セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

スマホ発火事故の一方、半導体の伸びへの期待、激動のSamsung

|

韓国・サムスン電子の新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火事故が連日報道され、問題への根本的な解決にすぐには至らず、販売・交換の中止を決めた同日に生産・販売の終了に至る措置がとられている。スマートフォンの世界シェアが第1位、そして中核部品の半導体のランキングでは世界第2位、うちメモリでは圧倒的な第1位の同社であり、この事故を直ちに止めるとともに、残る今年戻しが見込まれる半導体そしてメモリの供給に対応しなければならない。激動のSamsungについて事態の推移を追っている。

≪スマホとメモリ世界首位ならではのインパクト≫

「ギャラクシーノート7」の発火事故については、減産から、販売・交換の中止、明確な解決に至らず生産・販売の終了と、2日間のうちの決定、決断となっている。

◇サムスン、スマホ発火で減産、対策「1カ月以内に」 (10月10日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が10日、発火事故による品質問題が注目されている新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の具体的な生産対応策を「1カ月以内に出す」と発表、併せて「精密な調査と品質管理強化のためノート7の供給量を調整中」とするコメントを出した旨。

◇サムスン、「ノート7」販売・交換を中止 −発火事故対応「顧客の安全最優先」 (10月11日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が11日、電池の欠陥が判明していた新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の世界各国・地域での販売を再び中断すると発表、9月初めに約250万台の回収を発表し、問題を改善したとする代替機への交換や新規販売を再開していたが、新たな欠陥が見つかった可能性がある旨。再度の販売中断でブランド力低下や業績への影響は避けられない情勢の旨。

◇サムスン、スマホ「ノート7」生産・販売終了へ −発火事故、解決できず (10月11日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が11日、新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の生産・販売を打ち切る方針を明らかにした旨。ノート7は8月の発売直後から発火事故が相次ぎ、10カ国・地域で約250万台の自主回収と端末交換を実施、再発防止に努めたが、交換後の端末にも発火の報告が出て、問題解決が難しいと判断した模様の旨。世界首位メーカーの最上位機種がわずか2カ月で消える異常事態となる旨。

米国でも慌ただしい対応、事態が同時並行で伝えられている。

◇Samsung halts Note 7 production after new fire scare: source-Fires prompt Samsung to suspend production of Galaxy Note7 (10月10日付け Reuters)
→Galaxy Note7機器発火交換の報道で、Samsung Electronicsが該スマートフォンモデルの生産中止に追い込まれている旨。航空会社は乗客の飛行中該電話の使用を禁止、主要ワイヤレスcarriersのいくつかが該電話の販売を止めている旨。

◇Samsung Halts Galaxy Note 7 Production as Battery Problems Linger (10月10日付け The New York Times)

今回の本件対応によるサムスン電子の業績へのインパクトが、以下の通り表わされている。

◇Note 7 fiasco could burn a $17 billion hole in Samsung accounts (10月11日付け Reuters)

◇サムスン30%減益に下方修正、7〜9月、最新スマホ打ち切りで (10月12日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が12日、2016年7〜9月期連結決算の速報値を下方修正し、営業利益が5.2兆ウォン(約4800億円)と前年同期比約30%減になったと発表、今月7日に発表していた速報値は7.8兆ウォンと同5%増だったが、一転して減益となる旨。8月に発売した最新スマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火問題を解決できず、生産・販売の打ち切りを11日に決めたことに伴う費用などを7〜9月期決算に反映させるためとみられる旨。
7〜9月期の売上高も当初見込みの49兆ウォンから47兆ウォンに修正した旨。

◇Samsung slashes earnings guidance for 3Q16 (10月13日付け DIGITIMES)

◇サムスンに「いばらの道」、ノート7の機会損失3千億円超 (10月14日付け 韓国・朝鮮日報)
→韓国のサムスン電子は14日、生産・販売を打ち切った最新スマートフォン「ギャラクシーノート7」について、「販売中止により10〜12月期から来年1〜3月期までの販売の機会損失が3兆ウォン(約2800億円)台半ばに上る見通しだ」と明らかにした旨。

肝心の事故の原因追及であるが、以下の通り電池関連という以上には落ち着かない内容となっている。

◇Did Processor Cause Samsung Note 7 Blowup? (10月12日付け EE Times)
→Samsung Note 7の発火事故を引き起こした原因は、現時点決して明らかではなく、Samsungは、自らの調査を終えるまで語ってはいない旨。しかし新しい報道が水曜12日あらわれており、問題のもとはSamsungが当初疑ったlithium-ion電池そのものではなく、根底の技術、該スマートフォンのプロセッサに施されたひねりにある可能性の旨。

◇〈ギャラクシーノート7生産中止〉>「発火の原因はバッテリー設計の欠陥」 (10月13日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子のギャラクシーノート7の発火原因は設計の欠陥という主張が提起されている旨。国会産業通商資源委員会所属のセヌリ党の鄭有燮(チョン・ユソブ)議員が12日、ギャラクシーノート7のバッテリーメーカーのサムソンSDIと中国ATL社のバッテリー関連認証試験成績書と国家技術標準院の現場調査報告書、サムスンの発火原因資料を入手して分析した結果、このように主張している旨。サムスンギャラクシーノート7のセル設計図では発火地点と指定されたケースの隅が直角に設計されていて、工程上発生するしかない曲面部の設計が抜けていたことが分かった、としている旨。

及ぼす波紋として、まずは世界のスマートフォン市場について次の通り表わされている。米IDCによる2016年4-6月のシェア・ランキングが以下の通り:
 サムスン   22.8%
 アップル   11.7%
 ファーウェイ 9.3%
 vivo(ビボ)  5.9%
 OPPO(オッポ) 1.0%

◇サムスン「ノート7」打ち切り、スマホ勢力図に波紋 (10月13日付け 日経 電子版)
→スマートフォン世界首位、韓国サムスン電子の戦略機種の生産・販売打ち切りで業界勢力図に波紋が広がっている旨。12日の米市場ではライバルの米アップル株が上昇し、中国メーカーにも追い風との見方が出ている旨。
13日の東京市場でもアップル関連株が買われるなどスマホの勢力図が材料として意識された旨。

韓国経済への波紋は、以下の取り上げ方となっている。

◇「ビッグ2」の危機…韓国経済のリセットを (10月14日付け 韓国・中央日報)
→・・過去の数年間は低成長の恐怖が経済の重荷となった。しかし本当の恐怖は大韓民国を代表する企業のサムスン電子と現代自動車が揺れて始まった。サムスン電子は品質問題、現代自動車はストライキでつまずいた。サムスン電子・現代車の成長神話に隠れた韓国経済の素顔が表れたという指摘もある。両社の年間売上高は大韓民国の国内総生産(GDP)の19.8%を占める。・・

一方、半導体についてみると、残る今年から来年始めにかけて市場の伸びの期待があり、NANDフラッシュについてのサムスン電子の先行ぶりが示されている。

◇Samsung to churn out new 3-D flash memory for smartphones-Samsung to step up to 64 layers in 3D NAND (10月8日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Samsung Electronicsが、NANDフラッシュ市場が改善しているとして、64 stacked層の3D NANDフラッシュメモリデバイスへの素早い移行に備えている旨。東芝は、2017年前半に64層3D NANDの量産に入るとしている旨。

同社の第三四半期の業績についても、半導体が大きく補う見方となっている。

◇Expansion of Chip Market: Soaring Semiconductor Demand Propels SK Hynix Following Samsung -Samsung, SK Hynix benefit from rising chip sales (10月10日付け BusinessKorea magazine online)
→Samsung Electronicsの第三四半期operating incomeが$7.0 billion、うち$2.7 billionがSamsung Semiconductorの寄与、これはGalaxy Note7スマートフォン回収に要する費用を上回る旨。

当面の新市場・新分野対応が急がれる半導体業界であるが、サムスン電子からは業界初、wearables機器に向けた14-nmモバイルプロセッサが以下の通り打ち上げられている。

◇Samsung announces mass production of 14nm chips for wearables (10月11日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、Exynos 7 Dual 7270の量産を発表、14-nm FinFETプロセス技術でwearable機器に向けて特に設計された業界初のモバイルapplication processor(AP)である旨。2つのCortex-A53コア搭載したExynos 7270は、14-nmプロセスをフル活用、28-nmで作られた先行世代と比べてパワー効率が20%改善、電池寿命が著しく延びている旨。

◇Samsung begins mass production of new mobile processor for wearable devices-Samsung aims at wearables with new chip (10月11日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、14-nmプロセスで作られwearable electronics向けのモバイルプロセッサの量産を開始、該Exynos 7270 applicationプロセッサはsystem-on-a-chip(SoC)設計である旨。

◇Advanced AP for Wearables: Samsung Begins to Roll Out 14-Nano APs for Wearable Devices (10月12日付け BusinessKorea magazine online)

事故の修復、そして半導体市場への対応に向けた今後に注目である。


≪市場実態PickUp≫

【台湾での好業績】

Samsungの激動、騒動がプラスに働く1つに台湾の半導体メーカーが考えられるが、まずはMediaTekの2ヶ月連続月次最高の売上げ記録である。

◇MediaTek September revenues hit record for 2nd straight month -MediaTek posts Sept. revenues of $880.8M (10月11日付け DIGITIMES)
→MediaTekの2016年9月連結売上げがNT$27.71 billion($880.8 million)、2ヶ月連続月次最高を記録。第三四半期売上げがNT$78.4 billionとなり、これも四半期最高を記録。それにもかかわらず、この四半期結果は同社guidance、NT$78.3 billion〜NT$84 billionのlow endにやっと適合の旨。

そしてファウンドリーを含む半導体サプライヤランキングで2位のSamsungに迫っているTSMCであるが、弾みをつける2016年第三四半期売上げ実績そして第四四半期の見込みが以下の通りである。

◇TSMC Grows Share of Foundry Business-Repercussions of Samsung's burning batteries (10月13日付け EE Times)
→TSMCの四半期業績を発表する台北イベントにて、同社Co-CEO、Mark Liu氏。第三四半期に大方の技術nodesにわたって市場シェアの伸びが得られた旨。第三四半期の間のスマートフォン需要が予想を上回り、TSMCの今年のファウンドリー事業シェアが55%に高まっている旨。

◇TSMC Sales Forecast Tops Estimates After Record Earnings-Apple processors drive TSMC revenue in Q3, Q4 (10月13日付け Bloomberg)
→TSMCは、第四四半期売上げを$8 billion以上と予想している旨。「Apple需要がしばらくあって、第四四半期は良く見える」と、Gartnerアナリスト、Roger Sheng氏。

◇TSMC net profits rise 28% in 3Q16 (10月13日付け DIGITIMES)
→TSMCの2016年第三四半期連結売上げがNT$260.41 billion、前年同期比22.5%増、net profitsがNT$96.76 billion($3.05 billion)、同28.4%増。
TSMCの第三四半期売上げは前四半期比17.4%増、予想より力強いスマートフォン需要が引っ張り、不都合な海外為替率が部分的に打ち消している旨。

【M&A関連の動き】

Mentor Graphicsが、テストデータ解析および欠陥削減ソフトウェアのプロバイダー、Galaxy Semiconductor(Ireland)の買収を発表している。

◇Mentor Graphics acquires Galaxy Semiconductor (10月10日付け ELECTROIQ)
→Mentor Graphics Corporationが、半導体業界に向けたテストデータ解析および欠陥削減ソフトウェアのプロバイダー、Galaxy Semiconductor(Ireland)の買収を発表、この買収でより多くの設計、テストおよび製品エンジニアが、デバイス歩留り最大化、テスト品質改善、DPM(defects per million)削減およびデバイス特性評価強化に向けたGalaxyの強力なソリューションにアクセスが行える旨。

◇Mentor acquires chip defect reduction tool firm Galaxy-Mentor Graphics has announced in the run-up to the Electronica exhibition that it will buy Galaxy Semiconductor, defect reduction software for the semiconductor industry.-Mentor adds IC defect reduction, test data tool (10月11日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Mentor Graphicsが、半導体欠陥削減&テストデータ解析ソフトウェア・サプライヤ、Galaxy Semiconductorを買収の旨。

ドイツのInfineonは、いずこも注目の自動運転に向けて高精細センサに取り組むPhilipsからのスピンオフ、Innoluceを買収している。

◇Infineon Acquires LidarExpertise Through Innoluce Takeover (10月11日付け EE Times)
→オランダのファブレスMEMSメーカー、Innoluceを買収、Infineonが、自動運転に向けた技術の活況市場についてのセンサ取り揃えを補完している旨。

◇Acquisition takes Infineon into automotive LIDAR market-Infineon buys fabless firm for LIDAR tech (10月11日付け New Electronics)
→Infineon Technologiesが、Philipsからのスピンオフのファブレス半導体メーカー、Innoluceを買収の旨。「この買収で完全自動運転車に向けて本質的な安全性保護に重要な役割を果たすLIDARへの大きな1ステップをとっている」と、Infineonの車載部門president、Peter Schiefer氏。

◇Infineon buys Dutch firm in push to control driverless cars (10月11日付け Reuters)

◇独半導体最大手インフィニオン、オランダセンサーVBを買収 (10月12日付け 日経 電子版)
→独半導体最大手、インフィニオンテクノロジーズが11日、オランダの同業イノルースを買収すると発表、イノルースは、フィリップス(オランダ)から2010年に分離したベンチャー企業で、周りの物体との距離や形状を検知する高精細センサを手がける旨。インフィニオンは成長分野と位置づける自動運転関連の技術を補完する旨。

我が国では村田製作所が、3DシリコンキャパシターのIPDiA(フランス)買収を発表している。

◇Murata to acquire IPDiA (10月12日付け ELECTROIQ)

◇Murata buys French capacitor tech firm-Murata Electronics Europe plans to acquire French 3D silicon capacitor maker IPDiA.-Murata adds capacitors with IPDiA acquisition (10月13日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇村田製作所、仏社を買収−3Dキャパシター取り込む (10月13日付け 日刊工業)
→村田製作所が12日、3Dシリコンキャパシターを生産する仏アイピーディア(カルヴァドス県)を、欧州子会社を通じて10月末に買収すると発表、3Dシリコンキャパシターは、耐熱性や薄型化に優れ、自動車・医療機器・スマートフォン向けに需要が拡大している旨。

台湾でのM&A進捗として、Micronによる買収に伴ってのInoteraの台湾証券取引所からの上場廃止期日が示されている。

◇Inotera to delist from TSE on December 6 (10月11日付け DIGITIMES)
→台湾のDRAMメーカー、Inotera Memories発。同社は、Micron Technologyによる買収が発効する期日、12月6日にTaiwan Stock Exchange(TSE)から上場廃止となる旨。Inoteraは、11月30日からTSEでの取引を中止、加えて同社はMicronの完全子会社になる旨。

ASEとSPILの合併について、台湾の公正取引当局は公聴会を開くとしている。

◇Taiwan FTC to hold public hearing on ASE-SPIL merger (10月13日付け DIGITIMES)
→台湾・Fair Trade Commission(FTC)が、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のSiliconware Precision Industries(SPIL)との合併計画について12月17日までに本件決定を下す前に公聴会を開催する旨。

【半導体工場起工式】

2件の半導体工場起工式。台湾・ASEの高雄での新工場建設である。

◇ASE breaks ground for new factory building in Kaohsiung (10月7日付け DIGITIMES)
→半導体組立&テストサービス・プロバイダー、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、台湾南部の高雄(Kaohsiung)にあるNantze Export Processing Phase 2 ZoneのK24 buildingがあるところで起工式を行った旨。この建屋は、台湾の同社R&Dおよび製造campusで続けている拡張計画の一環の旨。

中国・SMICは、上海で新しい12-インチウェーハfabの起工を行っている。

◇SMIC Shanghai starts construction of a new 12-inch wafer fab (10月13日付け ELECTROIQ)
→Mainland中国の最大&最先端ファウンドリー、SMICが、SMIC Shanghaiの生産&開発ニーズ増大に対応、上海で新しい12-インチウェーハfabの起工式を行った旨。

◇SMIC breaks ground for new 12-inch fab in Shanghai (10月14日付け DIGITIMES)
→中国の専業ファウンドリーが13日、上海の新しい12-インチウェーハfabの起工式を開催、Shanghai Dailyによると、総投資額がCNY67.5 billion($10 billion)、フル稼働時70,000枚/月のcapacityの旨。

台湾のIC設計メーカーにて、生産コスト削減に向けて12-インチの使用が検討されている模様である。

◇Taiwan chip vendors strive to lower costs-IC design firms, foundries discuss wafer costs (10月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC設計会社が、半導体生産コストを削減する方法についてファウンドリーと話しており、1つとして小さい方の基板ではなく12-インチシリコンウェーハを使うことがある旨。

【ウェーハ需要/出荷予測】

半導体ウェーハについて、まずはSemico Researchによる本年の見方である。半導体売上げは減少する一方、ウェーハ需要は増えるとしている。

◇2016 wafer demand grows while semiconductor chip revenue declines, says Semico Research (10月11日付け ELECTROIQ)
→Semicoの最新レポート、Semico Wafer Demand Model Update Q3 2016。以下の概要:
・2016年の半導体売上げが2.5%減の見込み
・2016年のウェーハ総需要が100 million 300mmウェーハ換算を上回る見込み
・2016年のウェーハ需要増加の主な理由として、他のMOSロジック(車載、Consumer、オーディオなど)、NAND, DRAM, ディスクリート/センサおよびOptoelectronicsにおける増加継続
・2016年のDRAM半導体売上げは14.7%減の見込み

SEMIのシリコンウェーハ出荷面積予測でも、2018年までは最高更新の旺盛な展開が表わされている。

◇Wafer shipments forecast to increase in 2016, 2017 and 2018 (10月13日付け ELECTROIQ)
→SEMIの2016年シリコンウェーハ出荷予測:


実績
予測
2014
2015
2016
2017
2018
Millions of Square Inches(MSI)
9,826
10,269
10,444
10,642
10,897
Annual Growth
11%
5%
2%
2%
2%
   
…半導体応用向けのみ、solar応用は含まない
[Source: SEMI, October 2016]

◇Record-breaking wafer shipments set to continue, says SEMI-Polished and epitaxial silicon shipments totaling 10,444 million square inches (MSI) were shipped in 2016, says SEMI.-2016 wafer shipments break a record, SEMI says (10月13日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇Silicon wafer shipments to rise through 2018, says SEMI (10月14日付け DIGITIMES)

【300-mm/200-mmウェーハの伸び】

ウェーハも口径寸法での見方として2点。IC Insightsからは、450-mmは後回しになって300-mmおよび200-mmでの製造効率化が当面図られていくと、以下の分析である。

◇Companies maximizing 300mm, 200mm wafer capacity (10月7日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのGlobal Wafer Capacity 2016-2020レポート。莫大な資金および技術の障害から450-mmウェーハへの積極的な目標が後退、ICメーカーは代わりに300-mmおよび200-mmウェーハにより製造効率最大化を図っている旨。

◇450mm focus switches to 300mm, 200mm development-Chipmakers put focus on 200mm, 300mm wafers (10月7日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。半導体メーカーが、450-mmウェーハの開発を後回しにして300-mmおよび200-mmシリコンウェーハでの半導体製造の一層の効率化を図っている旨。昨年のグローバル生産capacityのうち300-mmウェーハが63.1%を占めており、2020年末までに約68%に高まると見ている旨。

◇Chipmakers continue to maximize 300mm and 200mm wafer capacity, says IC Insights (10月11日付け DIGITIMES)

SEMIからは200-mmに絞ったfab capacity展開の推移&予測が表わされている。金融危機による底を経て、モバイルとIoTが引っ張る折り返しの増加が見えている。

◇200mm fabs on the rise (10月11日付け ELECTROIQ)
→SEMIの200mm Fab Outlookレポート、2016年10月更新版。2020年まで200mm fabの流れを予測、以下の概要:
・200mm capacityの最高レベルは2007年に記録、このピークに続く2009年が最低。2007年から2009年のcapacity減少は、2008/2009年グローバル金融危機による旨。
・2009年以降、200mm fab capacityは増加、2007年のピークには及ばないものの2020年までに5.5 million wafers per month(wpm)に達する見込み。
・200mmの需要増大に占める2つの応用として、モバイル機器とIoTがあり、2015年から2020年にかけてのfab capacity上昇は、MEMS機器, Power, FoundryおよびAnalogが引っ張っていく旨。

◇Installed 200mm fab capacity rising, says SEMI (10月13日付け DIGITIMES)


≪グローバル雑学王−432≫

前回、第1回のマーシャル諸島に根づいて金物業、そして環境問題に取り組む日本人の方の奮闘ぶりに続いて、今回は

『なぜ世界の隅々で日本人がこんなに感謝されているのか』
 (布施 克彦/大賀 敏子 著:PHP新書 1055) …2016年7月29日 第一版第一刷

より、南アフリカで識字率の向上に奔走、移動図書館車を走らせている方のご活躍の経緯そして現状である。小生と同じエレクトロニクス業界、ソニーのご出身で一貫して方々の海外勤務、定年退職した後ソニー南ア社長として働いたこの国に留まってのご活動となっている。グローバル人材はかくあるべきという姿を目にしているという感じ方である。


第2章 南アフリカ――元ソニー、いまは子どもたちに本を届ける

◆ヨハネスブルグのグローバル人材
・世界で成功するための素養とは?
 →総合的な個人力が、世界ではものをいう
・南アフリカのヨハネスブルグで南ア黒人の識字率向上のために奔走している蓮沼忠さんを訪問
 →もともとはソニーの社員
 →会ってみると、蓮沼さんは、個人力のかたまりのような人

◆アフリカのヨーロッパ
・他のアフリカの国々に対し、南アフリカのヨハネスブルグの空港から街の印象
 →オランダ系移民が建設した街は、ヨーロッパかと見まがうほど・南アは、群を抜いた大陸一の経済大国
 →サハラ以南アフリカ地域のGDPの約4割を占める
 →5400万人ほどの人口、黒人が79%
 →対話による人種対立の解決と融和という「アフリカの新しい流れ」を象徴する国づくり

◆ヨソ者日本人
・人種差別を法律をもって正当化したという南アフリカの特殊な歴史
 →今日も複雑な影
・アパルトヘイト時代、日本人は永住権が取れず、外国人扱い
 ※(注) ウィキペディアより:
  南アフリカの人種構成(2009年の推計による)は次の通り。
    黒人 (79.3%)
    白人 (9.1%)
    カラード(Coloured:混血) (9.0%)
    インド系(印僑) (2.6%)
 →外国人はまとめて「ホワイト」扱い
 →古くから南アに移住していた中国人は、「カラード」
 →台湾人は、日本人同様外国人扱いで「ホワイト」

◆広がる格差
・この国にとって人種の融和を図るとは、黒人の経済的・社会的地位を引き上げること
 →しかし、いかに政策があっても、ぐんぐん経済力をつける黒人がいる一方、なかなか成長のチャンスに出合えない黒人も
 →努力と実力と運と、そしてコネがあるかないか
・いまや黒人の間で格差が広がるという、新たな問題が出現

◆悪化する治安
・治安が悪い街として知られるヨハネスブルグ
 →エリアによるが、ここに住む人たちの多くは、自宅の塀をエレクトリック・フェンスで覆い、窓という窓に鉄格子をはめ、庭には番犬を置く
・ヨーロッパのような街並み、はつらつと働く黒人たち、かっこいい一面がある一方、南アには、犯罪に走る以外に生きる方策が見つからない人たちも、確実に
 →この複雑さが、この国の個性

◆ハードシップのなか鍛えたカン
・蓮沼忠さんは、南アで子どもたちの識字率向上のため、移動図書館車を走らせている
 →2016年6月現在49台、本を満載して南アの各地を縦横に
・同氏は、ソニー時代は一貫して海外勤務。アジア、中東、ヨーロッパ、そして南アという幅広さ
 →海外勤務を続けながら、それぞれの任地で人々のことをよく観察し、分析
 →イスラム教徒には大家族が多い。家族が集まる団らんの場には、テレビがよく似合う
  →「(メッカ巡礼の)おみやげにはソニーのカラーテレビを」
 →現地の業界内調整に尽力、諸外国の同業他社と競争しながらも、交流を深めた
 →「ジャパン・ハスヌマ」の個人力

◆外国人社長への厳しいチェック
・蓮沼さんのスキルは、ソニー南ア社長として赴いたこの国でさらに磨き
 →南アのビジネス界は、世界の有力企業が鎬を削る場
 →「ソニー・ハスヌマ」は、堂々と有力企業経営者の仲間入り
・海外では、肩書や地位があるからといって、それに応じた尊敬を受けるとはかぎらない
 →総合的な個人力を厳しくチェックされる

◆販売でトップに立った理由
・ソニー南ア社長として、蓮沼さんのスタッフへの指示
 →「ほかの仕事は何もしなくていいから、国内すべての小売店を歩いてほしい」
 →丁寧に扱い方の説明をしながら、月賦販売を認める
・ソニーはオーディオ機器の販売で南ア業界トップに
 →BOP(Bottom of Pyramid:経済的貧困層)に巧みに取り組んだ

◆識字率向上に奔走する
・蓮沼・ソニー南ア社長は、大統領を辞したあとの故ネルソン・マンデラ氏の私邸に呼ばれたことがある
 →蓮沼さんは、この自由の闘士による教育への熱い思いに打たれた
 →定年退職した後も南アに留まって、南ア黒人の識字率向上に第二の人生を捧げることに

◆1000校をカバーする企画力、実行力、ネットワーク
・蓮沼さん自身が代表を務めるNPOと南ア政府教育省で、移動図書館プロジェクトを実施
 →日本の市町村から中古図書館車の寄贈を受け、南アの州教育庁に寄贈、運行してもらう
・いまは約50台。それぞれが20校ずつ回れば1000校はカバーできる
 →うち12台は、当初のパートナー、日本のNGOから贈られたもの。これがいまの活動の原点。

◆よくしゃべる
・気の利いたジョークもまた、グローバル人材には不可欠の素養
 →蓮沼さんは、口八丁手八丁、ついでに対人関係を扱う能力は抜群、そして自己研鑽を怠らない

月別アーカイブ