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IoT時代の圧倒的な世界一を目指すソフトバンクのARM買収のインパクト

「IoT(internet of things)」そして「ポケモンGO」が、このところのニュースのキーワードとして登場、一般社会そしてエレクトロニクス・半導体業界に我が国が発信側となる大きなインパクトを与えている。方々から様々な反応が見られているが、半導体業界としてはスマホに続く新分野、新技術を必死に模索している渦中で最も有力な1つであるIoTに強力な焦点が当てられて、いくつかの陣営が競い合う標準化はじめ拍車がかかっていく期待がある。今後の新たな業界ロードマップの展開にも注目するところである。

≪半導体はじめ関連業界の反応≫

ソフトバンクによる半導体設計大手、ARM Holdingsの買収について、以下即時の業界各紙の取り上げ方である。

◇ARM Agrees To Be Bought by Japan's Softbank (7月18日付け EE Times)

◇Softbank To Buy ARM For $32.34B-Move would transform Japanese telecommunications giant into key player in processor market. (7月18日付け Semiconductor Engineering)

◇Sprint owner SoftBank to buy ARM in big post-Brexit deal-ARM agrees to $32B buyout from Japan's SoftBank (7月18日付け The Associated Press)
→Sprintのowner、SoftBankが、ワイヤレス機器およびinternet of things(IoT)向け半導体設計大手、ARM Holdings(英国)の$32 billion in cashでの買収に合意の旨。SoftBankは、ARMの英国でのプレゼンスを拡大、人員を倍増、そしてsenior managementを維持する、としている旨。

◇SoftBank to Buy ARM Holdings for $32 Billion -Japanese group's deal for U.K.-based chip designer comes together in just two weeks (7月18日付け The Wall Street Journal)

◇SoftBank confirms $32B acquisition of U.K.-based chipmaker ARM to target ‘Internet of Things’ (7月18日付け VentureBeat)

◇SoftBank to acquire ARM (7月18日付け DIGITIMES)
→SoftBankとARMの役員会が、24.3 billion £($32.2 billion)でのARMのall-cash買収提案に合意、SoftBankが提示した17ポンド/株は、ARMの株主に金曜終値に対して43%のpremium、そして今までの最高株価に対して41.1%のpremiumとなる旨。

日経で時系列に追うと、次の通りとなっている。

◇ソフトバンク、英アームを3.3兆円で買収へ、海外メディア (7月18日付け 日経 電子版)
→ソフトバンクグループは、半導体設計の英アーム・ホールディングスを買収する方向で最終調整に入った。英フィナンシャル・タイムズ(FT)など複数の海外メディアが報じた旨。買収額は3兆3000億円程度とみられる旨。
アーム社は携帯電話などモバイル機器向けに強く、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の時代が訪れると様々な機器に需要が広がるとみて買収に乗り出した模様の旨。

◇ソフトバンク、英半導体会社買収に3.3兆円、IoT事業の布石 (7月18日付け 日経 電子版)
→ソフトバンクグループが18日、英の半導体設計大手、アーム・ホールディングスを約240億ポンド(3兆3000億円強)で買収すると発表、日本企業による海外企業へのM&A(合併・買収)では過去最大の旨。スマートフォン用CPUなどに広く使われるアームの半導体技術を取り込み、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT事業の布石にする狙いの旨。

◇ソフトバンク、英アーム買収発表、孫氏「IoTに大きな機会」 (7月18日付け 日経 電子版)
→ソフトバンクグループの孫正義社長が18日、ロンドンで英半導体設計大手、アーム・ホールディングスの買収発表の記者会見を開き、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」について、「大きな機会がある」と述べた旨。孫氏はアームについて「過去10年間尊敬してきた」と説明、
買収の発表について「とても幸せだ」と話した旨。

この発表を受けた論評記事が、いろいろな切り口から以下の通り見られている。

◇ARM, Softbank and 1,500 Engineers (7月18日付け EE Times/Blog)
→Softbankからの新しい投資をもって、ARMは向こう5年にわたって採用したいとするエンジニア1,500人にどんな仕事を与えるべきか?

飽和した現状の市場の打破への期待が表わされている。

◇Comment: IoT made ARM takeover inevitable-The proposed $32bn ARM takeover by Japanese firm SoftBank has caught the semiconductor market by surprise.-Viewpoint: IoT is the driver behind the ARM acquisition (7月18日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Warwick Business School教授、Mark Skilton氏。SoftBankの約$32 billionでのARM Holdings買収入札は、internet of things(IoT)に向けたポテンシャルが大方引っ張っている旨。「ARMによるこの動きには、この現下の市場の限界の認識およびPCおよびモバイルを越えてIoTであらわれてくるconsumer home, building, クルマなど多数のプラットフォームに拡張するための投資への必要性がある」旨。

ソフトバンクへの見方が表わされている。

◇ARM Acquisition: What's In It for SoftBank? (7月19日付け EE Times)
→SoftBankは日本の会社ではあるが、堅苦しい固定観念をものともせず、日本の伝統にはとらわれない旨。同社の経緯から以下の項目内容:
 Remember Comdex?
 Growth by M&As
 Irrational exuberance for IoT and AI?
 Idea per minute guy
 Next 30 years
 Impact on ARM, ARM licensees

台湾のTSMCは、この買収によるプラス作用があるとしている。

◇TSMC says no impact from SoftBank ARM acquisition-TSMC is OK with ARM's acquisition; partnership will continue (7月19日付け DIGITIMES)
→TSMCによると、最近発表されたSoftBankのARM買収は、TSMCがARMと続けているコラボにはインパクトを与えず、SoftBankの事業継承に続いてARMとのつながりがさらに強まるとも見ている旨。SoftBankの買収はTSMCのARMとの関係にプラスに働くと思っている旨。

◇ソフトバンク、「レバレッジ経営」を加速、英アーム買収 (7月19日付け 日経 電子版)
→英半導体設計のアーム・ホールディングス取得は、日本企業による海外企業買収で過去最大の規模となる旨。ソフトバンクの代名詞である、借金をテコに成長をめざす「レバレッジ経営」が一段と加速する旨。

◇SoftBank's Son: Quixotic or Prophetic?-ARM will become ‘central to SoftBank's core biz’-What Son told the Japanese media-SoftBank values hardware-Alibaba's ambition for ARM (7月20日付け EE Times)
→たぶん今から10年あるいは20年、歴史だけが判断できる決定。

◇Commentary: ARM a must for SoftBank in paradigm shift-Viewpoint: SoftBank has to buy ARM to catch the IoT wave (7月20日付け DIGITIMES)
→SoftBankによるGBP24.3 billion($32.2 billion)でのARM買収の決定は、SoftBankのchairman and CEO、孫 正義氏の容赦ない投資スタイルを際立たせるだけでなく、Internet of Things(IoT)の普及拡大とともにやってくる今後のビジネスopportunitiesをも示している旨。

IoT時代の到来、そして半導体需要の一段の踏み上げに向けて投じられた大きな一石であり、業界としての機敏な反応に今後注目するところである。

◇孫社長「ネット社会の根源握る」、ソフトバンク、英社巨額買収で (7月20日付け 日経)
→ソフトバンクグループは、英半導体設計大手、アーム・ホールディングスを約3兆3千億円で買収、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTビジネスを新たな収益の柱に育てる旨。スマートフォン向け半導体設計で独占的なシェアを持つアームの技術を囲い込む狙い、孫正義社長は19日、IoT時代を見据え「ネット社会の根源を握る圧倒的な世界一になる」と話した旨。

◇ソフトバンク孫社長「アームのチップ1兆個へ」 (7月21日付け 日経 電子版)
→ソフトバンクグループの孫正義社長が21日、都内で法人向けに開いたイベントで、買収を決めた英半導体設計大手、アーム・ホールディングスについて、「グループの中核になる」と述べ、今後20年で「アームのチップはばらまかれる。1兆個になるだろう」とさらなる普及に期待を示した旨。
あらゆるものがネットにつながる「IoT」の技術が進んでおり、アームが設計する半導体はすでにIT機器から自動車まで搭載されており、昨年は148億個が出荷された旨。孫社長は「(地球上の人類)1人あたり2個になる」と指摘、アームの事業の広がりを強調した旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国大手の直近四半期業績】

Micron Technologyについて、3四半期連続の赤字と、厳しい状況が発表されている。

◇Commentary: Micron losses set to continue (7月19日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、2016年度第四四半期(2016年6-8月)も赤字が続くと発表、3四半期連続となる旨。同社が20-nmプロセスDRAM半導体生産を開始、そしてライバルのSamsung ElectronicsおよびSK HynixがDRAMおよびNANDフラッシュ半導体の生産を減らし始めたにも拘らず、赤字となっている旨。韓国メモリ半導体メーカーによる生産削減では2016年度第三四半期のDRAM契約価格の値上げが行なえず、MicronのDRAM半導体ASPsは前四半期比11%超低下の旨。

半導体最大手、Intelは、売上げは前年同期を上回ったものの利益が大きく落ちて、新分野対応に向けた再構築が進められている。

◇Intel a Bear on PCs, a Bull on Flash-Double digit PC decline, 3D NAND ramp starts (7月20日付け EE Times)
→Intelの2016年第二四半期売上げが$13.5 billion、前年同期比3%増、nets profitsが$1.3 billion、前年同期($2.7 billion)比51%減。Intelは、パソコンが引き続き今年高い一桁の落ちと見ているが、フラッシュメモリ、特に年末までに出荷開始予定の3D NANDおよび3D XPoint半導体については強気の旨。利益の落ちは、$1.2 billionかけて12,000人をレイオフするなど4月に発表した再構築費用が主である旨。直近四半期に従業員約6,000人がレイオフされている旨。

◇Intel's profit beats forecasts as chipmaker continues to shift focus-Intel reports lower profit, higher revenue for Q2 (7月20日付け San Jose Mercury News (Calif.))
→Intelの7月2日締め第二四半期業績について。サーバ、internet of things(IoT)およびセキュリティ技術向け半導体は伸びが見られたが、PC半導体事業は引き続き低迷の旨。

◇Intel Profit Falls With Slow Growth in Key Data Center Unit (7月20日付け Bloomberg)

苦しい状況が続いているAMDが、黒字転化の発表となっている。

◇Advanced Micro Devices Swings to a Profit -AMD trying to reduce reliance on PC sales, and develop gaming systems and customized chips-AMD posts a profit in Q2 as its gaming chips gain in sales (7月21日付け The Wall Street Journal)
→Advanced Micro Devices(AMD)の6月30日締め第二四半期売上げが前年同期比9%増の$1.03 billion、net incomeが$69 millionで前年同期は$181 millionのnet lossであった旨。第三四半期売上げは前四半期比15%〜21%増と予測、semi-custom半導体およびゲーム機用graphics processing units(GPUs)の売れ行きが力強い旨。

特に中国対応での盛り返しを図るQualcommについて、次の通りである。

◇Qualcomm's China Compromise Pays Off (7月22日付け EE Times)
→電話用半導体サプライヤでintellectual property(IP) licensor、Qualcomm社(San Diego, Calif.)の第三四半期売上げが$6 billion、前四半期比9%増、前年同月比3%増。

【東芝の3D NAND】

東芝とそのフラッシュメモリのパートナー、Western Digitalが、三重県四日市市の新しいfabのオープンを発表、3D NANDフラッシュメモリデバイスの生産を始めるとしている。

◇Toshiba and Western Digital Open New Flash Memory Fab in Japan-3D NAND flash memory fab opened by Toshiba, Western Digital (7月15日付け Electronics360)
→東芝とWestern Digitalが、三重県四日市市の新しいウェーハfab拠点を完成、3D NANDフラッシュメモリデバイスの生産を開始の旨。WDは5月に、東芝のフラッシュメモリ半導体生産における長年のパートナー、SanDiskを買収の旨。

◇Toshiba and Western Digital celebrate opening of new Fab 2 semiconductor fabrication facility in Japan (7月15日付け ELECTROIQ)

◇Toshiba, Western Digital open new flash memory fab in Japan (7月18日付け DIGITIMES)
→東芝とWestern Digitalが、三重県四日市市の新しいfabのオープンを発表、2D NAND capacityの3D NANDへの転換をサポートする旨。該fabの建設は2014年9月に始まり、2015年10月の該拠点の部分的完成に伴って、東芝とSanDiskは3Dフラッシュメモリの量産に向けた最先端製造capabilitiesの取り入れで協働、2016年3月に第1段階生産キックオフを行っている旨。
2016年5月、Western DigitalがSanDiskの買収を完了、東芝とWestern Digitalは、市場状況によって該新fab capacityを逐次拡大に向け投資していく旨。

3D NANDで先行するSamsungに対して、64層3D NANDフラッシュメモリデバイスの生産については僅かながら先を行くと、以下の通り表わされている。

◇Toshiba Aiming to Produce World's First 64-layer 3D NAND Flash Memory Chip -Toshiba plans to make 3D NAND flash with 64 layers (7月20日付け BusinessKorea magazine online)
→東芝が、第三四半期の間に64層3D NANDフラッシュメモリデバイスを生産化、第四四半期に該半導体を作るとしているSamsung Electronicsに辛うじて先んじる旨。業界expertsは、このような半導体はplanarメモリ時代の終わりを意味するものとしている旨。

【引き続きTSMCの独占か】

来る9月発表予定のAppleのiPhoneにおけるA10半導体はTSMCが100%作るとされているが、来年、2017年についてもTSMCが独占するという噂が以下の通り見えてきている。

◇TSMC Reportedly Lands Exclusive Deal for Apple's 2017 A11 Chip Orders (7月18日付け Patently Apple)

◇Rumor: TSMC to be exclusive manufacturer of both Apple's 'A10' & 'A11' chips (7月18日付け Apple Insider)

◇TSMC secures exclusive orders for Apple A11 chip, says report-Report: Apple stays exclusively with TSMC for 10nm A11 chip orders (7月18日付け DIGITIMES)
→最近の中国語・Economic Daily News(EDN)発。TSMCが、AppleのA11半導体発注のすべてを獲得の旨。TSMCはすでに、2016年9月に発表予定の次期iPhoneシリーズに搭載されるAppleのA10半導体の独占メーカーであり、10-nm FinFETプロセスで作られるAppleの次世代A11プロセッサの唯一のサプライヤに引き続きなる旨。情報源引用は示してない旨。

【インフィニオンのM&A】

独半導体大手、インフィニオンテクノロジーズが、米照明・半導体大手、クリーの半導体子会社、Wolfspeedの買収を発表しているが、その趣旨および中身が以下の通り表わされている。

◇Infineon Details Plans for Wolfspeed Takeover (7月18日付け EE Times)
→InfineonのCEO、Reinhard Ploss氏がconference callにて、最近発表した化合物半導体のexpert、Wolfspeed買収について同氏の計画を明らかにした旨。Infineonの製品rangesと事業継承ターゲットのWolfspeedは、お互いに理想的に補完している旨。Wolfspeed買収からは、3つの市場分野、Electromobility, Internet of Things(IoT)およびRF power amplifiersで利益が得られると見ている旨。

◇独半導体インフィニオン、米同業を900億円で買収 (7月18日付け 日経産業)
→独半導体大手、インフィニオンテクノロジーズが、米照明・半導体大手、クリーの半導体子会社を買収すると発表、買収額は$850 million(約900億円)の旨。インフィニオンは電気自動車(EV)や、次世代の無線通信インフラの普及を見越し、シリコン以外を使う半導体の製品群を拡充する旨。14日の発表によると、買収対象は米ウルフスピード・パワー&RF、同社は高圧で大量の電流を制御するパワー半導体で省電力などの特徴がある炭化ケイ素(SiC)を使った製品で高いシェアを握る旨。

【次世代の移動通信システム「5G」】

次世代の移動通信システム、5Gに関する動きが続いており、先行する米国においてspectrum割り当ての承認が行われている。

◇FCC Paves Way for 5G (7月15日付け EE Times)
→米国Federal Communications Commission(FCC)が木曜14日、米国において5Gワイヤレスブロードバンド通信にspectrumを割り当てる規則一式承認で全員一致の票決、これで米国は、24 GHzを越える周波数で動作する通信規則を世界で初めて承認する国になる旨。

この承認に続く形に見える米国政府および業界のリサーチの取り組みである。

◇5G Research Gets U.S. Call-21 companies join government effort-Intel, Qualcomm call for 5G harmony (7月16日付け EE Times)
→米国政府当局と企業のグループが、5G cellularネットワークスのリサーチに7年にわたり総額$400 millionを充てることを約束、このニュースは、米国Federal Communications Commission(FCC)が5Gのミリ波帯への約11 MHzのspectrum割り当てを全員一致で票決した1日後にやってきている旨。

Samsungも米国でのリサーチ活動に加わるとしている。

◇Samsung joins US gov't body for next-generation tech-Advanced Wireless Research Initiative in US adds Samsung (7月18日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsが18日、次世代ワイヤレス技術促進および5Gモバイルネットワーク高速化開発に向けて米国政府が主導するAdvanced Wireless Research Initiativeのboard memberになる旨。この新プロジェクトには、400人以上の研究者およびNokia, Qualcomm, Intel, Oracle, AT&T, Verizon, SprintおよびT-Mobileなどモバイル大手からの貢献が含まれる旨。


≪グローバル雑学王−420≫

分野別のM&Aの新たな潮流、今回は半導体業界も1つとして入る製造業分野について、

『M&Aの「新」潮流』
 (山本 貴之 著:エネルギーフォーラム新書 036) …2016年1月15日 第一刷発行

より、現状および今後に心すべき課題に迫っていく。市場の減速を受けて昨年来非常に大きく吹き荒れたM&A、そして世界経済の減速・停滞が度を高めて新市場・新技術に向かうM&Aが特に本年続いている半導体業界であり、以下にまとめてある潮流を改めて噛みしめている。なかなか進展しない我が国の成長戦略が選挙戦はじめ方々で取り上げられているが、我が国の製造業における現下の課題を突きつける内容を受け止めている。


第13章 製造業におけるM&Aの新潮流

【広がる業界再編の動き】

■業界再編の意義とその背景・効果
1.業界再編の事例
 →世界的企業同士の合従連衡の動きが活発化
 →半導体業界の例:Avago TechnologyがBroadcomを$37 billionで買収すると発表、開発コスト高騰への対応
 →究極的には「市場における優位な地位の確立」が目的
2.業界再編の意義
 →その業界の規模そのものを如何に認識、いかなる地位を確保するかが極めて重要
 →業界の他のプレーヤーとの連携を前提とした成長戦略の選択肢
3.業界再編の発生する背景と効果
 →企業を取り巻く外部環境の変化
  →第1:標的市場の地理的変化・規模的変化への対応
    →現地への工場進出も選択肢
    →競争優位をどういった形で確保するかが重要な戦略
  →第2:標的市場の質的変化への対応
    →技術革新、これまでとは異なる調達先、納入先など、市場の質的変化に如何に短時間に、的確に対応していくかが必要に
4.市場の変化への対応手法
 →市場の変化形態
  (A)海外市場の発現など市場規模拡大への対応
  (B)市場縮小への対応
  (C)市場の質的変化への対応
 →市場の変化への対応
  (1)自社にて対応
  (2)外部資本も活用しながら対応
 →上記,粒銅劼瞭宛の通り、今後も業界再編の動きは活発化

■製造業における業界再編の特徴と類型化
・業界再編の可能性と方向性
1.市場深耕
 →既存の市場における取り組みを強化、利益を拡大していく手法
2.新市場開拓
 →既存の製品を、海外などの新たな市場に投入、利益を拡大していく手法
3.新製品投入
 →新製品を投入することで利益を拡大していく手法
4.多角化
 →自社の有しない製品を、自社が参加していない市場に投入することで利益を拡大していく手法

【R&DとイノベーションのためのM&A】

■製造業におけるR&Dとイノベーションの重要性
・各企業は様々な研究開発を通じてイノベーションを起こし、市場におけるプレゼンスを高めようと日々努力
 →以下、M&Aが企業のR&Dやイノベーションに与える効果や留意点

■R&Dとイノベーションを行う際に期待される効果
・M&Aを通じて足下で求められている、あるいは今後求められるであろう技術を獲得すること
 →自社開発と比較して相対的に時間の節約の期待
 →別の開発のための機会損失の回避にも

■M&Aは自社開発を完全に代替できるか
・M&Aによる技術の取り込み
 →時間の短縮効果は期待できるものの、一定のリスクを負うことを認識しておく必要

■M&Aを通じたR&D、イノベーションを成功に導くための留意点
・予め整理しておくべき留意点
1.自社のゴールイメージ(シーズなのか確立した技術なのか)
 →どんな技術ニーズがあるかを自社なりに予め整理しておくこと
 →日頃から自社の技術の方向感を定め、それにあった技術を有する企業を探索することが必要に
 →既存技術をどのステージで傘下に収めるかという議論も整理しておく必要
2.社内方針との整合性(既存活動との整合)
 →経営計画を立案している経営企画部門の考えている方向感が、それぞれ研究開発を担う事業部門のそれと整合しているか
3.技術の生態系(エコサイクル)の精査
 →自社のことだけではなく製品のライフサイクル全体においてそれぞれの役割を担う他社の対応力も考慮に入れておく必要

■マーケティングのためのM&A
・M&Aがもたらし得る効果の1つにマーケティングへの対応力の強化
 →製造業の成長戦略を進める上で、M&Aがもたらし得る効果
*R&Dやイノベーションを形にする資材調達の確保
 →製造過程におけるボトルネックを、M&Aを通じて社内に取り込む
*顧客へのチャネル確保
 →製品の開発・製造と並行し、現地の卸売業者や代理店などの販売のチャネルをM&Aによって社内に取り込む
*流通経路(物流)の確保
 →M&Aによる物流体制の早期の確立は有効な選択肢に

【わが国製造業の成長戦略とM&A】

・外部環境の急激かつスケールの大きな変化に晒されている我が国製造業
 →官民一体となった日本の製造業の成長戦略を支援・達成するための環境が整いつつある
・自前での研究開発や工場新設などの成長投資と同レベルの選択肢としてM&Aを検討していくこと
 →製造業における「新潮流」として今後一層加速化していくことに

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