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IoTに向けた動き活発化:対抗、製品&技術、セキュリティ、連携、M&A

internet of things(IoT)業界標準を作り出す活動を統合する動きとして、AllSeen AllianceとOpen Connectivity Foundation(OCF)がIoT応用の枠組みに向けたアプローチの一体化への合意を発表したばかりである。これに続く波動として、MPUアーキテクチャー構築の対抗、IoT向け製品&技術の発表、IoT機器および半導体へのセキュリティ対策、IoTについての業界各社間の連携、とIoTに重点化した動きがいろいろな切り口で打ち上げられている。さらには、IoT向け半導体市場での主導権を目指して、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収という過去最大規模のM&A発表に至っている。

≪IoT重点化の方々打ち上げ≫

まずは、MPUアーキテクチャー構築に向けた宿命のライバル、IntelとARMの対抗する現時点の構図である。時あたかもIntelの本社の近くでARM TechCon conference(2016年10月25-27日:Santa Clara, CA)が開催され、一層熱くなっている状況がある。

◇Intel, ARM Battle over IoT-Explosion of end nodes makes MCUs strategic (10月25日付け EE Times)
→IntelおよびARMが幅広い新分野にそれぞれ競い合ってmicroprocessor(MPU)アーキテクチャーを構築する発表を打ち上げ、Internet of Things(IoT)に向けた戦いが今週熱くなっている旨。Intelは、車載および産業用市場用に仕立てたreal-time capabilitiesを擁する同社初のAtom SoCを発表の旨。Intelのheadquartersから2マイル以下の所で、ARMが年次開発者会議を開催、同社lowest-end microcontroller(MCU)コアにハードウェアセキュリティを取り入れている旨。

そのIntelも含め具体的なIoT向け製品&技術の発表が、今までに続いて以下の通り行われている。

◇TI introduces convenient Bluetooth modules-TI aims at IoT with Bluetooth LE modules (10月24日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Texas Instruments(TI)が、internet of things(IoT)応用向けにBluetooth Low Energyワイヤレスconnectivityを用いて同社SimpleLinkラインにCC2650MODAデバイスを投入、ワイヤレスmicrocontroller(MCU)ベースの該デバイスは、6LoWPAN, ZigBeeおよびZigBee RF4CEでも動作できる旨。

◇IoT Networks Get New Provider-M2M Spectrum picks Link Labs technology (10月25日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)に向けた新しいlow power wide area(LPWA)ネットワークが、増大するoptions一式の仲間入り、M2M Spectrum Networks(Phoenix, AZ)が、Link Labs(Annapolis, MD)からの技術を米国のlicensed sub-GHz spectrumで用いる旨。向こう2年にわたってM2Mは、Link LabsのLoRaのvariant、Symphony Linkを取り入れた10,000ほどの基地局を買収する予定、これとは別にLink Labsは、LTE-Mベースの新しいIoT networking製品ラインを準備している旨。

◇Intel's new chips are for smart cars and the Internet of Things-Another move away from PCs to invest in connected device tech.-Intel unveils Atom chips for smart cars, IoT (10月25日付け Engadget)
→Intelが、車載electronics向けAtom A3900プロセッサラインおよびfog computingおよびwearable gadgetsなどinternet of things(IoT)応用向け半導体のAtom E3900ラインを投入の旨。該A3900半導体は、来年の1-3月に出てくる旨。

特にARM TechCon conferenceの場において、IoT機器および半導体へのセキュリティ対策が以下の通り大きく取り上げられている。直前の10月21日に米国でネットワークが攻撃される事例があり、東海岸から広がって一日中数100万の人々に混乱が及んだとのことである。

◇Physical RAM attack can root Android and possibly other devices-Attackers can reliably flip bits in physical memory cells in order to compromise mobile devices and computers-RAM flaws make Android devices vulnerable (10月24日付け CSO/IDG News Service)
→random-access memory(RAM)半導体の物理的設計が、Android-ベースモバイル機器に、ARM-ベースおよびx86 computersとともに、cybersecurityの脅威を科す可能性の旨。欧州および米国の研究者が、"hammering"攻撃がDRAM半導体に如何に逆の影響を与え得るか、示している旨。

◇ARM Does IoT Security Chip to Cloud (10月25日付け EE Times)
→ARM TechCon conference(2016年10月25-27日:Santa Clara, CA)にて、ARMが、安全確実なIoTシステム構築の簡単化が約束される製品&サービスの包括的なportfolioを発表、該コア, operating system(OS), およびcloud-ベースsoftware-as-a-service(SaaS) collectionは、ARM製造licensees並びに設計顧客の両方に向けてcloud開発へのIoT半導体を加速する狙いの旨。

◇ARM builds up security in the tiniest IoT chips-Small, low-power chip designs now incorporate ARM's TrustZone technology-ARM adds TrustZone tech to IoT chip designs (10月25日付け Computerworld/IDG News Service)
→ARM Holdingsが、internet of things(IoT)半導体での使用に向けてARMv8-M architectureベースで同社組み込み機器用mbed operating system(OS)で動く新しいCortex-M23およびCortex-M33設計コアに、同社TrustZoneセキュリティ技術を取り入れている旨。「機器にできるだけたくさんのセキュリティを組み込もうという困難な作業を引き受けている」と、Technalysis Researchのアナリスト、Bob O'Donnell氏。

◇Securing The IoT-Last week's Internet outages highlighted the dangers of unsecured IoT devices and the need for a comprehensive set of standards.-IoT security, standards are prime topics (10月26日付け Semiconductor Engineering)
→internet of things(IoT)機器をより安全、確かにすることが、Silicon Valleyでの技術会議(ARMのTechCon 2016 conference)にて議論の1つの話題であり、特に先週金曜21日に多くのwebsites(Airbnb, Reddit, Twitter, AmazonおよびNetflixなど)に影響を与えたdistributed-denial-of-service attacks(分散DoS攻撃:複数のネットワークに分散する大量のコンピュータが一斉に特定のネットワークやコンピュータへ接続要求を送出し、通信容量をあふれさせて 機能を停止させてしまう攻撃)に照らしている旨。technologistsたちは、より良い、より包括的なIoT標準の開発についても議論している旨。

◇To solve IoT security, look at the big picture, ARM says-ARM's new mbed Cloud for device management is part of its IoT strategy, and so are server and network chips-ARM offers SaaS to boost IoT security (10月27日付け ITWorld.com/IDG News Service)
→ARM Holdingsが今週、IoTセキュリティを改善する活動継続の一環として、IoT機器管理に向けたsoftware-as-a-service(SaaS)、mbed Cloudを展開の旨。

IoTについての業界各社間の連携が、引き続き発表されている。

◇Renesas Upgrades IoT Platform With New ARM Offerings-Renesas teams with 2 firms for new ARM tech (10月26日付け eWeek)
→Renesas ElectronicsがExpress LogicおよびIAR Systemsと連携、同社Synergy internet of things(IoT)プラットフォームに新しいARMv8-Mアーキテクチャーを取り入れる旨。Renesasは、ARMv8-MおよびARMのTrustZoneセキュリティ技術とともに、Express LogicのThreadX real-time operating system(OS)およびIARのEmbedded Workbenchソフトウェア開発環境を用いている旨。

◇NEC、IoTで提携、GEの基本ソフト軸に (10月27日付け 日経産業)
→NECと米ゼネラル・エレクトリック(GE)が26日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の分野で提携したと発表、各種センサーを取り付けた機器からデータを収集し生産性を高めるといったIoT技術を取り入れる企業が増えており、これに合わせて人工知能(AI)ソフトや情報セキュリティー製品を共同で販売していく計画の旨。GEはIoTを活用する企業向けに基本ソフト(OS)「プレディックス」を開発、同OSの上で稼働するデータ分析用の各種アプリケーションを提供している旨。今回の提携でNECは、プレディックスを使う様々なサービスやソフトを開発し提供する旨。

IoT向け半導体市場での主導権を狙ったQualcommによるNXP Semiconductorsの買収については、経過を以下続けて示していく。


≪市場実態PickUp≫

【QualcommのNXP買収】

10月24日の週にも発表の可能性ということで、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収が、週末をはさんで以下の通り続けて取り上げられている。

◇Qualcomm, NXP Semiconductors agree on $110 a share deal: Sources-Sources: Qualcomm will pay $40B to buy NXP (10月21日付け CNBC)
→業界筋発。QualcommとNXP Semiconductorsが合意、QualcommがNXPを$110/株 in cashで買収、約$40 billion規模の旨。QualcommおよびNXPはコメントを控えている旨。

◇Qualcomm nears $37 billion deal to buy NXP Semiconductors: source (10月21日付け Reuters)
→本件事情通の1人、金曜21日発。Qualcomm社が、NXP Semiconductors NVを約$37 billionで買収する契約に近づいており、電話からクルマまで守備範囲拡大模索の旨。

◇Qualcomm and NXP Semiconductor reportedly agree on deal at $110 per share (10月21日付け TechCrunch)

◇Qualcomm-NXP: Another Testosterone-Driven Deal? (10月24日付け EE Times/Blog)
→Qualcomm社がオランダの半導体メーカー、NXP Semiconductor N.V.を買収する取引が今週発表される可能性、そうなればQualcommが一夜にしてグローバル車載業界向け半導体の最大サプライヤ、そしてIntelおよびSamsungに次ぐ世界第3位の半導体メーカーになる旨。

発表は木曜27日に、大方予想された内容で以下の通り行われている。IntelとARMの対抗などIoTを巡る現下の動きを上に示しているが、史上最大規模の買収に成るQualcomm - NXP陣営が一角に加わる構図になっていく。

◇Qualcomm-NXP Deal Targets Connected World (10月27日付け EE Times)
→Qualcomm社が木曜27日、NXPを買収する最終合意を発表、年間売上げ合わせて$30 billion以上の会社が作り出される旨。Qualcommは、すべてcash取引で$110/株を提示、NXP Semiconductorの水曜終値に対し11.5%のpremium、約$47 billionの全体企業価値となる旨。負債を除いて約$39 billionの該合意は、AvagoのBroadcom社買収$37 billion合意を上回ってこれまで最大の半導体取引の旨。

◇Qualcomm to Buy NXP Semiconductors in $47 Billion Deal-NXP Semiconductors agrees to be acquired by Qualcomm (10月27日付け Bloomberg)
→Qualcommが、NXP Semiconductorsを総額$47 billionの取引で買収する合意に調印、該買収によりQualcommは、急速に拡大する市場である自動車用半導体の世界トップサプライヤになる旨。

◇Qualcomm to Buy NXP Semiconductors for $39 Billion-Biggest chip deal adds the top supplier of automotive chips to the San Diego company (10月27日付け The Wall Street Journal)

◇Qualcomm to Acquire NXP Semiconductors for $38.5 Billion (10月27日付け The New York Times)

◇Qualcomm to acquire NXP (10月27日付け ELECTROIQ)

◇Qualcomm to acquire NXP for NT$47 billion (10月27日付け DIGITIMES)

◇クアルコム、オランダ半導体NXPを買収、4.9兆円で (10月28日付け 日経)
→米半導体大手、クアルコムが27日、フィリップスの半導体部門だったオランダ半導体大手、NXPセミコンダクターズを$47 billion(約4兆9千億円、負債含む)で買収すると発表、半導体業界では過去最大規模の買収、来年中の手続き完了を目指す旨。NXPは自動車、認証端末など向けの半導体開発に強みを持ち、自動車や決済端末などを中心に「IoT」向け半導体市場で主導権を握る狙いがある旨。

◇Chip Makers Cut Deals as Cars Get Smarter-Automotive industry is becoming more attractive as companies differentiate offerings -Auto chips drive M&A in semiconductor industry (10月27日付け The Wall Street Journal)
→車載electronicsが半導体メーカーにとって大きく引きつけるものになっており、Qualcommが自動車用半導体の世界トップサプライヤ、NXP Semiconductorsを買収する$39 billionの合意が推進された事実がある旨。IHS Markitは、新車のもつICsが平均616個であり、3年前の550個から増えているとしている旨。

QualcommとNXPがいっしょになって、何が引き起こされるであろうか?分析が行われている。

◇$35B Qualcomm Question: What Next? (10月28日付け EE Times)
→QualcommがNXP Semiconductorsの買収を正式に発表、該取引が引き起こす可能性を調べるとき。グローバル車載市場へのインパクトはいかほどか?
もっと重要なのは、どんな大きな変化がこの両社の組み合わせにより車載業界にもたらされるか?QualcommとNXPでぶつかったり重なったりの可能性の領域として、今後の車載SoCsに向けた半導体プロセス技術があり、Qualcommの大量SoCベンダーとして熟達しているbulk CMOSに対して、NXPはfully depleted silicon on insulator(FD-SOI)を支持している旨。そしてconnected carsの今後については、NXPはDSRC(dedicated short range communications)-ベースV2Xを推進、QualcommはLTE-ベースソリューションに立っている旨。

【ドイツ政府のM&A再審査】

中国の投資ファンドによるドイツの半導体製造装置メーカー、Aixtronの買収について、ドイツ当局は一旦承認しながら引っ込めるという一種驚きの動きになっている。敏感な反応、対応の今後に注目である。

◇Germany Withdraws Approval for Chinese Takeover of Aixtron (10月24日付け The New York Times)

◇Germany re-opens review of Chinese takeover of Aixtron-Germany may block Aixtron purchase by China firm (10月24日付け The Associated Press)
→ドイツ・Ministry of Economics and Energyが、半導体製造用deposition装置を作るドイツの会社、AixtronのFujian(福建) Grand Chipによる$737 million買収に対するclearance certificateを引っ込めた旨。ドイツ政府が中国の利益によるドイツの会社&技術の買収を阻止しようとするのかどうか、問題を呈する動きの旨。

◇独当局、異例の再審査、中国企業が半導体関連買収 (10月26日付け 日経)
→独半導体製造装置メーカー、アイクストロンが24日、独当局の承認を得ていた中国投資ファンドの傘下入りが再審査になったと発表、独当局が一度承認した買収を覆すのは異例の旨。独政府内部では中国企業を念頭に外資による国内ハイテク企業の買収を防ぐ方策を導入すべきだという議論が出ており、当局が買収の慎重姿勢に転じた可能性がある旨。

【スマホ発火事故の波紋】

米アップルの業績発表が行われ、前年同期比で減収の7〜9月から、一転して10〜12月は増収を見込むという内容になっているが、以下の通りサムスンのスマホ発火事故による振り替え需要が引き起こすものである。

◇アップル、7〜9月19%減益、iPhone販売減 (10月26日付け 日経 電子版)
→米アップルが25日に発表した7〜9月期決算。売上高が前年同期比9%減の$46.852 billionと市場予想($47 billion程度)をやや下回り、純利益が同19%減の$9.014 billion(約9400億円)。主力の「iPhone」の販売減が響き、同5%減の4551万3000台。

◇アップル、敵失で10〜12月増収へ、サムスン発火 −500万台超流入か (10月26日付け 日経 電子版)
→米アップルは25日、2016年10〜12月期の売上高が前年同期に比べて最大で約3%増えるとの見通しを発表、ライバル、韓国サムスン電子のスマートフォンが発火事故で発売中止に追い込まれ、「敵失」を捉え、技術革新を含めた反転攻勢をかける旨。7〜9月期は9%減、3四半期連続の減収。アップルは、スマホの品質管理や端末内部の設計といった地味ながら性能に結びつく分野で新たな革新に乗り出しており、その一つが心臓部である半導体の自社開発。内製化する範囲を広げ、部品メーカーの独自技術や供給能力に依存する度合いを下げている旨。

当のサムスンは、スマホの大幅減益を年末にかけて戻しが見込まれる半導体に大きく頼る情勢にある。

◇サムスン、スマホ事業が大幅減益、7〜9月96%減 (10月27日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が27日発表した2016年7〜9月連結決算。全体では、売上高が前年同期比7%減の47兆8000億ウォン、営業利益が同30%減の5兆2000億ウォン。スマートフォンを主体とするIT & モバイル部門の営業利益が同96%減の1000億ウォン(約92億円)と過去最低水準に落ちた旨。発火事故が相次いだ新型スマホの生産、販売終了にかかる費用が膨らんで、事故の影響は来春まで続く見通し。堅調な半導体など部品事業に利益を依存する「一本足打法」の傾向が強まっている旨。

【先端ツール認証】

スーパーコンピュータ「京」の後継について、富士通がCadenceのプラットフォームを次の通り採用している。

◇Fujitsu adopts Cadence Palladium Z1 enterprise emulation platform (10月24日付け DIGITIMES)
→Cadence Design Systems発。富士通が、ARMv8-ベースPost-K computerの開発に向けてCadence Palladium Z1 enterprise emulationプラットフォームを採用、該Post-K computerは、日本の次世代flagship supercomputerであり、K computerより最大100倍高速の性能目標の旨。

半導体関係でまず、Samsungの10-nm LPP(Low Power Plus)プロセスについて認証されたCadenceおよびSynopsysのツールである。

◇Cadence reference flow with digital and signoff tools certified on Samsung's 10nm process technology (10月25日付け ELECTROIQ)
→Cadence Design Systems社のディジタルおよびsignoff tools完全一式が、Samsung ElectronicsのProcess Design Kit(PDK)およびSamsungの第2世代10nm LPP(Low Power Plus)プロセスでのFoundation Libraryについて認証を受けた旨。

◇Cadence IP tools certified on Samsung 10nm process technology (10月26日付け DIGITIMES)

◇Synopsys Custom Compiler certified for Samsung's 10nm process technology (10月25日付け ELECTROIQ)
→Synopsys社のCustom Compiler toolが、Samsung Electronics Co., Ltd.の10nm LPP(Low Power Plus)プロセスサポートで認証を受けた旨。

次に、中国のSMICとSynopsysの間で行われているparasitic extractionの標準化である。

◇SMIC standardizes on Synopsys StarRC for signoff parasitic extraction (10月26日付け ELECTROIQ)
→SMICとSynopsysの間の増大するコラボの結果としての標準化。SMICの28-nmプロセス技術に向けてのsignoff parasitic extractionの標準ソリューションとして、SynopsysのStarRC製品を採用、先端nodesでの精度、性能および効率に向けたニーズ増大に適合するよう相互の顧客にbest-in-classソリューションを供給する旨。

【自動運転に向けて】

技術conferenceのイベントにて、Nvidiaより真の自動運転車に向かっての積極的なプレゼンが行なわれている。

◇Nvidia CEO Sees Smart Cars Getting Much Smarter -At WSJ tech conference, Jen-Hsun Huang says technology for driverless cars evolving ‘way faster than Moore’s Law’-Nvidia CEO: AI, software will make cars smarter (10月25日付け The Wall Street Journal)
→NvidiaのCEO、Jen-Hsun Huang氏が、Laguna Beach, Calif.でのconferenceにて。artificial intelligence(AI)技術およびソフトウェア改善により、近い将来真の自動運転車が現実のものになる旨。Moore's Lawより高速に進もうとしている旨。

一方、車載システムの機能安全性標準への慎重なアプローチ手順がCadenceにより展開が図られている。

◇Cadence Breaks Down Automotive ISO 26262 (10月26日付け EE Times)
→自動車メーカーが一層多くのAdvanced Driver Assistance Systems(ADAS) featuresを加え始めて、車の中で運用されるソフトウェアcodeおよびSoCsの複雑度が急増してきている旨。ISO 26262機能安全性標準は、コンポーネントサプライヤが従う詳細プロセスを与えるだけでなく、該標準に従っていること、および開発に用いられるソフトウェアtoolsも準拠していることの証明文書を求めている旨。Cadence Design Systems社は水曜26日、ISO 26262準拠のTool Confidence Level 1(TCL1)文書化など車載機能安全性kitsを展開の旨。


≪グローバル雑学王−434≫

アフリカというと、エチオピア、南アフリカ、そしてケニアがパッと浮かんでくるが、インド洋に面して赤道が通る位置の国、ケニアと日本の間をつなぐ取り組みに奔走する方のいろいろ思い悩みに溢れる経緯の活躍ぶりを、

『なぜ世界の隅々で日本人がこんなに感謝されているのか』
 (布施 克彦/大賀 敏子 著:PHP新書 1055) …2016年7月29日 第一版第一刷

より見ていく。元は建築関係、ケニアで教鞭をとった縁が、55才になって「ケニアで仕事をしよう」と駆り立てられることとなっている。我が国の技術が現地の人々に喜ばれて大きく展開して、環境保全と循環型社会づくりに奏功する事例に、共感を覚えるところである。


第4章 日本の技術でケニアを伸ばす

◆うつ病になるほど考えた
・ぐんぐん高齢化が進む日本
 →定年後の第二の人生をどう過ごすかは、深刻な問題
・55才のときから考えあぐねた坂田泉さん
 →60才のいま、大きな選択をした
 →ケニアと日本の間に橋を架ける仕事に奔走

◆赤道直下の高原都市ナイロビ
・ケニアは、インド洋に面する東アフリカの国
 →国土のちょうど真ん中を赤道が串刺し
 →58万km2の大地、4500万人が暮らす
・首都のナイロビ
 →赤道直下ではあるものの、標高約1700mの高地に位置
 →暑くも寒くもない快適な気候
 →人口集中が著しく、300万人超との推測
  →100万人が住むといわれるキベラ・スラムは、東アフリカでは最大規模
 →近ごろは過激派テロ事件が頻発、治安の改善という大きな課題も

◆「世界」にいちばん近いアフリカの国
・ケニアには、他のアフリカの国には見られない強み
 →恵まれた自然環境
  …国内59か所が国立公園、国立保護区、動物保護区に指定
  →世界中から観光客、日本人だけでも毎年1万人ほどに
 →もうひとつ、国連本部が置かれていること
  …ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーン、そしてナイロビ、世界に4都市しか
  →1972年、国連環境計画(UNEP)の設置を決め、その本部をケニアに
  →(著者は、)このUNEP本部で働いている
・ナイロビには、ありとあらゆるものと人が集まっている
 →出色の国際都市

◆ケニアなら夢を後押ししてくれる
・現在、在留邦人は700人超
 →一方、韓国人は約1000人、中国人は2、3万人
 →日本人学校があり、日本人会の活動も活発
 →ほとんどは、ここでの生活をエンジョイしてしまう
・「アフリカの水を飲んだ者は、アフリカに帰ってくる」
 →長く住んでいる日本人のなかには、出戻り組も少なくない
 →坂田さんもそのひとり。実は、かくいう私(著者)も

◆日本がつくったアフリカ人のための大学
・サブサハラ・アフリカのなかで、ケニアは日本の最大のODA供与国
 →坂田さんは、日本政府(JICA)に派遣されて、ここケニアで1年、1994年のこと
・突然のこと、ナイロビにあるジョモ・ケニヤッタ農工大学で建築を教えてみないかと頼まれた
 →日本が1978年からODAを使って建てた大学
  …日本が時間とお金と労力をかけて、まさに手塩にかけて育ててきたケニアの大学
  …ジョモ・ケニヤッタとは、初代大統領の名前

◆週末だけのささやかなチャレンジ
・坂田さんのナイロビでの毎日は、大学と宿舎の間の往復、運転手つきの車
 →街に出かけるのは、週末だけの、彼ひとりのささやかなチャレンジ
・坂田さんは絵を描く。建築家ではなく絵描きになろうかと考えたというほどの腕前
 →彼は、ナイロビの市井の人々を描いた
 →やがて絵を描くことより、人々と話すことのほうが楽しみになってきた
 →坂田さんは、街に充満する、人々の生命力と力強さを発見
・ここで必要とされる技術は、このような人々の力が最大限活用されるようなものでなければ

◆スラムの息吹
・途上国のなかでも、比較的所得の低い層が集まって住む地域
 →しばしば「スラム」、英語では「unprivileged area(恵まれない地域)」という言い方
・スラムは、合法的に住んでいる人のほうが圧倒的に多い
 →所得に応じて家賃を払い、子どもを通学させ、必要なものは買って生活しているだけのこと
・職にありつくコネと幸運に恵まれなかった、おそろしく腕のいい技術者が隠れていることも
 →うっかりコーラをかけて壊してしまったラップトップを、分解して掃除、修復へ

◆15年ぶりにスラムを描く
・任期を終え、坂田さんはまた日本で、建築家として働く毎日に
 →帰国後15年たったころ、うつ病にかかってしまった
・闘病は1年近くに。そんな矢先のこと、アフリカから声がかかった
 →坂田さんの本についての反響があった
・15年ぶりにスラムとそこで力強く生きる子どもたちを描き始めた
 →そんな折、とある記事が坂田さんの目に
  …なぜ日本人はもっとアフリカに目を向けないのか
 →この問いかけは、悶々と悩む日々の坂田さんの心を直撃した
 →「ケニアで仕事をしよう」、55才のときのこと

◆非電化地域に電気を届ける
・日本人がもっとアフリカで活躍するにはどうすればいいのか
 →アフリカに必要なのは技術。人々の力強さと正面から向き合い、それを応援するような技術
 →「日本のタネをケニアでカタチに」
・日本では一般社団法人を設立、坂田さん自身が会長に、ケニアではふたりのケニア人が会社法人を設立し取締役に
 →プロジェクトの名前は、「虹プロジェクト」
 →アイデアは次々と生まれ、パートナーが続々と現れた

◆予想外の大反響
・ソーラーシート(薄い膜状の太陽電池)のアイデア
 →シートを使ったソーラー街灯
  …シートを支柱に巻けば、汚れにくいし、掃除が簡単なうえ、割れることもない
・首都ナイロビから100kmほど離れた地方都市でのこと
 →もっと増設してほしいと飛びついてきた

◆日本とケニアの技術をフル活用
・再生バッテリープロジェクト
 →日本のバッテリー再生技術を使って、ケニアの中古バッテリーを再利用
・ソーラーシェアリング
 →ソーラーパネルを畑の上に設置、直射日光を緩和すると、農作物が育ちやすいことに着目
・農業分野のプロジェクトとして、ハーブの一種、月桃の育成、販売
 →沖縄に古くからあり、健康長寿と美容に効果、メタボと減量にもいいという
 →2016年3月には、そこで育った月桃による健康飲料の試作品づくりに成功

◆水がなくても清潔なエコ・トイレの登場
・スラムの暮らしの決定的な弱点は水回り
 →循環型無水トイレの考え…水をまったく使わずに排泄物を処理、肥料化
 →超節水型トイレ…1回につき1リットル未満の水しか使わない

◆この指とまれ
・いまでは坂田さんは、ひと月に1回はケニアに
 →来るたびに異なる日本のパートナーを連れてくる
 →言葉が足りなければ、得意のスケッチを使って、わかりやすく説明
  …タブレット型コンピュータはあたかも彼の手足の一部のよう
・ソーラー発電、循環型のトイレ、オーガニック栽培のハーブと、坂田さんのビジネス・コンセプトは一貫
 →環境保全と循環型社会づくり

◆夢はいっさいを含めるもの
・ケニアでは、夢を追いかけるのを後押ししてくれるのではないか
 →往々にしてそれは気分だけのこと、現実はもちろん厳しい
・世界は仲良しクラブではない。生き残りをかけた闘いの場。人々がたくましく、狡猾なのは、当然のこと
・坂田さんが追いかける夢は、ありのままのケニアとケニアの人々

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