。米原子力発電事業で数千億円規模の損失計上を迫られる中、財務への懸念を払拭し、半導体への投資余力を確保する旨。

◇Toshiba eyes spinning off flash-memory business-Report: Toshiba may spin off chip business (1月18日付け The Japan Times/Kyodo News)
→東芝が、原発事業での損失に引き続き対処、利益率の高いNANDフラッシュメモリ半導体ラインなど同社半導体事業の分離を検討しており、該半導体事業の約20%を$1.77 billion〜$2.65 billionで売却の一方、該事業のmajority ownershipを維持したいとしている旨。

◇Toshiba seeking investment in chip biz from Western Digital-Japanese company weighing business spinoff (1月18日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇東芝、解体的出直しへ、原発再建、道険しく、半導体分社で資金確保 (1月19日付け 日経)
→米国原発事業での巨額損失額が見えてきた東芝はメモリを含む半導体事業の分社に加え、原子力事業の見直しも不可欠となる旨。2015年に発覚した会計不祥事後、大規模リストラを経ていったんは再生の道を歩み始めたが、巨額損失により半導体と原子力中心のエネルギーの両事業を再生の柱としたシナリオは崩れ、再び解体的な出直しを迫られる旨。

最後に欧州でも、英国がEU単一市場からの完全離脱を表明している現時点である。今後の世界情勢をじっくり見据えながらの半導体業界の動向、方向性の把握がますます求められてきそうである。

◇「開かれた英国」守れるか、EUから強硬離脱へ (1月18日付け 日経 電子版)
→英国のメイ(Theresa Mary May)首相が17日、欧州連合(EU)からの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した旨。昨年6月の国民投票で示された民意を重視し、強硬離脱に傾いたメイ氏は「開かれた英国」を守れるか。3月末までにEUに離脱を正式に通知する方針だが、交渉は難航が必至の旨。


≪市場実態PickUp≫

【2016年世界半導体売上げ】

Gartner社より2016年世界半導体売上げの速報データが発表され、2015年から1.5%増の$339.7 billionとなっている。米国SIAの発表は2月始めを待つことになるが、一足早く前年を上回る内容であり、後半の市場の盛り返し、活況を映し出している。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 1.5 Percent in 2016-Intel Retains Position as No.1 Semiconductor Vendor for 25th Consecutive Year (1月18日付け Gartner)
→2016年世界半導体売上げトップ10ベンダー(金額:USM$)、次の通り:

2016年
2015年
ベンダー
2016年
シェア
2015年
2015-2016
ランク
ランク
売上げ
(%)
売上げ
伸び率(%)
1
1
Intel
53,996
15.9
51,690
4.5
2
2
Samsung Electronics
40,143
11.8
37,852
6.1
3
4
Qualcomm
15,351
4.5
16,079
-4.5
4
3
SK hynix
14,267
4.2
16,374
-12.9
5
16
Broadcom Ltd.
13,149
3.9
5,216
152.1
(前Avago)
6
5
Micron Technology
12,585
3.7
13,816
-8.9
7
6
Texas Instruments
11,776
3.5
11,533
2.1
8
7
Toshiba
10,051
3.0
9,162
9.7
9
12
NXP
9,170
2.7
6,543
40.1
10
11
MediaTek
8,697
2.6
6,704
29.7
Others
150,499
44.2
159,799
-5.8
Total
339,684
100
334,768
1.5

[Source: Gartner (January 2017)]


◇Chip Sales Grew 1.5% in ‘16, Gartner says-Gartner: 2016 chip sales were $339.7B, up 1.5% (1月19日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)発。2016年のグローバル半導体売上げが1.5%の増加、後半にきての急増で広く予想されていた減少を半導体業界は免れた旨。「全体として2016年後半の半導体売上げは前半よりずっと力強く、メモリ市場の強まりおよび在庫補充の継続、並びにiPhone 7およびholiday seasonに向けた在庫構築を反映している。」とGartnerのseniorリサーチアナリスト、Adrian Blanco氏。

◇Worldwide semiconductor revenues grow 1.5% in 2016, says Gartner (1月19日付け DIGITIMES)
→Gartnerの速報データ。2016年の世界半導体売上げが総計$339.7 billion、2015年の$334.8 billionから1.5%増、半導体ベンダー・トップ25の売上げ合計が2015年から7.9%増、該市場の75.9%を占めた旨。

【Qualcommのlicensing取引】

米国Federal Trade Commission(FTC)がQualcommを相手取って、携帯電話関連特許のlicensing取引について公正でないとして提訴している。数年前は中国、最近では韓国から罰金を科せられた経緯がある。

◇FTC Slaps Qualcomm with Suit-Apple precluded from other basebands, it says (1月17日付け EE Times)
→米国Federal Trade Commission(FTC)がQualcommを相手取って提訴、cellularベースバンド特許について不公平なlicensing慣行があるとして裁判所命令を求めている旨。該提訴の中に、同社が"2011年から2016年までAppleへのQualcommの競合からのベースバンドプロセッサの供給を妨げた"としている旨。

◇Qualcomm is facing U.S. antitrust charges for stifling phone chip innovation-The Federal Trade Commission says it illegally tied chip sales to patent licensing. (1月17日付け Recode)

◇Federal Trade Commission Files Antitrust Lawsuit Against Qualcomm -Chip maker accused of anticompetitive tactics over device used in cellphones (1月17日付け The Wall Street Journal)

◇FTC sues Qualcomm for unfair licensing deals (1月19日付け EE Times India)

【3D NANDフラッシュの新たな取り組み】

Samsung、東芝はじめ熱い競争が繰り広げられている3D NANDフラッシュについて、中国でも以下の通り取り組みが表わされている。

◇Yangtze River Storage developing 3D NAND flash-Yangtze River Storage tries its hand at 3D NAND flash memory (1月18日付け DIGITIMES)
→Yangtze River Storage Technology(長江存儲科技)が、3D NANDフラッシュメモリ技術の開発に専念としているが、量産予定は明らかにしていない旨。以前は、Yangtze River Storageが2017年末に中国初の自前の3D NANDフラッシュメモリを生産するという噂が巡っていた旨。Yangtze River StorageおよびWuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing(XMC)両方のCEO、Simon Yang氏は、Yangtze River Storageが32-層3D NANDフラッシュ半導体の開発に従事しており、国際的メモリベンダーとの科学技術的ギャップを2019年に詰める期待と披露している旨。

台湾では3D NANDはこれからであるが、Micronが現地のNanyaと連携、3D NANDに参入していくのでは、との観測がみられている。

◇マイクロン・ナンヤ提携、台湾DRAM、NAND参入?、3次元生産の観測 (1月20日付け 日経産業)
→台湾のDRAM産業に久々に脚光が当たっている旨。世界3位の米マイクロン・テクノロジーが昨年12月に南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)と資本提携を締結。今後1300億台湾ドル(約4700億円)規模の投資を行う見通し。NANDフラッシュの生産参入などの臆測も飛び交っており、世界のメモリ産業への影響に注目が集まる旨。

【Samsungの動き2件】

スマホの発火問題であるが、電池が主な原因との見方が以下の通り浮上、正式発表が待たれる段階の模様である。

◇サムスン電子、ノート7発火問題は電池が主因と判明=関係筋 (1月16日付け ロイター)
→韓国のサムスン電子によるスマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火問題をめぐる調査で、電池が主な原因だと判明したことが、1人の関係者の話で明らかになった旨。同関係者によると、サムスンはこの調査結果を今月23日に発表する公算が大きい旨。また、今後発売する商品に関する安全性問題の再発防止策を公表する旨。サムスンからコメントは得られていない旨。

◇Samsung probe concludes batteries caused Note 7 fires (1月17日付け EE Times India)

もう1つ、Samsungの車載への取り組みとして、ドイツの自動車メーカー、Audiとの連携のもとでのチップセット供給が行われている。

◇Samsung to supply chipsets for in-car entertainment to Audi-Samsung chipsets set for Audi in-car entertainment (1月18日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronics Co.が水曜18日、ドイツの自動車メーカー、Audiにin-car entertainmentシステム用チップセットを供給、Samsungが車載技術に食い込んでいく最新の動きの旨。

◇Samsung Exynos chips to power Audi in-vehicle infotainment (1月19日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、Audiのin-vehicle infotainment(IVI)システムに向けたSamsung自身のsystem-on-chip(SoC)ソリューション、Exynosプロセッサのパートナーサプライヤとして、Audi Progressive SemiConductor Program(PSCP)に参加する旨。AudiのPSCPは、自動車に向けた強靭性、性能および品質の最高標準を満足する最新技術を素早く取り入れるために2010年に最初に始められた旨。

【半導体実装向けガラス基板】

NEPCON JAPAN 2017(1月18-20日:東京ビッグサイト)にて、旭硝子よりいま注目のfan-out wafer-level packaging(FOWLP)などに向けた実装および製造プロセスサポート用の革新的なガラス基板が以下の通り披露されている。

◇AGC unveils innovative glass substrates for semiconductor packaging (1月18日付け ELECTROIQ)
→NEPCON JAPAN 2017(1月18-20日:東京ビッグサイト)にて、AGC Asahi Glass(AGC)が、半導体実装応用および半導体製造プロセスサポートに向けて特に設計されたガラス基板の開発を発表、wafer-level packaging(WLP)技術、そしてfan-out wafer-level packaging(FOWLP)技術向けの旨。

◇シリコンウエハー接合で“反らない”ガラス基板−旭硝子が開発 (1月18日付け 日刊工業)
→旭硝子が17日、常温から250℃の範囲で熱膨張係数が半導体シリコンウエハーと一致するガラス基板を開発したと発表した旨。両材料を直接貼り合わせる際に、熱膨張係数の違いによる反りがなくなる旨。このため、ファンアウト・ウエハーレベルパッケージ(FOWLP)など熱膨張係数が異なる材料を同一ウエハー上で接合する工程があるパッケージに対応できる旨。アルカリ成分を含まない組成のため、製造装置の汚染を防ぐ効果もある旨。


≪グローバル雑学王−446≫

経済成長が続く東南アジアの国々での対立や衝突について、広大で多くの島々から構成され、東ティモール、アチェなどそれぞれの内紛、内乱の歴史を抱えるインドネシアを中心に、

『紛争・対立・暴力 −世界の地域から考える』
 (西崎文子・武内進一 編著:岩波ジュニア新書 842) …2016年10月20日 第1刷発行

より推移、実情を見ていく。宗教でくくられる表わされ方が多いが、少数民族の問題など根源の根深さをそれぞれに感じ取るところがある。


III 歴史と多様性への視座

東南アジア―――変動と変化の間の繁栄 …文章(6)

・いま経済的には繁栄している東南アジアの国々でどのような対立や衝突が起きているか、対立関係の背景は何か
 →インドネシアの例を中心に見ていく
・異なる宗教が共存してきた歴史をもつ東南アジア
 →国家としての体制を整える過程で、宗教も含め、さまざまな形の摩擦

◆東南アジアという地域
・東南アジアは普通、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国…インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスおよびASEAN加盟申請中の東ティモールの11か国
・独立をずっと保ってきたタイを除き、植民地支配を受け、第二次世界大戦後に独立
・今では、すべての国で積極的に外資を導入、経済も成長を続けている
・中東、アフリカ、そして揺れるヨーロッパなどと比べても、国内情勢も少し落ち着いているという印象

◆亀裂と分断の兆し
・経済的には急速な成長を遂げている東南アジアの諸国
 →社会的な不安がないわけではない
  …戦闘的なIS(イスラム国)などに加入する若者が後を絶たない、イスラム教徒の多いインドネシアやマレーシア
  …インドネシアでは、国内でのテロ事件も散発的に発生
  …フィリピンでは、南部を中心に誘拐事件や襲撃事件
  …タイにおいても、南部を中心に過激派による爆破事件
・タイでも、政治への軍の関与、南部・北部の少数民族の扱いをめぐって課題はたくさん
・ミャンマーは、まだまだ不安定、ここでも少数民族の問題

◆インドネシアにおける内紛、内乱の歴史
・1945年に独立を宣言、1949年に国際社会に独立が認められたインドネシアの内紛の種
 →最大の政治的な事件は、1965年の9月30日事件
  …数万人の共産党員などが殺されたり、投獄
  →深刻な分断を引き起こした
・インドネシアに与する勢力と独立を果たそうとする勢力の間で長い内乱状態が続いた東ティモール
 →2002年、国連主導での住民投票の結果、独立が実現
・スマトラ島の北端に位置、独立を目指すアチェの動き
 →「メッカのベランダ」とも
 →独立を追い求めて、中央政府に対して、ゲリラ活動や亡命政権の樹立などを通じて続く抵抗
 →2004年のスマトラ島沖地震津波災害は、状況を大きく変えた
  …フィンランドの仲介によりアチェ独立運動とインドネシア政府の間での和平合意が成立
・植民地支配の尾を引く問題として、パプアの独立運動
 →インドネシアは国内での植民地化を進めている

◆「宗教」がらみの事件
・外国人の集まる場所でのテロ事件発生
 →バリ島爆破事件(2002年)、ジャカルタ爆破事件(2003年、2009年)
 →イスラム過激派の仕業、西洋的な価値観への反感、社会不安をあおる意図
・インドネシア国内での宗教的な対立を際立たせるような事件も数多い
 →スラウェシ島中部のポソ宗教抗争(1998年)
 →東部の島、アンボンでのマルク宗教抗争(1999年)
 →スラカルタ市の教会自爆テロ(2011年)
 …コミュニティの外からの影響によるところが大きい
・「宗教」に原因があるとされる対立関係の背景には、別の理由も
 →アンボンやポソの騒乱の場合、スハルト体制の残党や国軍関係者が背後に

◆パプア州における「暴動」
・2015年にパプア州で起きた事件
 →イスラム教徒が断食明けの礼拝で流したスピーカーの大音量に対して、キリスト教徒の一群が自分たちの宗教行事の妨げになると抗議したことに端
・外部の集団がやってきて騒ぎを起こした、という見方
 →地域社会の亀裂を防ごうとしていると見ることも

◆人々の間の違いから対立や亀裂へ
・いくつか注意しなければならない点
 →もともと仲良く暮らしていたというのは本当か
 →外からやってきた誰かとは一体誰なのか
・パプアの場合、オランダの植民地統治の時代に広がったのはキリスト教
 →イスラム教が増えてきたのは、ここ数十年のこと
 →あまりにも急速に接触が進み、また接触する文化の力関係が極端に違うと、対立が生まれやすいもの
・宗教というのは目に見えやすい違いであるが、対立や亀裂を深めるのは、その違いが他の違いと重なり合うとき、あるいは重ね合わせて考えられるとき
・宗教は見えやすい違いとして、わかりやすい違いとして、人々に訴えかける手段となりやすい
 →何が見えなくなっているのか、何が隠されているのか、掘り下げて考える必要

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