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新分野・新市場開拓に向かう現時点:規制、連携、路線構築の動き

新技術を駆使した新分野・新市場の開拓が、グローバルに展開、続いていることが、現下のエレクトロニクス・半導体業界の大きな流れとなっており、昨年桁外れに拡大したM&A(企業の合併・買収)とともに絶えず注目しているところである。自動運転車に向けた米国での規制の検討、インド市場開拓に向けた連携の動き、そして産業用IoT(IIOT)のcybersecurity問題の検討はじめ具体的な路線構築を図る各社・機関の取り組みをほんの目についた範囲ながら現時点として追っている。

≪高信頼の実用化に向けて≫

自動運転車について、米国政府の取り組みが以下の通り見られている。国としての一元化を図る狙いとなっている。

◇U.S. may seek power to pre-approve self-driving car technology (9月19日付け Reuters)
→Obama政権が月曜19日、自動運転車に向けた技術を道路に出る前に見直して承認する権限探求を考えており、米国各州は別々の規則を置くべきではない旨。

◇Robo-Car's Safety Challenges DoT-...can testing prove AI car's safety? (9月21日付け EE Times)
→Department of Transportation(DoT:米国運輸省)が火曜20日、急速に変化する自動運転車技術を規制する州法patchworkの取り組みを試みる新しい政策を披露の旨。さらに重要なことに、これらのガイドラインは自動運転車を連邦regulatorsの権限のもとに直接置いている旨。

一方では、車載システムへの侵入を試みる動きが以下の通り示されている。
善良な目的に活かす技術を追求するホワイトハッカーの本来の使命に期待である。

◇Chinese engineers hack Tesla Model S (9月21日付け EE Times India)
→Tencent Holdings(深セン)傘下、Keen Security Labのwhite hat hackersが、Tesla Model S制御システムに侵入、方向指示灯、ブレーキ、座席位置およびドアロックをいじり回した旨。

課題の多いインド半導体市場については、連携の取り組みに注目させられている。NXPはstartupsとの連携を謳っている。

◇NXP India hopes 10-fold growth in contribution from startups-NXP India to grow IC business through IoT, wearables startups (9月19日付け Business Standard (India)/Press Trust of India)
→オランダの半導体メーカー、NXPが、インドでの革新を推進する新しい戦略のもとstartupsの同社インド事業への向こう3年で10倍増の寄与を期待の旨。

Qualcommは台湾メーカーとの連携による開拓に期待を賭けている。

◇Qualcomm eyes growth opportunities in India-Qualcomm sees chip design opportunities in India (9月21日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Qualcomm Technologies社のpresident of Asia-Pacific and India、Jim Cathey氏は、インドにおいて台湾メーカーと協力した半導体およびシステムレベル設計、技術およびソフトウェア開発の大きな成長機会が得られると期待している旨。現状の台湾における関係にテコ入れ、インドでの機会を実現する助けにしたい旨。

そのインド市場、半導体製造fabの構築が長きにわたって難航しているが、また新たな動きが見られている。

◇Next Orbit to invest $100 million in Gujarat-based semiconductor project-The investment is being made out of Next Orbit Ventures's second fund focused on electronic system design and manufacturing(ESDM) sector-Investor to put $100M into wafer fab project in India (9月20日付け LiveMint.com (India))
→Next Orbit Venturesが、Gujarat, Indiaでの半導体製造プロジェクトに$100 million投資、インド政府が数週間内に該プロジェクトのさらに情報をリリース予定の旨。

様々な路線構築の動きがグローバルに展開されているが、その現時点を以下取り出している。産業用IoT(IIOT)について、米国政府機関によるcybersecurity問題についての業界への打診である。

◇NIST Seeks Comments on Cybersecurity Reports (9月19日付け EE Times)
→米国・National Institute of Standards and Technology(NIST)が、industrial IoT(IIOT)ユーザに向けたcybersecurity問題についての次の2つのレポート原案を最近作成、最終版にもっていく前に業界のコメントを求めている旨。
 1. NISTのCybersecurity Frameworkに向けた製造profile案
 2. resource-constrainedプロセッサに向けた暗号法標準および実践

IIOT gatewayモジュールの展開が次の通りである。

◇IoT development kits come with ARM or Atom-Embedded systems supplier Eurotech has introduced a range of IoT development kits for industrial applications.-Eurotech adds IoT design kits for ARM, Atom processors (9月19日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Eurotechが、internet of things(IoT) gatewayモジュールの同社ReliaGateラインに3つの新しいモデルを投入、低電力ARM-ベース半導体あるいは高性能Atomプロセッサを特徴としている旨。3つのIoT開発kitsすべてに、Everyware Software FrameworkミドルウェアおよびEveryware Cloudサービスに向けた無料試行accountが含まれる旨。

machine learning、deep learningに向けた課題提起並びに開発が、以下の通り続いている。

◇Plugging Holes In Machine Learning-Part 2: Short- and long-term solutions to make sure machines behave as expected.-Machine learning requires education for system designers (9月19日付け Semiconductor Engineering)
→システム設計者およびelectronic design automation(EDA)ベンダーは、machine learning技術を取り入れる上で新しい課題に対応している旨。
「範囲を限らなければならず、さもないと非常に大きな問題となる」と、eSiliconのマーケティングvice president、Mike Gianfagna氏。

◇Startup Tips Machine Learning Chip-Wave Computing aims to leapfrog Nvidia in AI-Analyst: Wave unveils a speedy machine learning chip (9月21日付け EE Times)
→来週のLinley Processor Conference(2016年9月27-28日:Santa Clara, CA)にて、startup、Wave Computing(Campbell, Calif.)が、NvidiaのトップGPUsより10倍高速にneural networksを働かせる一方、消費電力は同じという半導体をプレゼンする旨。

◇IBM shows how fast its brain-like chip can learn-IBM benchmarks the deep-learning capabilities of its TrueNorth brain-like chip and concludes it's faster and more power-efficient than today's GPUs and CPUs-IBM touts deep learning by its TrueNorth chip (9月22日付け Computerworld/IDG News Service)
→IBMのTrueNorthプロセッサが、学習作業で人間の頭脳に匹敵する目標に近づいている一方、他のcomputer半導体より消費電力が少ない旨。

◇Fujitsu streamlines GPUs to double deep learning accuracy-Fujitsu trims GPU internal memory for machine learning (9月23日付け Electronics Weekly (U.K.))
→富士通研究所が、神経ネットワークスをサポートするためにGPUsの内部メモリを合理化、machine learningの精度を倍にする開発の旨。

台湾でのphotonicsに向けた取り組み、そして中国では政府支援のMEMS製造fabの動きである。

◇Taiwan Photon Source inaugurated (9月20日付け DIGITIMES)
→台湾・National Synchrotron Radiation Research Center(NSRRC)が19日、3 billion electron voltsのエネルギーおよび518mの円周を特徴とする光源搭載synchrotron radiation facility、Taiwan Photon Source(TPS)の稼働を開始する式典を開催の旨。Ministry of Science and TechnologyがNT$7 billion($219 million)を投資、NSRRCは2010年2月にTPSの建設を始めた旨。

◇China SITRI 8-inch fab ready for MEMS manufacturing (9月21日付け DIGITIMES)
→中国政府が支援するShanghai Industrial Technology Research Institute(SITRI)には、MEMS部品製造を特に目指した8-インチウェーハfabがあり、2017年第二四半期に量産予定の旨。商用で生産される最初の製品は圧力センサであり、加えて該fabは、wearableなどIoT-関連半導体およびセンサデバイスに向けていわゆる"More-than-Moore"技術の供給に専心する旨。

TSMCが技術イベントにて、今後10年の高性能・小型化に向かう"3D x 3D時代"を提唱している。

◇TSMC Expands its 3D Menu-Options ‘slice across tech barriers’-TSMC offers more 3DIC options in its portfolio (9月22日付け EE Times)
→TSMCがSAN JOSE, Calif.でのイベントにて、7-nmに至るFinFETプロセス並びに3D実装選択肢の拡大についてプレゼン、「我々は3D x 3D時代に入ってきており、向こう10年に及ぶもの」と、TSMCのchief technologistでR&Dのvice president、Jack Sun氏。同社は、年末前に10-nmプロセスを量産化、4月までに7-nmプロセスに向けた注文を受ける備えの旨。同氏は、Appleが現在A10 Fusion SoCで用いているとしているいわゆるInFO stacksについて2つのvariantsを準備中と示し、異なる用途に向けた他の3D実装選択肢のいくつかを述べた旨。

最後に身近なところで家庭用のスマート・スピーカーである。

◇Amazon Echo & How It Resonates (9月22日付け EE Times)
→人工知能を搭載したスピーカーで、 話しかけて操作する家庭用のパーソナル・アシスタント・デバイスである米アマゾンのAmazon Echoの第2世代Echo Dotが、来月米国市場で発売、第1世代版の$89.99から$49.99に価格を下げている旨。


≪市場実態PickUp≫

【ARMのCortex-R52プロセッサコア】

ソフトバンクグループ傘下となった英国のARMが、車載、医療、産業用など安全性が改善されるCortex-R52プロセッサコアを披露、世界の業界各紙それぞれの取り上げ方、表わし方が見られている。

◇ARM Raises Bar for Safety, Determinism (9月19日付け EE Times)
→ARMが、"安全性に向けて最先端"とする新しいプロセッサ、Cortex-R52を展開、機能安全性を求める車載、産業およびヘルスケア応用を狙っている旨。該新Cortex-R52プロセッサの根本アーキテクチャーは、ARM v8-Rである旨。

◇ARM Launches New Chip Design for Automotive, Health and Robotics-ARM targets safety in cars, factories, health care (9月19日付け Bloomberg)
→ARM Holdingsが、車載electronics、医療用機器および産業用装置の安全性を改善するようにした設計、Cortex-R52プロセッサコアを披露の旨。
「機械と人間の相互作用から生命あるいは手足を失う危険があるどこでも、これがほしくなる」と、ARMの製品マーケティングvice president、John Ronco氏。

◇ARM's braking chip will help keep you safe in autonomous cars-ARM's Cortex R52 chip will take charge of braking in autonomous cars (9月19日付け Computerworld/IDG News Service)

◇Cadence delivers tools for implementation and signoff of new ARM Cortex-R52 CPU (9月21日付け DIGITIMES)
→Cadence Design Systemsが、車載、医療および産業用などの市場での安全な応用に向けた複雑なembedded設計を目指す新しいARM Cortex-R52 CPU向けのCadence Rapid Adoption Kit(RAK)を発表の旨。

◇英アーム、エンジン制御半導体に進出、STマイクロ採用 (9月23日付け 日経産業)
→ソフトバンクグループ傘下の半導体設計会社、英アーム・ホールディングス日本法人(横浜市)が、自動車のエンジン制御用半導体に本格進出すると発表、スイスの大手半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスがアーム設計図を使ったエンジン制御用マイコンを開発、自動車部品メーカー大手に供給し、アームは車載分野市場でシェアを握る狙いの旨。エンジン駆動の役割を果たす設計仕様「コアテックス―R52」の供給を始めた旨。

【iPhone-7関連】

AppleのiPhone-7発表、発売の余韻が続いており、搭載のA10プロセッサにはTSMCのIntegrated Fan-Out(inFO)実装技術が施されていると確認されている。

◇System Plus Consulting confirms: Apple A10 processor uses TSMC's inFO technology (9月21日付け 3D InCites)
→System Plus Consulting(Nantes, FRANCE)が、AppleのA10プロセッサ実装で用いられたTSMCのIntegrated Fan-Out(inFO)技術についてのレポートを向こう数週間でリリースする旨。最新のApple iPhone 7搭載のApple A10プロセッサは、前世代のA9に比べて高い性能、高い熱分散、大きな面積、電力消費が低く、そしてずっと薄い旨。AppleおよびTSMCからのこの3Dコンポーネントは、SamsungのDRAMメモリおよびinFO viasも含めてfan-out package-on-package(PoP)構成でstackされたcentral processing unit(CPU)を統合している旨。該パッケージはまた、passiveコンポーネントの革新的な統合を盛り込んでいる旨。

bill of materials(BOM)コスト解析が行われており、昨年のiPhone 6Sを上回る以下の結果となっている。

◇iPhone 7 materials costs higher than previous versions, IHS says (9月21日付け DIGITIMES)
→IHS Markitからの評価速報。32GBのNANDフラッシュメモリを搭載したiPhone 7のbill of materials(BOM)が、材料コストで$219.80となる旨。
基本製造コスト$5を加えてiPhone 7製造全体コストは$224.80となる一方、32GB iPhone 7の助成なし価格は$649である旨。この全体コスト速報値は、2015年12月にIHSが発行したiPhone 6Sの最終解析を$36.89上回る旨。

◇iPhone 7 materials costs higher than previous versions (9月22日付け ELECTROIQ)

AppleのiPhone-7に向けた半導体発注が今後どうなるか。発表前多めのスタートの反動もあるのか、2017年第一四半期には落ち込む見方が出てきている。

◇Chip orders for new iPhone to fall in 1Q17, sources say (9月23日付け DIGITIMES)
→アナログ半導体サプライヤによる見積もり評価。iPhone 7/7 Plusについての半導体発注が、2017年第一四半期に前四半期比約20%落ちる様相の旨。Appleは製造パートナーに対して、2016年第三四半期にiPhone 7/7 Plus合計50 million台分のICsを備えるよう要請、第四四半期はさらに45 million台分となっており、2017年第一四半期についての見積もりは35-37 million台に減っている旨。

【MediaTekの動き】

台湾の半導体設計大手、MediaTekの動きがいくつか目についている。まずは、Sprintのhandsetへの同社半導体初めての搭載である。

◇Taiwan's MediaTek scores chip in Sprint's latest smartphone-Sprint smartphone has a MediaTek chip for the first time (9月16日付け VentureBeat)
→Sprintが出そうとしている新しいLG X powerスマートフォンには、MediaTekのHelio P10チップセットが入っており、MediaTekの半導体がSprint handsetに搭載されるのは初めての旨。

◇Sprint intros MediaTek-powered smartphone (9月19日付け DIGITIMES)
初めてが続いて、Samsung Electronicsからの受注獲得となっている。コスト対応を迫られての発注という見方である。

◇MediaTek wins Samsung orders for the first time-Samsung places first chip orders with MediaTek (9月21日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→中国向けモバイル半導体の世界最大サプライヤ、MediaTekが、Samsung Electronicsから初めての受注獲得、価格圧力が高まる中での競合対抗に迫られる背景の旨。

先端high-endの取り組みとして、10-nm半導体の展開が以下の通り表わされている。

◇MediaTek likely to roll out 2 10nm chip versions, says report (9月22日付け DIGITIMES)
→中国語・Economic Daily News(EDN)発。MediaTekが、同社10-nm半導体の2つのバージョン、high-endスマートフォン用Helio X30およびlower-end分野用X35の展開を考えている旨。MediaTekは、Helio X30-シリーズSoCsについて2016年末から2017年始めの間に予定通り量産に入る旨。それにも拘らず同社は、mid-およびhigh-endで必ずしもflagshipでないスマートフォンに向けて設計された別の10-nmシリーズを備える可能性を評価している旨。

【M&A関連】

間断なく続くM&A関連の動きとなっているが、完了の案件として、ON SemiconductorのFairchild買収が以下の通り挙げられている。

◇ON Semiconductor Completes $2.4 Billion Acquisition of Fairchild-China clears ON's $2.4B buy of Fairchild; deal now closed (9月19日付け Electronics360)
→ON Semiconductorが月曜19日、Fairchild Semiconductor Internationalの$2.4 billion買収を完了、中国・Ministry of Commerceが該取引を承認、両社が買収に合意してから10ヶ月の旨。「Fairchild買収は、広範囲の応用および末端市場に向けたpower managementおよびアナログ半導体ソリューションのpremierサプライヤになるという願いの変化を起こすステップである」と、ON SemiconductorのCEO、Keith Jackson氏。

◇ON completes Fairchild acquisition following China approvals-ON has completed its previously announced $2.4 billion cash acquisition of Fairchild. (9月19日付け Electronics Weekly (U.K.))

新たなものとして、中国のShanhai Capitalが米国のAnalogix Semiconductorを$500 million以上で買収する打ち上げが行われている。

◇Shanhai Capital acquires Analogix Semiconductor for $500 million-Analogix agrees to $500M purchase by investors (9月22日付け VentureBeat)
→Analogix Semiconductor(Santa Clara, CA)が、Beijing Shanhai Capital Managementおよび投資家コンソーシアムによる$500 million以上の買収に合意、今年後半までに取引完了予定の旨。Analogixの顧客として、Apple, Dell, Google, Lenovo Group, LG Electronics, MicrosoftおよびSamsung Electronicsなどの旨。

◇Shanhai Capital snaps up semiconductor firm Analogix in $500 million deal-The firms hope the merger will result in accelerated growth and expansion into new markets. (9月23日付け ZDNet)

◇Shanhai Capital to acquire Analogix Semiconductor (9月23日付け ELECTROIQ)

◇Shanhai Capital to acquire Analogix Semiconductor (9月23日付け DIGITIMES)
→中国のBeijing Shanhai Capital Managementが、Analogix Semiconductor(Santa Clara, CA)との合併合意に入った旨。該合意のもとShanhai Capitalが率いるコンソーシアムが、Analogixの発行済株式すべてを$500 million超で買収する旨。China Integrated Circuit Industry Investment Fund Co.(China IC Fund)もShanhai Capitalの資金にlimitedパートナーの1つとして参加の旨。SlimPort製品ファミリーを擁するAnalogixは、DisplayPort標準に向けたend-to-endインタフェースconnectivity半導体ソリューションの主要プレーヤーである旨。

昨年吹き荒れたM&Aの嵐ほどではないにしても、今年もソフトバンクのARM買収はじめ結構な規模、件数が思い浮かんでくるが、データではどうなっているか。IC Insightsより今年は昨年に次ぐ2番目のM&Aの年と、以下の通り表わされている。

◇2016 a sequel to last year's M&A mania (9月21日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが最近リリースしたSeptember Update to the 2016 McClean Reportから、半導体業界のmerger and acquisition(M&A)現況について。
昨年の過熱して史上最高、圧倒的な規模の$103.8 billionから、本年、2016年は余波が続いて9月半ば時点の累計で$55.3 billionとなっている旨。昨年の1-9月累計は約$79.1 billion、本年を43%上回っている旨。

◇Value of semiconductor industry M&A agreements already over US$50 billion, says IC Insights (9月23日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2015年の半導体merger and acquisition(M&A)合意の歴史的な急増を経て、その取引の熱烈なペースは最近まで緩和しているが、2016年はすでに半導体業界M&A発表について2番目に大きな年になっている旨。2016年第三四半期に3つの大きな取引が行われ、合わせて$51.0 billionの規模の旨。

【半導体製造装置8月BB比】

半導体製造装置業界のbook-to-bill(BB)比が、米国そして我が国とも1を上回る状況がこのところ続いている。3D NANDはじめ需要喚起の材料が働く見方となっている。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts August 2016 Book-to-Bill Ratio of 1.03 (9月15日付け SEMI)
→SEMIのAugust Equipment Market Data Subscription(EMDS) Book-to-Bill Report発。2016年8月の北米半導体装置メーカーの世界受注が$1.75 billion(3ヶ月平均ベース)、book-to-bill(BB)比が1.03。ここ半年の推移、次の通り(金額:USM$):

Billings
Bookings
Book-to-Bill
(3ヶ月平均)
(3ヶ月平均)
March 2016
$1,197.6
$1,379.2
1.15
April 2016
$1,460.2
$1,595.4
1.09
May 2016
$1,601.5
$1,750.5
1.09
June 2016
$1,715.2
$1,714.3
1.00
July 2016 (final)
$1,707.9
$1,795.4
1.05
August 2016 (prelim)
$1,708.1
$1,753.9
1.03

[Source: SEMI (www.semi.org), September 2016]

◇US fab-tool book-to-bill ratio stays above parity, says SEMI (9月19日付け DIGITIMES)

◇半導体製造装置、8月も需要超過続く (9月21日付け 日経)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)が20日、8月の日本製半導体製造装置のBBレシオ(3カ月移動平均の受注額を同・販売額で割った値、速報値)が1.18となり、9カ月連続で1を上回ったと発表の旨。


≪グローバル雑学王−429≫

グローバル化時代の日本外交はどうあるべきか、3回に分けてみてきた最終回は、前回から続いて北朝鮮、および北方領土問題が懸案のロシアについて、

『世界に負けない日本 −国家と日本人が今なすべきこと』
 (薮中 三十二 著:PHP新書 1045) …2016年5月27日 第一版第一刷

より我が国外交最前線を経験した目を通して考えていく。北朝鮮は連日のニュースが報じているように核開発の挑発をエスカレートさせる一方、ロシアとは安倍首相がプーチン大統領との首脳会談を積極的に進めている。まさにこれら今の問題への認識、心構えとして、以下示される駆け引きの経緯に注目している。


第3章 グローバル化時代の日本外交はどうあるべきか =3分の3=

4 北朝鮮の核開発にどう対処すべきか …前回より続く

■北朝鮮の行動パターンと、アメリカの戦略的忍耐
・北朝鮮の一連の行動の構図
 →1)アメリカの軍事的脅威を感じると、六ヵ国協議への参加など融和的態度
  2)その脅威が緩和すれば、核開発を再開、核実験までいく
  3)金融制裁というムチが効くと対話姿勢
  4)金融制裁が解除、アメリカの軍事的脅威も遠のいたと判断すると、再び核実験に

■機能しないアメリカの戦略的忍耐作戦
・オバマ政権は、北朝鮮の挑発に踊らされず、じっくりと対応するという方針
 →戦略的忍耐という名の政策のよう
・極めて問題と思われるのは、北朝鮮が濃縮ウランの開発を自ら認めたのに対し、まったく反応せず、これを黙認してきたこと
 →濃縮ウランによる核兵器開発が行われれば、能力が飛躍的に大きくなり、しかもその施設は地下にあるとみられ、外部からの攻撃が困難
・アメリカが戦略的忍耐で臨むのに対し、しびれを切らした北朝鮮が、時に米朝対話に応じる姿勢を示し、アメリカが応じてこないとわかると、核実験に踏み切った
 →これまでの展開
・アメリカが真剣に北朝鮮の核問題を見据えていない時に、中国が本格的制裁を行うことなどあり得ない
 →よほど追い詰められない限り、中国は危険を冒すことは考えられない
・北朝鮮への対応で事態が膠着するなかの韓国
 →開城(ケソン)工業団地の稼働中断を決定
 →米国の最新鋭地上配備型迎撃ミサイルシステム、THAADの配備に向け米国との協議を開始
  …THAAD(Terminal High Altitude Area Defense) missile
   =終末高高度防衛ミサイル
   →日本に配備されているパトリオットより高い高度で迎撃可
  →中国は強く反発

■安保理制裁強化の米中合意――中国の狙いは何か
・2016年2月23日、王毅中国外交部長が訪米、ケリー国務長官と会談、米中両国が「過去の決議を超える強い内容」の対北朝鮮制裁案に合意と発表
 →1)北朝鮮産の石炭・鉄鉱石の輸入制限
  2)北朝鮮貿易の貨物検査の義務化   など
 →従来の安保理決議より相当厳しいもの
・米中二国間合意というのは日本から見ればあまり愉快な出来事ではないかも
 →しかし、正確にその意味するところを理解する必要
・対北朝鮮制裁強化に合意した中国の狙いとして考えられる点
 →1)国際的な孤立の回避
   …「米国からの制裁強化の要望」をある程度満たしつつ、「北朝鮮の暴発回避」を確保する
  2)米中関係のさらなる悪化の回避
   …南シナ海での中国の活動に米国が強い反発、悪化することは避けたい
  3)THAADミサイルの配備阻止
   …北朝鮮の核実験とミサイル発射を契機にした推進に危機感
  4)南シナ海問題での中国の権益確保
   …習近平政権として絶対に死守する必要
 →3月のワシントンでの核セキュリティ・サミットに習近平国家主席が参加、米中首脳会談実施まで漕ぎつけた
・日本としては、冷静にこうした展開、とりわけ米中二ヵ国間の基本的な関係を見極め、外交を展開していく必要

■今こそ日本の果たすべき役割
・今こそ、東アジアの安全保障環境と北朝鮮の核開発がもたらす危機的状況を本格的に議論し、米、中、日、韓、露という五ヶ国で共通の認識を作り上げ、北朝鮮と向き合う必要
・何といっても北朝鮮は、生存に不可欠な物資と資金などを中国に依存
 →これらが完全に遮断される事態が予測されれば、核開発の停止も覚悟して対話の場に出てくると考えられる
・北朝鮮を加えた本格的六ヵ国協議を行うといった取り組みが不可欠に
 →今こそ日本がリーダーシップをとる必要

■拉致問題の解決を求めて
・北朝鮮が本気で拉致被害者の「包括的かつ全面的」な再調査をしようとしていたのか、北朝鮮の真の意図を正確に捉えることは極めて難しい
 →北朝鮮はその時々に、自ら何を欲し、そのためにはどこまで動き、譲歩するかを常に計算して行動しているとみられる
・引き続き北朝鮮に拉致問題の解決を厳しく迫るとともに、国際社会の協力も取り付けていくことが重要

■北朝鮮は今後どうなるか
・北朝鮮内部で今何が起こっていて、今後の北朝鮮はどうなっていくのか
 →貿易額総額:2004年 31.5億ドル → 2014年 76.1億ドル
 →国連安保理決議のもと、経済制裁がかけられているはずだが、核関連の貿易に限られており、実際にはこの10年間で貿易は大幅に拡大
  →北朝鮮の経済全体をみると厳しい状態にあることは間違いないが、一応の政権の安定を貿易増大が支えている模様
・2016年始めの核実験に続くミサイル発射
 →対外的には、米国に対して力を見せつけ、米朝二国間対話の開催を狙う
 →国内的に、金正恩第一書記の力を誇示することが重要な狙い
・日本としては、北朝鮮の状況を常に緊張感を持って見守っていく必要

5 日露関係――北方領土問題の解決を目指して

■北方領土に関する日本の主張の根拠
・(著者は)若い学生と話す機会が多いが、北方領土に対する関心が極めて低いことに驚かされる
 →尖閣や竹島については学生の間でも関心は高いが、北方領土問題は若者の間ではかなり風化し始めている
・日露の歴史をみれば、北方領土に関する日本の主張が正しいことは明らか
 →1855年、日露和親条約の合意
  …合意された国境線が択捉(エトロフ)と得撫(ウルップ)島の間
 →その後、日露間ではさまざまの交渉
 →1956年に日ソ間で平和条約交渉
  →この共同宣言は、当時のソ連が少なくとも歯舞、色丹両島を返還する用意があることを示した

■プーチン大統領との交渉は可能か
・日露の間でのキーワードは、「双方受け入れ可能な解決策」を見い出そうというもの
 →首脳の胆力と事務当局の知恵でそのような解決策を見い出してほしい
・領土問題交渉と並行して、東シベリア極東開発にも協力
 →win-winの形で進めるべき、政治の勇気ある決断が不可欠

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