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拡大一途の中国半導体市場の現況:国内外メーカー進出、製造装置

半導体業界の自立化を国家目標に掲げて邁進している中国の半導体関連市場の急激な拡大は、伝えられる節目ごとに驚かされる実態がある。TSMCの南京300-mm拠点、XMCの武漢メモリ工場など国内外の半導体メーカーの相次ぐ進出で、向こう5年間で5兆円規模の投資が見込まれている。2016〜2017年にかけて計画されている19件の半導体工場の新設・増強の着工のうち10件が中国での投資であり、直近四半期の半導体製造装置市場が前年同期比2倍になって台湾に次ぐ位置づけとなっている。急拡大の現時点と課題を追ってみる。

≪急拡大を取り巻く課題≫

中国での半導体メーカーの2020年までの投資総額が約5兆円と、以下の通り表わされている。中国の国家が主導するものと米国、台湾はじめ世界の半導体大手の拠点進出が合わさった形である。一方では、世界半導体市場の需給関係へのインパクトの懸念という課題が指摘されている。

◇Global chipmakers plan $50bn investment in China by 2020-Chipmakers' 5-year plan: Spend $50B on China fabs (9月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Nikkeiの調査。半導体メーカーが、向こう5年にわたる中国での生産capacity拡大に向けて$50 billionの投資を計画の旨。Tsinghua UnigroupがNANDフラッシュメモリデバイスおよびDRAMsを製造するためのWuhan(武漢), Chinaでのウェーハfab拠点に$24 billionを投入する一方、Intel, Samsung Electronics, TSMCおよびGlobalFoundriesがこぞって中国の拠点に向けた投資を計画している旨。

◇中国、国主導で半導体投資5兆円、5年間に −基幹産業へ 需給悪化の懸念も (9月11日付け 日経 電子版)
→中国で国内外の半導体メーカーが大規模な増産に乗り出す旨。現地大手の紫光集団が巨大メモリ工場の建設を打ち出すなど、少なくとも10カ所で新増設の計画がある旨。2020年までの5年間の総投資額は過去5年の2倍以上の5兆円規模に達する見通し、中国政府は半導体を基幹産業とするために国内企業の育成と同時に外資メーカーの投資も促している旨。世界的な増産計画と合わせて、半導体の需給悪化につながる可能性もある旨。

中国への拠点化を図る動きもいろいろな切り口で見られており、一例としてQualcommがAmkorと組んでの上海での半導体製造サービス供給である。

◇Qualcomm Communication Technologies opens in Shanghai for semiconductor test manufacturing (9月12日付け ELECTROIQ)

◇Qualcomm opens Shanghai facility for semiconductor test manufacturing (9月12日付け DIGITIMES)
→Qualcommが、上海のWaigaoqiao(WGQ:外高橋) free-trade zoneにある半導体テスト拠点、Qualcomm Communication Technologies (Shanghai)のオープンおよび同社初となる半導体製造サービス供給を発表の旨。Amkor Technologyと協働する該新会社は、Amkorの広範なテストサービスexperienceおよびクリーンルーム設備をQualcomm Technologiesの業界を引っ張る製品技術&開発と組み合わせていく旨。

これからの新技術対応の1つとして以下の≪市場実態PickUp≫でも示すGlobalfoundriesのアプローチがあるが、中でも注目のfully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)について中国での展開の可能性が表わされている。

◇Chip Process War Heats Up-Samsung and China are the wild cards (9月12日付け EE Times)
→数量はまだ小さいが、Globalfoundriesの12-nmプロセスに向けた計画を受けてfully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)が急速に伸びる可能性の旨。Samsungあるいは上海にやってくる新しいfabがFD-SOIを採用するかどうかが大きく効いてくる、とInternational Business Strategies(IBS)のベテラン市場watcher、Handel Jones氏。

Asia-Pacific地域の世界半導体市場での比率について、IC Insightsが61.0%と見込んでいる。中国が押し上げる市場の規模の実態が改めて表わされている。

◇Asia-Pacific to top 2016 regional IC sales in major system categories (9月14日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsのmid-year Update to the 2016 IC Market Driversレポートでの分析。Asia-Pacific地域が、2016年のIC市場、$282.0 billionの61.0%を占める見込み、2013年57.7%、2014年58.4%、そして2015年60.5%ときて踏み上がっている旨。

◇Asia-Pac to extend IC market share-Asia-Pac is expected to account for 61% of the $282 billion IC market this year, says IC Insights. -61% of 2016 IC sales will be in Asia-Pacific (9月16日付け Electronics Weekly (U.K.))

この4〜6月世界半導体製造装置市場が、以下の通りの増加を示しており、特に中国が引っ張る構図となっている。SEMIによる世界の2016〜2017年にかけての半導体工場の新設・増強着工計画の中国の比率が、今後に向けて如実に示すところがある。一方では、通商面の課題に目を遣る必要が出てくる。

◇Global 2Q16 semiconductor equipment billings increase 26%, says SEMI (9月14日付け DIGITIMES)
→SEMIとSEAJの共同データ。2016年第二四半期の世界半導体製造装置市場:
 billings $10.5 billion 前四半期比26%増 前年同期比11%増
 bookings $11.9 billion 前四半期比27%増 前年同期比17%増

◇半導体装置の市場規模、中国、2倍で過去最高、4〜6月、台湾に次ぎ2位 (9月14日付け 日経産業)
→半導体製造装置の4〜6月の世界販売額は前年同期比11%増の$10.46 billion(約1兆600億円)、市場別では中国が同2.2倍の$2.27 billionとなり過去最高で、台湾に次ぐ2番目の規模となった旨。業界団体であるSEMIと日本半導体製造装置協会(SEAJ)が13日発表した旨。
SEMIによると、世界では2016〜2017年にかけて19件の半導体工場の新設・増強の着工が計画され、うち10件は中国での投資となる旨。10件の内訳をみると半分は米インテルや韓国サムスン電子など外資の投資で、残りは中国企業。中央政府は巨額資金を投じて外資勢を追撃する旨。

半導体の今後の応用の1つ、電気自動車(EVs)についても、中国が引っ張ってその市場は同国内メーカーが席巻という現状が表わされている。

◇China surpasses US, Europe in electromobility (9月12日付け EE Times India)
→市場調査のCentre of Automotive Management(CAM)発。電気自動車(EVs)はじめelectromobilityのグローバルレベルでの伸びは、中国市場が第1に引っ張っており、本年最初の8ヶ月で、約24万台のEVsが中国で売られている旨。該中国市場は、国内brandsおよびメーカーが席巻しており、海外ベンダーは唯一TeslaでありModel Sを擁して第19位の旨。海外ベンダーが中国e-mobility市場で多くの引き合いを得る難しさを認識、VolkswagenはEVsを開発・販売する現地の会社、JACとの合弁を発表している旨。

規模が違うだけに急拡大の進展具合に引き続き注目するところである。


≪市場実態PickUp≫

【ルネサスの米インターシル買収正式発表】

ルネサスエレクトロニクスによる米アナログ半導体大手、インターシルの買収が正式に発表され、以下の業界各紙取り上げ方となっている。自動車、産業用と、新たな市場の構図が描かれようとしている。

◇Intersil Deal: Renesas' Survival Bid (9月13日付け EE Times)

◇Japan's Renesas pushes into autos with $3.2 billion Intersil buy (9月13日付け Reuters)

◇Renesas Bets on Smarter Cars With $3 Billion Intersil Purchase-Japanese firm to pay $22.50 per share for US chipmaker (9月13日付け Bloomberg)
→Renesas Electronicsが、車載用コンポーネントへの動きを踏み上げ、米国の半導体メーカー、Intersilの$3.2 billion買収支払いに合意、$22.50/株の提示額はIntersilの月曜12日終値に対し14% premiumの旨。

◇ルネサス社長「競争力高まる」、米インターシル買収発表 (9月13日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスが13日、米同業のインターシル(カリフォルニア州)を買収すると正式発表、買収金額は$3.219 billion(約3250億円)で同社株主から現金で買い上げて完全子会社化する旨。省電力につながる電圧制御用の半導体を自社製品と組み合わせて、自動車や産業機械などの主要顧客への提案力を高める旨。インターシルの取締役会は全会一致で賛同しており、株主総会や各国の独禁法当局の承認を得た上で、2017年6月をメドに買収を完了する旨。

◇ルネサス、米インターシルを3200億円で買収−アナログ半導体補完 (9月14日付け 日刊工業)
→ルネサスエレクトロニクスが13日、米アナログ半導体大手のインターシルを完全子会社化すると発表、買収額は約$3.219 billion(約3251億円)で、ルネサスの手元資金を充てる旨。電力制御などを行うアナログ・パワー半導体と、ルネサスが強みとするマイコンと組み合わせて自動車や産業機械向けにトータルに提案、買収で$170 million(約171億円)以上の相乗効果を見込む旨。

【急を告げるSamsung関連の動き】

米国政府機関、米国消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)がサムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」に対する公式リコールを発表(9月16日付け 韓国・中央日報)、厳しさ、慌ただしさが日々高まる中のSamsung関連の以下あい続く動きそれぞれに、先行き注目している。

◇Samsung putting capex focus on OLED could lose major foundry client (9月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsungの主要ファウンドリー顧客、Qualcommが、SamsungのOLEDパネル市場への設備投資重点化に関わるリスクを認識、計画より早くTSMCへの回帰を考えている旨。Samsungは、OLED事業への重点投資を図っており、他のoperations、特にファウンドリー分野への投資を搾ることになる旨。このような動きは、先端技術でのTSMCとの競い合いではSamsungに不利になる可能性の旨。

◇Samsung to start running new production line for 3-D NAND this year-Samsung to set up new fab line for 3D NAND flash (9月12日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsが、Hwaseong City(華城市), Korea拠点でのNANDフラッシュメモリデバイス製造に向けて新しいウェーハfabラインを構築、該fabラインに$2.26 billionを投資予定の旨。

◇米HP、サムスン電子のプリンター事業買収 −1070億円で (9月12日付け 日経 電子版)
→米ヒューレット・パッカード(HP)が12日、韓国サムスン電子のプリンター事業を買収すると発表、買収額は$1.05 billion(約1070億円)、1年内に買収手続きの完了を目指す旨。完了後にサムスンがHPに$100〜300 million分を出資することでも合意した旨。HPは複合機技術に強みを持つサムスンを取り込むことで、一段の成長を目指す旨。

◇サムスン、米HPに複写機事業売却、「非中核」を分離 (9月13日付け 日経 電子版)
→韓国のサムスン電子が12日、複写機事業を米HPに$1.05 billion(約1070億円)で売却すると発表、防衛や化学事業からの撤退に続き、非中核事業から手を引く方針の一環の旨。競争が激化している半導体やスマートフォンなどの主力事業、バイオ医薬品などの新事業に経営資源を集中させる旨。

◇サムスン、シャープ全株を売却、鴻海の買収受け (9月15日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が日本法人を通じて保有していたシャープの全株式を売却していたことが14日、分かった旨。サムスンは2013年3月にシャープに約104億円を出資、当時は約3%の出資比率で5位の大株主だった旨。スマートフォンで競合する米アップルと関係の深い台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が今年8月にシャープを買収したこともあり、資本上の提携を解消した旨。

◇シャープ、サムスンと提携解消、液晶立て直しに懸念、堺工場の最大顧客、取引継続は不透明 (9月16日付け 日経)
→韓国サムスン電子がシャープとの資本提携を解消したことは、シャープの経営再建に影響を与える可能性もある旨。シャープと、同社を8月に買収した鴻海(ホンハイ)精密工業が共同で運営する大型液晶パネルの生産会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)にとって最大顧客であり、サムスン向けが減少すれば、低迷する液晶事業の立て直しにも懸念材料となりかねない旨。

【iPhone-7関連の動き】

9月7日に発表されたiPhone-7を巡る様々な切り口の見方が渦巻いており、まずは差し込み型ワイヤレスイヤホンについてである。

◇NXP Connects iPhone-7 Earbuds? -Magnetic induction clips last wire (9月10日付け EE Times)
→iPhone-7における一対のワイヤレスearbuds(耳の穴に差し込むタイプのイヤホン)は、near field magnetic induction(NFMI)を利用、最後のコード(Bluetooth headsetsに向けて左右のイヤホンの間のもの)を取り除く旨。
同時に、NXP発、同社はこれまでで最先端のNFMI system-on-chip(SoC)、Bluetooth-freeイヤホン用NxH2280 NFMI radioを発表の旨。該NxH2280は、iPhone 7需要を満たせる数量が現在可能であるが、NXPはAppleがそれを使っているかは確認していない旨。

半導体発注と本体受注の出足の見方である。

◇Chip orders for iPhone 7 higher-than-expected-Sources: IPhone 7 chip orders are above estimates (9月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。2016年に向けたこれまでのiPhone 7用半導体発注は、以前の評価を上回っているが、AppleのiPhone 7についての初期受注は、1年前に発表された6sシリーズのそれを依然15-25%下回っている旨。

米国からは出足好調の発信が行われている。

◇iPhone7予約好調、米通信2社「過去最高水準」 (9月14日付け 日経 電子版)
→米アップルの新スマートフォン「iPhone7」シリーズに対する予約の出足が、米国で好調であることが分かった旨。9日から予約受け付けを始めた米携帯3位TモバイルUSと、ソフトバンクグループ傘下で4位のスプリントが13日、相次いで予約件数が「過去最高水準になった」と公表した旨。アップルは今回、出足の販売状況を公表しない方針を明らかにしており、米通信大手による販売データに注目が集まっていた旨。

◇Apple says initial quantities of iPhone 7 Plus sold out (9月15日付け Reuters)

我が国の発売日の状況である。

◇iPhone7が発売…朝から100人以上が列 (9月16日付け YOMIURI ONLINE)
→米アップルのスマートフォン「iPhone7」と「7Plus」が16日午前、全国で発売された旨。日本で広く普及する「フェリカ」方式の電子マネーに対応、東京都渋谷区の「アップル表参道」では開店の午前8時を前に、100人以上が行列を作った旨。

iPhone-7はNANDフラッシュメモリ価格を押し上げる見方があらわれている。

◇Flash memory prices surge on smartphone production push-New smartphone models push up flash memory prices (9月16日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→iPhone 7およびiPhone 7 Plusが、NANDフラッシュメモリデバイスの需要を引っ張っており、それら半導体価格を約2年ぶりの高値に押し上げている旨。IHS Technologyは、第三四半期のNANDフラッシュ出荷が前年同期比約20%増と見ている旨。

早速にteardown解析がまとめられ、IntelのベースバンドおよびTSMCのA10が大きく注目されている。

◇iPhone 7 Sports Intel, TSMC (9月16日付け EE Times)
→Chipworksのteardownが本日、AppleのiPhone 7 handsetsの少なくともあるものにIntel insideを確認、IntelがInfineonから買収したベースバンドプロセッサが使われている旨。A10 Fusion SoCの少なくともあるものは、TSMCがたぶんにInFO(Integrated Fan Out)実装プロセスを用いて作っている、としている旨。IntelとTSMCの両社が最新iPhonesでのsockets獲得という当初の予想を確認、たぶんIntelはQualcommおよびMediatekに続く第3のcellularベースバンドプロセッサのサプライヤとなっていく旨。

【Nvidia 対 AMD】

自動運転車、ドローン、ロボットなどartificial intelligence(AI)およびdeep learning応用に向けたグラフィックスカードそしてgraphics processing units(GPUs)を巡り、Nvidiaに対抗するAMDの構図が以下の通りあらわれている。

◇Nvidia sees tight graphics card supply; to release GTX 1050 in late September (9月9日付け DIGITIMES)
→NvidiaのPascal-ベースGeForce GTX 1080, 1070および1060グラフィックスカードが市場からの引き合いが強く、現在供給が締まっている旨。さらに市場拡大を図って、Nvidiaは早くて9月末にmid-range GTX 1050グラフィックスカードをリリースする計画の旨。一方、AMDは現状のPolaris-ベースRadeon RX 480, 470および460グラフィックスカードで市場シェアを守っているが、なおNvidiaの製品からの激しい競合に会っている旨。

◇Nvidia debuts 2 Pascal-based Tesla chips for deep learning applications-Nvidia unveils 2 Pascal GPUs that can learn (9月12日付け VentureBeat)
→Nvidiaが、同社Pascalアーキテクチャー・ベースのTesla P4およびTesla P40 graphics processing units(GPUs)を投入、自動運転車などartificial intelligence(AI)およびdeep learningにおける応用向けの旨。同社はまた、関連のDeepStreamおよびTensorRT AIソフトウェアを発表の旨。

◇Nvidia's new Pascal GPUs can give smart answers-Nvidia's new Tesla P4 and P40 GPUs are targeted at deep learning (9月12日付け Network World/IDG News Service)

◇Drones and robots will get smarter with Nvidia's Jetson TX1 update-Nvidia updates its Jetson TX1 development board with software (9月13日付け CIO.com/IDG News Service)
→Nvidiaが、ソフトウェア更新で同社Jetson TX1 developer boardにさらなる処理能力を加えている旨。

◇AMD's Vega GPUs to ship in the first half of 2017-AMD narrows shipping timeframe for its "Vega" GPUs (9月13日付け Computerworld/IDG News Service)
→Deutsche Bank 2016 Technology Conference(Las Vegas)にて火曜13日、AMDのchief technology officer(CTO)、Mark Papermaster氏。AMDは、同社次世代"Vega" graphics processing units(GPUs)を2017年前半に出荷予定、該高性能GPUは、virtual reality(VR), high-end gamingなどdesktop PC応用向けの旨。

【GLOBALFOUNDRIESの相次ぐ最先端アプローチ】

この9月8日に新しい12-nm FD-SOI半導体技術および22-nm設計に向けたパートナープログラムを発表したばかりのGlobalfoundriesが、こんどは一気に飛んで7-nm FinFETプロセスおよび22-nm FD-SOIでの新しいembedded MRAMを打ち上げて業界各紙の賑やかな取り上げ方となっている。IBMの半導体製造部門を買収した同社の最先端アプローチに目が離せないところである。

◇GF Debuts 7nm, Embedded MRAM-FinFETs, FD-SOI expand at Globalfoundries (9月15日付け EE Times)
→Globalfoundriesが、7-nm FinFETプロセスに向けた計画を発表、現状の14-nmノードより最大性能が30%向上、あるいは電力消費が60%少ない半導体が得られる旨。該プロセスは、2018年後半に量産に入り、今日の光lithographyだけを用いて当初30-nmほどのゲートpitchesとなる旨。
これとは別に同社は、22-nm fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)プロセスで作られた半導体について2018年からsub-Gbit密度での新しいembedded MRAMをサポートする旨。Everspin Technologiesからライセンス供与を受けた該メモリ技術からは、現状のembeddedフラッシュvariantsよりも高速な書き込み速度並びに低電力消費そして小さいdie sizeが得られる旨。

◇GLOBALFOUNDRIES to deliver industry's leading-performance offering of 7nm FinFET technology (9月15日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、新しい先端7-nm FinFET半導体技術の計画を発表、次の時代のcomputing応用性能を突き詰める旨。この技術により、データセンター、networking, premiumモバイルプロセッサ, およびdeep learning応用に向けたさらなる処理能力が得られる旨。

◇GLOBALFOUNDRIES launches embedded MRAM on 22FDX platform (9月15日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、同社22FDXプラットフォーム上にscalable, embedded magnetoresistive non-volatile memory(eMRAM)技術を投入、今日のnon-volatile memory(NVM) offeringsよりも1,000倍の高速書き込み速度および1,000倍の書き換え回数がシステム設計者に得られる旨。

◇Globalfoundries unveils 7nm FinFET process (9月15日付け New Electronics)

◇Globalfoundries Plans Big Investment in New York State Chip Plant -Semiconductor manufacturer plans to beak from standard industry practice by skipping a generation of production technology (9月15日付け The Wall Street Journal)

◇GlobalFoundries unveils 7nm roadmap-AMD spin-off semiconductor fab specialist GlobalFoundries has announced that it is to skip the 10nm process node and head straight to 7nm.-GlobalFoundries will go from 14nm FinFET process to 7nm (9月16日付け Bit-Tech.net)
→GlobalFoundriesが、FinFETプロセスについて10-nmを飛ばして、14-nm FinFETから2018年に7-nm FinFETに進んでいく旨。この動きには、同社Fab 8拠点(Malta, N.Y.)において"multibillion-dollar investment"が必要になる旨。

◇Globalfoundries to use MRAM for embedded memory-Everspin's eMRAM will be available on 22nm FD-SOI in 2017 (9月16日付け New Electronics)
→Everspin Technologiesが来年、顧客prototyping向けにembedded spin-torque magnetorestive random-access memory半導体を提示、量産は2018年の旨。GlobalFoundriesが、該eMRAMを22-nm fully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)プロセスで製造、22FDXプラットフォームでサポートの旨。


≪グローバル雑学王−428≫

グローバル化時代の日本外交はどうあるべきか、3回に分けた2回目として、中国そして北朝鮮と、日々ニュース画面&紙面を騒がせ賑わせている2つの国との関係および対峙について、

『世界に負けない日本 −国家と日本人が今なすべきこと』
 (薮中 三十二 著:PHP新書 1045) …2016年5月27日 第一版第一刷

より、外交交渉の最前線にいた著者の目を通して実態の理解を深めて考えていく。中国・杭州でのG20では、中国の南シナ海はじめしたたかな関係国対応が見られたばかりであるし、すぐに続いて北朝鮮では本格的な核実験を実行、国連および各国の緊急対応を余儀なくさせている。北朝鮮については、次回にわたって示してあり、まさに今時点の最も重大な問題としてさらに意識を高めたく思う。


第3章 グローバル化時代の日本外交はどうあるべきか =3分の2=

3 日中関係を考える――したたかに中国と向き合う方法は?
■さらに深まる米中関係
・世界の国々は、中国の大国化を自然なこととして受け止め、そうした中国との協力を進めようとする国が多いのが現実
 →アメリカについても、対中警戒論が強まる一方で基本的には中国と協調せざるを得ないと考えているよう
  →実際進んでいる米国企業の中国との関係強化
・米中両国の交流は、規模も深さも相当なものと認識しておく必要
 →2015年の米国における留学生の数は、中国人30万人に対し日本人1.9万人
 →政府間の協議をみても、米中間には米中戦略経済対話という協議体
  →さらに国連では常任理事国として緊密な協議

■中国との向き合い方
・日本としては、積極的に中国との協議を進めていく必要
 →相手が気に入らなくとも、透徹した目で国益をにらんで、進めなくてはならない外交
・幸い、2015年に入り、日中間で首脳会談が自然な形で開催
 →しかし、日中間の信頼関係が醸成されるまでには至っていないよう

■日中戦略的互恵関係に魂を入れるには
・日中関係の基本的取組みとして、日中戦略的互恵関係
 →必要なことは、日本が中国の発展を受け入れること
 →その上で、外交政策や防衛政策について突っ込んだ意見交換を重ね、お互いの信頼関係を築いていくこと
・日中間で今、必要なことはこれら幅広い交流、それを通じた相互信頼関係の構築
 →その一方で、あまりに身勝手な行動を取らないようにチェックしていくこと
  →効果を発揮するのが国際世論、そしてアメリカ世論を味方にしなくてはいけない
   …日本が国際的にみて正しく真っ当であることをアメリカ世論に強く印象づけること

■ワシントンとニューヨークで受けた質問――見え隠れする中国の影
・(著者は)2015年6月、ブルッキングス研究所(The Brookings Institution)(ワシントン)と外交問題評議会(Council on Foreign Relations)(ニューヨーク)で講演する機会
 →質疑応答で、米国の識者に対する中国の影響力に驚いた
・南シナ海における中国の島の埋め立てについて質疑やりとり
 →アメリカの一部の有識者から「日本はアメリカが中国と対決し、事態が激化することを望んでいるのか?」といった質問
 →中国の影響力がいろいろなところに及んでいることを窺わせる
・「日本こそ平和に徹した国。挑発し、現状を変えようとしているのは中国に他ならない。」
 →徹底して国際世論、とりわけアメリカ世論に働きかけなくてはいけない
 →繰り返し、何度も、何度も強調しなくては

■東シナ海油ガス田共同開発合意の意義――空母よりも大きな威力
・日中間には東シナ海の油ガス田共同開発合意が、2008年6月に行われている
 →いまだ条約にはなっていないが、きちんとした政府間合意
・日中間では東シナ海での海域の線引きが、大陸棚延伸(中国側)か中間線(日本側)かで対立
 →2007年末の福田総理訪中と、2008年5月の胡錦濤国家主席訪日という日中間の建設的な政治環境のもと、交渉が進められ合意に
 →東シナ海の北の部分における日中協力の第一歩
・今こそ、この合意を実施に移すべき
・実はこの共同開発合意ほど中国国内で評判の悪い合意はなく、特に人民解放軍は大反対している模様
 →中国政府は日中間の合意であるとして、なんとか国内反対派を押さえつけているが、隙さえあれば、この合意をチャラにしてしまいたいと思っているはず
・中国側は2008年油ガス田共同開発合意を有効で、大事なものと認識している発言
 →今後、日本はこの2008年合意を機会あるごとに繰り返し強調すべき
・東シナ海での2008年合意に基づく平和攻勢に続いて、東シナ海および南シナ海をまたぐ海洋ルールの合意形成のため、日本は創造的なイニシアティブを取らなくては

4 北朝鮮の核開発にどう対処すべきか …次回へ続く

■北朝鮮をめぐる米中間の相違
・2016年は、1月の核実験、さらに2月には弾道ミサイルの発射
 →北朝鮮の挑発で、東アジアの安全保障関係にとって極めて深刻な幕開けに
・制裁強化を訴える一方で、刺激すべきではないとする慎重な対応
 →日・米・韓3ヶ国対中国という構図
・国連安保理での調整は難航
 →中国も北朝鮮に対し思いとどまるように働きかけたが、北朝鮮はこれを無視したよう
 →その一方、中国はアメリカなどが主張する制裁強化には慎重
・中国としては、北朝鮮の挑発、核実験やミサイル発射を苦々しく思っているが、同時に北朝鮮をあまりに追い詰めると暴発しかねず、最悪ケースを深刻に懸念している模様
・核実験の後、2016年1月27日、北京での米中協議は、明らかに基本的考え方に違いがあったとみられる
 →米中間の相違をいいことに北朝鮮は、次のステップ、2月の長距離ミサイル発射へ
・米中間では相当に緊密な意見交換が行なわれているが、立場の相違を克服できない姿も

■世界が無関心な濃縮ウラン開発疑惑
・北朝鮮の核開発問題が深刻化した端緒
 →2002年10月、米国のジェームズ・ケリー特使が北朝鮮を訪問、北朝鮮が1994年の米朝枠組み合意に反し、秘密裏に濃縮ウラン開発を進めているのではないかとの疑惑突きつけ
  →1994年米朝枠組み合意…カーター元米国大統領が訪朝、米朝交渉の結果できあがったもの。北朝鮮が核を廃棄するということが大枠で合意
 →2002年末、米国は重油提供を停止、軽水炉の建設も中断
  →これに対し北朝鮮は激しく反発、核開発を再開
・この北朝鮮の行動に対し、六ヵ国協議が立ち上げられた
・北朝鮮は当初、六ヵ国協議などという枠組みは絶対に反対と言い、米朝二国間協議を志向
 →最終的には六ヵ国協議に応じた経緯
  →北朝鮮がアメリカのイラク戦争の影に怯えたからだと思われる
・2005年の六ヵ国協議第4回会合で朝鮮半島非核化を申し合わせる合意が達成
 →しかし、北朝鮮はこの合意を無視、2006年に最初の核実験を断行
 →2009年、北朝鮮は六ヵ国協議からの離脱を表明

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