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IIoT、AI、自動運転車、5G、半導体新分野に向けた枠組み作り活発化

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半導体新分野の開拓、拡大に向けても必須となるいま注目技術の新分野・新市場のインフラ作りそしてそのための枠組み作りが、ここにきて関連業界、各社および業界間連携の形で引き続き活発化している。産業用IoT(IIoT)、人工知能(AI)、自動運転車そして5Gについて、開発、製造そして管理など市場化のいろいろな切り口で各社およびグローバルな連携の取り組みが打ち上げられている。目についた範囲ではあるが、既存の半導体市場とともに、また新しい時代、段階の協調と競争の局面を受け止めている。

≪新たな協調と競争の局面≫

産業用IoT(IIoT)について、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、日米独の産学官連携、そしてIndustrial Internet Consortium(IIC)から取り組みの基本、標準化、枠組み作りへのアプローチがそれぞれ表わされている。

◇GE Plugs into Industrial Internet-A look under the hood of a hybrid system (9月26日付け EE Times)
→GEの自動化&制御グループ、制御プラットフォームgeneral manager、Rich Carpenter氏。industrial Internet of Things(IIoT)に備える設計について、新システムportfolioはPCおよび産業用制御技術を安全確実な製品に調合していくmilestoneである旨。

◇日米独、IoT規格を標準化、産学官で連携 (9月27日付け 日経 電子版)
→あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」分野で、日米が連携して国際規格や標準技術の策定に乗り出す旨。10月に日立製作所やトヨタ自動車などが参加する団体と米国の2団体が覚書に調印、実証実験などに着手する旨。日独政府も同分野での連携強化を確認、有力企業を抱える3カ国が産学官で歩調を合わせて成長市場のIoTをリードする旨。
国内外企業2千社超と総務省、経済産業省などでつくる「IoT推進コンソーシアム」が、米ゼネラル・エレクトリック(GE)やインテルなどが設立した「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」(IIC)など2団体と10月に覚書を交わす旨。日独政府も同じタイミングで、これまで検討を進めてきたIoT分野での協力関係を確認する旨。

◇Consortium Forms Framework for Industrial Cybersecurity -Consortium releases cybersecurity framework (9月29日付け EE Times)
→Industrial Internet Consortium(IIC)が、industrial Internet of Things(IIoT)開発に向けたSecurity Frameworkの初版をリリース、昨年リリースされたIIoT Reference Architecture the Consortiumに付属する該Frameworkは、安全確実なIIoTシステムについて広範な業界コンセンサスを生じる過程を起こすことを求めている旨。IICは、AT&T, Cisco, General Electric, IBM, およびIntelが創設、今や24か国からの160以上のメンバーに拡大、Object Management Group標準化団体が運営している旨。

人工知能(AI)は最も敏感、活況の分野に感じるが、まずは、AIの保護強化に向けた我が国での動きである。

◇IoTデータ、保護強化へ「営業秘密」に、経産省・特許庁、AI盗用、訴訟起こしやすく (9月26日付け 日経)
→モノとインターネットがつながるIoT技術などで使われるビッグデータについて、経済産業省と特許庁は「営業秘密」として保護を強化する旨。ビッグデータを分析する人工知能(AI)の技術についても、盗まれて悪用された際に使用差し止め訴訟を起こしやすくする旨。これまで曖昧だったデータや分析技術の法的な位置づけを明確にして、関連ビジネスを進めやすくする旨。10月に次世代の知的財産制度に関する検討会を開き、データやAIの保護強化策を検討する旨。営業秘密について定める不正競争防止法の改正も視野に議論、来年3月末までに方向性をまとめ、来春に閣議決定する成長戦略に対策を盛り込む旨。

中国のWeb大手、Baidu、グラフィックスプロセッサのNvidia、そして米マイクロソフトと、各社それぞれのAI関係の取り組みの打ち上げが見られている。

◇Baidu Releases AI Benchmark-Intel, Nvidia post results training neural nets -Baidu unveils open-source AI benchmark (9月26日付け EE Times)
→100倍高速なプロセッサを求めて、中国のWeb大手、Baiduが、machine learningに向けてプロセッサがどんなに高速にneural networksを仕込むかについてopen source benchmark、DeepBenchをリリースの旨。
DeepBenchは、IntelおよびNvidiaのプロセッサをそれで走らせた最初の結果とともにonline入手可能の旨。

◇Nvidia GTC 2016 shows artificial intelligence innovations (9月26日付け DIGITIMES)
→台湾で9月21日に開催されたNvidiaのGPU Technology Conference(GTC) 2016は初日2,000以上の集客、NvidiaのCEO、Jen-Hsun Huang氏が、artificial intelligent(AI)応用におけるGPU技術のcapabilityおよび役割に基調講演で触れた旨。イメージ、textsおよび音声を検出、感じることができ、性能および応答時間が改善されているNvidiaの新しいPascal-ベースTesla P4およびP40 GPUsは、それぞれ11月および10月に出荷開始の旨。

◇米マイクロソフト、AI研究開発で5000人規模の新部門 (9月30日付け 日経 電子版)
→米マイクロソフトが29日、人工知能(AI)を活用した製品やサービスの研究開発を強化するため、5000人規模の研究者や技術者からなる新部門「マイクロソフトAI研究グループ」を立ち上げたと発表、基礎研究から応用研究、製品開発までAIにかかわる社内の人材を結集し、競争力を高める旨。

AIに取り組む連携として、広く知見を生かすことを目指す連携が、米国5社そして我が国の研究機関で以下の通りである。

◇グーグルなど米5社、人工知能普及へ新団体 (9月29日付け 日経 電子版)
→グーグルを傘下に持つ米アルファベット、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米IBM、米マイクロソフトの5社が28日、人工知能(AI)の普及・啓蒙に向けてNPOとして設立する新団体、「人々と社会に貢献する人工知能のためのパートナーシップ(Partnership on Artificial Intelligence to Benefit People and Society)」を発表、AI技術の進歩が加速し、様々な製品やサービスに広がるなか、倫理やプライバシーなど社会的関心の高い課題の解決に共同で取り組む旨。

◇理研・産総研・物材機構、AIを共同研究 (9月30日付け 日経 電子版)
→10月1日から政府の優遇を受け幅広い裁量権を持つ特定国立研究開発法人になる理化学研究所、産業技術総合研究所(AIST)、物質・材料研究機構(NIMS)の3機関が、人工知能(AI)の共同研究に着手する旨。研究者の給与を柔軟に設定し国内外の優秀な研究者を集め、産業界などの協力を得てAIに学習させるデータを集積。新薬や新素材の開発に役立つAIの実現を目指す旨。3機関は他の国の研究開発法人と区別され、雇用や物品購入における自由度が拡大、海外や産業界から優秀な人材を獲得するため、理事長より高い報酬を払うことも可能になる旨。

自動運転車の現時点については、まず、先週来目につく米国・運輸省の規制はじめとりまとめの動きである。

◇Robo-Car's Safety Challenges DoT-...can testing prove AI car's safety? (9月21日付け EE Times)
→Department of Transportation(DoT:米国運輸省)が火曜20日、急速に変化する自動運転車技術を規制する州法patchworkの取り組みを試みる新しい政策を披露の旨。さらに重要なことに、これらのガイドラインは自動運転車を連邦regulatorsの権限のもとに直接置いている旨。

◇Topic Teardown: Fed's Robo-Car Policy (9月28日付け EE Times)
→Department of Transportation(DoT:米国運輸省)が、新ドキュメント、“Federal Automated Vehicles Policy”(116ページ)について自動車メーカーのコメントを求めている旨。

各社別では、NXPの中国において標準化を図る取り組みである。

◇NXP establishing security standards for smart cars in China (9月29日付け DIGITIMES)
→NXPが最近の中国での技術フォーラムにて、cross-sectorコラボでの中国におけるsmart cars用セキュリティ標準構築に向けたallianceなど重要なコラボを発表の旨。NXPは、China Auto Security CIGを設けるためにChangan AutomobileおよびNeusoftとコラボしている旨。

第5世代移動通信システム、5Gについて、自動車、テレコム、そして半導体と、業界間連携が打ち上げられている。

◇Carmakers, Telecom Players Join Forces on 5G (9月28日付け EE Times)

◇Cross-industry alliance targets 5G development (9月28日付け EE Times India)
→自動車メーカー、Audi, BMWおよびDaimlerが、テレコム装置プロバイダー、Ericsson, HuaweiおよびNokia並びに半導体ベンダー、IntelおよびQualcommと連携、connected mobilityに向けた通信ソリューションを進化、テストそして推進していく旨。該活動は、5Gモバイル技術の展開に重点化する旨。


≪市場実態PickUp≫

【またも大型M&Aの動き?】

NXPおよびQualcommの両社についても、IoTはじめ直近の取り組みを以下の通り、発表直前に見ていたところである。

◇NXP introduces low power ARM Cortex-A7 based processor to fuel growth of the IoT (9月27日付け ELECTROIQ)
→NXP FTF China(2016年9月28-29日:Shenzhen[深セン], China)にて、NXP Semiconductors N.V.がi.MX 6ULL applicationsプロセッサを正式に発表、最も近い競合よりもパワー効率が最大30%上回る旨。

◇Qualcomm Mobilizes in Embedded Processors (9月28日付け EE Times/Blog)
→Qualcommはembedded市場に遅れめである一方、かなりの設計者にアピールするいくつかの興味深いattributesをもたらしている旨。embeddedでQualcommを標準的に支持するのはSnapdragon 410であり、すでに開発ボード、Dragonboard 410cがあり、distributor、Arrow Electronicsがサポートの旨。最新の発表で変わったこととして、Qualcommは新しいSnapdragon 410eについてlife time commitmentを5年から10年に延ばしている旨。

木曜29日の米国各紙に、本件事情通筋からとして、Qualcomm(米国)がNXP Semiconductors(オランダ)を$30 billion以上で買収する話し合いを行っているとする記事が以下の通りである。またも大型買収で、半導体ランキングのインテル、サムスンに続く第3位になってくるということで、今後の成り行きに注目である。

◇Q'comm, NXP Discuss Merger, Say Reports-Deal could be largest in historic M&A rush (9月29日付け EE Times)
→複数のpress報道発。Qualcommが、NXP Semiconductorsを$30 billion以上で買収する話し合いを行っている旨。これを受けてNXPの株価が約15%上がり、時価総額が約$33 billionと見積もられる旨。該取引が進んでいけば、半導体の統合の歴史の上で最大級の1つになる旨。NXP自体、昨年12月にFreescale Semiconductorsとの合併を完了、$40 billion規模の旨。
IC Insightsによると、2社が一緒になると年間売上げ約$27 billionでTSMCと半導体メーカー世界第3位を競うことになるが、約$40 billionの第2位Samsungには大きく下回る旨。

◇Qualcomm Is Said to Be in Talks to Buy NXP Semiconductors-Qualcomm reportedly discussing $30B deal to buy NXP (9月29日付け The New York Times)
→ある事情通筋発。Qualcommが、ライバルの半導体メーカー、NXP Semiconductors買収に向けて話し合っており、$30 billion以上規模の取引の旨。NXPの株価が木曜29日16.9%上げる一方、Qualcommの株価は6.3%上がった旨。

◇NXP Semiconductors explores sale to Qualcomm: sources (9月29日付け Reuters)
→本件事情通2つの筋発。NXP Semiconductors NVが、Qualcomm社への自らの売却を模索、$30 billion以上規模の取引の旨。

◇クアルコム、NXPセミコンダクターズ買収を協議=関係者 (9月30日付け The Wall Street Journal 日本版)
→米半導体大手、クアルコムがオランダのNXPセミコンダクターズの買収を協議している旨。合意がまとまれば300億ドル余りの買収規模となる公算が大きく、再編が加速する半導体業界で新たな合併が実現することになる旨。協議を知る複数の関係者によると、2-3カ月内に合意する可能性がある旨。合意に達しない可能性も残されており、関係者の数人はクアルコムが他の買収案も検討していると述べた旨。

【先端プロセスが引っ張るファウンドリー業界】

専業ファウンドリー業界の2016年販売高について、微細化プロセス水準別の内訳がIC Insightsにより分析されている。先端sub-40nmは23%増と伸びる一方、40nm-and-aboveではフラットという見方になっている。

◇Leading-edge leads the way in pure-play foundry growth (9月28日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが最近リリースしたSeptember Update to the 2016 McClean Report発。

◇<40nm processing drives foundry sales-Advanced processing - processing at 40nm or below - accounts for half the revenues at TSMC and GloFo, says IC Insights.-Foundries get half of sales from <40nm chips (9月28日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。TSMCの2016年売上げの54%そしてGlobalFoundriesの同52%が、40-nm以降の半導体製造となる旨。SMICの28-nm半導体製造は昨年第四四半期以降となっている旨。

◇Leading-edge leads the way in pure-play foundry growth, says IC Insights (9月28日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2016年の専業ファウンドリー販売高の伸びが、ほぼもっぱらsub-40nm feature sizeデバイスからくる見込み、先端sub-40nm専業ファウンドリー市場が2016年23%と急増する旨。対照的に、40nm-and-above専業ICファウンドリー市場は2016年フラットの見込み、今年の専業ファウンドリー販売高全体の60%の位置づけの旨。該分野を引っ張るTSMCは、2016年売上げの約54%がsub-40nm処理となる見込みの旨。

TSMCそしてUMCと、専業ファウンドリーが大きく引っ張る台湾の半導体業界であるが、業界団体のTSIAから今年の読みが次のように表わされている。

◇Taiwan IC industry to increase 7% in 2016, says TSIA chairman -Forecast: Taiwan's IC output value to hit $75B (9月30日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)のchairman、Nicky Lu氏。台湾のIC業界の2016年のoutput valueが$75 billionとなる見込み、一方、グローバルIC業界は2.4%減の$327 billionの旨。台湾は2016年の世界IC業界output valueの約23%を占める見込み、その比率は引き続き高まっていく旨。

【PC関連上昇の気配】

低迷、低下の基調が続いているパソコン需要、そしてDRAM価格に復調の兆しが、以下いくつかの切り口で見られており、第四四半期に盛り返す読みとなっている。

◇SK Hynix spike amid rebound in DRAM prices and market outlook-Rising DRAM prices buoy outlook for SK Hynix (9月23日付け Maeil Business Newspaper (South Korea))
→観測筋が特に言及、今年のDRAM半導体の価格上昇が、SK Hynixの株価および市場見通しを強めている旨。

◇Rising notebook demand causing shortages in many components (9月26日付け DIGITIMES)
→上流supply chain筋発。予想より力強いnotebooks需要そしてnotebookコンポーネントサプライヤが出荷について固いことから、パネル, 電池およびsolid state drive(SSD)などコンポーネントのいくつかが不足に陥っている旨。

◇Samsung Electronics' Q4 earnings likely to recover-Samsung earnings to bounce back in Q4, analysts say (9月27日付け The Korea Herald (Seoul))
→ある何人かのアナリスト発。250万台のGalaxy Note7機回収の後の第四四半期に、Samsung Electronicsの収益が戻す可能性、operating profitsが第三四半期の回収の前の予想から5.3%減っていくが、次四半期の力強い半導体売上げが高める可能性の旨。

◇Samsung Electronics' earnings expected to rebound in Q4 (9月27日付け Yonhap News Agency (South Korea))

DRAMのスポット価格の推移にも久方の高値があらわれる現時点である。

◇DRAM価格、11カ月ぶり高値、パソコン用スポット (9月29日付け 日経)
→パソコン用DRAMの市場で、指標品のスポット(随時取引)価格が上昇、DDR3型の4ギガビット品は28日、1個1.94〜2.09ドルで取引された旨。9月最終週に高値が2ドルを超え、中心値は2ドル超と11カ月ぶりの高値。中華圏で休暇となる国慶節や、クリスマスといった消費が盛り上がる時期を控え、ゲーム専用パソコン向けの需要が拡大している旨。

◇DRAM spot prices hit 7-month high, says DRAMeXchange (9月30日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。DRAMスポット市場価格が7ヶ月ぶりの高値、9月始め以降10%超の上昇、4Gb DDR4半導体が$2.02に達している旨。サプライヤの大方が技術移行を進めたり、capacitiesのより多くをモバイルDRAMなどnon-PC製品の生産に引き続き充てており、スポット価格が上昇している旨。

【中国半導体業界アップデート】

国慶節の連休に入る中国であるが、同国半導体業界について2点。まずは、また新たな300-mm fab建設の発表予定である。

◇China HLMC to build new 12-inch fab-Sources: Another 12-inch fab is planned for China (9月26日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Shanghai Huali Microelectronics Corporation(HLMC)が、同社2番目の12-インチ工場の建設を2016年末までに発表予定の旨。HLMCのこんどの12-インチ拠点は、2018年に28-nmプロセス技術による半導体の量産に備えており、MediaTekなどがHLMCの新しい12-インチfabの当初の顧客となって12-インチウェーハ40,000枚/月の能力の旨。

国家計画のもと急速に展開している中国の半導体業界について、4つのIC業界clustersが形成されているという見方である。

◇Four IC Industry Clusters Have Emerged in China, TrendForce Reports (9月26日付け CTIMES)
→TrendForce発。中国の第13次5ヶ年計画(2016〜2020年)の初年で新たな推進力を得ている中国の半導体分野、政府からの政策活動および投資から4つのIC業界clustersが形成されている旨。次の通りそれぞれ中国の4つの主要活動地域に位置している旨。
 Yangtze River Delta:揚子江デルタ地帯
 Pearl River Delta:珠江デルタ地帯
 Beijing-Tianjin Bohai Sea(渤海)地域
 Central-Western地域

【3D NAND増強揃い踏み】

当面の半導体市場を支える1つとして3D NANDフラッシュメモリの生産展開・増強がサムスンそして東芝先行の形勢で進んでいるが、Micron TechnologyそしてSK Hynixから以下の通り揃い踏みの発表が続いている。

◇Micron expands Singapore NAND flash memory fab facility-Chipmaker has completed expansion works on its NAND flash memory fabrication facility, estimated to cost US$4 billion "over a number of years".-Micron completes $4B expansion of Singapore fab (9月26日付け ZDNet)
→Micron Technologyが、シンガポールの同社NANDフラッシュメモリ製造拠点の拡張完了を発表、約255,000平方feetのクリーンルームの空間を該工場に加えるプロジェクトであり、当初見積もり費用が$4 billionの旨。
「この拡張はMicronのグローバル戦略の重要な1つ、ストレージ業界は効率、capacityおよび性能を上げるために3D NANDに移行している」と、同社CEO、Mark Durcan氏。

◇SK hynix gears up for mass production of new NAND chip -Sources: SK Hynix moves closer 3D NAND with 48 layers (9月27日付け The Korea Herald (Seoul))
→業界筋発。SK Hynixが、48 cell層の3D NANDフラッシュメモリデバイスの開発完了間近であり、今年量産化の予定、同社のNANDフラッシュ生産数量の半分以上を占めていく旨。


≪グローバル雑学王−430≫

外務省で事務方トップを務め、現在は立命館大で若者と向き合って真にグローバルに世界に羽ばたくことを願う著者による書、

『世界に負けない日本 −国家と日本人が今なすべきこと』
 (薮中 三十二 著:PHP新書 1045) …2016年5月27日 第一版第一刷

に目を通してきたが、今回で読み納めとなる。日本外交のあるべき姿を対峙する各国別に見てそれぞれ今時点の動き推移の生々しいインプットもあり、逐次考えさせられたが、最終の今回は、著者が現在主催している『薮中塾グローバル寺子屋』の講演会よりグローバルに身一つで活躍する講師の方のプレゼン、および学生との質疑内容が示されている。グローバル世界で堂々と渡り合う若者の輩出が期待されている。


特別編 『薮中塾グローバル寺子屋』公開講演会を紙上再現

・(著者は、)月に1回、大学の授業とは別に、薮中塾グローバル寺子屋という勉強会を開催
 →塾生の自主性を重んじながら活動、年々新しい人が入ってくることで進化、真のグローバル人材が育つ場になればとの願い
・年に1回、公開イベント、最近では2016年2月24日に記念講演会
 →講師:特定非営利活動法人 日本紛争予防センター(JCCP) 理事長 瀬谷ルミ子氏
  演題:「私たちのその先〜世界に挑む若者へのメッセージ〜」
  (注) 瀬谷氏略歴…ウィキペディアより
     日本紛争予防センター(JCCP)の理事長。世界の紛争地の復興、治安改善、兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)が専門。
     群馬県桐生市生まれ。群馬県立前橋女子高等学校、中央大学総合政策学部卒業。ブラッドフォード大学紛争解決学修士号取得。
・(著者は、)国という組織に守られ、国の代表として外交の席に。瀬谷氏の場合、何もお膳立てされていない状況のなか、身一つで紛争地の諸問題に対峙。

1 瀬谷ルミ子氏による講演のあらまし

・かれこれ15年以上、紛争地で働く仕事に従事
・この話には二つのキーワード、「選択肢と行動」
・(瀬谷氏の)専門は、紛争解決と平和構築

■紛争解決の仕事とは?
・社会状況が破綻しているような国や紛争が長年続いているような国では、法律や警察が充分に機能していない
・日本紛争予防センターが行う平和構築の一部として
 →警察の力が弱かったら警察をきちんと育てる
 →紛争解決ができる人材を育成、非暴力な社会となる仕組みづくりをする

■今の仕事を志すきっかけになった一枚の写真
・(瀬谷氏の)両親は国際的なつながり、縁はなく、自分だけこういう世界で仕事
・小学生ぐらいの頃から、自分は他の子がやっていないようなことをやらないと生き延びていけないのでは、と徐々に考えるように
・英語にすごく興味、ところが、英語プラスアルファがないといけない
・ある時、地元の新聞で見た一枚の写真
 →21年前にアフリカのルワンダで起きた民族対立の犠牲者の写真
 →紛争地で働く仕事をしようと志す。高校3年生の春のこと。
・これだと思うことにそのまま突き進むのが、その後の(瀬谷氏の)生き方に

■ルワンダでの、何もできなかった経験
・20才の大学3年生の時に1ヶ月ルワンダ行き
 →それまでの人生のなかで重要な転機に
・ルワンダには英語とフランス語のバイリンガルが山ほどいるし、みんなが使っているのは現地語
 →現場で役に立ちたいと言うのだったら、そのためのスキルを身につけなければならないことに気づく
・帰国後、ルワンダに支援をするNGOでインターンとして働いた
 →事務作業やニュースレターを発行するといったことが一人でできるように

■がむしゃらに仕事をすることが、その次の進路につながる
・大学卒業後、紛争解決について専門的に学べるイギリスのブラッドフォード大の大学院に進学
 →最初の専門として選んだのが、元兵士や元子ども兵を社会復帰させるという武装解除の仕事
・シエラレオネの国連PKOに国連ボランティアとして、その後も外務省の外交官になったり、いろんな現場で仕事
・今、目の前にある仕事に真摯に取り組むことで、その次のキャリアにつながる信頼関係が生まれることが多い

■支援が現地に与える危険性とは?
・武装解除とは
 →軍から除隊させて兵士以外の仕事ができるように職業訓練や教育支援、一般市民として生きていけるようにするという支援
・自分たちがやっていることは「加害者の方が得をする」という価値観を社会に植え付けるようなことなのではないかという違和感に
 →30才になる前に国連を辞めて日本紛争予防センターで働くことに
 →辞めた理由としてもう1つ、現場にいてよく聞いた日本に期待する声
  …戦後復興を成し遂げた日本にノウハウを教えてほしい

■グローバル人材とは?
→「ボーダレスに活躍できる人」
 →国境だけではなく、分野や組織間の区分を越える
 →本当にしがらみなく活躍できる強さとスキルを持っている人
・まず「自分は身一つでなにができるんだろう」という考え方をしないと役に立つことはできない
 →今の時代、これからの時代に求められる人材

■自衛の重要性――自分だけの問題ではない
・現在、日本紛争予防センターではアフリカと中東で活動
 →例えばソマリア、日本大使館もなく、現地の大臣と直接会い協議をしたりも
・現地は当然危ないので、危機管理が必須
 →ソマリアで活動する時は、(瀬谷氏)一人に武装警官が4人付く
・海外に行く時は、自分が行くことで生じるリスクやデメリットも考えて、きちんと自衛を

■依存されることを避ける
・すべての活動で心がけているのは、最終的に現地の人たちが自分たちで社会の問題を解決できるような人材を育成すること
 →あれもこれも無条件に提供し続けてしまうと、現地の人たちが立ち上がる自立の芽を摘んでしまうことになりかねない
・現地の若者たちを育成することで、いなくなったあとも活動を続けられるように
 →現地の人たちだけで回していけるから大丈夫と思えた瞬間が一番やり甲斐

2 学生を交えた意見交換の模様

・瀬谷氏、著者、塾生や聴衆を交えたやりとりの一部をここに
・社会問題に無関心な層にも何か関わってもらえるようにするにはどうすべきか
 →関心を持ってもらう入り口を増やすため、それぞれ共感を生みやすいアプローチを用意することが重要
  …さまざまな選択肢を提示

■企業に勤める人が国際問題に貢献できることとは?
・具体的な例
 →CSR(企業の社会的責任)担当を務めている方が、自分が共感する団体への支援を社内に呼びかけ
 →NGOでは、広報や財務、IT系のノウハウが不足
  →企業で培った人がボランティアに

■ボーダレスに活躍できる人の共通項とは?
→瀬谷氏の答え…「フェアな物言いで言うべきことは言いつつ、不必要な敵は作らず、均等な関係づくりができるコミュニケーション力とバランス能力が高い人」
 →異なる文化や価値観を持った人々を取りまとめる人材

■理論を学ぶことの意義とは?
・大学院で学んでよかったこと
 →さまざまな国から来た同級生と意見を活発に交わせる環境に身を置けた
 →自分のなかで理論や知識を組み立てる訓練ができた
・(著者が)本書で繰り返し述べている、グローバルな場で発言する際には、ロジック力が不可欠ということとも通ずる話

■生きた学問を教育現場に持ち込む
・現場で実践しているものが最先端。教育が持っている知識やノウハウは一回り遅くなる
・参加者との相互作用や教え合いを日々積み重ねて、そこで得た知識を次のプロジェクトに生かす
 →学問で学んだ理論よりも、現場経験をもとに動いたり判断したりすることが多くなる

・これからの日本は、特に日本を担っていく若者たちは、どうしても海外と向き合わざるを得ない
 →自分はこう考えているということが言えないと相手にしてもらえない
・「肩書き」なしでボーダレスに活躍できる人材が育っていくことを願う

≪あとがき≫

・(著者は、)若者と向き合う日々を現在送っている
 →行く先や仕事は各々に異なるが、多くの若者が世界を目指している。しかも、自然体の者が多い
・あらためて、日本の現状を見つめ直すと、逆に大いに心配が増してきた
 →日本社会は相変わらず、何事も形にはめようとしている
・これからの日本に期待することは、一人でも多くの若者が「個」を際立たせ、グローバル化対策の装備を身につけ、世界に羽ばたいていくこと
・日本にとっての最大の安全保障上の課題は、少子高齢化
 →真正面からこの課題に取り組もうとしていないのが今の日本
・国家が少子高齢化問題に本格的に取り組み、同時にグローバル世界で若者が堂々と渡り合えば、日本の未来も明るくなっていく
 →そうした日本となるように願いつつ

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