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市場構造および時代の変化を映し出すM&Aの進行継続、先行き

昨年嵐のように吹き荒れた半導体業界関連のM&A(企業の買収・合併)が、本年も大型化が増して引き続いているが、ここにきて日を同じくして注目される2件が発表されている。ドイツの情報通信、電力、交通など幅広い複合企業、Siemensが、米国の産業用ソフトウエア大手、Mentor Graphicsを、そしてSamsung Electronicsが、米国の車載技術&システムの設計メーカー、Harman International Industriesを、それぞれ買収する取引である。IoT、車載など新分野への移行、転換が進むなか、市場構造そして時代の変化というものをまたまた強く映し出しており、今後に注目である。

≪止められない変化≫

1日のうちに発表された大型M&Aの2件である。

◇Samsung's Naked Auto Desire: $8B Harman Buy (11月14日付け EE Times)
→ここ24時間以内のこと、大手プレーヤー2社、SamsungおよびSiemensが、車載分野でのM&A取引を発表の旨。Samsungは米国自動車技術グループ、Harmanを$8 billionで、一方、SiemensはEDAのMentor Graphicsを$4.5 billionで買収に合意の旨。買い手はどちらも車載分野では重要なプレーヤーではないが、M&Aに至る中核は似ており、高度にconnectedそして自動化された車の内部で成長する技術コンテンツにおける分け前の獲得である旨。

SiemensのMentor買収発表について、業界各紙の反応である。

◇Siemens to Buy Mentor Graphics in $4.5B Deal (11月14日付け EE Times)

◇Siemens To Buy Mentor For $4.5B-Updated: Deal adds mechanical, thermal, electrical and embedded software capabilities. (11月14日付け Semiconductor Engineering)

◇Siemens announces plans to acquire Mentor Graphics in $4.5B deal (11月14日付け ELECTROIQ)

◇Siemens boosts software business with $4.5 billion deal-Siemens will acquire Mentor Graphics for $4.5B (11月14日付け Reuters)

◇独シーメンス、米ソフト大手を買収、半導体強化 (11月14日付け 日経 電子版)
→独シーメンスが14日、米産業用ソフトウエア大手、メンター・グラフィックスを$4.5 billion(約4860億円)で買収すると発表、メンターは半導体や集積回路(IC)の設計ソフトに強く、伝統的な機械部品の強みとソフト分野のノウハウを融合させて、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業での先行を狙う旨。シーメンスはメンター株の11日の終値に21%上乗せした1株37.25ドルで全株を現金で取得する方針、メンター経営陣も賛同した旨。2017年4〜6月の買収完了を見込む旨。

特に、Mentorが位置する米国Oregon州での以下の反応は、色合いを大きく変える時代の変化というものを感じさせている。

◇Mentor Graphics' sale ends an era in the Silicon Forest (11月15日付け Oregon Live)
→最大手で最も長く続いているOregon地元のハイテクメーカーで販売高$1 billionを上回る唯一のTektronixのspinout、Mentor Graphicsが、ドイツのSiemensに$4.5 billionで売却の月曜の発表、Silicon Forestメーカーに向けた取引が多数続いて、周知のOregonのハイテク事業の景観をはいでいる旨。該買収は、70年に及んで受け継がれている同州のelectronicsの足場を侵食している旨。

もう1つ、SamsungのHarman買収発表は、韓国企業では最大規模、以下各紙の表わし方である。

◇Samsung Charges Into Auto Tech With $8 Billion Deal for Harman-Deal would be South Korean smartphone maker's biggest acquisition-Samsung enters connected-car space with Harman purchase (11月14日付け The Wall Street Journal)
→Samsung Electronicsが、車載技術&システムの設計メーカー、Harman International Industries(Connecticut)を$8 billionで買収、connected-car業界に入っていく旨。「明日のクルマは、単純なfeature phonesがここ10年にわたって洗練されたsmart機器になっているのと同様に、smart技術およびconnectivityにより変わっていく」と、SamsungのPresident and Chief Strategy Officer、Young Sohn氏。

◇Samsung to buy car tech company Harman for $8 billion (11月14日付け Reuters)

◇Samsung to acquire US automotive firm Harman for $8 billion-Samsung Electronics will acquire US auto parts maker Harman International Industries for $8 billion, immediately making the South Korean giant a major player in the connected cars industry. (11月14日付け ZDNet)

◇Samsung Pays $8B For Harman's Automotive Connectivity (11月14日付け MediaPost Communications)

◇サムスン、自動車IT参入 米部品80億ドルで買収 (11月14日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が14日、米自動車部品大手、ハーマン・インターナショナル・インダストリーズを買収すると発表、買収金額は約$8 billion(8560億円)。韓国企業によるM&Aでは、過去最大の案件、サムスンにとっては自動車分野への本格参入となる旨。エレクトロニクス技術と資本力を持つサムスンの参入は、「クルマのIT化」が進む自動車産業に大きな影響を及ぼしそうな旨。

Samsungも車載分野に向かわざるを得ない現下の市場構造を映し出すところがある。

◇サムスン、異例の大型買収、資産活用促す批判に回答、自動車部品を柱に、市場評価 (11月18日付け 日経産業)
→韓国サムスン電子が韓国企業として過去最大の8千億円超を投じ、米自動車部品のハーマンインターナショナル(コネティカット州)の買収を決めた旨。ITの重要性が高まっている自動車業界。日本やドイツの大手が競ってきた自動車部品の分野への本格参入を可能にした今回の買収は、サムスンの株主政策に批判的だった投資家に対する“回答”との見方ができる旨。

今年の半導体業界M&Aについて、昨年を上回る規模と、以下の見方となっている。先々どうなるか、引き続き注目するところである。

◇Chip-Merger Bash Finally Nearing Last Call -Heady pace of big deals over past two years leaves few good options remaining-Chip industry M&A targets are dwindling (11月14日付け The Wall Street Journal)
→半導体業界におけるM&Aが今年$130.2 billionの規模に達して、昨年の史上最高を16%上回る旨。価格付け、法制問題そして魅力的な半導体メーカーが少なくなってきて、2015-16年のM&Aの熱狂にブレーキがかかる可能性の旨。


≪市場実態PickUp≫

【SC16でのトップ500】

恒例年2回、スーパーコンピュータの計算速度世界ランキング「TOP500」が、Supercomputing 2016(SC16)(11月13-18日:Salt Lake City, Utah)にて発表されている。中国が1位、2位を占めるとともに、500機の中で米国と同じ171機で並ぶ躍進ぶりを示している。

◇スパコン世界ランク、中国が8連覇、理研の「京」、東大に抜かれる (11月14日付け SankeiBiz)
→スーパーコンピュータの計算速度の世界ランキング「TOP500」が14日、米国で開催中の国際会議で発表され、中国勢が8連覇を達成した旨。東大と筑波大が共同運用する新機種が6位に入り、理化学研究所の「京(けい)」(神戸市)を抜いて国内トップとなった旨。TOP500は世界の上位500機を半年ごとに発表。国別の機数では中国と米国が最多の171機で並んだ旨。3位はドイツで31機、日本は4位で27機。
※トップ10、次の通り(https://www.top500.org/lists/2016/11/より):
1 National Supercomputing Center in Wuxi China
 →中国・無錫スパコンセンターの「神威太湖之光」。前回に続き1位
2 National Super Computer Center in Guangzhou China
3 DOE/SC/Oak Ridge National Laboratory United States
4 DOE/NNSA/LLNL United States
5 DOE/SC/LBNL/NERSC United States
6 Joint Center for Advanced High Performance Computing Japan
 →米インテルの演算処理装置を採用した東大などの新機種、「オークフォレスト・パックス」
7 RIKEN Advanced Institute for Computational Science(AICS) Japan
 →理研の京
8 Swiss National Supercomputing Centre (CSCS) Switzerland
9 DOE/SC/Argonne National Laboratory United States
10 DOE/NNSA/LANL/SNL United States

◇Interview: China becomes "serious challenger" on global supercomputing stage: Top500 co-author -Analysis: China progresses in chips, HPC (11月17日付け Xinhuanet.com (China))
→中国は2つの世界最速スーパーコンピュータをもつ一方、最新の最も強力な高性能コンピュータTOP500調査で米国と同じく並んで171のsupercomputingシステムを占めている旨。

【2016年半導体サプライヤランキング】

IC Insightsが、ファウンドリーを含めた2016年半導体サプライヤランキングトップ20の予想データ更新を行っている。トップ20全体の販売高は3%増の見方であり、Nvidia、MediaTek、そしてAppleが伸び率トップ3の顔ぶれとなっている。

◇Five Top-20 semiconductor suppliers to show double-digit gains in 2016 (11月15日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが今月後半リリースするNovember Update to the 2016 McClean Reportより、2016年半導体サプライヤ・トップ20、下記参照。
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2016/11/2016-top-20.png
 2016年販売高二桁%の伸びが見込まれる5社:
  TSMC   11%増
  東芝   16%増
  Mediatek 29%増
  Apple   17%増
  Nvidia  35%増

◇Nvidia and MediaTek fastest-growing semiconductor companies for 2016, says IC Insights-IC Insights: Nvidia, MediaTek top growth in 2016 (11月16日付け DIGITIMES)

◇Top 20 IC Ranking: Apple Rises Most (11月17日付け EE Times)

【自動運転車】

自動運転関連の内容が尽きないが、今回まずは、CypressのHyperBusで引っ張る取り組みである。

◇HyperBus Drives Toward Autonomous Vehicles (11月15日付け EE Times)
→Cypressが最近、HyperBusインタフェースを用いる一方、HyperFlashおよびHyperRAM技術を一緒に単一パッケージ化可能と発表、顧客需要に基づく旨。

Intelからは、自動運転に向けた新たな$250 millionの投資が発表されている。

◇Intel announces new investment $250M in autonomous driving-"Data is literally the new oil," Intel CEO CEO Brian Krzanich declares, announcing the investment at the LA Auto Show's AutoMobility conference.-Intel bets on data, self-driving vehicles (11月15日付け ZDNet)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏。Intel Capitalは、該業界への$250 million投資をもって向こう2年、self-driving vehiclesおよびdata-gatheringに重点化する旨。運転について我々が思うやり方を根本的に変える可能性がある旨。

◇Intel Courts Auto Industry as Battle Brews to Provide Autonomous-Car Computing Power-CEO Krzanich announces $250 million commitment in autonomous-car technology (11月15日付け The Wall Street Journal)

◇Intel's $250M investment latest auto-tech convergence (11月15日付け The Detroit News)

【中国半導体関連】

前回示したQualcommの提訴を受けて、米国ITCが、中国メーカーの特許侵害を以下の通り調べるとしている。

◇US trade panel eyes Qualcomm patent complaint against Chinese firms (11月15日付け Reuters)
→米国・International Trade Commission(ITC)が火曜15日、中国メーカー製electronicモバイル機器のいくつかにQualcomm社保有特許を侵害するハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントが入っているかどうか、調査することを票決の旨。Qualcommの訴えに基づいて、中国のメーカー、Zhuhai Meizu Technology Co, Ltd; Zhuhai Meizu Telecom Equipment Co, Ltd; Dest Technology Limited およびLGYD Limited. Overseas Electronics, Inc, of Chicagoが用いているintegrated circuits(ICs), cameras, systems-on-chips(SoC)などの技術を見ていく旨。

次に、中国のDRAMの取り組みであるが、次の3社が名乗りを上げている様相である。その1社、長江ストレージは、米国マイクロンと技術提携、NANDフラッシュの量産を行うとしている。

◇Three major China firms gearing up to enter DRAM market-Sources: DRAM market to get entrants from China (11月14日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。Yangtze River Storage Technology(YRST), Fujian Jin Hua Integrated Circuit, およびGigaDevice Semiconductorと中国・安徽省(Anhui province)合肥市(Hefei city)政府により設立された合弁がすべて、DRAM分野で競い合う備え、中国最大のDRAM生産メーカーになることを目指している旨。YRSTは、中国国家が支援するハイテクconglomerate、Tsinghua Unigroupがサポートしている旨。

◇中国国有半導体、米マイクロンと提携交渉−メモリ日米韓独占に異変 (11月18日付け 日経 電子版)
→中国政府が後押しする中国国有半導体大手、長江存儲科技(長江ストレージ:湖北省)は、米マイクロン・テクノロジーと技術提携する方向で交渉に入った旨。スマートフォンのデータ保存などに使うNAND型フラッシュメモリについて、長江ストレージがマイクロンの技術で2019年をめどに量産する旨。日米韓が寡占してきた高付加価値NAND型メモリの国際勢力図を塗り替える可能性がある旨。

【UMCの中国300-mm fab】

台湾勢として初めての中国での300-mm fabを、UMCがアモイ(厦門:Xiamen)で量産として動かし始めている。2015年3月の起工から20ヶ月での量産化と、記録的な早さと99%を越える40-nm高歩留まりがアピールされている。

◇UMC holds grand opening ceremony for new 12-inch wafer fab in China (11月16日付け ELECTROIQ)
→UMCが、中国福建省厦門(Xiamen China)の同社12-インチ合弁ウェーハfab、United Semiのgrand openingを挙行、記録的な早さで完成した該fabは、2015年3月の起工から僅か20ヶ月で顧客製品向けの量産を実現の旨。
該fabでの通信用ICsのpilot生産歩留りが、同社40-nmプロセスですでに99%を越えている旨。

◇UMC unveils 12-inch fab in China-UMC's Fab 12X enters volume production (11月17日付け DIGITIMES)

◇台湾UMC、新工場が稼働、中国で半導体生産 (11月18日付け 日経産業)
→台湾の半導体受託生産大手、聯華電子(UMC)はこのほど、中国・アモイの新工場の開幕式典を開き、製品の量産を開始したと発表した旨。直径300mmのシリコンウエハーを使う半導体工場を中国に建設するのは台湾勢で初めてとなる旨。


≪グローバル雑学王−437≫

インドのモディ(Narendra Modi)首相が来日、原子力の平和利用、日本の新幹線技術と我が国との協力協定が結ばれたばかりであるが、こんどはそのインドにしっかり浸かって馴染んで活躍している方の生き様に、

『なぜ世界の隅々で日本人がこんなに感謝されているのか』
 (布施 克彦/大賀 敏子 著:PHP新書 1055) …2016年7月29日 第一版第一刷

より触れていく。半導体関連では、製造工場の建設計画がここ数年非常に難航している状況が繰り返しうかがえているが、現地の人々の尊敬を得るほどの語学力、インド文化への造詣で日印の連携の懸案が打開される経緯が以下表わされている。現地の言葉で歌手としてテレビ出演など、この方ならではの非常に強力なパワーを感じるところである。


第7章 インドで歌うビジネスマン

◆「有言不実行」のインド人
・(筆者は)商社の駐在員として、1990年代の5年弱をインドで生活
 →南インドで、チェンナイに1年、そしてバンガロールに4年弱
 →バンガロールは高原にあり、比較的涼しく、都市の機能も整備
・インド人と日本人はあらゆる面で違っていて、体験の積み重ねがフラストレーションの積み重ねにも
 →インドのキーワードは「多様性」、半端ではなく、ひと口にインド人といっても、いろいろな人
 →日本人は不言実行をよしとするが、インド人には有言不実行が目立つ
・厳しい生活環境の上に、インド人との付き合いから生じるフラストレーションの重なり
 →多くの日本人にとって、インドでの生活は過酷なものに

◆きっかけはインド象と仏教?
・そんなインドが大好き、都合3回合計38年間もインドに住み続けている方
 →久保木一政さん、(筆者の)商社時代の同僚
  →東京外国語大学に入学、インド・パキスタン語学科に進む(1960年代後半)
  →インド政府奨学生募集試験に合格、1968年〜69年にかけてインド留学
   →久保木さんのその後進むべき人生行路を確たるものに
・「インド人が大らかで率直」という久保木さんの常々の言葉

◆日本企業とインドとのぎくしゃくした関係
・久保木さんは、三菱商事に入社、一貫してインド関連業務に従事することに
・インドは経済危機に陥った直後の1991年、経済の自由化路線へと舵切り
 →長期にわたる経済成長、インドの大変貌「巨象の目覚め」
 →久保木さんの仕事も多忙に
・BRICSという言葉がもてはやされた頃、久保木さんはすでに商社を退職、インドビジネスのコンサルティングを行う会社に再就職
 →日本とインドを往復する日々
・その割には、日本とインドのビジネスは盛り上がらなかった
 →インド全土における在留邦人の数は、1990年代後半当時は1500人ほど、現在それが8000人程度に
  →近隣のシンガポール、インドネシア、タイと比べれば、インドはかなり見劣り
・*交渉を進めるにつれ、インド側のやり方に日本側の疑念が深まっていくケースが多い
 *IT技術との協業も、日本企業の多くが二の足
 →久保木さんは、日本とインド双方の相互理解への努力が不足していることを強く感じていた
 →日本とインドを近づける仕事にもっと取り組んでみたく、インドに腰を落ち着ける必要
・2003年、久保木さんはJETRO(日本貿易振興機構)の海外投資アドバイザーに
 →2006年にJETROバンガロールの初代事務所長に就任
 →2010年からは、インド企業のJCSSコンサルティング社に就職、現在に至るまで日本企業のインド誘致業務に従事

◆アクセス道路がない!
・一握りのインド人の言葉を真に受けて、インド人皆が同じ方向を向いているだろうと、とかく日本人は考えがち
 →インドに進出し、まったく違う状況に直面
 →日印両首脳間で合意されたインフラ構築の大プロジェクトも、実現までには紆余曲折
  →アクセス道路の建設が進まなかった例
・インドの役所を動かすのは、非常に難しいこと
 →インドは社会主義体制の流れを受け継いだ、膨大なる官僚組織を擁する国

◆いかにしてインド人の心をつかむか
・久保木さんは、至って冷静
 →役所のキーパーソンの心をつかみ、それを動かす術を心得ている
・久保木さんの最大の武器が、彼の語学力
 →ヒンディー語の専門家ではあるが、それ以外のインドの言語にも通じている
 →カルカッタではベンガル語。タミルナドゥ州ではタミル語
・英語でのコミュニケーションでは、日本人側の英語力が不十分、日本人とのコミュニケーションに不満を抱くインド人は多い
 →英語、現地語を巧みに操る久保木さんに対して、多くのインド人が敬意を表すことに
・さらなる彼の武器は、インドに関する深い造詣
 →インドの文化、宗教、歴史からその時々のトピックスに至るまで、繰り出す話題は豊富
・インド人の名前を聞くだけで、信仰する宗教、出身カーストそして出身地を言い当てる久保木さんの特技
 …インド人の多くが、自分の所属するカーストを表わす言葉を姓に使用
 →この特技もインドの人たちを驚かせる
・このようなコミュニケーション力を持つ久保木さんの尽力で、アクセス道路建設は動き出した
 →2016年1月末、ようやく完成
 →3月11日、東芝の製品の初の出荷
 →すでに進出済みの日産自動車やトヨタ自動車の製品や部品の輸出入にも利用可能

◆「久保木さんのような人」でないと無理
・2009年11月4日、バンガロールの位置するカルナタカ州への日本からの投資拡大策の話し合い
 →久保木さんもJETROの代表者としてその会議に参加
 →インド、日本の双方にメリットのある話。お互いが積極的であるため、ことは実現に向かって円滑に進むはず
 →ところが、そうは行かないところに、インドの難しさ
・そこで久保木さんの出番
 →特に州政府のような、公的機関を動かすのは至難の業。「久保木さんのような人」でないと無理
・「久保木さんのような人」
 →インドを愛し、インド人を愛し、そしてインドの文化や言語に造詣の深い人
 →敬意を表す久保木さんの言葉であれば、インドの人たちは耳を傾ける
・久保木さんは、インド人たちの心を惹きつけておいて、日本側の考え方への理解を促していく

◆カンナダ語で歌う日本人
・久保木さんはバンガロールの日本人会の活動にも積極的に関与
 →年に1度開催される日本祭り(ジャパン・ハッバ)のなかで、カンナダ語の歌を披露
 →バンガロールのテレビで放映され、カンナダ語の歌を歌う日本人として一躍有名に
 →ユーチューブにアップロードされ、彼を知る人は一挙に広まった
・すでに久保木さんは、歌手として二度テレビに出演
 →カンナダ語の歌を歌う日本人は、インド人の心を捉えた
 →久保木さんの仕事への追い風に
 →誰もが、久保木さんの話に真面目に耳を傾けてくれる

◆インド人は大らかで率直
・久保木さんはインドを好きになった理由を、「インド人は大らかで率直だから」と表現
 →(筆者が)そう思えないのは、インド人との付き合い方が不十分だったからだと考えるように
・それではどうするか。相手のモノサシを、もっと尊重する柔軟性が求められる
 →久保木さんのように、抵抗なくインド社会に入り込んでいける人間の存在が貴重
・インドは間もなく、世界一の人口大国に。経済成長もまだ続く
 →インドは日本にとってより重要な国に
 →両国民の関係を、滑らかにする潤滑油のような存在。久保木さんはこれからもなくてはならない人
 →久保木さんはさらにインドで頑張るつもりだ

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